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[資料紹介] ロストウ『経済成長の諸段階』

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(1)

[資料紹介] ロストウ『経済成長の諸段階』

その他のタイトル [Material] W.W. Rostow, "The Stages of Economic Growth"

著者 瀬尾 芙巳子

雑誌名 關西大學商學論集

巻 5

号 3

ページ 244‑262

発行年 1960‑08‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00021723

(2)

た︒いわゆる﹁ロストウ理論﹂の待望の書き下ろしである︒本 ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

﹃経済成長の諸段階﹄

│ W . W .   R

o s t o w , h   T e   S t a

g e s   o f   E c o n o m i c   G r o w t h ,   a  N o n   C o m m u n i s t   M a n i f e s t o ,   C a m b r i d g e   U n i v e r s i t y   P r e s s ,   L o n d o n ,   1 9 6 0 ,   P . 1 7 9 + x i i 1  

思考の単一の線の彫琢に集中させることができるような環境を

一九五九年八月十五日号のイギリスの﹁エコノミス

ト﹂誌上に講義要旨として掲載され︑その後いちはやくわが国にも紹介されて︑

ジャーナリスティックな波紋をまきおこし

書の﹁理論﹂の批判的吟味については別稿に譲り︑ここでは諸

家の研究の資料として本書の内容をその重要と思われる点につ

いてできるだけ忠実に紹介することを試みた︒成長理論と歴史

ロストウ

i

からの一年間の休暇

s ab b a ti c a l  l

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中に︑一九五八年秋

Ca

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において学生に﹁工業化の過程

Th eP

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  of   ln d u st r i al i ,  

I ns t i tu t e  

理論の彫啄のための一助になれば幸いである︒

山木村健康教授﹁フルシチョフの挑戦への回答ーロストウ教授の

0

︱ 二

1 ‑

ロストウ教授のこの近著は︑教授の勤務する

Ma

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( M・ I .  T . )  

(3)

245 

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

z a t i

o n ﹂という題でなされた講義に由来するものである︒ロス

‑ 0

年代半ばに私が

Ya

le

学の学生であったときになされた決心をみたすもの﹂であると

いわれる︒かれの当時の課題は︑第一に現代の経済理論を経済

史と関聯づけるという比較的狭い問題と︑第二に経済学を社会

的政治的諸力に関聯させるというより広い問題とに職業的に従

事しようということであった︒こうした問題意識のうちには

K .  

Ma

rx

の方法が念頭におかれている︒そして現在ロストウ

教授の意図するのは

Ma

rx

の方法に対して

an

l t   a

e r n a

t i v e

を準備する﹂ことであった︒

こうして本書のつぎの各章を瞥見できる︒

それゆえに本書

が︑マルクスの唯物史観に代るなんらかの理論経済史の体系を

打ちたてようとするものであることには疑いもない︒その場合

に﹁教養あるしろうとの読者に短かく簡単にあたらしい理念を

表現する﹂ことを志して通俗的な表現で叙述されているのであ

るが︑しかしこうした現代アメリカの知識人の間に流行の平易

化の傾向は︑それが﹁これまでずっと学んできたものを統一す

る﹂ことを目指すかぎり︑教授自身の体系の核心や厳密さを回避

するものでは決してないと期待してよい筈である︒

( P r e

f a c e

)

0

五つの成長段階ー要約

飛躍の前提条件

Th

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飛躍

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成熟傾向

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大衆的高度消費時代

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Co

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n 

ロシャとアメリカの成長

相対的成長諸段階と侵略

これらの諸章は教授の歴史理論の筒潔なレジメを構成してい

る︒そしていわゆる成長段階論が米ソの経済競争とか平和問題

とかいった現代において脚光を浴びつつあるきわめて実践的な

問題と結合し︑しかもそれに教授の理論によって具体的な回答

を提示している点に︑政治経済学を放棄しがちな近代経済学の

味することにしよう︒

のである︒そこで以下各章の論理の展開に従ってその内容を吟 なかでの異色を放ち︑研究者の興味をそそられることにもなる マルクス主義︑共産主義と成長諸段階

第九章相対的成長諸段階と平和問題

(4)

ついでロストウ教授による成長諸段階はつぎの五つに区分さ

の現代史の範囲を一般化する方法をあらわしている︒この一般

化の形態は一聯の成長諸段階である︒⁝⁝これらは経済成長に

p . )

︵傍点引用者以下同じ︶と述べて

いる︒すなわち本書で志向されているものはいわば一種の理論

経済史なのであるが︑それは﹁一聯の成長諸段階﹂によって一

般化され︑伝統的社会における﹁衝撃﹂が過程を開始し︑﹁規

則的成長﹂がいごにおいて現われる経緯から構成されるのであ

る︒それは﹁現代史についての

K

・マルクスの理論にある二者

択一をつくる﹂ものである

0

( P o )

マルクスの史観にたつ理論経済史では︑生産力と生産関係との

具体的な存在形態とその絡みあいの推転を基軸として分析が行

︑ ︑

われるのであるが︑ロストウ教授の視点は︑生産力のみの量的

im

pu

ls

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である︒この両者の二者択一性をまずここでおさえておく必要

精神構造の未熟さ 本書の序言においてロストウ教授は︑

I I  

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

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ak

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f J  

] l

﹁成熟傾向﹂固﹁大衆的高度消費時代﹂の五

つである︒ここで︑はじめの伝統的社会を初期条件とすれば︑

つづく四つの段階は︑ひとたび衝撃により八離陸>takeoff

を開始した生産力が量的に増加していく波動をあらわす︒この

波動は始めがあって終りがない︒またこの場合に︑生産力の波

動を起すところの﹁衝撃﹂の作用する外的条件の性格や初期条

件である﹁伝統的社会﹂の構造は二次的なものであり︑本来の

シェーマからは捨象されてしかるべき命題である︒こうして﹁す

べての社会はその経済的次元において︑五つのカテゴリーのな

かの一っにあるものとして判別されることができる︒﹂︱

P )

それではこのような仕方によってみぎの五つの成長段階のそ

れぞれがいかにして識別されるかをみてみよう︒

まず﹁伝統的社会とは︑その構造がニュートン以前の科学と

技術︑および自然界に対するニュー・トソ以前の態度に立脚した

限られた生産函数の内部で発展した社会である︒﹂︱

E )

もちろ

んそれは静態的な過程ではなく伝統的社会的にも産出蓋の増大

ce

il

in

g

あったのである︒﹁生産性の水準は現代科学︑その応用および

i n a c

c e s s

i b i l

i t y  

れる︒すなわち

H

﹁伝統的社会﹂口﹁飛躍の前提条件﹂国﹁飛 六六

(5)

247 

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

5  (

E )

こうして生産性の制限性←農業社会←階層的社会構造と

いうシェーマがそこから引きだされる︒︵これは技術的生産力

説にはほかならない︒

A

はじめに技術なかりき>︒だがなぜそ

うだったのか?また当時の生産構造はどんな一般的性格・形態

を有していたか?ロストウ教授の一般化はそこには及ばないの

である︒この時代を特徴づける土地所有に甚礎をおく﹁家族的

氏族的結合の支配﹂という一語だけでは︑一六世紀以前のヨー

ロッ︒^経済史の水準がどこにかくされたかと思うのは筆者だけ

さて﹁伝統的社会﹂の胎内から﹁飛躍の前提条件﹂が生まれ

る︒これは﹁一社会が︑維持された成長のために自ら準備する

ーまたは外部の諸力によって準備される1

‑ m )

である︒一七世紀終りから一八世紀はじめにかけての西欧

とくにイギリスがこれに該当し︑それは﹁現代科学の洞察が・・・

:︑︑︑︑

( 6

)

⁝新しい生産函数に翻訳され始めた時﹂pとして規定され

る︒まず︑それは投資率の増大として現れる︒﹁変化する生産

われは結局過渡期の本質は︑規則的・実質的かつ認知されるよ︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑うな人口成長を越える水準への投資率の増大として正確に記述

‑ m )

だか投資率の増大は飛躍の究極の原 源開発産業の生産性の増大﹂とove

rh

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c a p i

t a l

因であることを意味するものではなく︑科学・技術の変化により起動させられるものである︒﹁要するに︑経済学者が過渡期を要約するために思いうかぺる投資率の増大は︑社会の有効な態度の基礎科学及び応用科学へ向っての•生産技術における変化の創始・危険の引受け・仕事の諸条件や諸方法に向っての・

観においては︑科学的発明の応用や技術革新が飛躍の発端にお

ける﹁衝撃﹂として典えられ︑いごの﹁投資率の増大﹂が過渡

期の特徴をなすのである︒

︵マルクスの史観においては過渡期

とは生産様式の推転として把握されるのであり︑封建制より資

本制への移行の問題として提起されている︒マルクスの理論に

よればこの推転の構造的性格は一回限りのものとして︑その意

味で具体的に提示されているが︑ロストウ教授のカテゴリーは

この点の立ちいった検討

t r a n

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o n  

歴史的に代替可能なものである︒︶

は重要であるが別稿に談り︑過渡期

起される二つの問題をみよう︒それは︑日﹁農業および天然資

ロ﹁社会的共通資本

s o c i

a l

の重要性との二つである︒まず前者につ

いていえば﹁一般的な意味で︑近代化は大量の経営資本とみな

される︒そしてこの経営資本の大部分は農業や天然資源産業の において提

(6)

源のこのような近代的利用のために不可欠なものとなるからで

(g

i )

つぎに発展

1 1

ta

ke

o f f

それは﹁農 ﹁中央政府の指導性﹂が資 格を帯びていること︒これらの理由のためにこの種の資本建設は︑政府の介入の重要さをいみすることになる︒一四よ

i)

うして鉄道等の投資の技術的性質がまずここに特徴づけられている︒このような技術的基礎の上に︑政治的な国家主義

Z at i

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li

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の環境が理論づけられる︒ 曰利澗取得が社会的・間接的性 ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

より高い生産性によって達成された産出量における急速な増大

農業が移行過程において演

ずる役割はつぎの三つに要約される︒すなわち︑日人口の増大

をまかなうより多くの食物の供給︒口農業における実質所得の

増大が租税や有効需要の源泉として近代的産業部門の発展を刺

戟すること︒国近代的部門への貸付可能基金の供給︒一口〜︶

︵こうして発端としての農業生産の社会

1 1

経済的構造が︑その

内部のいかなる要素を基軸として︑いかなる﹁近代的﹂生産様

式に推転するかというシェーマはまった<問題とはされていな

い︶つぎに後者の﹁社会的共通資本﹂は一1

それは︑日懐妊期間と償却期間とが長いこと︒ロ一般に瘤塊的

lu

mp

y

な性格を有すること︒

ば︑国内的に製造された消費財に対する有効需要の急速な成長

は︑企業家の手中に増大する所得の流入をもたらし︑それがか

れらの生産能力を拡張させて︑工業原料・半製品・襲造品への

匹 心 ︶

年と推定されている︒

業・主業における技術的発展の大波﹂︱

R )

である︒そこにおい

て﹁規則的成長

r eg u

l ar

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の達成﹂がなされる︒こう

した飛躍の開始はある﹁刺戟

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us

それは政治的革命・技術的革新・有利な国際的環境等の形態を

とる︒飛躍のための十分ではないが必要な条件は︑まず日国民

所得に対する純投資の割合が例えば五︒ハーセソトから一0︒^l

セント以上に上昇することであろう︒それは投資の蘇・性格・

生産性・所得配分の型および人口状態に依存する︒また口高い

成長率をもった一っ以上のしっかりした製造工業部門の発展︒

国成長に必要な政治的・社会的および制度的構造の存在または

急速な出現︑が挙げられる︒︵戸よ

3 )

この段階はもっとも全

般的な工業成長のまたは大規模工業の成熟した時期を基準とす

れば︑イギリスでは一八一九

l

四八年︑アメリカでは一八六八

l

九三年︑ロシャは一九二八

l

0年︑日本は一九

00

ー ニ

0

ロストウ教授のツェーマによれ

こうした時期の企業性

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(7)

249 

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ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

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の源泉として︑新しいエリートの出現が大いに

I P o s

)

﹁飛躍のための必要条件は︑農業

家階級が︑新技術・土地保有制度・運輸設備・市場・信用組織

形態によってかれらに開らかれている可能性に同意し︑かつ反

応しうるということである︒﹂︵紅ー戸︶さらにロストウ教授は

いわゆる総計分析

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を批判し︑﹁総計n

ag

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は短期的所得分析のためには有用であるかも知れないが︑成長

の分析にもちこむ場合には︑それらは例証するより以上のもの

を隠蔽するものである︒﹂︵四︶として︑総計分離法

di

sa

gg

re

,

飛躍における指導的な諸部門について吟味

している︒すなわち経済部門は︑日基礎的成長部門︒口補充的

成長部門曰派生的成長部門の三群に分かたれるが︑もっとも重

要なのは

H

であり︑その拡張は外部経済性その他の二次的効果

をもつものである︒一戸ー店︶こうして︑

因はつぎの諸点に要約される︒日産出高の急速な成長率の基礎

をなすところの諸部門の生産に対する有効需要の拡大の存在︒

歴史的にはこれは所得の消費または保蔵から生産的投資への移

転︑資本輸入︑投資の生産性の鋭い増大︑消費者実質所得の増

加によりもたらされる︒口生産能力の拡張とともに新しい生産

函数のこれら諸部門への導入︒国これらのキイ部門の飛躍を発

生させるためにまず必要な資本を社会がうみ出すことができる

こと︒これらのおよび補充的部門における高率の報酬

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ou

gh

ba

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の存在︒四指導的部門は他に対し活発的な影響力をもっ

ものであること︒一咋︶こうして結局︑﹁飛躍は︑生産方法に

おける急進的な変化と直接に結合し︑比較的短期間に決定的な

連続性をもった工業革命として定義される︒﹂のである︒

Th e

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段階に到達する︒それは一言でいえば﹁社会が近代的技術の知

識の範囲をその大最の資源に有効に応用してしまった時期﹂で

あり︑旧来の部門での﹁減速﹂

d ec e l er a t io n

が拡張のペース

アメリカでは一九

00

ロストウ教授による成長段階の区別(年)

飛躍の時点成熟の時点

ア メ リ カ ※

184360  1 9 0 0  

イ ギ リ ス

1783 1 8 0 2   1 8 5 0  

ド イ ツ

185073  1 9 1 0  

フ ラ ン ス

183060  1 9 1 0  

スェーデソ

186890  1 9 3 0  

日 本

1878 1 9 0 0   1 9 4 0  

ロ シ ャ 1890 1 9 1 4   1 9 5 0  

カ ナ ダ 1896 1 9 1 4   1 9 5 0  

中 国 ※ ※

1952

イ ン ド ※ ※

1952

〔出所〕

W.W. Rostow. The Stages  o f  Economic Growth p . 3 8 .  p . 5 8 .  

※アメリカについては,飛躍に二

つの時期を認め,

1 8 4 0

年代は主に東部

の鉄道と製造工業嗜そをおいていた

1 8 5 0

年代は外国本の流入を伴う

中西部の鉄道にきそをおいていた。

何れにせよ南北戦争の開始までには,

北部と西部のアメリカ経済は,重工業 部門のいきおいを以て飛躍に入ったと

規定されている。

( P . 3 8 )  

※※イソドと中国については, 「飛躍

への努力が成功したかどうかを判断す

るにはなお時期爾早である」

( P . 3 8 )と

している。

(8)

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

年︑イギリスでは一八五

0

年︑フラソス・ドイツでは一九一

0

の時点以後がこれに該当しその産業的基盤は︑石炭・鉄・及び

鉄道関係の重工業から︑工作機械・化学・電力設備へ移行す

0

( P o )

﹁形式的にはわれわれは成熟

ma

tu

ri

ty

を︑ある経

済が︑その飛躍

t ak e , of f

に力を供給したもとの産業を越えて

進み︑近代的技術のもっとも進歩した果実を吸収し︑かつその

非常に広範囲な資源に有効に応用する能力をあらわすところの

段階として定義することができる°﹂

‑ P o l )

こうして﹁成熟﹂と

はなによりもまず技術的成熟として規定せられる︒国民所得の

問題はむしろ二次的なものである︒﹁一人当りの所得ー及び

通常一人当りの消費ー—は成熟傾向において増大するであろう

けれども技術的成熟と一人当り実質消費の何らか特定の水準と

の間には何らの固定した結合関係は存在しない︒飛躍ののちの

これらの諸変数の径路は主として社会の人ローー資源バラソス

とその所得分配政策に依存しているのである︒﹂﹁成長の過程は

・・・一人当り所得を増大させるが︑しかしそれは諸国内の又は一

国内の諸地域さえもの一人当り所得の斉一性には導かない︒

 

技術的にいわば富裕と貧困との双方の成熟社会が存在するので

ある︒﹂一旺ー紅︶こうして︑飛躍←成熟へのライソは︑なにより

` ヽ

も技術的進歩の波動として措定され︑成長率の衝撃←規則的成

における鉄道以後の時代︑鋼鉄・エ作機械・化学・電気の時代 産関係の内的変遷を意味するものではない︒︶それゆえにつぎのような定言がなされる︒﹁共産主義者の指導目的から生じるある特殊な合言薬にも拘らず︑ソヴエトの一九二九年と例えばスクーリソの死との問の経済成長の広汎な型は︑西欧やアメリカの一九一四年以前の数一

0

年のそれと同様である︒これはロシャ

かくして﹁その大体の型と時点において︑ロシャの

前提条件・飛躍・技術的成熟傾向の継起については︑一般的な

ということに型の内部に入らないようなものはなにもない︒﹂

さてかかる力学的波動はさらにあらたな局面へと展開する︒

ロストウ教授の方法によれば︑マルクスの理論にも拘らず︑﹁成

熟への途はその内部にその零落の種子をではなく、…•••それ自

身の修正の種子を有していた︒﹂

‑ m )

それらはつぎの三つの要

因に集約される︒日労働力︵構成・実質賃金・熟練度︶の変化︒

口指導

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の︹管理的︺性格︹への︺変化︒国社会の

工業化への飽満状態︒一印ー

m )

こうした条件のもとで﹁市民

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‑ m )

ことが課

題となり︑ここにつぎの﹁大衆的高度消費の時代

Th eA ge

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長←減速の過程として定式化される︒︵それはけっして特定の生

(9)

2.51 

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

﹁アメリカ人はあたかも彼らが消費 J 消費に対

Hi

gh

  Ma

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on

su

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ti

on

は︑﹁一人当りの実質所得は︑大多数の人々が基礎的食料・宿

舎・衣料を越える消費に対する支配を得ている点にまで高まっ

た﹂ことにより特徴づけられる︒そこでは指導的経済部門は

‑ m )

する関心が増大し︑社会福祉や社会保障への割り当てが問題と

なる︒︵呼ば︶この段階における目標はつぎの三つに大別せ

られるであろう︒すなわち日は外延的力と影響力との国家的追

求であり︑口は累進課税によって所得を再分配する力をふくむ

福祉国家の追求︒国は消費水準の拡張である︒

( m

5)

らの諸目的の間で社会は撰択の可能性と必要性をつくり出し︑

さまざまなバラソスを打ち出した︒﹁各の場合におけるバラソ

スの独自性は︑地理︑旧来の文化・資源・価値⁝⁝政治的指導

‑ m )

西欧・日本・ソ連も一九五

0

年代

にはこの段階を模索中なのであるが︑アメリカではもはやこの

段階を抜け出しつつある︒アメリカでは︑消費飽満状況ともい

うべき風土が支配し︑﹁アメリカ人は経済的保証と高度な大衆

消費を提供した制度下に生まれたので︑彼らは⁝⁝実質所得の

追加的増分を獲得することにあまり高い価値をおいていないよ

の余剰単位のために余剰の赤ん坊を生んでいるかのように行動

Pr

od

uc

ti

on

J 

以上︑ロストウ教授の五つの成長段階について︑原著の表現

にできるだけ忠実に要約的に記述してきた︒これらの諸段階を

教授が﹁生産の動態理論a

Dy

na

mi

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Th

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ry

 o f

 

とよぶところの理論が明らかにされているので

ある︒そこでここではみぎの動態理論を簡単に瞥見しておくこ

まず︑冒頭に触れたように︑ロストウ教授にとっては︑みぎ

の歴史は同時に理論を構成するものにほかならない︒すなわち「これらの諸段階は単に記述的なものではない。•それらは単に

近代社会の発展の継起についてのある事実的観察を一般化する

方法ではない︒それらは内的論理と継続性をもっている︒それ

︑ ︑

らは生産の動態理論に根ざす分析的骨格構造をもっている︒﹂

( m )

ロストウ教授によれば︑生産の古典的理論は︑長の過程にもっとも関連する諸変数を氷結する'~または一回

限りの変化のみを許す│ーところの本質的に静態的仮定の下で

][ 

さらに古典的生産理論をケイソ

(10)

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

ズの所得分析と結合する場合でさえも︑人ロ・技術・企業関係

等の動態的変数の導入はまった<硬直的

r ig i d

かつ一般的

ge

ne

ra

把握し得ない。それゆえに、われわれは、消費・貯蓄•投資の lなので︑経済史家が扱うような成長の本質的な現象を

間の所得分配︵および消費財と資本財との間の生産均衡︶を遊

 

離させるのみではなく︑﹁直接的かつ詳細に︑投資の構成や経︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑済の特定諸部門内部の発展に焦点をおくところの︑生産の動態

理論﹂を必要としているのである︒こうして﹁生産理論につい

ての慣習的な限界が広げられる場合には︑全体としての産出高・

投資および消費についてのみならず︑経済のそれぞれの部門

の理論的な均衡的位置を明らかにすることが可能である︒﹂﹁産

出高の全体的水準を決定する諸力によって定められる構造の内

部に︑部門別最適位置

s ec t o ra l op ti mu m  p

os

it

io

n

が︑需要

の側面では所得や人口の水準・嗜好の性格によって︑また供給

の側面では技術の状態や企業家の性質によって︑決定される︒﹂

このある部門にとっての通常の最適径路には減速度

d ec e l ar a

t io n

という﹁極度に重要な経験的仮定﹂が導入されねばなら

0

(;

;;

)

不完全性や政府の政策︑戦争の衝撃によって歪曲される︒にも

拘らず最適の部門別径路に接近しようとする型体がつらぬかれ

急進的な成長局面はこのような﹁生産函数の非連続

性﹂とともに︑また﹁高い需要の価格または所得弾力性﹂にも

由来する︒﹁指導的な諸部門は単に技術の流れの変化や企業家

が利用可能な革新を受け容れる欣然さの変化によって決定され

るのではない︒それらはまた部分的には︑価格・所得またはそ

の双方に関する高い弾力性を示すところの需要のクイプにより

勿論ここで︑資源に対する需要が︑単に私

的な嗜好や選択によってのみではなく︑また社会的決定や政府

︹ 注 ︺

の政策から生じるということが決して見逃がされていない︒

W . W .

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1

9 5 2 ,

(

 

0

稿

る傾向にある︒こうした経済成長において指導的部門の演ずる

役割は重要である︒経済の全般的なはずみを維持するという意

味で︑経済をその指導部門の見地から特徴づけることが有用で

(11)

253 

経済成長の諸段階についてのシェーマの提起と︑その理論化 に続いて︑本書の四章は︑米ソの経済成長の問題にあてられて いる︒いわゆる﹁米ソの経済競争﹂は現代の主要な論題の一っ であり︑本書のユニークな特色もロストウ教授の方法論がこの

︑ ︑ 現代的課題に対して︱つの見方を提供している点にある︒そこ でこの問題についてのロストウ教授の接近方法とその解答の仕

方を要約してみることにしたい︒

の性質と意義﹂をしらべることである︒その場合に教授の成長 段階論をもってすれば直ちにつぎの結論に導かれる︒

れるべき最初の点は︑過去の世紀に亘るロツヤの経済発展は:・

なわち歴史的生産様式を捨象して成長率に歴史を還元する限

② 

り︑米ソの発展の型は全く同一であった︑というのである︒︶

このソヴニトのアメリ

しかしここに大きな条件が附せられていることに注目しなけ ればならない︒すなわち︑﹁工業産出高の水準における約一︱‑+

五年の遅れと︑工業における一人当り産出高の約半世紀の遅れ

にも拘らず﹂一料︶ということである︒

ロストウ﹃経済成長の諸段階﹄

まず︑ここでの課題は﹁合衆国とロシャとの比較的成長径路

IV 

力に対する遅れの評価は︑この問題についてのアメリカの識者 の見解のなかでもソヴニトの経済成長力の過少評価の最右糞を

③ 

代表する

G .W .

  N

ut

te

r の研究に依拠している︒﹁遅れの年数 についてみた︹米ソの︺相対的地位は︑大ざっぱにいえばおど ろくべきことに一九一三年にあったところに一九五五年におい ても止まっている︒﹂︷紅ー巴このような遅れの計算については 勿論ソヴニトの研究資料が反論を加えていることはいうまでも

ない︒この点は米ソ経済競争論の重要な一論点をなすのである が︑ここではナックー教授の研究に依るロストウ教授の論争上

の位置を指摘するにとどめ︑ただちに進んで︑ロストウ教授の 米ソの経済成長の主要な差異の摘記をみることにしよう︒すな わち︑日飛躍の前提条件の創造はその非経済的次元においてロ シャでは全く異なった過程であること︒ロアメリカの一人当り 消費は成長の各段階においてロツヤより高いこと︒国ロシャで は成熟傾向は封鎖的経済と戦争の背景のもとに生じ︑このこと

が消費の増大を制限したこと︒︵這ー痒︶こうして﹁消費をこ

える支出の型﹂が軍事的潜在力に関連する重工業における投資 に集中してきたという理由が︑﹁より以上のソヴニトの経済成 長が西欧世界にとって危険である﹂という問題を提起すること となるのである︒かくして最近のソヴニトの急速な経済成長が

参照

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実験の概要(100字程度)

添付資料 4.1.1 使用済燃料貯蔵プールの水位低下と遮へい水位に関する評価について 添付資料 4.1.2 「水遮へい厚に対する貯蔵中の使用済燃料からの線量率」の算出について

添付資料 4.1.1 使用済燃料貯蔵プールの水位低下と遮へい水位に関する評価について 添付資料 4.1.2 「水遮へい厚に対する貯蔵中の使用済燃料からの線量率」の算出について

添付資料 4.1.1 使用済燃料プールの水位低下と遮蔽水位に関する評価について 添付資料 4.1.2 「水遮蔽厚に対する貯蔵中の使用済燃料からの線量率」の算出について

① Besides  receiving  a  B.A.  in  psychology  at  U.C.L.A., I studied early childhood education at  San Francisco State University in the graduate  program