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細胞のセンサーとして働く一次繊毛

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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

細胞のセンサーとして働く一次繊毛

著者 小原 伸子

雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

巻 29

号 1

ページ 116‑116

発行年 2010‑06

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00006444/

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図1 9+2の構造を示す運動繊毛の微小管の配列(A)と9+0の構 造をもつ一次繊毛の微小管の配列(B).中心小体と基底小体の微小管

(C).一次繊毛の模式図.bとcの位置で横断すると微小管の配列はそれ ぞれ,(B),(C)のようになる.

[最近のトピックス]

細胞のセンサーとして働く一次繊毛

小原 伸子

北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系 組織学分野

細胞の繊毛(線毛)と聞けば,まず細胞の表面にある 運動能をもつ細毛を思い浮かべるのではないだろうか.

気道の上皮や卵管の上皮の繊毛などはその運動によって 細胞表面の物を一定の方向に送る.人によっては泳ぎ回 るゾウリムシの繊毛が頭に浮かんだかもしれないが,こ ちらは繊毛運動によって自らが動く.繊毛は単細胞の生 物から脊椎動物まで広く存在し,その内部構造はよく似 ていて,細胞膜に囲まれた繊毛の内部には9組の微小管 が放射状に配列しており,運動性の繊毛( motile cilia ) では中心部にさらに2本の微小管があるのが一般的であ る(図1 A ).運動繊毛は体内の特別な細胞にしか存在 しないが,脊椎動物ではこれとは別に一次繊毛( pri- mary cilia)といわれる繊毛がほとんどあらゆる細胞に あって,発生や生体の恒常性の維持に関わっているらし いことが明らかになってきた.

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一次繊毛は先に述べた運動繊毛と異なり,中心部の2 本の微小管を欠き,9組の2連微小管をもつ(図1 B),一般的には運動しない繊毛である.運動繊毛も一 次繊毛も基部には基底小体と呼ばれる構造があり(図1 D ),この部分の微小管は3連で,中心小体の微小管と 同じ構造になっている(図1 C ).一次繊毛の基底小体 の直下には細胞分裂時に染色体分離の基点となる中心小 体が,これと直行する配列で並んでいるが,実は2個の 中心小体のうちの1個が一次繊毛の基底小体となること がわかっている.細胞分裂時には基底小体は再び中心小 体になるので,分裂中は一次繊毛は消失する.運動しな いこの繊毛は,では何をしているのかというと,外界の 環境をキャッチするアンテナとして働いているらしく,

化学物質や光や機械的刺激によるシグナル伝達において 重要な役割を果たしていることが示されてきた.一次繊 毛は特別な一部の細胞だけでなく,非常に多くの細胞に あるため,その働きが損なわれた場合の影響も大きい.

一次繊毛が機能するために必要な蛋白は多数知られてい るが,それらのどれかひとつの変異により引き起こされ る症状は広範にわたり,異なる遺伝子の異常が似た症状 を引き起こすことになる.典型的な例として知られる Bardet Biedl症候群(BBS)では嚢胞腎(cystic kidney)

や網膜色素変性,多指症,内臓逆位,精神薄弱などの複

雑な一連の表現型を引き起こす少なくとも14の遺伝子が 知られている.

かなり前から電子顕微鏡による観察などで存在を知ら れていながら,何をしているのかわからなかった一次繊 毛であるが,このところ脚光をあびており,歯の発生に も関わっているらしい.

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参考文献

1)Gerdes JM, Davis EE, Katsanis N. The vertebrate pri- mary cilium in development, homeostasis, and disease.

Cell. 2009 ; 137 : 32−45.

2) Fischer E, Pontoglio M. Planar cell polarity and cilia.

Semin Cell Dev Biol. 2009 ; 20 : 998−1005.

3)Ohazama A, Haycraft CJ, Seppala M, Blackburn J, Ghafoor S, Cobourne M, Martinelli DC, Fan CM, Pe- terkova R, Lesot H, Yoder BK, Sharpe PT. Primary cilia regulate Shh activity in the control of molar tooth number. Development. 2009 ; 136 : 897−903.

北海道医療大学歯学雑誌 29! 平成22年

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/【K:】Server/歯学雑誌/第29巻1号   4C150 1C133/本文/116     トピ小原 細胞のセ 4C  2010.06.28 19.42

参照

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