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キーワード
履修計画、学びの質、達成度評価、Web、学生カルテ
要旨
法政大学デザイン工学部システムデザイン学科では、学科における教育・学びの質を向上させるために、
2012年度の特色あるFD助成金の補助を受け、学生が自身の希望進路や学修目標を意識しながら、授業概 要を理解して履修計画を立案したり、履修後に学修成果の達成度を学生が自己評価したりすることを支援 するWebアプリケーションシステムを構築した。本稿では、このシステムの概要について紹介する。
1.はじめに
法政大学デザイン工学部システムデザイン学 科(以下、SD 学科と表記)では、学科におけ る教育・学びの質を向上させるために、
• 学生が自身の希望進路や学修目標を意識し ながら、授業概要を理解して履修計画を立 案すること
• 履修後に学修成果の達成度を学生が自己評 価すること
を支援・促進することを目的とした取組み「学 生による履修計画立案および達成度評価の支援 と促進」を進めている。この取り組みの一環と してSD学科では、3章で述べるWebアプリケー ションシステムを構築するとともに、春秋学期 の授業期間開始時に学科履修ガイダンスを実施 し、学生に対して前の期の振り返りと当期の履 修計画を行うよう指導している。
本取組みのねらいは、単位の単なる数合わせ
や時間割上の都合によって履修科目を決定して いると思われる学生が少なからず存在する現状 を改善し、学生の学びの質を高めると同時に、
個々の学生の志向や適性を教員が把握しやすく し、よりきめ細かな学修指導や進路相談を可能 にすることである。さらには、授業の到達目標 の明確化やカリキュラムの妥当性の評価など教 育の質の向上にも繋がることを期待している。
取組みを具体化するため、2012 年度の特色 ある FD 助成金の補助を受け、取組みの主要要 素である Web アプリケーションシステムの構 築・導入を進めた。システム構築はほぼ完了し ており、2013 年度から新入生に対して運用が 開始されている。2013 年度は、導入1年目で あるため、運用しながら必要に応じてシステム やフローの見直しを図り、学生と教員がお互い に利用しやすいシステムの構築を目指している。
2012年度FD助成金成果報告書
田中 豊 (法政大学デザイン工学部教授)
野々部 宏司 (法政大学デザイン工学部教授)
デザイン工学部システムデザイン学科における 履修計画立案および達成度評価の支援と促進
Self-Design and Reflection Support System in Department of Engineering and Design
54 法政大学教育研究第五号
2.デザイン工学部システム デザイン学科の特徴
SD 学科の特徴は、従来のアナリシス主体の 細分化、専門化した縦割り教育とは異なり、幅 広い知識と個別技術を組み合わせながら、人間 中心にシステムをデザインする、シンセシス能 力を身に付けた人材の育成を目指している点に ある。そのため、人間中心の美的・機能的デザ インを基本に、横断的な知識の融合と豊富な実 習体験を通して、コンセプトプランニングか らプロダクションマネジメントまで、「新しい 価値を備えたシステムを創造しデザインする工 学」を総合的に学習するカリキュラム構成と なっている。そのため SD 学科では、専門分野が3つの系
(クリエーション系、テクノロジー系、マネジ メント系)で構成されており、3分野が有機的 に結合したカリキュラムで、モノづくりのプロ セスを実践的・体系的に学ぶ仕組みとなってい る。学生には、3つの系に配置された講義科目 や演習・実習科目を、1年から3年春学期まで にバランスよく学修することが望まれている。
また専門基礎科目の中には、学生が3年次に進 級するにあたり履修しておくべき選択必修科目 も含まれており、学生には綿密な計画のもとに 履修科目を決めることが要求される。
こうして身に付けた総合デザイン能力を使 い、3年秋学期から始まる研究室活動、実習に 基づく創成型科目やプロジェクト型科目、事例 研究科目などを通して、実社会と連携した総合 的デザインへの実践力を養う。したがって、3 年春学期までの履修計画とその達成度が、SD 学科の学生として各々の道を歩むうえで必要と なる実践的な素養の修得に大きく左右すること になる。
3.Webアプリケーションシステムの概要
構築するシステムは、履修計画立案・達成 度評価システム(Self-Design and Reflection Support System; 通称SDR)と呼ばれる。本シ ステムは、以下の2つの機能を有する。1.履修計画立案支援機能 2.カルテ管理機能
履修計画立案支援機能は、学生のみが利用す る機能であり、学生が自身の希望や適性、進級 要件や卒業要件を考慮しながら履修計画を立案 できるようにするものである。
カルテ管理機能は、学生の志望職種や希望す る系、履修状況等をカルテとして管理する機能 であり、学生が自ら「目標設定」「振り返り」「達 成度評価」を行うことを支援・促進することを 目的とするものである。また、学生の志向や学 修状況を教員が把握できるようにすることもね らいとしている。
システムの導入には学外サーバを利用してい るが、本学のシステムであることを明示する ため、ドメインには法政大学ドメイン(hosei.
ac.jp)を使用している。また、セキュリティの 観点から、サーバへのアクセスは学内からの接 続に限定することとしている。
4.履修計画立案支援機能
履修計画立案機能は、履修予定あるいは履修 済みの科目に対して履修(予定)年次を学生自 身がチェックしていくことで、4年間の履修計 画をシミュレートするものである。学生はこの 機能を利用して、「進級要件」や「卒業要件」
を満たすかどうかの確認や履修モデル(「クリ エーション系」「テクノロジー系」「マネジメン ト系」の3つの系を想定)との比較を行うこと ができる。さらに、各年次の時間割を確認・印 刷することも可能である。なお、この機能は、
デザイン工学部建築学科において稼働中の履修 支援システム「CARESS」を SD 学科用にカス
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デザイン工学部システムデザイン学科における履修計画立案および達成度評価の支援と促進
タマイズすることで、現有資源を有効に利用し、
比較的低コストと短い開発期間でシステムの構 築を実現している。
5.カルテ管理機能
カルテ管理機能は、学生の達成度評価を支援 するための機能である。この機能は、学生の志 望職種や希望する系、履修状況等をカルテとし て管理する機能であり、学生が自ら「目標設定」
「振り返り」「達成度評価」を行うことを支援・
促進することを目的とするものである。また、
学生の志向や学修状況を教員が把握できるよう にすることもねらいとしている。
学生向け画面イメージを図1に示す。各学生 のカルテには、学生証番号・学年・氏名、顔写 真といった基本情報のほか、将来就きたい業種・
職種、希望する系(「クリエーション系」「テク ノロジー系」「マネジメント系」)・ゼミ、大学 院進学希望(「希望する」「希望しない」「分か らない」のいずれか)といった志望に関する情 報や、単位取得科目一覧、取得単位数、GPA などの履修状況に関する情報が含まれる。さら に、自由記述形式で、学生自身が自己の振り返 りを入力することができ、それらの履歴を後か
ら確認できる。
教員向け画面イメージを図2に示す。教員向 け機能としては、学生を検索したり、その学生 のカルテや履修状況を確認したりすることがで きる。また任意の学生をピン留めすることによ り、教員がログインした直後のトップ画面に一 覧として表示される。また教員がアドバイス等 のコメントを入力したり、それらの履歴を後か ら確認したりすることも可能である。
SD 学科では、各専任教員が 10 名程度の学生 を担当し、履修方法や学習の進め方、進路、学 生生活などに関してアドバイスを行う担任制を 設けている。このカルテ機能を活用することで、
よりきめ細やかな対応が可能になると期待され る。また、3年次秋学期に行われる研究室配属 において、専任教員が、配属を希望する学生の 志望や適性を確認する目的にも利用する予定で ある。なお、SD 学科では、これまでも紙媒体 の学生カルテを作成し、学生の志望等の把握を 行ってはいるが、データ入力が入学時に限られ ていたので、入学後の学生の指向の変化を、専 任教員が必ずしも的確に把握できていなかっ た。本機能により、継続的な把握や経年変化の 分析等が可能になると考えている。
図1 学生向け画面イメージ
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6.おわりに
2012年度の特色あるFD助成金の補助を受け て構築した、学生による履修計画立案および 達成度評価の支援と促進のための Web アプリ ケーションシステムについて紹介した。
本システムは 2013 年4月より、1年生を対 象に稼働したばかりである。今後は、本システ ムを有効に活用し、SD 学科における教育や学 びの質を向上させていきたい。また学部内の他 の学科とも連携し、学生による履修計画立案お よび達成度評価をより深化させる具体的な方策 を模索していきたいと考える。
図2 教員向け画面イメージ