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1)観 H I緒 幼児の靴の摩耗と歩容について

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(1)

幼児の靴の摩耗 と歩容 について

The relation between Gait and Wearing shoes in Children

子・ 春     *)・ **) Tomoko OMURA,Aya KASUGA*)and Rie UKIGAI**)

(平9年10月6日受理)

I緒  

足部形態や寸法 は家庭で簡単 に計測 しに くく、幼児の足部の形態変化やその成長量 について 充分 に把握 しに くいのが現状である。小 さいサイズの靴 を着用 させ続 け、母趾が外反するといっ たケース もみ られる。 さらに幼児 自身 も、自分の足 に適 した靴 を着用 しているかについて判断 力が まだない。幼児の土踏 まず形成 に関 して、根本 (1966,110〜116)は土踏 まず形成 と加齢 について検討 し、小山 ら(1982,317〜325)は足のアーチ構造 とは関係がなかった ことを報告 している。 また、山本 (1990,232)と 土肥 (1994,71〜83)は、幼児の履物設計 を目的 とした 足部計測部位 の検討 や形態特性 に関 して足部計測 に基 づ く報 告 を してい る。猪又(1986, 967〜 999)によれば、7歳ごろには成人 と同様 に左右 の手 の振 りがみ られ る直立二足歩行がで

き、水野(1986,184〜187)は、現代の子 どもたちは体格 の向上 に比 して運動量が少ないので、

足部 の筋力が低下 し、土踏 まずの形成の遅れが 目立 ち、偏平足の者が多いな ど足部形態 に変化 がみ られるという。

本研究では靴の摩耗 に着眼 し、摩耗状況か ら、足部の形態や歩容 について推測で きるとの仮 説 をたて、 まず靴の摩耗 に関する観察調査 を行い、摩耗特性 について検討す る。次いで、特異 な摩耗傾向を示 した幼児 を抽出 し、足部の形態や歩容 を観察 して靴の摩耗 との関係の有無 を探 る。保護者が靴 の摩耗状況か ら簡単 に幼児の足部形態や歩容 について指針 を得て、幼児の足部 の成長 と発達 を妨 げることがない靴の選択 をす るために判断の目安 を得 るな ど、消費生活科学 に寄与する基礎的資料 を得 ることを目的に考察 を試みる。

研究方法ならびに資料

1.幼児靴の摩耗の観察

1)観察方法

(1)観察 日時

観察 は、1994年11月 に静岡市内のS幼稚園に在籍する年少か ら年長 まで、1学年 3ク ラス、

合計 9ク ラスの園児の通園靴 を調査 した。いずれ も天候 は晴れ、又 は曇 りで終 日降雨 はなかっ た。

*)静岡大学大学院教育学研究科 **)浜 松市立積志中学校教諭

(2)

(2)観察の対象

観察の対象 は、健康な男女園児249名 の通園靴である。人数構成 と通園靴のサイズは表1に す とお りである。全園児が写真1のようなビニール素材の前 ゴムタイプの靴 を全員使用 してい る。調査対象児の体格 は、男児年少児の身長、女児年中児の体重が全国値 よりも有意 に上回っ たが、それ以外の項 目では、全国値 との差 はみ られず、本調査対象児の体格 はほぼ平均的であ るといえる。

靴 は左右の両足 を観察 したので、観察例数 は、左右各249例 、合計498例 であった。

(3)靴の観察項 目と観察の方法 について

観察項 目は、靴のサイズ、靴全体の摩耗度、中敷 きの摩耗度 と摩耗部分、靴の側面か らみた 爪先、踵の摩耗度、靴底の部分別の摩耗の様子である。

靴のサイズは中敷 きのサイズ表示あるいは靴底の表示か ら調べた。靴全体の摩耗度 は、靴底 の減 り方を同一評価するため、靴底、中敷 きの摩耗 を含め、靴の甲部の部分の摩耗の様子の全 体で評価 した。評価 は次の6段階評価で行 った。

1」 は新調 したばか り

2」 は甲部 に少 しの汚れがあ り、中敷 きには足型がみ られない

3」 は靴の甲部が汚れてお り、中敷 きには足型が多少み られる

4」 は靴の甲部が全体的に汚れてお り、中敷 きに足型が明白に見 える

5」 は靴が色が変わるほど汚れている、中敷 きに足型がみ られ るか、 または、趾な ど少々 の部分が破損 している

6」 は靴が色が変わるほど汚れてお り、中敷 きの破損が激 しい もの、靴底のゴムの部分が 破損 している

中敷 きの摩耗度 も、靴全体 と同様 に次の5項目についてそれぞれ6段階評価で行 った。

①足型がみ られる程度

②母趾、第5趾の先端の破損程度

③趾付け根の部分の破損程度

④踵部分の破損程度

⑤中敷きがはがれている程度

靴の側面からみた爪先の摩耗については摩耗の著しい部分と摩耗の程度について評価した。

部分については、外側、中央、内側の3つの部分で最も摩耗の激しい箇所を記録した。

観察資料の靴のサイズ

(人)

 

男児 女 児 小 計 男 児 女 児 小 計 男 児 女 児 小 計

15 16 17 18 19 20 21

0 21 31 16

1

0 0

1

5

27 41 11 3 0

0

1

1

27 42 19

2

1

27 59 84 54 22

2

249

 

(3)

溝 の摩耗程度 を以下 の6段階で評価 した。

[1]溝 が ほ とん ど減 っていない

[2]汚 れが見 える

[3]  減 って はい るが溝 は残 ってい る

[4]  溝が ほ とん ど見 えない

[5]溝 が ない [6]  破損 してい る

靴 の側面 か らみた踵 の摩耗度 は、側面 か ら みた爪先 の摩耗 と同様 に摩耗部分 と摩耗 の程 度 を評価 した。部分 について は外側、 中央、

内側 の3部分 で最 も摩耗 の著 しい箇所 を記録 した。観察 す る部分 は靴底 に接 してゴムの部 分が高 さ約2 cmあ り、 この ゴムの減 ってい

る程度 を以下 の6段階で評価 した。

[1]  ほ とん どす り減 っていない

[2]0.1〜0。2cm程度減 ってい る

[3]0.5cm程 度減 ってい る

[4]lcm程 度減 ってい る

[5]1.5cm程 度減 ってい る

[6]  ゴムの部分 が な くなってい る

被験者の靴の摩耗様相

被 験 者          

    2    3    4    5  年中  18  5

 年長 20  5      5    4    3    4

 4外  4内  5外  4  年長 17  5      5    5    5    4

     5    4   ̲5    3  年長 19  .6      5    5    4    5

̲        5内  5内  4内  5

 年長 19  5      5    3    4    4

   5外  4内  4外  4 女 年長  19  5      3    3    3    3

̲上量翌互遡 』量量凸 ±量ゴ量

 年 中  18  3      3    3    3    4

︲8

︲7

一 

一 

の靴底 の摩耗部分 と摩耗度の

靴底の摩耗度 は、図1のように摩耗 のみ られ る 部分 を以下の靴底 の滑 り止めの溝の減 り方を目安

5段階評価で点数化 し、記録 した。

[1]溝 がほ とん ど減 っていない

[2]減 ってはいるが溝 は残 っている

[3]溝 がな くなっている

[4]溝 がな く、 さらにす り減 っている

[5]  ゴムが変質するほど減 っている 記録用紙 をつ くり観察 を行 った。調査対象 とし た靴のサイズの実態 は表1のとお りであった。

2.足部の計測 と歩容の事例観察

1)被験者の抽出方法

靴の摩耗が個性的であった幼児5名 (年中男児 2名、年長男児1名、年長女児1名)と対象群 と

して一般的であった幼児4名 (年少男児1名、年少女児1名、年長男児1名、年長女児1名)

9名を被験者 として抽出 した。

2)資料 について

被験者の靴の観察結果 を表2に、靴底 の摩耗様相 は図1に示す とお りであった。

・ 被験者a:側面の摩耗部分 は、爪先、踵 とも左右の摩耗部分が異なっていた。特に靴底か ら

祖鐵熊普h

(4)

みた踵では右の踵 は全体が摩耗 していたのに対 して、左の踵 は内側が摩耗 していて左の踵の外 側の摩耗が きわめて少ない とい う摩耗 の仕方の個性 を示 した。

・ 被験者b:靴底か らみた踵が内側の摩耗が顕著であつた ことと趾付 け根の摩耗が著 しかった ことが特徴である。

・ 被験者C:左靴底の踵部分 に他の者 にはみ られない特徴的な摩耗様相 を示 した。

・ 被験者d:側面か ら観察 した結果、爪先 は右が中央、左が内側、踵 は、右が外側、左が中央 が摩耗 し、いずれ も顕著 に左右が異なっていることが特徴であつた。

・ 被験者e:踵の内側部分が摩耗 していた ことが大 きな特徴であった。

・ 被験者f〜 i:靴の摩耗 に特徴のみ られなかった幼児4名である。靴の摩耗が個性的であつ た幼児の靴全体の摩耗度が5のものが多かつたため、 これ らf、 g、 h、 iも摩耗度が5の か ら抽出 した。

3)被験者の体型 について

被験者の身長、体重、ローラー示数、カウプ示数 を表3に示す。

全国値 と比較すると、被験者 fと gは身長、体重が全国の値 を上回 り、被験者aぉょびbは

身長、体重、ローラー示数、カウプ示数のすべ ての項 目で全国値 よりも上回った。被験者Cは 身長が全国値 よりも上回るが、体重 は下回つた。

被験者hは身長、体重、カウプ示数が全国値 よ りも上回つた。被験者 eと iは 身長が全国値 よ りも上回 り、体重 は下回つた。被験者dは身長、

体重 とも下回 り、小柄 な体格であつた。

4)計測 日時および計測環境

計測 は1994年12月 1日に行い、静岡市内の S

幼稚園で、計測者1名、補助者1名、記録者1

名、歩行のビデオ撮影者1名、足部洗浄者1名

被験者 の体格

と幼児の相手役2名の計7名で行 った。足脈採取 と足部外郭線の採取者 と補助者 は、足部計測 時の計測者 と補助者が継続 して行 った。

5)足部の計測方法

(1)計測項 目

計測項 目は、土肥 ら (1994,71〜83)、 山本 ら (1990;232)の 報告 を参考 に、靴の設計 に関 係 していると考 える、足長a(第 1趾)、 足長b(第2趾)、 足幅、踵幅、足囲、インステップ 囲、外果高、足囲高、インステ ップ高の足部9項目である。それ らの項 目について左右それぞ れを計測 した。

(2)被験者の計測条件

計測時の被験者の着衣 は、半袖 シャツと短パ ンの運動着で、両足 は裸足であつた。立位正常 姿勢で計演Iした。長時間の同 じ姿勢 を維持するため、補助者が絶 えず姿勢 について指示 をした。

(3)印 つ け

印つけは図2に示す とお りで、体格調査委員会や人体計測 に関する柳沢(1991, 5〜 7)、 本人間工学会(1977,60〜62)、 大塚 ら(1993,377〜385)や岡田 ら(1990,75〜90)の 報告 を参考

にしたア〜 キの7点である。

    身長cm体kg  ウプ赦

a     年中   108.6    19.3     150   16.36 b     「嗜1    112.2    20.8     146   16.48 c     有ヨJ■    109.4    20.2     153   16.84 d     J風    106.8    16.4     134   14.33 o     J風    103.9    16.6     147   15.33 f     

̀少

    105.4    19.1     162   17.15 g     

̀'    101.5    17.0     162   16.50 h     J員    108.4    17.8     139   15.15 i     匂二J曼    112.3    17.5     123   13.88

(5)

ア 外果点 イ 踵点 ウ 第1指先点 工 第2指先点 オ 誹側 中足点 力 胚側 中足点 キ 楔状骨点

① 足長 a

② 足長 b

③ 足幅

④ 踵幅

⑤ 外果高

⑥ 足囲

⑦ インステップ囲

③ 足囲高

⑨ インステップ高

母趾角

足部計測部位 と計測基準点

(4)計測方法

計測 はマルチン式計測器具や巻尺 により、体格調査委員会 の方法 を参考 に実施 した。

6)足脈 と足部外郭線の採取方法

本実験では、スタンプ用インキを使用 し、画用紙 に足の型 を採取 した。

足部外郭線の採取 には、古藤 (1989,32)の方法 を参考 に 水性用の細字のペ ンを使用 した。

Hラインおよび、足角 と母趾角は図のようにそれぞれ、足 脈の内側 を結んだ内側線 と外側 を結んだ外側線 との交点の角 度および内側線 と歴側中足点か ら引いた母趾の接線がなす角 度 を測定 した。

7)歩容 の観察方法

(1)観察用具

観察 に使用 した2台のビデオカメラの位置 を図3に示す。

着地、蹴 り上 げの観察 を可能 にす るため、カメラは床面 に直 接設置 した。

(2)観察方法

補助者が歩行 の方法 を予め被験者 に提示 した後、設置 した長 さ4mの直線距離 を被験者がひ とりで好 きな速度で2往復す る様相 をビデオ撮影 し、それ を歩容観察の参考資料 とした。

歩行の実験条件 とビデ オカメラ配置図

カメラ2 撮影範囲

(6)

Ⅲ 。結果および考察

1.靴の摩耗の実態

1)靴全体の摩耗度

靴全体 の摩耗度 を年齢群別、性別 に分類 した結果が図4である。

年少児 は、摩耗度3に全体の29。0%が属するが摩耗度1、 2にそれぞれ約20.0%が属 してい る。年中児では、摩耗度4に36.4%が属 し、摩耗度1に2.3%2に8.0%しか属 さず、年少児 よ り少なかった。年長児では、摩耗度5が32.6%で最 も多 く、摩耗度 1は4.3%、 摩耗度2に 10.9%と年中児同様少なかった。年少 と年中、年少 と年長の年齢群間ではt検定の結果、男女 そ れぞれに有意 な年齢差がみ られた (表 4)。

2)側面の摩耗度

靴側面 における爪先 と踵の摩耗部分 についての結果 を表5に示す。

爪先では、左右 ともに50%前後 は中央部分が摩耗 し、内側部分 と全体が摩耗 しているものは、

左右 とも、10%以下であった。爪先の摩耗 は、  張 女 左右 とも同様 の様相であった。         年長 男

踵 は、右踵では、約43%が外側が摩耗 し、約

30%が中央が摩耗 していた。左踵では、外側の 摩耗 と中央の摩耗が ともに40。0%を示 した。

次に、左右爪先部分の摩耗 についてのクロス 集計結果 は、「右爪先の外側が摩耗 している」 では、左爪先 は「外側が摩耗 している」が56.8%、

「中央が摩耗 している」が29.7%ついで「内側 が摩耗 している」、「全体が摩耗 している」が続 いた。「右爪先の外側部分が摩耗 している」靴で は、左爪先 は「中央部分が摩耗 している」が79.

年中  年中  年少  年少 

0%   20%   40%   60%   80%  100%

年齢群別・ 性別 にみた靴全体の摩耗度 靴の摩耗 の年齢差 0性

8%、「外側が摩耗 している」が12.8%ついで「内  男 児 2.87 側が摩耗 している」が6.4%、「全体が摩耗 して

いる」が4.0%であつた。「右爪先の内側が摩耗

男女      検定      検定 結果    SD  結果

*  3.88  0.96

*  3.81  1.16

SD

4.29  1.19 3.77  1.37

SD

l.25 1.22

危険率 5%で有慮差 

左右の靴側面の爪先摩耗部分 と踵部分 とのクロス集計結果

(人)

I簾

     

'外 中央 内側 全体     外側 中央 内側 全体    1   100 5   97 0  16 0   26 6  10

外側  15 57  8 10

中央  20 45  9  5

内側   9  2  3   1

   7  15   0   3

 0200

10 100   70   16    8 18  97    28   52   10

1  6   5  2  9 1  26   3   3  0 8 10̲  2  1  1 38 249   108   74   28

  51121 20 19 27   12  249

外側   21  11   2   3

中央  16 96  8  5

内側   7  5 10  0

全体   3   5  0  11

 4400

  51121 20 19

39    25   11    1 135   62   45   15

23   5   4   1 19   6  9  2 33  10  5  9 249   108   74   28

2

10

1

0

25

1 39 2135 0 23 0 19 9 33 27   12 249

(7)

クロス集計結果の χ2

検定結果一覧

χ2検定結果

左右の靴底爪先の摩耗部分 とのクロス集計結果

(人)

磨耗部分   靴 底 右 爪 先

外側  全体  内側       外側    0   1   o   1   2

全体   4  28  29   0  54

内側    1  29 138   5 173

̲」̲̲̲̲9̲̲… ■ … …■ ̲̲1■.…2」Q.

    5  60 173  20 249

8 側面右爪先/側面左爪先

側面右■/側面左踵 側面左爪先/左 靴底右爪先/靴底左爪先 靴底右田/靴底左目 右側面題/右靴底踵 左側面題/左靴底踵 右靴底題/右靴底磨耗度 左靴底■/左靴底磨耗度

左右の靴底踵の摩耗部分 とのクロス集計結果

(人)

靴 底 右 田

̲磨耗部分 外側  全体  内側          H田     73    36     6     1   116    全体     12    82     8    o   lo2   内側    1   9   7   0  17

田 ¨̲■ ̲̲̲̲■ ̲… ■ ̲̲̲Q.̲̲11̲̲̲J■

      87   129    21    12 249

している」靴では、左爪先 は「内側が摩耗 している」が45.5%「中央」「外側」 と続 いた。「内 側が摩耗 している」 はみ られなかった。(表5参)

左右摩耗部分 についてのクロス集計結果によれば、「右踵の外側部分が摩耗 している」靴では、

左踵の「外側部分が摩耗 している」が66.0%、 「中央部分が摩耗 している」が26.4%であった。

「右踵の中央部分が摩耗 している」靴では、左踵 は「中央部分が摩耗 している」が71.2%、 「外 側部分が摩耗 している」が21.9%であった。左右 とも「 内側部分」「全体」が摩耗 しているもの は、5。0%以下である。踵の摩耗部分 も爪先 と同様 に左右同 じ部分が摩耗する傾向があった。

人間の歩行 は、足部の着地、蹴 り上 げの繰 り返 しであ り、側面爪先の摩耗が中央部に多いの は、人間の歩行時の蹴 り上げの動作が摩耗 と深 く関係すると考えられる。蹴 り上げは母趾から 2、 3趾にかけて行われ るので、第2、 3趾の蹴 り上 げによって側面の爪先中央部の摩耗度 が高 くなると考 える。 また古藤(1989,133)は、成人 は、足の指の長 さを第2趾が最 も長い「ヘ

の字型」の爪先形態が約30%存在することを報告 している。今回の結果においては、 この二つ の要素が まじりあって、蹴 り上 げ時に、爪先の中央部分が地面 と接触 し、側面の爪先中央の摩 耗度 に影響 した と考 える。 また、幼児の靴の着脱様相で観察 された、靴 を履 く時に「爪先を地 面 に トン トンする」 も中央部分の摩耗度 を高めていると考える。爪先の内側や外側が摩耗 して いる者 は、第2、 3趾の蹴 り上 げの力が弱い者か、

もしくは歩容が他の幼児 とは異なっていることが 原因の一つ と考 える。立位姿勢における脚型 は、

2歳頃 までは0脚型、2〜 3歳児 にX脚型、5〜6 歳児で正常脚へ と変化 を始 め12歳 ごろに正常脚 に 移行 し終わ ることか ら、幼児期 は、X脚か ら正常 脚への過渡期の初期 にあたるので、歩行時に側面 爪先の内側部分が こす りあって摩耗することも一 因 と考 える。

踵 は着地時 に最初 に地面 と接する部分であ り、

靴底か らみた爪先 と踵の摩耗度

:危険率5%で有意性有

磨耗度    靴底爪先 (点]左     0        20    20    40 1       28   30   58 2        60    52   112 3        82    94   176 4       42    39    81 5       17   14   31

       14    12    26 11    15   26 48    42    9o 89    90   179 54    58   112 33    32    65 249   249   498       249   249   498

(8)

着地時の足部 にかかる圧力 は、踵後部側面が地面 に接地するときに、踵全体 に力がかか り、趾 付 け根のほうにむけて強い力がかかると推測す る。内側や全体が摩耗 している者 は、歩行時の 踵の着地部分が特異であるか、 または、踵の内側であおる力が強い ことによると推察で きる。

爪先t踵の摩耗が左右で同部分が多 くなった理由の一つ として、土踏 まずの形成 は利 き足か ら行われ、後 に両足同 じように形成す ることに関わつてお り、左右対称 の者が、多かった とい え、摩耗部分が左右対称 でなかった例 の理由の一つには、左右差が大であるか、サ ッカーな ど 特定のスポーツを行 っていることな どによる。

つまり靴の これ らの摩耗 は、幼児の歩行時の着地や蹴 り上 げの部分や靴 の履 き方や立位姿勢 時の脚型の違い、足部の形態な どの特徴 と密接な関連性 を示す といえる。

3)靴底 の摩耗 について

まず爪先 について検討す ると、左右両爪先 とも、「内側が摩耗 している」が65.0%以上 を占め た。右踵 は「全体が摩耗 している」に51.8%、 次いで、「外側が摩耗 している」が34.8%であつ た。左踵 は「外側が摩耗 している」が46.6%、 「全体が摩耗 している」が41.0%であつた。爪先 と踵の左右摩耗部分のクロス集計結果 についての χ2検定結果 を表6に示 した。出現頻度 に有意 性が認 められたのは、左右の爪先、腫の摩耗部分であつた。

右爪先の「内側が摩耗 している」靴では、左爪先 は「内側が摩耗」が86.2%、 「全体が摩耗」

13.7%である。レ剛レゞ摩耗」 はみ られなかった。右爪先の「全体が摩耗 している」靴では、

左爪先 は「内側」、「全体」が摩耗 しているがそれぞれ50。0%内外であつた。左右両爪先 とも内 側が摩耗 しているものが多かつた (表7)。

右踵の「外側が摩耗 している」靴では、左踵「外側の摩耗」が89.4%を 占め、右踵全体が摩 耗 している靴では、左踵 は「全体が摩耗 している」が64.6%、 「外側が摩耗 している」が28.3%、

「内側が摩耗 している」が7.1%である。右踵の内側が摩耗 している靴では、左踵 は「全体が摩 耗 している」が38.1%、 「内側が摩耗 している」が28.6%であつた (表8)。 つまり、右踵が「外 側」 と「全体」が摩耗 している場合 には、左踵 も右 と同部分が摩耗す る傾向が強かつた。 しか し、右踵の「内側」が摩耗 している場合の左踵 は同部分の「内側」ではな く「全体」あるいは

3つの摩耗部分がほぼ、同 じ割合で摩耗 していた。

以上の結果か ら、靴底の爪先の摩耗 は左右 とも、内側が摩耗する傾向があることがわかった。

外側 を摩耗 している者 は少数であつた。踵の摩耗 において も、左右 とも同部分 を摩耗する傾向 にあつた。靴底の摩耗 は全体が最 も多 く、次いで外側であった。靴底の爪先、踵で も、側面 同様 に左右で同部分 を摩耗する傾向があつた。

10 右踵摩耗部分の側面 と靴底 とのクロ   11 左踵摩耗部分の側面 と靴底 とのクロ ス集計結果       ス集計結果

 自嘱部分

& -"''"'

,|.flJ

€fr filro

s

ft 7"'*"

${ro

efi

n{ro

*

外側     60    44     1     3   108

中央   16  50   7   1  74

内側      1    13    13     1    28

Jホ      7   20    0    0   27

̲二̲̲̲̲■ .̲̲■ ̲̲■ ̲̲̲Z。 ̲̲13̲

引同団     69    29     1   10  100

中央   34  53   6   4  97

内側    4   5   7   0  16

全体    8  13   3   2  26

̲■………̲̲̲■ ̲̲■ ̲̲̲Z.̲」̲

   87 129  21  12 24Q      116   102    17    14 249

(9)

靴底の爪先 と踵の摩耗部分の違いは、歩行時の着地や蹴 りだ しの部位やその ときに使われる 力、 または、歩行の仕方が靴底の爪先 と踵の摩耗 の違いに現われると考 えられた。

次 に、靴底か らみた爪先、踵の摩耗度 を表9に示す。爪先、踵の摩耗部分 とそれぞれに対応 している摩耗度 とのクロス集計 を行い、χ2検定 を行 った結果、左右踵の摩耗度 と摩耗部分では 危険率5%で出現頻度 に有意性が認 められた(表6参)。 爪先 に関 しては、右爪先 は、摩耗度

3が37.8%、 摩耗度2が20.9%、 左爪先では、摩耗度3が32.9%、 摩耗度2が24.1%であった。

踵部分 については、左右いずれ とも、摩耗度3が35。0%以上で最 も多 く、次いで、摩耗度4 2であった。爪先、踵両方 とも摩耗度 に左右差 はみ られなかった。

右踵の摩耗度 と摩耗部分 について検討すると「摩耗が全体」の靴では、「摩耗度3」 が42.6%、

「摩耗度4」が21.7%、 「摩耗度2」「摩耗度5」 14.0%であった。「摩耗が外側」の靴 には「摩 耗度3」 が33.3%、 「摩耗度2」 が27.6%、 「摩耗度5」 24.1%であった。「内側」の場合 には、

摩耗度4が最 も多 くみ られ、42.9%で ある。摩耗が全体 の場合 には、摩耗度3、 4、 5の順 に、

外側の場合 には、摩耗度3、 2、 4の順 に摩耗 の出現率が高かった。左踵の摩耗度 と摩耗部分 については、摩耗頻度の高かった外側では「摩耗度4」 が35.3%、 「摩耗度3」 が27.6%、 「摩 耗度5」 24.1%であった。

左右 とも摩耗が全体 の場合 は、外側部分 より、摩耗度が大 きい者が多い という傾向を示 し、

摩耗度 と摩耗部分 に関連性があることが認め られた。

この ことは、歩行時に踵の全体で着地する者 は、外側で着地す る者 よりも大 きな力が踵にか か り、加 えて、静立時 に足底部 にかかる圧力の大小 も影響 を与 えると考 える。野田(1984,63〜78) の報告にみる静立時の足底等への圧力分布では、踵 にかかる圧力 は、中央部分が最 も大 きい。

摩耗度 は、側面 と同様 に、個人の運動量の大小 にも関係 しているといえる。

以上の結果、摩耗 の部位 に関係す ると考 えられる要因 としては、歩行時の着地、蹴 り上 げに 使用 され る部分や内股歩 きな どの歩容があげられる。

4)側面 と靴底 の摩耗

側面、底 と各部分 とのクロス集計 をし、χ2検定 を行 った結果 は表6で示 した とお りある。右 爪先の側面 と靴底の摩耗 について、有意性が認 め られたのは、左踵 と右踵の摩耗部分である。

左爪先 と左踵の摩耗部分のクロス集計結果 は、腫の「外側部分」「中央部分」「全体」が摩耗 している場合 は、爪先の摩耗部分 は「中央が摩耗 している」が60。0%内外で最 も多 くみ られ、

次いで「外側」「内側」であった。「踵の内側が摩耗 している」場合のみ、「爪先の外側が摩耗 し ている」が60。0%で中央が摩耗 しているものよりも上回っていた。踵の摩耗部分が どの部分で あろうと、爪先の摩耗 は中央 になる傾向があることがわかった。例外的に左足では踵の摩耗が 内側 の とき、爪先の摩耗 は外側であるという傾向がみ られた (表5)。

右踵の側面 と靴底 の摩耗 のクロス集計結果 を表10に示 した。「側面の外側が摩耗」の靴では、

靴底 は「外側が摩耗」が57.1%、 「全体が摩耗」が41.9%で「内側が摩耗」 は1例のみであっ た。「側面の中央が摩耗」 している靴では、靴底 は「全体が摩耗」が68.5%、 「外側が摩耗」が 21.9%、 「内側が摩耗」は9.6%である。「側面の内側が摩耗」の靴では、靴底が「全体」と「内 側」が摩耗 しているがそれぞれ48.1%である。「外側が摩耗」 は1例のみであった。「側面の全 体が摩耗」の靴では、靴底 の「全体が摩耗」が74.1%、 「外側が摩耗」が25。9%であったが、「内 側が摩耗」 はみ られなかった。

左踵の側面 と靴底 の摩耗部分のクロス集計結果 を表11に示 した。「側面の外側が摩耗」の場合

(10)

は、右腫 と同様 な傾向である。「側面の中央が摩耗」では、靴底「外側が摩耗」が36.6%と 右 よ り出現率が高い。「側面の全体が摩耗」の靴では、右ではみられなかった「内側が摩耗」が3例

(12.5%)存在 した。左右両踵 とも「側面が外側が摩耗 していた」者 は「靴底 も外側が摩耗 し ている」場合が最 も多かうた。

側面 と靴底の踵の摩耗部分が同 じ部分である傾向がみ られた ことは、歩行時にかかる重心の 移動がスムーズに行われている者が多い と考 えられる。

反対 に、側面 と靴底 とで摩耗部分が異なった者 は、重心の移動の仕方が異なっていると考 え られ る。その1例として、「側面 は外側が摩耗 している」が、「靴底 は内側が摩耗 している」 と い う場合がある。人間の歩行の着地 は、踵の後部側面が地面 に接地す るときに踵全体 に力がか か り、その後趾付 け根 に力が移動す るときは踵の外側 に力がかかっている。その力が強 くかか ると踵部分では、外側か ら内側へ とかかる力が移動 し、内側 に力が入 っているときは、外側 に 力が入 っているときよりも小 さい力であるとい う。 このように正常歩行の場合 は、踵への圧力 は内側 より外側 により強 く力がかかるが、側面 と靴底か ら観察 した摩耗部分が異なっているこ とは、踵の外側 より、内側 において より多 くの圧力がかかっているか らである。

年少の靴底が全体的に摩耗 している例が多かったのに対 して、年中や年長の靴底 は踵や爪先 の摩耗が明確 に観察 される靴が多かった。 この ことは近藤 (1993,107)の言 うように「幼児の 歩行 はヨチヨチ歩 きで足の裏全体で着地する」歩容が年少児ではまだ多 くみ られ るが、年中や 年長 と年齢が高 くなるに従 って、成人の歩行形態 に近づ くので摩耗の仕方 も変化することによ るもの と考 えられる。

次に爪先 と踵の摩耗度 は、同程度 もしくは踵の方が1程度大 きい傾向がみ られた。男児のほ うが踵 より爪先の摩耗度が大 きい ものが多 くみ られたが、 この ことは、幼児の園内の生活状況 が男児 はサ ッカーをする者が多 くみ られ、蹴 る行動が爪先部の摩耗度 を大 き くしていると考 え る。爪先、踵や趾付 け根以外の部分の摩耗度 は小 さかった。趾付 け根部分の摩耗程度 は母趾 と 5趾の付 け根部分が最 も大で、中間の第2、 3趾の付 け根部分 は小 さい傾向にあ り、「あお

り行動」 に使われる部位 の摩耗が著 しい といえる。

人間の歩行 は踵の外側部分→第5趾の付 け根→母趾の付 け根→母趾→第2趾、第3趾で蹴 り だ しが成立するが、着地時の母趾の付 け根 と母趾の蹴 りだ しが爪先の内側部分の摩耗 に関係 し ていると推測す る。 この着地 と蹴 りだ しは、人間特有の足部の外側か ら内側への「 あお り歩行」

が存在 し、人間のみ可能 な歩容である。 この「 あお り」が、成人 と同様 になるのは、8歳ごろ か らであ り、それ以前 は、踵か ら爪先への一直線の着地順序で、成人の走行時 と同様である。

猪又 (1986,972)も 、成人 と同様の歩行がで きるようになるのは7歳ごろか らだ と報告 してい るように、幼児期 は徐々に成人の歩行行動への移行期間である。成人の歩行で、足部 に大 きな 圧力がかか るのは、踵の着地部分 と母趾の付 け根の蹴 りだ し部分である。幼児の靴底の摩耗 の 爪先の内側が摩耗 しているのは、成人歩行 に近い歩容であ り、反対 に、外側部分が摩耗 してい るものは、発達の遅れにより歩行時の蹴 りだ し時 に母趾や第2、 3趾の蹴 りだ しよりも他の部 分第4、 5趾の蹴 りだ しが強い とい う可能性が考 えられる。

踵では、外側が、着地時に最 も最初 に着地する部分であ り、摩耗がされやすい。 また、近藤 (1993,28〜34)も靴 は踵の外側が減 りやすい と報告 してお り、本観察の結果 はそれ らと一致 した。一方、踵 は外側だけでな く、左右両足 とも全体的に摩耗 しているケース も多 くみ られた のは、踵の外側が初 めに着地 した後、踵の内側 も着地 していると考 える。踵の内側が摩耗 して

(11)

12 被験者の足部計測結果

足嘱a ttb題   スニ

̀免

爆 高 EE富勇 茄

  173  168   69   45  169  168   48   24   40

   175  171   70   43  169  168   50   24   39   169  163   69   45  162  168   50   23   41

  169  164   71   47  170  170   50   23   39 1  177  175   72   46  173  170   48   25   43

  178  173   73   45  175  173   49   25   43 1   161   162   68   40  155  151   39   23   39

  162  159   69   39  157  151   38   22   38 5   166  165   71   43  171   165   44   24   39

  164  163   69   42  ]69  160   47   24   41

被験者bは右足の足囲部分が小 さ く、 この 部分 と靴の摩耗が著 しかった右足趾付 け根部 5 分 と共通 している。趾付 け根部分 は、歩行時

にあお り行動 をする部位である。被験者bの

場合、足囲部が小 さいために、 このあお り行動 において余分な力が加わっていることが推測 さ れ る。猪又 (1986,967〜977)は、成人の歩行時 に足部 にかかる力 は、蹴 りだ しの方が着地の ときよりも勝 り、幼児期 は着地時の力のほうが強 く、能率の悪い歩行 をしていることを報告 し ている。今回の被験者bが成人の歩行状態 になっているのではな く足囲が小 さい ことか ら、靴 の足囲部 に余分 なゆ とりがで き、歩行時にかかる力配分や、蹴 りだしの仕方などに支障が生 じ

いた者 は、着地 を踵の内側か らしている、あ るいは歩 き方が内股の者であるとが推察 され る。

以上の ことか ら靴の摩耗の仕方 は歩容や靴 の着脱 な ど生活活動や足部形態などの要因が 深 くかかわ ると考 えられ る。

2.足部形態 と歩容 と靴の関係

靴の摩耗 の仕方には足部の形態や歩行の様 相 と関係が推察 されたので、靴の摩耗 に一般 とは異なる特徴 をもつ幼児 (a〜e)につい て、足部 の形態 と歩容 を観察 し、靴の摩耗 と の関係の有無 について検討 を試みた。対象群

として一般的な幼児 (f〜 i)について検討 した。

1)足部寸法 について

(1)足部 について

被験者 (a〜 i)の左右両足部の測定の結

果 を表12に示す。

足長 は母趾、第2趾の二つの項 目で今回は 測定 したが、 これ らの背景 には、二つの項 目 の うち、母趾 を支点 とした足長のほうが長い ものが多 い と、山本 ら(1990,232)、 大塚 ら (1993,377)、 岡田 ら (1990,75〜90)、 溝田

(1987)に よって報告 されているか らである。

今回、第2趾よりも母趾の方が大であった 被験者dの右足のみについては足長bを採用

し、その他 は全て足長aを足長値 として分析 を進 める。

山本 ら(1990,232)の 計測値 と共通項 目を 用いて、モ リソンの関係偏差折線 により比較

した結果が図5である。

f a首   172  170   70   45  169  170   44   23   39

  174  168   70   48  166  168   45   24   36    167  159   68   43  160  160   46   25   41

   165  159   69   44  162  159   44   22   38 h ttF  173  167   72   48  171   1 71   48   27   46

  175  169   74   51  178  174   48   25   42

i    180   173   74   41  179  168   50   26   42    179  173   71   40  171   165   48   25   41

被験者 a

彼験者 b

被験者 c

    

イ ンス テ ップ囲 イ ンス テ ップ高

     イ ンス テ ップ囲 イ ンス テ ップ高

     イ ンス テ ップ囲 イ ンス テ ップ高

●被験者d

被験者 o 被験者f

̲被 験者 g 被験者 h

● 被験者i

基準線 :山 本値    ――――右足

‐ ― ― ― ―

モ リソンの関係折線 による被験者の足部 形態の比較

-3o -2o -!o M lo 2o 3o

(12)

ていることが主な要因であると考 える。

被験者a〜eは、ほ とん どの項 目で左右両足 とも負に位置 しているとい う特徴がみ られた。

被験者 (fOg・ i)は、正に位置 している項 目が多かった。近藤 (1953,22〜32)や山本 ら (1990,231〜237)は、足長な どの長径項 目は身長 に高い相関 をもつ と報告 している。被験者

a、 b、 dと eの身長 は工技院の全国値 を上回るが、足長 は、平均値 よりも下回つた ことか ら、

これ ら4人は足長がやや小 さめであった。

このように、個性的な靴の摩耗が認 められた被験者 らは、身長 に比べて、足部が全体的に小 さい ものが多かった。歩行時にかか る足部への圧力 は、成人 を対象 とした報告では、緩やかな 歩行の場合が体重の120%、 急歩 した場合が体重の130%である。幼児の歩行 にも同様 の圧力が かかるとするな ら、足部が小 さ くて もかかる圧力 は同 じであるので、足部の単位面積 にかか る 圧力が多 くなる。つ まり、足囲/身長や足長/身長の値が小 さい場合 には足部 にかかる圧力が 多 くなるので靴の摩耗が一般 とは異なる特徴 となって出現するといえる。

(2)靴のサイズ と足部寸法 との比較

足長 と靴 のサイズの左が靴の摩耗 の仕方 とどのような関わ りがあるか知 るため、靴のサイズ と足長 との差 を調べた (表13)。

個性的な摩耗が認 め られた被験者 らでは、靴のサイズ と足長 との差の平均値が、右足が1.38 cm、 左足が1.24cmであったのに対 し、平均的な摩耗であった被験者 らの靴のサイズ と足長 と

の差の平均値 は 右足 は0.98cm、 左足 は0.95cmであった。つ まり、個性的な摩耗が認 め られた 被験者 らの方が靴 のサイズ と足長 との差が大であった。靴のサイズ と足長 との差が最 も大 き かったのは、被験者Cであ り、右足が2。3cm、 左足が2.2cmであつた。 また、被験者aは足長 の左右差が著 しく、靴 のサイズ との差 も左右で著 しく異なった。

靴 には捨て寸 といわれる爪先部分のゆ とりの量 として古藤 (1989,133)はl cm程度が必 要 と述べ、捨て寸 (ゆとり)が大 きす ぎると転倒 しやすい としている。平均的な摩耗 の4名 差 は、前述の とお りほぼl cmに近い結果であつたのに対 し、個性的な摩耗が認 め られた被験者 らの差 はいずれ もl cm以上であった。捨て寸が大 きすぎると靴内で足部が移動 し、歩行時に余 分 な力が足部 にかか り、正常歩行が しに くい ことが推測 される。靴 の摩耗 において、左踵摩耗 部分 に特徴 のみ られた被験者Cは、特 に靴のサイズ と足長 との差 も大 き く、サイズの大 きす ぎ

る靴 を履いていることがわかった。サイズの不適合の靴 を着用 していることによって、被験者 Cの歩行 は、正常歩行で力がかか る以外の部分 に力がかか り、靴の摩耗 のしかたに影響 した と 考 える。すなわち、特異な摩耗が観察 された理由の一つ として、足の大 きさに対 して、必要以

13 左右 の足長 と靴 のサイズ との差 (mm)

14 足角 と母趾 な らび にその左右差

右 の差     左 の差

被験者

a    24.5   19.5    3.5   12.5    4.0    8.5 b    19.5   18.5    1.0   12.0    7.0    5.0 C    17.0   16.0    1.0    9.0    4.0    5.0 d    18.5   19.5   ‑1.0   11.0    4.8    6.2 0     19.0   18.0    1.0   ‑3.0   ‑4.0    1.0 f     16.0   17.0   ‑1.0    4。3    3.5    0。 8 g    14.0   16.0   ‑2.0    7.0   11.9   ‑4.9 h     19.0   17.0    2.0    7.0    8.0   ‑1.0

i     19.5   19.5      0   10.5    8.7    1.8 (度)

a b C d e gf

h

]

=靴のサイズー足長

表 6  クロス集計結果の χ 2 検定結果一覧 χ2検定結果 表 7  左右の靴底爪先の摩耗部分 とのクロス集計結果(人)磨耗部分  靴 底 右 爪 先 外側    全体    内側    無     計 外側     0   1   o   1   2 全体    4  28  29   0  54 内側     1  29 138   5 173 ̲」 壁 ̲̲̲̲9̲̲… ■ … …■ ̲̲1■ .… 2」 Q
表 12  被験者の足部計測結果 撃 姉 足嘱 a ttb題 腑   固 スニ ̀免 爆 高 EE富 勇 茄a 右  173  168   69   45  169  168   48   24   40 左    175  171   70   43  169  168   50   24   39 b  右   169  163   69   45  162  168   50   23   41 左   169  164   71   47  170  170   50   23   39 c  准

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