3 章により,粒度による空隙状態の変化が吸音特性を変化させることを見出した.そこでポーラス アスファルト混合物の粒度の指標が必要であることから,4 章で地盤工学やコンクリート工学の分野 で一般的に使われている粒度指標がポーラスアスファルト混合物の粒度の特徴を反映させるかを検討 した.その結果,既存粒度指標は粒度の形を示すため,細骨材分の少ないポーラスアスファルト混合 物の粒度の特徴を示せなかった.
本章では,ポーラスアスファルト混合物の粒度の特徴を示すことのできる粒度指標を提案し,その 粒度指標による空隙状態および垂直入射吸音率に影響を与える因子の変化を検討し,ポーラスアスフ ァルト混合物の粒度指標の有効性を確認することを目的とする.
5-1 ポーラスアスファルト混合物の新しい粒度指標の提案
ポーラスアスファルト混合物の粒度は,最大粒径が20mmまたは13mmの場合,粒径4.75mmで変 曲点を有し,粒径4.75mm以下の骨材量によって空隙率が変化するという特徴を有する.この特徴を含 んだ粒度指標が必要であるため,本節では,ポーラスアスファルト混合物粒度の変曲点の粒径
4.75mmと粒径4.75mmの混入率を反映させた粒度指標を提案することとする.
5-1-1 ポーラスアスファルト混合物の粒度分布の考察
一般的に,粒度は通過質量百分率を基にして示す.図5-1は,通常のポーラスアスファルト混合 物の粒度を通過質量百分率によって示した粒度分布と累積残留率によって示した粒度分布である.こ こで,通過質量百分率は,骨材のふるい分け試験により,各ふるいに残っている骨材の残留率から求 め,その加積残留率を 100%から引けば,通過質量百分率が得られる.通過質量百分率を用いるとふ るいの網目の大きさより小さい粒子が全体の何%含まれるかがわかる方法である.一方,各ふるいに とどまる質量を全体の質量で割れば,それぞれのふるいでの残留率が求められる.各ふるいの残留率 をふるいの上から順に足していけば累積残留率が得られる.累積残留率は,全体の試料の中で,合計 何%の試料がそのふるいに留まるかが分かる方法である.
通過質量百分率の粒度の縦軸を反転することで,累積残留率の粒度と同じな形になる.また,図5
-1により,累積残留率に基づいて示すと,ポーラスアスファルト混合物粒度の特徴の粒径 4.75mm までにとどまっている骨材の残留率は80%になり,粒径4.75mm以下の残留率量が20%ことをすぐ認 識できる.これより,縦軸は累積残留率を基にした粒度分布を用いてポーラスアスファルト混合物の 粒度指標を提案することとする.
84
図 5-1 通過質量百分率および累積残留率の粒度の特徴
5-1-2 ポーラスアスファルト混合物の新粒度指標
低騒音舗装の表層に使われているポーラスアスファルト混合物の最大粒径は 20~13mm であること が多く,ポーラスアスファルト混合物の新しい粒度指標は,最大粒径 20~13mm の粒度に限定して考 察することにした.ポーラスアスファルト混合物の粒度の特徴になる変曲点は,粒度分布の横軸に示 す粒径と縦軸に骨材の残留量として示せる.従って,横軸の骨材粒径と縦軸の骨材残留量を同時に考 慮できる方法として,変曲点を境目して細骨材分と粗骨材分を分けて,細骨材の粒径範囲に細骨材分 の残粒量を乗じて細骨材分の面積を求め,粗骨材分も同じように粗骨材分の面積を求めることとした.
すなわち,ポーラスアスファルト混合物の粒度の特徴により,最大粒径が 20~13mm の場合におけ る変曲点の粒径4.75mmを境にして,粒径4.75mm以上を粗骨材分,粒径4.75mm以下を細骨材分と区 分し,粗骨材分の面積と細骨材分の面積を求める.粗骨材分の面積に対して空隙率や空隙状態に影響 を与える細骨材分の面積の比を出す.
図5-1により,通常の粒度曲線は,粒径の範囲が広いため,粒径を示す横軸を対数(log)として 示すこの図では最大粒径を13mmとしている.粗骨材分の面積と細骨材分の面積を求める時,横軸の 粒径が対数目盛(log)と普通の目盛場合,図上から面積を求め易さが異なるため,まず横軸が対数の 場合と普通の場合による面積の変化を検討する.
図5-2は横軸の粒径が普通目盛りの場合を示した.図より,粒径4.75mm 以下の細骨材分の面積
が,粒径4.75mm以上の面積より小さくなり図上から求める場合誤差が生じ易いことが分かった.な
お,A’は最大粒径13mm,B’は変曲点として粒径4.75mm,C’は最小骨材0.075mmであり,最大粒径の 残粒率はRA,変曲点の残粒率はRB,最小骨材の残粒率はRCとして示した.従って,粗骨材分の面積 を式に示すと式(5-1),さらに細骨材分の面積を式に示すと式(5-2)になる.そこで,粗骨材 分の面積に対する細骨材分の面積の比は式(5-3)に示した通りとなる.
式(5-3)に示した面積比は,粗骨材分の範囲に占める粗骨材分量に対する細骨材分の範囲に占 める細骨材分の量の比を示し,これは粒径の範囲と粗骨材分と細骨材分の残粒率を同時に考慮できる 指標となると考えられる.
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0.01 0.1 1 10 100
通過質量百分率(%)
ふるい目(mm)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0.01 0.1 1 10 100
累積残留率(%)
ふるい目(mm)
85
図 5-2 粒径を普通目盛りに示したポーラスアスファルト混合物の粒度による 新粒度指標の概念図
( )
( ' ')
2
B A
R R
A B
粗 骨 材 分 の 面 積 =
・・・(5-1)( )
( ' ') ( )
2
C B
C
R R
B C R
細 骨 材 分 の 面 積 = ・・・(5-2)
細骨材分の面積 細骨材分の粒径範囲 細骨材分の残留量 粗骨材分の面積 粗骨材分の粒径範囲 粗骨材分の残留量
( ' ') (3 )
( ' ') ( )
C B
B A
B C R R
A B R R
細骨材分の面積
粗骨材分の面積 ・・・(5-3)
舗装設計施工便覧 1)に示されている最大粒径 13mm のポーラスアスファルト混合物の粒度タイプ No.5を基にして,8タイプの粒度を作り,粒度の粒径を普通目盛りとして示したものを図5-3に示 した.図5-3によると,粒径を普通目盛りに示した場合図上から,細骨材の混合率を求めにくいゲ ースが生じた.
8 タイプの粒度を用いて,式(5-1)により粗骨材分の面積を求め,式(5-2)により細骨材 分の面積を求め,式(5-3)に代入して,粗骨材分の面積に対する細骨材分の面積の比を求めた結 果を表5-1に示した.
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
累積残留率(%)
ふるい目(mm)
4.75
RA
RB RC
A
B’ A’
C’
B C
細骨材分の面積
粗骨材分の面積
86
図 5-3 粒径を普通目盛りに示したポーラスアスファルト混合物の粒度分布
表5-1によると,粗骨材分の面積と細骨材分の面積の差が大きいため,その比が非常に小さい値 を示し,さらに,細骨材分と粗骨材分の面積比は狭い範囲で示された.表5-1細骨材分が一番多く 混入しているNo.1の場合,細骨材分と粗骨材分の面積比が大きい値を示し,粗骨材分が一番多く混入 しているNo.8場合,細骨材分と粗骨材分の面積比が一番小さい値を示した.
しかし,粒度が異なるものの,細骨材分と粗骨材分の面積比が同じ値を示すものがあり,各タイプ の細骨材分と粗骨材分の面積比の差が0.01のため区別しづらいことが明らかになった.
表 5-1 粒径を普通目盛りに示したポーラスアスファルト混合物の粒度による面積比
図5-3と表5-1の結果,ふるい目のひらきによって図上で混合率を示しにくいことと細骨材分 と粗骨材分の面積比の小さい差によって,粒度の特徴を示すのが難しい.そこで,幅広い粒径を抱含 して示すために,一般的に示している対数(log)目盛りとして表すと,図5-4になる.
図5-4によりA’の最大粒径の13mmはlog13,B’の変曲点となる粒径4.75mmはlog4.75,C’粒度 の最小粒径0.075mmはlog0.075である.従って,粗骨材分の粒径範囲はlog13-log4.75になり,細骨 材分の粒径範囲はlog4.75-log0.075になる.
なお,最大粒径の残留率はRA,変曲点粒径4.75mmの残留率はRB,最小粒径の残留率はRCであり,
これを基にして,粗骨材分の面積は式(5-4)により求め,細骨材分の面積は式(5-5)から求 め,面積比は式(5-6)から求めた.
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
累積残留率(%)
ふるい目(mm)
No.1 No.2 No.3
No.4 No.5 No.6
No.7 No.8
↖No.8 No.1↘
4.75
No.1 0.12 No.3 0.11 No.5 0.08 No.7 0.06
No.2 0.12 No.4 0.10 No.6 0.07 No.8 0.05
TYPE 細骨材分の面積 TYPE TYPE TYPE
粗骨材分の面積
細骨材分の面積 粗骨材分の面積
細骨材分の面積 粗骨材分の面積
細骨材分の面積 粗骨材分の面積
87
粒径範囲の比はA’,B’,C’が決定数であるため,面積比は一つの定数になり,また単位は無次元に なる.
図 5-4 粒径を対数目盛りに示したポーラスアスファルト混合物の粒度分布
( )
(log ' log ')
2
B A
R R
A B
粗 骨 材 分 の 面 積 =
・・・(5-4)( )
log ' log ') ( )
2
C B
C
R R
B C R
細骨材分の面積 = ( ・・・(5-5)
細骨材分の面積 細骨材分の粒径範囲 細骨材分の残留量 粗骨材分の面積 粗骨材分の粒径範囲 粗骨材分の残留量
log( '') (3 )
' ( )
log( ) '
C B
B A
B
R R
CA R R
B
細骨材分の面積
粗骨材分の面積 ・・・(5-6)
表5-2は,図5-5に示した 8 タイプのポーラスアスファルト混合物の粒度の粒径を対数(log) 目盛にした場合,式(5-6)により細骨材分と粗骨材分の面積比を求めた結果である.表5-2に 示した結果,表5-1の結果と同じように細骨材分が多く混入すると,粗骨材分の面積に対する細骨 材分の面積比が大きくなり,粗骨材分を多く混入すると,粗骨材分の面積に対する細骨材分の面積比 が小さくなる傾向を示した.さらに,表5-2の結果は,表5-1の結果より粗骨材分の面積に対す
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0.01 0.1 1 10 100
累積残留率(%)
ふるい目(mm)
A
B’ A’
C’
B C
(log) 粗骨材分
の面積
RC RB RA
細骨材分 の面積