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販売促進に関する若干の問題

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(1)

販売促進に関する若干の問題

その他のタイトル The Definitions and Concepts of Sales Promotion

著者 山崎 紀男

雑誌名 關西大學商學論集

巻 6

号 5‑6

ページ 275‑293

発行年 1962‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/10112/00021680

(2)

275 

ず︑広狭二義に分かち︑

② 

即ちその定義は

(

8

年 定 義 ︶

1

阪売促進という用語が一般的に用いられているが︑多くはそのもつ意義を厳格に規定した上で用いられてはいな

いのが現状である︒勿論社会現象一般に通ずることではあるが︑その実体を把握すること自体にも︑諸現象との連

関︑類型の多様性︑更にその移り変りゆく姿の複雑性などの困難性が伴っているので︑販売促進についてその本質

を明らかにする努力が実り憎いというより︑現象の変化に眩惑されているのが現状といえよう︒従ってその場

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の必要に応じた観察と表現は行なわれてきているが︑

はいえない︒僅かに清水晶教授がその接近を試みつつある程度である︒販売促進の用具とその技法的展開が最も

進んでいると一般に信ぜられている米国においても︑技法の開発導入と展開に追われるままに︑実践上のみならず

学界においてすら︑その用語は不統一で概念付けが不明確である︒試みにこの種研究の代表的団体である

A M A ( A m e r i c a n   M a r k e t i n g

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においても用語の定義委員会が決定した販売促進の定義は逐に一本化され

一般の常用二傾向︵大別して︶をそのまま採用してお茶を濁ごすに終っていた︒

販売促進に関する若干の問題

一般的なその形態の類別化や機能の分析は必らずしも充分と

販 売 促 進 に 関 す る 若 干 の 問 題

山 崎 紀 男

(3)

脳舟臣学幾足匡ヤ心梱

H‑Q

匡墜(ヨ窒)

11  (1)  In  a  specific  sense,  those  sales  activities  that  supplement  both  personal  selling  and  advertis‑ !  ing  and  coordinate  them  and  help  to  make  them  effective,  such  as  displays,  shows  and  exposi‑

tions,  demonstrations,  and  other  nonrecurrent  selling  efforts  not  in  the  ordinary  routine. 

(2)  In  a  general  sense,  sales  promotion  includes.  personal  selling,  advertising,  and  supplementary 

selling  activities. 

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(1961

母製樅)

(1)  In  a  specific  sense,  those  marketing  activities,  other  than  personal  selling,  advertising,  and  publicity,  that  stimulate  consumer  purchasing  and  dealer  effectiveness,  such  as  display,  shows  and  exhibitions,  demonstrations,・  and  various  non‑recurrent  selling  efforts  not  in  the  ordinary 

routine, 

(2)  In  retailing,  all  methods  of  stimulating  customer  purchasing,  including  personal  selling,  ad‑

vertising,  and  publicity. 

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(4)

277 

ったのであったが︑可なりダイナミックな含みを持たせる表現に変っている︒山の定義は6

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としてある

から1948年の場合も販売促進の比較的具体的な使い方を見て︑

いものがあるところから︑依然として定義を一般的なものを田

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一般の用語使 とに定義付けが行われたような印象を受けるにとどまっていた︒然るに1961年においては阪売をマーケティングに

置きかえることと宜伝を加え更に販売促進の自主性を一層確立することによって︑前回の広義の定義を独立させる

ことを不要とし︑広義のものに含まれると思われる具体的活動をも包摂しうるダイナミックな概念規定を行い︑そ

れによって︑販売促進の定義を一本化したのであるが︑尚再生産の最終過程で︑商品の価値実現の先端における小

売段階の販売促進に含まれる諸活動に対し用いられている用語の一般的使用が︑末だその定義にそのまま含め得な ②小売においてはと二分したの

であろう︒然し一本化の方向付けとして今回は特に註

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を加え︑委員会として一般の用語使用に委員

会が決めた田の定義に統一することの希望を述べているのは注意に値いする︒

④ 

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右の如き定義付けが販売促進の本質を充分捉えたものであるか否かは︑なお充分検討の余地があり︑それが適確

でなければ︑現象の変化に伴って又今回の如き定義の変更を駆々繰り返さねばならぬことともなる︒

用が果たして委員会の期待に副いうるかどうかは︑その定義自体の妥当性と現象自体の安定性にあるといえよう︒

販売促進に関する若干の問題

一方多少好ましい使用法として方向付けの意図のも

(5)

販売促進に関する若干の問題

 

従って無理な押しつけは定義でいう販売促進ならざる販売促進を生むことともなろうから徒らに速効的統一は避く べきであろう︒と言って漠然たる用語の使用は慎しむべきは当然であろう︒こうした点から吾々は販売促進の実体 把握とそれを通じて本質の究明に一層の努力をはからねばならない︒

そこで実践に研究に︑早くより販売促進を問題とせる先進国である米国において︑それが如何に理解されている 販売促進は元来販売自体と共存し●促進されることによって販売の機能は一層充たされるものである︒従って販

売と促進活動を完全に分離することは困難である︑その一部が今日分離されて組織化され強化された上で︑阪売活 動に改めて加えられ︑その積極的な刺戟により販売活動を一層活澄にしているのである︒その分離の過程は阪売促 進を必要とする諸条件の発生を見た上での自然発生的な実践的展開に伴っていることを忘れてはならない︒従って 阪売促進は始めは素朴な而もその場の必要を充たす程度のものから︑漸次計画的組織的活用という近代化を見てき たものである︒然し現状販売促進は近代化の方向にはありながら︑近代経営におけるその活用については他の分野 における近代化の程度に遥かに及ばない︒手法はとにかくとして適格な目標の合理的達成の可能性において︒これ

は企業内部の合理化が先行し︑

の盛衰がかかりながら︑販売は生産の下に立ち︑販売技法は経営の要請に答えうる状態に進まないのが常態である

ためである︒それは

AMA

の定義よりしても︑以下述べる米国の実情よりもそれは知り得る︒

阪売促進を歴史的に探ぐる試みは未だ行われていることを知らないが︑

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に述べら

れているところでは︑

しかも外部経済支配力の強化を急がざるをえない企業の宿命であって︑販売に企業 その近代的活用は科学的管理法の阪売面への溝入実践者で﹁近代販売管理の父﹂として知ら

かを次に著作を通じて見ることとする︒

(6)

客開拓には熱必でありながら︑

れている

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の創立者

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1875年︑間接販売促進策として

設けた得意先サービス部が︑その代表的なものの一っとしている︒得意先サービス部は阪売代理人が兎角新規見込

レジスクー買付けの得意先に対する追加販売を忘れ勝ちである点に着眼し︑得意先 の繁栄のための具体的経営指禅援助策を実施して︑結果としての販売増進に寄与したと記されているが︑同社は今 日も販売促進の重要な要素として︑なおこのサービスを行っていると言われている︒かかる画期的な企ては別とし て、その以前において既に広告に対する照会処理上の回答が、漸次担当部と専任者による回答•印刷物の発送へと 発展し︑更に担当地区セールスマンヘの連絡指図による販売行動への援助というが如き︑促進技法の開発が行われ ていたというから︑それらにより恐らくその当時進みつつあった広告の近代化の上に新たな実践的販売促進を加え 販売活動の積極化と近代化が進み︑新たな販売時代の第一歩を歩み出したものとしてよいであろう︒

帳簿中の休止口座や不活澄口座の得意先についての直接処理が販売促進用の印刷物の発送にまで発展せることも︑

その起源が略々時を同じくしていると言われるから︑今日見られる多くの販売促進技法が経営目的達成のため既に その当時近代的な形で販売と結合し始めたものと考えられる︒

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の通信販売卸商たる

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1910

年に小売店巡回指導のため設けた販売増進指禅員制度なども注目すべき一例として知られている︒

販売促進が歴史的にその型態上の発展が見られたことも容易に推察出来よう︒定義付けの変化︑諸学者の概念規 定︑解説の多様性の中にも︑叉実践的業務処理方式の推移から見ても︑経営の近代化に伴った発展が生じたのは当

Eぃ然である︒清水教授は

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の言葉を借りて阪売促進が直接販売から出発して次に︑広告が加 わり︑潮次それらの二者の個別的活動から︑其他の用具を加えて今日の如き統一化と綜合化が生み出された阪売管

販売促進に関する若干の間題

(7)

販売促進に関する若千の問題 ⑧ 

理実践の歴史的過程を指摘して︑それにつきその著﹁販売促進﹂中には一層明確にその発展に触れていられる︒桐

︐ 

田尚作教授も又︑販売員活動が最も古くから行われた販売促進方法であり︑広告がその補足をしたこともあり︑ニ

者が並立せることもあり︑広告がその中心となっている場合もあるとして︑その歴史的変化と環境による適応につ

いて述べている︒他方米国においては販売管理︑小売経営︑

いて販売促進が論ぜられているが︑或は出版の年代的に︑時には問題とすべき点とその主体の差異から︑その内容

は雑多に亘っている︒然しいくつかの類型に分かつことは必ずしも不可能ではない︒

それらは阪売促進の機能を中心に本質を明らかにしようと力めているものと︑経営の業務組織の中での販売促進

業務分掌からその位置付けをしようとする実践的販売活動よりの接近を企てているものとの二つに大別出来る︒前

者にしても需要に対する接近の方法が︑単に情報伝達や︑注意喚起︑潜在需要刺戟から需要創造︑或は一層積極的

な予定販売の実現のための一押しや︑生産なり経営の安定生長のための抵抗排除の競争手段︑攻撃手段や販売高調

節或は利益確保に至るという如く︑阪売に関する多岐に亘る経営の積極的活動が問題とされている︒他方経営管理

者層が実務の面から販売促進を如何に理解しているかを学界の論者と比較しておくことも必要であろうから

S a l e s

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P r o m o t i o n   E x e c u t i v e   A s s o c i a t i o n

の第二回大会

(1 95 9)

における発表を見れば︑それをば﹁一会社の商品又は

阪売業者の能力と意慾を増大させ︑消費者の買気を誘うのが目的で︑用具としての材料は自ら支配しうるものによ

る﹂としている︒その接近を直接行うか︑間接的になすかの点に及べば業務についての接近の仕方に近ずくことに

もなる︒機能を中心に考察すれば︑販売を促進すべき凡ゆる要素が取り入れられうるし︑又取り込まねばならぬが︑

そうなれば︑今日の経営が販売の可能性追求を中心にダイナミックに展開されている丈けに︑経営の殆ど全要素が

︵ 山

崎 ︶

マーケティング或はマーケティング管理等の諸著にお

‑ ノ

(8)

281 

必ずしも解決を見ていない︒

︵ 山

崎 ︶

販売促進の甚礎をなすことになり︑それらをも凡て含む活動を対象として概念付けを行う向も出ないと限らないし︑

それが非現実的だとも言い切れない︒只一般的な用語の常用が現在︑それ程広汎なものまでを含んでいない如く

であるに過ぎない︒業務組織からの取りあげ方にしても人的直接阪売と広告の係りの分離独立︑更に人容事務量の

増大による従来の広告業務以外の広告の独立が一般的に販売促進の業務と担当係りを生み︑それと前二者の存立︑

共存関係の実情から販売促進の概念付けや本質規定を試みることは充分頷けるところでないが︑経営内外において

阪売促進が業務上の便宜と慣例から︑実際上はそうした形で理解されてきているのが実情である︒それをそのまま

⑳ 

販売促進として問題とするところに問題があり︑清水教授をして︑米国の

S a l e s P r o m o t i o n

は常識的な販売促進

又は推進とは異質のものであると喝破させたのも︑その原因はこの点にあるやも知れない︒用語の混乱に悩まされ

dJ ーるのは独り

AMA

の定義委員ばかりではなく

~•R•Kelly

もその著

(1954)

の中において、何と販売促進の定義︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑が混乱し︑誤用され︑誤り理解されているかと慨嘆しているが︑

用語の限定の仕方についてその困難さの中にも︑如何にも米国らしく︑主たる活動方式の種類や用具の名称を掲

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げて︑読者をしてその内容と限界を自ら判断させようという努力が展々試みられている︒これは能力不足の結果と

しての当惑の未であるのか︑直観的に実用性に頼った結果によるものであろうか︒然しこの方法は現実的な厳しさ

はあるにせよ︑その用語のもつ全領域を明らかにし得ない︒そこで賢明な学者はいくつかの方式を併用して適正を

期し︑統一的に綜合的に而も具体的で弾力的な規定を試みている︒

A M A

1 9 6 1

年の定義

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として下した

ものもその︱つであり︑

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E d w a r d s   a n d   W .   H•Howard が

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A d v e r t i s i n g   a n d   S a l e s   P r o m o t i o n ,  

果して何を阪売促進とすべきであるのかは︑

(9)

販売促進に関する若千の問題 ( p . 5 2 1 )  

で説いているところもその好例であろう︒即ち﹁販売促進とは利益ある売上高の獲得を増進する上に直接

的並びに間接的に役立つ処の総ての経営活動を包括する概念である︒従ってこれは広告宜伝或は商品化活動などよ

りも︑又それらの結合よりも一層包括的概念である︒しかもなお販売促進はただにこのような段階に止まるもので

なく︑それは商品の仕入阪売になんらかの形で影響をもたらす総ての販売活動並びにサービス業務を包括するもの

とさえ考えられるに至りつつある︒﹂

前者は生産経営の立場から一般化した考え方であり︒後者は小売経営における販売促進について述べたものであ

まで加えられて行うものも出始めている︒ただ販売促進の効果について るが︑従来それぞれの立場上より見られた双方の見解の相異が漸次近づきつつあることがうかがえる︒それと共に

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⑰ 

販売促進の形態の多様化と内容の充実は一層進み︑近年に至り販売促進が消費者向と業者向に二分され或は社内向

^ ' I n d u s t r i a l   M a r k e t i n g

"

 

財についてより消費財について︑より効果的であり︑従って生産財の販売においては消費財の如き形態での阪売促

進には関心が一般的に少いと︑その理由をあげて述べていることは注目に値いする︒

わが国におけるこの分野の研究は︑米国よりの近代的技法が実践上導入されてきたのは比較的早く︑それにわが

国にて古くより開発されてきた伝統的技法をも加えて︑わが国は米国と共にこの種の近代的技法についての関心は

最も強いといわれているに拘らず︑その近代的活用は必ずしも進展せず︑学問的には更にその機が熟せない憾みが

ある︒現状は米国の研究を咀嘔するのが精一杯で︑大部分はその紹介に終っている︒その原因は主として日本資本

主義の性格と現状に基ずいたものであるが︑米国における販売促進の近代化が広告の近代化とそれの成熟を侯って

それに続いて起っている点から見て︑末だ広告の近代的活用すら充分でないわが国の現状に︑近代的販売促進が実

と ︒

︵ 山

崎 ︶

の著者が生産

(10)

みを以ってしては︑

︵ 山

崎 ︶

用としての導入において充分でないのは自然のことといえよう︒それに拘わらず販売促進の理論研究やその体系化

の努力は技法の実務的導入の進度以上に前進しようとして︑その結果︑実践的技法展開の先導役たらんとする観が

ある︒次にわが国におけるこの分野の研究者についてその販売促進についての考え方を見ることとする︒

清水晶教授は広汎な米国文献の引用とその選択を通じ自説を浮彫せんとし︑生産が需要を前提としながら︑生産

の拡大から常態として消費より供給が大となる結果︑需給適合のための企業の販売努力が必要とされ︑その間に生

ずる市場競争の激化による市場秩序の破壊が起り︑市場競争の離脱には積極的販売活動が望まれる︒価格の自働調

節機能が破壊される結果︑放任せば競争下の成行価格を以ってしては大量生産の維持費増大を支弁し得なくなる危

険もあり︑利益ある目標売上高獲得のため漸次非価格競争の技法としての販売促進が登場することを問題とされる︒

そこで先づ生産が前提とする需要について二つの接近を試みていられる︒その一は破壊された販売を通じての生産

と消費の一致を喚起と刺戟を加えることによって販売の再生をはかることと︑他は市場における生産物の価値低下

を防ぐには新たな市場開拓によるべき点に注意して︑需要創成の可能性とその拡大性を論じ︑それを基礎に積極的

販売活動而もその効力の裏付けとしての消費者の欲求と購買力の弾力性と期待の可能性から需要開発増大の見込み

を説き︑'そのための経営内部組織︑販路関係の整備に合せて機構的販売体制を作り以って︑一般的経営管理技術の

コントロール困難なマーケティングの全過程に販売促進の機能を充分に生かすことによって︑

経営の目標達成を効果的に行うことと結びつけようとする全経営的立場における販売促進を考察し︑従来兎角実践

的必要からの局部的活動とするか︑実践性に乏しい漠然たる概念規定に︑高い位置と実践上の体系を与えられた功

績は大きい︒仝氏は既に機能分析と本質追求の過程から︑実践の歴史から生れた米国諸学者の説くところに満足せ

販売促進に関する若干の問題

(11)

AMA

の定義委員会も前回の定義を徹回して︑昨年の新定義発表によりその立場を明確にした点は既に述べたと ぬ論拠とはならないであろう︒﹂

販売促進に関する若干の問題 ⑱ 

ず︑統一的綜合的概念の必要性と妥当性を主張していられる︒次は仝氏が

A M A 1 9 4

8

年定義を批判しつつ述べてい

る一節である︒

﹁マーケティングの実践の歴史的な過程から見れば︑初めは広告なり人的販売なりが︑今日いうところの販売促

進の遂行の方法であり︑しかも︑それを阪売促進として統一的︑総合的に考えずに︑広告および人的販売として︑

それぞれ個別的に別個のものとして考えたのである︒その結果は広告および人的販売が︑阪売促進よりもさきに︑

一応の既成概念として成立していたものであった︒その後にマーケティングの発展とともに︑それら以外の諸方法

が発達し︑ここにおいて︑広告および人的販売をも統一的︑総合的に包含して阪売促進の概念を考えるか︑あるい

はまた広告および人的販売を除外して︑それら以外の諸方法を総括して阪売促進の概念を規定するかの二つの考え

したがって︑理論的な機能分析によって阪売促進を理解するならば︑むしろ広告も︑人的販売をも包含して︑統

一的総合的な販売促進の概念を形成することが正しいものといわざるを得ない︒⁝⁝⁝かくしてマーケティング政

策の一環として機能的に販売促進を理解せんとするわれわれは︑むしろ広告や人的販売をも包含して広義の概念に

おいて販売促進を規定し︑かつそれに含まれる諸問題を分析し︑考察することができよう︒たとえ実践においてこ

の機能を担当する部門を独立部門として設置する企業経営が増加する傾向が見られるとしても︑そのことが必ずし

も理論的に販売促進を研究せんとするわれわれにとって︑限定された意義においてその概念を規定しなければなら 方が形成されることとなったものである︒

10

 

(12)

285 

︵ 山

崎 ︶

ころである︒統一化綜合化の必要性とそれのもつ危険性にも触れてきた︒社会現象に単刀直入的に定義を下し︑そ

の意義と内容を厳格に規定することが出来るかどうか︒叉好ましいかどうか︒恐らく多数の専門家たる委員の討議

によって認められたものであろうが︑それに果たして全員異議なきや否や︒宇野政雄教授は販売促進の歴史的発展と市場生産における需給の分裂に注目し販売促進の助を借りて始めて長期

的に円滑な販売が可能であるとして︑適正な阪売になるような調整の必要性をといている︒調整を強力に行いうる

機構的整備には触れていないが︑調整という言葉の意味は予期に反せる販売高の実現を計画線に近づける事後的活

動の印象を受け易い︒販売促進の展開については歴史的に移り変りを具体的に説き︑最近における販売店関係︑消

費者関係︑社内のマーケティング部内の調整を含めた社内関係の販売促進活動︵清水氏もマーケティソグ︑

プックに詳述している︶を紹介しておられるが︑主として米国の紹介で自説を打ちたてるに至っていないようである︒

^ 日

5

桐田尚作教授も米国の紹介程度に終っているが︑ただ一九二0年代からの販売促進の近代過程を述べる項で販売

促進につき初期の阪売業者向の一時的なものより得意先としての卸小売向の継続的な直接販売と広告への補足調整

活動として発展したと記している点から仝氏の見方がうかがえる︒

⑳ 

浜野毅氏は﹁販売促進はある商品又はそのプランドについての知識を消費者に与え︑進んではその慾望の刺戟を

計ることである:・⁝﹂として︑更に経営が正常な時ほ商品は予定通り目的の消費者の手に届き再生産は円滑に行わ

れる︑然し普通流通の経路には困難な問題が生じ︑時間的ズレ等が出来︑そこで正常な時の阪売広告の上に︑回転

を早める必要上から︑正常な販売行事を側面より促がす阪売促進活動が導入されるが︑そのためには販売増進の経

営内外の必要性と売れない原因の追求が必要であり︑与えられた経費と時期の制約の上で作戦的に機動的に行われ

販売促進に関する若干の問題

(13)

販売促進に関する若干の間題

ると述べている︒a0 

n

山東茂一郎教授は︑販売経営の要務は消費者需要を巧みに喚起又は創造による増大をはかると共に更に需要の弾

力性を減退させることにより一層その拡大を期し︑それを有効に購買と結びつけるため積極的な進撃を企てること

にあるとするが︑それは本源的需要喚起による需要量の増大を起させるより︑他の売手の商品市場に攻撃を加えて

買手の移転をはかることとしている点は他の学者より攻撃的な表現であることが特色であるが他の部分では︑今日

の販売経営が単なる販売活動を越えて積極的に需要を喚起し或は創造して購買を実現させることがその要務である

﹁販売促進を消費者需要の操縦﹂と規定して︑それには広告を重視し︑他の販売促進の方策と共に非価格

競争による商品の差別化が重要な役割を果すとしているから︑需要創造を無視しているわけでもない︒

なおこの外︑部分的に扱ったものもあるが︑以上がわが国において販売促進につき論ぜられた代表的なものであ

る︒米国の企業における販売促進の機能の効果とわが国の場合のそれとには資本主義の発展の現状とその環境から

くる異質性から︑促進活動を行なう企業の自主性と独占の形態に差異を生じ︑又市場競争も需要の弾力性も社会の

後進性に大きく影響されているから︑販売促進による刺戟︑競争︑効果には大なる関心が持たれながら︑果たして

支出しうる経費で効果があがる実践は必ずしも容易ではない︒米国の如き単純にして強力な用具も果たして充分機

能を果しうるとは限らない︒機能に充分満足を与えるためには多くの前提条件の整備が必要であり︑かくてかかる

前提条件が販売促進の機能を備えてくることとなるため複雑性が増すことになる︒特に阪売促進が究極︑単に売上

増進︑予定売上高達成に止まらず︑利益を生むことを必要とするならば︑米国と異った形態と実践の必要性が現に

存在するので︑わが国に適応する販売促進の概念規定は今後の研究に侯たねばならぬ︒

︵ 山

崎 ︶

(14)

287 

︵ 山

崎 ︶

販売促進と売上高

既に販売促進と売上高の関係については多少触れるところがあった︒販売促進が予定された売上高の目標をもっ

ているのが近代的経営であり︑その実現可能性を基礎にして経営は行われている筈である︒生産の結果を販売促進

の力を借りて目標とされる購買力と結びつける調整役︑その機能が高く評価されてはいるが︑その目標の具体的表

現の見込売上高は生産における諸条件と市場関係によって定まる︒生産拡大能力が増大せば︑それに対する需要に

関心が向けられる︒需要創成の可能性︑選択的購買の誘引による競争的市場拡大の見込みも︑具体的に売上高の数

字となって現わされる︒そして投入される資金と売上高の関係で利潤計算が行われる︒その数字に合理的基礎がど

期待して販売促進の効力に侯とうとするのか︑見込売上高とその実現政策の決定機構と方式︑阪売実施の管理方式

は販売促進政策と密接な関係にある︒経営の大規模化に伴ない販売の可能性が経営の中心課題となり︑販売促進を

前提としての見込売上高の設定が行なわれることとなろうが︑どの程度阪売促進の効果を見込むかは︑広告効果測

定の場合同様容易ではない︒然し経費予算の下に大規模の経営活動は行われるのであるから︑阪売促進もその予算

内での活動の外ない︒そうすれば残る方法は阪売促進の活用に弾力性を与えるか︑近代的機構阪売の中に一定の販

売促進策を装置化しておくかの二つになると思われる︒恐らく実践上或程度成果が概算出来る如き販売促進につい

ては構造的組み入れが行なわれるであろう︒然し売れる要素は広い意味の販売刺戟要素であるから︑関連した諸条

件とその組み合せは複雑で容易に解明は困難であろう︒とすれば見込売上高も或る程度不確実性をもち︑経営の最

販売促進に関する若千の問題

の程度あるのか︑単なる希望的なものとして︑一応の経営活動不足分の調整ほ市場の弾力性と需要の創造可能性に

二 ︑

(15)

販売促進に関する若干の問題

大限利潤追求の一般的原則から考察すれば︑多分に過分の見込額が算定されるおそれがある︒ここに調節用として

販売促進の必要性とその効果への期待が発生する︒販売促進が一般に積極性をもち︑競争商品に攻撃的刺戟を加え

るのが普通ともなる︒

ここでわれわれは促進さるべき目標の見込販売高の内容を検討する必要がある︒販売促進というが一定商品の販

売量を短期間に行なう商品と時間的速度で考えるのと︑金額のみで表現する場合︑促進の手法は異なる︒販売増と

販売促進とは果して同一か異質か︑これも先ず決めておくことが必要である︒単一商品について考える場合と一群

の商品で考える場合︑又一経営の全販売活動に対する促進と部分的な場合もある︑同一買手に対しより多く売るの

か︑他の買手に拡大するのか︑他の買手も従来の地域内に求めるのか他地域に拡大するのか︑仝一経路︑仝一得意

先に頼るのか︑新なものを開発するのか︑従来の商品のみについて考えるのか︑新商品を導入するのか︑又これら

の組み合せの可能性はどうか︒この中何を前提にして売上高は考えられているのか︒売上高のみの追求であるのか︑

その中よる生ずる利益の計画とそれはどう関係しているか︑売上高の実現のみが絶対で他の条件が自由な場合の選

択の自由性と︑社内におけるその影響や抵抗の程度はどうか︑売上高と販売促進との関係を短期的に考えるか︑長

期経営計画の中で考えるのか︑これらの実践上の問題とその分析︑具体的計画化と実施方策の策定は︑売上高を設

定し︑販売促進を導入するからにも是非共必要なことといえようが︑その場合何を販売促進とすべきかは先ず確定

しておくべきものでありながら︑現状必ずしも明らかではない︒

勿論そのためには一般的市場についての知識はいうに及ばず︑販売促進の諸形態︑その効果︑販売促進の合理的

事務組織についての知識も備えていることが望ましいということになろう︒今日論ぜられている阪売促進も早晩粗

雑な研究を脱してこうした複雑な実践的要請に応える理論的実践的研究に進展することが期待される︒

︵ 山

崎 ︶

(16)

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p.141

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p.92 H.  E.  Agnew  and  D.  Houghton:  Marketing  Policies,  pp.  1,  2 

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(pp.463‑483)

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P.  D.  Converse  and  H.  W.  Huegy:  Elements  of  Marketing,  pp.56‑60 

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A.  Gross:  Sales  Promotion,  2nd  ed.,  p.8 

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H.  H.  Maynard  and  H.  C.  Nolen:  Sales  Management,  p.75 

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T.  N.  Beckman,  H.  H.  Maynard  and  W.R.  Davidson:  Principles  of  Marketing,  6th  ed.,  pp.  408,  434 

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D.  W.  Ewing:  Effective  Marketing  Action,  p.322 

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H. Lazo  and  A.  Corbin:  Management  in  Marketing,  p.  318 

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販売促進に関する若干の問題

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J. 

Mc Ca rt hy :  Ba si c  M ar ke ti ng

̀p .4 83  

人的販売︑広告両部の強化と大規模化のため︑両部でやれない面担当

G.   C.   As pl ey d .   e :   S a l es   Pr om ot io n  H an db oo k,   p. 2 4  

人的販売︑広告︑

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が分裂のため責任を一にしてその間の協力体制により管理

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Gr os s:  S a l es   Pr om ot io n,   p .  

販売業務分野と活動の分裂のため起るギャップをうめる

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An de rs on

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Pr in ci pl es f     o R e t a i l i n g ,   p . 3 3 7  

店の拡大で業務が分化するから活動の統一と目的達成への一押し

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S .   Al ex an de r,

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S .   Cr os s  a nd  

R .  

M.   Cu nn in gh am :  I nd u s tr i a l  M ar ke ti ng ,  p . 2 3 7  

広告費の増大と販売陳容の強化

p . 9 3

p . 3 0 5

K .  

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A .  

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P ri n c ip l e s  o f   Ma rk et in g,  p . 3 32   R.   S.   Al ex an de r,  

J. 

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W .  

J

Sh ul tz

"

Am er ic an   Mar ke ti ng ,  p . 4 3 5  

pp

1 0

6

1 0

8

I n d u s t r i a l   Ma rk et in g,   p . 2 3 9   マーケティング研究︵清水︶

p p . 1 8 , 1 9 ,   2 1  

マーケテJ

p p . 1 3 ,

販売政策

p p . 3

2 0  

, p p . I O ; 36  

(20)

293 

販売促進に関する若干の問題

(28) 

( ' l l

) (26)  (25)(24)  (23)  (22)  (211 

︵ 山 崎 ︶

マ ー ケ テ ィ ソ グ

・ マ ネ ジ メ ン ト

p p. 2

4 4,

3 09 ,

3 

11

 

販路拡張の理論と実際

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販売促進

p p. 4

7 ,

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マ ー ケ テ ィ ン グ

・ ハ ン ド ブ ッ ク

p p. 6

2 ,

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9 4,

97

 

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W.

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22

 

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22

 

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pp

.3

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販売促進

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マ ー ケ テ ィ ン グ

・ ハ ソ ド ブ ッ ク

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pp

.2

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マ ー ケ テ ィ ン グ

・ マ ネ ジ メ ソ ト

︵ 桐 田

︶ マ ー ケ ッ テ ィ ン グ

︵ 浜 野

・ 上 岡

p.

16

3

販売政策の基本問題

pp

.

3 6,  

37

39

. L  

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