C.M.Cの配合効果について
石崎だい
Studies on the Detergency Evaluation (IV) The Efect of Carboxy‑Methyl Cellulose
Dai Ishizaki
緒言
さきに洗浄力試験法の応用研究として構造の臭った各種洗剤の洗浄力試験結果を報告‑ )し, 叉界面活性剤に対するBuilderの影響が最近とみに注目されているので,脂肪酸石鹸と,高 級了'L,コ‑ル系の洗剤に対するCelluloseの誘導のC.M.Cと無機壇類の効果につき,基本的 な条件についての実験結果を報告2)したが,その際CM.CとNaH2P0,の効果が顕著にみと められたので,それらにつき更に詳細な検討を加えるために,配合比率を6段階とり,洗剤も 構造の異るもの三種にC.M.Cを配合し,叉四種類の洗剤にNaH2PO.を配合し如何なる配合 比率が最高の洗浄力を示すかを実験した結果,興味ある事柄がみとめられたので,今回は C.M.Cの配合効果のみについて報告する。倫実験は何れも繰返しのある二元配置法による実 験計画をたて,客観的な結果の判定をした。
実験方法及び結集
試布,汚染布の調製法,洗浄汝,洗浄効率の測定法は何れも従来2)の通りである。但し汚染 布調製後,汚染布をCaCl入りのデシケータに入れ, 0‑cの冷蔵庫内に一週間保存し汚染布の 安定をよくして洗浄試験に供した。
洗剤は① Na‑Lauryl Sulfate. ⑨ Na‑Oeleate ③ Na‑Dodecyl Benzene Sulfonatで 之等基本となる洗剤は配合効果を正しく把握するため充分精製を繰返したものを用いた。
洗剤とC.M.Cの配合比は表‑1の通りである。
瀬此研究は1954年10月日本家政学会総会講演。
50 長崎大学学芸学部自然科学研究報告第7号(1958)
表一1 洗剤,C.M。Cの配合比表
Dl D2,
D3 D4 D5
Dδ
C.M.C (%)
lOO 80 61 40.
20
0
Detergβ血t(%)
0 20 40 60 80
工00
濃度はC1……0.1%
洗浄時間……30min 結果を表一2に示す。
C2……0.3% 温度……40士10C
以上の洗浄条件によって洗浄試験を行ったNa−Lauryl
表一2 Na・Lauryl Sulfateの洗浄試験結果
Sulfateの
訳1
C一
C2
D!
36.3%
36.5 37.2 38.3 38.0 38。6 43.4
4↓.9
D2
39.3%
38.2 40.2 42.5 48.6 47.2 52.0 46.4
D3
44.2%
41.7 42.3 40.5 49.7
5工.4
49.1 48.7
D4
44.0%
42.8 43.7 44.7 53.4 52.6 53.2 55.0
D5
44,2%
40.1 45。7 40.5 48.5 47.1 49.9 47.9
D6
41.9%
39.3 42.0 42.2 46.3 48.2 46.2 47.O
表一2の洗浄効率より分散分析を作成し各要因の不偏分散と誤差の不偏分散との比を求め Fischerの検定にかけると表一3の如くなる。
表一3 分 散 分 析 表
Source of Variance (要 因)
D
C D×C
DC E
Tota1
Sum of Square
漏差二乗和
SD Sc
SD>(c
SDC
S:E
So
427.工
550.8 52.0
!029.91 92.05
ll21.96 φ
自由度
5
ユ
5
且 36 47
Mean Square
(不偏分散)
85.4 550.8
10.4
2.6
Fo(Variance Ratio)
(分 散 比)
32.9轍 211.9蜷 4.0難
Significant at l% leve1鞘
F慧6(o・01)=3・58 Fム6(・…)一7・39
即ち洗剤,濃度間共に1%水準で有意差が認められた。交互作用も高度に有意差が認められ たがその不偏分散は前二者より遙かに小さく誤差項と一緒にしても術有意差のある事が認めら れた。次に洗剤及濃度の綜合効果を求みてみると表一4,表・一5の通りである。
一表一4 洗剤Dの綜合効果
洗 剤
洗浄効率
D1 38.3
D2
44.3 D3
46.O D4
48.7 D5 45.5
D6
44.2 平均値の標準誤差(1/▽百ん/再
平均値の差の標準誤差1/乏ヌ〆▽冠/レ/『
D−S・ 一・{擦欝蒙篇羅蹴1!二lllllll二1:ll
以上の差の信頼限界より綜合効果を判定してみると最も洗浄力の大なのはD。で次のD、,D.
・との間に1%水準で有意差が認められD3,D5とD2,D6との間に有意差はなくそれ等よりD,
は1%水準で洗浄力の低下する事が認められた.即ち D4》D3〜D5〜D2〜D6》D! となる。
表一5 濃度Cの綜合効果 濃 度 CI C2
判定 洗浄効率% 4工.2 48.o C2>C1 ヒ
平均値の標準誤差(1/両/}/頭
平均値の差の標準誤差6/厄一×〆▽E/1/π)
Diff.for Sign量ficance1%有意水準の差の信頼限界 〆庵//π×〆7×t,、一1(0.0・)司.29
濃度に於てはC2即ち0・3%の方が1%水準の有意差をもって洗浄力の高い事がみとめられた 珠にNa−01eateの最適配合比検定の試験結果を示すと表一6の通りである。
表一6 Na・01eateの洗浄試験結果 (%)
試ロ
C1
C2
D1
38.8%
36.1 36.1 37.3 41.9 42.5 39.8 39.4
D2
45.5%
48.8 43.8 44.3 48.0 46.1 46.5
.47.0
D3
43.4%
48.2 46.8 45.0 57.3 53.8 55.3 54.5
D4
51.2%
48.8 46.1 46.2 61.4 63.5 61.0 63.1
D5
43.8%
48.6 47ユ 46.1 56.3
56.7 58.8 55.4
D6
44.4%
45.2 42.4 42.6 56.0 58.4 56.4 56.7
52 長崎大学学芸学部自然科学研究報告第7号(1958)
表一6の結果を分散分析してみると次の通りである。
表一7 分散分析表
Source of Variance
D C D×C
DC
Residua1 Tota1
Sum of Square
SI)
S3 Sc×D SDO SE So
1220.1
922.8 288.5
2431.4
88.1
2519。i5 φ
5 1 5
]一工
36 47
Mean Square 244.0 922.8 57.7
2.5
Fo(Variance Ratio)
97.5鼎 3δ.8轍 23。1鰍
si聖if ca牙tatま雛ε1嚢 F§618:811:嚢:器F§618:811:琢:マ呈
即ち洗剤間にも濃度間にも1%水準で有意差がみとめられ,C.M.Cの配合比が洗浄力に大 きく影響することが認められた。次に洗剤,濃度の綜合効果を求め配合比の分析を行ってみる と表一8, 表一9の通りである。
表一8 洗 剤 の 綜 合 効 果
洗 剤
洗浄効率%
DI 39.0
D2 46.2
D3 45.3
D4
54.9
D5
51.8
D6
50.2 SE of mean平均値の標準誤差(/▽百/〆百)
SED of mean平均値の差の標準誤差(〆▽百/1/百×1/7)
D・一S・即・f㎞・{1犠縫嚢糠黙蹴ll二i二1:1
判、定D4》D5=D6》D2;D3》D1
即ちD・の洗剤とC。M.Cの配合比が60二40に於て最も高い洗浄力を示し,次に洗剤80%,
C・M・C20%のD5がよく洗剤のみ100%のD,,D,の間に有意差は認められなかったが,D5,
D・よりD・が遙かに高い洗浄力を示す事によってC.M.Cの配合効果が顕著である事がわかる。
而しD・,D・と洗剤の配合比が少くなるにつれて洗浄力も劣り,D・に於て極めて低い洗浄力 しか示さぬ事が解った。
表一9 濃度 の 綜 合 効 果
濃 度
洗浄効率%
C1
44。1 C2 51.4
SEof mean
0.56
ofmeanSED
0.78
Diff.for Significance
l%
2.17
濃度に於てはC・の0.3%がC,の0.1%より高度の有意差で洗浄力の高いことが認められる。
次にNa−Doieoyl BenzeneSulfonateの洗浄試験結果を示すと次の通りである。
表一10 Ne、Dodecyl Benzene Sulfonateの試験結果(%)
濃度 洗剤
C1
C2
D1
34.1%
34。2 33.5 35.4 38.3 39.8 40.4 40.5
D2
36,9%
34.6 35.6 35.4 44.2 48.7 45.8 44.3
D3
36.4%
38.1 39.7 39.4 40.8 44.4 43.6 47.9
D4
45.1%
45.0 44.2 46.1 53.2 48.2 49.1 47.4
D5
43.2%
43.6 46.1 44.0 48.3 47.2 44.8 44.9
D6
40.0%
43.0 42.5 42.8 45.2 43.2 46.1 46.3 表一10の試験結果を分散分析してFischerの検定にかけると表一1】の如くなる。
表一11分散分析表
Source of Variance D C
D×C
DC
Residual Tota1
Sum of Square SD
Sr
SI)×c
SDc SE So
870.l l53.0
4工.2
工064.3 107.5
1271.8 φ
5 1 5
皿 36 47
Mean Square 174.O l53.0 8.2
2.98
Fo(VarianceRatio)
58。0難 51.O轍 2.7聾
significantat・%level F彗6(α・・)一翫58 F§6(α・・)一7・39 〃〃5%1evel F彗6(α・5)一2.48 F畳6(・.・5)一4.・・
Na−Dodecyl Benzene Sulfonateの洗剤に於ても洗剤,濃度共に】%水準に於て有意差が認 められた。尚交互作用も5%水準で有意差が認められたが,その不偏分散は洗剤濃度の不偏分 散に比べると遙かに小さいので問題にする程の事はないと思う。
表一12 洗剤の綜合効果
洗 剤 洗浄効率
D1 37.0
D2
40.7
D3 D4
4・ 7・4
D5 45.6
D6
43.6 SED of
mean
0。608 SE of
mea n
O.85
Diff.for Significance
1% 5%
2.93 1.98
D4>D6>D2
判定 li>Dl
D5>D6>D3
54 長崎大学学芸学部自然科学研究報告第7号(1958)
平均値の差の信頼限界より洗浄力を判定すると,D・とD.には有意差はなぐ,D・とDざの二間に は1%水準でD。の方が洗浄力が高く,D5とD。の間では5%水準でD。の方が洗浄力が高い。
即ちD6の洗剤単味よりC.M.Cの配合された方が洗浄力の高い事が確められた。?尚D1のC・M・C 単味の場合は他の何れの配合比より洗浄力の低め事も前実験と等しい事である。
表一13 濃 度 の 綜 合 効 果
濃 度
洗浄効率
C1
40.0 C2 45.2
SEF f mean
0.35
SEDof mean
0。49
Diff.for Significance 1%
1.38
5%
1.Ol 半蟹走 C2>C1
濃度C1,C2の洗浄力を平均値の差の信頼限界より判定すると,C2の0.3%がC1より1%水準 に於て洗浄力の高い事がみとめられた。
尚以上の実験結果を図に示すと図一1の通りである。
洗
浄6 効 率
%
50
4
35
洗剤
C。M.C
図一1 C.M.C配合の洗浄結果、
●。___ Na噸1㎞㏄yl正㎞zen S口rfo蹄afe ムー一一一Na−L&uryl Sulfate ◎一一一Na・01ea箆
}一一95%儲限界 0
100
20 80
40 60 60 40 配合比(%〕
80 20
100
0
考 察
構造の異なる洗剤に対するBuilderの影響として,C・M・Cの効果は既にみとめていたが,
配合比率を異にする場合についての今回の実験は非常に興味ある結果をもたら、した。即ち従来 洗剤100%を0。3%の濃度に於て洗浄した場合が最も洗浄劫率が高く,大体その濃度が実際洗濯1 に於けるMece11e fomationと考えていたが,洗剤に対するC・M・Cの配合比を前記6水準 とり実験した結果,何れの洗剤に於ても洗剤:C.M・Cが60:40%に於て洗浄力のMaximum を示し洗剤100%はそれより低い洗浄力を示している。
之はIC.M.Cの添加により油性汚垢の乳化を促進し界面活性剤の表面活性を増大し,ミセノレ
臨界濃度を低下し・洗浄能をr司上させたものと思われる。之はNa−Oleateに於て著しく増大 する事もみとめられた。当配合比は洗剤が少くC.M.Cが増加するにつれて洗浄能は低下し,
C・M・C100%に於ては極めて低い洗浄力である。之はC.M.Cそのもめには洗浄力はなく,洗 剤こ配合する事によって前記の如き勧果を示し又汚垢の再吸着防止作用による』洗浄力の増加効
果も同時に起り一段と洗浄能を向上させるものと思われる。而して洗剤60露C.M,C40%に於て 相乗効果が最も大きい事もみとめられた。然しこの問に洗剤50%C.M.C50%の配合比を計画
しなかった事は残念であるが,NaH2PO・の配合に於ては50:50も計画し実験したが,その 結果50:50% に於て最高の洗浄力を示した事よりC.M.Cの配合に於ても50:50%がM瓢mum の洗浄効率を示すのではないかと思われる。
尚三洗剤に於てはNa・01eateの洗浄力が最高でLaulyl Sulfate.Dodecyl BenzeneSulf6nate の順に低下している。之は各洗剤の分子構造の相違で極性基の位置に因るものと思われる。
以上BuiderとしてのC.M.Cの効果を述べたがC.M.Cの価が洗剤の10倍近くもするのでこ のま玉の配合では実際問題として経済的面より困難である。従って実際の洗剤では第三成分と して:Na2SO4,Na2CO3等が可なりの割合で入っている。従って筆者が第三成分としてNa2 SO・を配合し,洗剤Na2SO4,C。M.Cの効果を実験した結果Na2SO4添加により配合の相 乗効果が高まりC.M.Cの量を2〜8%に減じても前記の洗浄効率より高い値を示した。極大略 述べると洗剤30〜60%Na2SO470〜40、%C.M。Cは数%程度が最も洗浄効率がよい事がわか
った。
総 括
(1)C.M。C100%の時の洗浄効率は非常に低く蒸溜水だけで洗浄した時と同じ値しかなく 従ってC。M。Cそのものには洗浄性がない。
(2)洗剤C。M.Cの配合比が適切であった時は,洗剤100、%の時より却って洗浄効率が高 く,最も有効的な配合比は洗剤60%C。M.C40%である。之はこの配合比に於て油性の汚れの 乳化を促進し表面活性を増大し洗浄能を向上させたものと思われる。
(3)三鍾の洗剤中ではNa・01eateの洗浄力が最も強くNa−Dodecyl Berze皿e Solfcnate の洗浄力が最も低い。
(4)濃度に於ては0.1%より0.3%の方が何れの洗剤に於ても高い洗浄力を示した。
本実験はお茶の水女子大学被服学科色染化学教室で行ったもので研究に当って御懇篤な御指導 を賜ったお茶の水女子大教授矢部章彦博士に心から感謝の意を表す。
術研究費の一部は文部省科学研究費並に綜合研究費によった。附記して感謝する。
56 d : 7 : 13 ' *+ , 1} j ; : 1 7 ( 1958)
X t
(1) , ; T : 4 ! ' d ̲.‑‑‑' 3. 79 (1954,) =: *' (2) ; f r : :; F ‑ Z: I I・ ‑ 5. 21 C1956) (3) , /J' . f : : */ H 4 =;*'* ' ;/* 93 1 (1954,)
Summary
(1) The detergent efficacy of C.M. C. 100 represents as low value as that of distilled water. Accordingly, it will be concluded that C. M.C. itself has no detergent power.
(2) Mixture of cleanser and C. M. C., when its mixed proportion is pertinent.
indicates higher detergent efficacy than clear,ser 100; ;and the rr,c̲*t effective mixture proportion of cleanser and C.M.C. is 60 to 40 . It is supposed that the solution thus mixed accelerates the emulsific,ation of greasy substance, C. M.C. promotes the emaulsifing of oily dirt and rises the effect of cleansing.
(3) Of three kind of cleansers, i. e. Lauryl Sulfate, Na‑Oleate and Na‑Dodecyl Benzene Sulfonate, Na‑Oleate is the most efficient in detergent power, and Na‑D,odecyl Benzene Sulfonate is the least efficient.
(4) In any kind of cleanser. 0.3 density solution indicates rrore efficient d,etergent bower than 0.1 density solution.