一 ま え が き
投資と新技術の効率決定に関する諸問題は︑ソヴェト経済にとっては理論的にも実践的にもきわめて重要な意義
を有している︒ことに一九丈二年の第二二回党大会において豊かな社会の建設をめざす壮大なプログラムが採択さ
れて以来︑ごの問題はますます死活的重要性を加えできている︒フルシチョフによれほ︑今後二〇年のあいだに︑
ソ同盟にほ共産主義の物質的=技術的基礎がつくりだされるであろぅといわれるが︑この当面の重要な経済課題を
遂行するにはなお幾多の障害を克服しなくてほならない︒これに関して党綱領ほ次のように述べている︒すなわち︑
﹁国を完全に電化し︑これを土台として︑国民経済のあらゆる部門で技術︑製造方法︑社会的生産の組織を改善す
ること︑生産工程を綜合機械化し︑ますます完全賢−トメーンヨン化するこ国民経済に化学を広範に応用す
ること︑経済的効率の高い︑新しい生産部門と︑新しい種類のエネルギーや材料をあらゆる手段で開発すること︑
天然資源︑資材︑労働を全面的かつ合理的軋利用すること︑科学と生産を有機的に結合し︑科学・技術を急速に進
︵1︶ 歩させること︑勤労者の高い文化=技術水準を達成すること︑⁝⁝がそれである︒﹂
このような多くの努力を重ねることによって︑初めて空前の強大な生産力が形成され︑もっとも発展した資本主
義諸国を労働生産性の点で大きく追いこし︑共産主義の決定的な勝利を不動たらしめることもできるのであろう︒
そのような窓昧でこの壮大なプログラムほ西欧世界鱒対して大きいインパクトを与えたものとみられる︒共産主義 ︵七二四︶ 三四 第三十五巻 第六号 ソヴヱトにおける投資効率論の展開 ︵その一︶
津 英
実現への具体的な青写真がいつ完成するか︑またその成否は広く人類社会の歴史にとっても画期的な意義をもって
いる︒恐らく平和共存政策もこのような歴史的背景のなかで評価されるのであろう︒
もちろん︑共産主義の物質的=技術的基礎を創りだすにほ︑何よりも莫大な投資資金が必要とされる︒フルシチ
ョフの大会報告によると︑向う二〇年間にソ同盟国民経済に対して行われる基本投資の総額ほ約二兆ルーブルとい
われ︑しかもこの投資額ほソヴチト権力成立以来の全期間のそれの六倍にもあたるとされている︒このような尤大
な投資もさることながら︑この投資を効率的・合理的たらしめるには︑経済指導と計画立案の不断の改善が必要と
される︒その目標はもとより資材︑労働力︑資金および天然資源のもっとも合理的で効果的な利用を計り︑浪費と
損失を除去することによって計画達成の時間を短縮することである?最小の費用で社会にとって最大の成果を達成
すること︑これが経済建設の不変の法則であり︑ソグェト社会にとっても︑なにを︑どのように︑どこに建てるか
紅ついてもっとも正確な計算なしにほ︑絶対にすまされない段階が到来したのである︒かつてフランスの経済学者
︵2︶ C・べートクレームが指摘したように︑経済的効率にもとづく投資選択が問題にされるということは︑とりも直さ
ず︑ソ同盟の経済力が増大して︑投資フォンドが増大したことと技術水準が向上したことのあらわれだとみること
ができる︒いいかえると︑﹁社会主義ほ計算である﹂というレーニンの名言はいまにしてその現実的意義をもち始め
たともいえるのである︒そしてすでに今日のソグヱトでは国民経済に対する指導を改善すると同時に︑管理機構を
極力簡素化し︑その経費を節減する方向が打ちだされているし︑また﹁計画指導は上から下まで新技術の急速な発
展と普及をめざすものでなくてはならず︑国民経済の全分野で生産手段の利用について︑科学的な裏づけをもつ︑
︵$︶ 進んだ基準指標を厳重に守っていかなくてはならない﹂とされるのである︒そして綱領に示された今後の投資政策
の基本方向をみると︑﹁党は︑基本投資の効率を高め︑基本建設工事のもっとも有利で経済的な方向を選び︑基本投
︵七二五︶ 三五 − ソヴェト紅おける投資効率論の展開︵そのこ
第三十五巻 第六骨 ︵七二六︶ 三六
資仙ルーブルあたり最大限の増産を確保し︑これらの投資の回収期間を短縮することを︑重要視している︒﹂ことが
示され︑そして同時に︑﹁基本投資を決定的な諸分野に集中し︑投贋の分散を除去し︑建設される企業の操業開始を
︵4︶ はやめることが︑計画立案と経営の組織に不可欠の条件である︒﹂ことを指摘している︒このような情勢であるだけ
紅︑ソグヱト経済学者は従来紅むまして投資効率論を多面的な角度からとりあげ︑これを現実軋適用可能な形紅彫
琢を加えていくことが予想されるし︑すでにその試みは幾多なされつつある︒
ところで︑ソヴュト経済学界ではここ山○年近くのあいだ投資の効率的利用をめぐって︑一連の討論が継続して
とりあげられていることはもはや周知の事実である︒論争の出発点となったのは︑追加投資の償還期間またはその逆
数であるところの効率係数の公式であった︒山九四六年にアカデ︑︑\−会員C・r・ストル︑\\リンが︑かれの論文﹃投
︵5︶ 資企画払おける時間要素﹄において︑当時支配的であった﹁変容された価値法則﹂の立場から︑この公式が価格に
よって計算されている点に致命的欠陥があることを批判し︑労働価値計算のもつ重要な意義を指摘した︒・このスト
ル︑\\リンの批判を契機にその後ソ同盟はもちろんのこと︑この問題はM︒ドップやC・べートイレームを初めとする
多数の西欧学者の関心を集め︑国際的規模においてこれを論議するに至ったことほ余り匿も有名である︒もちろん︑
社会主義における投資効率の指標は前述の﹁相対的効率﹂に限られるものではない︒投資対象の選択いかんの問題
紅先立って︑当然に投資の部門別配分の問題がとりあげられざるをえない︒ところが︑資本主義のように﹂ 利潤原
理を媒介どしてこの問題が自動的に決定されるというような基準は社会主義には存在しない︒そのため初期の論争
でほ社会主義のもとにおける投資の部門別配分の規制者は︑価値法則や個々の企業の採算性ではなく︑基本的経済
法則︑計画的な発展法則の作用を保証するかぎりにおいて︑投資は効率的であるとみなされ︑それについでははば
見解の一致をみたようであった︒結居社会主義の投資効率なるものは︑な軋よりも社会全体のためにその投資によ
って達成された社会的生産物あるいは国民所得の物的大きさで測定されねばならない︑という国民経済的効率︵絶
対的効率とも呼ばれる︶の標識が提起されたのである︒この絶対的効率とさきの相対的効率とは概念的にも実射的
紅もはっきりと区別さるべきであるにもかかわらず︑従来の論争では必ずしもそうでほなかった︒これがしばしば
議論の混乱を招く凶ともなつた︒
しかし︑投資効率論争の主題はあくまでも前述の償還期間の公式であって︑そこでほ礼金主義疫おける投資効率
とは何であり︑またどんな指標によって測定されるか︑という基本的方法問題をめぐって議論が展開された︒これ
については岡氏や芦田氏の詳細な紹介あり︑筆者もかつてそれに触れたことがあった︒論争の経過やその成果につ
︵6︶ いてはこれらが参考となる︒ただゝ﹂こでほ芦田民も拇摘しているように︑脚九五二年払おけるスターリン論文の出
現をはさむ前後の時期において︑投資効率論争にほ大きい変化がみられる点に注目すべきであろう︒周知のように︑
︑ スターリンは︑基本的経済法則や計画的な発展法則を強調し︑﹁変容された価値法則﹂を全面的紅否定した︒それが ため投資効率論争紅ほその否定的影響があらわれ︑価値計算の過少評価と相対的効率の軽視という結果を生じた︒ しかしかれの死後︑とくに仙九五六年の討論集会以来︑ソヴェート経済学界ではスターりノン論文をめぐる再検討が行 われ︑改めて社会主義のもとでの価値法則の意義が問われるようになった︒論争の中心命題は次の三つに要約され る︒すなわち︑闇社会主義のもとでも全般的な商品生産︑商品流通が存在し︑価値法則が存在するという根拠づけ の問題︑㈲この価値法則の作用は社会主義のもとでの価格形成といかに関連するかの問題︑㈲価値法則は社会主義 的計画化のもとでの投資配分とどのように関連するかの問題がそれである︒このようにして︑近年においては投資 効率論争は価値・価格論などニ.連の諸論争と密接なつながりのもとに新しい方向へと推転してきている︒そして山 九五六にほ国家技術会議において﹁新技術の経済効率を規定する臨時標準法﹂が公表され︑引き続いて五八年に璧
ソヴューにおける投資効率論の展開︵そのこ ︵七二七︶ 三七
第三十五巻第六号 ︵七二八︶ 三八
﹁ソ同盟国民経済における基本投資と新技術の経済効率を規定する問題紅㍉ついての全ソ科学技術会議﹂が開かれ︑
¶ 三二項目か首なる効率規定の∵般的方法に関する﹁勧告﹂が採択され︑六〇年には﹁ソ同盟国民経済における基本 投資と新技術の経済効率決定の標準方法﹂となって結実する紅及んだ︒そして今日ではこの方法の基本的主張に基 づいてきわめて専門的な方法が検討され許検討されている︒殊檻最近では関連投資の範囲のとり方︑原価の把え方
などを一層精緻なものにする努力や︑各部門の特殊性を考慮した部門別の実際に適用可能な効率理論︑新技術の導
入︑取替え理論などが開発されつつある︒とはいっても若干の重要な問題︑たとえば︑経済効率計算ぬおける時間
要素の考慮や︑関連部門における投資の引算や︑綜合的な目的をもつ投資対象への支出の経済効率の決定などにつ
いてはまだ最終的な解決をみていないようである︒したがって︑今後はこれらの諸問題を中心紅多くの論議が展開
されるものと想像されるし︑その分析の山部分ほ﹃経済の諸問題﹄九六二年四号︶ に同紙編集部に受理された論
︵7︶ 文およぴノートの展望という形態で公表されている︒またイギリスのソグ小ェト研究者A・ツァクパーマンは﹃投資
︵8︶ 効率規準についてのソグェトとポーランドの探究﹄という論文において総括的な分析を試みている︒一方︑わが国
︵9︶ でほ望月喜市民が血九六〇年の﹁棲準法﹂を対象紅︑そこ紅示された効率理論の原理的側面を検討され︑従来のソ
ヴュト紅おける論争の基本点を明快陀解明しておられる︒同氏は投資効率論争をソグエード流の絶対的および相対的
】F
ヽヽ 効率という形態でほなくして︑投資選択論の視点を長期および短期に分つ必要性を強調し︑前者ほ生産財を生産す
ヽヽ る際の選択理論であり︑また後者は生産財を配置する際のそれであると明確に規定したあと︑両者の理論構成がど
のよう紅相違するかを︑前者についてほスメホフの論旨によりながら︑また後者については短期分析の体系的な例
示としてノポジロフ・モデルをとりあげて︑それぞれ説明され︑あわせて標準効率の経済学的意味を検討するなど
まこと降注目すべき検討をなされている︒氏の論文揉︑社会主義における投資効率とは何であり︑またどんな指標
+
を用いて測定すべきかの方法的問題を明示された点で大きい貢献をなしている︒筆者もまた七こでは六〇年の﹁標
準法﹂制定以降における投資効率論の展開を主たる対象としながら︑その問題点を整理することにしたい︒
周知のように︑投資効率を正確に規定するにほ価値計算にもとづくべきであるが︑ソヴュトの現状ではいまだこ ︑ の問題ほ最終的に解決されてはいず︑そのために価格や原価指標を用いて︑投資効率を近似的に決定する外はない
ようである︒﹁標準法﹂もこの点を承認したうえで︑次の三つの基本的な効率概念を規定している︒それらの概念と
は︑即絶対的効率︑闇収益性指標︑㈲相対的効率である︒本稿では闇と㈲の概念を中心に︑その原理的および実際
的側面について検討を加えたい︒可能なかぎり︑ソヴュート経済学者の各種の見解に触れるつもりであるが︑本稿に
︵lU︶ おける論述の主たる部分はガ・〃・べドクタに負っている︒初めにこの点をことわって︑いよいよ絶対的効率概念
の検討紅かかることにしよう︒
︵1︶ ソ連邦共産党第二二回大会の文献下︑新日本出版社︑二三七−二三八ぺージ︵以下﹁大会の文献﹂と略称︶
︵2︶ SOまet Studie㌘ く○−■戸 2P−P・N?−N↓・
︵3︶ ﹁大会の文献﹂下︑二五七ぺー汐︒
︵4︶ 前掲苔︑二五七ぺージ︒
︵5︶ C● ﹁りCTpy宰已昌元一㊤a弓Op眉e莞H岩切眉Oe5眉○冥a舛Kaコ弓a宇H巳N B臼○※eH註︵云旨eCT喜A監駕M雲Hay六
CCCP㌧OT党籍琶e冥○きM宍呂コpaBaパー盟き∴写㌢彗
︵6︶ 岡稔︑﹁ソ同盟における投資効率の測定法をめぐる論争について﹂︑﹃経済研究﹄筋七巻膚三号︑二四四−二五〇ぺージ︒
芦田文夫︑﹁社会主義投資効率論の展開﹂︑竜経済評論﹄一九六〇年五月号︑八〇−九九ぺー汐︒
拙稿︑﹁投資効率をめぐる最近の動き﹂︑﹃香川大学経済論渡し第三三巻 第四号︑八三−九三ぺ一夕︒
︵七二九︶ 三九 ソヴェトにおける投資効率論の展開︵そのこ
︵七三〇︶ 四〇 第三十五巻 第六号
拙稿︑﹁ソヴェトにおける投資効率論の∵万向﹂︑﹃大泉行雄博士遍歴記念論文集﹄に所収︑︵刊行予定︶
︵7︶汐コpOC巳﹁○コp2驚喜喜じ牒琶墓責KO⁝苦2⁝B喜→⁝aコ⁝臼がH巳⁝臼○莞H象⁝OBO≡e⁝巨嘗︒コp︒CE
買○苦喜空風﹀−警♪⊥苦・P cTp・∞?1−声
︵8︶ A.Zauberman\↓heSOまetandp01i旨Q完SニOr aCrit2ri昌○ニn諾Stment3いEc昌Omicau Aug⁚−浣N・
︵9︶ 望月喜市︑﹁ソ連における投資効率決定法について﹂︑彗経済研究﹄第仙三巻 第四号︑三七三−三七七ぺー璧
︵10︶ H・芦Be責Ta.〇が買○喜M芳C聖跡思骨宍丁喜HOCT芯穴aヨ弓aき昌⁝白○莞H島厨コpOM巴E完H苦CTざ彗宍只二宗○∨
二 国民経済的投資効率
新技術の採用紅むけられる投資は︑単位生産物への支出をきりさげ︑通常は生産最の増加をもたらす︒また新企
業の建設は︑原則として新技術の援用と結びつき︑単位生産物への支出の削減をもたらす︒このように種々の形態
をとって行われる投資の経済効果は︑結局のところ︑社会的な労働生産性の増大を導く︒労働生産性の向上とは︑
まさに商品に含まれる労働のうち生きた労働部分が減少して過去労働部分が増加し︑しかもその結果︑その労働の
総量が減少するということ︑′つまり過去の労働が増加する以上に生きた労働が減少することである︒そしてマルクス
も指摘したように︑過去労働部分の増加は︑労働過程で消費される原料や素材のそれではなく︑固定オォンドやそ
の他の労働手段の割合の増加を意味している︒だから︑生産が発展するにつれて︑不可避的に社会的労働のより大
きい部分が労働手段の生産のために必要とされる労働手段や素材の生産分野に吸収されることになる︒たとえ現物
計界では野山部門の生産量の増加が必ずしも第二部門における生産量の増加よりまさることがないとしても︑第山
部門の優先的発展の客観的必然性はここ匿ある︒
べドクタは現物形態での発展テンポと価値形態での発展テンポの相違をみたうえで︑生産鼠の増加という指標を
尭際の計算に用いると︑それは第二部門においてより高くなるが︑しかし労働時間の節約と生産能力の増加に向け
られる投資は︑労働量に関する第部門の優先的発展という客観的必然性にもとづいて︑国民経済の各部門に配分
されると説いている︒さら紅かれの見解によると︑労働時間節約のための投資は主として農業と関連し︑また生産
能力増大のための投資は工業と関連するといわれる︒農業における新技術の採用は労働者数の削減となり︑工業部
門︑とりわけ第一部門でほ生産量の増加が不可避的に新技術の採用のみならず︑農業で解放された追加労働力の吸
︵1︶ 引と結びつくという︒︑もっとも社会全体としては︑ある種の物的生産部門での労働力の遊離と他の部門でのそれの
吸引とは単仙過程としてあらわれる︒よく知られるごとく︑新技術の採用によって社会紅もたらされる労働時間の
総節約は︑生産物のいっそうの増加のためか︑あるいは労働日の長さを短縮するか︑あるいほ両者を同時に行うた
めに利用ぜれる︒新技術の採用による節約が生産鼠の増加や労働日の長さの短縮といった小どのように関連するか︑
以下においてはこれを主題に論ずることにする︒
べドクタに従って予め記号を次のよう軋定める︒Pは物的生産分野で一年間に支出される総労働時間鼠をあちわ
し︑また〃は生産物の生産鼠をあらわす︒そして記号の添字はそれぞれの年次を示すものとする︒このような記号
を用いると︑労働時間の年節約︵∂︶ は次のようになる︒
・︑⁚∵琵︑⁚−1・
いま
︐デ・︑︑ヾご・\−日
ソヴェト紅おける投資効率論の展開︵そのこ 憶冊 \ミ︼ I−Sとおけは︑前式は︑
︵七三こ 四劇
第三十五巻⁚儲六号 ︵七一三〇 四二
となる︒しかもこの間に住民数が増加し︑また労働人口が増加するために︑労働時間フォンド︵Pl︶ は〃倍だけ増
加する︒他方でほ労働日の短縮が行われると︑それほd倍だけ減少することになるものとしよう︒これらの関係か
ら︑第二年次における社会的な労働時間フォンドは︑
\﹀い・︑J・︑︑・l︑
となる︒したがって︑労働の節約を示す前式ほ次のよう鱒変形される︒すなわち︑
b=♪︵3丁⊥q・き ∈
である︒この仙式から明らかなことは︑社会的な労働時間フォンドが山走不変である場合︵加d=こ︑いまもし新技
術の採用の結果えられる労働時間の節約が︑ことごとく生産のいっそうの発展のために利用されるとすれば︑労働
時間の節約は︑
b=p︵S−こ
賢るということである︒しか畠位生産物あたりの労働支出︵原価︶はC・‖串で示され︑芝生産物の増加は
≧匝−≧−=≧−︵§−こで示されるから︑前述の旧式はさらに次のように変形される︒
b=︵竜田−≧−︶C−
この式は結局次のことを意味する︒すなわら︑\社会的な労働時間フォンドが脚定であって︑すべての労働灘約分を
生産のいっそうの発展に振り向けるのであれは︑労働時間の節約は︑不変価格であらわされる生産物の生産増加分
に一致することになり︑
2 u‖ト云
なる算式でもってあらわされる︒〟は雀産鼠の年増加分であって︑それは前年の生産物原価であらわされている︒
さてここで労働時間の節約のすべてが︑社会的な労働時間の山定部分の支出をともなった労働手段の採用紅よる
結果だとみなせば︑この労働時間支出の効率係数︵¢︶は次のような比率で示される︒
この式におけるAはその年紅労働手段の生産に従事せる労働時間の絶対的な大きさであり︑またαは劇年間の社会
的な労働時間フォンドに占めるAの割合である︒これから︑
b=$b℃i
が導かれる︒これを山式に代入して整理すると︑
Q
制式がえられる︒この式は社会全体における生産の発展に向けられる労働支出と生産物の増加量および人口増加と
労働日の長さの短縮の結果生ずる社会的な労働時間フォンイとの間の関連をあらわした山般式である︒いま新しい
労働手段の形成にさいして︑労働時間フォンドと同じ大きさだけ生産品が増大するのであれば︑つまりS=手札で
あるならば︑このような労働手段への支出の効率係数︵¢︶は明らか紅ゼロとなり㍉その効率は追加労働力の吸引に
よって生産量が増加することによっで示されること紅なる︒もし生産物の増加が労働時間フォンドの変化なしにえ
られるめであれほ︑この場合の支出の効率係数は︑
◎
ソプチトにおける投資効率論の展開︵そのこ 骨l中‖ さ=
= 3卜⊥ぺ●札
ヨ・−− ︵∽︶
︵七三三︶ 四三
◎= 第三十五巻 第六号
産畳の増加をもたらすことがなければ︑
◎=.一 缶
となる︒それではいったいソ同盟国民経済における投資効率係数はどの程度の大きさであろうか︒周知のように︑
社会的総生産物は当該期間まで紅支出された労働をそのうちに含んでいる︒だから︑当該期間中に生産された社会的
総生産物が︑ぞれと同じ期間に消耗された過去労働紅等しければ︑社会的な労働生産性はゼロ軋なるのほ当然のこ
とである︒したがって︑社会紅おける生産鼠の増加を特徴づけるのは︑総生産鼠の増加でほなくして︑新たに形成
された生産物または国民所得の物的な大きさのみである︒それゆえに︑㈲式払おける研は国民所得の年増加分でな
くてはならない︒
︵2︶ べドクタが用いている中央統計局のデータ一によると︑仙九五〇年から鵬九五六年ヰ仇でのソ同盟国民経済に関す
る国民所得の平均増加率は§=−ニー聖 人口増加は冠=−もーぺ また労働日の短縮はなく札=−である︒また生産フ
ォンドの生産に従事せる社会的労働の割合は白=P−のと推計されている︒ここで単純化して勤労者の増加と人﹇1増
加とを等しいとすれば︑一九五〇−五六年の期間における資本支出の経済効率は○︑六となる︒すなわち︑
加し︑叫九五九−六五年における所得増加率は§=−も讃であり︑また同期間中には労働日の短縮が行われ︑およそ
仙○年間に過労働時間ほ現行の四二−四六時聞から三〇−三五時間になると予想されているから︑労働時間フォン
ドの年々の変化率は約札=〇・雪前後とみられる︒また勤労人口数の増加と生産フォンドの生産紅従事する社会的労
働時間の割合も従来と変らないとして計算すれば︑ §丁⊥べ・軋 −ニーひ
et−の む ー.〇−可×︼ =Pのである︒また山九六五年には国民所得は五八年に対して六五%だけ噌 ︵七三四︶ 四四
となる︒最近の状況では生産嵐の増加時超過遂行されていることから︑現行七ケ年計画中における国民所得の増加
テンポは幾分高くなりうる可能性があり︑またβは大さくなることも考えられる︒ただ一九五九−六五年の期間に
好ける¢を推計する軋足る資料が公表されていないので︑いまのところ正確なことは知るよしもない︒しかしべド
ゥタの見解では¢の値ほさして大きく変化しないもの上されている︒〃・C・ムスチスフスラキーも他の方法によっ
て︑山九五〇1五五年における社会的生産物の増加に関する投資効率を計算し︑その値が○︑六七であることを実
︵3︶ 証している︒
ところで︑べドクタによって示された具体的な投発効率の大きさ紅ついて問題がないであろうか︒当該期間中に
何ら投資が行われない企業においても労働生産性の向上が生ずることは周知のとおりである︒それにまた当該年次
に投資が行われても︑建設対象が操業段階に達しないならば︑いかなる節約もえられない︒これらの問題について
︵4︶ ソグエードの経済学老はいろいろの形で説明を行っている︒たとえばr・C・ハチャトグロフ紅よると︑投資の絶対
的効率は﹁労働者の経験と能力の向上に︑よってもたらされた部分を除いた﹂国民所得の増加分を﹁それにいろいろ
影響を及ぼすところの︑過去の投資の合計額で割った比率﹂であると規定されている︒したがって︑かれの見解で
は投資効率を評価する軋は︑Ⅲ国民所得の増加を投資軋よってもたらされる増加分と労働者の経験と能力の向上に
よってもたらされる増加分と紅分つことが必要であり︑㈲投資が国民所得の増加に影響を及ぼし始める時期を決定
すること︑㈲投督謳年だけではなく数年にわたって国民所得の増加をもたらす限り︑個々の投資対象が将来匿お
ける国民所得を増加させることを考慮して︑各対象毎ぬ投資の割合を計算すべきである︒このような見解ほ︑すで
︵七三五︶ 四五 ソヴュトにおける投資効率論の展開︵そのこ $‖ 3了⊥べ・札 − ○謡1−もー可×P笥
O﹂の ‖Pひの
第三十五巻 第六骨 ︵七三六︶ 四六
に一九五八年における﹁全ソ科学・技術会議の勧告﹂紅おいても示されている︒これに対立する見解をもつ人に¢
︵5︶ ⁚¢・レべデフがある︒かれの見解では︑国民所得の全増加分を投資と関連させて考えようとしない人びとほ︑現
存の生産能力のすべてが過去の投資によって形成されたことを忘れ︑⁚永年新たに企業活動に導入される能力は︑
すでに企業活動紅導入されている能力が本年払おける生産高を増大しうると同じだけのものを次の年紅解放するで
あろうとするものである﹂と主張する︒そして生産組織の合理化と改善に関して︑レべデフほここでの効果ほ﹁現
存の対象と投資によって形成される新投資紅ついてのみえられる﹂とみている︒他方︑現存の固定フォンドに用い
られる革新は新しい固定フォンドの形成にさいして考慮され︑そのため誓﹂そ新しい固定フォンドも同様により効
率的である︑とかれは考えている︒
ともあれ︑両者に共通な点は︑投資が支出されたとき︑つまり新しい固定フォンドの利用が始まらないかぎり︑
それからえられる節約効果ほ手にすることができない︑という一点である︒そしてかれらの見解の相異は︑ハチャ
トクロフが新し.い固定フォンドの導入の結果として形成される国民所得の増加分を計算し︑その導入以後において
固定フォンドが完全な生産性を発揮する時間の決定を要求する点にある︒これに対して︑レべデフはこの力の及ば
ない作業を余計なものとみなし︑国民所得の年増加分の合計額を生産固定フォンドへの年投資の合計額で割った比
率として効率係数を決定しようとする︒
ペドクタもこのような問題を解明するために︑年々の固定フォンドの蜃入を血走不変とする単純な仮定を設け
て︑生産国定フォンドの形成と生産量の増加の過程をグラフであらわしている︒
第1図の面積1︑2︑8︑ ::鯛︑如銅︑卸ほいずれも年々の投資を示しており︑固定フォンドの平均使用期間
︵r︶を30年とする︒その場合にほ全面積AβCDは現実の固定フォンドの大きさ軋外ならない︒さらに固定フォ
えは︑固定フォンドほその使用期間中紅投資忌紅〇・六を乗じただけ生産の増加をもたらすことになる︒しかし生
産物の絶対的な増加窺は︑もともと固定フォンドが導入されたあとどのよう紅能力が発揮されるか紅かかっている
といわなければならない︒いま固定フヵンドが導入されたその第山年目紅投資が〇・六だけの大きさの生産鼠を増
加すると考えるのであれほ︑固定フォンドの使用全期間r紅おける投資一単位あたりの生産物の増加ほ○︑六丁の
大きさで示され︑この場合紅おける投資支出の効率係数は〇・六に等しくなる︒しかるに固定フォンドが稼動する
ことによってえられる生産量の増加可能性が初めの鵬年だけでは消滅せず︑その使用のはとんど全期間紅も及ぶも
● のであり ば︑総節約は生産巌の増加を検分した大きさで示され︑それほ〇二こでに等しくなる︒その場合には明らか紅効率 係数は〇・三に等しくなる︒いま新しい固定フォンドの導入にもとづく生産鼠の増加可能性がその使用額二年目に
ソグヱトにおける投資効率論の展開︵そのこ ︵七三七︶ 四七
て=30年
第1 図
ンドの利用改善紅よってえられる物的な国民所得の年々の増加は︑固定フ凋ソドの年令のいかん
では第1図におけるような生産曲線瓦−ダ軋沿って変化すると仮定する︒いまここで曲線β−F
が年々変化やずとすれば︑三山年目にはその初めと終りが山年だけ右紅移動し︑三二年目にはさ
らにもう仙年だけ右に移動することになろう︒要するに︑このことは次のことを意味している︒
すなわち︑ある年に支出される投資によって生産固定フォンドが導入されると︑それはその耐用
期間中に国民所得の物的な大きさを増加させることになるが︑その大きさはある年における総固
定フォンド紅よってえられる国民所得の繚増加額に等しい︒それゆえに︑投資効率係数は年々の
節約の年々の投資紅対する比率であらわされ︑いま総労働時間が変らないとすれば︑年々の節約
ほ年々の国民所得の増加額またほ生産鼠の増加分に等しくなる︒前述のべドクタの計算結果に従
第三十五巻 第六号 ︵七三八︶ 四八
消滅せず︑同時にこの増加は固定フォンドの使用全期間中均等ではなくー笛二年目にはそれよりも早くーとみなせ
ば︑別段何らの仮定も加えることなく︑また何らの誤りもなく︑ソ同盟における投資効率係数ほ〇・三から〇・六
までの範囲内のどこかにあることが推測される︒べドクタはソ同盟国民経済における投資効率係数をこのようにみ
ている︒もちろん︑仙般的には投資効率係数を決定するための算式は次のごとべ規定される︒
管車︑∵叫
この式におけるや=ヽ︵叫︶は固定フォンドの使用の長さに応じて生産量の増加が変ることを示している︒だから︑投
資効率を正確に規定するには︑歯数yの形を当然に研究しなくてはならない︒いいかえると︑固定フォンドが稼動
するまでの資本建設の平均的な長さを規定し︑企画される固定フォンドの能力稼動の状況を明らかにし︑固定フォ
ンドの使用の長さを決定するなど︑いわゆる実際に即した樺誹の研究を必要とするのである︒これらの具体的な研
︵8︶ 究はスメホフがかれの著書﹃投資の計画化﹄ でもっとも詳細紀行っている︒Lこれについては筆者は別の機会紅触れ ○
る予定でいる︒ここではさしあたり︑投資対象の建設期間が投資効率にどのような影響を及ぼすか︑この問題をハ
︵−︶ ソガリヤの経済学者〃・アジユタイ紅よりながら靂究することにしたい︒
周知のごとく︑資本建設の期間は拡大再生産過程ではなはだ重要な役割を果す︒建設期間の短縮は国民経済の発展
に粘極的に影智を及ぼし︑またその延長は逆に否定的な結果を導く︒だから︑これらの相互関係を明らか紅し︑極
々の経済計算における時間要素の計算方法を立てることはまことに重要な意義を有している︒それだけに最近の投
資効率論ではかなり具体的な形でこの間題がとり虜げられている︒ところで︑ある対象を建設するに必要な期間は
予めこれを計画し︑さら泣これを建設過程で調整することができる︒アジユタイは前者を建設の計画予定期間︑後
者を現実の期間と呼んでいる︒この期間中に建設対象紅支出される諸資材がたえず増大し︑その対象が稼動段階粧
達するまでは︑投下された諸資材ほスト㌧クを形成する︒ある時点におけるこのよ
ストック最︵ypO琵eMUa駕臼aKaコヨa旨彗rOCTpOヨ2害CIBa︶と呼ばれる︒
しかし経済分析の見地からすると︑個々の時点における建設ストック鼠を知るだけでは必ずしも十分とはいえな
い︒どれだけの資材が︑どれだけの期間だけ︑資本建設のストックとして存在しているかを知る必要がある︒時間 ′ 的にストック最が変化することを考慮すると︑実際にほ資本建設の完成に要する時間を幾つかの短かい期間に分ち︑
それに各期間のストック鼠を乗じて計算するのがよい︒そしてアジ許タイはこのような積の合計額を資本建設の凍
結されたストック堅Be日昌H︒冨M︒pa害BaH苫岩牒喜ヨa臼b︒r︒︒Tp︒ヨe眉︒TBa︶と呼んでいる︒資本支出の
効率計算においては︑ある山定期間だけ凍結される資材から発生する機会費用をそれに含ましめるべきであるとす
る考えが︑ようやく社会主義諸国の経済学者にも承認されつつあるようにみられる︒その計算を行う紅は︑まず初
めに凍結される建設ストック鼠の現実的な大きさを決定することから分析を始めなくてはならない︒もちろん︑前
述のように︑建設過程ではストック最の大きさはたえず変化する︒このような変化をグラフであらわせば︑第2図
がえられる︒グラフ匹示された才は年数であらわされる時間︑わほ建設対象の開始時期︑わはその終了時期︑Tは
建設の長さをそれぞれ示す︒したがって︑建設期間は↓=計−叫−である︒次にみによって種々の時期における可変
的な建設ストック巌の大きさをあらわすことにし︑ンβほ建設対象の総価値︑Aは磯治さ.れるストックの大きさを
示すものとする︒そうすると︑月は工事ストック鼠と時間の語の合計としてあらわすことができる︒ここでスト
ック鼠∂が時間の画数︑つまり申=ヽ︵こであるとすれば︑凍結されるストック量︵A︶ほ次のようになる︒すな
わち︑
ソヴュトにおける投資効率論の展開︵そのこ ︵七三九︶ 四九
†
b
!
可能である︒従来にあ?てはこのような資材の凍結は必ずしも明確には経済計算されていなかったようにみられ
る︒ただ実際の資本建設においてはしほしぼ計画上の誤りから資材の支出超過を招いたり︑あるいは建設期間の延
/
長によって生産能力の稼動が遅れたりすることがあったといわれる︒このような場合には︑明らかに建設のために
凍結される資材が多ければ多いはど︑国民経済に与える直接的な損失も大きくなる︒それだけに︑資材や労働力や
‖ す ̄ ‖ ‖ u H 1 B 円 もー F tz レ −一一し一・J 一山一丁−→
第三十五巻 第六骨
成される建設対象のために凍結される資源屋は︑前述の単純な仮定をおくことに
ょってゝ=・翼として捉えることができる︒
資本建設のため紅仙時的ではあるにせよ︑資材が物的生産分野から離れること
は不可避的であって︑これなしには′およそ資本建設︑したがって拡大再生産は不 ︵七四〇︶ 五〇
二∵ここ︑︑
いいかえると︑Aの大きさは第2図の曲線の下の面積に等しくなる︒これはまこ
とに重要な意味をもつ︒なぜなら︑実際紅は繭数ひ=ヽ︵こは原則として未知であ
るからだ︒しかしここでストック患が時間に比例して増大するとすれは︑いいか
えると︑画数㌃ヽ︵こが直線で示されるとサれば︑上述の議論ほいたって単純化
される︒この関係は第3図に示されている︒r期間にはストック量は建設対象の総
価値βに達し︑︑それが稼動し始めるとその後はゼロまで減少する︒この場合には
別段これといった特別の数学計算を必要とせず︑凍結されるストック量︑すなわ
ち︑第8図の三角形の大きさは 2軋等しくなる︒このようにしてr期間に形
資金や天然資源に対する合理的かつ効果的利用が厳しく要求されてきたのである︒しかしこのような直接的損失は
全然なく︑建設期間は公認された標準期間と合致しているものとしよう︒確かにこの場合には︑国民経済にとって
の損失は何も生じないにも拘らず︑それでもなお建設資材が劇定期問だけ拡大再生産過程において積極的に活動し
ないのであるから︑結果的にはそれだけ資材は生産過程から引きあげられたも同然である︒この資材の引きあげは︑
前述のように︑凍結ストック最の大きさであらわされる︒当然ここで次のような問題が起ってくる︒国民所得を生
みだすために︑資本建設期間中その資材を他の分野で利用したならば︑いったいどれだけの経済効果がえられるで
あろうか︒
ソグエードの標準法には次のような規定がある︒すなわち︑﹁基本投資は社会的生産の全面的な増大のために行わ
れ︑七たがってその経済効率はそれにもとづいてえられる年々の純生産物の物理的な増加にどって測られる︒国民
経済における総投資額め経済効率指標は脚般的な︵絶対的な︶効率係数であり︑それは︵不変価格での︶純生産物
︵8︶ の増加とそれをもたらした投資との比率である︒﹂
ところで︑段資の経済効率係数については標準指標が設けられていることは周知のごとくである︒しかしこの標
準効率係数を国民経済の全部門について単一とすべきか︑あるいは部門毎にそれらを個別的に規定すべきかどうか
︵9︶ ︵10︶ についてほかなり議論があったし︑現在でもなお存在している︒単二説のかつての代表者はノヴォ汐ロフとプロト
ジャコノフであった︒かれらの主張によれは↓ ソヴヱトでは投資を必要とする建設対象の方が投下資金よりもは渇
か紅大きいから︑追加投資が最短期間に償還されるような対象を選んで優先的に実施するのが望ましいというので
ある︒しかしかれらの説は基本的経済法則を無視するものとして批判され1 ソダニトでは部門別にそれぞれ異った
効率係数を設定すべきとの説が多数を占め︑六〇年の﹁標準法﹂もこの多数説を承認した形で複数説を支持してい
ソヴチトにおける投資効率論の展開︵そのこ ︵七四こ 五岬
︵七四二︶ 五二 第三十五巻 第六骨
︵11︶ る︒他方︑社会主義諸国の現状をみると︑これらについては必ずしもソヴェートと同じ立場をとってはいないで︑む
しろポーランドとハンガリヤでは単山の標準効率係数が採用されており︑チェコ・スロバキアとルーマニヤはソヴ
ュトの複数説に従っている︒
アジュタイが例示しているハンガリヤの方法は︑︑国民経済の全部門紅ついて単仙の標準効率を制定し︑その値を
〇・二としているようである︒結局のところ︑仰フォリント︵ハンガリヤの通貨呼称︶の投資せ行えは︑生産性の
向上によって国民経済全体としては平均〇・二フォリントだけ国民所得を仙年に増加させることが可能であること
をこれは意味しているのである︒このような標準効率係数を用いれば︑資材の凍結によってもたらされる国民所得
増加における仮定の損失−機会費用−を算定することができる︒要するに︑ここにいう機会費用は凍結される建設
工事日蓮にさきの標準効率係数を乗じた積として計算される︒いまその値を〃で示せは︑
許㌃A=戸島︑︵盲︵ご⁝︶
〒⁝ゝ‖P柑﹂・︵U叫七ヾ二︶ 差は
であらわすことができる︒投資効率の計算においてこの大きさ〃を用いると︑当該対象の経済転及ばす建設期間の
長さの影響を計算することができる︒そのため軋は︑投資の大きさ軋機会費用〃を加え︑この修正された投資額に
よって以後計算を行えばよい︒いまこの合計額を鮎で示すと︑b内=空貪となる︒念のため竺例をあげて計算
してみよう︒いま新しい機械化された工場を建設するのに二つのバリアソトがあるとしよう︒第一バリアソトにつ
いては︑投資額は二五〇〇〇︵千ルーブル︶ で年生産物の原価は三五〇〇〇︵千ルーブル︶ であるとし︑また第二
バリアソト匠ついついてはいっそう機械化された技術が採用されるため︑投資額は三〇〇〇〇 ︵千ルーブル︶ にも
仮定する︒第二バリアソトに関する追加投資の償還期間は周知の公式によって︑
︶ と計算され︑また相対的な効率係数はその逆数であるから︑直ちにその結果は〇・四であることがわかる︒ところ で機会費用を計算する紅は︑それぞれのバリアソトについて建設期間の長さを知る必要がある︒そこで笛二.ハリア
︑ことなる︒こ︑のようにして計算きれた数値蒜準効率係数を乗ずれば︑いわゆる機会蛮用が慧される︒ソグ﹂ トについてはべドクタの計算した数値があるが︑これは必ずしも確定値ではないので︑ここでは便官上ハンガリヤ の標準係数〇二二を用いて計算することにする︒そうすると︑機会費用〃は第﹂バリアソトでは劃二五〇ルーブル
︵貪=P冒の態○=−態写てーさことなり︑修正された投資額鮎ほ二六二五〇ルーブル人評=軍書土態O川
岸誤写てーさこ︶となり︑同様に第三バリアソトについては機会費用は四五〇〇ルーブル︵決−−P買声望○=
舎讐O﹂てー≠︑ミ機会費用を含む絶投資額ほ三四五〇〇ルーブル︵評=軍書○×瓜㌫茎=声望写てーさこ︶とな のほるが︑他方では技術進歩によって年生産物原価は儒二バリアソトよりも低く三三〇〇〇︵千ルーブル︶になると 00 て凍結される資材手持量を求めると︑笛二バリアソトについてはその値は年間六二五〇ルーブ ソトについては半年︑また第二バリアソト紅ついては一年半の建設期間を要するとして︑さきの
る︒これらを考慮に入れると︑効率係数はもはや前述のように〇・四セはなく︑ に低下やぎるをえない︒二つの効率係数のかなりの開差は︑いうまでもなく︑二つのバリアソトの異った建設期間 の差から生じたものである︒このように︑投資効率計算において建設期間の長さがいかに重要な意味をもつか︑そ
の結果はきわめて明瞭である︒ 前述のように︑支出の効率係数は年々の節約額を支出の大きさで割って計算される︒そしてこの年々の節約は︑
ソヴェトにおける投資効率論の展開︵そのこ 加研000−ひ加000 柏000 00001柏餅000 ひ○冨 ︵七四三︶ 五三 〇・︑二四︵ む餌000−00加000
. 空車呂−匝の柏餅○ \ 詑︸筈○︵︑てーヽ 1−P叉梯︶
l−〇迂ノ く.1二
第三十五巻 第六骨 ︵七四四︶ 五四
実際の経済計算では新技術と旧技術のもとにおける年生産物量を生産するのに必要な支出の差として決定され︑ま
た社会全体紅おける年間の節約額は社会的生産の各部門における年節約額の合計額としてあらわされる︒しかし新
技術が旧技術と併存して作用するような場合にほ︑新しい労働手段の利用は︑労働資源のいかんによ?ては現存労
働手段の遊離を必然的に伴うことにもなる︒そして古い労働手段に使用されていた労働力がこれから離れる場合に
のみ︑新しい労働手段は労働力と初めて瓶合しうる︒周知のJぅに︑社会主義のもとでほ失業ほ存在しない︒
もちろん︑社会主義のもとでも労働手段が生産過程から遊離するのは︑単なる物理的磨滅だけではなくして︑経
︵12︶ 済的磨滅にもよるのであって︑これについては最近本格的紅研究がなされつつある︒この問題は別の機会に改めて
触れるとして︑先きに進むことにしよう︒べドクタも述べているように︑新しい労働手段の生産量ほ物理的磨滅に
もとづく遊離によって決定されるのでなく︑むしろ労働手段の物理的遊離はその生産量のいかんによって決定され
る︒特に長期間その機能を遂行しうる労働手段についてはこのことがあてはまる︒だから︑生産国定フォンドの遊
離ほ全く資本建設のテンポによって決定されるといってよい︒したがって︑資本建設のテンポが高ければ高いはど︑
現存の固定フォンドの完全な更新が迅速に可能となる︒このことから︑われわれは年間の投資屋が固定フォシドの
物理的な使用期間の長さを完全に決定すると結論することができる︒
いき﹂こで投資鼻ゐ年々の増加を板で示し︑固定フォンドの平均的な使用期間の長さを妄あらわせほ︑〜年に
おける固定フォンドの現存畳Qは次の算式で決定することができる︒
なおこの式の晶はJ年の投資を示している︒この式を用いると︑生産国定フォンドの平均使用期間−r−を決定す ①=ぉい 鳶−蕊l− ︑︑︑中−
第1表 ととを意味している︒ と︑そして第二軋ほ投資紅よって導入される固定フォンドほ平均して二五年聞役立つ固定フォンドと取替えられる 第仙に現在なされている資本建設はすべての生産固定フォンドを完全に更新する軋はおよそ二五年を必要とするこ LⅦ︶警大きさはT三であり︑㌻几五九年監けるγの大きさほ約二五年七いわれている︒とのことほ︑まず 替えられる時間がここに示されるrである︒ソグェー﹁中央統計局の資料によってべドクタが計算したところによる ることができる︒つまり現存の固定フォンドが所与の資本建設の増碁アンポとその大きさのもとで新しいもの.に取
以上のような論点を新だに導入するとなれほ︑新技術の経済効率もそれ紅よって取替られる労働手段について決
ソヴュトにおける投資効率論の展開︵そのこ 定されねばならず︑したがって︑・これまで触 れてきた絶対的な投資効率の問題も同様に投 資によって置換される労働手段紅ついて論究 すべきこととなる︒罪1表紅は物理的な使用 期間が二五年︑つまりこの例では二〇〇劇年 から二〇二五年までの生産国定フォンドにつ いて︑それが資本建設紅よって毎年更新され ていく状況を示しており︑また同車の右捕に はその期間中における生産物の生産嵐がどの ように変化するかを明らかにしている︒この 表から明らかなごとく︑二〇〇一年紅け二九
︵七四五︶ 五五
七六年から二・〇〇〇年までの期間に形成されたところの生産国定フォンド︵き+訴+奈+⁝⁝+評︶ふ存在して
いる︒そして二〇〇=年軋生産される生産物の大きさは≧軍で示される︒ところで︑次の二〇〇二年には生産物
普蓋した固定フォンド祭生産過程から遊離し︑それは新た賢の年の投資によって導入される固定フォン ド 6 驚よって置換され︑これは豊生産物をつくりだす︒いまや闇石貨ノォソドの更新賢って総年生産物量ほき三
から≧蔓定座加する︒さらに次の年にほ固定フヵンド巌が更新されるという手順賢って︑新たに形成される社
会的生産物の生産量は年々増加していくこととなる︒.
もし現存固定フォンドの効率が全く高まることがなく︑年々の生産鼠の増加ほ新しい固定フォンドの導入賢っ てのみなされるとすれば︑生産鼠の増加はその年の投資紅よってのみ可能となり︑その効率係数は次式で示され る︒
したがって︑前の例示と同じ数値︑つまり§==﹀苛⁝のを用いると︑絶対的な効率係数は〇・六︵◎=≡︶と なる︒
しかしこのような胎果は︑さきにも説明したよう紅︑固定フォンドが導入された初年度紅最大限の生産物がつく りだされ︑それ以後紅は全然効率が高くならないという仮定から出てきたものである︒しかしこのような状況は現 実にはあてはまらない︒なぜなら︑第這固定フォンドが企画された能力をうるまでにほ若干の時間を必要とし︑ 第二には企画された能力がえられた後でも技術のいっそうの向上︑生産組織の改革労働者の経験の向上等によっ て︑固定フォンドの利用効率のたえざる向上がえられ︑また第三には新たに導入された固定フォンド紅よって常に 第三十五巻 第六号 テ 旨㌻喜・・吉富− 宍営 き冨−︵Sl−︶■§⊥
Q 泳が ︵七四六︶ 五六
現存の固定フォンドの効率が引きあげられるからである︒
いまそれぞれの技術的措置について国民経済的な総節約を計算することが可能だとすれば︑これから支出の効率
係数を算定するこができる︒そしてこの数値を次紅は前述の国民経済的な効率係数︵〇・六︶と対比して︑現存固
定フォンドの効率の上昇を判断すべきである︒ところが︑実際にはこの作菓はきわめて困難である︒投資によって
どれだけ現存固定フォンドの効率が向上したかを個別的紅見究めるのは容易でない︒なぜなら︑投資によって新し
いより効率的な固定フォンドが形成されるだけでほなく︑全体として現存固定フォンドの効率の向上をももたらす
からである︒これを実際上分離することはまず不可能紅近い︒ただここでは抽象的に現存固定フォンドは年々生産
嵐をβ倍だけ増大させ︑また投資紅よってその年に導入される新しい固定フォンドは前年よりも〝倍だけ多く生産
することが可能だと想定する︒そうすると︑年々の生産亀の増加∽は︑結局のと上ろ︑新旧固定フォンドの効率の
相乗鏡に等しくなる︒記号で書けば︑それはS=︑託となる︒したがって︑投資効率係数はいまや次のごとく決定
される︒
旦 ◎=トl− Q
との式について︑い寺仇誌=ノ︑け§=−.−−Q=P−のとおけほ︑投資の効率係数¢は〇・三二となる︒これは前述のソ
同盟における平均投資効率係数の下限値︵〇二ニ︶に近い値であることが示される︒だから︑この数値をいっそう
正確に規定する紅は︑乃と〜との正確な関係を知ることが必要である︒ともあれ︑ここで示されたような胎果をそ
のまま受けとるとすれは︑このことは︑要するにヽ現存固定フォンドが二五年の耐用期間中に約三・三倍だけ生産
性を増すことを意味している︒また新技術の効率が現存技術のそれよりも高い場合︵記∨こには﹁◎VP巴とな
︵七四七︶ 五七 ソヴュトにおける投資効率論の展開︵そのこ
第三十五巻 璧ハ号 ︵七四八︶ 五八 る︒これは通常みられる状況である︒これに反して︑資本建設が現存固定フォンドの効率を増大しないとすれは︑
その効率の向上は技術の改善︑生産離婚の改善︑労働者の生産能力水準の向上によっでもたらされる︒このような
場合には︑冠∧︑となり︑またふ∧P巴となる︒べドクタはこのような二つの傾向を考慮紅入れ︑結局ソグヱトに
︑‖︶ ぉける投資の国民経済的効率は〇二一茹ら〇・六の範囲内にあることを再び確証している︒かれはこれを論拠とし
て他の勧告案の数値に批判を加えている︒たとえば︑叫九五八年払おける全ソ科学・技脱会議の勧告数字では︑投
資の平均的な効率係数は〇・㌻から〇二五の問とされ忌り︑これは余り紅も低すぎるし︑また六〇年の標準法
でもその値は〇・血五から〇・三︑いいかえると︑その償還期間は三−七年よりも大きくなってはならないとして
いる︒標準法では前者よりも効率係数の上限値および下限値をも幾分は引きあげられているが︑べドクタはなお○
・四以下の数値を勧告すべきでないと主張している︒ともあれ︑ここ紅示された国民経済全体の投資効率は︑新し
い技術をつくりだしそしてそれを採用する部門や企業払おける投資の利用効率いかんによ︶て大きく左右される︒
だから︑全体としての投資効率と個々の投贋の効率との関連性を明らか紅することが投資効率論では重要な意義を
もつということができる︒それではいったい両者ほどのような関連をもつであうか旬第三節ではこオ問題を中心に 検討を進めることにしよう︒
︵1︶ べドゥタ︑前掲苔︑一仙七七ぺージ︒
︵2︶ べドクタ︑前掲苔︑脚八〇ぺー汐︒
︵3︶声C吉→宍白aBC営斡も竃毒OC⁝⁝apO白き⁝曇→B2HH罠′ヨ六a∽aT2邑各号六丁喜OCT芯喜≡喜買
B臼○莞H暴風BOコpOCECO宅a臼宍言責C琶3 冒C層○琵琶駕→Bay C→p・N−㌢
︵ユT・C・舛電烹岩ypOB・労○⁝M完C監岳且首℡登岳宍CT冥aコ≡宗旨≡臼○莞H島B眉○彗Oe喜喜丁冨CCCpこ冨.
CTp・−P
︵5︶◎・◎這意盲﹀HOBa拍jO賀a→2⁝苧買○⁝芳2C≡OpaC喜aヨp⁝p︒e≡p︒BaHま○許e喜B喜ヨa・
臼ロコbちd C壱○ヨ2崇C諾a︸−誤00︸C→p・∽〇・∽N・
︵6︶ ∽.声CMe富加﹀コ臼a呂pO警告e只aヨヨaきH巴H呂○冥eH塾u−富−・
︵7︶ 声A晋aざB喜芸eCp︒只dBC膏ヨe邑丁冨琵思骨⁝牒T⁝aコヨa喜琵琶莞H爵嘗臼a≡︒e舛︒︒嘉﹁
浮丁加OA﹀−芸−.NO・−Ou cづp・00ーー00P
︵8︶ T告OBa泊MeTO白票aOnpe駕臼eH喜買OHO芝完C営静思骨只丁喜HOC→嵩Kaコ弓a岩垂≡=岩已莞墓誌繁=さ宍示↓e買戻
BHapO彗OM誓喜C→BeCCCp−−票OU C→p・00・
︵9︶ 岡稔︑前掲論文参照︒
︵10︶ 最近の単仙説の主張者にほ︑たとえば︑ヲアフソドフがいる︒かれほ社会全体につい三定の資本支出のもとで費用を
最小化するという目標をおき︑これをラグランデュの未定乗数法によ■つて解くという方法を用いている︒結局︑この方法叱
よると︑国民経済に関する支出を最小限にするにほ︑全部門について槙準効率係数が等しくならなければならなくなる︒な
おノダォジロフについての詳しい批判は︑望月氏の前掲論文が参考となる︒
︵11︶ 社会主義諸国の標準効率係数の設定状況についてほ︑次の論文を参照︒
羊≡リー三⁝︑・こざ二=ニJ二⁚ニ≡=ハ∑∵こ⁝==ニ・:ニJニ÷三.≡≡こ⊇二∵==ノ≡≡.二︑=∴⁚∵.≡≡二三一≒∴三二ニ≡∴章
Ⅴ窒コpOC已買OHOM真芯A−冨−︸者・−〇・CTp・可可−−声
︵12︶ コ.T㌫竃芦 OcHOB昌e◎○計ECO膏a白宍→芳eC告辞コpOMy貞記H喜CT霹−冨〇・
なお最近の研究論文はその巻末にのせられている︒
︵13︶ べドゥタ︑前掲睾︑鵬八八ぺー汐︒
ソヴヱトにおける投資効率論の展開︵そのこ ︵七四九︶ 五九