地区組織
著者 横山 里和
雑誌名 金沢大学文化人類学研究室調査実習報告書
巻 29
ページ 9‑21
発行年 2014‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/2297/40129
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図2、3は日本全体と蛸島町14町内の男女別人口を5歳区切りで示した人口ピラミッドである。
日本全体の人口ピラミッドは中心(30~60歳代)のふくらんだほぼ左右対称の円柱を成している 一方で、蛸島町14町内の人口ピラミッドは60~70歳代が大きくふくらんでおり、そのふくらみ も女性の方が大きい。つまり、蛸島町14町内の人口では高齢者の割合が高く、特に女性人口にお いてこの傾向が顕著である。反対に、日本全体の人口ピラミッドの中心である30~50歳代人口部 分において、蛸島町14町内の人口ピラミッドは大きくへこんでいる。日本全体の人口に比べて、
蛸島町14町内の人口では生産年齢の人口が少ないことが分かる。さらに蛸島町14町内人口では、
10歳未満の人口がとても少ないことが図3から分かる。まとめて言えば、蛸島町14町内では少子 高齢化と生産年齢人口の少なさが顕著である。
4.おわりに
以上、蛸島町14町内について概観してきた。この地域に暮らす人々の暮らしに関わる固有のあ り方については、以下に続く各章でさらに細かく見てゆくが、そのテーマは学生が興味をもった 事柄を優先したため、この地域を語る際に重要な事柄がいくつか抜け落ちていることは述べるま でもない。
短い本調査期間とその後の散発的な補充調査で得られたデータは限られたものであり、お話を うかがう機会のなかった方も多い。なにより学生の実習ということで調べる側の未熟さも言うま でもなく、本報告書の記述にも分析にも不正確、不十分な点が多々あるものと自覚している。関 係各位の忌憚ないご批判、ご叱正をお願いする次第である。
なお本報告書で示される聞き取り対象者の年齢は、2013年4月1日時点の満年齢である。
注
1)既刊の調査実習報告書の一覧は、巻末の「参考文献・参考資料」に掲げておいた。
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2 .地区組織
横 山 里 和
1.はじめに 2.蛸島町の全体組織 3.蛸島町の行事 4.各町内の運営
5.考察
6.おわりに
1.はじめに
今回の実習では、地図を片手に蛸島の14の町内を歩き回った。調査対象の町内数が多く、名前 も似通ったところが多かったため、最初のうちはどのお宅に訪問してきたのか混乱することもし ばしばだった。そんな中で、異なる町内に住んでいる人びとにお話を聞くうちに気付いたのは、
それぞれの方針、やり方で各町内が運営されていることだった。そしてわたしは聞き取り調査を 通して、多くの町内で構成されている蛸島町が全体としてどのように組織化され、町として成り 立っているのかについて興味を持つようになった。
この章ではまず、蛸島町を運営していく上で基盤となる区長会や長生会などの組織概要や、そ の他各種組織の活動について触れる。その後、蛸島町の各町内の運営方法を取り上げ、共通点や 違いなどを明らかにする。また、お話をうかがったのは高齢の方がほとんどだったのだが、地域 の過疎化や少子高齢化を心配する声も多数聞かれた。こういった現状もふまえ、人びとがどのよ うな形で蛸島町の運営に関わっているのかについて考えていきたい。
2.蛸島町の全体組織 2.1 区長会
区長会は蛸島町の17町内の各区長で構成されている。会費は年間1,800円で、前期と後期に分
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けて集めている。会長1人、副会長2人、書記、会計ともに1人ずつ、監事が2人いる。任期は2 年。
現在の話し合いは、区長会役員が集まる役員会で議題のおおむねを決めた後に、区長会の場を 設けて行われている。区長会は役員会の1週間から10日後に開かれる。つまり、役員会で決定し たことに対し区長会で承認を得、協力を仰ぐという形をとっているのである。その理由は、最初 から区長会で話し合いをすると人数が多いために議題がなかなかまとまらず、もめることもある。
しかし、あらかじめ役員会で議題のおおむねを決定しておけば、区長会を円滑に進めることがで きるからである(仲町、男性、71歳)。また、年度末の収支決算報告もまずは役員会を通してから、
区長会で監査を受ける。役員会、区長会はともに蛸島公民館で開かれる。
蛸島町全体の年中行事については、年度初めに新体制となった役員会で、事業計画案を元に決 めている。事業計画案は、前年度の収支決算報告と事業実績報告を受けて作成される。区長会が 主催する行事は6月の河川側溝清掃、7月初めの海岸清掃、そして9月10日から11日に行われる 秋祭りである。河川側溝清掃と海岸清掃に関しては、作業開始日時の遅くとも3週間前までに話 し合いの場を設け、清掃の計画を立てる。また10月中旬には、公民館が主催するグラウンドゴル フ大会に協賛している。事業計画を変更することはめったにないが、行事を追加する際には臨時 区長会が開かれる。今年(2013年)は、9月に市から防災訓練を行うよう要請された際に、臨時 区長会を開いている。
区長会長の仕事の1つに、蛸島町の代表として市役所で開催される珠洲市連合会議への参加が あり、市との情報交換を行っている。市と蛸島町のパイプのつながりの強さを考えると、区長会 長はどうしても、同じ人が連続して務めることになりがちである。現区長会長(仲町、男性、71 歳)いわく、「町を運営していくには区長会長と役員、その他区長間の密なつながりが大事」との ことだった。蛸島町は17の町内に分かれているため、町全体の運営は大変だそうだ。しかし、そ のような中でも区長どうしがお互いに協力し合い助け合っているおかげで、区長会が町の基盤と して成立し得ているように思う。
2.2 長生会
長生会とは、蛸島町の老人会組織である。昭和39(1964)年に発足した。65歳以上の男女が入 会することができ、2013年現在では96人が長生会に参加している。ある人が話してくださった内 容によると、全国的な老人会の傾向であるが、長生会の参加者も女性の方が多く、活動は女性が 主体になっているそうだ(本仲町、女性、83歳)。長生会の役員は、会長が1人、副会長が男女そ れぞれ1人ずつ、会計1人、幹事2人、理事若干名、監事2人、女性部1人(市老連)を置く。
役員の任期は2年だが、再任も可能である。奇数月1日には役員が集まる役員会、偶数月1日に
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けて集めている。会長1人、副会長2人、書記、会計ともに1人ずつ、監事が2人いる。任期は2 年。
現在の話し合いは、区長会役員が集まる役員会で議題のおおむねを決めた後に、区長会の場を 設けて行われている。区長会は役員会の1週間から10日後に開かれる。つまり、役員会で決定し たことに対し区長会で承認を得、協力を仰ぐという形をとっているのである。その理由は、最初 から区長会で話し合いをすると人数が多いために議題がなかなかまとまらず、もめることもある。
しかし、あらかじめ役員会で議題のおおむねを決定しておけば、区長会を円滑に進めることがで きるからである(仲町、男性、71歳)。また、年度末の収支決算報告もまずは役員会を通してから、
区長会で監査を受ける。役員会、区長会はともに蛸島公民館で開かれる。
蛸島町全体の年中行事については、年度初めに新体制となった役員会で、事業計画案を元に決 めている。事業計画案は、前年度の収支決算報告と事業実績報告を受けて作成される。区長会が 主催する行事は6月の河川側溝清掃、7月初めの海岸清掃、そして9月10日から11日に行われる 秋祭りである。河川側溝清掃と海岸清掃に関しては、作業開始日時の遅くとも3週間前までに話 し合いの場を設け、清掃の計画を立てる。また10月中旬には、公民館が主催するグラウンドゴル フ大会に協賛している。事業計画を変更することはめったにないが、行事を追加する際には臨時 区長会が開かれる。今年(2013年)は、9月に市から防災訓練を行うよう要請された際に、臨時 区長会を開いている。
区長会長の仕事の1つに、蛸島町の代表として市役所で開催される珠洲市連合会議への参加が あり、市との情報交換を行っている。市と蛸島町のパイプのつながりの強さを考えると、区長会 長はどうしても、同じ人が連続して務めることになりがちである。現区長会長(仲町、男性、71 歳)いわく、「町を運営していくには区長会長と役員、その他区長間の密なつながりが大事」との ことだった。蛸島町は17の町内に分かれているため、町全体の運営は大変だそうだ。しかし、そ のような中でも区長どうしがお互いに協力し合い助け合っているおかげで、区長会が町の基盤と して成立し得ているように思う。
2.2 長生会
長生会とは、蛸島町の老人会組織である。昭和39(1964)年に発足した。65歳以上の男女が入 会することができ、2013年現在では96人が長生会に参加している。ある人が話してくださった内 容によると、全国的な老人会の傾向であるが、長生会の参加者も女性の方が多く、活動は女性が 主体になっているそうだ(本仲町、女性、83歳)。長生会の役員は、会長が1人、副会長が男女そ れぞれ1人ずつ、会計1人、幹事2人、理事若干名、監事2人、女性部1人(市老連)を置く。
役員の任期は2年だが、再任も可能である。奇数月1日には役員が集まる役員会、偶数月1日に
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は会員が集まる定例会が開かれている。場所は蛸島公民館を使用している。
会費は年間2,000円を集め、会員が楽しめるような行事を開催している。平成24(2012)年度 に行った行事は、新年会、春と秋の温泉旅行、仏教に関する講和の開催、グラウンドゴルフなど さまざまである。これらの行事には、多いときは会員の半数以上の人が参加することもあるとい う。このような娯楽的活動を、会員の皆さんは楽しみにしていることがわかった。
2.3 婦人会
婦人会は50~60代の女性が中心となり活動している。年間費は500円である。婦人会の主な活 動としては、敬老会、町民文化祭の運営などがあげられる。その他、蛸島小学校の児童のサツマ イモ栽培にも協力していて、婦人会は地域に密着した組織のようだ。
なお、婦人会の活動等についての詳細は今回の報告書の中で詳しく述べている章があるので、
ここでは説明を省略することにする(本書第4章を参照)。
2.4 その他の組織・施設
2.4.1 民生委員会・青年福祉委員会
民生委員会の主な活動内容は、独居老人への声掛けやお年寄りが住む家の見回りである。蛸島 町では近年1人暮らしの高齢者が増えてきているため、孤独死を未然に防ぐことを目的としてい ると思われる。一方、青年福祉委員会は未成年を対象に年に1度球技大会を開催して、子どもの 犯罪防止を呼びかけている。そのため、青年福祉委員は子どもがいる家から出ることが多いとい う(本仲町、男性、46歳)。
2.4.2 交通安全協会
交通安全協会の役員は各町内から1人ずつ選出される。1戸あたり年間500円の集金がある。青 年福祉委員会と協力した街頭指導を行っている。また、毎年8月に行われる珠洲市トライアスロ ンや、9月に行われる秋祭りの際の交通整備も任されている。
2.4.3 防犯委員会
防犯委員会は交通安全協会同様、各町内から1人ずつ選出される。1戸あたり年間500円の集金 がある。駐在さんと連携した地域の夜間パトロール、蛸島小学校でのサツマイモ栽培などの活動 をしている。夜間パトロールは、子どもの集まる港や海水浴場を中心に見回り、子どもの犯罪抑 止力になっている。また、多くの子どもが出演するという七夕祭りのときにもパトロールをして いる。サツマイモ栽培に関しては、24年程前から始まった活動であり、婦人会や小学校と協力し
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て行っている。青年福祉委員会同様、子どもが安全に暮らせる地域づくりを目的とした組織だと いえる。
2.4.4 消防団
蛸島の消防団は昭和26(1951)年以前から活動しており、2013年現在、20人が所属している。
消防団の役員は、分団長1人、副団長1人、班長1人、副班長1人、部長2人を置く。団員は各 町内から1人ずつ選出、というようなきまりはなく、有志の中から選ばれるようである。
消防団の主な活動として、1ヶ月に1度の消防車やポンプの点検や、消防操法大会1)の練習(5 月)、実際に火事が起きたときの消火活動、夜の見回りがある。夜の見回りは、5人ずつ4班に分 かれて週に1回行う。班交代は、1ヶ月である。この活動をするようになってから、蛸島町の火事 の件数が激減したそうだ。
近年は高齢化にともない老人が増えたため、消火活動よりも人探しの件数が増えてきたそうだ
(栄町、男性、61歳)。また、団員と1人暮らしの老人の家には防災無線が置いてある。高齢者が 多い蛸島町で、人びとの暮らしに沿った活動を行う消防団の存在は地域の人びとに大きな安心を 与えている。
2.4.5 公民館
蛸島公民館は、蛸島町にある唯一の公民館である。昭和55(1980)年3月に建てられた。区長 会や長生会の定例会、敬老会や町民文化祭などの町全体の行事を開く際には、この公民館が利用 されている。蛸島公民館の開館時間は、午前8時30分から午後5時15分までで、休館日は日曜 日、月曜日、祝日、年末年始である。館長と主事がそれぞれ1人ずついる。
毎月末に、主事の方が作成する「蛸島公民館だより」が発行されている。「蛸島公民館だより」
はまず、すず広報や蛸島小学校だよりなどの配布物と一緒に各区長の家に配布され、その後、町 内ごとの方法により各家に配られている。「蛸島公民館だより」の内容には、公民館で行われる活 動や事業活動といった予定だけでなく、ごみの収集日や発行月の前月に行われた活動内容の報告 も掲載される。豊富な内容の「蛸島公民館だより」を読むことで、地域の人びとは蛸島町の活動 を、より身近に感じることができているのではないだろうか。
公民館が主催する大きな事業として、町民文化祭や町民グラウンドゴルフ大会がある。2013年 に開かれたグラウンドゴルフ大会には、大人から子どもまで約200人の人が参加したという。そ の他、シルバー人材センターへの貸館事業や、生涯学習としてのビーズ作りやお菓子作り教室、
おもてなし講座などを積極的に開催している。また、青少年活動として、警察や防犯委員会と協 力してサツマイモ栽培も行っている。蛸島公民館は地域コミュニティの場であると同時に、人び
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て行っている。青年福祉委員会同様、子どもが安全に暮らせる地域づくりを目的とした組織だと いえる。
2.4.4 消防団
蛸島の消防団は昭和26(1951)年以前から活動しており、2013年現在、20人が所属している。
消防団の役員は、分団長1人、副団長1人、班長1人、副班長1人、部長2人を置く。団員は各 町内から1人ずつ選出、というようなきまりはなく、有志の中から選ばれるようである。
消防団の主な活動として、1ヶ月に1度の消防車やポンプの点検や、消防操法大会1)の練習(5 月)、実際に火事が起きたときの消火活動、夜の見回りがある。夜の見回りは、5人ずつ4班に分 かれて週に1回行う。班交代は、1ヶ月である。この活動をするようになってから、蛸島町の火事 の件数が激減したそうだ。
近年は高齢化にともない老人が増えたため、消火活動よりも人探しの件数が増えてきたそうだ
(栄町、男性、61歳)。また、団員と1人暮らしの老人の家には防災無線が置いてある。高齢者が 多い蛸島町で、人びとの暮らしに沿った活動を行う消防団の存在は地域の人びとに大きな安心を 与えている。
2.4.5 公民館
蛸島公民館は、蛸島町にある唯一の公民館である。昭和55(1980)年3月に建てられた。区長 会や長生会の定例会、敬老会や町民文化祭などの町全体の行事を開く際には、この公民館が利用 されている。蛸島公民館の開館時間は、午前8時30分から午後5時15分までで、休館日は日曜 日、月曜日、祝日、年末年始である。館長と主事がそれぞれ1人ずついる。
毎月末に、主事の方が作成する「蛸島公民館だより」が発行されている。「蛸島公民館だより」
はまず、すず広報や蛸島小学校だよりなどの配布物と一緒に各区長の家に配布され、その後、町 内ごとの方法により各家に配られている。「蛸島公民館だより」の内容には、公民館で行われる活 動や事業活動といった予定だけでなく、ごみの収集日や発行月の前月に行われた活動内容の報告 も掲載される。豊富な内容の「蛸島公民館だより」を読むことで、地域の人びとは蛸島町の活動 を、より身近に感じることができているのではないだろうか。
公民館が主催する大きな事業として、町民文化祭や町民グラウンドゴルフ大会がある。2013年 に開かれたグラウンドゴルフ大会には、大人から子どもまで約200人の人が参加したという。そ の他、シルバー人材センターへの貸館事業や、生涯学習としてのビーズ作りやお菓子作り教室、
おもてなし講座などを積極的に開催している。また、青少年活動として、警察や防犯委員会と協 力してサツマイモ栽培も行っている。蛸島公民館は地域コミュニティの場であると同時に、人び
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との日々の生活に張り合いや潤いをもたらす活動を提供する場となっている。
3.蛸島町の行事
蛸島町では、6月に河川側溝清掃、7月に海岸清掃を行っている。いずれも早朝に開始し、蛸島 川や各町内の河川側溝のごみ拾いや草むしり、海岸のごみ拾いをしている。ある男性(仲町、75 歳)の話によると、参加者の半数以上は高齢者の方々のようだ。これらの活動が早朝から開始す るというのも、若者がふるって参加しない理由の1つなのかもしれない。集まったごみは市が回 収してくれる。珠洲市きっての観光地である海水浴場の美観維持に、市も力を注いでいることが うかがえる。
4.各町内の運営
4.1 諏訪町
諏訪町の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。それぞれ1人ずつ担当 していて、任期はいずれも1年である。また、区長が納税組合長を兼任している。蛸島の中では 比較的小さい町内であり、班はなく、集会所もない。
キリコの塗り替えのため、昨年(2012 年)9 月までは町内会費とキリコ積立金を合わせて、1 戸あたり月5,000円を集めていた。積立金がある程度たまったので、2012年10月から、金額は月
2,000円へと引き下げられた。キリコの塗り替えと一緒に、ちょうちんと太鼓も新品にした。これ
らの費用には500万円ほどかかったという。今年(2013年)6月にキリコ修繕は終わり、現在諏 訪町にあるキリコは4つになった。
4.2 前の浜
前の浜の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。それぞれ1人ずつ役員がおか れている。任期は今年(2013年)から2年に変わった。町内を3班に分けているが、班長は置い ていない。区長の選出については、それぞれの班から順番に選出している。区長以外の役員は、
選出時に班のしばりはないようだ。
前の浜には奉燈格納庫はあるが集会所はなく、常会はほとんど開かない。そのため、3月の収支 報告は回覧板でお知らせしている。回覧板は、区長から班ごとの月当番の人へと回している。
町内会費は1戸あたり月2,000円を集めている。内訳は1,000円をキリコ積立金に、その他は区 長会会費などに充てている。各班の当番が班の分を集金して会計に渡している。区長がキリコ積
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立金の通帳を、会計が町内会費の通帳を持っていて、管理は別々にしているようだ。納税組合は 以前あったが会計との兼任が難しいということで、4年ほど前に廃止した。
4.3 中貝蔵
中貝蔵の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。町内を4班に分けて、
それぞれに班長がいる。各役員の任期は2年で、区長と納税組合長は同じ年に役員交代すること になっている。昔は1つの班から区長と納税組合長を選出していたが、近年は役員をやる人も少 なくなってきたので、2つの班からそれぞれ区長と納税組合長を選出するようになった。
集会所はないので、常会は区長の家でやる。常会の開催は祭りの後のかすもみ2)のときと、役 員が変わるときに行っている。
町内会費は月1,000円だが、現在は4月にまとめて12,000円徴収している。月ごとに集める煩 雑さを解消するためにとっている方式のようだ。
4.4 本貝蔵
本貝蔵の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。町内を4班に分け、班 長がそれぞれ1人ずついる。班長含め役員は2年交代である。区長と納税組合長は、4班が交代で 1人ずつ選出している。この2役と班長の兼任はしないというきまりだ。
本貝蔵の班長の役割は、回覧板や広報を区長から受け取りそれらを班内に回すことと、班長会 議を行うことにある。班長会議では主に、本貝蔵の年間行事について話し合う。また、町内会費 の回収も班長が行っている。これは、高齢者の孤独死の防止、独居老人の生活に不自由がないか どうかの確認も兼ねて行われているようだ。町内全体で、地域の暮らしを守っていこうとする姿 勢がうかがえる。
町内会費は月3,000円を集めていたが、5年前にキリコを新調し終わってからは月1,000円に引 き下げられた。
4.5 東貝蔵
東貝蔵の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。それぞれ任期は2年で ある。町内を6つの班に分けていて、それぞれに班長がいる。班長の任期は町内役員とは違って1 年である。3月末に班長会議があり、そこで次期班長を決める。
東貝蔵には集会所はなく、常会も行っていない。元区長によると、昔は消防会館の一室を借り て常会を行っていたこともあったらしいが、近年はとくに議論する話題もないため行わなくなっ た(東貝蔵、男性、69歳)。
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立金の通帳を、会計が町内会費の通帳を持っていて、管理は別々にしているようだ。納税組合は 以前あったが会計との兼任が難しいということで、4年ほど前に廃止した。
4.3 中貝蔵
中貝蔵の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。町内を4班に分けて、
それぞれに班長がいる。各役員の任期は2年で、区長と納税組合長は同じ年に役員交代すること になっている。昔は1つの班から区長と納税組合長を選出していたが、近年は役員をやる人も少 なくなってきたので、2つの班からそれぞれ区長と納税組合長を選出するようになった。
集会所はないので、常会は区長の家でやる。常会の開催は祭りの後のかすもみ2)のときと、役 員が変わるときに行っている。
町内会費は月1,000円だが、現在は4月にまとめて12,000円徴収している。月ごとに集める煩 雑さを解消するためにとっている方式のようだ。
4.4 本貝蔵
本貝蔵の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。町内を4班に分け、班 長がそれぞれ1人ずついる。班長含め役員は2年交代である。区長と納税組合長は、4班が交代で 1人ずつ選出している。この2役と班長の兼任はしないというきまりだ。
本貝蔵の班長の役割は、回覧板や広報を区長から受け取りそれらを班内に回すことと、班長会 議を行うことにある。班長会議では主に、本貝蔵の年間行事について話し合う。また、町内会費 の回収も班長が行っている。これは、高齢者の孤独死の防止、独居老人の生活に不自由がないか どうかの確認も兼ねて行われているようだ。町内全体で、地域の暮らしを守っていこうとする姿 勢がうかがえる。
町内会費は月3,000円を集めていたが、5年前にキリコを新調し終わってからは月1,000円に引 き下げられた。
4.5 東貝蔵
東貝蔵の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。それぞれ任期は2年で ある。町内を6つの班に分けていて、それぞれに班長がいる。班長の任期は町内役員とは違って1 年である。3月末に班長会議があり、そこで次期班長を決める。
東貝蔵には集会所はなく、常会も行っていない。元区長によると、昔は消防会館の一室を借り て常会を行っていたこともあったらしいが、近年はとくに議論する話題もないため行わなくなっ た(東貝蔵、男性、69歳)。
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町内会費は月2,000円集めている。一昨年(2011年)にキリコの塗り替えをした。班長が各班 の分を集め、それを納税組合長が管理している。集めた中から、一部をキリコ積立金や区長会会 費に充てる。町内会費をすべて集め終わるまで納税組合長が管理していなければならないため物 騒である。そのため最近では、個人で直接振り込んで払う人も多くなっている。
4.6 島の地
島の地の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。区長は年齢順に1年交 代で務め、3月中旬の常会で任命される。納税組合長も常会のときに話し合いで決められる。また 町内を4班に分け、それぞれに班長がいる。班長の任期は1年である。その他、祭礼委員や奉燈 責任者、氏子総代などの役職は祭りの後のかすもみのときに決める。祭り関係の役員は、主に35、 6歳から40歳の“若い衆”と呼ばれる男性の中から出される。いずれも任期は1年である。
7、8年前に奉燈格納庫を建て、その後集会所を建てた。かすもみと3月の常会をその集会所で 行っている。町内会費は月3,000円で、毎月班長が徴収して納税組合長が管理している。そのうち
2,000円をキリコの積立金に充てている。
4.7 仲町
仲町の町内組織区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。町内を2班に分け、それぞれ に班長がいる。役員それぞれの任期は2年だが、厳格に守らなければならないというわけではな いようだ。
他の町内とは違って、仲町では月々定額の町内会費の積立を行っておらず、独特の集金方法を 採用している。まずは前年度に必要となった費用を会計が詳しくまとめ、その合計を仲町17戸で 割り、1戸あたりの町内会費を算出する。その金額を前期後期の2回に分けて集金している。収支 報告は、納税組合長が1年に1度各家に回している。
集会所はなく、2年に1度、区長の家で常会を行っている。行われるのはだいたい、2月の終わ りごろから3月末の間である。主に話し合われるのは、祭りのことや役員改選についてである。
常会という名でなくとも、祭りの前後には、若衆が集まって話し合いをすることも多い。4月には 役員総会が開かれる。常会が開かれない年には、町内の人びとは各家に配られる常会報告によっ て、誰が役員になったかを確認をしている。また、有事の際には臨時で常会を開くなどの対応も とっている。他の町内に比べると、仲町は比較的、町内で集まる機会を多く設けているように感 じた。
16 4.8 本仲町
本仲町の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。平成23(2011)年度までは納 税担当がいたが、平成24(2012)年度から廃止された。そのため現在は、区長が会計を兼任して いる。役員の任期は1年である。集会所はなく、年に1度行う常会は区長の家でやる。現在の時 点で、2018年度までの役員をすでに決めてしまっている。この理由は、常会のときの話し合いを 円滑に進めるためらしい。町内を2班に分けていて、この班分けで葬式などの時に手伝いをする こともあるようだ。また、会計の決算報告は回覧板で済ませ、班ごとで回している。
町内会費は月1,000円集めている。班ごとで集め、それらを区長がまとめて管理している。2、3 年前にキリコ倉庫を建て、その支払いが今年(2013年)で終わるようである。キリコ倉庫を建て る際には、町内会費とは別に、建設に必要な費用を集めた。あらかじめ特別な積立をせず、目的 があるときにその都度集金するというのが、現在の本仲町の方式のようだ。比較的小さな町内で あるため、この方式をとることで人びとの金銭的負担をできるだけ減らすことが可能となってい る。
4.9 東仲町
東仲町の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。区長の選出は話し合いによる が、それでも決まらないときは選挙をするそうだ。現区長は会計も兼ねている。町内を2班に分 け、それぞれに班長がいる。班長は回覧板や広報を区長から受け取り、班員に配布するという仕 事を担っている。役員、班長の任期はすべて2年であるが、役員交代の時期にはずれがあるため、
すべての役職がいっせいに新しい人になることはない。
町内会費は月1,000円を集めている。10年前に集会所と奉燈格納庫を建てた。その支払いはす でに終えている。そのため現在は、特別キリコ関係の積立を行っていない。常会は集会所でやり、
祭りの前後、河川海岸清掃、収支決算などの際に開いている。
4.10 仲脇
仲脇の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。役員の任期は2年で、町内2班 の中から交代で選出している。仲脇では班分けに基づき、たとえば葬式の香典集めを手伝うなど、
現在も冠婚葬祭の際にお互いに協力し合っている。また、役所からの連絡や「蛸島公民館だより」
が発行されるたび、班ごとに回覧板を回している。
仲脇では、月3,000円の町内積立金とその他税金を集める。しかし、納税は現在直接振り込みに している人が多いため、町内会費を集める方がメインとなっている。各班から2人ずつ、月ごと に当番を決めて集金している。現区長が会計も兼任していて、班ごとに集められたお金は区長が
16 4.8 本仲町
本仲町の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。平成23(2011)年度までは納 税担当がいたが、平成24(2012)年度から廃止された。そのため現在は、区長が会計を兼任して いる。役員の任期は1年である。集会所はなく、年に1度行う常会は区長の家でやる。現在の時 点で、2018年度までの役員をすでに決めてしまっている。この理由は、常会のときの話し合いを 円滑に進めるためらしい。町内を2班に分けていて、この班分けで葬式などの時に手伝いをする こともあるようだ。また、会計の決算報告は回覧板で済ませ、班ごとで回している。
町内会費は月1,000円集めている。班ごとで集め、それらを区長がまとめて管理している。2、3 年前にキリコ倉庫を建て、その支払いが今年(2013年)で終わるようである。キリコ倉庫を建て る際には、町内会費とは別に、建設に必要な費用を集めた。あらかじめ特別な積立をせず、目的 があるときにその都度集金するというのが、現在の本仲町の方式のようだ。比較的小さな町内で あるため、この方式をとることで人びとの金銭的負担をできるだけ減らすことが可能となってい る。
4.9 東仲町
東仲町の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。区長の選出は話し合いによる が、それでも決まらないときは選挙をするそうだ。現区長は会計も兼ねている。町内を2班に分 け、それぞれに班長がいる。班長は回覧板や広報を区長から受け取り、班員に配布するという仕 事を担っている。役員、班長の任期はすべて2年であるが、役員交代の時期にはずれがあるため、
すべての役職がいっせいに新しい人になることはない。
町内会費は月1,000円を集めている。10年前に集会所と奉燈格納庫を建てた。その支払いはす でに終えている。そのため現在は、特別キリコ関係の積立を行っていない。常会は集会所でやり、
祭りの前後、河川海岸清掃、収支決算などの際に開いている。
4.10 仲脇
仲脇の町内組織は、区長、会計、氏子総代で運営されている。役員の任期は2年で、町内2班 の中から交代で選出している。仲脇では班分けに基づき、たとえば葬式の香典集めを手伝うなど、
現在も冠婚葬祭の際にお互いに協力し合っている。また、役所からの連絡や「蛸島公民館だより」
が発行されるたび、班ごとに回覧板を回している。
仲脇では、月3,000円の町内積立金とその他税金を集める。しかし、納税は現在直接振り込みに している人が多いため、町内会費を集める方がメインとなっている。各班から2人ずつ、月ごと に当番を決めて集金している。現区長が会計も兼任していて、班ごとに集められたお金は区長が
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管理している。集金したお金は、区長会会費やキリコの積立、提灯、太鼓の修繕費などに充てて いる。この理由は、目的ごとに集めるよりも、一括して集めて割り振った方が効率的だからだそ うだ。
4.11 西脇
西脇の町内組織は、区長、会計、氏子総代から成り立っている。現区長は会計を兼任している。
それぞれ役員の任期は1年で、役員は3月に行われる常会で決定される。そのほか常会は、町内 の人びとの間で何かあったときなどに不定期に実施されている。役員決定には、役員候補者の奥 さんどうしの相談内容が影響することもある。また、現区長(西脇、男性、62歳)の話によると、
常会参加者のうち約9割が女性であるそうだ。これらのことから、西脇は男性よりも女性が積極 的に常会に参加している地区のように感じられた。
町内会費は年間20,000円で、区長の奥さんが集めている。集めたお金は、祭り関係費やトライ アスロンの保険料、神社維持費などに充てられている。
4.12 脇浜本町
脇浜本町の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。任期は役員すべて、1 年である。区長によると、お金に関することは区長と納税組合長が相談しながら決めることにな っているようだ(脇浜本町、男性、67歳)。その他、祭礼委員や奉燈責任者、防犯委員、交通安全 協会の役員は、かすもみのときに若い衆の中から決める。
町内会費は月1,000円で、その中からいくらかをキリコ積立金に充てている。奉燈格納庫はある が集会所はないため、常会は区長の家で行っている。
脇浜本町には2013年現在、24軒しかなく、町内に班のくくりを設けていない。そのため、回覧 板を回すときなどは区長が直接、町内の家々を回る。24軒で1つの班だといえ、区長が班長のよ うなものだ。脇浜本町は、区長が町内の人びとと特に深く関わっている町内のように感じた。
4.13 東脇
東脇の町内組織は、区長、納税組合長、氏子総代で運営されている。町内を3つの班に分け、
それぞれに班長がいる。いずれも任期は1年。区長、納税組合長、氏子総代の役員は、1つの班の 中から出す。また、氏子総代をやった人は、次に役職が回ってきたときには区長をするというき まりがある。
町内会費は1,000円。班ごとに集金し、各班長が納税係に渡している。キリコの積立は10年ほ ど前から行っていないそうだ。この地区ではお年寄りが多い一方で若者は少なく、将来の祭りの
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担い手がいるかどうか不安視されている。ある方(東脇、女性、77歳)は、多額の積立金は年金 暮らしの人びとにとって負担が大きく、また、若者が少ないならば集めても仕方がないとおっし ゃっていた。そのため町内会費は、主に平成20(2008)年に建てた集会所の維持に充てられてい る。常会はこの集会所で行い、祭りの時期に開催される。かすもみのときに目録の報告や、次の 祭礼委員や奉燈責任者決めをする。
4.14 今町
今町の町内組織は、区長、納税、氏子総代で運営されている。納税以外の役員の任期は2年。
役員は10年程前まで話し合いで選出していたが、現在は班も関係なく、住民によると「有無をい わさず」役職が回ってくるようだ(今町、男性、60歳)。昨年(2012年)から、数年先まで役員 を決めてしまうようになった。会計は長年同じ人が務めている。町内会費は月3,000円。そのうち
1,000円をキリコの積立金に充てている。
町内は3つの班に分けられている。班長の仕事は区長の手伝い程度だという。また、今町では 班とは別に、町内を山側と浜側の2つに分けた地域区分もある。山側11軒から1人、浜側18軒 から2 人、月当番を決め、月初めに珠洲の広報誌を各家に配るという役割がある。月当番は、1 人暮らし世帯をとばして順番に回ってくる。
集会所をもち、3月末に常会を開く。この場では主に、収支決算や役員選出といった町内全体の 活動に関する決め事をしている。また、祭りのあとのかすもみのときにも、集会所が使われてい る。
表1 各町内の役員
町内名 役職 任期 人数
1.諏訪町
区長 1年 1人(兼任)
納税組合長
氏子総代 1年 1人 2.前の浜
区長 2年 1人
会計 2年 1人
氏子総代 2年 1人 3.中貝蔵
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
班長 2年 4人(各班)
4.本貝蔵
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
班長 2年 4人(各班)
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担い手がいるかどうか不安視されている。ある方(東脇、女性、77歳)は、多額の積立金は年金 暮らしの人びとにとって負担が大きく、また、若者が少ないならば集めても仕方がないとおっし ゃっていた。そのため町内会費は、主に平成20(2008)年に建てた集会所の維持に充てられてい る。常会はこの集会所で行い、祭りの時期に開催される。かすもみのときに目録の報告や、次の 祭礼委員や奉燈責任者決めをする。
4.14 今町
今町の町内組織は、区長、納税、氏子総代で運営されている。納税以外の役員の任期は2年。
役員は10年程前まで話し合いで選出していたが、現在は班も関係なく、住民によると「有無をい わさず」役職が回ってくるようだ(今町、男性、60歳)。昨年(2012年)から、数年先まで役員 を決めてしまうようになった。会計は長年同じ人が務めている。町内会費は月3,000円。そのうち
1,000円をキリコの積立金に充てている。
町内は3つの班に分けられている。班長の仕事は区長の手伝い程度だという。また、今町では 班とは別に、町内を山側と浜側の2つに分けた地域区分もある。山側11軒から1人、浜側18軒 から2 人、月当番を決め、月初めに珠洲の広報誌を各家に配るという役割がある。月当番は、1 人暮らし世帯をとばして順番に回ってくる。
集会所をもち、3月末に常会を開く。この場では主に、収支決算や役員選出といった町内全体の 活動に関する決め事をしている。また、祭りのあとのかすもみのときにも、集会所が使われてい る。
表1 各町内の役員
町内名 役職 任期 人数
1.諏訪町
区長 1年 1人(兼任)
納税組合長
氏子総代 1年 1人 2.前の浜
区長 2年 1人
会計 2年 1人
氏子総代 2年 1人 3.中貝蔵
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
班長 2年 4人(各班)
4.本貝蔵
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
班長 2年 4人(各班)
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(出所:筆者作成)
5.考察
今回蛸島町の14の町内を調べてみて、町内の基本的な地区組織はほとんど共通しているという 5.東貝蔵
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
班長 1年 6人(各班)
6.島の地
区長 1年 1人
納税組合長 1年 1人 氏子総代 1年 1人
班長 1年 4人(各班)
7.仲町
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
8.本仲町
区長 1年 1人(兼任)
会計
氏子総代 1年 1人 班長 1年 2人(各班)
9.東仲町
区長 2年 1人
会計 2年 1人
氏子総代 2年 1人 班長 2年 2人(各班)
10.仲脇
区長 2年 1人(兼任)
会計
氏子総代 2年 1人 班長 2年 2人(各班)
11.西脇
区長 1年 1人(兼任)
会計
氏子総代 1年 1人
班長 1年 1人
12.脇浜本町
区長 1年 1人
納税組合長 1年 1人 氏子総代 1年 1人 13.東脇
区長 1年 1人
納税組合長 1年 1人 氏子総代 1年 1人
班長 1年 3人(各班)
14.今町
区長 2年 1人
納税組合長 2年 1人 氏子総代 2年 1人
班長 2年 3人(各班)
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ことがわかった。役員の任期は区長のそれとほぼ連動している。どの町内も区長と氏子総代の役 員が置かれており、金銭関係は納税組合長もしくは会計が管理している。以前は町内の納税を一 括して珠洲市に納めると市から補助金が交付されていたが、現在では補助金が少額になったため、
納税組合を解散して会計を置き、個人振込で税金を納める方式を採用している町内が出てきた。
町内会費だけでなく、納税金も一軒一軒集めて管理するのは納税組合長の負担も大きいようであ り、これから先、納税組合を廃止する町内が増えていくように思われる。
また、ほとんどの町内では、秋祭りの際に担がれるキリコの修繕費の積立を行っている。ある 高齢者の方は「年に一度の秋祭りには、蛸島を出て都会に就職した若い人が戻ってきてくる」と 話してくださった。しかし少子高齢化、過疎化が進む中では、以前に比べキリコの担ぎ手は確実 に減少している。そのため、キリコに車輪をつけて引きやすくするなど、改良を施している町内 もあるようだ。キリコの修繕には多額を要し、町内軒数が少ないところでは一軒ごとの集金額が 高くなってしまう。しかし積立を行い、工夫を重ねて町内の象徴ともいえるキリコを継承してい くことは、これから先の蛸島町を活気づけていくために必要なことではないだろうか。
次に蛸島町全体の各組織についてだが、それぞれが果たすべき役割分担がしっかりとなされて いる印象を受けた。今回の調査中には町の児童数が減少しているという話をよく耳にしたが、青 年福祉委員会と防犯委員会は子どものことを考えた青少年教育活動を行っており、町の将来を担 う子どもたちを見守っていくためのシステムが充実しているように感じた。また、民生委員会や 消防団の活動からも、近年急増している独居老人に対する支援体制が整っていることがみてとれ る。加えて高齢者に娯楽を提供する長生会や、町を支える区長会の存在などがあり、さまざまな 組織が関係し合いながら町は成り立っている。これらのことから、蛸島町では地域ぐるみで住民 がお互いに支え合っていることがわかり、町全体が人びとにとって暮らしやすい環境をつくって いけるよう努めているといえる。
最後に、蛸島町を他年度に調査を行った地区の組織と比較すると(鈴木 2012、中嶋2013等)、 蛸島区長会の下に置かれる17の各町内組織は、例えば副区長がいない、区長が会計を兼任してい るなど町内の役職が少なく比較的規模が小さい。加えて、各町内が独自で開催する行事はほとん ど見受けられず、活動は蛸島町全体としてのものがほとんどである。区長会の活動がすなわち蛸 島町全体の活動であるといえ、こうした点は蛸島町の特色である。
6.おわりに
約1週間という短い滞在期間ではあったが、蛸島町に住む人びとがこの地域に強い愛着を持っ ていることが感じられた。また、蛸島町の組織や町内ごとの運営というものに深く触れることで、
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ことがわかった。役員の任期は区長のそれとほぼ連動している。どの町内も区長と氏子総代の役 員が置かれており、金銭関係は納税組合長もしくは会計が管理している。以前は町内の納税を一 括して珠洲市に納めると市から補助金が交付されていたが、現在では補助金が少額になったため、
納税組合を解散して会計を置き、個人振込で税金を納める方式を採用している町内が出てきた。
町内会費だけでなく、納税金も一軒一軒集めて管理するのは納税組合長の負担も大きいようであ り、これから先、納税組合を廃止する町内が増えていくように思われる。
また、ほとんどの町内では、秋祭りの際に担がれるキリコの修繕費の積立を行っている。ある 高齢者の方は「年に一度の秋祭りには、蛸島を出て都会に就職した若い人が戻ってきてくる」と 話してくださった。しかし少子高齢化、過疎化が進む中では、以前に比べキリコの担ぎ手は確実 に減少している。そのため、キリコに車輪をつけて引きやすくするなど、改良を施している町内 もあるようだ。キリコの修繕には多額を要し、町内軒数が少ないところでは一軒ごとの集金額が 高くなってしまう。しかし積立を行い、工夫を重ねて町内の象徴ともいえるキリコを継承してい くことは、これから先の蛸島町を活気づけていくために必要なことではないだろうか。
次に蛸島町全体の各組織についてだが、それぞれが果たすべき役割分担がしっかりとなされて いる印象を受けた。今回の調査中には町の児童数が減少しているという話をよく耳にしたが、青 年福祉委員会と防犯委員会は子どものことを考えた青少年教育活動を行っており、町の将来を担 う子どもたちを見守っていくためのシステムが充実しているように感じた。また、民生委員会や 消防団の活動からも、近年急増している独居老人に対する支援体制が整っていることがみてとれ る。加えて高齢者に娯楽を提供する長生会や、町を支える区長会の存在などがあり、さまざまな 組織が関係し合いながら町は成り立っている。これらのことから、蛸島町では地域ぐるみで住民 がお互いに支え合っていることがわかり、町全体が人びとにとって暮らしやすい環境をつくって いけるよう努めているといえる。
最後に、蛸島町を他年度に調査を行った地区の組織と比較すると(鈴木 2012、中嶋2013等)、 蛸島区長会の下に置かれる17の各町内組織は、例えば副区長がいない、区長が会計を兼任してい るなど町内の役職が少なく比較的規模が小さい。加えて、各町内が独自で開催する行事はほとん ど見受けられず、活動は蛸島町全体としてのものがほとんどである。区長会の活動がすなわち蛸 島町全体の活動であるといえ、こうした点は蛸島町の特色である。
6.おわりに
約1週間という短い滞在期間ではあったが、蛸島町に住む人びとがこの地域に強い愛着を持っ ていることが感じられた。また、蛸島町の組織や町内ごとの運営というものに深く触れることで、
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組織の相互関係、信頼関係なくして町は成り立たないということを、改めて実感することができ た機会であったように思う。
すでに3年ほど金沢市に住んでいますが、他県出身の自分にとって珠洲市蛸島町という地域は まったくなじみがなく、実習が始まる前は不安でいっぱいでした。しかし、実際に蛸島の地を訪 れてみると皆さまはあたたかく迎えてくださり、お宅訪問を重ねていくうちに、最初に感じてい た不安はいつの間にかなくなっていました。今回の実習を通して、蛸島町の全体組織と14の町内 それぞれの特色をまとめていく中、膨大な情報量を自分の中で整理しきれない点も多々ありまし た。それらすべてを正確にまとめきることができた自信はありません。しかしこのように報告書 として文章化にこぎつけることができたのは、一重に皆さまのご協力のおかげだと思っています。
本当にありがとうございました。
注
1)消防操法は消防職員や消防団の訓練の一つであり、基本的な操作の習得を目指す。全国規模で大会(郡市大 会・都道府県大会・全国大会)が行われ、ポンプ・ホースなどの操作を速く正確に行うとともに、動きの綺 麗さを競う(Wikipedia「消防操法」より一部抜粋)。
2)秋祭り(9月10日、11日)が終わったあとに開かれる反省会兼打ち上げ。全町内が行い、町内ごとに各集 会所や区長の家に集まり、次期祭礼委員決めや目録披露などをする。