• 検索結果がありません。

「総合的な学習の時間」における評価についての研 究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「総合的な学習の時間」における評価についての研 究"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「総合的な学習の時間」における評価についての研

著者 重松 敬一, 永砂 正弘

雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

巻 11

ページ 75‑83

発行年 2002‑03‑31

その他のタイトル Research on Assessment in  Period for Integrated Study'

URL http://hdl.handle.net/10105/4083

(2)

重 松 敬 一・永 砂 正 弘 (奈良教育大学・京都府長岡京市立長岡第三中学校)

Research on Assessment in ̀Period for Integrated Study'

Keiichi SHIGEMATSU

(Department of Mathematics Education, Nara University of Education) Masahiro NAGASUNA

(Nagaoka IH JuniorHigh School)

要旨:本稿は、 「総合的な学習の時間」に関する評価のポイントを明らかにし、それにもとづいて評価の方法を示す ものである。

先行研究から、 「総合的な学習の時間」の基本的な考え方を、学力観の変遷、評価観の変遷から位置付け直し、こ れから求められる学力観、評価観を明らかにした上で、 「総合的な学習の時間」における評価を①評価の観点・評価 規準を方法知、内容知、自分知の学力評価の側面から設定すること、 ②評価の機能としてのフィードバックとフィー ドフォワードの視点を位置づけること、 ③問題解決のためのメタ認知能力の育成を図ること、の3つのポイントを明 らかにする。

さらに、中学校の実践事例から、方法知、内容知、自分知を中心に個を対象とした評価から個の変容へと迫るため の異体的な評価の方法を示し、個を対象とした評価への具体的な評価資料の位置づけと、その改善点を示した。異体 的な支援方法、教師の意識変革、教科との関連の整理は今後の課題とした。

キーワード:総合的な学習の時間、学力、評価

1.はじめに

平成10年に小・中学校(高等学校は平成11年)の学 習指導要領が改定され、小・中学校では平成14年度、

高等学校では平成15年度から、小学校の1、 2年生を 除く全ての学年で「総合的な学習の時間」が実施され る。これを受け、多くの学校が移行期間の中で、 「総 合的な学習の時間」を試行している。しかし、 「活動 あって学びなし」と危慎されることも多く、評価の問 題までの議論は少ない。評価方法として、ポートフォ リオ評価が注目されている程度である。教育課程全般 においては、 「相対評価」から「絶対評価」へ移行す ることになり、学力観・評価観の転換が求められてい る。

本稿では、中学校に焦点を当て、これから求められ る学力観、評価観を示すとともに、 「総合的な学習の 時間」における評価を(彰評価規準を方法知、内容知、

自分知の3つの視点から捉えること、 (塾評価の機能と

してのフィードバックとフィードフォワ‑ドの視点を

位置づけること、 ③問題解決のためのメタ認知能力の 育成を図ること、の3つのポイントを明らかにし、実 践事例を通して「総合的な学習の時間」における評価 について考察し改善点を指摘するとともに、生徒の意 識調査から「総合的な学習の時間」における学力を生 徒の認識面から明らかにし、教師がどの部分を評価・

支援していけばよいかを示したい。

2. 「総合的な学習の時間」の基本的な考え方 2. 1. 「総合的な学習の時間」のめざすもの

新学習指導要領が示され、そのキーワードとして

「生きる力」がクローズアップされているO 「生きる力」

という言葉は、抽象的で様々な角度から解釈できるが、

中央審議会答申から

①自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的 に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力

②自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心 や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きる

(3)

ための健康や体力 であると解釈できる。

新学習指導要領には、 「総合的な学習の時間」の趣 旨として、 「総合的な学習の時間においては、各学校 は、地域や学校、生徒の実態等に応じて、横断的・総 合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創 意工夫を生かした教育活動を行うものとする。」と述

べられている。

また、 「総合的な学習の時間」のねらいにおいては、

(1)自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に 判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育て

ること。

(2)学び方やものの考え方を身につけ、問題解決や探究 活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己 の生き方を考えることができるようにすること。

と述べられている。

このねらいからも分かるように、課題を発見し問題 を解決することがねらいであって、課題達成のための 行動・行為を求めているのではなく、 「自己の生き方」

を考えることが「総合的な学習の時間」である。

このことから、現代的な課題を捉えつつ、それに適 応する能力を高め、知識の伝達から知識の創造へ、そ して知の総合化を図ることで、自己の生き方へつなが るような豊かな人間性の育成をめざしていると言える。

つまり、各教科や領域でつけた力を統合し、 「生きる 力」を育成することをねらいとして教育課程に位置づ けられたものである。

2. 2. 「総合的な学習の時間」の位置づけ

「総合的な学習の時間」は、新しい「教科」や「領 域」と捉えられがちだが、それらの内容をすべて含む

「学習の時間」として位置づけられている。 「教科」や

「領域」等との相互補完の関係にあり、 「知の総合化」

を図るものである。また、中学校学習指導要領には、

選択教科との関係が述べられているが、表1からその 関係を見ることができる。

3.学力について 3. 1.学力観の変遷

学力の変遷については、重松敬一・生瀬恵子「算数・

数学教育における問題解決の研究(7)」に述べられてい るので参照されたい。ここでは、昭和40年代以降の学 力の捉え方のみを示す。

梶田叡‑2) (「教育における評価の理論I」平成6 午)は、学力を氷山にたとえ、 「学力も見えやすい部 分「知識・理解」、 「技能」と見えない部分(見える部 分を支えている部分) 「恩考力・判断力」、 「関心・意 欲・態度」がある」とし、勇の「教育評価」を行うた めには両面を評価していく必要があることを指摘して

表1必修教科、選択教科、 「総合的な学習の時間」

の比較1)

必 修 教 科 選 択 教 科 総 合 的 な 学 習 の 時 間 . す べ て の 生 徒 . 生 徒 自 身 の 選 択 . 学 び 方 や も の の 考 え . 基 礎 的 . 基 本 的 . 興 味 . 関 心 の あ る 方 を 身 に つ け 、 主 体 的 、

l*jV f 教 科 創 造 的 に 問 題 解 決 す る

. 教 科 固 有 の 学 習 . 個 性 の 発 見 と 伸 長 能 力 や 態 度 を 育 て る 目 標 の 達 成 を 目 指 す を 図 る

. 学 習 指 導 要 領 で . 選 択 し た 教 科 の 目 . 横 断 的 . 総 合 的 な 課 定 め ら れ て い る 内 標 を 達 成 す る

. 生 徒 の 特 性 に 応 じ . 生 徒 の 興 味 . 関 心 に . 叶 公 生 活 5:'S>T{; た 多 様 な 学 習 を 行 う も と づ く 課 題 上 で 必 要 と さ れ る (課 題 学 習 、 補 充 的 . 地 域 や 学 校 の 特 色 に 基 礎 的 . 基 本 的 な な 学 習 、 発 展 学 習 ) 応 じ た 課 題 な ど に つ い i'r 知 識 、 技 能 、 態 度 て 、 学 校 の 実 態 に 応 じ

を 見 に つ け る こ と た 学 習 活 動 を 行 う

. 内 容 に 応 じ た 教 . 興 味 . 関 心 の あ る . 問 題 解 決 的 な 学 習 材 . 教 師 の 指 導 に テ I マ に 基 づ き 教 科 (問 題 の 発 見 、 設 定 、 よ る . 多 様 な 学 習 を 選 択 す る 追 及 し た こ と を 整 理 、 活 動 を 取 り入 れ る . 教 師 の 指 導 の も と . 整 理 し た こ と を 発 表 )

. 基 礎 的 . 基 本 的 調 べ 、 考 え 、 レ ポ ー . 体 験 的 な 学 習 ( 自 然 な 知 識 や 技 能 を 身 ト に ま と め る 体 験 や 社 会 体 験 、 観 察 . に つ け る . 自 分 の 見 方 、 考 え 実 験 、 見 学 や 調 査 、 発 . 学 級 や 仲 間 と の 方 を 培 う 表 や 討 論 、 も の づ く り

か か わ り や 学 級 全 や 生 産 活 動 )

体 の 取 組 も あ る . 地 域 で 学 習 (地 域 の

教 材 や 学 習 環 境 の 積 極 的 な 活 用 )

総 授 業 時 数 9 80 時 年 間 の 授 業 時 数 で は 年 間 の 授 業 時 数 で は 選 コ旨 間 I"I蝣'< t, 第 1 学 年 0 30 時 間 択 教 科 と の 関 係 で

第 1 学 年 81 0時 間 第 2 学 年 50 ‑ 8 5 時 間 第 1 学 年 7 0 10 0 時 間 第 2 学 年 75 5時 間 ( 1 教 科 以 上 ) 第 2 学 年 7 0‑ ‑10 5 時 間 第 3 学 年 67 5時 間 第 3 学 年 10 5 16 5 時

( 2 教 科 以 上 )

第 3 学 年 7 0‑ 13 0 時 間

いる。

3.2. 「生きる力」の学力観

戦後の教育改革に伴い、学力の低下が論じられてい る。近年では、大学生の学力低下と新学習指導要領に おける教育内容の厳選に対しての学力低下の懸念を指 摘することが大きく論じられている。しかし、国際的 にもIEAにおける学力調査では、理科や数学の学力 は決して低いものではなく、むしろ、情意面での低さ が見られる。また、文部省の調査では「知っている」

けど「使えない」という結果が現れている。

児島邦宏3)は、学校という教育の場で扱われる知識・

情報、さらには広く文化というものを「学校知」と称 し、 「教育的価値」には社会的な背景があるとした上 で、今日的課題は「内容知削)」から「方法知注2)」 ‑ の転換と、人間知の回復が大きな課題であるとしてい る。

① 「内容知」から「方法知」への転換

知識伝達主義、知識偏重主義は、 「内容知」を伝達 し「覚える学習」を指し、これまでの学校知の中心を なしてきた。しかし、内容知を中心とする学習は、今 日、大きな壁にぶつかっている。

・多情報化社会の中で、知識や情報の習得を重視して いく場合、覚えることがあまりにも増大してきたこ とであり、知識の詰め込み主義の教育がますます強

(4)

められてきたこと。

・社会の変化があまりにも大きく、知識や情報が次々 と新しく生まれる一方で、その知識や情報がすぐに 腐敗していく状況が生じてきたこと。したがって、

一生懸命知識を覚えても、それが、一生その人の人 生を支える力になると保障できなくなったこと。

・体験不足とも相まって、苦労して覚えたはずの知識 や情報が実は身についていておらず、 1年もすれば 8割は忘れてしまうといった「学力の剥落現象」が 生じてきたことである。

内容知はどんどん変化しても、方法知自体はそれほ ど変わるものではない。 「生きる力」の知的内容とし て、考える力、判断力、問題解決力等を求めているが、

これらは、方法知そのものであり、方法知を中核とす る学力が、自ら意欲を持って学び続けるための基本的 能力となる。しかし、内容知が軽視されるわけではな い。それ以上に社会の中で生きていく生活力がおぼつ かなくなってきている。その意味で、本当に必要な基 礎・基本に内容知を厳選し、ゆとりの中で方法知の獲 得に垂心を置こうとするものである。その意味で、内 容知に関する限り、知識量としての学力は低下するこ

とになる。

(参入聞知の回復

知ることに喜びを感じ、知的好奇心を喚起する学校 知の人間化(人間知)をどう図っていくかであり、少 なくとも3つの視点から学校知の活性化を図ることが 必要である。

・学ぶ主体である自分自身について理解を進めること、

言わば「自分知」を育てること。

・学ぶ対象なり、学習の課題を、もっとリアルなもの にしていくこと。

・学習の場である学校の文化自体、あるいは環境自体 の転換を図っていくこと。

「総合的な学習の時間」は、内容知より方法知の獲 得を重視するものである。子どもが、 「なぜ、どうし て」という疑問を抱き、内容知を知ろうとすればする ほど、それを学ぶための方法である方法知を獲得して いくことになる。つまり、 「生きる力」の学力観に立 ち、方法知を身につけることで、内容知を身につけ、

さらには自分知に迫る学習の時間であると言える。

4.評価観の転換

4. 1.評価の具体的な意味

矢部敏昭4)は、評価について、その語義として valuation、 evaluation、 assessment注3)を取り上げそ の解釈を明らかにすると共に、評価の具体的な意味す る特徴を次のように挙げている。

①評価の目的‑学習者のよりよい学びに向けての貝体

的な示唆を得る学びの改善、教師のよりよい指導へ 向けての反省の契機と指導の改善

②評価の機能性‑評価の過程における値踏み、価値付 けは学習者の学びの機能性、指導の機能性を前提と

し、その後の学習、指導に機能するもの

③評価の視点‑学習の目標に対応するものであり、そ の対象は異体的な学習者の(活動の)様相、それに 対応した指導の様相

④評価の基準‑評価の基準は学習の状況・状態におい て、価値を見出すように設定し、評価尺度は、学習 者の学びの可能性、教師の指導の可能性に応じてそ の都度定められる。

4. 2.評価観の変遷

学校が成立以来、教育測定への取組がなされてきた が、アメリカの進歩主義教育協会の「八年研究」 (1933

‑41)を契機として、日本では、教育評価が脚光を浴 び幅広い評価活動へと発展してきた。学習指導要領の 改訂で、評定が観点別評価と同じく、集団に準拠した 評価(相対評価)から目標に準拠した評価(絶対評価) へ改められた。

表2 指導要録の変遷4)

改 定 通 達 年 概 要 ( . 特 に評 価 につ いて ) 指 導 要 領 昭和 22 年 新 制 中 学 校 発 足

累 加 記 録摘 要」

昭 和 24年 (1949) (試 案)

. 「生 徒 指導 要録 」 と改 称

昭 和 22年 . 校 長 に作 成 義務

. 行 動 、標 準 検査 の 記録 . 5 段 階 評 定 法

1 昭 和 30年 (19 55)

. 外 部 の証 明 に役 立 つ

昭 和 26年 . 中 . 高 を別 様式

. 小 . , ,. 高 IT 性

2 昭 和 36年

. 「学 習記 録 」 を 「各 教 科 の

昭 和33年 学 習 の記 録 」 と す る

. 「評 定 」 「所 見 」 「備 考 」 と 細 分

(196 1) . 教 科 . 学 年 目標 に 照 ら し評

. 「行 動 及 び性 格 の記 録 」 の 新 設

3 昭 和 46年

. 評 定 は、 一 定 の比 率 で決 め

昭 和44年 な い

(197 1 . 観 点 が評 定 の分 析 的要 素 . 「特 別 活 動 の記 録 」 の新 設

I 昭 和 55年 (1980)

. 「評 定 」 「観 点 別 学 習 状 況 」

昭和 52年

「所 見 」 とす る

. 特 別 活 動 に 「活 動 の意 欲 」

「集 団 へ の寄 与 」 の 観 点 を 新

. 小 学 校 1 . 2 年 生 3 段 階 評 JlLI

5 平 成 3 年

. 「観 点 別 学 習 状 況 」 を 基 本

平 成 元 年 とす る

(1991) . 個 人 の 優 れ た点 を 評 価 . 保 存 期 間 を 短 縮

(5)

表2は、戦後の評価観を学習指導要録との関係から 見たものである。特徴を見てみると、

・昭和36年以前の約10年間は、 5段階評定法による相 対評価の全盛期であったといえる。

・昭和36年には、絶対評価に改めようという意見もあっ たが、正常分布理論を踏襲しながら、あまりにも機 械的に処理し、実情に合わない不合理な面を是正す ることとした。また、 「各学年の記録」と改めその 内容を細分化し、教科目標に照らした評価がなされ た。

・昭和46年には、 「機械的に割り振ることがないよう に留意すること」が付記され、評定の比率が弾力的 になった。

・昭和55年には、 「観点別学習状況」を「評定」を行 う場合の主要な要素として役立てようとする達成度 評価の試みが示された。

・平成3年には、 「観点別学習状況」を評価の基本と して絶対評価を色濃く示し、相対評価としての「評 定」を、 「観点別学習状況」の評価の補足として考 えられた。

4. 3.これからの評価観

平成12年12月に「評価のあり方」に関する答申が出 され、今まで以上に評価観の転換が教師に求められて いる。 「評価のあり方」を基にこれから求められる評 価観をまとめてみる。

・教師側から見た評価

教育改善に役立てようとする教師自らを評価する ものであり、教師の指導改善を図る方向を把握して いくものである。

・子どもの側から見た評価

児童生徒の良さや可能性を評価し、自己実現に向 け役立てることであり、評価は子どもをランク付け するものではなく、目標値に向けて学び続ける一人 ひとりの子どもの伸びようとしている芽を伸ばすこ とが基本的な役割である。

・評価観の転換

①最終結果を測る評価から学習過程を重視した評価

・\

②知識量を測る評価から意欲、学び方、学ぶ力など を重視した評価へ

③教師判断による評価から学習主体の評価へ

④固定的能力を測る評価から良さや可能性を伸ばす 評価へ

⑤学習の習得度を測る評価から自己実現に向けての 評価へ

⑥学習成果を判定する評価から今後の学習を支援す る立場からの評価へ

⑦選抜のための順位づくりの評価から個人の達成度 を重視した評価へ

評価活動は、子どもの学習を支援することが目的で あり、より質の高い指導への改善である。大切なのは 教師が評価をどう捉えるかである。評価のための評価 に陥ることなく、 「指導と評価の一体化」を目指して いく必要がある。

5. 「総合的な学習の時間」における評価 各教科における評価と「総合的な学習の時間」にお ける評価は、数字的な評価をするかしないかの点にお いて決定的に違う。評価は、子どもの学習意欲を高め、

より良い学びの改善、指導の改善に生かしていく事が 目的である。従来の教科における評価は、学習の習熟 度や学習成果を判定する側面は強いが、数字によって 評価情報を子どもや保護者に伝えることで、子どもの 学習意欲を高め、学びの改善に生かしていこうとする ものである。しかし、知識や技能といった内容知に重 点が置かれ、子どものできない面を強調するといった マイナスの面を露呈してしまっているという側面も見 られる。また、内容知を中心とする評価が、社会背景 の変化に伴い、子どもの学習意欲の向上や学びの改善

に生かしきれなくなっている現状も見られる。

平成14年度から実施される新学習指導要領で、評価 観の転換が大きなポイントとなっている。特に「総合 的な学習の時間」については、そのねらいは、究極に は「自己の生き方」を考えることであり、子ども主体 の「自ら学ぶ学習」をどのように成立させていくかが 求められる。したがってその評価は、教師の指導の改 善に生かされることはもとより、子どもの学習意欲を 高めるための資料として生かされることが大切である。

また、内容知の伝達(input)と子どもの定着度(out put)を評価するのではなく、子ども自らの学習課題 (idea)に対して、どう取り組んだかの学習の状況、

姿勢、態度(performance)を評価していくパフォー マンスの評価が求められている。

この節では、 「総合的な学習の時間」における評価 のポイントと、実践事例を通して貝体的な評価の方法 を述べていきたい。

5. 1. 「総合的な学習の時間」における評価のポイ

ント

「総合的な学習の時間」の評価については、基本的 には学習指導要領(平成10年12月)総則に示されてい る視点で行うことになるが、 「総合的な学習の時間」

における評価のポイントを次の3点から整理したい。

①評価の観点・評価規準の設定

答申に評価の観点の必要性が述べられ、その例示 も示されている。また、評価の観点をより異体化し たのが評価規準であり、それに基づいて評価に当た ることが重要である。しかし、 「総合的な学習の時

(6)

間」の活動に焦点が当てられ、観点や評価規準が後 回しにされているのが現状ではなかろうか。 「ねら い」に基づいて「観点」と育てたい能力・態度の関 係を「教育課程審議会答申」の例示に基づき整理す

ると図1のようになる6)。

図1 「ねらいlに基づいた闇軌と育てたい能力・態度 また、 「総合的な学習の時間」と各教科の関連が 求められているが、各教科の観点との関連では、答 申では、図2のように例示している。いずれにせよ、

観点が学校の特性に任されているが、 「総合的な学 習の時間」でどんな力をつけるのかを明確にして評 価する必要がある。

総 合的な学 習の噸 司の評価の観 点 4 4 十 十

各 教科の評 価の観 点 学 習活動への 関心 . 意欲 .態 度 親心 . 意欲 .態 度 総 合的な思考 .判 断 思 考 . 判断 学 習活動に 関わる技能 .表 見 技能 . 鍋 知 歳 を応用 齢 す一る能 力 知識 . 理解

匡1 2 各教科と総合的な学習の時間の評価の観点の関連

②フィードバックとフィードフォワード

「総合的な学習の時間」はゴールフリーの学習で ある。したがって、評価も学習の結果ではなく、学 習過程に重点が置かれることになる。つまり、教師 側にも、子どもにも現在の学習がうまくいっている のかを確かめ、学習を修正・調整するフィードバッ ク機能(子どもには自己調整機能としてのフィード バック)を育成することが大切である。そして、現 在の動き、パフォーマンスを見ながら、将来の目標 設定に変更を加えていく、フィードフォワード(こ れからの見通し)が求められる。

③メタ認知能力の育成

「総合的な学習の時間」における評価として、自 己評価をうながすポートフォリオ評価等が注目され ている。自己評価・相互評価を通して自己評価能力 を育成し、自己を客観的に捉え、自己をより高めて いこうとするメタ認知能力を育成しようとするもの である。したがって、学習を通して問題を解決する ためのメタ認知能力を評価することが必要である。

5. 2. 「総合的な学習の時間」における具体的な評 価方法(長岡第三中学校における評価)

値を対象とした酔凪

長岡第三中学校では、平成11年度から試行的に「総 合的な学習の時間」の実践を行っている。

「総合的な学習の時間」における評価のポイントか ら、異体的な評価方法を次のように整理した。 (図3)

図3 評甑方式と評価の流れ

①評価規準、評価の観点

方法知、内容知、自分知を中心とした評価方法

(訂フイ‑ドバック、フィードフォワード

自己評価記録票(学びの預金通帳)、通知票を中 心とした評価機能

③メタ認知能力の育成

自己評価、ポートフォリオ評価を中心とした評価 方法

5. 2. 1.具体的な評価資料の位置づけ

具体的な評価資料としては、生徒が自己の学習を振 り返ることができるように、 (彰方法知を評価するため

* イ ン ト ・ i^ B ‑e き た と JL う こ と に 0 Ⅰ つ け て い こ う 〉 蝣蝣^ ‑i‑ t.‑ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ^ ‑ ‑ ォ...j ̲ ;!H ^ H . … J

ft H

■ ■ / / / / / / / / / / / / / / / s / / / / H

し, . ー●l 一亡t r r t t

m M tr * = とd T e た I

■峨 * u : t OT I と

** ォ I

V *‑I.

1 =

> T

輸 L e n t も= とd V . た

●1 したォサ Lh tlt t c とP ▼放 A

te ■

a

‑ 上や●えt .W K Ì え I 己と■下●b r

, とめ4 ; 上納 ■F. I i

榊 ォ. ォ 30 ォ H ▼●:と‑†It

◆■.‑ I

図4 獲得ポイント表(カ潅知の評緬)

自己評価シー ト

今日のあなたの手車について、あてtg まるもの王竺⊆⊆虫垂、そのうち糊 = 強< 雇 ったもの と⊇星 g 獲 つけなさいl

一 一 且 .且 今 日の溝h 内容 ( )

1 l P した 2 . M に暮んだ 3 . Ⅰうようf: Ⅰまない 4 . やる細 亀 やりにくレl 6 .いらいらした 7 . 先が虹, た & 伽 ことで離 れ、, 軌 、だった 9 . 脚 つた i CL 細 があった n . a ;脚 あった 12 ‑ 肘 あった

1 3 I 書えがまとまった 1 4 . m .えびまとまらなかった 1 5 ‑ 何帥 つているかよ< わからない 1 6 . 鞘しい 1 7 . 書れた 1 8 . つまら恥 、 1 9 ‑ がんばった

2 Q N B M 8 もてた 之i . a a L と 2 2 fl ォU 」M t a てい恥 、 2a l しかった 2 . 1 やさし0 3 E 2 8 . モォtt (

3 年ー J 色( 覆輪 Ⅰ橿牡 ‑ 柵 .l 文化) 氏亀 ( ) .

図5 自己評価シート(自分知の評価)

(7)

揮先学t (棚=学ぶ■合的な筆甲の鴫)

一事 2 年 3年

I

事■‑

i JB脚棚を逢してついたとJLう力

ついだとI うZ) ー* ; i * 3 JF

I h

しつかt,. えあ: とがでさ* * } I1U つた [ i n 】 ▲ t, c A B C

●■なW I N tfc i * 9 0 I A t C A B C

●■な■■一 附 ‑ ことtn t * ▲, に8 つた i l i : i l l A ‑ C

, ‑ < し 1 七と細 t * * t こと**T * * ▲サi= tt ‑9fc T tr ォ十 i A I C .レⅠ

I

人上u >してt Y . 血■■ーC O o fc ォ I C i I ー C . ‑ C

M サ L M 巴U t l こ上がで一も▲S lift ‑a 七 一 ▲ l B + ■ 亡 . l c H L t 'J. サ L t LJ▼●こと■で・4 * * l; a ‑j fc * I C > ▲ ■ e i ーn A I * サ<蝣サ< ォ、Ⅰ. 仁■1 ▲ことv r サ4 よ, ヒte s t A も c ー B C A B

文t t 事と鵬 こと柵 書もJ‑Iにも廿と A l e ◆ ■ ● * B ォ

Ⅰ■や■、す, フ●ピーまォr * = とがで. も上, になI,良 ▲ I l l l ! A l e 5

1

1

1 年 2 年 3 年

図6 自己評価記録票(学びの預金通帳) の「獲得ポイント表」 (図4)、 ②内容知を評価するた めの「ポートフォリオ」、 ③自分知を評価するための

「自己評価シート」 (図5)を位置づけた。 (特にポー トフォリオでは学習過程を振り返ることができる。) さらに、 3年間の学習の課題設定や学習の深まりを

「総合的に」振り返る資料として「自己評価記録票 (学びの預金通帳)」 (図6)を位置づけた。

教師側の側面から見ると、 ①方法知を評価するため の「獲得ポイント表」を、示された観点になぜ○をっ けたのかを「生徒との会話」で、生徒に学習を振り返 らせるとともに、教師の指導の改善に生かすことを中 心に位置づけ、 ②内容知を評価するための「ポートフォ リオ」を、学習過程で教師が形成的に評価(支援)す る「元ポートフォリオ」と、肯定的で総括的に評価す る「まとめポートフォリオ」に分け、学習過程におけ る支援を中心的に位置づけている。また、 ③自分知を 評価する「継続自己評価シート」を、生徒の自由記述 文の中でよく表現される典型的な文を、 25の選択肢に わけ無作為に並べ、生徒の学習の様子を教師が的確に 捉え、形成的に評価(支援)するものとして位置づけ ている。さらに、教師が生徒の学びを捉えるための

「学びの分析表」、総括的・客観的に評価していくため の「通知票」を位置づけている。

これらの評価資料をもとに、生徒の学びを的確に捉 え評価し、個の変容に迫っていこうとするものである。

5. 2. 2.評価のポイントと評価方法

* * JL 元 ・ 蝣 m 1 トつたこと 蝣* * * .▲1 1C0 ‑3た こと

1 JF

2

3

サ サ ォ a

t t Ⅰ→

・ * 蝣*

■ 一缶 Ⅰ

J‑ め

共■ に上る 1 ミ= = ケ I‑ +I ‑ i

具体的な評価方法と評価のポイントの関係について 述べてみたい。

(1)学力観からの評価規準、評価の観点の設定

学力関連表7)注4)を基に、学力観を学習指導要領に 示すねらいと関連付けて方法知、内容知、自分知の3 視点から整理し、学力関連表、学力観の整理等から考 えて「評価の観点」を次のように設定した。

①学び方(方法知)

②内容の認識(内容知)

③態度(自分知) 評価の観点

(1)学び方、考え方(方法知)

・探究力

思考力、情報収集力、情報選択力、多面的な 見方、考え方

・コミュニケーションカ

協同する力、コミュニケーションカ、実践力

・表現力

伝達力、文章整理力、情報活用力 (2)内容理解力、行動力(内容知)

地域(環境、福祉、国際、文化)、自己の生き 方、社会的課題

(3)自己の生き方・態度(自分知)

自己評価力、自主生、創造性・独創性、強調性 恩いやり、社会性、奉仕、感性、自己肯定感 また、各学年のねらいに基づき評価規準(表3)を

(8)

整理した。 (ただし、評価規準は実践を行う前に整理 したものではなく、実践を通して整理したものである。) 評価規準表を整理したことにより、ねらいに沿って、

生徒がどのように学んでいるか(どこまで達成できて いるか、どこが達成できていないか)や、教師が生徒 の学びをどの視点で見て、今後どのような支援をして いけばよいかが明確になっている。

表3 「総合的な学習の時間」の評価規準表

ね らい 学 び 方 (方 法 知 ) 内容の認識 (内容知) 態 哩 しriiK ii'

1

① 自 分 で 考 え 、 . 聴 い た こ と の . 地 域 の 方 の お . 学 習 に積 極 的 鞠 ベ 、 表 窮 し て 要 点 が ま と め た 話 を 理 解 で き て に 取 り組 ん で い

い く 自 発 的 な 能 り、 的 確 に 伝 え い る か る か 力 の育 成 を図 る 。 た り して い る か . 地 域 につ いて 、 . 自 分 の 学 習 の き、経 験 if‑: 's 梓 嘗 . 協 調 し て 学 習 知 ら な か っ た こ 様 子 を 振 り返 ろ

を 通 しての興 味 . が 進 め ら れ て い と を 深 く知 る こ うと して い る か 関 心 や 意 欲 の 高 る か と が で き て い る . 自分 の 良 さ を 榎 を 図 る。 . 必 要 だ と 考 え 発 見 で き た か

か Ift iT i ^ ." か た 情 報 を 集 め る . 調 べ た 内 容 を わ り を 重 視 し、 こ と が で きて い 正 し く理 解 し て

▼ー

コ ミュニケ ー シ ョ ン能 力 の 育 成 を

る か . 学 習 内 容 に つ

い るか

図 る0 い て 、 自 分 の 考 え を持 て た か

. 学 習 内 容 を ま と め 、 表 環 して い る か

2

① 1 年 の 学 習 を . 必 要 な 情 報 は . 地 域 社 会 に つ . 体 験 活 動 や 前 起 訴 に主 体 的 に 何 か を 考 え 、 そ い て の 新 し い 発 後 の 学 習 に 、 主

学 ぶ 力 を 高 め る0 れ を 集 め て い る 鬼 が あ った か 体 的 に 取 り組 め

② 体 験 を 通 して 、

. コ ミュ ニ ケ ‑ た か

. 地 域 体 願 の 中 シ ヨ ン につ いて 、 . 自分 の 学 習 の 視 野 を 広 げ 、 感 で、 コ ミュニ ケ ー 気 づ きが あ っ た 様 子 を 振 り 返 る 性 を 高 め る0 シ ヨ ンや 対 人 折 こ と が で き て い

衝 の 難 し さ や 大 . 社 会 的 課 題 を る か

③ 自 ら の 学 び を 切 さ を 感 じ る こ 意 識 し たか . 自 らの良 さ を 、

振 り返 り 、 表 現 と が で き て い る . 自 分 と 地 域 を 体 験 で 発 揮 し よ す る力 を 高 め る0 結 び つ け て 考 え う と したか

'ji . 体 験 を通 じて 、 て い るか . 体 験 を 振 り 返

新 し い 自分 の 考 N '.) ''蝣'牛 さ 方 り 、 自分 が 学 ん え を持 て た か を 考 え る 契 機 に だ こ と を 顔 り 返

. 感 じた こ と、

考 え た こ と を 的 確 に ま と め 、 表 現 で きて い るか

な って い るか る こ と が で き て い る か

3

① 「探 究 力 」 「表 . 自 ら 計 画 を 立 . 「地 域 の た め . 主 体 的 に 学 習 現 力 」 「コ ミ ユ ニ て、 実 行 過 程 で 、 に」 を 意 識 し た して い るか

ケ ‑ シ ヨ ン力 」 そ の 計 画 を 改 善 課 題 を 設 定 し て . 自 らの 「学 び 」 の 総 合 的 な 伸 長 して い るか い るか を 振 り 返 り

を 図 る。

② 地 域 を 見 直 し、

. 的 確 に 情 報 収 . 社 会 的 課 題 を ら の 「学 び 」 に 集 、 選 択 を して 的 確 に 捉 え て い 気 づ い たか

い る か るか . 自 らの 考 え を

地 域 へ の 発 信 を . テ ー マ を 多 面 . 調 べ た 内 容 を 持 と う と して い 意 識 す る こ と に 的 に 見 た り 、 考 正 し く理 解 し て る か tn よ っ て 自 らの 生 え た り して い る い るか . 自 分 の 強 み を き方 を 考 え る O . 「地 域 」 意 識 し、 そ れ を . 対 人 折 衝 を 的 「社 会 」 を結 び つ 発 揮 しよ う と し 確 に 行 え て い る け て 考 え て い る て い るか

. 自 分 の 考 え を ま と め 、 表 現 し て い るか

. 自分 の 良 さ を

伸 ば そ う と し て い るか

(2)フィードバックとフィードフォワード機能

フィ‑ドフォワードは、フィードバックが機能して 可能になると考える。つまり、振り返りによって学習 の調整・修正が行われて次の目標が設定される。特に ポートフォリオは、評価主体と評価対象を一致させ自 己評価能力を育成していくものである。 「まとめのポー トフォリオ」の際、子どもは自己の学習を振り返り (フィードバック)、現在の学習でできていない事は何 か等を補完し、次の見通しを(フィードフォワード)

立てながら「次はこうしていこう」等の新たな目標が 設定される。また、 「自己評価記録票(学びの預金通 帳)」では、長期的に学習全体を振り返ることができ、

これを記録・蓄積しておくことで、次年度での課題設 定等に活用することができる。

また、フィードバックとフィードフォワードを図る

ものとして通知票等がある。通知票の役割としては一 般に次の2点がある。

①学習成果、学校生活の状況等を保護者に連絡し、保 護者が子どもの学校生活の状況を知るための役割

②学習活動や学校生活について、自己実現に役立てる ため、教師の情報をフイ‑ドバックするための連絡 簿としての役割

特に、 ②の機能が特に重要になってくる。長岡第三 中学校でも答申に示されたような例で通知表によるフィー

ドバック機能を取り入れている。また、 「自己評価記 録票(学びの預金通帳)」を、学習者や教師のフィー ドバックとフイ‑ドフォワードとしての評価資料とし てだけでなく、通知表を補完するものとして位置づけ ている。

(3)メタ認知能力の育成について

ポートフォリオ評価、自己評価等は、 「メタ認知能 力」を育てる評価の方法である。大切なのは、子ども に、メタ(高次)の次元から自分を見る視点を育て、

それを問題解決等の行為につなげていくことである。

そのためには、子どもに「総合的な学習の時間」を通 して「どんな力をっけるか」 「どのようなことを目指 せばよいのか」といった指針を意識させることが重要 であると考える。 「方法知」 「内容知」 「自分知」の評 価、更には「自己評価記録票」での評価と評価方法を 整理してきたが、 「メタ認知能力の育成」の観点から、

貝体的な評価資料を基に、今後の改善点を指摘してみ たい。

(彰評価規準と学習記録表

評価規準表、自己評価記録票とも実践を通して整理 したものである。したがって、生徒に「総合的な学 習の時間」を通してどのような力をつければよいか、

どのような観点で評価するのか(評価されるのか) が意識されていない。生徒への評価規準の提示、自 己評価記録票に評価の観点(評価規準)を示し、生 徒に意識させる必要がある。

②自己評価

自己評価は、 「自己目標」に対しての振り返りであ り、 「新たな自己目標」への基になるものである。

したがって、自己評価のための「自己目標」を設定 させることが必要である。自分知を評価するための

「自己評価シート」に、生徒が達成目標を意識でき るような改善が必要である。

③ポートフォリオ評価

(9)

ポートフォリオ評価を導入する際、評価の規準を生 徒に提示している。しかし、学習が進むにつれて生 徒は、そのことを忘れ意識せずに学習を進めてしま う傾向がある。内容知の評価で、評価規準を生徒に 常に意識させながら、学習の観点との整合性を図る 必要がある。

5. 3.生徒の意識調査から

個を対象とした評価を申し、に述べてきたが、生徒全 体を対象とした評価の側面について見てみたい。この 意識調査は、教師が生徒の学びを評価する方法として、

2回の意識調査を通して生徒の変容を見ようとするも のである。本稿では、 1回目の意識調査の分析を示す。

生徒が自己の学びをどのように認識しているかを見 るため、意識調査(平成13年10月中旬実施1年生171 人、 2年生168人、 3年生174人)を資質、方法知、内 容知、自分知の4観点23項目(各項目はグラフの項目)

について実施した。 (図7)

図7 意識調査の結果

図7は、 1年生(各項目の下の値)から3年生(各 項目の上の値)の「肯定面」の値を伸びた幅で示した ものであり、 ★は、 2年生が3年生を上回った項目で ある。これは平成13年度の各学年(異集団)のデータ 比較であり、多少の変動は見られると考えられる。だ が、 3年間の学習内容が多少の違いはあるものの、基 本的には同じであること、母集団が比較的大きいため 大きな誤差は現れていないと予想できることを前提に、

生徒の3年間の変容を客観的に捉えるため(D3年生 で60%以上の生徒が「そう思う」 「ややそう恩う」の 肯定的な項目を選択していること ②1年生と3年生 との肯定的な項目の差が10%以上あることとした。こ れを各項E]について整理すると次のように整理できる。

方法知については、目に見える部分も多く生徒も意 識しやすい。逆に自分知については生徒の内面に関す るものが多く見えにくい。しかし、資質、方法知、内 容知とも、多くの項目で「学力の伸び」が見られた半 面、内容知、自分知の「伸びなかった面」に代表され

(彰資質に関して

伸 び た 面 伸 び な か っ た 面

関 心 . 意 欲 . 態 度 基 本 的 な 生 活 習 慣 . 社 会 性

忍 耐 力 体 力

②方法知に関して

伸 び た面 伸 び な か った 面

推 考 力 (探 究 ) コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン力 . 実践 力 情 報 収 集 力 (探 究 ) ( コ ミュ ニ ケ 】 シ ヨ ン) 情 報 選 択 力 (探 究 )

多 面 的 な見 方 . 考 え方 (探 究 ) 協 同 す る力 ( コ ミュニケ I シヨン) 文 章 整 理 力 (表 現 )

情 報 活 用 力 (表 現 )

発 表 力 (表 現 )

③内容知に関して

伸 びた面 伸 びなか った面

学習内容理解力 自己の生 き方

社会的課題

④自分知に関して

伸 び た面 伸 び な か った 面

自己 評 価 力 社 会 性 . 奉 仕

自主 性 感 性

創 造 性 . 独 創 仕 自 己肯 定 感

協 調 性 . 思 いや り

るように、 「生徒の内面に関わる力」の育成を学習活 動・学習内容に位置付けていくことの難しさが明らか になった。この意識調査の項目は、教師が子どものど んな面を捉え、評価し支援につなげていけばよいか、

また、子どもはどんな力をつけていけばよいかを意識 させる側面から構成したものである。よって、教師側 にとっては、これらの項目を意識しながら指導を行っ ていくこと、メタ認知能力の育成とも関連するが、子 どもにこれらの項目に当たる力をっけることを意識さ せることが必要である。繰り返すが、 「総合的な学習 の時間」は、学び方を身に付けながら、自己の生き方 を考える時間である。したがって、 「自分知」を伸ば していくような学習活動が望まれる。意識調査だけか ら判断はできないが、カリキュラムの改善の方向をも 示唆しているものと考えることができる。

7.おわリに

小・中学校では、平成14年度から実施される「総合 的な学習の時間」は、新しい一つの教科や領域が加わ るのではなく、それらを統合するものとして位置づけ られた一つの学校改革である。また、 「総合的な学習 の時間」は活動の時間ではなく「学習」の時間である。

「学習」である以上、学校として子どもにつけたい

「学力」があり、その学力をどのように捉え、 「支援」

し、伸ばしていくかが「評価」に問われている。

本稿では、 「総合的な学習の時間」における評価に 焦点を当て、先行研究をもとに、 「生きる力」の学力 観との関係から、 「総合的な学習の時間」を中心に、

子どもの学びを支えるこれからの評価観を示すととも に、実践研究校と連携しながら実践研究を進め、生徒

(10)

の意識調査、評価資料の考察や生徒の資料の観察、実 践校の教師の評価分析の実習・研修等を通して、理論 と実践の整合性を図りながら、子どもの学びを捉える

①方法知、内容知、自分知を中心とした評価規準、 ② 評価の機能としてのフイ‑ドバックとフィードフォワー ド、 ③問題解決のためのメタ認知能力の育成、の3つ のポイントと、評価資料の位置づけから具体的な評価 の方法を示した。

その結果、 「方法知」 「内容知」 「自分知」に沿って 教師が子どもの学びを捉えていくため、評価資料をど のように位置づけ支援に生かせていけばよいか。子ど もが、自分自身を振り返り、自分自身の学びを捉えて いくため、評価資料を活用していけばよいか。そして、

「総合的な学習の時間」を通して、子どもの学び(学 力)を高めていくための評価の機能が明らかになった。

特に、生徒がよりよい自己の学びを追求するための自 己教育力につながる、メタ認知能力を育成する「評価」

がますます必要になってくるであろう。

また、平成14年度から、評価観が相対評価から絶対 評価へと大きく変わる。 「総合的な学習の時間」だけ でなく、各教科の評価についても同様のことが言える。

今後は、生徒の学力を伸ばしていくための具体的な

「支援方法」を明らかにするとともに、それを支える、

教師の「意識変革」に迫っていくことが必要である。

また、学力関連表を取り入れ各教科との関係の整理を 行ったが、さらにそれを検討し、教師が側の認識の向 上と、生徒側への活用を考えていく必要がある。

1) 「内容知」とは、我々が外界の物事や事象につい て認識した結果としての知識である。 「〜はこれ である」「〜とは何々である」という「知りえた もの」がこれに当たる。学校においては一般に

「知識・理解・技能」がこれに当たる。

2) 「方法知」とは、知識や技能自体をどのように獲 得していくかという学習の方法に関わる知の形態。

内容知を覚える学習の行き詰まりの状況が明確に なってくるにしたがって、内容知を厳選し、いか に学ぶか、どのように対象に迫っていくかという 学びの方法、学び方に関わる知識や技術が重視さ れ登場した。

3) valuationは、値踏みされた結果、値打ちまたは 価値そのものであり、値打ち、価値を求めること が目的である。

evaluationは、値踏みすること、価値判断する ことそれ自体と解釈され、進行している状態にお

いて、その時々で、その結果または途中の状態を、

必要に応じて値踏みすること、価値付けしていく ことである。

assessmentは、 evaluationの概念にその源を持 つと考えられ、 valuationとの根本的な相違とし ては、値踏みあるいは価値付けした後の、フィー ドバックの欠落を指摘しているものであり、学習 者にとっての再学習と教師にとっての再指導を含 んでいるか否かであると考えるものである。

4) 「学力関連表」とは、 「総合的な学習の時間」と各 教科との学力の関係を示したものである。重松敬 一・生瀬恵子「算数・数学教育における問題解決 の研究(7)」をもとに、筆者が、長岡第三中学校の カリキュラムに当てはまるように改定したもので ある。

参考文献

(1)大阪府教育センター: 「総合的な学習の実施に向 けて(中学校偏)」、平成13年3月

(2)梶田叡‑: 「教育における評価の理論I」、金子 書房、平成6年

(3)児島邦宏: 「教育の流れを変える総合的学習」、

ぎょうせい、 1998

(4)矢部敏昭: 「数学教育における子どもの自己評価 能力の形成に関する実証的研究」、日本数学教育 学会第34回数学教育論文発表会、 2001 (187‑197) (5)佐野金吾、小島宏編著: 「新しい評価の実際 第

1巻 生きる力を育てる評価」、ぎょうせい、 2001 (6)佐野金吾、小島宏編著: 「新しい評価の実際 第

3巻 総合的な学習の評価」、ぎょうせい、 2001 (7)重松敬一・生瀬恵子: 「算数・数学教育における

問題解決の研究(7)」、奈良教育大学教育実践セン ター紀要No.10抜刷、 2001

(8) 「教育課程審議会答申」、平成12年12月

(9)京都府長岡京市立長岡第三中学校: 「研究紀要」、

平成13年11月15日

(10)加藤幸次: 「総合的な学習のねらいと評価のあり 方」、指導と評価vol. 47、図書文化、 2001年4月 号(9‑12)

(ll)重松敬一他二「数学教育におけるメタ認知の研究 (14)J、 E]本数学教育学会第32回数学教育論文発表 会、 1999 (373‑378)

(12)加藤幸次・安藤輝次: 「総合学習のためのポート フォリオ評価」、繁明書房、 1999

参照

関連したドキュメント

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

 このようなパヤタスゴミ処分場の歴史について説明を受けた後,パヤタスに 住む人の家庭を訪問した。そこでは 3 畳あるかないかほどの部屋に

印刷物をみた。右側を開けるのか,左側を開け

海なし県なので海の仕事についてよく知らなかったけど、この体験を通して海で楽しむ人のかげで、海を

【細見委員長】 はい。. 【大塚委員】

◯また、家庭で虐待を受けている子どものみならず、貧困家庭の子ども、障害のある子どもや医療的ケアを必

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

Âに、%“、“、ÐなÑÒなどÓÔのÑÒにŒして、いかなるGÏもうことはできません。おÌÍは、ON