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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)

分担研究報告書

「アンジェルマン症候群および類似疾患の遺伝的臨床的検討」

研究分担者 齋藤伸治

名古屋市立大学・大学院医学研究科 教授

研究要旨

ASおよび疑い疾患計13例を解析した。結果として片親性ダイソミー(UPD) 1名、UPD/刷り込

み変異(ID)1名、UBE3A変異 1名、FOXG変異 1名、MECP2変異 1名、不明6名であり、同定率 は38.5%であった。診断確定した中ではAS 3名、非AS 2名(RettおよびRett類縁疾患が1名ずつ)で あった。非AS例ではFOXG1変異例は4歳男児であり、独歩できず、平均的なASよりも重症であった が、臨床的には完全にASと区別することはできなかった。MECP2変異例は1歳7か月女児で臨床的 にはASとRett症候群が鑑別に上がっていた。乳児期のために、臨床症状のみでの診断は困難と思わ れた。FOXG1変異によるRett類縁疾患はASより発達予後は不良である。MECP2変異によるRett症候 群はASと異なり、退行症状が目立つ可能性が高い。今後の見通しを示すことができた点で、QOLの 改善に貢献できた。

A.研究目的

アンジェルマン症候群(AS:指定難病201)は 知的障害、てんかん、失調性運動障害を特徴と する疾患である。私たちは全国からAS疑い例 の遺伝学的解析を依頼され、提供している。毎 年10〜20例の解析依頼があり、2019年度は13例 の解析を行った。その中で、遺伝学的にASと 確定診断されたのは3例のみであり、10例はAS の確定診断ができなかった。このようなAS類 似例にはいくつかの疾患が存在することが報告 されている。そこで、私たちはASと確定診断 されなかった10例を対象に次世代シーケンサー を用いたパネル解析を実施した。ASおよびAS 類似例について遺伝学的、臨床的検討を実施し た。

B.研究方法

FISH法ではASと診断された欠失例は含まれて いない。ASの遺伝学的診断はまず、SNURF- SNRPN領域のDNAメチル化テストを実施し た。メチル化テストがASパターンの場合は両 親の検体を用いて15q11-q13領域の多型マーカ ーにて親由来を判定した。両親の検体が得られ なかった時は片親性ダイソミー(UPD)/ 刷り 込み変異(ID)と分類した。メチル化テスト正 常の場合はUBE3Aの翻訳領域をSanger法で解 析した。パネル解析は7遺伝子(UBE3A, SLC9A6, TCF4, MBD5, CDKL5, MECP2,

FOXG1)のエクソン領域をAmpliSeqTM Custom Panel (Life Technologies) にてライブラリを作成 し、次世代シークエンサー(Ion GeneStudio S5)にて塩基解読を行った。臨床症状は主治医 に記載していただいた臨床症状提供用紙に基づ き検討を行った。

(倫理面への配慮)

本研究は名古屋市立大学大学院医学研究科倫理 審査委員会にて承認され、両親から書面よる同 意を得た。

C.研究結果

ASおよび疑い疾患計13例を解析した。結果は UPD 1名、UPD/ ID 1名、UBE3A変異 1名、

FOXG変異 1名、MECP2変異 1名、不明8名 であり、同定率は38.5%であった。診断が確定 した中ではAS 3名、非AS 2名(RettおよびRett 類縁疾患が1名ずつ)であった。非AS例では FOXG1変異例は4歳男児であり、独歩できず、

臨床的には平均的なASよりも重症であった が、臨床的には完全にASと区別することはで きなかった。MECP2変異例は1歳7か月女児で臨 床的にはASとRett症候群が鑑別に上がってい た。乳児期のために、臨床症状のみでの診断は 困難と思われた。

D.考察

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(2)

MECP2変異例に代表されるように乳児期には ASと類縁疾患との鑑別は困難である。ASの診 断に関する遺伝学的検査としてFISH法とDNA メチル化テストが保険収載されているが、

UBE3A変異例および、FOXG1やMECP2変異な どの解析は困難である。実際、今回の解析でも AS例3例に対して、非AS例は2例と匹敵する数 であった。従って、遺伝学的解析は臨床症状に 応じた解析では対応は困難であり、ASのよう な比較的非特異的な症状が主体の疾患ではAS 特異的なメチル化テストが陰性の場合は、パネ ル解析などの網羅的遺伝学的解析の実施するこ とが重要である。

ASとFOXG1変異例やRett症候群では経過が異 なる。FOXG1変異例はASより発達予後は不良 である。また、MECP2変異によるRett症候群は ASと異なり、退行症状が目立つ可能性が高 い。今後の見通しを示すことができた点で、

QOLの改善に貢献できた。

E.結論

患者のQOLを改善するためには、網羅的遺伝 子解析を含めた解析の実施が重要であり、遺伝 学的診断に基づくフォローアップが必要と考え られる。

F.研究発表 1. 論文発表

1) D. Ieda, I. Hori, Y. Nakamura, K. Ohashi, Y.

Negishi, A. Hattori, A. Arisaka, S. Hasegawa and S. Saitoh.A novel splicing mutation in SLC9A6 in a boy with Christianson syndrome.Hum Genome Var.6.15.2019

2) K. Matsubara, M. Itoh, K. Shimizu, S. Saito, K.

Enomoto, K. Nakabayashi, K. Hata, K.

Kurosawa, T. Ogata, M. Fukami and M.

Kagami.Exploring the unique function of imprinting control centers in the PWS/AS- responsible region: finding from array-based methylation analysis in cases with variously sized microdeletions.Clin

Epigenetics.11.36.2019

3) I. D. Negishi Y, Hori I, Nozaki Y, Yamagata T, Komaki H, Tohyama J, Nagasaki K, Tada H, Saitoh S.Schaaf-Yang syndrome shows a Prader-

Willi syndrome-like phenotype during infancy.Orphanet Journal of Rare Diseases.14.277.2019

4) 齋藤伸治. Angelman症候群. 小児科 60(6):961-966.2019

2. 学会発表

1) Hori I, Miya F, Nakamura Y, Ieda D, Negishi Y, Hattori A, Tsunoda T, Kanemura Y, Kosaki K, Saitoh S. Clinical, genetic, and biochemical analyses for PI3K-AKT-mTOR pathway- associated megalencephaly. 61回日本小児 神経学会学術集会(名古屋)2019/5/31口頭 発表

2) Nakamura Y, Kato K, Tsuchida N, Matsumoto N, Takahashi Y, Saitoh S. Constitutive

activation of mTORC1 signaling induced by biallelic loss-of-function mutations in SZT2 underlies a discernible neurodevelopmental disease. 69th American Society of Human Genetics Annual Meeting (Houston, USA) 2019/10/16ポスター発表

3) Kato K, Oka Y, Muramatsu H, Vasilev F, Otomo T, Oishi H, Kawano Y, Nakazawa Y, Ogi T, Takahashi Y, Saitoh S. Biallelic VPS35L pathogenic variants cause 3C/Ritscher-Schinzel- like syndrome through dysfunction of retriever complex. 69th American Society of Human Genetics Annual Meeting (Houston, USA) 2019/10/16ポスター発表

G.知的財産権の出願・登録状況(予定を含 む。)

1. 特許取得 なし

2. 実用新案登録 なし

3. その他 なし

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参照

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