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権威主義的傾向 ,権 威に対するイメージと政治的態度

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静岡大学教育学部研究報告 (人文 0社 会科学篇)第42号 (1992.3)199〜 212 199

権威主義的傾向,権威 に対するイメージと政治的態度

Authoritarian tendencies, images toward authority, and political attitudes

Tadasl ARADA

(平3年10月 11日受理)

ABSTRACT

The purpose of this study is to investigate the relationships between political attitudes and authoritarianism when it is divided into two aspects called the authoritarian tendencies and the images toward various authorities.

To measure the authoritarian tendencies, a scale is developed from four points of view, which reflect 'authoritarian aggression", "authoritarian submission", "dichotomic determinism", and "acceptance of irrationality",. respectively. Images toward authorities, which are consisted of "politician", "prime minister", "head of police", "office president",

and "school principal", are measured using 13-item adjective pairs.

The main results are showed as follows: (l)conservative political attitudes are highly correlated with authoritarian aggression, authoritarian submission, and acceptance of irrationality on the authoritarian tendencies. They also positively correlated with all of the authority images; (2)with respect to the critical attitude toward political status quo, both of the subjects whose attitudes are the most critical and the most acceptable are equally low

on the score of authoritarian submission and the scores of images toward politician and school principal in male subjects.

These results indicate that the more conservative individuals, political attitudes are,

the stronger authoritarian tendencies and the more positive evaluation to authorities are generated. Concerning critical attitude toward political status quo, it is curvilinearly associated

with authoritarian submission and also has the curvilinear trends on the images toward authorities, which suggests a partial confirmation of the prediction derived from Sidanius

(1985)'s "context theory".

(2)

権威主義的パーソナリティが右翼的な政治的態度 と結びついていることを最初に実証的に明 らかにしたのは, Adorno et al。 (1950)であった。彼 らによれば,権威 主義者 は,慣習化 さ れた内集団の価値に固着 してそれ らを侵害する可能性のある者を排斥 しようとする一方,内 団の理想化 された権威 に対 して無批判に服従 しようとする.内集団の権威への従属 と外集団の メンバーヘの攻撃の表出とが共存 しているところに権威主義者の主たる特徴が認められるとい える。彼 らの攻撃の対象 とな りやすいのは異民族集団をはじめとする少数者集団であ り,こ した異質な集団に対する敵意が反ユ ダヤ主義や自民族中心主義傾向の強さとなって現われる. ところで,こ れ ら異人種排外傾向は政治的には頑迷 な保守主義 を代表すると考 えられるので,

権威主義的パーソナ リティと政治的保守主義 との間には直線的な関係を想定できることになる。

すなわち,権威主義的な傾向の強さは政治的保守主義傾向の強さと正の関係 を持つ ことが予想 される.

Adornoら によって作成 されたF尺度に対 しては,当 初か ら黙従反応傾向など測定方法論上 の問題 を中心に鋭い批判が投げかけられたが,と くに注 目に値するのは,彼らは右翼の権威主 義のみに着 目していて,左翼の権威主義についてはまった く無視 しているという Shils(1954) の指摘であろう.彼Adornoら の研究グループによる深層面接の資料 を綿密 に検討 した結 ,強者への服従に代表されるような潜在的ファシス トの心理的特徴が政治的左翼支持者グルー プにもあてはまるという事実を見いだした。このことは,政治的態度の連続体上の左右両極 に 位置する者は,権威主義的パーソナリティ特徴 に関 してむしろ類似 した傾向を持つのではない か ということを示唆 している.その後 Tet10ck(1983)も同様に,左右のイデオロギーの信奉 者は,中間に位置する者に比べてともに教条主義的傾向を強 く示 し,黒か 自か といった単純 な 三分法的判断を好んで行ない,あ いまいさや非一貫性で特徴づけられる事態に対 して不寛容で あるといった傾向を持つ ことを明 らかにした.彼によれば,左右のイデオロギーの信奉者 たち ,権威主義的パーソナリティ保持者に特有の認知的な硬 さを合わせ持つという点で互いに類 似 し,し たがって,政治的態度 と権威主義的傾向 との間には曲線的な、いわばu字型 の関係が あると想定 される。

一方,権威主義的な傾向と政治的態度 との間に曲線的関係 を想定する点では同様であ りなが らも,そ の方向は Tet10ck(1983)とは逆の予測 を行なったのが Sidanius(1985な の であっ .彼,政治的態度における両極性 は,保持 している信念の内容によってア・ プ リオ リに分 類 されるのではな くて,所与の社会政治的文脈の中で相対的に決定 されるものであると考 えた (文脈説).彼によれば,左右両極の政治的態度を持つ者は,自 分たちの政治的態度が得点分布 上の両端に近 く,し たがって少数者であることを自掌しているという.そして,両極者 は,数 の上では優勢であると考えられる中間的でより穏健なイデオロギーヘの同調への圧力に抗 しな が ら自分たちの立場への攻撃に効果的に反論するために,政治的関心や知識が豊富で lSidanius,

1984),政治的洗練 (political sophistication)の 程度が高い (Sidanius,1988)状 態 にあるこ とに動機づけられていると仮定 される.それ らを可能にするのが柔軟で複雑性に富んだ認知様 式 を採用することであ り 文脈説"で,政治的態度の左右の両端に位置す る者の方が認知 的に熟練 しているとみなされる。Sidanius自身は権威主義 という用語を使ってはいないが,認 知的硬 さや単純化 した判断を行なう傾向を権威主義者に共通 して認められる認知的特性である と考えるならば 文脈説"からは,権威主義的傾向 と政治的態度 との間には逆U字型 の関連 性が存在することが想定 される。すなわち,権威主義的傾向が最大であるのは,中間的 な政治

(3)

権威主義的傾向,権威 に対するイメージと政治的態度 201

的態度 を持つ者であるという予測が成 り立つ.

このように,権威主義的な傾向 と政治的態度の関連の様相については3つの対立す る経験 的 証拠が提示 されている。その背景 には,そ れぞれの立場で想定 されている権威主義の概念の内 容 とその測定方法 にかな りの相違が認め られることが関連 しているように思われる。

従来の権威主義に関する研究では, Adornoら 9特性モデルを基盤 として権威主義を深層 のパーソナリテイ特性のまとまりであるととらえるとともに,そ の測定はF尺度かその改訂版 によって遂行 されて きたのが一般的な姿であった.しか しなが ら,黙従反応傾向の問題 に加 え ,権威主義的な傾向を測るための道具 としてF尺度が適切であるか どうか については,必 しも幅広い合意が得 られているわけではない.例えば, Altemeyer(1981)は ,F尺度が 在的ファシス ト'あるいは 権威主義"と呼ばれるような単一概念 を測定 しているという明白 な証拠はないことを´

指摘 している.そして,過去のF尺度の因子分析的研究で示唆 された因子 構造に一貫性が欠けていることや,F尺度項 目得点間の相 関が低 い傾向があることを もとに, F尺度は測定 しようとした権威主義概念を適切 な形で測定 しているとはいえない と結論づけて いる。彼は,こ のモデルの もとになった9つのパーソナリテイ特性のうちで因子的に意味があ るのは 権威主義的攻撃 権威主義的服従 因習主義"という右翼的性向を表現する3つ のクラスター しかない と考えている。

ところで,パ ーソナリテイ特性 としての権威主義概念の とらえ方 とは別 に,社会 に現実 に存 在 し,他者 にその意志決定を強制することが制度的に認め られている,いわば制度化 された権 威 をどのように受け とめるか とい う点を考慮することには意味があるように思われる.Rigby

&Rump(1979)は,権威 に対する態度 とい う概念 を権威主義 とは区別 して とらえ,これ を 権威 を受容 した り拒否 した りする個人の内的な傾向 として把握 しようとした.Rigby&Rump

(1982)で,警察・教師・軍隊 0法 律・象徴的権威 の5種類 の権威 に対す る態度の測度 と, あいまいさに対する不寛容,教条主義,認知的単純性 などのパーソナリテ イ変数 とを込み に し て因子分析 をしたところ,権威 に対する態度 と権威主義的なパーソナ リテイを代表す る2つ 斜交因子が見いだされたことが報告 されている.

このように,両者間に一定の正の相関が認め られるにしても,権威主義的パー ソナ リテ イと 権威 に対する態度 とを区別 して とらえることは,それぞれ と政治的態度 との間の結びつ きの様 相について違いが生 じて くるとい う可能性 を生む.現実の制度上に一定の位置を占めている権 威 に対 しては,そ れが本質的に現在の社会的,政治的体制の維持・安定 を図るという役割を担っ ていることを考えるならば,政治的保守主義 との間に直線的な正の関係 を想定で きるであろう. 一方,権威主義 をパーソナ リテ イ特性あるいは Tetlockの ように認知的な特性 として とらえる

とすれば,政治的保守主義次元上の両端 に位置する者は,互いに類似 したパー ソナ リテ イ・認 知特性 を示す可能性がある.権威主義に関 してこの ような相対 的区別 を行 な うこ とに よって,

政治的態度との関連の様相について従来とは異なった知見を新たに提供することができるかも

知 れ ない。

ところで,政治 的態度の測定 は Tetlock(1983)の場合 に典型 的 に示 されてい る よ うに,政

党支持 もし くは政治的活動集 団へ の加入 の有無 とい った具体 的 な行動 レベ ルの指標 を通 じて判 定 され るこ とが比較 的多 か った。 また,態度尺 度 を用 いてい る場合 であ つて も,パ ーソナ リテイ の測度 との区別が必ず しも定かである とはいえない内容の尺度 を用いている研究 も見受 け られ る。例 えば, Adorno et al.(1950)の 政治経済的保守主義尺度"を構 成す る項 目の うちで

(4)

実業家や工場主は、社会にとって、芸術家や大学教授よりもずっと重要である'という項 目 は,大 意を変えない程度の部分的な変更を経た後に,権威主義的パーソナリティの測度である F尺"の中に組み込まれている.つまり,従 来の多 くの政治的態度の測度には,パーソナ リティの測度と混同されやすいという弱点や,同意反応バイアスの影響を受けやすいといった 問題点の存在を指摘することができる。

それに対 して, Sidanius(1976)の S4尺度を始めとするキャッチフレーズ形式の態度尺 度は,一 般的な文章項目を配列 した態度尺度と比較 していくつかの利点を認めることができる.

キヤッチフレーズ形式の尺度とは,項 目が文章の形ではなくて,測 定の対象 となる事象のみを 0熟語という明確な形で提示 した形式の尺度のことである.この形式の尺度は文章形式の尺 度に比べて,まず第1に,刺 激がごく短い単語あるいは語句の形で示 されているために,そ 意味内容が被験者に直接伝えられること,第 2に ,項 目の理解が容易であることから,被験者 にとって反応を比較的たやす く導き出しやすいこと,さ らに第 3に ,評 価的方向性が明示 され る述語文や,程 度や頻度を表わした用語など,態度測定とは直接関係しない文章項 目の要素に よる被験者の反応への影響を免れることができることといった利点を持つものと考えられる.

キヤッチフレーズ形式の尺度が持つこうした特長は,抽象的内容をも含み,ま た個人の態度表 明をちゅうちょさせる機制が働 きやすい政治的態度の態度の測定にとってより好都合であると いえよう。

本研究は,以 上の考察に基づいて,権威主義的傾向と現実の権威に対する評価 とが,政治的 態度とそれぞれどのような関連を示すかについて検討することを目的とする.本研究において

は,パ ーソナリティ傾向としての権威主義の測度として,F尺度原版や Altemeyer(1981) の人度項 目などを参照して 権威主義的攻撃 権威主義的服従 三分法的決定論 合理性の受容"の4つ の側面からなる尺度を構成することにした.また,権威に対する評価に 関しては 政治家"のような政治的権威と 学校長"のような非政治的権威の2種類 を用意 ,SD法によるイメージ評定の形で測定することにした.さらに,政 治的態度の測度 として 体制維持 体制批判 軍国主義 復古主義"の4つ の下位尺度を持つ単・熟語形 式の尺度 (原,1989)を一部修正 して用いることにした.

被験 者 と調査期 日

被験者は国立4年制大学の1‑3年生である.後述のように不完全回答者 を除いた後の分析

対象者は,324名 (男 135名、女子 189名)であった.調査は,1988年1‑2月にかけ

て講義時間を利用 して行なった. 質問紙の構成

政治的態度尺度 原田 (1989)で使用 された項 目に若干の修正 を加 え,また下位尺度名 に 一部変更を行なった32項 目からなる単・熟語形式の測定尺度である.回答 は まった くよ く

ない"から ひじょうによい'までの7段階評定によって求め,順1‑7点を与 えて得点化

した.項目の意味内容 を知 らない,ま たはわか らない場合には無回答を許容 した.

各項 目への評定の欠損値の出現状況を調べ,32項目のうちで4項目以上に欠損がみられたケー (30名)は除外 した.な,32項目中全被験者の10%以上が無回答であった項 目は見当 ら

(5)

権威主義的傾向,権威に対するイメージと政治的態度 203

なかったので,32項目すべてを後の分析 に使用することとした。欠損値がみ られた場合 には,

欠損値 を含む変数の他の変数に対する段階的回帰によって推定値 を求め,そ の回帰推定値 をそ れぞれのケースに充当 した.

本研究で使用 した政治的態度尺度は 体制維持",  体制批判",  軍国主義",  復古主

"の4つの下位尺度を持ち,それぞれ8項目ずつ含 まれている。本被験者による評定 に基づ く各下位尺度得点の α係数は順に.638,.769,.799,。 768であ り,本尺度 はほぼ安定 した構造 を持つ もの と考えてさしつかえないと思われる.

権威主義的傾向の測定 F尺度原版や Altemeyer(1981)の 尺度項 目な どを参照 して,以 下のような側面 を権威主義的傾向を表わす もの としてあ らか じめ想定 し,そ れ らの内容 を測定

し得ると考えられる項 目を収集 した.

その 1つ は 権威主義的攻撃"であり,慣 習的な価値に違背する人々を非難 し,排除 しよう とする傾向を測定しようとするもので 性道徳を乱す者はきびしい処罰を受けて当然である',

人の名誉を傷つけたり体面を汚 した人は,ど んな仕返しを受けても恨むことはできない"な

どの4項目からなる1 2つめは 権威主義的服従"であり,さまざまな形での権威の担い手に 対する追従的な傾向を測ろうとするもので 裁判所の下す判決には,不服であったとしても 従わねばならない",  親や教師の言うことをよくきき,尊 敬することは,子どもが学ぶべ き とても大切な徳 目である"などの4項目からなる.第3は 2分法的決定論"であり,事態を

解釈する際に固定化 したカテゴリーで思考する傾向を表わすものであり 結局の ところ,人 間は強い者と弱い者 とに分かれている",  表面的にはどうふるまおうとも,男 が女に興味を 持つのは一つの理由しかない"などの4項目からなる.第4は 非合理性の受容"で,神秘的 なものや超 自然現象 といった非合理性を受け入れようとする傾向をさし 人間は超 自然的な 力に対する畏敬の念を持つべきだ",  星占いや姓名判断には根拠がない (反転項目)"な 4項目からなる.

各項 目に対 して まった くそう思わない'から まった くそう思 う"までの7段階評定 を 求め,順1‑7点を与えて得点化 した。得点が高いほどそれぞれの傾向が強いことを示す.

権威 に対するイメージの評定 政治的権威 を代表するもの として 政治家",  総理大 臣"

,また非政治的な権威 として 警察の長",  大企業の社長"および 学校長"を選択 し

.これ らの概念は権力 を行使で きる制度的地位 を占める代表的人物か らなるが,回答 の際 に は特定の具体的な人物の評価 を求めるものではないことをとくに注意 した。

それぞれの権威 に対する評価的な傾向を測定するために,井上・ 小林 (1985)を参照 して 収集 された15個 の形容詞対1)からなるSD評定尺度を提示 して7段階評定 を求めた。形容詞 対の配列順序は権威像 ごとに変 え,ま,各権威像の提示順序 も被験者 ご とに異 なるようにラ

ンダムに配列 した.形容詞対の左右の位置 も偏 りのないようにし,肯定的方向の形容詞の うち

1)以下の15項目で あ る。 美 しい 一醜 い 好 きな 一嫌 い な 頼 も しい 一頼 りない"

ま じめ な 一ふ ま じめ な 価値 のあ る 一価値 の ない 感のある一無責任 な情 潔な一

不潔 な 感 じの よい 一感 じのわるい 優 れた 一劣 った 自由な 一不 自由な 親 しみや

す い 一親 しみ に くい 安定 した 一不安定 な 愉快 な 一不愉快 な 有能 な 一無能 な

い 一わるい".

(6)

うち8個を左側に,残 りを右側に置いた.

7段階の評定尺度上最 も否定的な位置への回答に1点,最も肯定的な回答に7点を与 えて 得点化 し,15個の評定値 を単純合計 して各権威像に対するイメージ評定得点 とした。得点が高 いほどその権威像に対 して高い評価イメージを持っていることを示す。

   

政治的態度,権威主義的傾向および権威に対するイメージ評定の各得点の傾向

Table lに政治的態度の各下位尺度について, Table 2に 権威主義的傾向の各側面について,

それぞれの合計値の平均 と標準偏差,な らびに各下位尺度間の相関を男女ごとに示 した。

Table l

Ieans, SDs, and Pearson correlations between political attitudes subcales Total       Male        Felllale     Correlation Coefficients Subscales      (N=324)     (N=135)     (N=189)       CP      MI      RE Maintenance of politica1 35.28(4.44)35.28(4。 63)35.28(4.32).099  374** 439**

status quo(MP)

Critics towaFd p01itica1 33.16(5.30)33.65(5.62)32.81(5.05)    ―。223**―。189**

status quo(CP)

Militarism (Ml)      22.27(6.72)22.30(6.98)22.25(6。 55) Reactionislll(RE)      26.38(6.17) 26.01(6.41)26.65(6.00)

* p<.05, ** p<.01

政治的態度の下位尺度の得点 をみ る と,男女 いずれ も 体制維 持",  体 制 批 判",  復 古

主義",  軍国主義"の順 で得点が低下 していて,と くに残 り2者の得 点 が低 い こ とが特 徴 的 である。 なおいずれの下位尺度得点 に関 して も性差 は認め られなかった.ま,下位 尺 度 得 点 間の相 関 を求めた ところ 体制維持",  復古主義",  軍 国主 義"の間 に はそ れ ぞ れ 高 い 正 の相 関がみ られた.一 体制批判"は 復古 主義'と 軍 国主義"との間に有 意 な負 の 相 関 を示 したが 体制維持"との間には有意 な相 関は認め られなか った.

次 に Table 2で 権威主義的傾 向の各側面の得点 をみ る と 非合理性 の受 容",  権 威 主 義

Table 2

Means, SDs, and Pearson correlations between authoritarian tendency subscales Total       Male        Female     cOrrelatiOn coefficients Subscales        (N=324)     (N=135)     (N=189)       AS      DD      AI

Authoritarian(AA)16.40(3.20)16.33(3.20)16.46(3.21).181**  154** .096*

Aggression

AuthoFitarian(AS)13.35(3.09)13.69(2.96)13.10(3.16)    .221** .005 DⅧ :L(明 L膨 じ 剛 H師 .L司 6XL剛

Deterninisn

*   l

Acceptance of(Al)16.65(3.12)16.16(3。 35)16.99(2.90) Irrationality

* p<.05, ** p<.01

.630**

188**

(7)

権威主義的傾向,権威 に対す るイメージと政治的態度 205

的攻撃",  2分法的決定論",  権威主義的服従"の順 に得点が低下 していて,前 2者 と後 2者との間には有意な差がみ られた。性差に関 しては,  2分法的決定論"および 非合理性

の受容"においてともに5%水準で有意差が認め られ,前者では女子の方が得点が低 く,後 では女子の方が高かった.ま,各側面間には 権威主義的服従"と 非合理性の受容"の

合せ を除いて有意な正の相関が得 られたが,そ の値はそれほど高 くはなかった.

さらに,権威 に対するイメージ評定値に基づいてそれぞれの権威像 ごとに主因子法 に よる因 子分析 を行なった ところ,い ずれについて も第 1因 子の寄与率が第2因子以下の寄与率 に比べ て高 く,顕著な1因子構造 を持つ ことが示唆 された (第 1因子 の寄与率 は 政治家"42.3%,

総理大臣"43.5%,  警察の長"44.4%,  大企業の社長"32.7%,  学校長'38.8%であっ ).なお,男 女間に目立った因子構造の違いは認め られなかった.ま,各権威像 ご とに全 体得点 と各項 目得点 との間の相関係数 を算出 した ところ,一部の項 目で有意でない ものが見 ら れた.そこで,因 子分析の結果相対的に共通性が低い値であ り,ま た,内的整合性 も他 の項 目 に比べて低かった2つの項 目 ( 自由な一不 自由な"と 安定 した 一不安定な")を除 くこと

とし,13項目の評定値の合計を各権威像 に対するイメージ評定得点 とした。

Table 3

Mean scores of images toward authority

Politician     Prime Minister

Ilead of

Po Iice

Office Presldent

Schoo I Principal

TOta1      44.64   **   51.23 (N=324)   (10.86)      (11.32) Male     

‑42.40   **   50,08

誦謂*ご艦″ **鼈

(N=189) (9.50)  (10.47)

**   54.07 (11.45)

50.40

**警:::│『

(9.94)

**   58.01 (8.94)

**   58.19 (8.88)

57、89

(9。01)

59.44 (9.11) 58.35

(9.94) 60.21 (9.24)

( ):SD    * p<.05, ** p<.01

Table 3は 各権威像 に対す るイメー ジ評定得点の平均 と標 準 偏 差 を男女 ご とに示 した もの である。各権威像 間のイメージ評定得点 を比較 した ところ,互いに隣合 う権威像 間 にすべ て有 意差が認 め られ た. 学校 長"や 大企業 の社 長"に比べ て 政治家"や :総理 大 臣"の

うな政治的権威 に対 す る評価 が低 い こ とが特徴 的であ る。 また,イ メー ジ評定得点 の性 差 を調 べ た ところ,全体 に男子 の得点が低 く 政治家"と 警察 の長"につ い て は1%水準 で有 意 な性差 が認 め られた (それぞれ t=3.05, 4.88,と もにp<.01)。 男 子 は女 子 に比 べ て権 力 の 実際的な行使 を伴 う地位 を占める人物 に対 して否定的な評価 を行なう傾向が あ る とい えよう. なお5つの権威 イメージ評定値間の相関係数は 大企業の社長"― 学校長"(。181)か

政治家"一 総理大臣"(.610)までにまたが り,い ずれ も1%水準で有意であった. さらに5つの権威 イメージ評定間の結びつ きの様相 を調べ るために,平均距離法 に よるクラ ス ター分析 を行なったところ 政治家"と 総理大臣"の結合 とそれ以外の権威像 との結合 とに大別されることが示唆された。各権威像間には全ての組合せにおいて有意な正の相関が認 め られることか ら,そ れぞれの権威 に対するイメージは全体 に二つにまとまって形成 されてい

(8)

ると考えられる.しかしながら,ク ラスター分析の結果が示唆するところによれば,本研究で 用いた権威像を,政 治的権威 と非政治的権威とに一応分離して考えたとしてもさしつかえない ように思われる。

権威主義的傾向と権威に対するイメージとの関連

次にそれぞれの権威主義的傾向得点と権威に対するイメージ評定値との間の相関を求めたと ころ, Table 4に示すような値が得られた。

Table 4

PearsOn cOrrelations between authoritarian tendencies and authOrity iIIIlages         ̲̲

AllthoFitarian(M) Aggression

AuthoFitaFian(AS)

Sub■lsslon

Dichotomatic  (DD) DeteF皿 lnlS皿

Acceptance of(AI) IFratiOnality

241‡*      。151*      .223‡* .344**      。146*       。254**

228**      。153■       。222**

.017   .1641*

.031        .223*‡

.006       .122ホ

.036     ‑.093*

.017     ‑.221**

.070      .oll .021 .092

‑.058

T o t a F e m a瞳  T o t a M a ︲ e F e m a

Politician   PFilDe MinlsteF .007       .016 .047       .142 .004       .olo .231**     .355**

392‡*      。524**

.139*       。246**

flead of Office School Police President Principal

Total

|{ale ['enaIe

Total l{ale Female

―.086

‑.066

‑.046 .107*

193*

―.047

* p<.05, ** p<.01

権威主義的傾向の うちで 権威主義的服従"は,権威 に対するイメージ評定 といずれ も有意 な正の相関を持っていた.それ以外の権威主義的傾向得点は 学校長"を除 きほぼ権威 に対 するイメージ得点 との間には有意な相関を示 さなかった。また,男 女ごとに相関係数 を算出 し たところ,  2分法的決定論"― 政治家"および 学校長"と 非合理性の受容"― 警察 の長"との組合せで男女間に相違が認められた。男子では前2者にはいずれ も負の,後者 には 正のそれぞれ5%水準で有意な相関がみ られたが,女子ではそのいずれにおいても有意 な相 関

を示 さなかった.それ以外では男女 ともほぼ同一方向の相関を示 していた.

以上か ら,と くに 権威主義的服従"傾向が本研究で提示 したさまざまな形式の権威 に対す る肯定的なイメージと結びついているといえる.この尺度は内集団の権威への追従的で無批判 的な傾向を測定するものであ り,こ の尺度得点が,政治的であれ,非政治的であれ,社会の中で 権威 を持つ とみなす対象 を肯定的に受けとめる傾向と正の相関を示すことは充分予想できるも のであろう.このことは同時に,権威主義的パーソナリティを構成するい くつかの要素の うち で権威 に対する服従的な傾向がほぼ単独の形で,権威に対 して肯定的なイメージを持つ ことと 密接 に結びついていることを示 している.

政治的態度 と権威主義的傾向および権威に対するイメージとの関連

政治的態度の各下位尺度得点 とそれぞれの権威主義的傾向および権威に対するイメージ

(9)

権威主義的傾向,権威 に対す るイメージと政治的態度

Table 5

Pearson correlations between political attitudes, authoritarian tendencies and authority images

Subscales

AuthOrity illlages PO     PM     IP     OP    SP

207

l{aintenance

of political status quo(!tP) Critics toward

political status quo(CP)

t{ i I itarisn (l{I )

Beactionisn(RS) Total Male Female Total Male Female Total Male Female

160**

.206**

125*

.121*   。293** .083   .203**

.035   .207** .090   .266**

186**  。359** .079    。159*

153**―105■ ―.107*  ―.079

140  ‑.068  ‑。102  ‑。190*

.162*  ―.147*  ―。130*  .041 .198** .363** .072   .117*

187*  .355**― .097   .260**

206**  。372** .134*  ―.006

175**  。351**  。129** .208**

.035   .310**  。105    。376*‡

.224** .394** .160*  .051

208** .232*‡  .223**  。358**  。207**

.323** .221** .323**  。440** .222**

103   .245** 146*   。297** .199**

―.050  ‑.210**― ,124*  ―。112*  .024

‑.018  ‑。 158*  ―.087  ‑。132   .032

‑.057  ‑.248**― .127*  ―.099   .032 .400** .383**

.533**  。416**

288**  。357**

.322**

480**

.172*

.231**

.327**

156*

*p<.05, ** p<.01

得点 との間の Pearsonの相関係数を男女ごとに算出した結果が Table 5で ある.Table 5か はまず 体制批判"を除いた他の3つの政治的態度下位尺度得点 と,権威 主義 的傾 向の うち で とくに 権威主義的服従"得点,お よびほとんどの権威 イメージ得点 との間には,ほぼ一貫 して高い正の有意な相関が認め られることがわかる。すなわち,現在の政治体制の維持 を望 ん だ り,軍国主義傾向や復古主義傾向を強 く持つ ことと,権威 に対 して従属 的であるこ と,さ に政治的であると否 とにかかわらず権威に対 して肯定的なイメージを持つこととが相互に結び ついているといえる.

また,政治的態度尺度のうちで 体制批判"得点は,権威主義的傾向 お よび権威 に対す るイ メージとの間で負の相関を示す場合が多 く,そ れ以外の政治的態度の下位尺度得点 とはほぼ正 反対の様相 を示 していることがわかる。 しか しなが らその値は全般に低 く,男 女 とも一致 して 有意な相関を示 したのは 総理大臣"に対するイメージ得点のみであった。

さらに,政治的態度 と権威主義的傾向 との間の関連は男女間で異なった様相 を持つ ことが示 唆 され,男 女の間で一致 して とい うよりはどち らかのみが政治的態度 と有意な相関 を示す場合 が多い.すなわち,権威主義的傾向のうちで 権威主義的攻撃"と 三分法的決定論"では女

子のみで 非合理性の受容"では男子のみで,各政治的態度下位尺度得点 と有意 な関連 を示 している.女子 においては,保守的な政治的態度を持つ ことが 権威主義的服従",  権威主

義的攻撃", 三分法的決定論"それぞれの傾向が強いことと結びつ き,逆にそれ らの傾 向が

弱いことが現在の政治体制への批判的な態度 と結びついている.一方男子では 権威主義 的 服従"と 非合理性の受容"傾向が保守的な政治的態度 と正の関連 を持つが、  三分法的決定 "は政治的態度 とはほぼ無関係であるところが異 なっている.

ところで, Table 5で 有意な相関を示 さなかった組合せの中には,曲 線的な関係などPearson の相関係数には反映されないある一定の関係が潜んでいるか も知れない.そこで,他の政治的

Authoritarian tendencies AA     AS     DD     AI

(10)

態度の下位尺度得点ほどには明確 な関連性 を示 さなかった 体制批判"得点について,その平

均値 と標準偏差 をもとにして被験者 を6つのグループに分け の,各グループの権威主義的傾向 お よび権威 イメージ得点を算出 し,合わせて級間分散について4次までの多項式分解 の検定 を 行った.Table 6は,そ れ らの うちで 権威 主義的攻撃"お よび 権威主義的服従"得,

さらに 政治家"と 学校長"それぞれのイメ‐ジ得点の平均値 と標準偏差を男女ごとに算出 した結果を示す。

Table 6

Authoritarian Aggression score, Authoritarian Submission score.

Politician score, and School Principal score of each cp group

Group

Subscale (N) scoreSD

AS score

I{ SD HSDP0 score scoreSD

1(18) ritics tOward    2(27) politica1        3(27) status quo(CP)   4(34) 5(14) (lllale N=135)     6(15)

16.50  2。 94 15.56  2.56 15.59  3.68 16.35  3.30 16.86  1.99

18。27  3.73

11.78  3.34

14。19  3.19 13.33  2.39 14.85  2.32 13.79  3.07 13.00  3.21

37.33 10.82 44.07  8。 99 46.33 12.53 42.26 11.04 41.79 17.84 39.27 13.52

55。44  8。28

60。19  7.53 59,63  8.84

58。79  7.96 59.79 13.08 53.87  7.91

F p Linear Quadratic QubiC Quartic

1.851 ns

4。494 * 4.448 * 0.118

0。149

3。185 .010

1。245 8.262 **

0。105 0.690

1.514 ns O.003

5。296 * 1.275 0.072

1.632 ns

O。314 6.867 **

0.004 1.814 1(22)

ritics tOward    2(35) politica1        3(32) status quo(CP)   4(40) 5(32) female N=189)   6(28)

F p Linear Quadratic Oubic Quartic

15。18  4.37 16.00  3.13 16.53  2.68 16.70  3.03

16。91  2.73 17.11  3.47

1.250 ns 5.837 * 0.630 0.114 0.000

11.77  3.50 13.00  3.48 13.38  3.03 13.43  2,84 13.16  3.01 13.43  3.24

0。976

ns 2.946 1.805

0。832 0.013

45。77 10。22 43.63  9。 41 45。69  6.93

48。73  9。46 47.69 11.18 45.39  9.27

1.294 ns O.723 0.636 3.332 0.529

60.09  8.53

59。94 11.85

60。22  6。75 62.38  9。 10 58,25  9.81 59.79  8。18

0。740 ns O.088 0.328 0.006 1.514

* p<.05, ** p<.01

2)  体制批判"得点の平均値 と標準偏差はそれぞれ 33.16,5.30。 これ らをもとに平均値+

以上,平均値+0.5σか ら平均値+lσまで,平均値か ら平均値+0.5σ まで,平均値 ―

0.5σか ら平均値 まで,平均値‑lσか ら平均値‑0.5σ まで,平均値‑lσ以下の6つの得点

のグループに被験者 を分け,順にグループ1からグループ 6と した。グループの番号が大 きい ほど 体制批判"傾向は小さ くなる.各グループの とり得 る得点の範囲は.グループ 1は39点 以上,グループ2は36点 以上39点 未満,グループ3は34点 以上36点未満,グルー プ4は31点 以上34点 未満,グループ5は28点 以上31点 未満,グループ6は28点 以下 となる.

(11)

権威主義的傾向,権威 に対するイメージと政治的態度 209

グループ間の平均値の有意差は男子の 権威主義的服従"得点で示 されただけであつたが, 男子 においてはTable 6で取 り上げたそれぞれの権威主義的傾向得点,権威 に対するイメー ジ 得点において二次関数成分が有意であ り,女子の方ではそ うした傾向が全 く認め られなか った ことと鋭い対照 を示 していた。男子の各グループの得点を比較すると 権威主義的攻撃"得

点以外 は,い ずれ も両端 に位置するグループ1とグループ6の値が低 く,いわば逆U字型の 曲 線的な関係が示唆 されていることがわかる。相対的に 権威主義的服従"得点が高 く 政治

"や 1学校長"に対するイメージもより肯定的であったのは,体制批判 という次元で中間的 な位置にあったグループであった。すなわち,現在の政治体制 に批判的な政治的態度 を強 く持 つ男子 とそれ とは対極的な位置にある男子 との間で,権威 に対する服従傾向やある種 の権威 に 対するイメージにおいて類似 した傾向が認め られるといえよう.

以上のように 体制批判"以外の保守的な性格の濃い政治的態度はi男女 ともほぼ一貫 し て権威 に対するイメージと正の有意な相関を示 し,権威主義的傾向に関 してはその構成要素 に よって男女 ごとに関連のあ り方は異なるものの,多 くは正の有意な相関を示 していた.幾分趣 が異なっているのが 体制批判"的な政治的態度であ り,権威主義的傾向,権威 に対す る評価 ともに他の下位尺度ほど明確 な関連性 を示 さなかった。政治的態度のこの次元 と本研究で取 り 上げた権威主義的傾向お よび権威への評価 との間は無関係である場合が多かったが,男子 にお いて 権威主義的服従"傾向と 政治家"や 学校長"に対する評価 との間に曲線的な関連性 の存在が示唆されたことになる.

本研究は,権威主義を権威主義的なパーソナリテイ・認知特性の側面 と,現実 の権威 に対す る評価の側面 とに分けたときの政治的態度 との間の関連性 にういて検討 しようとしたものであ る。

権威主義的傾向を測定するために 権威主義的攻撃 権威主義的服従 三分法的決定

非合理性の受容"の4つの観点か らなる測定尺度を構成 し,政治的態度の下位尺度 との 間の関連を調べたところ,政治的態度尺度の うちで保守的な政治的態度の内容 を表す 体制維 ",  軍国主義",  復古主義"の 3つの下位尺度は 三分法的決定論"以外 の他 の3つ の権威主義的傾向とほぼ一貫 して有意な正の相関を示す ことが明 らかにされた。 その うちで, 体制維持"以下の保守的な政治的態度を表わす下位尺度と 権威主義的服従"と の間にとく に高い相関が男女を問わず認められている.こ れらのことは,保守的な政治的態度と,権 威主 義的パーソナリテイの中核に位置すると考えられる権威主義的な攻撃性や服従といった傾向と

の間に,直線 的 な関係 を想定で きるこ とを示唆 してい る。す なわち,保守 的 な政 治 的態 度 を強 く持 つ ことと,権威 主義的な攻撃性 や服従傾 向 を内面 に保持 してい ることとが強 く結 び付 い て い る といえる。 したが って,権威 主義 的 な攻撃性 や服従傾 向 を強 く持つ傾 向 は,保守 的 な政 治 的態度 を持つ程 度の強 ま りに応 じて増大す る とい え よう。

政治的態度の要素のうちで,現在の政治体制のあ り方 に批判的な態度 を持つ傾向の強弱 は, 男子においてのみ 権威主義的服従"と曲線的な逆U字型の関連性 を示 した。すなわち,権 主義的服従傾向が最大であるのは 体制批判"得点が中間的なグループであ り 体制批判"

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