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身体的ランダマイズを体感するリズムシーケンサー

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2009-MUS-83 No.2 2009/12/5. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 1. 導 入. 身体的ランダマイズを体感する リズムシーケンサー. 単調なリズムを繰り返し聴いていていると,そのリズムをずらすようにドラム音を 鳴らしてみたり,指でタップしてみたくなる.不意に立ち上がるそのような衝動を, ここでは身体的ランダマイズという.与えられたリズムを繰り返し聴くことによって 生じる身体的ランダマイズは,自己のリズムの現われであるとも考えられる.このシ ーケンサー[a ]では,使用者が感じる既存のリズムとのずれを現出させることで,それ を体感することを目指す.これにより,使用者が自らの持つリズムに気付くことを目 標とする.またこのような観点で設計されたシーケンサーが音楽リズムトラックの制 作においても有用であることを提案する.. 堀江俊行† 既存のリズムパターンに感じるずれを体感するシーケンサーを報告する.また設 計されたシーケンサーがリズムトラック制作においても有用であることを提案 する.. 2. 構 成 以下,本シーケンサーの使用方法をもとに,システム構成・実装内容・特徴につい て述べる.. A Rhythm Sequencer to Have Experience of Bodily Randomization. インターフェース 使用者はファイルブラウザからリズムパターン(1 つの MIDI ファイル)を選択し, 各トラックに入力する(図 1). Play ボタンを押すことにより,トラックのうちの 1 つが再生される.各トラックはデフォルトでリピート演奏されるので,使用者は繰 り返し同じリズムパターンを聴くことになる.シーケンサーは外部 MIDI 機器(MIDI パッドを想定している)の情報を受け付けており,使用者は身体的ランダマイズの情 報をパッドからのノート(MIDI における発音単位のこと)入力という形で適時シー ケンサーに伝えることができる. 2.1. Toshiyuki Horie† In this paper, we report a rhythm sequencer which exhibits a gap between existing rhythm patterns and user’s rhythm. We also propose that the sequencer has value in creating rhythm tracks.. シーケンス過程 使用者がリズムパターンを各トラックに入力した段階で,パターンに含まれるすべ てのノートオンイベントの時間間隔情報がデータベース(ここではメモリ上の簡易的 なもの.すべてのトラック情報を 1 つにまとめたものにほぼ等しい.)に蓄えられるこ とになる.具体的な例をあげると,トラック 1,2,3 の 3 つのトラックにファイルが 入力されたとき,データベースに格納される情報はそれぞれ図 2 の(a), (b), (c)のよう 2.2. †. マテリアルオブズ materialofs. a) MIDI プロトコル(文献 1))において,実際に音を発生させる音源部に発音タイミングの情報を送るソフト ウェアのことを指している.. 1. ⓒ2009 Information Processing Society of Japan.

(2) Vol.2009-MUS-83 No.2 2009/12/5. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. になる.. フ ァ イ ルブ ラウ ザ. (a) トラック 1 の例. Pl ay ボタ ン. 図 1. インターフェース. (b) トラック 2 の例. 2. ⓒ2009 Information Processing Society of Japan.

(3) Vol.2009-MUS-83 No.2 2009/12/5. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 図 2. (c) トラック 3 の例 データベースに蓄えられる情報.各ノートイベントの左側にある矢印が該当す る時間間隔を示す.. (a) トラック 1 が再生されている状態で Kick が入力されたときの遷移. このシーケンサーではリズムパターンと使用者とのずれを現出させるため,パッド からの入力を,使用者のリズムが再生中のトラックから他に移ったことの現れである ととらえ,その後の再生トラック,再生ノートイベントを変化させる.具体的には, 使用者がパッドを用いてノートを入力すると,そのノートナンバー(パーカッション 系楽器の音色のこと)と同じノートナンバーを持ったノートイベントを現在再生中の トラックから抽出し,入力ノートイベントとの時間間隔を求め,その間隔と許容範囲 内で同じ間隔を持ったノートイベントをデータベースから探し出し,次に再生するノ ートイベントとする.この過程を図示すると図 3 のようになる.使用者のノート入力 によって抽出された時間間隔を,使用者のうちにあるリズムにおけるある 2 つのノー トの間隔とみるアプローチをとっている. トラックの最後まで(MIDI ファイルの最後まで)再生されると,これまでの発音 情報をもとにして新たなトラックが生成され,次に再生されるトラックとなる.また 同時に新たな MIDI ファイルとして保存される.このときシーケンサーで用意されて いるトラック数を超えた場合には,既存のトラックと置き換わることになる.. (b) (a)に続いて Snare が入力されたときの遷移 図 3 パッドから入力があったときの再生トラック,ノートイベントの遷移.入力ノ ートイベントを網掛けの Note On In とうい文字列で表している.入力ノートイベント 3. ⓒ2009 Information Processing Society of Japan.

(4) Vol.2009-MUS-83 No.2 2009/12/5. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. と再生中のトラックのノートイベントとの時間間隔をデータベースより探し出し,見 つかった場合,そのトラック,ノートイベントに再生が移る.図ではトラック 1 が再 生されている状態で(a)では Kick が,(b)では Snare が入力されたときの遷移を示して いる. この一連の流れ,使用者からのノートイベントの入力,直前に発音されたノートイ ベントとの時間間隔の導出,データベースから次に発音されるノートイベントの探索 を,データベースが大きいものになった場合多少誤差が生じるがほぼリアルタイムに 行うことによって,使用者が感じたずれを提示し,体感させることを試みている. リズムトラック制作における有用性 図 5 にあるように,このシーケンサーでは使用者からのノート入力によって再生ト ラックが移り変わることになる.このとき遷移元のノートイベントと遷移先のノート イベントとの時間間隔は,使用者からノート入力されたときに求めた時間間隔の許容 範囲内で,実際に遷移先のトラックにおいてリズムパターンとして構成されていたも のであるので,遷移は音楽構造を無視した完全にランダムに起こるものではなく,音 楽構造を局所的にでも維持したものになることが分かる.これにより,音楽構造をあ る程度維持しつつ,ダイナミックで多元的に遷移するリズムトラックの制作に有用で はないかと考えている. 2.3. 3. ま と め と 結 果 本稿では,既存のリズムパターンによって引き起こされる身体的ランダマイズを体感 するシーケンサーの設計を試み実装した.ノート入力によって再生トラックを遷移さ せるという方法で,使用者自身の持つリズムを現出させることを試みた.またリズム トラックの制作においても有用であることを提案した. 本シーケンサーは Raw Material Software 社から GPL で公開されている C++ライブラリ, JUCE を用いて製作された(文献 2)).. 参考文献 1) 2). Roads, C.: コンピュータ音楽 - 歴史・テクノロジー・アート, 東京電機大学出版局 (2001). Raw Material Software - Juce, http://www.rawmaterialsoftware.com/juce/index.php. 4. ⓒ2009 Information Processing Society of Japan.

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