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低体温療法を行った心停止後症候群の aEEG とrSO

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Academic year: 2021

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低体温療法を行った心停止後症候群の

aEEG

rSO

2 を用いた転帰予測の検討

(要約)

日本大学大学院医学研究科博士課程 外科系救急医学専攻

伊原 慎吾

2017

指導教員 木下 浩作

(2)

【目的】2008 年国際蘇生連絡協議会が、自己心拍再開後の病態を心停止後症候群と定義し、4 つの病 態を報告した。これらは、① 心停止後脳傷害、② 心停止後心筋不全、③ 全身性虚血・再灌流傷害、④ 存する心停止の原病から成る複雑な病態である。その中でも心停止後脳傷害は心停止後症候群の主要な死 因であり、心停止後脳傷害が重症な場合は神経学的後遺症が残り社会復帰が困難である。心停止後症候群 に集中治療室で脳モニタリングを行い、脳傷害を評価することは神経学的転帰を予測するために重要であ る。近年、簡略化された持続脳波モニタamplitude-integrated EEG (aEEG) や脳循環モニタのregional saturation of oxygen (rSO2)が集中治療室で脳モニタリング目的に使用されている。aEEG は通常の脳波 と比べ、電極数を6 つに減らすことで、装着を簡単にし、またトレンドグラフを用いた分析で経時的な波 形の解釈を容易にしたものである。rSO2 は近赤外線分光法を用いて、INVOSTMにより局所組織における ヘモグロビン酸素飽和度を測定しているものである。rSO2 は微小血管(細動脈・細静脈・毛細血管)の酸 素飽和度をモニタリングしている。脳のrSO2 をモニタリングすることでセンサー直下(深度2cm)の。

脳血流量cerebral blood flow (CBF) や脳酸素消費量 cerebral metabolic rate for oxygen (CMRO2)の“酸 素の需給バランス”の変化を捉えることができる。心停止後症例にaEEG rSO2 を同時モニタリングし、

検討した報告はない。本研究は体温管理療法を施行した心停止後症候群に、集中治療室で amplitude- integrated EEG (aEEG) regional saturation of oxygen (rSO2) を同時にモニタリングし、脳波と脳循 環代謝を評価し、転帰との関連を検討する。【対象及び方法】2012 7 01 日~2015 6 31 日の 期間に日本大学医学部附属板橋病院救命センターで、体温管理療法を施行した20歳以上の心停止後症候群 を対象とした。自己心拍再開し、集中治療室へ入室後に aEEG rSO2 の同時モニタリングを開始した。

aEEG の電極は針電極を用いて、F3(左前頭部)F4(右前頭部)P3(左頭頂部) P4(右頭頂部) 準電極で測定を行った。rSO2 はプローベを前額部に貼付した。測定開始時を直後とし、自己心拍再開後か 12 h24 h48 hの時点の結果を用いた。aEEG Rundgren らの報告をもとにcontinuousflat

burst suppression (BS)electrographic status epilepticus (ESE) 4 パターンに分類した。これまで、

心停止後症候群に対する脳機能評価の方法は、連続脳波を4パターンもしくは6パターンに分類して いる。しかし、脳波パターンを詳細に分類しても、転帰予測の精度には影響を及ぼさなかった。そこ

(3)

で、本研究ではより心停止後症候群の転帰予測を簡便にする目的で、aEEG 波形を以下の2 群に分け た。正常脳波に近いcontinuous の症例をC 群、その他過去の報告から脳傷害が強く転帰不良と考えられ ているflat BS ESE の症例をnon continuous 群(NC 群)に分類した。心停止後症候群の転帰の評 価時期は、当院を退院もしくは転院する時点まで評価し、神経学的転帰良好の有無とした。また期間中の最

良時点のものを用いた。神経学的転帰評価はピッツバーグ脳機能分類 cerebral-performance category (CPC) で評価し、CPC 1 (良好な回復) または2 (中等度の障害あり) を転帰良好、3 (重度障害あり) 4 ( 物状態) 5 (死亡) を転帰不良と定義した。CPC 12 を転帰良好、35 を転帰不良とした。脳波の経 時的変化を調べ、転帰及びrSO2 との関連を調べた。統計解析は、SPSS (IBM 社、アーモンク、ニューヨ ーク州) を用いて実施した。カテゴリーデータはFisher の正確確率検定を用い、連続変数についての2 比較はstudent t 検定と、Mann-Whitney U 検定を行い、3 群以上の比較はKruskal-Wallis 検定を行っ た。p0.05 を統計学的有意とした。

【結果】本研究で49 例を検討した。年齢は64.7±16.0 歳、覚知から自己心拍再開まで31.7±19.7 であり、測定は自己心拍再開後から平均351 分で開始された。aEEG の脳波パターンを4 群に分けると、

転帰良好例は測定開始時continuous 13 例中11 例、flat 26 例中4 例であった。BS 9 例、ESE 1 例認めたが転帰良好例は認めなかった。12 h 後ではcontinuous 16 例中13 例、flat 20 例中

2 例転帰良好であった。BS 12 例、ESE 1 例認めたが転帰良好例は認めなかった。24 h 後では continuous 18 例中15 例転帰良好であった。 Flat 17 例、BS 12 例、ESE 1 例認めたが転 帰良好例は認めなかった。48 h 後ではcontinuous 18 例中15 例が転帰良好であった。Flat 21 例、

BS 6 例、ESE 4 例認めたが転帰良好例は認めなかった。4 パターンの脳波とrSO2 の平均値につ いて検討したところ、どの時点においても脳波と rSO2 値に有意差は認めなかった。4 パターンの脳波の

rSO2 の平均値はcontinuous vs. flat vs. BS vs. ESE, 直後 55.5±6.0% vs. 56.3±12.9% vs. 56.7±13.6%

vs. 79.0% p= 0.46512 h 53.6±8.8% vs. 52.6±9.6% vs. 58.3±14.5% vs. 80.0% p= 0.25224 h 61.6±9.0% vs. 53.9±13.8% vs. 61.8±18.1% vs. 67.5±18.1% p= 0.23448 h 66.9±11.5% vs. 63.6± 13.2% vs. 67.7±5.2% vs. 69.0±15.9% p= 0.817であった。aEEG 波形を2 群に分けた場合は直後にC

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13 例の中で転帰良好は11 例、不良は2 例であり、NC 群の36 例中4 例が転帰良好、32 例が転帰不 良であった。24 h 後にC 群の18 例中15 例転帰良好、3 例転帰不良、NC 群の31 例中全例転帰不良で

あった。24 h 後以降にNC 群の症例は全例転帰不良であった。どの時間帯でもC群はNC群に比して有

意に転帰良好例が多かった(転帰良好の割合 C vs. NC : 直後 84.6% vs. 11.1% p0.000112 h 81.3% vs. 6.0% p0.000124 h 83.3% vs. 0% p0.000148 h 83.3% vs. 0% p0.0001。測定 開始時にC 群であった時の転帰良好に対する検査特性は、感度73.3% (95% confidence interval (CI), 55.1-

82.4)、特異度94.1% (95% CI, 86.1-98.1)、陽性的中率84.6% (95% CI, 63.6-95.1)、陰性的中率88.9% (95%

CI, 81.3-92.7) 、オッズ比 44.0 (95% CI, 7.6-246.3) であった。12 h 後は感度86.7% (95% CI, 68.5-95.5) 特異度91.2% (95% CI, 83.2-95.1)、陽性的中率81.3% (95% CI, 64.3-89.5)、陰性的中率93.9% (95% CI,

85.7-98.0) 、オッズ比 67.2 (95% CI, 10.8-410.9) であった。24 h 後は48 h 後と同様であり、感度100%

(95% CI, 84.8-100)、特異度91.2% (95% CI, 84.5-91.2)、陽性的中率83.3% (95% CI, 70.7-83.3)、陰性的中 100% (95% CI, 92.7-100) であった。転帰良好例は24 h 後までにすべてC 群となった。脳波とrSO2

はどの時間帯でも有意差を認めなかった。転帰良好例と不良例のrSO2 値を経時的に比較し、どの時点にお いても両群に有意差を認めなかった。両群の経時的な rSO2 値は転帰良好例 vs. 不良例 直後 55.3±5.7%

vs. 57.1±13.8% p= 0.58712 h 55.6±8.7 vs. 54.6±12.5% p= 0.65624 h 62.9±8.8% vs. 57.6± 15.6% p= 0.16548 h 68.9±10.4% vs. 64.5±13.0% p= 0.275であった。【考察】本検討では早期から

aEEG continuous となる症例は転帰良好な症例が多かった。また、自己心拍再開から 24 時間以内に

flat であっても時間経過で変化する可能性があるため転帰予測が困難であった。ESEBSがどの時点でみ

られても転帰良好例は認めず、心停止後脳傷害の程度は高いことが明らかとなった。C 群、NC 群の2 の分類であっても、自己心拍再開 24 時間後の時点において従来の心停止後症候群に対して用いられた脳 波分類4パターンもしくは6パターンとほぼ同等の精度で転帰予測が可能であった。心停止後脳傷害の脳 波分類をより簡便に転帰を予測することができる。過去の rSO2 を用いた報告では心停止蘇生後 24 時間 の平均 rSO2 値は転帰良好例で有意に高値であった(転帰良好例 vs. 不良例 rSO2 68% vs. 57% p 0.01。しかし、本研究では転帰良好例と不良例のrSO2 値に有意差を認めず、また転帰不良例のrSO2

(5)

はばらついていた。転帰により脳傷害の重症度が分かれるとすると、脳傷害の強さでrSO2 値が決定しない 可能性が示唆される。これは、rSO2 値で脳傷害の強さが判定できない可能性を示しており、rSO2 値のみ では転帰予測は困難であった。C群に比べ、NC 群のrSO2 値がばらついており、転帰良好例に比べ不良 例のrSO2 値がばらついていた。過去の報告でも、心停止蘇生後の初期においては転帰不良症例の方がrSO2

値のばらつきが大きいことが示されている。正常の脳では脳循環の調節メカニズムが存在し、CBF を一定 に 保 つ た め の 機 能 が 備 わ っ て い る 。 そ の 一 つ に 脳 血 流 の 血 圧 に 対 す る 自 動 調 節 能 (pressure autoregulation) がある。pressure autoregulation が障害されている症例は転帰不良であり、本研究の転 帰不良例は血圧の変化に対して脳血流量が一定でないため rSO2 値ばらついていた可能性がある。【結論】

心停止症候群に体温管理療法を施行している症例に、aEEG をモニタリングする事は転帰予測に有用であ った。C 群、NC 群の2群の分類であっても自己心拍再開24 時間後の時点において、転帰良好に対し陽

性的中率 83.3%、陰性的中率100%で従来の心停止後症候群で用いられた脳波分類4パターンもしくは6

パターンとほぼ同等の精度で転帰予測が可能であった。心停止後脳傷害の脳波分類をより簡便に転帰を予 測することができる。転帰不良例の rSO2 値はばらつきが大きく、心停止蘇生後の急性期は pressure

autoregulation が障害されている可能性がある。そのため rSO2 の絶対値を用いて転帰予測する事は困難

である。

参照

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