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氏名 太田オオタ

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 太田

オ オ タ

ケ イ

所 属 都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 観光科学域 学 位 の 種 類 博士(観光科学)

学 位 記 番 号 都市環境博 第

185

号 学位授与の日付 平成

28

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

A Geographical Study on the Foundation of the Coastal Resort Area in the Post-Growth Society of the Southern Boso Area

(ポスト成長社会の南房総地域における海岸観光地の存立基盤に関 する地理学的研究)

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 菊地 俊夫 委員 教 授 小﨑 隆 委員 准教授 沼田 真也

【論文の内容の要旨】

本研究の目的はポスト成長社会の東京大都市圏の沿岸地域を例として、海岸観光地の地 域変化とその存立基盤を明らかにすることである。産業革命以降に発展した大都市圏の海 岸観光地は、

20

世紀の後半以降の先進諸国において、徐々に衰退傾向を示すようになった。

さらに、

1990

年代以降にポスト成長社会を迎えた日本においては、人口減少や観光施設の 老朽化などの内的課題や、交通条件の変化や他の観光・レクリエーションとの競合などの 外的脅威によって、大都市圏の海岸観光地に新たな変化の諸要素がみられるようになった。

これまで、日本の大都市圏沿岸における観光地域の研究は、高度経済成長にともなう観光 需要の増大を反映した観光地域の成立過程や地域の内部構造の変化にともなう観光地域の 形成過程を対象としたものであった。以上のような研究蓄積に対して、本研究はポスト成 長社会における東京大都市圏の南房総地域を研究対象地域に選定し、海岸観光地の地域変 化と存立基盤を明らかにすることで、大都市圏における海岸観光地の地域構造を解明した。

南房総地域は長い期間、農業や漁業を産業の基盤としていたが、徐々に産業構成に対する 第

3

次産業の割合を高めてきた。さらに、海水浴客の減少や

1990

年代以降に急速に発展し た高速道路網による日帰り観光客の増加は、南房総地域の宿泊事業者にとって深刻な外的 脅威となった。本研究は社会環境や自然環境の影響を広域的なものと、微細地域的なもの の両面から検討するために、分析スケールを南房総地域全体としたマクロスケールととも に、フィールドワークに基づくミクロスケールの調査を組み合わせて地域変化を考察した。

最初に、ポスト成長社会の南房総地域における沿岸地域の変化について分析を行った。

(2)

マクロスケールにおける分析は、房総半島における人口の増減率の時系列変化を検討し、

ポスト成長社会の東京大都市圏における地域的な傾向を明らかにした。その結果、南房総 地域における人口減少が顕著であり、他の地域と比較してポスト成長社会を特徴づける労 働人口の減少が著しく進行していることが示された。さらに、南房総地域の基幹産業であ る農業に着目し、農業的土地利用変化の地域性について検討し、農業経営の結合型に基づ く農業的土地利用の地理的な分布とその時系列的な変化を明らかにした。その結果、

1970

年から

1990

年では伝統的な酪農の衰退と花卉栽培の発展が土地利用変化として示された。

これらの変化の要因は、農家の所得向上を目指した政策と酪農の衰退による余剰労働力の 増加である。ポスト成長社会を迎えた

1990

年から

2010

年では、南房総地域の南部沿岸の 最も温暖な地域において観光需要を満たすための花卉栽培や果樹栽培の進展が海岸線沿い に帯状に広く分布するようになった。つまり、マクロスケールから捉えると、平均気温が 最も高い南房総地域の南部沿岸は、地域の自然環境を生かした春季の観光客向けの農業を 発展させることで観光地域として展開するようになった。一方で、観光に関連する農業的 土地利用の展開パターンに当てはまらない地域は、南房総地域における民宿地域の分布パ ターンと一致する。以上のように、ポスト成長社会の南房総地域おいては、場所性(ロカ リティー)が外的、内的な社会環境の変化に対応できるかがミクロスケールの地域変化を 規定している。

次いで本研究は、南房総地域を代表する民宿地域である南房総市岩井地区を研究対象地 域として、高度経済成長期における民宿地域の成立について土地利用変化をもとに検討し た。その結果、民宿経営の階層分化は民宿開業以前の生業のタイプと規模に規定されてい ることを明らかになった。さらに、本研究はポスト成長社会における民宿地域について、

その存立基盤を社会経済環境、土地利用、就業構造から分析し、民宿地域が該当する「一 次地域」 、民宿を支える就業圏が該当する「二次地域」、民宿の集客圏が該当する「三次地 域」の

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つの地域区分に基づいてミクロスケールからマクロスケールに及ぶ地域構造を考 察した。ポスト成長社会においては、 「一次地域」はそれぞれの地域の「二次地域」と「三 次地域」からなる民宿地域の後背地であるマクロスケールの社会環境を反映して地域の諸 課題を補完していた。具体的には、「一次地域」は地域資源を民宿業に活用するとともに、

民宿業の労働慮不足を「二次地域」から労働力を補完することで対応した。つまり、ポス ト成長社会における民宿地域はミクロスケールにおける地域資源を活用するとともに就業 圏をマクロスケールに拡大させ、集客を集中させることで民宿地域の専門化と維持を図っ ている。

先進諸国における大都市圏沿岸地域の海岸観光地は、レクリエーションの多様化によっ

て衰退傾向にある。さらに、ポスト成長社会の日本の大都市圏沿岸地域においては、人口

減少や農業をはじめとした従前の産業の衰退という課題を抱えている。これらの課題に対

して、南房総地域はマクロスケールの社会経済環境の変化に対応して花卉栽培や果樹栽培

などの農業に転換を図ることで、土地条件をはじめとしたミクロスケールの自然環境を活

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かすことで観光地域へと変容した。一方、民宿地域の専門化も、ミクロスケールで観光地

域を維持し、マクロスケールで補完することで支えられている。以上、本研究の新たな知

見は、ミクロスケールの地域構造が就業圏や集客圏などのマクロスケールの空間と補完し

合いながら結びついていることであり、それらの相互補完メカニズムを解明したことであ

る。

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