旧研究チームまたは領域別チームの報告を除き、
研究推進部委員時代の編集後記(リサーチ1 2号)と 本学で開催された学会だより(リサーチ3 7号)以来 の執筆。自分の研究について、お話ししよう。
会社法を中心とした商事法関係、特に株式会社の 取締役について研究している。経営者たる取締役は、
会社(株主)からその経営を委任された受任者であ り、会社という財産(有形無形を問わず)を活用し て会社を発展させることを託されている。他人に対 して何かをすることを託されている人の研究は、信 託法という領域が原点かもしれない。信託法も、ま た研究している。英米法では、会社は
Corporationま たは
Companyであり、信託は
Trustである。特に信 託法を発展させてきた英国では、会社法を
Company Lawという。この
Companyには仲間という意味も ある。また、例えば、祖父母が、その有している財 産を孫の養育のために利用してもらいたいときに、
信頼できる人(受託者
trustee)にその財産を委託し てその目的(孫の養育)を実行してもらうのが、信 託である。取締役も会社財産を託されかつ経営も託 され、受託者も財産とその実行を託されている。他 人のものを託される者は、どのような義務を誰に対 して負っているのか、どのような権利を持っている のか、どのように行動するのか、これが私の研究の 中心である。派生する問題は多々あり、すべてを研 究できるわけではない。裁判例はじめ事件を検討し てみると、そこには信頼ということがある。託する 者が、見ず知らずの者に託するより、家族、仲間、
経験豊富な者等に託することが多いのは、かかる者 を知っていたりまたはその経験を評価しており、一 方かかる者もその信頼に応えるからである。この信 頼をどのように考えるのか。託された者(受任者・
受託者)が、自己の利益ではなく、受益者の利益、
ひいては社会の利益を考えて行動すること、これが
信頼の基礎のようである。会社法を研究する者は、
取締役の会社に対する善管注意義務(職務執行の際 に尽くすべき注意義務)および忠実義務(会社の利 益を優先する義務)に関する問題を、一度は検討す る。私の研究も、忠実義務の具体的発現類型の一つ である利益相反取引の問題からはじまった。
このように考えると、どうも仲間の行動に関する 法的問題を研究しているようだ。地球に存在するも の全て、宇宙に存在するもの全てが仲間だとすると、
文系・理系を問わず、全ての分野の研究者が仲間を 研究しているのかもしれない(例えば、化学式、数 式も仲間となる) 。各種委員の時に比べて格段に人 と接するようになった今日この頃、新たに知り合っ た方々(仲間)および旧知の方々(仲間)を観察す ることは、私の研究の原点かもしれない。そこでの 発見と経験は、人らしく生きることについての真実 を見極めることにつながり、またうれしいことや残 念なことにも直面する。これらもまた、研究対象な のかもしれない。商事関係、特に会社の組織に関す る法体系の研究は、仲間に関する研究のようだ。私 自身も、また研究の対象となっているのかもしれな い。組織が仲間から構成されるとすると、では仲間 とは?この問いは、太古でも、大河ドラマの「軍師 官兵衛」の時代でも、そして現代でも、法律家に限 らず全ての者にとって、身近ではあるが奥深い問題 のようだ。これからも、この仲間に関する研究を続 けていこう。
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アカデメイア
仲間に関する研究?
法学部長