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アルミニウム合金基複合材料の製造におよぼす 結合剤の影響

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NDC 501.4

アルミニウム合金基複合材料の製造におよぼす 結合剤の影響

柴 田 政 勝* 西  彰 矩**

Influence of the binder for the fabrication

of the aluminium alloy based composite

Masakatsu SHIBATA  and Akinori NISHIrk*

Preforms with various binder content were made of the aluminium borate whiskers, and then aluminium alloy composites were fabricated by squeezing molten metal into the preforms. Alumina sol were used for the binder、 We examined deformation, hardness and density of the composites, fu曲ermore observed the stmctures by the electron microseope. We obtained the results as follows.

(1)Defo㎜ation, hardness and density of血e composites were decreased with increase of血e binder content,

  that is due to decreasing of volume fraction of the whisker within the composites,

(2) Binder content of 1 massO/o is sufficient for the aluminium borate whiskers.

1.緒 言

アルミニウム合金基複合材料は軽量でかつ耐摩耗性を有 するため,自動車や航空機用部品としてすでに実用化され ているω (2).しかしながら,現在,その強化材として使用さ れている炭化けい素は高価であり,著者らはその代替品と

して比較的新しく開発されたほう酸アルミニウムウィスカ を実用化するため,いくつかの基礎的実験を行ってきた(3)

(5}

Dところで,アルミニウム合金基複合材料の製造方法に はいくつかあるがω,最も量産に適しているのは,ウィスカ や粒子などの強化材に結合剤を添加して,ほぼ製品形状に 近い予備成形体(プリフォーム)を作製し,これに合金溶湯

を流し込んで加圧するいわゆる高圧鋳造法と呼ばれるもの である.ところが,本ウィスカを用いて高圧鋳造法により,

複合材を作製するとき,ウィスカと合金成分が反応して反

応生成物(スピネル)が生成することが明らかになった(5) (

そして,このスピネル生成にプリフォームを作製するとき に添加される結合剤が影響することが予想され,したがっ てこれまで経験的に行われてきた結合剤の添加量を必要最 小限にすることが必要になった.結合剤は鋳造加圧時のプ リフォームの変形を押さえるためであるが,添加量による 変形の様子や得られる複合材料の硬さ,組織などへの影響 を調べた報告はほとんど見あたらない.そこで著者らは,ほ

う酸アルミニウムウィスカに対する結合剤の添加量を種々

変化させたプリフォームを作製し,高圧鋳造によって製造 した複合材料の変形度,硬さや密度を測定し,さらに組織 観察を行うことによって,結合剤の添加量の影響を明らか

にし,結合剤の最適添加量を求めることを目的とした.

2. 実 験 方 法

 2.1 プリフォームの作成

 四国化成(株)製のほう酸アルミニウムウィスカ(アルポ レックスM12(7>)50gfに,蒸留水250gfを加え,よく擾絆し た,その後,結合剤として通常アルミナゾルまたはシリカ ゾルが用いられるが,本実験ではアルミナゾルを使用し,こ れを所要量添加し,さらに硫酸アンモニウム2.Ogfを加え てPH6〜8にした。ついで,ポリアクリルアミド10mgfを蒸 留水100m1にて溶解した溶液を添加した撹絆した後,素早

く真空ポンプにて吸引ろ過し,直径60mm,高さ約50㎜の ほぼ円柱状に近いプリフォームを作製した.

 *機械工学科

**情報工学科

平成11年8H24日受理

 2.2 複合材料の製造

 2.1の方法によって作られたプリフォームを80℃で 一昼夜乾燥後,800℃で1hr焼成した.これを予熱した円柱 金型に挿入したのち,800℃にて溶解したA6061アルミニ

ウム合金溶湯を素早く流し込み,98MPaで5min加圧し た.装置図をFig.1に示す.このようにして製造された複合 材料を縦に切断し,プリフォームの変形度を調べたのち,

硬さおよび密度を測定し,最後に走査型電子顕微鏡によっ て組織観察を行った.なお,これらの値は同一添加量のも のを3個ずつ作成し,それらの平均をとった.

一35一

(2)

津山高専紀要 第41号 (1999)

R.AM

MOULD

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PUNCH

HEATER

ナゾルの回折線は現れず,さらに回折強度や角度などにつ いてもアルミナゾルの添加の有無によって差はなかった.

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﹀記︒り⊂25

MOLTEN METAL PREFORM

Fig.1 Schmatic illustlation of the experimental apparatus for the fabrication of the composites.

3. 実験結果及び考察

 3.1 プリフォーームの組織

 Fig.2はプリフォームの内部組織を走査型電子顕微鏡に よって観察したものである.アルミナゾル無添加では,ウ ィスカ表面は非常に平坦で清浄であるが,アルミナゾルが 添加されるとのり状のものが附着したような表面になり,

ウィスカ同士の接触部がのりづけされたようになり,アル ミナゾルが接着剤の働きをしていることが観察される.

ただし,乾燥したままのものと800℃lhr焼成したもの では外見上は差は認められなかった.Fig 3はアルミナゾ ルを4mass%添加したプリフォームのX線回折結果である.

アルミナゾルを添加しても4mass%と少ないためかアルミ

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       Diffraction angle 2e

Fig.3 X−ray diffraction profile of the preform added 4 massO/o alurnina sol.

 3.2 プリフt一ムの変形

  Fig,4に高圧鋳造後のプリフォLムの変形状況を示す,

鋳造後に試料を縦に分割し,その断面を観察した組織であ り,下方に黒く見える部分が複合材で上部は押し湯の役割 をするアルミニウム合金である,プリフォームは焼成した ままではほぼ円柱に近い円錐体であるが,高圧鋳造によっ てその外形は,相似的に圧縮変形するわけではなく,複雑 な様相を呈している.山内ら(8)によると,高圧鋳造時の加圧 状況はまずプリフォーム内へ溶湯アルミニウム合金が浸透 するが,初期はプリフォームはほとんど変形せず,ついで 中心まで浸透した後,さらなる加圧によりプリフォームが 変形する.したがって複雑な外形を呈するのはプリフォー ム作成時,ウィスカはその配向はランダムではあるが,分 布に粗密が生じ,粗な部分が優先的に圧縮され,変形する ものと考えられる.アルミナゾル添加量が増加するにした

W鞍

軍承

5 m

Fig,2 Scanning electron microgiaphs of the whiskers within the pretbrms.

       璽

Fig・4. D・f・r・・ti・n・f血・p・ef・㎜・by血・SP…z・一・a・t血9・

Alurnina sol contents are (a) O massO/o, (b) 1 massO/o, (c) 2 massO/e, (d) 4 masse/e,(e) 6massO/o and (D 10 massO/o.

一36一

(3)

アルミニウム合金基複合材料の製造におよぼす結合剤の影響 孕円・西

がい,プリフォームの変形度は小さくなる傾向が見られる が,これをグラフに表したものがFig5である.変形度Hは.

加圧鋳造前のプリフォーム高さHi.ee造後の複合材の高さ H2として, H={(H,一H,)Mi}×100%として表した.アルミ

ナゾル添加量が増えるにしたがって変形度は小さくなる.

アルミナゾル無添加では約50%の収縮がみられるが

1massO/oの添加により,約250/・と急減し,以後添加量が増す とともに徐々に変形度は減少していき,10mass%添加で約 20%以下となる.

100

80

g・.e 60

E

モ40

1

8at.. 20

es

       o

        e 2  ・ 4 6 8 10 12

      AIUinina sol/皿ass%

Fig.5 Change of deforrnation of the preforms with alum血a sol content.

高圧鋳造時の高温溶湯と本ウィスカが反応し,ウィスカ 界面にスピネル(MgAl、0・)が生成して,本合金の時効硬化 特性が失われたり(3),スピネル生成そのものにより,ウィ スカとマトリックスの結合が損なわれる恐れがあることか ら,機械的性質が劣化することが予想される.このスピネ ル生成に対してアルミナゾルがどのような影響を与えるか

を現在実験中であるが,スピネルとアルミナゾルの化学成 分が類似していることから,スピネル生成を促進すること は大いに予測される.したがって,アルミナゾル添加量:は できる限りその点からは少量の方が好ましいと考えられる ので変形度とも勘案してlmass%が適量と考えられる、

 3.3 硬さ変化

 Fig.6はアルミナゾル添加による複合材料の硬さ変化を 示す. As cast材のA6061合金の硬さは約Hv=50である(3)の で,複合材料にすることによってアルミナゾルの添加量に もよるが,Hv=100〜200となり,as cast材の2・4倍の硬さに なることがわかる.アルミナゾル無添加では約Hv=200で あるが,変形度の場合と同じく,lmass%添加でHv=120と 半減し,以後,添加量が増えるにしたがって緩やかに軟化し 10mass%添加でHv=100近くになる.

250

200

0 5 1

0 0

1

﹀出のの呂℃お=

50

o

02468 10 12

  Alumina sol /mass%

Fig.6 Change of hardness of the composites with alumina sol content,

り求め,得られた値を(2)式に代入して,複合材料の中のウィ スカの体積比Vfを求めた.それらの結果をFig.7に表す.

p == Wpg / (W 一 W )+ ff {1 一 W/(W 一 W )} ・ ・ ・ (1)

     ρ:複合材料の密度[gflcm3]

     W:空気中における複合材料の重さ[gf]

     W :水中における複合材料の重さ[gf]

     ρ、:測定温度における水の密度[gfγcm3]

   σ :空気の密度(σニ0.OO12)

Vf一(p 一p .i )/(p.一p .,) ・・.・・(2)

   Vf:複合材料の体積比    ρ:複合材料の密度

  ρ・、:A6061アルミニウム合金の密度

     (p ., =2.700)

   ρ.:ウィスカの密度  (ρ。=3.000)

3

2.98

2,96

㌦、_,異_..,、_曜

    口

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4     29     92   2

起bo\倉鴇ωO

2,9

2.88

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1

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    6       4       2    q      O      O

3.4 密度変化

 アルミナゾル添加による複合材料の密度変化を(1)式よ

      0     2.86

       O 2 4 6 8 IO 12

      Altmiina sol f massO/e

Fig.7 Changes of density and volume fraction of the whiskers with alumina sol content.

一37一

(4)

津山高専紀要第41号 (1999)

アルミナゾル添加量が増えるにしたがって複合材料の密 度,ウィスカ体積比とも減少する.これはアルミナゾル添加 によりプリフォーム強度が増加するため,同一加圧力では 変形度は小さくなり,その結果Vfが減少して複合材料の 密度は小さくなるためであろう.Fig.8は硬さとVfの関係 を表したグラフである,A6061合金マトリックスの硬さは 約Hv=50であり,これにほう酸アルミニウムウィスカを複 合して密度測定より得られたVfはO.6〜O.7で通常の高圧 鋳造法によって得られるVfよりやや大きいが,両者は比 例関係にあることがわかる.アルミニウム合金基複合材料 は航空機や自動車等移動体構造部品として使われることが 多く,したがって軽量であることも重要な性質の一つであ ることを勘案するとアルミナゾルは1mass%が適量である.

﹀=o自ooo⊆唱﹄

300

200

1oe

50

O 20 40 60 80

Volume fraction ofthe whisker, Vf /O/o

Fig,8 Relationship between hardness and volume fraction of the whisker.

3.5 電子顕微鏡組織

 Fig9にO・一4mass%のアルミナゾル添加量を含む複合材の 走査型電子顕微鏡組織を示す.いずれも,複合材料の中央 部を観察したものである.棒状あるいは塊状に白く見える のがウィスカであるが,無添加ではウィスカは密に分布し ており,添加量が増えるにしたがってプリフォーム強度が 向上するため,圧縮変形しにくくなり,ウィスカの分布密 度は粗になっている.この結果は3.4密度変化の理由を 裏付けるものである.

4。結 言

ウィスカの高温結合剤であるアルミナゾル添加量を変えた ほう酸アルミニウムウィスカを用いたプリフォームを作製 し,これにA6061アルミニウム合金溶湯を高圧鋳造した.

作製した複合材料の変形度,硬さおよび密度を測定した 後,電子顕微鏡にて組織観察を行い,添加量のちがいが それらの性質におよぼす影響を調べ,以下の結果を得た.

獺鵜灘

難雌

       5ptm

Fig.9 Scanning electron micrographs of the cornposites added

(a) O massO/o, (b) 1 massO/o, (c) 2 massO/o and (d) 4 massO/o of alumina so1.

(1)アルミナゾル添加により,プリフォーム内のウィスカ 同士の接触部がのりづけされたようになることが観察され

た.

(2)アルミナゾルの添加量が増えるにつれて複合材料の硬 さは低下するもののプリフォームの変形度は小さくなり,

密度は減少するが,これはウィスカの体積比Vfが減少す

るためである.

(3)本ウィスカに対するアルミナゾルの添加量はlmass%が 適量である,

 本実験の遂行にあたり,実験にご協力頂いた本校機械工 学科卒業生岡部敬之,櫻井俊之,谷口剛士ならびに松井孝介 準工学士に深く感謝します.

参考 文 献

1)材料技術研究協会編集:先端材料技術とその展望,総合技 術出版,1987.

2)山内利夫他:自動車技術会学術講演会前刷集,975(1997),

1S7.

3)柴田政勝,藤原 敏,西 彰矩二津山工業高等専門学校 紀要,37(1995),5.

4)柴田政勝,西 彰矩:津山工業高等専門学校紀要,40

(1998),25.

5)柴田政勝,竹元嘉利:日本金属学会誌 投稿中,

6) L.J.YAO, G.SASAKI, J.PAN, M. YOSHIDA, H, FUKU−

 NAGA:Metall. Trans., 29A ( 1998) , 1 S 17,

7)四国化成工業(株)編,アルポレックス技術資料,1992.

8)山内利夫,西田義則:日本金属学会誌,58(1994),1436,

一38一

参照

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