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学位授与機関 北海道医療大学

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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

顎関節への荷重負荷の改変が下顎頭軟骨X型コラー ゲン,オステオポンチン,オステオカルシンの発現 及び局在に与える影響

著者 尾立 卓弥

学位名 博士(歯学)

学位授与機関 北海道医療大学

学位授与年度 平成30年度 学位授与番号 30110甲第308号

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00064678/

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【目的】

下顎頭軟骨は頭蓋の中で最も旺盛な成長を示す場, growth site の一つであり,3 つ の細胞層が存在し,生体力学的環境の変化に対して複雑な反応を示すことが知られて いる.矯正臨床では整形装置や機能的矯正装置などを用いて,顎顔面形態と咬合形成 に大きな影響を及ぼす下顎骨成長の制御を行っている.従って,下顎頭軟骨の生体力 学的力に対する適応反応のメカニズムを知ることは,歯科矯正臨床の領域で咬合形成 を考えるうえで重要な課題の一つであるといえる.本研究では,下顎頭軟骨の生体力 学的力に対する細胞外基質タンパク質の反応性を明らかにすることを目的とし,成長 期ラット切歯部咬合挙上モデルを用いて,関節負荷により下顎頭軟骨に生じる X 型コ ラーゲン,オステオポンチン,オステオカルシンの mRNA 発現及び局在の変化を検討 した.

【材料および方法】

1. 下顎頭軟骨への負荷

生後 7 週齢の Wistar 系雄性ラットを用いた.顎関節部への関節負荷を増大させるた

め,上顎切歯部にレジン製咬合板を装着し,咬合挙上による咬合改変モデルを作製し た.実験期間は 4 週間とし,未処置群 50 匹(0,1,2,3 および 4 週)と咬合挙上群 40 匹(1,2,3 および 4 週)とした.

2. X 型コラーゲンの mRNA の定量化

各実験期間終了後,採取した下顎頭軟骨から total RNA を抽出し, RT 法により cDNA の調整を行った. Exonuclease probe (TaqMan® probe)を作製し, qPCR 法により下顎 頭軟骨の X 型コラーゲンの mRNA 発現を定量化した.

3. Ⅹ型コラーゲンの免疫組織化学的局在

抗 X 型コラーゲン抗体を用いて,DAB 法にて X 型コラーゲンの免疫局在を観察し た.

4. アルカリ性ホスファターゼ活性の検出

アルカリ性ホスファターゼ染色を施し,下顎頭軟骨を観察した.

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5. オステオポンチンとオステオカルシンの mRNA の定量化

各実験期間終了後,採取した下顎頭軟骨から total RNA を抽出し, RT 法により cDNA の調整を行った. Exonuclease probe (TaqMan® probe)を作製し, qPCR 法により下顎 頭軟骨のオステオポンチンとオステオカルシンの mRNA 発現を定量化した.

6. オステオポンチンとオステオカルシンの免疫組織化学的局在

抗オステオポンチン抗体と抗オステオカルシン抗体を用いて,DAB 法にてオステオ ポンチンとオステオカルシンの免疫局在を観察した.

7. 統計学的処理

各実験により得られた値は, Student’s t test により解析した.各群における有意差 は,危険率 5%未満(P<0.05)をもって統計的有意差とした.使用した実験動物は各 群 5 匹ずつとした.

【結果】

1. 咬合挙上群の X 型コラーゲンの mRNA 発現の変化と免疫組織化学的局在の変化 X 型コラーゲン mRNA の発現比には未処置群と咬合挙上群の間に相違はみられな かった.両群ともに下顎頭の肥大軟骨細胞層での X 型コラーゲンの局在が認められた が,線維層,増殖細胞層ならびに骨組織での局在はみられなかった.

2. 咬合挙上群のアルカリ性ホスファターゼ活性の変化

肥大軟骨細胞層や骨基質表面の骨芽細胞でアルカリ性ホスファターゼ活性が認めら れた.線維層,増殖細胞層ならびに骨基質での反応はみられなかった.

3. 咬合挙上群のオステオポンチンの mRNA 発現の変化と免疫組織化学的局在の変化 咬合挙上 4 週後では,オステオポンチン mRNA の発現比が有意に上昇した.また,

免疫組織化学染色では,咬合挙上群の肥大軟骨細胞の細胞質と軟骨小腔周囲の基質で 陽性反応がみられた.

4. 咬合挙上群のオステオカルシンの mRNA 発現の変化と免疫組織化学的局在の変化 咬合挙上 4 週後では,オステオカルシン mRNA の発現比が有意に上昇した.また,

免疫組織化学染色では,咬合挙上群の肥大軟骨細胞の細胞質と軟骨基質で陽性反応が

みられた.

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【考察】

本装置の装着により,咬合挙上群では未処置群に対してラット顎関節部への食事時 の荷重負荷は増大しているものと考えられる. 本研究では,未処置群と咬合挙上群の 肥大軟骨細胞層において X 型コラーゲンの陽性反応がみられたが,両群の免疫局在に 変化は見られなかった.実験期間をさらに長期で観察することにより X 型コラーゲン の mRNA 発現や局在に変化が現れると推測される.ま た未処置群と咬合挙上群の肥大 軟骨細胞層,骨基質表面の骨芽細胞で アルカリ性ホスファターゼ 活性がみられたが,

両群にアルカリ性ホスファターゼ活性の変化はみられなかった.関節荷重負荷によっ て肥大軟骨細胞の石灰化に影響がないことが示唆された.

咬 合 挙 上 4 週 後 の 下 顎 頭 軟 骨 に お い て オ ス テ オ ポ ン チ ン や オ ス テ オ カ ル シ ン の mRNA 発現が未処置群と比較して有意に上昇した.また免疫組織化学染色では肥大軟 骨細胞や軟骨小腔周囲の基質でオステオポンチンやオステオカルシンの陽性反応がみ られた.咬合改変の機械的刺激により,下顎頭軟骨における オステオポンチンやオス テオカルシンの mRNA 発現が上昇し,骨形成過程でのカルシウム沈着の制御あるいは 骨芽細胞の骨形成調節能を高めたかもしれない.

【結論】

咬合挙上により成長期ラットの下顎頭軟骨にかかる力学的負荷を長期間与えることで,

下顎頭の肥大軟骨細胞においてオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現が上昇し

た.咬合改変の機械的刺激により下顎頭軟骨が強靭性をもつ軟骨組織に変化することが示

唆された.

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