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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

マウス味細胞の分化・増殖調節機構におけるインス リンとヒアルロン酸の働き

渡邉, 雄

http://hdl.handle.net/2324/4475044

出版情報:九州大学, 2020, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 渡邉 雄

論 文 名 マウス味細胞の分化・増殖調節機構におけるインスリンとヒアルロン 酸の働き

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 兼松 隆 副 査 九州大学 教授 清島 保 副 査 九州大学 教授 中村 誠司

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

味を受容する味細胞の寿命は約10日と短く、味蕾内で常に増殖・分化しつつ入れ替わっている。

しかし、この味細胞のターンオーバーを調節するメカニズムについてはほとんど不明である。そこ で本研究では、エネルギー代謝調節ホルモンであるインスリンと細胞外基質構成成分であるヒアル ロン酸(hyaluronic acid, HA)シグナルに着目して、味細胞のターンオーバーへの関与について解析 した。

まず、インスリンシグナリングの関与については、マウス味覚器においてインスリン受容体が甘 味 受 容 細 胞 (taste receptor type 1 family member 3 陽 性 細 胞 ) や 酸 味 受 容 味 細 胞 (glutamic acid

decarboxylase 67陽性細胞)を含む味蕾全体に広く発現していることを明らかにした。味蕾オルガノ

イドの培地中に高濃度インスリンを添加すると、味細胞数および各種成熟味細胞マーカーmRNAの 発現量が有意に減少し、これらの抑制的な効果は、インスリンシグナリングの下流で働くmechanistic

target of rapamycin(mTOR)の阻害剤ラパマイシンの添加により有意に抑えることができた。すなわ

ち、過剰なインスリンシグナリングは、味細胞の増殖・分化を負に制御することが明らかとなった。

次に HA シグナリングの関与について調べた。マウス味覚器において、HA 受容体である cluster of differentiation 44(Cd44)と receptor for hyaluronan-mediated motility(Hmmr)、HA 合成酵素の hyaluronan synthase 2, 3(Has2, 3)およびHA分解酵素であるhyaluronidase(Hyal)1–4 mRNAが発 現 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 味 蕾 オ ル ガ ノ イ ド の 培 地 中 に HA 合 成 酵 素 阻 害 剤 4-

methylumbelliferon(4MU)を添加すると、オルガノイドのコロニーサイズが縮小し、味蕾前駆/幹細

胞マーカーであるleucine-rich orphan G-protein-coupled receptor 5(Lgr5)、間葉系細胞マーカーであ

るvimentin(Vim)、および Cd44 のmRNA 発現が有意に減少した。野生型マウスに 4MUを40 日間

連続投与すると、味蕾オルガノイドと同様に、味蕾組織における各種成熟味細胞マーカー、Lgr5お よびVimのmRNA発現量が低下し、味蕾周囲の増殖細胞数も有意に減少していることが明らかとな った。すなわち、HAシグナリングの減弱が味蕾組織の縮小に関与することが明らかとなった。

これらの結果から、インスリンおよびHAは、その受容体を介して味細胞に直接作用して増殖・

分化を調整していることが示された。よって、肥満や過栄養による高インスリン血症や加齢による 細胞外HAの減少は、味細胞のターンオーバーおよび味覚器の恒常性維持に影響しているものと考 えられる。以上のように、本論文は新知見を含んでおり、歯科臨床の応用研究に貢献すると期待で きる。よって、本論文は博士(歯学)の学位授与に値すると判断した。

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