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第1章 序論

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(1)

ポ ー ラ ス ア ス フ ァ ル ト 混 合 物 の 新 粒 度 指 標 に よ る 垂 直 入 射 吸 音 率 の 評 価 に 関 す る 研 究

平成 26 年 1 月

日本大学大学院理工学研究科博士後期課程 社会交通工学専攻

朴 希 眞

(2)
(3)

1 目 次

第1章 序論 ... 1

1-1 研究の背景 ... 1

1-2 研究の目的 ... 2

1-3 本論文の構成 ... 3

第2章 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に及ぼす因子の整理および評価方法 ... 7

2-1 ポーラスアスファルト混合物における吸音特性の推定についての既存の研究 ... 7

2-1-1 ポーラス混合物の音の伝搬に対する基礎方程式 ... 7

2-1-2 ポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率 ... 8

2-1-3 微視的構造吸音モデルによるポーラスアスファルト混合物の吸音特性推定 .. 9

2-1-4 現象論的吸音モデルによるポーラスアスファルト混合物の吸音特性推定 .... 11

2-2 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性推定式の因子 ... 13

2-3 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に及ぼす因子の評価方法 ... 14

2-3-1 流れ抵抗 ... 14

2-3-2 形状係数 ... 16

2-3-3 吸音材料の垂直入射平均吸音率 ... 17

2-4 第2章のまとめ ... 22

第3章 ポーラスアスファルト混合物の粒度による空隙状態の検証 ... 25

3-1 ポーラス混合物の空隙の状態による吸音特性の変化 ... 25

3-1-1 鋼球を用いた混合物の空隙の状態による吸音特性 ... 25

3-1-2 砕石と鋼球とポーラスアスファルト混合物の空隙の状態による吸音特性 ... 32

3-2 粒度を変化させた混合の空隙の状態の変化と特徴 ... 36

3-2-1 粒度変化による空隙の状態と吸音特性の因子の関係 ... 36

3-2-2 粒度変化による供試体内部の状態 ... 40

3-2-3 粒度変化による空隙の角数の状態 ... 42

3-2-4 粒度変化による空隙の面積の状態 ... 51

3-3 空隙の状態の変化による吸音特性への影響 ... 58

3-3-1 空隙の角数と吸音特性の関係 ... 58

3-3-2 空隙の面積と吸音特性の関係 ... 61

3-4 第3章のまとめ ... 63

(4)

2

第4章 既存の粒度指標によるポーラスアスファルト混合物の粒度の検討 ... 65

4-1 既存の粒度の指標 ... 65

4-1-1 均等係数 ... 65

4-1-2 曲率係数 ... 66

4-1-3 粗粒率 ... 67

4-1-4 分級係数 ... 67

4-1-5 最大寸法 ... 68

4-2 既存の粒度指標によるポーラスアスファルト混合物の吸音特性 ... 68

4-2-1 ポーラスアスファルト混合物の粒度の特徴 ... 69

4-2-2 既存の粒度指標によるポーラスアスファルト混合物の吸音特性検討 ... 70

4-3 第4章のまとめ ... 80

第5章 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標の提案と混合物の空隙状態および吸音特性の検討 ... 83

5-1 ポーラスアスファルト混合物の新しい粒度指標の提案 ... 83

5-1-1 ポーラスアスファルト混合物の粒度分布の考察 ... 83

5-1-2 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標 ... 84

5-2 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による空隙状態の検討 ... 89

5-2-1 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標の検討 ... 89

5-2-2 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標に対する空隙の角数の検討 ... 91

5-2-3 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標に対する空隙の面積の検討 ... 92

5-3 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による吸音特性に及ぼす因子との関係 ... 93

5-3-1 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による流れ抵抗との関係 ... 93

5-3-2 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による形状係数との関係 ... 94

5-4 第5章のまとめ ... 96

第6章 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による垂直入射平均吸音率の評価 ... 99

6-1 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標における垂直入射平均吸音率の検討 ... 99

6-2 新粒度指標による垂直入射平均吸音率の評価 ... 100

6-3 第6章のまとめ ... 104

第7章 結論 ... 106

謝辞

(5)

1

第1章 序論

1-1 研究の背景

社会の成長とともに生活の質が高まり,人は健康で快適な生活の質の向上を望むようになってきた.

生活の質が向上することにつれて,マズロー1)も指摘しているように社会の成熟度によって物質的要 求から精神的要求が高くる.しかし,多くの地域の生活環境に係る環境問題は未だに解決されていな いことが多い.例えば,全国の生活環境に係る苦情件数のうち騒音に関する苦情が全体の2割以上を占 めている2).その中でも,自動車による騒音は,沿道住民の生活や健康に影響を及ぼし,訴訟問題に まで発展するケースがある.例えば,国道47号線の沿線住民達は,国と阪神高速道路公団を相手取り,

1974年に神戸地裁に道路騒音差し止めを求め提訴した.1986年の最高裁判所の判決では,原告の沿道 住民の損害賠償の請求を認めた.それにより,当時の各省・庁(建設省,運輸省,通産省,警察庁,環 境庁)が道路交通騒音の対策関係省・庁の連絡会議を設置(1995年)し,以下のように,①新型遮音壁,

②低騒音舗装,③高架裏面吸音板,④緑地帯の設置を道騒音対策に取り込み,さらに継続的に自動車 交通騒音対策として,交通流対策,沿道環境対策,そして道路構造対策等が実施されている3)

しかし,交通流対策は広域における騒音対策となり,きめ細かい対策となり難い面がある.また,

市街地での沿道環境対策として,遮音壁や環境施設帯等の設置があるが,景観問題や沿道利用上の制 約,そして用地確保が困難といった点がある.そこで,道路構造対策の中一つである低騒音舗装が適 用されることが多い.

低騒音舗装は,連続した高空隙率を持つポーラスアスファルト混合物(Porous Asphalt MixturePAM) を表層に用い,過去の経験から空隙率20%以上3),4)PAMの使用が推奨されており,自動車からの騒音 を密粒度舗装より2~5dB程度の騒音低減効果が確認されている5).この騒音低減効果は,PAM内部の大 きな連続空隙に入射した騒音エネルギーの減少が,空隙内での音波の摩擦や共鳴によって生じるため である.一般的に騒音低減効果は,PAM供試体を用いた垂直入射吸音率で評価されている.現在の評 価方法を大別すると2通りあり,1つ目はJISに示された垂直入射吸音率試験6)で求めた吸音率を用いる 方法である.2つ目は,PAMの空隙内での摩擦と共鳴を考慮した吸音インピーダンスモデル式によっ て求めた垂直入射吸音率を用いる方法である.前者は,PAMを構成する骨材の粒度(大小の骨材粒子 の混合割合)をもとに作製した供試体を用いて試験を行うため,時間効率性が悪い.後者は,PAM供 試体が事前に作られていることを前提とし,吸音インピーダンスモデル式に適用するPAMの因子を選 択し,垂直入射吸音率を推定するが,使用する因子のうちのいくつかは他の試験方法によって直接求 めなければならないことや,残りの因子についても経験的に知られた値を適宜用いるといった煩雑さ が内在している.そこで,PAM供試体の空隙率が事前に分かれば,空隙率のみで垂直入射吸音率が推 定できる修正吸音インピーダンスモデル式の提案7)もされているが,骨材粒度によって空隙率が変化 することから,この場合も供試体を作製して空隙率を求めるか,もしくは骨材粒度を示す指標によっ

(6)

2

て空隙率を評価し,それによって垂直入射吸音率を推定することが必要となる.供試体を作製して空 隙率を求める場合も時間的な効率性は悪いと言える.また,骨材粒度を示す既存の指標はあるが,空 隙率や垂直入射吸音率を示す指標として利用できるとは言い難い.低騒音舗装を適用する場合,事前 に効率よくPAMの垂直入射吸音率を知ることは骨材選択や施工法の選択,さらには施工費用や工期の 把握を行う上で重要であるが,PAMの垂直入射吸音率を骨材粒度特性のみで効率よく知る方法は無い と言える.

1-2 研究の目的

PAMの吸音特性は,摩擦と共鳴の物理現象による音のエネルギー変化によって示され,一般的に垂 直入射吸音率に基づいて検討を行なわれてきた.例えば,笠原ら8),岩井ら9)von.Meier10)そしてKim11)は,垂直入射吸音率によりPAMの吸音特性を評価している.また,Attenborough12) Hamet13) は,定在波によるPAMの垂直入射吸音率を予測するインピーダンスモデル式を提案している.垂直入 射吸音率の予測は,特性インピーダンスと伝搬インピーダンスにより求める.特性インピーダンスお よび伝搬インピーダンスは,PAMの厚さ e,空隙率 Ω,流れ抵抗 Rs,形状係数 K,構造係数 Sp,ね じり率 q,さらに吸音率を求める場合の測定周波数 fといった多くの因子により求められる.これらの 因子の中で実験により直接求められる因子は,PAMの厚さ e,空隙率 Ω,流れ抵抗 Rsである.一方,

PAMの垂直入射吸音率の測定値に適合するように間接的に求めなければならない因子は,形状係数 K, 構造係数 Sp,ねじり率 qであり,垂直入射吸音率を求めるのに,手間取ることになる.そこで,岩井

7)は,流れ抵抗 Rs,形状係数 KPAMの空隙率により表すことができることを示し,PAMの空隙率の みで垂直入射吸音率の予測式を提案した.しかし,島ら14)や朴ら15)は空隙率が同じでも細骨材量,細 骨材粒径が空隙の状態を変化させ,吸音特性に影響を与えることを指摘し,垂直入射吸音率の推定に はPAMの空隙の状態を考慮しなければいけないことを示唆している.

以上の既存研究より,ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に影響を与える要因は,細骨材の量 と粒径,粗骨材の量と粒径,最大骨材粒径そして最小骨材粒径であると言え,これは粒度として示さ れているが,ポーラスアスファルト混合物の粒度と吸音特性の関係は,明らかになってない.さらに,

ポーラスアスファルト混合物の粒度を定量化した指標がない.

そこで,本研究では,低騒音舗装を導入する際に計画段階で,その吸音特性に影響するPAMの垂直 入射吸音率を使用予定の骨材とその粒度特性のみで評価できる予測式を提示することとした.この目 的を達成するために,以下の3点に関して研究を進める.

① 既存の吸音インピーダンスモデル式を整理し,予測式に適用できる因子の選択を行う.併せて 測定周波数によって変化するPAM供試体の垂直入射吸音率を評価するという煩雑性を避ける ために,垂直入射吸音率を周波数平均した垂直入射平均吸音率を用いることを示す.

② 既存の骨材粒度を示す指標がPAMの垂直入射平均吸音率の推定に適用できるか否かを,PAMの 内部空隙の状態(大きさ,形状)およびこれらの分布を基に検証する.その後,骨材粒度分布

(7)

3

図を用いて求める新たな粒度指標(新粒度指標,Particle Distribution IndexPDI)提示し,PAM の空隙状態との関係を明らかにする.

PAMの新粒度指標 PDIを用いて垂直入射平均吸音率を推定できる予測式を提示し,その適用性 について考察する.

1-3 本論文の構成

本研究の流れは,既存研究により垂直入射吸音率に影響を与える因子を整理し,本研究に適用する 因子を決定し,その因子を求める方法を示し,この因子を用いて PAM の粒度によって変化する吸音 特性を明らかにする.

まず,異なる粒度により,ポーラス混合物の空隙の状態を検討し,さらに,異なる材料がポーラス 混合物内に形成する空隙の状態に与える影響の検討を行う.このポーラス混合物の空隙の状態が吸音 特性を変化させることを明らかにする.

次に,PAMの粒度を定量化する指標を提案するため,地盤やコンクリートの分野で使われている粒 度指標を用いて,PAMの粒度の適用性の検討を行う.なお,PAMの粒度の特徴を分析する.

最後,PAMの新粒度指標を提案し,PAMの新粒度指標によるPAMの空隙の状態の変化および吸音 特性の変化を評価する.さらに,PAMの新粒度指標を用いて垂直入射吸音率を評価する.

本論文は7章からなり,各章の内容は次のとおりである.

第1章「序論」では,研究の背景として,自動車交通騒音の低減を図るために適用されている低騒 音舗装表層のPAMの垂直入射吸音率を求める必要性とその問題点を示し,さらにPAMを構成する骨材 粒度によってその垂直入射吸音率を評価する目的と意義を示すこととする.

第2章「ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に及ぼす要因の整理および評価方法」では,既存 の PAM の垂直入射吸音率を推定する吸音インピーダンスモデルである微視的構造吸音インピーダン スモデルと現象論的吸音インピーダンスモデルを比較して,それらのモデルで用いられている因子に は実験により直接求めるものと経験や推定により間接的に求めるものがあることを示し,PAMの垂直 入射吸音率を推定する時に必要となる因子数が少ない,現象論的吸音インピーダンスモデルに適用さ れる因子を本論文で用いる理由を明らかにしている.これより,本論文では PAM の流れ抵抗,形状 係数および垂直入射吸音率を当該関係因子として選択している.さらに測定周波数によって変化する PAMの垂直入射吸音率を効率よく評価するために,本章で垂直入射吸音率を周波数平均化した垂直入 射平均吸音率を用いることを提案している.

第3章「ポーラスアスファルト混合物の粒度による空隙状態の検証」では,粒度を変えた鋼球,砕 石およびPAM供試体を作製して流れ抵抗,垂直入射平均吸音率を検討したところ,粒度の変化によっ て流れ抵抗と垂直入射平均吸音率が変化することを明らかにしている.これは,空隙率が異なる影響 もあるが,鋼球や砕石の配列そしてPAMの骨材のかみ合わせによって生じるPAM内部の空隙状態の影 響によると考え,層流におけるHagen-Poiseuille流れの考え方を適用して,空隙内部における音波の移

(8)

4

動のしやすさに空隙の大きさが関与し,また音波の移動時に生じる摩擦に空隙の狭隘部分(空隙の角 の部分)が影響するとして,本章では空隙一つ当たりの大きさを面積で示し,また空隙一つ当たりの 形状を凹凸の角数で示すことにより供試体中の空隙の状態を示すことにしている.そこで,PAMの供 試体を3等分に切断して,各断面での空隙面積と空隙角数の分布を歪度により示した.この歪度と流れ 抵抗,形状係数,垂直入射平均吸音率との相関性を検討する.

第4章「既存の粒度指標によるポーラスアスファルト混合物の粒度の検討」では,PAMの粒度グラ フの特徴は,最大粒径20mmまたは13mmの場合,粒径4.75mmで変曲点を有し,粒径4.75mm以下 の細骨材分の含有量によって空隙率が変化することを示している.この様な特徴を持つ PAM の粒度 に,地盤工学やコンクリート工学の分野で使われている既存の骨材の粒度指標である均等係数,曲率 係数,粗粒率,分級係数により,流れ抵抗,形状係数および垂直入射平均吸音率の関係を検討する.

第5章「ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標の提案と混合物の空隙状態および吸音特性の検 討」では,最大粒径20mmまたは13mmの場合,PAMの粒度は,粒径4.75mmで変曲点を有している ことから,累積残留率を用いたPAMの骨材粒度分布図を基にして,粒径 0.0754.75mm範囲とその 間の細骨材分の残留率の積と,4.75mm~最大粒径の範囲とその間の粗骨材分の積との比をPAMの新 粒度指標(Particle Distribution IndexPDI)として提案し,PDIによる空隙の状態と流れて抵抗,形状 係数の関係を検討する.

第6章「ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による垂直入射平均吸音率の評価」では,第5 章で,PAMの吸音特性とPDIとの関係の検討結果に基づき,PAMの垂直入射平均吸音率をPDIによ り予測できることを示し,他の研究者の報告データを用いてその予測式の有用性を検証する.

第7章「結論」として,これら各章により得られた成果をまとめて述べる.

(9)

5

図 1-1 本論文の構成 第1章 序 論

研究の背景

研究の目的

研究の流れ

2 章 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に及ぼす要因の整理お よび評価方法

吸音特性の推定に必要とする因子の整理と本研究に用いる因子の選択

7章 結 論

本論文で得られた成果のまとめ

3章 ポーラスアスファルト混合物の粒度による空隙状態の検証

PAMの粒度による空隙状態の変化

PAMの空隙状態の評価方法

PAMの空隙状態による流れ抵抗,形状係数,垂直入射平均吸音率変化の検討

4章 既存の粒度指標によるポーラスアスファルト混合物の粒度の検討

地盤とコンクリート分野の一般的な粒度指標を用いた PAM の粒度への適用性 の検証のために流れ抵抗,形状係数,垂直入射平均吸音率との関係の検討

5 章 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標の提案と混合物の空 隙状態および吸音特性の検討

 PAMの新粒度指標PDIの提案

 PAMの新粒度指標PDIによる混合物の空隙状態および流れ抵抗,形状係数の

検討

6 章 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標による垂直入射平均 吸音率の評価

新粒度指標によるPAM垂直入射平均吸音率の適用性の検討

(10)

6 第1章の参考文献・参考資料

1) A. H. MaslowMotivation and Personality, NY: Harper & Bros, pp.91-92, 19542) 環境省:平成22年度騒音規制法施行状況調査について,2012年.

3) 社団法人 日本道路協会編:舗装設計施工指針,p.221,平成18年.

4) 舗装委員会 舗装設計施工小委員会:透水性舗装ガイドブック2007,社団法人 日本道路協 会,pp.30-312007年.

5) 川眞田智,山口道征,水野卓哉:排水性舗装の吸音特性と測定手法に関する-考察,舗装,

No11/Vol.33pp.13-171998年.

6) JIS A 1405-1 (ISO 10534-11998):音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第 1 部:

定在波比法,2007年.

7) 岩井茂雄:透水性舗装によるタイヤ・路面騒音の低減効果に関する研究,学位論文,1998年.

8) 笠原彰彦,四辻勝,丸山暉彦:開粒度アスコンの吸音特性に関する検討,第18回日本道路会 議論文集,pp.600-6011989年.

9) 岩井茂雄,三浦裕二:透水性舗装によるタイヤ騒音の減衰特性と吸音率の推定,舗装 No8/Vol.32pp.15-2019976月.

10) A.Von MeierG.BlocklandJ.HeerkensNoise Optimized Road Surfaces and Further Improvements by Tyre Choice, Proceedings of International Tire/Road Noise Conferencepp.377-3861990.

11) H.K.KimH.K.LeeSound absorption modeling of porous concrete considering the gradation and shape of aggregates and air void ratioElsevierJournal of Sound and Vibrationpp.866-879201012) Keith AttenboroughC.HoworthModels For The Acoustic Characteristics of Porous Road Surfaces,

Proceedings of International Tire/Road Noise Conference, pp.177-191, 1990

13) J.F.HAMETMichel.BERENGIERMichel.JACQUESAcoustic Performances of Pervious Surfaces, Proceedings of International Tire/Road Noise Conference, pp.345-357, 1990

14) 島広志,富田尚隆,丸山暉彦:ポーラス・アスファルトの音響特性,道路建設,No.556pp.61-661994.

15) 朴希眞,岩井茂雄:骨材粒度の変化による多孔質舗装の吸音率の要因に関する研究,土木学 会第65回年次学術講演会講演概要集,第Ⅴ部門,pp.53-542010年.

(11)

7

第2章 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に及ぼす因子の整理 および評価方法

低騒音舗装の表層に適用されているポーラスアスファルト混合物の吸音率は,騒音低減に大きく影 響を与えることが多くの研究者や技術者によって報告されている1)~10)

ポーラスアスファルト混合物の吸音特性は,垂直入射吸音率を用いた音響インピーダンスに基づい て検討されている.この音響インピーダンスは特性インピーダンスと伝搬インピーダンスによって求

める11)~14).研究者によって,特性インピーダンスと伝搬インピーダンスの定式化が異なり,特性イン

ピーダンスと伝搬インピーダンスを求める因子も異なる.

そこで,岩井15)が整理した内容を基に,ポーラスアスファルト混合物の吸音特性の推定方法を述べ,

ポーラスアスファルト混合物における吸音特性の既存因子を整理し,本研究の吸音特性の検討のため に適用する因子を決め,その因子の評価方法をまとめることが本章の目的である.

2-1 ポーラスアスファルト混合物における吸音特性の推定についての既存の研究

岩井はポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率の推定について過去の文献を整理して以下の ようにレビューしている15).ポーラスアスファルト混合物の吸音特性の推定のために,大きく2つモ デルが提案されている.一つ目は,微視的構造吸音モデル(Microstructural absorption model)である.

これは,Attenborough11),12)が,細管を流れる層流の運動方程式を基にした理論式により誘導した特

性インピーダンスと伝搬インピーダンスを用いてポーラス混合物の吸音率を推定するモデルである.

特性インピーダンスと伝搬インピーダンスを求めるために,用いた因子は,ポーラスアスファルト混 合物の厚さ e,空隙率 Ω,流れ抵抗 Rs,ねじり率(tortuosityq,空隙の構造係数Spである.二つ目 は,現象論的吸音モデル(Phenomenological absorption model)であり,これはvon.Meier13), およ

Hamet14)が実験的経験から,ポーラスアスファルト混合物の厚さ e,空隙率Ω,流れ抵抗 Rs

形状係数 Kを適用して導いた特性インピーダンスと伝搬インピーダンスを用いて,ポーラスアスファ ルト混合物の吸音率を推定するモデルである.

2-1-1 ポーラス混合物の音の伝搬に対する基礎方程式

MorseIngardは,ポーラスな物体による吸音はポーラス物体内での空気の粘性による抵抗と空隙

中の空気の慣性による音のエネルギー減衰によって生じると言う16).ポーラス物体の垂直方向(X方 向)に対する一次元の運動方程式(2-1)の式および連続の式(2-2)の式を導いた16)

岩井は,流れ抵抗はポーラス混合物の空隙内における空隙の粘性による抵抗(摩擦)を表し,形状 係数はポーラス混合物の空隙中の空隙の共鳴による音のエネルギー減衰(共鳴)に関与していると指 摘している15)

(12)

8

s

K u p

t R u x

   

   ・・・(2-1)

p u 0 tx

 

  

  ・・・(2-2)

ここに,

Rs:流れ抵抗(KNs/m4

u:供試体全面の空気の平均速度(m/sΩ:空隙率(%

K:形状係数

ρ:空隙の密度(kg/m3p:供試体中の音圧(KPa

2-1-2 ポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率

ポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率αは,ポーラスアスファルト混合物の表面インピー ダンスをZとして式(2-3)により求める.表面インピーダンス Zは,特性インピーダンス Wと 伝搬インピーダンス γから求める14)

2

1 Z c

Z c

 

  

 ・・・(2-3)

ここに,

α:垂直入射吸音率 Z:表面インピーダン ρ:空気の密度(kg/cm3c:空気の速度(m/s

ここで,表面インピーダンス Zは式(2-4)のように書ける.

coth coth

T T

Z e W

Z W Z W e

 

・・・(2-4)

ここに,

ZT:ポーラスアスファルト混合物の層との境界面のインピーダンス W:特性インピーダンス

(13)

9 γ : 伝搬インピーダンス

e:ポーラスアスファルト混合物の厚さ(m

2-1-3 微視的構造吸音モデルによるポーラスアスファルト混合物の吸音特性推定

Attenborough11)は,さらに土などの多孔質材料の空隙状態や吸音特性から運動方程式を発展させ

流れ抵抗と空隙中の空気の圧縮率が周波数に依存すると仮定して,以下のように波動方程式を導いた と,岩井15)は整理した.

2 2 2

0 ( )

2 2

( )

1

s p

p q p p

C x  

tR t

     ・・・(2-5)

ここに,

Cp(ω):角振動ωに依存する空気の定圧比熱 Ω:空隙率

ρ0:空隙の密度(kg/m3

q:ねじり率

Rs(ω):角振動ωに依存する流れ抵抗(KNs/m4p:空隙中の圧力(KPa

式(2-5)に空隙の状態,端部の条件などを設定すると特性インピーダンスと伝搬インピーダン スを定めることができる.透水性舗装の空隙中の空隙の複素密度ρ(λ),空隙中の空隙の複素スティフネ スk(λ)とすると,特性インピーダンスWと伝搬インピーダンスγは式(2-6)と式(2-7)のよ うに示せる11). また,空隙中の空隙の複素密度ρ(λ),空隙中の空隙の複素スティフネスk(λ)は式(2-

8)から式(2-10)により求められることをAttenborough11)が導いた.

( ) ( )

W   k ・・・(2-6)

( ) 0

( )

jC k

   

・・・(2-7)

2 ( )

( )

1

1 2 j

q

T j

 

・・・(2-8)

(14)

10

( )

( )

1 2( 1)

1 N j

k p

T N j

 

・・・(2-9)

2

8

0

( 1 )

2

p s

S q

R

   

・・・(2-10)

ここに,

Sp:空隙構造係数 q:ねじり率

ρ0:空気の密度(kg/m3ω:角振動数(=2πf)(rad/sΩ:空隙率(%

Rs:流れ抵抗(KNs/m4N:プラントル定数 TJ0/ J0

J00次のベッセル関数

J11次のベッセル関数

図2-1の①は,流れ抵抗Rs=35kNs/m4,空隙率Ω=20.4%,空隙の構造係数Sp =0.5(推定値),ポ ーラスアスファルト混合物の厚さe=5.25cmの条件下で,ポーラスアスファルト混合物内の空隙を細い 円筒管に置き換えた場合,細い円筒管が傾くと,まっすぐな細い円筒管より管の長さが長くなること から,傾いた長さをねじり率qとして示し,そのねじり率の違いによる垂直入射吸音率を示した.

図2-1の②は,流れ抵抗Rs=42.8kNs/m4,空隙率Ω=25%,空隙の構造係数Sp =0.71,ポーラスア スファルト混合物の厚さe=5.08cmの条件下で,ねじり率の違いによる垂直入射吸音率を示した.

垂直入射吸音率の推定値を実測値に合わせるため,ねじり率の違いによる吸音率を変化検討した.

この検討結果を図2-1に示し,図2-1の①と②の凡例中Dataの太い点線は実測値であり,推定値 を実測値に一致させるためにねじり率を変化させると,ねじり率が大きくなることによって低い周波 数の域に移動することが分かった.

(15)

11

図 2-1 ねじり率の違いによる垂直入射吸音率11)

2-1-4 現象論的吸音モデルによるポーラスアスファルト混合物の吸音特性推定

von.Meier13)Hamet14) は,ポーラスアスファルト混合物をグラスウールのような繊維質の多

孔質材料と異なる骨材剛で振動しないものとして扱い,音波が連続した空隙内を気流として通過する 過程で音波のエネルギーの減少が生じると仮定した.式(2-11)と式(2-12)14)は,Morse

Ingard15)の基本方程式に基づいていた,経験を通じて伝搬インピーダンスと特性インピーダンスを

求めた式である.Hamet14)は,形状係数が周波数に依存することに着目し,実験により式(2-1 4)の近似式を提案し,形状係数を求めた14)

1 Rs

j K j

c K

 



   ・・・(2-11)

1 Rs

W c K j

K



  

 ・・・(2-12)

ここに,

W : 特性インピーダンス γ : 伝搬インピーダンス ω:角振動数(=2πf)(rad/se:ポーラス混合物の厚さ(mρ:空気の密度(kg/m3

K:形状係数 c:音速(m/sf:周波数(Hz

1 2

(16)

12 j:複素数( 1

式(2-11)の伝搬インピーダンスと式(2-12)の特性インピーダンスを求めるために必要 な因子は上記に示した通りである.その中で実験により直接求められない因子は形状係数である.そ

こで,Hametは図2-2に示した概念を用いて近似式を提案し,その近似式を式(2-14)に示し

た.

図2-2は,ポーラスアスファルト混合物内の空隙をシンプルに考えると,空隙の長さはポーラス アスファルト混合物の厚さと同じである.また,片側を閉端と他の側を開放端とした場合は,共鳴経 路長が1/4波長で基本波であり,357倍調波でも共鳴する.従って,図2-2に示したように供 試体の厚さはλi/4共鳴経路長になる.これを周波数と波長の関係を見ると式(2-13)になる.そ

こで,Hametは,ポーラスアスファルト混合物内の空隙が複雑な場合,複雑な空隙をシンプルな空隙

のように空隙を伸べると空隙の長さはシンプルな空隙の長さより長くなるので,式(2-13)に補 正係数を乗じた式(2-14)を空隙の形状係数の近似式として提案した.

つまり,空隙の形状がシンプルな場合は,空隙の長さが短くて高い周波数域でピーク吸音率が生じ る.また,空隙の形状が複雑な場合は,シンプルな空隙より空隙の長さが長くて,低い周波数でピー ク吸音率が生じることを示唆している.

図 2-2 形状係数の概念図(シンプルな空隙-左,複雑な空隙-右)

i

4

i

c c

f e

(i = 1,3,5…….) ・・・(2-13)

1

4 4 4

i

c K c c

f   eK eK e i = 1 ・・・(2-14)

ここに,

f i :垂直入射吸音率の第1ピーク吸音率

f’i:修正した垂直入射吸音率の第1ピーク吸音率 λi/4

e(厚さ)

λi/4

e(厚さ)

閉端 閉端

(17)

13 c:音速(m/s

e:ポーラス混合物の厚さ(mK:形状係数

図2-3は,Hamet14)が示した垂直入射吸音率に及ぼす因子の影響を表している.図2-3によ り,各々因子の影響を分析した結果を以下岩井が求めている15)

① 流れ抵抗,形状係数,厚さが同じで空隙率が異なる場合,ピーク吸音率とピーク周波数は同じ であるが,スカート特性(吸音率低い部分での曲線の拡がり方)である.

② 形状係数,厚さ,空隙率が同じで流れ抵抗が異なる場合,ピーク周波数は同じであるが,ピー ク吸音率が異なる.

③ 厚さ,空隙率,流れ抵抗が同じで形状係数が異なる場合,ピーク吸音率は同じでもピーク周波 数が異なる.

④ 空隙率,流れ抵抗,形状係数が同じで厚さが異なる場合,ピーク吸音率とピーク周波数が異なる.

図 2-3 垂直入射吸音率に及ぼす因子の影響14)

2-2 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性推定式の因子

ポーラスアスファルト混合物の吸音特性を推定する場合,各インピーダンスモデルによって吸音率 を推定するため必要とする因子が多くあり,その因子は表2-1のように示せる.微視的構造モデル によると,垂直入射吸音率を推定するためには7個の因子が必要となる.一方,現象論的なモデルに よると,垂直入射吸音率を推定するためには6個の因子が必要である.しかし,各モデルで,必要な る因子には,実験により直接測定できる因子と,推定により間接的に求める因子がある.したがって,

1

2

3

4

(18)

14

ポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率を推定するためには,実験を行って因子らを測定しな ければならないため,手間がかかる.さらに,推定し間接的に求める因子があるため,推定する際に 経験が必要である.

また,ポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率は周波数に大きく依存しているため,垂直入 射吸音率の評価が難しい.

表 2-1 吸音率を推定するために必要な因子15)(筆者加筆)

2-3 ポーラスアスファルト混合物の吸音特性に及ぼす因子の評価方法

現象論的吸音モデルに基づいて吸音特性の検討を決定した上,ポーラスアスファルト混合物の吸音 特性に影響を及ぼす因子は,流れ抵抗Rs,空隙率Ω,厚さe,音速ѵ,密度ρ,形状係数Kになる.

本論文では,厚さを一定し,実験室の温度を一定に設定することで音速と密度の変化を固定すること にした.つまり,音速ѵ,密度ρ,厚さeの因子の影響を外して検討することとした.

なお,本章では,流れ抵抗を求める方法を示し,2-2により垂直入射吸音率は周波数に依存する ことで垂直入射吸音率の評価が難しいであることより垂直入射吸音率の評価方法を提案し,形状係数 の求める方法を示す.

2-3-1 流れ抵抗

流れ抵抗とは,材料固有の特性を表す指標の一つで,材料に空気を流した時の材料中の空気の流れ にくさを表すものである.流れ抵抗と音響との関係について,音には大きく空気伝搬と固体伝搬音が ある.それぞれ媒体(空気伝搬音の場合には空気といった流体,固体伝搬の場合にはコンクリートや 鉄といった固体)が振動することによって音は伝わっている.

流れ抵抗Rsの測定方法は試料への空気の送り方により,2つがある.1つ目は,試料を取り付けた 管にコンプレッサーから直流の空気を送り,試料前後の微少な圧力差を計測する方法(Direct CurrentDC法)である.2つ目は,ピストン等を 2Hz程度の周波数で駆動して振動する空気の流れを試料に 与える方法で,空間の内部と外部の圧力差を計測する方法(Alternating CurrentAC法)である.AC 法は,非常に小さな圧力差を測定するため考案された方法であるが,現在では非常に小さな差圧を測 定できる微差圧計があるためAC法のメリットが少なくなった.

以上より,2つの方法の中で本論文の試験では一般に使用しているISO 905317)に準したDC法を用

直接測定して求める 間接的に求める 微視的構造吸音モデル Attenborogh(1990) 空隙率,厚さ,音速,密度,流れ抵抗 ねじり率,空隙構造係数

現象論的吸音モデル von.Meier(1985)

Hamet(1988) 空隙率,厚さ,音速,密度,流れ抵抗 形状係数

吸音率を推定するため必要な因子 区分

(19)

15

いて,ポーラスアスファルト混合物における流れにくさを検討することとした.

図2-4に流れ抵抗測定装置の概要図を示し,測定方法はコンプレッサーから圧縮空気を送り出し,

エアーフィルターを通過させ空気を浄化し,レギュレーターを調整しながら流量計のフローメータを 見て希望の空気の流量になるように微調整する.微調整された空気は測定管に送られ供試体を通過す る.通過の際に供試体前後に圧力差が発生しますので,供試体前の圧力をマイクロマノメータで読み 取り,供試体後は大気圧として供試体の前後の圧力差により,流れ抵抗値を求める.

図 2-4 流れ抵抗測定装置概要図

流れ抵抗Rsは供試体を通過させる気流の速度によって大きい影響受ける18).本研究では,気流の速 度が層流になるѵ=0.07 m/sで流れ抵抗Rsを求めている.なお,実験を行ううちの温度は20℃で,一 定した.以上,実験から得られた圧力差をBeranek19)の式(2-15)に代入して流れ抵抗を求めた.

s

R P

e

 

・・・(2-15)

ここに,

Rs:流れ抵抗(Ns/m4e :供試体厚さ(m

:流速(m/s

P:ポーラスアスファルト混合物の供試体前後に発生する圧力差(Pa

図2-5は空隙率Ωに対する流れ抵抗Rsの関係を示した.図の中には岩井のデータ18)が求めた流 れ抵抗Rsを併せた.岩井は層流状態として,気流速度ѵ= 0.035m/sを用いている.図2-5により,

層流状態での流れ抵抗Rsは,概ね空隙率Ωが増加することによって流れ抵抗Rsが小さくなる傾向を 示した.

マイクロマノメータ

前 後

コンプレッサー

供試体 エアー 流量計

フィルター

レギュレーター

(20)

16

さらに,この結果は,空隙率Ωが小さいと気流がポーラスアスファルト混合物の内に流入にくくな り,音波が流れの状態で混合物内に入っても空隙内で抵抗が生じるため,圧力差が大きくなることが 分かった.以上より,小さい空隙率は,細骨材を多く混入することで作られることから,粗骨材の混 合率と流れ抵抗Rsは関係があると考えられる.

図 2-5 空隙率による流れ抵抗

ここで,図2-5の空隙率による流れ抵抗の関係を式に示すと,式(2-16)のようになり,高 い相関関係から,空隙率のみで流れ抵抗を推定できることを示している15)

3.03 2

38926 ( 0.819)

Rs    R ・・・(2-16)

ここに,

Ω:空隙率(%

Rs:流れ抵抗(Ns/m4

2-3-2 形状係数

形状係数Kは,垂直入射吸音率を用いて,式(2-3)に表面インピーダンスの式(2-4)を代 入し,逆計算により形状係数Kを求められる.式(2-4)の表面インピーダンスZは,ポーラスア スファルト混合物の裏面インピーダンス ZTを無限大 とすると,式(2-17)が得られる.

coth( )

ZW   e

・・・(2-17)

1 10 100

1 10 100

流れ抵抗

Rs(KN・s/m4

空隙率

Ω(%)

岩井

(21)

17

ここで,Wγは,式(2-11)および式(2-12)によって求められる.

一方,Hamet14) により提案された第1ピーク垂直入射吸音率に対応する第1ピーク周波数を求

め式(2-14)により決定する方法がある.式(2-14)により,ポーラスアスファルト混合物 の垂直入射吸音率で第1ピーク周波数f1とポーラスアスファルト混合物の厚さeである.

岩井15)の検討によると,逆計算により求めた形状係数と近似式により求めた形状係数はほぼ同じで あると指摘し,ポーラスアスファルト混合物の空隙率を用いてHamet 14) の近似式から求めた形状 係数を推定した.その結果空隙率が大きくなるほど形状係数は小さくなることより,形状係数はおお むね空隙率に依存することを明らかにした.空隙率により形状係数を推定する式を作った15)

本研究では,簡単で迅速に形状係数を求める方法として,Hamet 14) の近似式(2-14)を用 いて,形状係数を求めるとした.

2-3-3 吸音材料の垂直入射平均吸音率

吸音材料に入射した音は,そのエネルギーの一部分はもとの空間に反射され,他の部分は材料の内 部に侵入し,さらに侵入したものの一部分は空隙内部での摩擦により熱エネルギーに変わり,残りは 材料背後の空間に透過する.2-1-2では,音響インピーダンスにより垂直入射吸音率α決定方法 を示したが,ここでは音響エネルギーと音響インピーダンスにより垂直入射吸音率αを実測する方法 について述べる.さらに,周波数平均化した垂直入射平均吸音率を提案する.

入射する音のエネルギーをIとし,材料表面で反射されるエネルギーを|r|2I,材料内部で吸収され るエネルギーを aI,材料を透過して背後の空間に逸散するエネルギーを|t|2I とすれば,|r|2a,お よび|t|2の間に次式が成り立つ20)

2 2

1

rat  ・・・(2-18)

|r|2を反射率,aを吸収率,|t|2を透過率という.入射波,反射波および透過波の圧力振幅をそれぞ れPiPr,およびPtとすれば

i r

p rp

i t

p

tp ・・・(2-19)

PiPr,は一般にPiと振幅ばかりでなく,位相も異なるのでrおよびtは複素数でありそれぞれ振幅 反射率および振幅透過率という.

音の入射空間からみれば,入射エネルギーの(1-|r|2)の割合は見かけ上吸音材料に吸収されたよ

(22)

18

うに見えるから,α =1-|r|2)をこの材料の吸音率と言う.材料表面の法線方向から入射する平面 音波に対する吸音率を垂直入射吸音率と言う.垂直入射吸音率αは,音響管による吸音率及びインピ ーダンスの測定を定在波比法によるJIS A 1405121)と伝達関数法によるJIS A 1405222)とによって求 められる.ここで,定在波比法は,音響管の一端に材料を装着し,他方の端から純音を発生させ,音 波が材料に垂直入射するようにする.入射波と試料からの反射によって管内に形成される定在波音場 の中でプローブマイクロホンを移動させて,定在波比(=管内音圧レベルの極大点の音圧と極小点の 音圧の比)の測定値から吸音率を求める.また,伝達関数法は,従来の定在波比法と異なり,音響管 内の二つの位置の音圧間(2本のマイクロホンによる同時測定または1本のマイクロホンによる逐次 測定)の伝達関数を求めるため,原理的にマイクロホンの移動を必要とせず,比較的短い音響管で周 波数分解能の高い測定を迅速に行うことができる方法である.しかし,2本のマイクロホンの間で干 渉が生じる懸念があるので,本研究では,定在波比による垂直入射吸音率αを求めることとした.

図2-6に,日本規格のJISA140512007音響管による吸音率およびインピーダンスの測定-定 在波比法21)の概念図を示した.

図2-6に示す音響管は,内径75110mm,全長20002500mm,肉厚5mm以上である.この場 合,適用周波数1002000Hzとされている.適用周波数は,1/3 Octave band中心周波数を用いて100

2000Hzの範囲で垂直入射吸音率αを測定することとした.

図 2-6 垂直入射吸音率を測定する音響管と管内の音圧分布20)

図2-7と図2-8は,既存研究の1/3 Octave band中心周波数による垂直入射吸音率を示した.図 2-7は,岩井らによるポーラスアスファルト混合物の供試体の厚さ約e=10cm,空隙率約Ω=12%28%に変化させたときの垂直入射吸音率αの測定結果を示した18).また,図2-8は,帆苅らによる ポーラスアスファルト混合物の供試体の厚さ約e=4cm,空隙率約Ω=12%28%による垂直入射吸音率 αの測定結果を示した23)

以上の既存研究により,空隙率が増加することによってピーク吸音率は大きくなり,ピーク吸音率

(23)

19

は高周波数域で生じることが示されている.また,図2-7に示してある空隙率21.9%の供試体と空

隙率27.5%の供試体のように,ピーク吸音率が同じでも,ピーク吸音率が生じた周波数は異なる場合

があることも示されている.

図 2-7 空隙率による垂直入射吸音率18)

図 2-8 空隙率による垂直入射吸音率22)

また,図2-9は,厚さ約e=5cmのポーラスアスファルト混合物の空隙率を変化させた垂直入射吸 音率αを示した.この図より,空隙率が大きくなることによってピーク吸音率は異なり,さらに,ピ

28.3%

25.6%

19.3%

17.2%

12.5%

(24)

20

ーク吸音率は高周波数域で生じることが示されている.この結果は,既存の研究結果の図2-7,図 2-8と同じであった.

つまり,垂直入射吸音率のピーク吸音率は周波数に依存するため,ピーク吸音率が同じでも空隙率 によってピーク周波数は異なる.従って,ピーク吸音率を用いて垂直入射吸音率を評価することが難 しく,垂直入射吸音率を評価する方法がない状況である.

図 2-9 1/3 Octave band中心周波数による垂直入射吸音率

そこで,ポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率の結果をピーク吸音率だけで評価すること には,不十分であると判断し,本論文ではポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率が有する特 徴を評価する方法として,周波数の一定範囲でのポーラスアスファルト混合物の垂直入射平均吸音率 を求めて,これをポーラスアスファルト混合物の垂直入射吸音率の評価指標として用いることとした.

垂直入射平均吸音率(Average Absorption Coefficient : AAC)は,図2-10に示すように周波数f1 ~f2

の範囲内の完全吸音率の占める面積Acomと,ポーラスアスファルト混合物の吸音率の占める面積Aabs

との比で表すこととした.各々の吸音状態を示す面積Aiは式(2-20)で求められる.

周波数f1からf2までの範囲での垂直入射吸音率の測定値の変化を模式的に書くと,図2-10の青 線に示したように書けるとする.横軸は1/3 Octave band中心周波数fであり,縦軸は垂直入射吸音率 αである.周波数f1f2の範囲で完全吸音する場合,垂直入射吸音率はαcom=1.0 となるため,f1f2の 周波数範囲における完全吸音率の占める面積Acomは次のように書ける.

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

100 1000

垂直入射吸音率α

1/3 Octave band中心周波数 f(Hz)

9.90% 9.82% 12.08%

13.98% 17.80% 20.60%

20.40% 22.90%

空隙率

(25)

21

2 1

 

2 1

 1.0

2 1

com com

Aff    ff   ff

・・・(2-20)

ここに,

Acom:完全吸音率の占める面積 f1:計算開始周波数(Hzf2:計算終了周波数(Hz

一方,測定された垂直入射吸音率が,周波数f1からf2までの間で占める面積Aabsは,図2-10よ り下式のように書ける.

1 1

n n

abs i i

i i

A A f

     

・・・(2-21)

ここに,

Aabs:測定垂直入射吸音率の占める面積 fi:任意の周波数(Hz

αifiのところでの垂直入射吸音率 Ai:微小区間∆fでの吸音率の占める面積 n:周波数の分割数

これらより,垂直入射平均吸音率(Average Absorption CoefficientAAC)は,両者の比で示すこと とするため,次式のように書ける.

1

2 1 2 1 1

1

( )

n

i n

abs i

i com i

A f

AAC f

A f f f f

 

     

 

 

・・・(2-22)

式(2-22)から明らかなように,垂直入射平均吸音率AACは周波数平均した垂直入射吸音率を 表している.

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