255 −77叫
製造間接費配賦基準の選択の 客観断とっいて(1.)
田 中 嘉 穂
Ⅰ序−−−・問題提起
一・般に.原価計算の目的の中で最も古くから実施されているものとして,製品 の正確な原価を算定するということがまず挙げられなければならない。しかし そのように.正確な原価という場合,正確さの判断規準を見出すのにほ,固有の 難しさが伴うようである。製品の原価を算定するということ自体が,ノ今日特に 議論の集中している経営管理の側からの原価計算碇.対する諸要請のように.,差
し迫った明白な実践的目的を・それはど明らかにして「いない目的であるため,あ る特定の原価部分が製品の原価を構成するか否かの判断規準が,′ともすると意 図の明確にされないまま,常識的な判断にゆだねられてしまったり,製品のよ
り正確な原価をもとめるのとは別の,原価管理とかその他の経営管理的思考に すりかえられてしまうことはよくあることである。勿論そのような目的のため
紅原価計算が工夫されること自体があやまりであるというのではなく,本論で
は一応それから離れて正確な製品の原価の計算そのものの固有の要語だけ紅つ いて考えてみたい。
正しい製品の原価を算定するための考えられるぺき条件は勿論単一でほない
が,ここでは特に.製造間接費の配賦基準に/ついて,そのために.あるべき配賦計
算の考え方に.注目して一兵たい。種々の原価要素の内払は比較的客観的に明瞭な
配賦基準がさだまっているものもあるが,それはど厳格紅.配賦基準を決める根
拠が明らかにされないものも多くある。実際把.そのような箇所に.経営管理の実
践上の要求が微妙に.交錯してきて,本来の配賦基準選択に.見られる考え方が揺
り動かされる傾向さえ見られる。そこでわれわれほ,各種の目的に.よって折衷
された不明朗さをできるだ回避しながら,従来一般に.是認されてきた配賦基準
256
一策41巻 第3号
ー 7β 【
選択の根底にみられる基本的な考え方を幾つかに分けて了具体的に把捜すること により,幾分でも間接費配賦基準選択に.客観性らしさを添加するこ・とができる かどうか,あるいはより根底的に疑って,製品の正確な原価の計算そのものに は,もともとある一定の限定された要請というものがあるのかどうかについて いくらかでも手掛りを得たいと以下の拙論を試みたい○
いうまでもなく製造間接費の配賦計算の必要性は,間接費とそれに.よって生 産される個々の製品との関連が間接的であること紅ある。換言すれば間接費 は,個々の製品またはその集合体(batcb oI・lot)を構成単位とするあるより大 きな製品群の生産に関わる原価であることほ明らかであっても,個々の構成単 位との関連が明確でなく,直接的に漉それら製品群の生産軋必要な原価である として包括的にしか把握されず,従って個々の原価計算単位(ここでは主とし て注文製品あるいは製品種類)の立場からほ共通的乃至結合的な性格を呈して いるということができる。といってそ・のような原価を当該原価計算単位の原価 として課することを回避するのほ困難である。一般に原価が,何かに.対する原 価(cost of something)であるといわれていることを基礎づけるために,,それ が「岬…‥会話上の癖(conversationalhabit)であるとか,慣習(convention)で あるとか,あるいは原則(principle)であるとかどのような言葉が用いられよう とも,関連する目的,結果または業績と,それに激する原価との関連は企業及 び会計思想上の顕著な特色である。この事実を認めることに.よってこそ,『原 価計算単位』q即ち原価が,相応(correspondence)乃至は連結(association)
というような否定しがたい関係をもって↓、るある活動,事物,事象またはそ の他の現象−という概念が確立することに.なる。その『原価計算単位』の概念 を認識するということに.,原価計算の起源と原価帰属(cost assignment)の問
(1) 題の根源とが横たわっている。.」そのように.経営活動紅見られる様々な形の原
価計算単位と,それを産出するために㌧凡そ関連していると考えられるある測定 された対価の放出,とを関連づけようという基本的な思想把支えられて原価計
(1)Vatter,WilliamJ., Limitations of Overhead Allocation ,The Acco11ntirlg
Review,Vol.20,No¶2,1945,p.164
製造間接費配購基準の選択の客観性について(1) −79−
257
算は行われるのであるが,そのような関連は必ずしも現実に存在する立証可能 な明瞭な関係のみによって構成されているわけではない。例えばある原価計算 単位を製品に.とった場合,その製品との明瞭な物的関係を有する直接費のみ,
をその製品の原価とすることほ,経済学的には受け入れに.くいことである。例え ば盾接原価引算で考えられるように.,「特定の製品に.対して帰属することのでき ない多くの原価があるということは,経済学的な言い方で,そのような原価が当 該期間中に.効果的に.生産されたあらゆる製品の集合体に帰属することができな いということではない。少くとも経済学説はたとえそれが命令しないまでも,
間接費が,直接費発生額または総直接費から購入材料費を引t、た残額に.もとづ
(2)
いて仕掛品,完成品,売上原価に.配分されるよう捉案していると言えよう。.」こ こでは配賦基準とし何を使用するのかは別にして,このように間接費も製品の 原価を構成するものであるという考え方は,会計学に′おいても,ある会計年度中 に販売された製品が原因となる(responsible)凡ての原価とその製品に,よって 実現される収益との費用・収益対応の原則なるものの−・環として要請されてい るし,その上また製品の価格決定を行う場合の原価を決める上で製造間接費を 製品と関連させることは避けられないと考えられている。それほ直接費の鼻な らず間捷費も製品の生産にはとんど欠かせない重要な原価要素であるという認 識によると思われるのであるが,一般的紅いって,原価と原価計算単位との関 係,換言すれば原因と結果,努力と業績,経済的犠牲と成果との関係は直接的 である場合は少く,より詳細紅観察すれば,ある原価の発生または増減と原価 計算単位との関係以外紅.,原価の周辺を取り巻いている直接的な,あるいは等 閑視されないだけの十分紅有効な関係がからまって,ある原価計算単位との関 係のみで直線的な関係を形作れない事情のあることが多いといえよう。とのこ とをプァッターは次のように説明している。「いかなる原因も幾つかの結果をも っでおり,どのような事象も多くの原因から招来している0即ちあらゆる事変 や観察事実ほ多くの絆によって共に・結びつけられているのである?…‥‥概ね原
(2)Doyle,A.LeoT)ard, Overhead Accounting ComesFullCir Cle ,N.A.C.
A.Bl111etin,VoI.15,No.12,1945,p.1583
第41巻 第3号 258
−βクー
価は,様々な原価計算」単位と原価との関連についてのみならず原価の発生とい
(3)
う点においても結合的なのである。」即ち;原価と,それの志向する原価計算単 位との−′・対の因果関係はそれのみで完結することほ少く,・それを仮定するtと は好都合でも必ずしも事実の説明にはならない。
そこでわれわれは本論に進むにあたって−,まず原価発生の結合的性格の様相 をより具体的に把握して−おくことは,より広い範囲から問題を把捉する上で有
l
用である。それに.ついてはプァッターのすぐれた巧蹟が挙げられなければなら ない。彼によると,まず第1にあげなければならないことは,原価は発生の時 点で既に結合的性格を帯びているということである。「生産過程なるものは,
様々な療類の経済的用役の同化作用によって新しい組合せへと変形していくこ とである。即ち製造企業のみならず商業経営の運営は、一組の交換によって 得られる諸用役を,やがてほ交換に付される有形・無形の諸製品によって表現
される新しい形態へと,まさに転換することにすぎない。用役から成る製品
(service−prOduct)は,それを構成している項目のいずれとも非常紅相違して いることが多く,投入原価に.よって−測定される諸用役が製品に寄与するのでは なく,諸用役は互いに補完的な関係にあるのである。資産の費消(asseトexpir−
ations),発生敵(accruals)あるいは支払(disbursements)によって測定される か否かを問わず,用役の充用ほ同化作用の過程で個別的に孤立しているわけで はない。というのほ用役の組合せ方が,少くと卑個々の特定の項目の性格と同じ はどに重要であるからである。どの要素の用役可能性(service potentialities)
が変化しても製品に.変化をもたらすかもしれず,唯一つの要素の欠如または変 更が,作業の継続を不可儲とまでいわないに.しても困難に.するこ、とはしばしば 起ることである。・1・…このような状況の下では,原価が別の原価の発生したこ
とに.よって招来されることがよくあり,換言すればある項目の支出が,同時的 紅か継続的にかいずれに.しろ,それと共に他の項目をも引き寄せることになる
(4)
のである。.」かくして経営活動は,製品の生産のために.必要な無数の原価要素の
(3)Vatter,Op..Cit.,p.164〜165
(4)Vatter,Op.Cit p.165
259 製造間接費配戚基準の選択の客観性について(1) −βJ一 夫々固有の働きを獲保しながら,同時に.それら資源を,活動に.固有の仕方で有 機的に風合せることによって達成されるから,既にそのような点で原価の発生 は.結合的な性格を担い,大局的に・見て−,他の原価の発生と本来無関連でないこ
とを暗示している。
更に原価の発生の時点で,より重要でさえある第2の結合的性格というのは 次のようなものである。「ある生産要素の原価ほ,複合的な情況にある品質,能 率,その他の変数から起る他の諸要素の変化によって,影響をうけるであろう。
たとえば特定作業の労務費ほ次のような事情によって−増加も減少もする。その 事情というのは,材料の質の変化,機械の段取り,配置・速度変化,維持に・関 する政策または手続きの変更,より徹底的なあるいはより軽度の検査,監督者 の敏捷さや理解力の相違などであり,作業者集団の個人的な連携の変化でさえ も労務費に可成の影響力をもつこともあろう。臨時的な原価項目を追加するこ とが,実際に労務費の純単位当り支出を減少させるこ.ともあり,刺激賃金,品 質手当,超過勤務手当は個別の項目の見地からは明らかに原価の追加である
(5)
が,実際にほ単位当り総原価の減少のための手段に.なるかもしれない。」即ら原 価は,大局的に.ほ製品の生産に.向けられることを意図するものであるが,個々
の情況をより精しく見ると,原価の発生及びその増減は必ずしも製品の生産そ のことに.よってのみ引起こされるのではなく,通常はそれ以外の錯綜した別の 理由が複雑にからんでいる。このような意味に.おける原価の結合性の認識は;
後に.みるように原価の配分を考慮サる立場から痔に塵要である。
さらにこのように原価の発生に.ついての結合的性格の魂でなく,原価計算単 位との関連に.おいて一緒合的原価の問題を観察すると,まず第1に.結合生産物の 問題が想起される0それほ,代表的に・は化学的処理に・よる抽出産業に見られる ように・,経営考の意図によって−自由紅生産患の割合いを調整することのできな い数種の生産物に.対・して,一塊の原価が関連しているという場合である。従っ
てこれら数種の結合生産物は,はぼこ定の割合いで生産されるのであるが,こ
(5)Vatter,Op.Cit.,p。165
260
第41巻 第3号
−β2−
のような場合,「 たとえどのように原価が配分されるとしても,・一一塊の産出物 の全体を生産するための凡ての原価ほ,個別の製品群で表わされる原価計算単
(¢) 位軋対しで結合的である,という事実は依然残されている。」結合生産物の割合
いほいつも不変であるというわけではなく,生産方法の改善や技術的研究によ ってある程度変化することができるし,副産物をより有用なものに加工し七需 要を喚起することも可能である。「にもかかわらず,−・定の生産活動から二つ
(7) 以上の生産物が作られる限り結合原価の問題は残される。」さらにわれわれは,
以下の議論の便宜のために.,結合生産物の意味を通常用いられるよりも広く解 して,たとえばある機械についていうならば,それは,有効な耐用期間中に・生産 される2種以上の製品に.対しては結合的性格の原価であるから,たとえ技術的 把.は自由軋製品の割合いを動かすことのできる製品であって.も,配賦計算上か。
らは一・種の結合生産物的な要素をもっていると解釈することができよう。、通常 の結合生産物にいわれる結合原価とは様相を異にするが,−・般紅幾種類かの原 価計算単位に対して塊となって原価が発生する場合には,各原価計算単位に・と って結合的性格をあらわすからであるムなお,結合生産物紅見られる事情は物 的生産物把.のみ限らず,企業活動の最終的成果である無形の用役についても結 合生産物と考えられるものが多い点軋も注意しなければならない。その例とし て,「鉄道会社の製品は『輸送』であるが,それは貨物・乗客の区分(divisions)
収容能力の部類,臨時列車,特別運行に.ついて二小グループに分類することがで きる。もしそのような分類が試みられるなら,結合的原価の問題が直ちに・発生
(8) する。」
しかし原価計算単位との関連紅おいて見られる原価の結合性は結合的生産物 の問題の魂でなく,別の面に.おいても観察される。それはたとえば鉄道会社の 最終生産物の中に.具現されている用役というのほ,幾つかの事柄の塊に・なった
ものであると考えられ,「鉄道による乗客の旅行は物理的輸送ということの他
166166166
p p p
t t t −1 ・l ●l C e▼ C
p p p OOO
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a a a V V V
6 7 8
2飢 製造間接費配威基準の選択の客観性紅ついて(1) −ββ一
に.多くの事柄を含んでいる。即ち鉄道の最終生産物は便利さ,時間の節約,快 適さ,娯楽及びその他の事柄などの特有な結合体である。この意味でほ,製造
(9) 企業の諸部門の直接費でさえも結合的である。」このような例で特に問題となる
のは,生産部門の活動を促進する補助部門の中間生産物である。「人事部,研 究及び生産計画部門,その他の用役中心点ほ,それらのための原価計算を助成 するような具体的な用語で,様々な個々の製品を認識し分離することが殆んど 不可能であるといえるような製品を産出している。明らかに,新しい従業員を 雇うことと,既紅名確瀧載ってこいる従業早の苦情を訝賂することとは異なり,
製品設計の計画を実行したい理由を設けるごとと,新製品の標準的な手続の明 細を作り上げることとは相違している。かくて各部門用役は幾つかの種類の製 品を産出するかもしれず,それ紅該当するような場合,原価は結合的原価であ
(10)
る七いえる。」もはや明らかなように.,ある場合紅は個々の原価計算単位そのも のを明確に.規定することが非常紅困難であるような種類のものがあり,そのた めに発生する原価は本来的 に.は結合的性格のものとならざるを得ない。
さらに.グァ↓クーは,結合的原価の問題は間接費配賦の問題との関連に.おい
/ てのみならず,原価の期間配分に.おいても,原価の結合的意味合いを逃がれら
れないと指摘して−いる。減価償却費,社債発行割引料,社債発行費,販売費の一 部がその例としてあげられる。原価の結合性の観察されるものとして最後紅,
「先入先出法,後入先出法及びその他の原価帰属の方法の,二者択一的な長所 に.触れる論議で,対象となる棚卸資産評価額を費用へ割当てる問題は,ある観
(11) 点からすると結合的原価の配分に.おけるもう一つの問題紅他ならない。.」ある観
点というのは,勿論磨人材料などの全体紅ついて総額として把握されて∵いる原 価額を,どのようにして材料の消耗部分の原価を分離するか
ことをいうのであろう。
このように広く原価の結合的性格という限り,それはいたる処紅偏在してい
6 6 7 6 6 6 1 1 1
p p p
▲し ・t t ●l ●l ●l C C C
p p p− 0 0 0
r r 馴⊥ e e e t t t a a a V V V
㈲ふ川畑
第41巻 弟3号
− ∂・メ ー 262
るものであるが,見て:きたように.各々の原因ほ幾つかの結果をもち,そのような 原因の発生は幾つかの事象に.遡及するという複数の絆で結び留吟られている,
という現実の事態は,間接費の配賦という点から見るなら,そのための公正な 配賦の根拠を見出すのを困難にする要因となっている。そのよ.うな事態を認め た上でなお,原価を単に.分割すればよいというのではなくて,−・般に.納得され るような根拠に.従って一間接費を配賦するために,結合的原価の問題がどのよう に処理されうるのか。そのような問題意識をひそめながら,従来考えられてき
た配賦方法に.できるだけ詳細に.当たり,その根底紅何らかの共通な思想が見出
せるならば,それをできるだけ明確に.帰納してみたいと考えるのである。なお 次の章では通常行われる配賦計算の方法と,正確な製品の原価をもとめる上か
らそ・れ紅ついての意義紅ついて少しく触れておくと.ととする。
ⅠⅠ製造間接費配賦の三段階
製造間接費と製品とを関連づける配賦計算の方法について.は,一般に両者の 間紅直接的な関連が見られないというだけ紅,従来色々な計算方法が実施され てきた。たとえば初期のもっとも素朴な方法として−は,「1900年頃までは間接費 及び利益部分に当たる見積り百分率を,素価又はそれの構成要素の一つ紅加算
(12)
するという実務がむしろ−・般的に.行われ」ていた。即ち総原価またほ販売価格 を推定するために,間接費を償うぺき何らかの金額を素価紅加算する様々な方 法が提唱されていた。しかしその後は,そのような客観的根拠の明らかでない 方法把・は満足されず,生産されるある製品から,大なり′J、なり客観的な手掛り
となしうる軋十分な因果関係をさかのばって原価をその製品に.帰属させる,あ るいは逆に言い換えて,ある原価を発生せ−しめたこと紅何らかの客観的な責任 を有すると見られる製品に.原価を帰属させる,というより精密な方法が追究さ れるよう紅なった。
たとえば直接労務費,直接労働時間,素価,機械時間などの内,いずれかを配
賦基準として工場全体の間接費項目またはその一部を配賦するような場合,一
n2)Doyle,Op.Cit.,p.1578
263 製造間接費配戚基準の選択の客観性について(1) −β5一一
つの合理性の進展をみることができる。そこでは工場全体の間接費総額を,使 用される配賦基準の総計で除するという一つの非常に単純な手続で,製品原価 決定のための間接費配賦率が決められるが,何らかの客観的合理性の規準をも
とめるという態度に.はちがいない。そのような方法の一つとして,たとえば直 接労働時間を配賦基準とする場合,「この方法の一・般的な原理は,その方法の多 様性に.もかかわらず,全体としての工場が生産の−・要素であると見倣されて.−,時
(18)
間当り比率で注文された製品に.課せられるという考え方紅基礎をおいている.」
というように,その考え方の是非はともかく,配賦計算碇一つの手掛りが追究 されている。しかしながら,配賦基準選択の問題は後で扱うとして,このよう なエ場全体の間接費額を−・括して一つの配賦基準で配賦することの妥当性につ の疑いは古くから持たれていた。たとえばチ・ヤーチ・は,このような方法の欠陥 を早くから指摘しており,生産中心点(productioncenter)に工場経費(shop Charges)を集計し,各中心点で別個に配賦率を適用することを推している。「
百分率法及び時間当り間接費法(the percentage and the hourlyMburden
く14)
system)の弱点というのは,われわれが最終的に,到達し,真実の作業原価または 第2原価(製造原価紅該営する一引用考証)であると見なそうとしているも
(16) のが平均的な結果であるという点である。」いついかなる場合も,一つの配賦基
準で間接費全体を平均化することに.よって配賦する方法が信頼おけないという のではないが,むしろそれは特殊な場合紅限られていよう。どのような場合に 限られるかに.関して,フランクリンは具体的紅言及しようとしている。「間接 費を配賦する工場全体の方法(0Ver−allplantmethod)は.,次のような事情の 内のいずれか−・方またはその双方が存在するということを仮定している0即ち
u3)Ch11rCh,A.Hamilton, The PropeII)istributionof Expense Burden ,1908,
p.32,本書の内容は,TheEn豆ineeringMagazine,July−Decり1901にVリ−ズとし て掲載されたものである。
u4)ここにいう百分率法とは,perCentage,On−WageSmethodのことで,直接賃金を配庶 基準として:,配威率がエ場経費/直接賃金紅よってもとめられるものである。時間当り
間接費法とほ,直接作業時間を配戚基準とし,いずれの方法でも工場全体の間接費が包 括的に配威される。
n5)Church,Op.Cit.,p.38〜39
第41巻 算3号 264
・−β6−
その事惜とは,(1)基準として使用される項目の消費のどの単位砿対しても同じ 間接費が発生する0たとえば実際労務費1ドル当りに・∵定の間接費ドル額が消 費されるというように。または(2)凡ての製品が,.工場内の凡ての製造工程を捻 ぼ同じ時間だけ使用し,従って:たとえ各工程で一一定の間接費が生じないとして
(16)
も,偏差分は総額として『洗い落され』,適切な製品原価が得られる。」これにつ いては多少検討が必要である。まず(1欣.ついては明らかであるように思われる。
工場内のどのような場所で消費される間接費紅ついても,配賦塵準の消費単位 当りの間接費額が等しいという場合にほ,ある間接費項目紅ついてのエ場全体 の総額を一括して配賦しよ.うと,各原価中心点毎に.細分し,夫々の中心点で間 接費率を求めてから配賦しようと,各製品に.課せられる間接費は同じである。
ところが(2)に.ついてはどうか。上の説明では,配賦基準として直接労働時間を 前提紅してい、るようであるが,もしそうであるならば,凡ての製品がどのエ程で も同一時間の作業を必要とする場合紅ほ,たしかに.間接費を工場全体として扱
う場合と,その間接費の消費される場所に.細分して配賦する場合とでは同じ製 品原価が得られる。しかしより一般的紅は,凡ての製品に.ついて,ある原価中 心点でその製品のために消費される配賦基準消費量と,その中心点の総配賦基 準消費量との比が,どの原価中心においても一定である場合に,同じ製品原価 が得られるのである。それ闇,上の(2ゆ事情に.も合うような場合もありうるが,
必ずしもそれに.ほとらわれないので,この記述の方がより包括的であると思わ れる。実ほその他に.も,両配賦方法の結果が等しくなる場合がありうるが,数 学的にのみしか意味が見出され\ない。そこで,上の二つの事情の夫々を満足す るような実際的な情況についていえば,まず,エ場で行われる作業や機械のタ イプが大体同じようなもので,それはど変化に.富まない生産活動が展開される ような場合であれば,大体において(1)の条件を満たすような情況であると考え られる。また生産される製品の大きさ・色・形・重量などが多少相違する程度 で,製品が互い紅よく似かよったようなものであれば,大体に.おいて欝2の事
(16)Franklin,W..H., Allocation ofOverhead Costs−a ShorトCut〃,N.A。C.
A.Bulletin Vol.32,No..12,1951,p.1428
265 製造間接費配賦基準の選択の客観性に・ついて(1) −β7−
\ 情軋合致するものと思われる。他の複雑な場合以外は,このような二つの事情
が満足される時に.,エ場全体の包括的な配賦の方法と各原価中心点に細分して 配賦する方法とで製品原価がほぼ一致するであろう。ノしかし,こ・のような特殊 な事情に合うような情況はそれはど一・般的ではない。たとえば工具費にして も,「今日でほ近代機械.=.具の間接費は,荒日台(burringbenches)紅対する 事実上無いに等しい間接費の極端な場合から,非常に多様なドリル及び同類の エ具に対する鬼大な間接費にいたるまで,エ具の内容に.よって非常紅様々であ
る。そ・の間,生産計画が単一製品に限られるようなことはめったになく,単一・
製品に限られる場合でも,通常はその製品は個別に.原価が算定されなければな
(17)
らない幾つかの部品から作られる。.」このように.,工具費について,もし先の二 つの事情にみられるような比較的単調な画一的な情況が当てほまるとしても,
それは数少い特殊な場合であろう。一般には,変化に.富んだ生産工程を通じて 種類の異なる多くの製品が生産されるような,画一性に・乏しい生産活動が行わ れるため,より明確な根拠のある間接費配賦のためには.,製品と間接費との関 係をもとめてより深く篠営活動の細部まで浸透していかざるを得ない0このよ
うな一般的事情に.もかかわらず,なお包括的な配賦計算を行うということは,
計算手続の単純化のために.,正確な配賦計算がそれだけ犠牲紅されているとい うこととなる。そこで,同じような性質の作業または機械生産の行われる場 所毎に.間接費を細分し,夫々の場所で別個の配賦手続をとることが考えられ,
その方がより製品に.密着した配賦結果が得られると考えられるからである○
即ち配賦計算の本来からいえば,無数の原価要素紅個別に・あたって,各樺製 品との関連を追跡していけばよいのであるが,そのような精査を現実に行うこ とは到底不■可能であるから,出来うる限り包括的な配賦によっても信簸でき
\ る結果が得られるような,画一的な情況をエ場の部分々々で確立できるよう
紅,エ場を区分することが工夫せられるのである。このように,して,エ場全体 の間接費を直接に製品に配賦する欠陥を幾分でも解消するため,通常部門また は原価中心点と呼ばれるより小さな領域をエ場の中にもうける方法がとられて
(川 Franklin,Op.Cit.,p仙1428
算41巻 第3号 266 ー∂β−
いる。
部門と原価中心点の相違に.ついてほ余り意識されないのであるが,原価計算 上からほはぼ次のように理解されているようである。「部門は,そこで実施さ れる作業の種類が同じような性格をもっているため,または監督が−1人の経営 者,エ場長または部門の長の責任であるために,分離されたエ場の一部であ
る。原価中心点は,同一・または密接に類イ以した機械のグループ,同じまたは類 イ以した性質の作業が行われる作業台またはそのグル十プ,或いは流れ作業列
(assemblyline)である。原価中心点はある場合には部門と同じであるが,部門
(18) が細分されてできる場合もある。.」即ち部門は,主として予算統制や原価管痙
上,/原価の責任を確定する必要から,エ場長やその他の監督者の責任と結びつ いている。それ紅対し原価中心点は,間接費を公正に配賦するため,または標 準原価設定上の必要のため,部門内で性層の類似した作業または機械毎紅分類 することに重点が置かれる。従って部門は必ずしも間接費の配賦ということを 主に.意図するものでほないが,配賦計算の立場から見ても,部門が事実上比較 的同質の作業から成ることが多いという点から,また原価責任を明確紅すると いう要求とのかねあいで,通常部門が正確な配賦計算のためにも利用されてい る0正しい配賦計算上の観点からは.,「各原価中心点の内部では,間接費はエ 場全体の配賦基準と同じ仕方で配賦されるから,正しい結果を生む原価中心点 を利用するためには,.工場全体の配賦の正確性を決めるのに用いられるのと同 じ規準の内のいずれかまたはその双方が原価中心点内部で満足されていなけれ
(19) ばならない。」ここで同じ規準というのは,先程検討した,工場全体の間接費配
賦が正しい配賦結果となるための二つの事情のことであるが,そのためにはま ず第1に.,工場内のあらゆる同種の機械・ユ臭が同じ部門に,凡ての旋盤が旋 盤部門紅,凡てのドリルがドリル部門に.おかれるというようにユ場が整理され
るほど,(1)の事情が満たされることに.なる。また,最終生産物は種類を異に
n8) Accounting Maunalof Machinery and Allied ProductsInstitute ,M.A.P.
Ⅰ.,1944
u9)Franklin,Op=Cit.,p、1429
267 製造間接費配戚基準の選択の客観性にンついて(1) −−8β・−
していても,よく似かよった部品が加工される原価中心点内部でほ,(2)の事情 も満足されやすい。しかし配賦計算上の都合のよいようにのみ部門を整理す ることはできないから,部門を細分して,取得原価・サイズ・動力消費の大体 同じ,また熟練・能率・賃率などの同じ作業員等を考慮して原価中心点をもう けることになる。理論的にのみ考えて,「…・・これら必要条件のいずれかをか なえる区画を得るために,しばしば原価中心点の規模を縮少することが必要で あり,そのような規模の最終的な結果が,各機械・エ具を実際上別個の原価中 心点として扱わなければならぬ場合がよく起る。これは誤りを最少紅はする
(20)
が最大の努力が必要で,大きなエ場では割に合うことははとんどない。」できる だけ同質の作業の行われる原価中心点紅近くなるまでどの程度部門化が行わ れ,どの程度詳細な作業単位別原価計算が行われるかは,勿論それによる効果
と犠牲とに.関する経営者の判断によることになり画一・的ではない。
どのような区分が行われる紅しても,間接費ほまず部門化されることによっ て,直ちに製品へ配賦するめでなぐて,配賦手続が段階的に行われるようにな る0嘩常製造間接費ほ,三つの段階を得て製品に帰属されていく、○まず製造間 接費は,各部門または原価中心点紅帰属されるのであるが,ある間接費ほ特定 部門との関連が一個瞭然で,部門への配賦は問題にならないが,多くの間接費 が幾つかの部門または原価中心点に共通しており,そのような原価項目に.対し て配賦手続がとられなければならない。従って得られた部門費は,その部門に 直接に課せられた間接費と,配賦計算によって割り当てられた間接費とに.よっ て構成される。
幾つかの部門に」は製品の加工作業を行う生産部門とそのような作業を側面か ら援助するための用役を提供する補助部門との二つに分類されるが,特に補助 部門では直接にー製品の加工作業が行われ率いため,そ・の部門費と製品との関連 が遠く,両者の間紅明瞭な関係を見出し難い。従って補助部門ほ,生産部門へ 何らかの補助的な用役を提供するものであることを手掛りとして,補助部門費 を製品べ配賦する前に.,まず迂回的に.生産部門へ配賦する手続がとられてい
(鋤 Franklin,Op。Cit。,p.1429
268 第41巻 第3号
一夕∂−
る。ここで大抵の補助部門は幾つかの他の部門紅用役を提供するから,配賦手 続を経て配分されるが,中には特定部門に.のみ用役を提供し,配賦手職を要し ない場合もある。これが第2段階である。
最後償,これまでの手続であらゆる間接費は生産部門へ集計されるのである が,それほ夫々の部門を通過する材料または半製品に帰属されなければならな い。この段階で最終的に各製品に間接費が帰属されることに.なり,間接費配賦 の作業は完了する。その作業は各部門またほ原価中心点で別個に.行われるか
ら,各中心点で行われる活動に最も適すると思われる配賦基準を選択すること ができる。当然のことながら,この段階では各配賦段階をくだってきた凡ての 間接費が各製品た課せられるために.,配賦手続を必要とする。
通常は,以上の三‥段階の過程を経て製品に.含まれる間接費が決定され,配賦 の様相は夫々の段階で多少異なった特色をみせている。勿論,様々な意味で結 合的性格を担った原価を論理的に解きはぐすこ.と紅、よって,個々の原価計単位 に配分するという・一・般的な意味においては共通であるが,それぞれの段階で広
く支掩されている配賦基準を個別に.より詳細に検討することによって,配賦計 算を可能に.している基本的な考え方を議論するのにノ備えることとす−る○
ⅠⅠⅠ製造間接費の部門帰属のための配賦基準
部門化のための配賦は,他の二つの、段階の配賦過程とちがってご,幾つもの原 価要素が何らかの生産活動から生み出される成果(補助部門の用役や生産部門 の生産物)を巡って配賦手続が検討されるというよりも,多くほ,単一の原価 要素が各部門のために.使用される部分についての原価を,どのように.決定する かという問題を擁示している。以下夫々の項目紅ついて具体的な特色を見るこ
とにする。
消 耗 品 費
工場用及びエ場事務用消耗品費の計上には,まずそれの購入時には棚卸資勘
定紅記入し,必要な時紅庫出請求書によらて請求し,その請求部門紅請求分の
原価を課する方法,あるいは購入時紅その購入が請求された部門へ直ち紅費用
製造間接費配戚基準の選択の客観性把ンついて(1) −9J・−
269
として:課する方法とがある。いずれの場合にしろ,証憑によって各消耗品の支 給される部門か明らかであるから,直接に.部門へ消耗品として課せられ,特別 に配賦基準の問題は生じない。
小 工 具 費
(21)
小工具費の計上の仕方にも幾つかの方法がある。その欝1は,小工具を凡て 固定資産としで小工具勘定に集計し,年間または月間の費用を計算するた吟に 減価償却する方法である。非常紅.多種類の小工兵がある場合に.は,耐用年数・
残存価格の見積りがまらまちで可なりの手数が必要である。減価償却費算定 の手続の代用として,期末工具棚卸資産の再評価によって当期の小工具費が決 められる場合もある。いずれの場合も各工具項目についてエ具費が算定される から,各工具が配置されている部門を確認することによって直接にその部門に 小工具費が課せられる。欝2の方法では,購入時にまず棚卸資産として計上さ れ,入用な時に膚出講求審によって請求されると適当な部門の費用とされる。
従ってこの場合は,請求書の分類,集計によって部門の小工具費は直接に求め られる。第3の方法は,購入時に.全額直ちに費用化され,この場合には購入証 憑に.小工具が引渡される部門が記入されるから,それの分類・集計に.よって各 部門の小工具費が直接紅決められる。
燃 料 費
(22)
燃料費の計上の仕方紅.も上例のような幾つかの方法がある。まず燃料が一旦 棚卸資産として計上される場合紅は,各部門に.支給される消費量把基づいてお
おむね直接に.配分される。消費盈の測定には重さ(例えば石炭,コークス)に よって測定される場合,消費量を測る各種メーターに.よる場合(例えば燃料 油,ガソリン,ガス)などがある。また燃料費が購入と同時に費用化される場 合に」は,通常購入証憑紅示される支給部門に.従って直接に.その部門へ賦課され
よう。
佗i)Carsorl,A.B., Distrib11tior10f Manufacturing Overhead,,,in Accountat′s
Cost HaIldbook,ed。by、Dickey,RobentI.,1960,p.8・16〜17
鋤 CarsoI】,Op.Cit..,p.8・14
270 第41巻 第3弓
−92−
間接労務費
部門の長,エ場長,助手(belpe工・S),修繕エ,清掃人,ユ場事務員,計時係,
管理人(janitor)などに関する間接労務費の部門別配分は,作業時開票乃至賃金 支払帳などから知られる従業員の部門所属に従って,直接に部門総額がもとめ
られる。従って部門別配分紅は特別把配賦計算のための基準ほ必要ない0 序でにここで,超過勤務手当が直接費と考えられるぺきか,間接費として取
扱わるぺきかの問題に少し触れておきたい。間接労働の超過勤務手当について
ほ明らかに間接費として扱われるはかはないが,直接エの直接労働紅ついての それが問題である。作業時間票を分類・集計すると.とによっで直接費として−取 扱うことは充分可能であると思われるが,しかし問題は,その超過勤務時間が要 求せられる主要な理由、を,、喧・の超過時間中紅生産される製品であるというよう 紅,一・般にいえるかどうかである。・一応はそのように考えることは可能である ように思われるが,しかしそのような時間外手当の発生の原因に関する結合的 性格に冒を向けるなら,その製品自体の固有の性格に由来して超過勤務時間が 発生するというよりは,もっと本来的には生産技術上の問題とか,生産計画の 不手際とか,季節的繁忙とかに原因があり,そのような理由で生じた超過時間 にたまたまある製品か生産されるというに他ならない。超過勤務手当を直接費
として扱うことほ,「……明らかに.同じ個別製品を比べるとき,特紅ある製品 が超過時間を生ぜしめ;他の製品が生ぜしめないという場合には,直接労務費 を歪曲することになる。従ってより受け入れやすい手続というのは,エ場労働 のあらゆる超過勤務手当支給分を製造間接費に含め,一定期間中行われる凡て の作業紅均等に割当てることである。……超過時間に作り出される個別製品は 偶然のことに.すぎず,従ってこの製品が不利に.扱われるなら,歪んだ原価が結
く23)
果するであろう。.」結局このような考え紅もとづくと,超過勤番手当ほ,少くと も特定の製品紅」京因があるというよりは,別の様々な原因に.よって生ずる間接 費として配賦の問題が考えられなければならない。従って公正な配賦計算上の
C23)Nelmer,Joh)J.W.and Erumer,Samuel, Cost AccountiI】g Principles and
Practice〃,1967,p.183
271 製造間接費配戚基準の選択の客観性について(1) −93−
みからいえば,直接労務費,直接労働時間などを基準紅して均等に配賦される ことが最も納得されるであろう。しかし事情によってほ,特定の製品あるいは 特定部門の碍動のそれぞれ固有の性格から,超過時間が発生しやすい事情把・あ
るのならば,直接費あるいほ部門個別費として扱われるべきと考えるのは至当 である。こ
な配慮にもとづいて配賦が行われるぺき幾つかの直接作業に支給せられる労務 費があろう。
(24)
炉壁の鹿替え費(reliningcost)
この費用ほ,張替えの行われる都度,炉の配置され七いる部門へ帰属される。
月次価額の計算ほ.,炉壁の耐用年数あるいは雨用期間中の生産数畳,張替え費 の実繚など紅もとづいて一決められる。
建物の維持及び修繕
通常の建物の維持・修繕のための費用は,毎月の実際発生額をもっく■計.上さ れる場合,あるいほ月次維持・修繕費を平準化するために,年間の維持・修繕 費を見積ってそれを各月に均等に割るか,予定される年間売上高・生産量・直 接労務費などにもとづいて,年間維持・修繕費を各月紅割当てるかする場合な
どがある。それに対して−,不規則またほイ可年かに.一度行われるような大修繕 は,可成の長期間雲たは建物の有効な全耐用年数匿わたる修繕費を見積って,
それを期間的に平準化して各原価計算期間に割当てることが多い。この後老の 方法紅は,正常な維持・修繕費と異常な修繕贋が含められることもある○いず れの方法で維持・修繕費がもとめられてこも,その部門配賦は当該建物の中紅各 部門が占めている占有面積に.もとづいて行われることが多い0
(25)
廃棄物搬出費(bauling waste)
廃棄物を工瘍から搬出する,またはそれを処分する・−・種の複合経費たるこの 原価ほ,相当多額であればその廃棄物が発生する部門に.直接紅課せられるであ ろうし,またはあまり重要でない場合か,幾つかの部門の廃棄物を運搬する場合
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272 第41巻 第3号
− 94 −
にほ,建物に.付属する用役のように.看徹して建物占有勘定に.課するか,「・般工 場原価勘定紅他の壷要でない原価項目とともに集計されるであろう○ これらの 勘定については後に検討される。
仕 損 費
峰損品が,通常みられないような異常な発生をみる場合紅は,原価外損失項 目として−処理されるのが適切であるが,正常な仕損費についてほ特定指図書の 原価として言直接に.算入されるか,またほ製造間接費として\把超される場合があ
る。造製間接費として扱われる場合に.は,その仕損品が発生した部門を確認す ることに.よって直接に.課せられるか,あるいは重要でない場合に腰一般工場原 価勘定に.含められる。
購入電力費
各部門または原価中心点に.消費電力を測るメー・ターがそなえ.られていれば,
その記録に.もとづいて/配賦される。原価計算のため紅必要であるからといって 各中心点に.電力メーターを設置すること紅同意しない経営者ほ,通常ほ設備の
(26) 査定能力(rated capacity)紅設備の使用時間を掛けたものを基準として配賦さ れる。また使用時間に.関する記録が準備されていない場合に.は,設備の査定能 力の魂紅.もとづいて配賦される。後の方法匿よるはど電力消費最を忠実に.反映 する可能性は少くなるので,それだけ好ましくないと考えられている。あるい は代表的な電力利用情況を示すと思われる一定の期間をとらえて,各部門の消 費量を測定するための軽便メー一夕ーの利用によって得られる調査値を基準犯し て配賦する場合もある。固定的なメー・ターをそなえるよりも経済的そあるとい
う配慮に.もとづいている。
購入電力は,通常消費量解雇仝に.比例しているわけではなく,たとえばある 一定消費盈以下の場合は固定的な最低料金の支払いが請求されたり,あるいは 最大需要急に.依存して電力費が決められたりする。前者の場合,たとえば「も
し総電力費が最低料金紅等しいかそれ以上の瘍合には問題はない。しかし総額
鍋 機械め正常な利用の仕方が行われる場合の最大出力と解される。
273 製造間接費配庶基準の選択の客観性について(1) −95−
が最低料金以下で卒る場合に・ほ,そのような損失額は,最低料金の各部門の割 当て分を消費しきれなかった部分に比例して幾つかの部門へ配分されるぺきで
(貯) ある。」このような配賦壊ほ,消費しなくても支払われなければならない最低電
力費の有効な利用をしなかったととの責任を問うことに.よって−,原価の有効な 利用を考慮する原価管理的な思考にもとづくものと思われるが,幾つかの具佐 的な計算方法上の疑いはさておいて,それほそれなり紅何らかの意図をねらっ ているのであるが,正確な原価配賦を考える思考とは異なる面から問題紅され てこいるように.思われる。そこにほ正確な原価配賦の意図がどのように反映して いるかを見ることができない。
またゲッツほ,購入電力費は通常次のような4っの別々の料金から構成され
るとして,各工場の綿密な調査によって,夫々の料金を発生せしめる要因に従
(喝)
って各々が配賦されるべきであると主張している。
(i)キロワット時料金
(ii)最大需要料金(demand charge);前12ケ月間中の毎15分間に使用され た最高電力を基礎とする。
(iii)ピーク料金(peakcharge);前12ケ月間中の毎日午後4:80〜6:OOの間 の毎15分間使用された最高電力を基礎とする。
(iv)低電力要素に.対する科料
これらは各企業が調整して,最大需要料金やピーク料金をできるだけ低くし ておくよう紅,各部門の生産計画や作業時間が変更される。
先にわれわれは,幾つかの原価の結合的性格に.ついてみてきたのであるが,
その第2点として,ある特定の原価の発生は単に.その原価要素の放出する用役 が消費されることのみならず,その他の原因がからんでいる場合のあることが 主張された。電力費に.おいても,たとえば最低料金が支払われなければならな い理由には通常幾つかの原因があり,そのような場合把.かなり込各人らた計算 臣7)Schlatler,Cllarles F.and Schlatter,Wi11iamJ., Cost Accountingけ,1957
C28)Goetz,Billy E., Management Planning and Control;a ManagerialApproach tohdustrialAccount ,一1947,今井忍,矢野宏訳,「経営計画と統制」日刊工業新聞社,
昭和38年,162〜165貢
算41巻 第3弓
−96− 274
手続をふんで,最低料金の割当て分を消化しなかった部門に対して−幾らかの原 価を,実際消費鼠×キロワット時当り単価の上紅加算する方法は,はたしてあ る部門の活動に実際に役立てられる電力消費との関連でどれはど鱒緊密さをも つか疑わしい。何か特定部門精勤に固有の構造的な理由のために,絶えず最低電 力使用嵐以下の電力消費砿.甘んじなければならない事情でもあるのなら,それ を反映するような特殊な配賦方法を考えるのは至当であるが,一・般にほそうで ほ.ないから,各部門の電力消費塁けその他の基準にもとづいて配賦する方が配 賦計算上の考え方としては正当であろう。また「原則として大抵の電力費は,
エネルギ−の消費暴のみならず,最大需要に依存しているから,キ1ロワット時
(29〉 消費量のみならず最大需要の金額と時間が測定されていなければならない.」と
いう考え方に.しても,その最大需要を生ぜしめる原因は,ある特定部門の固有 の活動とは直接関係のないことの方が多いよう紅思われるのであるが,もしそ
うであるとするなら,最大需要と時刻まで測定してその電力費を特定部門に帰 属させることに,配賦計算上どれだけの意味があるというのであろうか。先程 のゲッツの見解に対しても同様な疑いがもたれる。通常は配賦計算の複雑さ乃 至経済性の理由で今挙げたような計算方法がとられることは少いのであるが,
理論的に考えてもそのような方法を強く支持する理由は見出せない。
用 水 費
外部から購入された用水についても,消費量を幾顔階か払わけて例えば最初 の10,000ガロンまでは単位a円,次の20,000ガロンまでは単価b円というよう に.料金が決められていても,購入用水費の総額がどの消費量に対しても均等に 配賦されることが多いようである。あるいは水道料が毎月請求されない場合に は,あらかじめ月次水道使用盈を見積り,水道会社の料金表に.よって月当りの 見積り総水道料を算定しなければならない。また部門毎に.水道用メ」−一夕ーがそ なえられていない場合に腰,使用藍を推定する何らかの適切な基準が探究され るであろう。また飲用・衛生上の目的のために.は,部門別メーターがそなえら
G!9)Grant,Eugene L., Basic Accounting and Cost Accounting,,,1956,p.221
275 製造間接費配賦基準の選択の客観性に・ついて(】) 一97−・
(30)
れないのが通常であるから,従業員数,蛇口数などにもとづいて配賦されよう0
(3い
電 話 料
詳細な部門別の通話記録があれば,かなり正確に配賦されるが,市外通話の みが記録されて,部門別に確認できる場合にほ,それだけを直接に部門別に・帰 属し,その他の基本料金や市内通話料は受話器の数や,電話使用頻度について の特別の調査に.よって配賦される。
(3j≧) 電 報 料
この費用が分析軋値いするはどの金額であれば,電文の写しや電報会社の月 次報告などの記録にもとづいて部門別の適切な配賦が可能となる。略式の場合 には発信回数などが用いられる。
特許権使用料
他人の所有する特許権・実用新案権などを賃借する場合,その契約条件によっ てこ通常その賃借料の原価計算上の扱い方が相違している。支払が販売単枚数に もとづいて行われる場合に.は,通常販売費または一般管理費として扱われてい る。また生産単位急にもとづいて使用料が支払われる時には,製造原価とみなさ れるが,そのようないずれの場合も間接費というよりも通常は直接費として扱 われているようである。もし製法・機械などを使用する権利に.対して,月次固定 使用料が支払われれば,それの使用される部門に.原価が直接に.帰属せられる。
(33) 盗難警戒費