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人工脂質膜を用いた味センサの実用化に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

人工脂質膜を用いた味センサの実用化に関する研究

池崎, 秀和

九州大学大学院システム情報科学研究科電子デバイス工学専攻

https://doi.org/10.11501/3150883

出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(工学), 課程博士

(2)
(3)

人工脂質膜を用いた味センサの実用化に 関する研究

池崎秀和

1 998

九州大学大学院システム情報科学研究科

電子デバイス工学専攻

(4)

目次

第1章 序論

1. 1 食品業界の背景 1

1.2 人間の味覚 3

1. 2. 1 味受容メカニズム 3

1. 2. 2 味覚 4

1.3 これまでの味センサの研究とその課題 8

1. 3. 1 味センサとして満たすべき必要条件 8

1. 3. 2 人工脂質膜を用いたマルチチャネル型味センサとその特徴 8 1. 3. 3 実用化に当たっての現在の味覚センサの課題 12

1. 4 本研究の目的と本論文の構成 13

第2章 味の高精度計測 15

2. 1 味の大まかな評価 15

2. 1. 1 脂質膜電極と測定系 15

2. 1. 2 実験結果 18

2.2 微細な味の差の評価 22

2.2. 1 測定方法 22

2. 2. 2 味覚推定 34

2. 3 むすび 41

第3章 複数の味の定量化 43

3. 1 まえがき 43

3.2 実験方法 45

3. 2. 1 測定系 45

46

(5)

3. 3. 1 基本特性 48

3. 3.2 実際の食品での情報量の増加 49

3. 3. 3 実際の食品でのCPA値の特異性 52

3. 4 検討 54

3.4. 1 洗浄効果の測定 54

3. 4. 2 洗浄効果の推察 57

3. 5 むすび 59

第4章 食品適用例:緑茶 60

4. 1 まえがき 60

4.2 実験方法 60

4. 2. 1 測定系 60

4. 2. 2 測定方法 60

4. 2. 3 測定結果の分析方法 62

4.2.4 サンフ。ル作成条件 62

4. 3 実験結果 64

4. 3. 1 センサ出力の情報量 64

4. 3. 2 分析値とのマッチング 64

4. 3. 3 官能評価値とのマッチング 67

4.4 検討 68

4. 5 むすび 70

第5章 甘味物質に対する選択性向上 71

5. 1 まえがき 71

5. 2 実験方法 71

5.2. 1 測定系 71

5.2. 2 測定条件 73

5. 3 実験結果 74

(6)

5. 4 検討 5. 5 むすび

第6章 総括

謝辞

参考文献

付録

信号処理の基礎解説 . 重回帰分析

・ 主成分分析

78 79

80

84

85

88

(7)

第1章 序論

本研究の最終的な目的は,人間が感じる「味覚」を客観的に定量する「味セ ンサ」の実用化である. 本章では,まずは味センサが満たすべき条件について

述べ,ついで従来の味センサ研究の特徴と実用化への課題を整理した.

1. 1 食品業界の背景

食品メーカーにおいて,味の評価は非常に重要であり,その場面は多い. 図1.

1に日本酒の場合を示す. 原料のチェ ックから製造工程はもちろん,清酒ができ てから熟成時期の判定や,味を調えるためのブレンド,さらには出荷検査,出荷 後のクレーム処理まで,多岐に渡っている. しかも,味の評価は,現在でもパネ ラーと呼ばれる人間が実際に味わって行う官能検査に大きく依存している. し かし,官能検査では,パネラーの個人差や体調等による官能データの客観性や再 現性に問題がある. さらに官能検査は大変神経を使い,疲労度が大きいという 問題がある.

もろみ

圧搾

, 円 安 新 酒

蒸し米 麹水 酵母

清酒の製造ときき酒

火入れ

ピン

安呑切

l 食

j慮過生成

|

ム処理 -チェ 調査

食日

:味の評価を行うポイント

図1. 1 日本酒における味の評価を行う場面[1]

(8)

また,簡易な味の評価として,酸味はp H メーター,塩味は電気伝導度計,甘味 は屈折率計等が使われている. しかし,これらは味を測定しているとは言えな い. というのも,酸味は一般的に,水素イオン濃度に比例する量とされているが 人は同じp Hの溶液でも酸の種類により味の違いを感じる. さらに電気伝導度 には苦味を感じる塩化マグネシウム,屈折率には塩味を生じる塩化ナトリウム も大きく寄与し,人の感じる味を総合的に論じることはできない.

一方,高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィ一等による精密 な化学分析も同時に行われ,味とのマッチングを求める試みが行われている ただし,味を生じる化学物質の種類は膨大であり,さらに,これら味物質問では 相互作用があるため,相互作用を組み合わせの問題として,結果的に人の感覚を 表現するには天文学的データと統計処理が必要となる. たとえば,コーヒーに 砂糖を入れると,苦味物質の量は変わ らないのにコーヒーの苦味が減少したり (抑制効果) ,鰹だしと昆布だしを一緒に使うこと で単独の場合より数十倍か ら二百倍程度もうま 味の効果が得られる(相乗効果). 化学分析では,これらの

呈味物質問の相互作用といった味覚現象を再現することはできない .

たとえばカフェインフリーコーヒーがやはり苦いように,決してカフェイン だけがコーヒーの苦さを決定しているわ け ではない. つま り,食品の生じる味 を決める化学物質は膨大であり,味への寄与も異なるし,上述のように味物質問 (及び味質問)相互作用も存在する. 従来の化学分析で食品に含まれる化学物 質を定量化したとしても,それから味を評価することは不可能なのである.

このような現状から,食品の新製品開発や製造ラインでの品質管理において 人の感じる味を検出してパネラーをサポートする味センサの開発が望まれてい る.

(9)

1.2 人間の味覚

1. 2. 1 昧受容メカニズム[2]

ここでは人間の味覚受容のしくみについて概説する.

人間の味覚の受容は,舌上の乳頭と呼ばれる突起物の中に存在する昧蓄 によ って行われ,この味蓄の中に昧細胞という受容細胞が存在する(図 1. 2) . この 味細胞は舌上皮細胞が分化して形成されたもので,紡錘形をした細胞の先端に マイクロビリーと呼ばれるひだ状の突起があり,この部位が直接呈昧溶液と接 触し,応答を引き起こす. 味細胞には数本の味神経がシナプスを介して接続し ており,昧細胞における味刺激を活動電位に変換し,脳に伝達するしくみとなっ ている. 味細胞には細胞内外で細胞電位と呼ばれる電位差が発生しており,マ イクロビリーに味刺激を与えた場合,この細胞電位が変化し,この電位変化によ り昧細胞内部より神経伝達物質が放出され,これが昧神経のシナプス端に到達

すると味神経に活動電位が発生する.

舌上皮

化学シナプス

支持細胞 受容器細胞 神経線維

味奮 味細胞

図1. 2 味奮と味細胞の模式図[2]

(10)

つまり,呈味物質は図1. 2に示すように,舌の味細胞先端のマイクロピリー膜 に吸着し,この吸着により味細胞の細胞膜に電位変化が生じる. この電位変化 は特性の異なる味細胞ごとで異なっており,これらを神経団路網が計算(パタ

ーン認識)していろいろな味を識別していると考えられている.

味の識別や同定は,一説には味神経束全体の興奮のパターンを脳で認識する

ことに よって行われ るとされており, この認 識 機 構の仮説 は Across Fiber Pattern (A・F . R)説[3Jと呼ばれているが,これに対してサル等のある程度高等 な動物 につい て は ,ある特定の 味神経は特定の 味覚のみに応答すると する Labeled Line説も提唱されており[4 ],人間の味覚の脳における認識機構ははっ きりとしていない.

しかし,いずれにせよ人間の味覚情報のもととなっているものは,この細胞電 位の変化であることは明ら かであり,これはマイクロピリーに呈味溶液を接触 させたときにこの部位の膜電位が変化し,これが味細胞全体に伝搬することに より発生する. つまり,マイクロビリ一部分の細胞膜と呈味物質との相互作用 が人間の感じる味覚の本質である. また,このマイクロピリー膜は,この相互作 用を膜電位変化という電気的信号に変換するトランスデユーサとしての役割を も果たしていることになる.

1. 2. 2 味覚

ここでは,人間の感じる味覚の特徴について概説する.

まずは, “味" という言葉の定義を行う(図1. 3) . 一般に味といった場合,

その構成要素としては,一番基本に5基本味があり,それから渋味や辛味といっ た刺激味,そ して香り,テクスチャー,さら に形状が上げられる. その中で,本論

文で扱う味は狭義の味(5基本味)である. この5基本味 について,以下に述 べる.

(11)

首 昧 紙(塩)昧 殴 昧 苦 昧 うま昧

辛 昧 渋 昧

基本昧

昧(昧覚)

こく・広がり・厚み

香 り (唄覚)

テクスチャー(=硬軟・粘度)ー「

ト(触覚)

温 度 1

色・光沢 E

ト(視覚)

|

音(=そしゃく音)一一一一(聴覚) 外部環境(=雰囲気・混湿度) 食環境(=食習慣・食文化)

風昧

生体内部環境(=健康・歯・心理などの状態)

図1. 3味の分類[5]

おいしさ

生理学においては,味が基本味を頂点とする四面体の中に収まるとする Henning による表示法が広く受け入れられている[6J. McBurney は 11の論拠

を挙げ,4基本味の存在を主張している[7J. また. 一般に味の研究においては 4基本味の代表物質を味の刺激として用い,生理学,心理学的立場から多くの実 験が行われてきた. このことは,同じ化学感覚でも ,原臭と呼ぶべきものが存在 しない喚覚の場合とは対照的であり,喚覚に比べて味覚についての研究が著し

(12)

い進歩を遂げた理由のーっともなっている

他方,全ての味が Henning の四面体内には収まるわけではないという意見も 多い. SchiffmanとEricksonは,多次元尺度構成法を用いて,4基本味では表せな い味が存在すると主張している[8J. また,吉田によれば渋味や収数味,うま味

などの味刺激は四面体の外にはみ出すとされるが[9J,特にうま味については 5 番目の基本味として近年,受け入れられつつある[10J .

Henning, McBurneyあるいは最近の計量心理学の結果は 4基本味の存在を主 張するが,これは基本味が少なくとも四つの種類あることを述べているのであ って,他の基本味の存在を否定するものではない. うま味はそのような新しい 基本味の一つである. 従って,今後の味覚研究,あるいは本研究が実現を目指す 味センサにより,さらに新しい基本味の存在が見出される可能性があるといえる.

うま味を含めた5基本味が互いに異なる尺度を軸とする味質であることは.

基本味を混合することによって他の基本味が合成できないという事実からもわ かる[7,10J. しかしながら,味の相互作用が存在するという事実は,各基本味 が独立ではなく,我々が味という概念で観測している基本味成分の軸が直交座

標系を成していないことを示唆している.

味物質の濃度と我々が感じる味の強さの聞には, どのような関係が存在する のであろうか. 感覚一般に関しては Weber-Fechner の法則が有名である[2J.

このj去則は

S = k log1 (1.1)

という関係で表される. ここでIは刺激の強さ,Sは感覚の強さ,kは比例定数 である. これに対し,音響心理学者のStevensは

S = k 1n (1. 2)

という関係が成り立つと主張した[11,12J. べき指数はO. 6から1. 3程度の値 をとる. この関係はStevensのべき法則と呼ばれるものである.

味覚の場合には Weber-Fechner の法則は,カテゴリー評定尺度による味強度 の推定を行う場合に,この法則に従う結果が得られやすい. すなわち,味の強さ

(13)

を(極めて濃い,かなり濃い. 濃い. ・・・)といった5'""10段階のカテゴリーに分解 する場合に,味の強さの段階は味物質濃度の対数に比例する.

いずれの関係も,感覚強度を人間の感じた強さにより主観的に判断した結果 をもとにしたものであり, どうしでもあいまいさが入ってしまう. そのため,い ずれの関係が正しいかというのは. 味覚生理学的には明らかにされていない.

また実際上, 2つの法則の問には狭い刺激強度範囲ではあまり大きな差はない.

5基本味物質に対して人の味覚を感じる領域を図 l. 4に示す. 人の場合,苦 味物質に対しては,非常に低い濃度で検知するのに対し,甘味物質は,それより 4から5桁高い濃度でしか検知できない. これは,生命を維持するためには,苦 味は毒物であるため低濃度で検知する必要があり,甘味物質は栄養物であるた めカロリーとなる濃度で検知する必要があるからと考えられる.

ここで,5基本味に関して典型的な味物質を表l.1に示す.

100

キニーネ

/ 塩酸 / 食塩

れj

凡r、〈

G' 50

t長

Fhυ - 4 円台υ - 2 可iよ

濃度(log M)

図l.4 呈味物質の濃度に対する感覚量[13 ]

(14)

表1.1 5基本味と味物質

味質 味物質

酸味 塩酸, ?酉石酸,クエン酸,酢酸

塩味 塩化ナトリウム,塩化カリウム,臭化カリウム

苦味 塩酸キニーネ,カフェイン,イソ α酸,トリプトファン 甘味 シ ョ糖, グルコース,フラクトース,トリプトファ ン

うま味 グルタミン酸ナトリウム(MSG), イノシン酸ナトリウム(I�P) グアニル酸ナトリウム(GMP) ,こはく酸ナトリウム

1. 3 これまでの味センサの研究とその課題 1. 3. 1 味センサとして満たすべき必要条件

まず,味センサは5基本味物質に対して応答する領域が人の 場合と同じでな ければならない(図 1. 4). この応答領域の一致性がない場合 センサ出力から 信号処理で補正する必要がある . しかし,図 1. 4 に示す通り,応答領域は味物 質によって4'"'"'5桁も違い,また食品中に莫大な種類の味物質が存在しているた

め,信号処理は一般的に困難である.

また,味センサは, 従来のセンサのもつ「高選択性Jという概念と異なる「広 域選択性」とでも呼ぶべき概念をもっセンサである必要がある. つまり, 味セ ンサは個々の物質選択性はあまり重視せずに 個々の物質と味細胞との相互作

用を 質的に分類して, それを出力情報にもつ. これが私たちが感じる味質(塩 味,酸味,苦味,甘味,うま味) に他ならない. ここで重要なことは, 私たちが感 じる味覚は本質的に広域選択性であり, 味センサはそれを再現しなければなら

ないということである.

1.3. 2 人工脂質膜を用いたマルチチャネル型味センサとその特徴

都甲らは,この生体の味認識メカニズムをモデル化した味認識装置の開発を 試みたい4]. これは,生体を模倣した脂質膜を人工的に合成し, 性質の異なる 複数の脂質膜からの信号をパターン認識することで味を識別しようというもの

(15)

である. 生体の細胞膜は脂質とタンパク質から作られており 構成成分である 脂質を成膜化し,その人工脂質膜を化学物質を受容して電気信号に変換するト

ラン スデューサとした. その概要を図1. 5に示す.

P未検出に重要な働きをする脂質を高分子化合物で固定化して人工脂質膜(脂 質高分子膜)を作り, 呈味物質の吸着による脂質高分子膜の膜電位変化を情報 として取り出す. その際に特性の異なる味細胞の代わりに 応答特性の異なる 脂質を膜材料に選び, 特性の異なる味センサを作った. これらの味センサから

得られる複数の信号をコンピュータでパターン認識して味の識別を行う.

まず, 5基本味物質に対して負に荷電した膜のセンサ応答の一例を図 1.6 に 示す. 人の場合(図 l. 4)と各味質について応答領域が一致していることがわ かる.

膜電位

特性の異なる複数の

脂質膜センサ群

ィJふ\i⑧ 仁二h

�'J5" 、

電極陣 。

/ー、、

ノ ;';';';'

I. 仁王

ls 仁コh

昧物質により膜電位が変化

コンビュータ

図1. 5 人工脂質膜を用いたマルチチャネル型味センサの概要

(16)

,戸田、、

ショ結

樹子主回特

起0.5 þ1 盤

0

-0.5

0.01 0.1 1 10

濃度(mM)

100

図1. 6 5基本味に対する脂質膜センサの応答[ 14]

この 味センサは,異なる5基本味(塩味,酸味,苦味,甘味,うま味) に対して 大きく異なる出力パターンを示すのに対して,似た味では似た出力パターン を 示す(図 1. 7). 例えば,塩味を呈するNaCl,KCl及びKBrでは似た出力パター ンを示し,うま味を呈するグルタミン酸ナトリウム, イノシン酸ナトリウム , グアニル酸ナトリウムでも似た出力パターンを示す. これは,出力自体がすで

に人の感じる味に非常に関係しており,言い換えると「個々の化学物質でなく 味を構成する物質に応答して味を測る」ことを意味している. このように ,味 センサを用いて5つの味の識別が可能である.

(17)

(

塩味

)

(

酸味

(

甘味

)

(苦味〉

(うまD未)

電位変イじ量

膜の種類

基準液(1mM

-

K C 1)からの電位変イじ量

lch 2ch 3ch 4ch 5ch 6ch 7ch 8ch

-ー

:NaCl

:KCl KBr

ーー

:HCl

:クエン酸 :酢酸

糖 コ ク ヨ ル

シ グ

ーー

:キニーネ

,- 硫酸マグネシューム :フェニルチオ尿素

ーー

:MSG

IMP :GMP

図1. 7 5基本味に対する脂質膜センサの応答パタ}ン[15 ]

(18)

1. 3. 3 実用化に当たっての現在の味センサの課題

以上,味センサの設計原理と基本味物質に対する応答について述べてきた.

味センサは生体の細胞膜の有する脂質をトランスデューサ部に採用した. バイ オミメティ ック(生体模倣)デバイスであり,その結果, 5基本味の識別を可能 とし,またその応答領域は生体系ときわめて良い一致を示した. しかしながら 現実に実用化するに当たって以下の課題があった.

( 1 )識別分解能の向上:

食品業界においてパネラーは銘柄の差のみならず,ちょ っとした 異常を検知 しなければならない. 味センサも同等の識別分解能が要求される.

( 2 )選択性向上:

味の定量化 が行えるように, センサの特異性を高め, 情報量を増すことが必 要である.

( 3 )非電解質の感度向上

従来の味センサで採用されている脂質高分子膜の電位測定では, 非電解質の 甘味物質への感度は, 電解質の味物質の感度に比較して, 1/5'"'-'1/10と低く 両者が混合されたサンプル中では, 甘味の信号を特徴抽出することが難しかっ た. 他方, 脂質高分子膜のインピーダンス測定では, 脂質高分子膜を用いた非 電解質の検知の可能性が示唆されたものの, 応答再現性の点で課題が残ってい る[16,17J.

まず課題lであるが,再現性を著しく悪くする膜への吸着物質に着目して測 定方法の開発を行うことで対応した. 次に課題2については,非吸着物質と吸 着物質の膜への影響の差に着目して測定方法の開発を行うことで対応した. 課 題3については,イオン性の味物質と非イオン性の味物質の膜特性へ及ぼす効 果の差に着目して膜の開発を行うことで対応した.

(19)

1. 4 本研究の目的と本論文の構成

本研究の目的は,前節において述べた課題をうけて,従来型の味センサを発展 させ,高再現性でより選択性の高い実用化のための新しい測定手法と膜の開発 にある. 本論文は,この目的のもとに行った一連の研究をまとめたものであり,

本章以下の構成は以下のとおりとなっている.

- 第2章:

昧センサ受容膜をあらかじめ被検液に近い組成の溶液にならし, かつ測定の 基準液もその溶液を用いることで, 受容膜の特性変化を少なくする測定を提案 した.

また味物質の濃度変化の狭い範囲で味覚推定を行い, 味センサ出力は人の味 覚とよく合うという結果を示す.

- 第3章:

昧の定量化が行えるように, センサの特異性を高め, 情報量を増すことを目 的として, そのための測定方法の改良を行う. 改良点は, 以下の通りである.

第1は, 脂質膜の洗浄を可能としたことで, 苦味物質ゃうま味物質等の脂質膜 への吸着の大きい昧物質を感度良く安定に測定できるようする. 第2は, 被検 液を測定する前後での, 膜特性の変化を測定することで, 膜の吸着物質のみの 影響を測れるようにして, これらの吸着物質に対する特異性の向上を図る. 基 本特性ならびに実際の食品で特異性と情報量の増加の様子を挙げ, 本測定方法 の有効性を示す.

(20)

第4 r;J: :

3 l戸で述べる測定)J ?12を川いてk:J d'Æへ適川した結果についてIÎ下述する. キ:k ��

の11111fTにíf( ozt:とされる|味 (滋|味), 件気, 色(色iJ ( )及び総介IÎ、I� (Illî (,ìíj ,iL 3 Jjf ハの、I�均)の'r'\能評価仰とこれらy�・能,jf frltî 1'f(に杉特を及ぼすとされるアミノ椴 (うま|味)やタンニン(渋|味)�.手の分析イ"I[と|味センサのilll )j 1,,(との十I11共lを探る.

. �� 5市:

本市では, JJfî 1'1 I',':j分 子!肢のí=[1:1',;j術!交を制牧する ことで, JI: 'di: W(: t'íである11'1味 物質に対する選択↑'1:のrÎJj 1 �を1I H1す. リ史KL 1\/: 11"1-i![lJを川いて, JJ史111の)Jfî t'[の;lfと 手千九与や� I味物質の!岳!交のl刻係をrWÛ 1tし, 11"'味物T(に対するj1f以内rílJ 1'.のIJJ能'1ゾ1:を 探る.

故後に, 1 i応のど義を以ドにぶす.

プリコン測定(第2市)

本測定ノj法では, 'H rìíJに町民肢を測定対象と化学卒IL 成が近い似作液に以して おくというJ長イノド(プリコンデイショニング)を行う. 例えばビールをi1!lJるJJ)j介 だと, ある a般的なビールを保存液に選び, í'[L 1\/�の北市となるjt準法も似イ{液 と1r ïJじビールとする. このiJ[1JÆ )j;去を “プリコン測定" とIJ子ぶ こととする.

. CPA測定(第 3 市)

本測定)J ;12では, サンプルを測定した'_(/Iと後でぷ准液を測定し, その後, iJt j争を行って!]史への|放局物質を除去し, 肢のリフレ ッシュを行う. サンプルをiJ!lJ どした,ìíJ 後での必パ丹波の測定合II(の変化 (Vr' - Vr)は, )岐に 1,� ,味物質がl以心し た ことにより, JJ史の屯1�;jw,� )交や情造が変化した ことにr!I米すると考えられる.

人のi揚介にinき換えれば, 例えばビールを飲んだ後もしばらくI1のrllに-;I'r:I!木が 伐ったがi決, '1:.じる後l味に十11、!?する. こ こでは(Vr' - Vr)をCPA (Change of membra ne Potential caused by Adsorption)値と"子び, この測定ノj法を “CPA 測定" と11子ぶ こととする.

(21)

第2章 味の高精度計測

2. 1 味の大まかな評価

2. 1. 1 脂質膜電極と測定系

序章に詳しく述べているように, ヘニングの四面体説によれば, すべての味 は酸, 塩, 苦, 甘の 4基本味で 合成することができる. したがって, 基本味物 質の濃度を 4次元空間の独立な変数とすれば, 味空間の全領域をおおい尽くす ことができ, 原理的には味を四つの基本味物質の濃度の組み合わせで表現でき る. ただし, これはあくまでも 4基本味物質の濃度による組み合わせ(合成)

であって, 各濃度が味の感覚強度をそのまま表現しているわけではない. なぜ なら, 味物質問には相互作用が存在し, 同じ濃度の基本味物質であっても, 共 存する他の基本味物質の濃度によって, その感覚強度が違ってくるからである.

したがってヘニングの4面体とは異なり, 濃度の組み合わせからなる空間から,

味の感覚強度を求めるには, ある変換写像をさ らに必要とするであろう . しか も, うま味を基本味に含めるという立場では次元数は5に増える.

そこでまず, マルチチャネル味センサの出力をもとにニューラルネットを用 いて, 基本味物質の濃度推定を行い, その誤差の評価を行った[18].

電極の模式図と測定系の概略図を, それぞれ図2.1と2.2に示す. 電極は厚

さ2 mmのアクリル板に直径1.5 mmのAg線を通したもので, 裏面のAg線に接

続しであるリード線は, エポキシ系接着剤でアクリル板に固定した. 8種類の 脂質膜はそれぞれ電極表面のAg線の上に装着した.

脂質膜は, 脂質と, その支持材としてのポリ塩化ピニル400 mgと, 可塑剤と してのジオクチルフェニルホスフォネート 0.5 m 1をテトラヒドロフラン 10 ml に溶かし, シャーレ上で300Cの状態で乾燥させた . 厚み200 μmの無色透明の フィルム状のものが得られた. 各チャネルの脂質と混入量を表2.1 に示す. 脂 質膜は, マイナス荷電の膜, プラス荷電の膜そしてほとんど電荷をもたない膜

(22)

の3種類が選ばれている. 例えばプラス荷電膜には, アンモニウム塩を選び,

疎水部の差によって基本味に対する特性の差を出した. これら8種類の脂質の

もつ官能基は, 生体膜中における官能基の主要なものをほぼ満たしていると言 える.

.0

l/-�i / ロロ

a : Basal acrylic board b : Lipid membrane c : Ag electrode

d : Lead wire to an amplifier

^ cross section ^ front view

図2.1電極の模式図

l

AlO

I

ι

Re(erence elec lrode

_!--I-い_M川川川ドM州州刷川…4れ川川川uω凶』川刈lt

: ,----

図2.2測定系の概略図

(23)

表2.1使用した脂質

チャネル 斤貝 混入量

l Dioctyl phosphate O. 2m 1

2 Cholesterol lOmg

3 Oleic acid O. 2m 1

4 Decyl alcohol O. 2m 1

5 Trioct yl d im eth yl ammon i um O. 2m 1 chloride

6 Oleylamine O.025ml

7 o i ste aryl d im eth yl am moni u m 5mg 8romide

8 Trim eth yl st e aryl am m on i um 2mg 8romide

ビーカーにサンプル溶液を入れ, その中にマルチチャネル電極および飽和KCl

+ 同寒天でAg-AgCl線を封入した参照電極を入れてこの両者間の電位差を測定 した. 各チャネルからの電気信号は高入力インピーダン ス増幅器を 通した後,

8チャネルのアナログスイッチにより入力切換を行い, A-D変換器によりデジ タル信号に変換してコンビュータ(NEC, PC-9801)に取り込んだ. 測定はすべ て室温(24:tlOC)で行った. 測定値は, サンプル溶液にセンサを入れて3 0秒

後の値とした.

基本味は酸味, 塩味, 苦味の 3 種類に限り, それぞれに対し塩酸, NaC 1, 塩 酸キニーネを呈味物質とした. これらの物質を含む 5 基本味物質に対して人の 味覚を感じる領域は, 1章に述べた通りであり, 図2.3に再掲する. 図2.3を もとにして, 表2.2に示すように, 各基本味を強さにより 5段階に分け, 全部 で53種類の組み合わせの混合液を作り, それらに対するセンサ出力をニューラ ルネットに学習させた.

(24)

100

キニー不 f

塩酸 / 食塩

れj

担J 、{

Q 50

tぎ

FhJ - 4 円くυ - 2 1i

濃度(log M)

図2.3 呈味物質の渡度に対する感覚量[ 13]

表2.2 使用した混合液の組成(mM)

レベルl レベル 2 レベル 3 レベル4 レベル5

N a C 1 10 30 100 300 1000

H C l 0.3 3 10 30

塩酸キニーネ 0.01 0.03 o. 1 0.3

2.1.2 実験結果

味センサの塩味と酸味の混合液に対する特性を図2.4に示す. 滑らかな曲線 であり, 学習に無理はないと思われる. また, 一方の味が濃くなるにつれて,

他方の味の濃度変化に対する応答が鈍くなっており これも人の味覚特性と合 っている.

ニューラルネットを用いた信号処理の一例を図2.5に示す. 入力í (í = 1--- 8)には, 脂質膜電極からの出力yí (í = 1---8)が入る. ここでニューラル素子

は, 中間層を構成する20素子と, 出力層を構成する3素子とに分けられる.

(25)

50

E

こ二五ーー、

で\

4、

T

,\

ヰJ

-50

10 100

NaCI i良1[.[ (mM)

1000

図2.4 N a C 1とHClに対する濃度特性

入力H1 '111l\L11 !I \ jJ 1\'‘i

-a q4 qd y y y

Y1

Y2

Y8 Y3

図2.5 ニユ}ラルネットワークの構成

(26)

ニューラル素子の入出力特性はいろいろ考えら れるが, ここでは生体の神経 細胞の入出力特性に似たシグモイド関数を用いた[46J . それはある範囲の入力

に対してはほぼ直線に応答し, その範囲外の入力に対しては応答し ない という 特性である. 入力をα, 出力を/3とする と

(2. 1 )

で表される. ここでk はシグモイド関数のシャープさを表す定数である. 出力 層のニューラル素子の出力Y1----Y3について, Y 1 は塩味としてNaCl, Y2は酸味 としてHC 1, そしてY3は苦味として塩酸キニーネを表しており, 各基本呈味物 質の濃度の対数を意味している. 出力層のニューラル素子における入出力特性

を定数A, Bを調整して-2< Y1 < 0, -3.5 < Y2 < -1. 5, -5 < Y3 < -3として,

人の味覚特性に合わせた(図2.3参照) . また中間層のニューラル素子の出力 は-1からlになるようにA, Bを調整した.

入力αには, 各ニューラル素子の出力を結合係数で重み付けし た線形和が送 られる. この結合係数は生体におけるシナプス結合をモデル化したもので, 正 は興奮性, 負は抑制性を意味している. あらかじめ各濃度のわかっている学習 用混合液に対するセンサ出力をニューラルネットに入力し, 出力Y1----Y3が正し い答を出すように結合係数を変える. そのためにまず誤差関数Eを設定しよう.

E =

i i

i

(i )ーロjd (N

=ゲ (2. 2)

ここでY j (i) とYY j (i)は, それぞれ被検液iに関する出力層のi番目の出力 と真値である.

この誤差関数Eがゼロになるよう最小勾配法を用いる. 最小匂配法 とは, E を各結合係数の関数 とおき, 勾配方向 に向かつてこの結合係数を変化させて, E を減少させていく方法である. ニューラルネットの一般的な学習としては, 誤

(27)

差関数Eを学習サンプル1個ごとに決めて, 順番に少しづっ学習させていく方 法があるが, これは複雑なパターンを学習するときに有効で, 今回のように単 純な場合, 上式のように全サンプルを同時に学習させるタイプが合っている.

各味の濃度推定の誤差率を表 2.3に示す. 人の感じる領域は濃度の対数で約 2すな わち2桁であり, それに対して何%の誤差かを示している. 未学習デー

タは43種類の混合液である(表2.2参照) . 味の指標とする溶液と比較するこ とな く未知溶液の強度を表現できるかという絶対判断では, 人はたかだか3段 階程度の強度の違いしか表現できないといわれ るので, それに比べると 4段階 に分けて作った溶液に対する未学習データ でもニューラル処理後の推定が非常 に正確であることが わかる.

表2.3 ニューラルネットを用いた基本味濃度推定の誤差率(% )

入力データ 塩味 酸味 苦味

学習データ 3 6 1 5

未学習データ 5 9 1 9

(28)

2.2 微細な味の差の評価

前節では, マルチチャネル味センサを用いて, 味物質の濃度推定が可能であ ることが示された. そこで本節では, さらに計測方法の改良を行うことで, セ

ンサの再現性をより高め, 微妙な味の差の識別が可能となることを示す[ 19] . 改良点は以下のとおりである. 第一は, 絶対計測から, センサにあらかじめ味 のバイアスをかけた相対値測定にした点である. これにより, センサ受容膜は 被検液による特性の経時変化が極めて少なくなり, 繰り返し使用が可能となっ た. 第二は, センサを一定周期で溶液に出し入れを行い (外乱) , これに同期 させて計測を行う点である. これにより, センサ出力が安定するまでの待ち時

聞が大幅に短縮でき, また外乱による影響を受けなくなった. これらの結果,

測定の再現性を飛躍的に向上させることに成功し, 人間以上の詳細な味の識別 が可能となった. そして, 相対値測定の際のバイアスの変動や, 測定時間の長 さに測定結果が依存しないことを実験的に示し, これらの改良の妥当性を示そ

っ .

2.2.1 測定方法

味センサを食品の製造管理, 特に酒, ワイン, ビールといった醸造のプロセ ス管理に用いることを想定すると, 微妙な味の差の識別能力を人間と同等もし くはそれ以上に高めることが必要である. 実際, 食品の製造工程において味の 検査をするとすれば, 味そのものよりも, 製品ごとの微妙な味の差を検出する ことが主な目的となろう.

いま, 刺激強度をS とする味の指標となるサンプルがあり, それと比較して 未知サンプルを検査した場合, 人聞が識別しうる最小変化量の刺激強度をムSと する. 中程度の味の濃度においてウエーパー比(ムS / SXIOO)は, 約20犯である と考えられている[3]. 人間の味覚の受容範囲は, 最小関値を lとすると約102 であり, こ のすべての範囲において, ウエーパー比が20犯と仮定すると, 人間 は約 20段階の刺激の差を識別できることになる( 1. 220 キ 102) . 人間の味覚

(29)

の感覚値は, 呈味物質の濃度Sの対数に比例するとされており 味センサの出 力もほぼこの関係を満足している. この範囲に相当する味センサのダイナミッ クレンジは, 約100 mVである. したがって, ウエーパー比 20 犯は20段階の刺 激の差としてセンサ出力で 5mV に相当し, 最低でもこの精度を保証しなければ

ならない. 製造管理に使うため, ここでは0.5から1 mV以下の精度を目標とし よう. これはウエーパー比2出から5犯に相当する.

再現性の向上には, 同種センサ聞の性能のばらつきを減少させるアプローチ も考えられるが, ここでは, 同一センサの繰り返し使用におけるぱらつきを減

少させるための測定方法について述べる.

まず, 絶対値測定から相対値測定へ変更を行った[ 19] . これまですべての味 に対応可能とする場合は, 人間の唾液に相当する無味の希薄電解質溶液(1 mM

KC 1 )を味の基準点とし, 被検液を測定した[15 ]. この場合, 被検液と基準溶液

の性質の差が大きいと, センサを被検液に浸漬した時, 膜の状態が大きく変化 する. つまりセンサの味応答特性が変化し, 元の状態に正確に回復することが 難しい. 人間もこのようなヒステリシスをもつが, 味細胞の再生能力が顕著な ため問題はない. そこで, 本方法では事前に脂質膜を測定対象と化学組成が近 い保存液に浸しておくという操作(プリコンデイシ ョニング)を行った. 例え ばビールを測る場合だと, ある一般的なビールを保存液に選ぶ. また電位の基 準となる基準液も保存液と同じものを採用した. 以下この測定方法を “プリコ ン測定" と呼ぶこととしよう. プリコン測定は, 後述 のように, 測定対象範囲 を限定した場合に, センサの保存液ならびに基準液をその対象範囲に近づける ことで, 膜を被検液になじませ, 測定の際の膜状態の大きな変化を緩和し, ヒ ステリシスの影響を抑えようとするものである.

次に一定の周期の物理的刺激をセンサに与え, その周期に同期させて測定を 行った[ 1 9] . 計測を行う場合, 基準点の計測と被検液の計測の聞の断続的過程 を避けることはできない. この断続的過程により, 膜内の電気的平衡状態が崩 れ, これが膜電位の変化として現れ, 元の平衡状態に復帰するまでに長時間を

(30)

要する. そこで, この断続的過程と同等な物理的信号を一定の周期で印加する ことにより, 動的な安定状態を作り出し, 断続的過程によるヒステリシスの影 響を除去するというものである.

生体系での呈味物質の膜表面への吸着による膜電位応答時間は, 数秒程度で あり[3], 原理的にはこの時間程度で測定を完了することが可能である. 測定時 間が長くなると, 被検液が膜内に浸透し, ヒステリシスの原因となる. 上の第 二の方法により短時間計測が可能になり, この問題は解決する.

この測定方法を用いたときの, 各4基本味の中間的濃度(図2.3の各直線の

中間の濃度)におけるセンサの分解能を調べた. 300 rnMシ ョ糖, 0.15 mMキニ ー不, 3 rnM HCl, 200 mM NaCl の混合溶液を基準液Aとし, この近傍における 微妙な味の差の識別実験を行った. まず基準液Aから, HCl, NaClは各々 日ず つ, キニーネ, シ ョ糖は20弘ずつ濃度を5段階に分けて増加させた計20 (= 5 x

4)種類の被検液を用意した. その際, 被検液の他の被検液による汚染を防ぐた めに, 各々被検液ごとに同一組成の洗浄用溶液を準備した. 測定を次の手)11買で 行った. 図2.6に示すように, センサを洗浄用溶液に浸し, そこで洗浄として 数回の出し入れの後, 被検液につけるまでの操作を一定周期Tで行う. 基準液 Aについても同様の操作を繰り返し行い, センサ電位が安定したところで, 被 検液についてこの操作を行い, この時の電位変化を出力とした. 各被検液毎に 10回測定し, そのデータ(図2. 7)を学習データとして用い, 同じ濃度の20種 類の未学習の被検液が推定された. なお, 図2.7 は10回測定の平均値を示す.

Reference solution

B

Reference solution

B

デ\

Taste solution

Taste solution

(to be measured) (ωwash) (旬be measured) (to wash)

(a) (b)

図2.6 測定手順

(31)

r、

? \

-‘

-目

.\

1て I、

4

ンョ相Ji

2

ト二ど4ごぷ�

\ミ管/'

2 3 4 5 6 7 8 2 3 4

orwゴ、マ - 1

一] ト � キニーネ

2 3 4 5 6 7 8 2 3 4

チャネル

• Step 0 Step 1 -0一一Step2 't Step 3 ー0- Step4 一仁トーStep5

5

5

図2.7 各基本呈味物質の濃度増加に対する出力パターン

6 7 8

6 7 8

(32)

この推定の基準として次の二つが考えられた. 一つは, 被検液と, 4基本味 濃度の一つに関し, その被検液の上記 1段階増加または減少した被検液との問 の味の差の有無を判断するもので, 推定基準lと記す. もう一つは, 味の種類 と強度まで判定するもので 推定基準 2 と記す. そして 出力パターン問の非 類似度として, ユークリッド平方距離, 標準化ユークリッド平方距離を使った 推定方法と, センサの出力のばらつきがガウス分布と仮定した確率計算を使っ た推定方法の三つで評価を行った. その結果 を表2.4 に示す. 推定方法を順に

U1, U 2, Bと記している. この結果から, 中間的な味の領域において, 塩味,

酸味に関してウエーパー比5出, 苦味, 甘味に関してウエーパー比20犯の分別を 非常に高い確率で行えることがわかる.

表2.4 分別判定の的中率(% )

呈味物質 ムS 推定基準I 推定基準E

S U 1 U 2 B U 1 U 2 B

シ ョ糖 0.2 9 1 9 8 9 8 8 2 9 4 9 4 キニーネ 0.2 8 4 9 1 9 3 6 8 8 2 8 6 HCl 0.05 9 7 9 9 9 9 9 2 9 8 9 8

N a C 1 0.05 9 7 9 9 9 9 9 2 9 6 9 6

次に実際の食品の例を述べよう. まず, 15 種類のビールの銘柄当てが行われ た. ビールは温度 5:1:0.50Cで, 缶を開けて 10 分以内のものを使用し, 測定周 期T は20秒とした. センサの保存液ならびに測定の基準液は, 炭酸を除去した ある銘柄のビールを使用した. 1 銘柄当り 5回測定し, このデータをもとにし て, 未知のビールを測定し, 上記の 3種類の推定方法で銘柄当てを行った. そ の正解率は順に94.6%, 100%, 100%であった. 15種類のビールのセンサ出力 パターンの中で, 一番距離の近いものでも 2 mV以上あるのに対し, ビール測定 時のセンサ1チャネル当りの出力の標準偏差は, 0.2から 0.3 mV程度と非常に

(33)

よいため, このようにかなり高い確率でビールの識別を行うことが可能となっ ている.

各種のビールに対するセンサの出力パターンを図2.8に示す. ドライビール は一般に大きなパターンを示しており, ドライビールやモルツビールなど品種 毎で特徴的な出力パターンが得られていることがわかる. このことは類似の 味 には類似した出力が得られていることを意味しており, このセンサが味そのも のを測る味センサとして機能していることを示している.

図2.9 に種々のビールに対する応答パターンに主成分分析を施した結果を示 す. 主成分分析とは多変量解析の一種であり, 多次元の情報を少数次元で表す 解析法である[34] (付録参照) . 今はマルチチャネル味センサからの8次元情 報を2次元平面で表している. 図2.9(a)から 18銘柄のビールが2次元平面に 散布しているのがわかる. また同一銘柄のビール(ここでは “黒ラベル" ) の 製造工場による違いを見たのが, 図2.9(b)である. 工場により明確な差異が現 れていることがわかる. ただし, この差異は常人には識別が不可能なほど小さ なものである. このように味センサを用いることでビールのロ ット(製造工場,

製造日)間差を検出することができ, より高精度な品質管理を行うことが可能 である.

-e-ドライA

→←ラガー 一。ーモjレトA -・ードライB -.-ドライC 一回一モルトB

L

5 mV

図2.8 各種ピールの応答パターン

(34)

@ ラガー

マイルドラガー

@ドラフト .姉崎 . .・令仕込

."りプレミアム

削 除目⑮ \3 h a ~ ・ ……

・ J・ .

-

kh レ 9・ 叫

.ーー

白ン忽 ・\ 圃・ ・・・・

・ ・

@キリン -サッポロ .アサヒ .サントリー ライト

. . . . . . 拡大

• • ・ • • • • • • • • •

. 、

ビール1

\・.陪

'...モJ\,.ツ

8銘柄の \。

味マップ

B工場

A工場

C工場

。 ロット差

図2.9 (a) 各種ビールの主成分結果

13.2%

第1主成分

B工場

図2.9 (b) 同一銘柄のビールのロット間差の主成分結果

(35)

ここで本測定方法について幾つかのコメントを与える. 何らかの刺激が加え られてセンサに変化が生じた場合, その刺激が除かれた後, もとの状態まで復 元するまでの聞は, 加えた刺激の影響力と経過時間がセンサの状態を表すパラ

メータとなり, ヒステリシスをもっ. したがって, センサの特性を変えて刺激 の影響をゼロにするか, 同一の刺激を一定周期で与え続けて刺激の影響力と時 間経過を定数にすることで, ヒステリシスをもたないものとすることができる.

センサのヒステリシスを引き起こす原因は, 断続過程で起こる振動などの物 理的刺激と, 被検液の化学的刺激の二つに分けられる. まず, 物理的刺激につ いて考える. センサを溶液につけ安定させた後, センサの出し入れによる断続 過程を行うと電位が安定するまで数分かかる(図 2. 10) . 膜表面電位は水溶液 中のイオンの電気2重層により発生するため(図2. 13も参照) , 物理的刺激が 加わっても非常に単時間で平衡状態に戻り, 計測時間をそれより短くしない限 りヒステリシスの原因とならない. それに対して膜内電位は, 膜内におけるイ オンの拡散速度が極めて遅いため, もとの平衡状態にもどるまでに長時間を要 する. したがって, 図2. 10におけるセンサの過渡応答は, 味信号に関係ない

膜内電位の変化によるものと思われる.

断続過程による影響を除くため, 周期的にこの断続過程を与えることを考え る.このときの様子を膜表面電位と膜内電位に分けて模式的に表したのが図2. 11 である. 膜表面電位は短時間に安定すると考えられるため, 毎回同じ電位に安

定するはずである. そこで, 断続過程を繰り返すことでセンサの出力が安定す ることは, 膜内電位の過渡応答が一定になったことを意味する. この仮想的安 定状態において, 基準液と異なる被検液を測定すると, 表面電位は当然、変化す るが, 膜内電位は短時間では影響を受けるとは思われない. つまり, 膜内電位 の過渡応答は変化しないと考えられる. したがって, センサ出力の変化は, 味 に関係した膜表面電位の変化のみを表していると思われる.

この周期を5秒から40秒まで変化させたとき, 各4基本味に対するセンサ感 度の変化の様子を図2. 12に示す. 周期Tにほぼ無関係であることがわかり, こ

(36)

れから, 膜表面電位は5秒以内で安定すると考えられる.

E

ょJ

長ぷ

d三1

三ニ)

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寸\

_-

,\

/

2 3 4 5

IIS 11 \J (分)

図2.10 センサの過渡応答

ミ益 軒]

センサa'I�力�U1�:l�

(味の廷による屯位差) L1 Vi全Vj- V,。

静止 静11:

\

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断続j白む:

H£

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EaJ -p' 包川 内aw­-晶HH , E 山f

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内“"' 位v 一 fム一

r庁 、 M H

静I�

断続i也ね 断続過程

基準液の測定: 被機殺の;M定

(電係の般化還元1[f立は一定)

図2.11 周期的断続過程による膜電位の過渡応答

(37)

4 トー・

λ ...

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S 100

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:::=l 5 10 20

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10 20 40

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J:i

4

F「d dHT

10 20 40 5

(Ili] �と1,I�ì WI T (秒)

40

10 20

ー・-lch -・卜ー2ch _'_3ch 屯- 4ch -0-ー5ch 一仁トー6ch -0-一一7ch 一会ー8ch

図2.12 測定周期Tとセンサ出力の関係

図2. 12において, 測定被検液は以下の4種類である. HClのみを溶液Bから 25覧増加させた被検液H25, NaC 1のみを25出増加させた被検液N25 キニーネの

みを100覧増加させた被検液Q100, シ ョ糖のみを100出増加させたS100である.

各被検液をランダムな順番で, 1被検液 当り 計10回の計測を行った. 縦軸は,

各チャネルの10回の平均出力値を示してあり, 出力値は, 周期Tに無関係に一 定値であるこ とがわかる. 各チャネルの標準偏差を表2.5に示す. このときの lチャネル当りの標準偏差は, 周期が5秒から40秒まで}II買に0.27mV, 0.28mV,

0.27 mV, 0.17 mVであり, 非常に再現性が良い.

(38)

表2.5 断続過程を周期的に与えて測定したときの標準偏差(m V)

c 2 3 4 5 6 7 8

h

周期T (秒 )

5 0.20 0.08 0.47 0.63 O. 10 O. 10 O. 10 O. 19

1 0 0.26 O. 11 0.41 0.73 0.06 0.05 O. 10 O. 15 2 0 O. 19 0.06 0.20 0.41 0.04 0.04 O. 10 O. 15

4 0 O. 11 0.07 0.22 0.3 6 0.04 0.04 O. 12 O. 10

次に化学的刺激について考える. 基準 溶液と味成分の異なる被検液にセンサ をつけると, 膜内へのイオン浸透が考えられる. そこでプリコン測定ではセン

サを被検液に近い溶液で保存することで, 浸透圧の差を小さくでき, 安定した 測定が行える. プリコン測定における測定時間の 5---40 秒程度で, 味物質がヒ

ステリシスを起こすまで膜内部まで入り込むとは思えない. それは実際, HC 1 の浸透性実験より示されている. ここでイオンの膜内への浸透時間を簡単に見

積もってみよう. 味センサで用いている脂質膜の多くは数Mオーム/ cm�の膜抵 抗を示す[14J. この場合, Na今やC1 -等のイオンの拡散定数は D = 10-6 cm2 /8程 度であり[47J , 膜の厚み(200 μm)のl割の深さlまでのイオン浸透に要する

時間は大雑把に見積もってt--- 12 /D = (2X10-3)2 /10-8 = 400秒となる.

特にキニーネのような苦味物質による膜表面への吸着は膜特性のヒステリシ スの大きな要因となりうる[21 J . 苦味物質は, 脂質疎水部へ吸着することが知 られており, 一度吸着してしまうとこれを除去することは難しい. 実際, 膜は キニーネ溶液に長期間保存することで その色が変わる. 基準液が 10 mM KCl 溶液のように電解質のみからなる場合を考えよう. センサをビール等の苦味を

呈する溶液に つけると 膜表面へ苦味物質が吸着する. その後もとの基準液を 測定しても, これらの吸着物質により膜表面の電荷密度が変わっているため膜 表面電位が変わり それに伴い膜内の平衡状態が影響を受け膜内電位も変わり,

センサ出力が大きく変動してしまう(図2.13(a)). そこで 保存液を被検液

(39)

に近づけることで, 膜へ吸着性のある物質を測定前に吸着させてしまうことで 図2.13(b)に示すように, 測定時の膜状態の大きな不連続変化を除去し, ヒス テリシスを除こうというものである.

ここで提案した測定方法は現在, ビール[22,23J, 日本酒[24,25J, コーヒー [26 J , 牛乳[27, 28J, 味噌[29], 醤油[30J等へ適用され, 食品製造プロセス における品質管理, 新商品の開発, 基準の味の構築等, さまざまな目的に使わ

れつつある.

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図2.13 膜への吸着物質による同一基準液中での電位プロフィールの変化

(40)

2.2.2 味覚推定

以上のように, センサのヒステリシスをなくすこと で非常に高い再現性が得 られた. この再現性の良さにより, ビールのような類似した味でも, 高精度で 銘柄当てが可能となっている. ここではさら に発展させて, センサ出力から 味 の違いの分析を行える可能性について述べよう[31] .

基準液A( 3 00 m�シ ョ糖, 0.15 mMキニーネ, 3 mM HCI, 200 mM r'\aCI )近 傍で の各基本味の濃度特性を図2. 14 に示す. 直線は最小2乗法を用いて引かれ ている. この図をみると, 濃度の対数と各センサ出力は, ほぼ線形であること がわかる. この傾きが, 各センサの各基本味に対する感度である. 基準点を基 準液 Aより濃度の高い溶液にしても被検液の相対関係が変わらなかったことよ り, 基準点の濃度の上下に関係なく近傍に おいて, この感度は各々一定である ことがわかる. ここで, 被検液iに含まれる4 基本味物質の濃度の対数を4 つ の要素とする縦ベクトルをY( i)とし, 被検液i に対するセンサ出力( y1�y8) を要素とする縦ベクトルを y( i )とする. なおi = 0は 基準溶液を表すものとす

る. 任意のi で行列Wを用いて

y(i) = W (Y(i)-Y(O)) (2. 3)

が成り立つ. ここで行列Wは各基本呈味物質の濃度の対数に対する感度を要素 とする8 行4 列の行列である. 式(2. 3)からY(i)-Y(Q)は

Y ( i ) -Y ( 0 ) = C WW)ー1 IWy (i) (2. 4)

で与えら れる. ここで IWは W の転置行列である. このように センサ出力から任 意の 溶液の濃度を推定でき る. 次にこの結果を用いて味の相互作用まで考慮し た味の検定について述べよう.

(41)

3

(

E

2三) 300

1デ +' .\

0.15

キニーネ

0.30 200

i� J立(mM)

___ 1 ch -11-ー2ch ...,企ー3ch 一ー- 4ch -cトー5ch ベコ-6ch -0ー7ch _,年一8ch

図2.14 各基本呈味物質に対する濃度特性

3.45 3.60 3.75

230 240 250

いま4基本味を含むスポーツ飲料を対象に人の感覚量を推定してみよう. 官 能試験を行うに際して基本味の強さの尺度(味覚のものさし)を決めておかな ければならない.

単一の呈味物質に関して, 人間の感じる味の強度を測る指標としては, τ尺 度, ガスト尺度, 甘味尺度等がある[3] . これら 尺度の中には, 人間の感じる味 の強度が呈味物質の濃度の対数に比例するとされているものがあり, ここでは,

この考えに基づいた T尺度を採用するこ とにしよう. そして, ここでの味の強 さの i単位は, 各基本味のみを呈する物質の濃度で定数倍増加をあてはめ, そ れに従って呈味尺度用の溶液を作った. 一般には, ウェーパー比は 20郊である とされており[3] , このl単位の定数を1.2 (ウェーパー比で20犯に相当)にす ると, 呈味尺度用の溶液聞の差を識別することが難しくなり, 尺度の意味がな くなる. そこで, まず官能試験を行い, その結果, 容易に溶液間の刺激の強さ の比較ができる最小単位として 1.3を採用した. つまり, 1. 3倍だけ濃度が違

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う溶液を味強度が1違う溶液としたことになる.

呈味尺度用の溶液として表2.6 に示す以下のものを準備した. 甘味に対する 尺度用液はシ ョ糖の濃度を, 溶液S1からS8までJII買に43 mMから268 m\l1まで とした. 苦味ではカフェインの濃度を, 溶液C1からC9までJII買に0.6 mMから4.8 mMまでとし, 次に酸味に対する尺度用液は酒石酸の濃度を, 溶液 H1 から H9 まで)11買に1.5 mMから11.9 mMまでとし, 塩味に対しては塩化ナトリウムの濃度

を, i容?夜N1からN9までJII買に20 mMから122 mMまでとした.

表2.6 呈味尺度用の溶液組成

味 記号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 甘味 S 43 56 72 94 122 159 207 268 一一一一 苦味 C 0.6 0.8 1.0 1.3 1 . 7 2.2 2.9 3.7 4.8

酸味 H 1.5 1.9 2.5 3.2 4.2 5.4 7.0 9.1 11. 9

塩味 N 20 25 32 40 50 63 79 98 122

また, 官能試験には, 被検者として 100名の中から味に敏感な者10名を選出

した. 平均的な人の場合, ある味に対して少なくともその味の 20旬以上濃度が 違わないと, その違いを識別できないといわれている. この実験の被検者は,

各基本味に関して 10犯の濃度の差が明確にわかる者とした . 測定に用いる液は 約250Cの温度とした.

また, 基準液として市販のスポーツ飲料を用いた. これは被検者にとって違 和感なく飲めるものであり 各基本味が含まれており 微妙な味の違いが認識 しやすいものであるとして用いられた.

まず “人の感覚量" と “呈味物質の濃度の対数" の聞の比例定数を官能試験で 求めてみよう. 味物質問では相乗効果や抑制効果があり, それらの効果は味物 質の組み合わせにより一定ではないため, 1 つの基本呈味物質に対してすべて の基本味への影響を調べなければならない. たとえば基準液のスポーツ飲料に

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シ ョ糖を少量添加し, この時の甘味 はもちろん苦味, 塩味, 酸味の強さ の変化 を官能試験により調べ る. 基準液のスポーツ飲料に 1種類ずつ基本呈味物質を 添加した液 を用意する. この溶液を学習用被検液と呼ぼう.

学習用被検液は基準液(スポーツ飲料) のシ ョ糖のみ増加させたもの(S)と,

カフェイン のみ増加させたもの(C)と, 酒石酸 のみ増加させたもの(H)と, 塩化 ナトリウムのみ増加させたもの(N) の4種類である (表2.7参照)

表2.7 学習用被検液の種類

記号 添加した呈味物質 添加した濃度 (m M)

S シ ョ糖 47

C カフェイン 1 . 3

酒石酸 3.2

N 塩化ナトリウム 40

官能試験を以下の)11買で行った. 図2.15に示すよう に まず 甘味 に関する感

覚量測定では 基準液と甘味尺度用溶液(Sl--- S8)と を被検者に飲み比べてもら い, 基準液の甘味の強さが甘味尺度用溶液(Sl--- S8)のどれに相当するか選び出 してもらった. 次に シ ョ糖を添加した学習用被検液( S) の甘味の強さと同等

なもの を, 甘味尺度用液(Sl---- S8)から飲み比べて, 選び出してもらった. この 2つのデータから 基準液にシ ョ糖のみを添加したとき甘味がどれだけ増した かがわかる. 同様に, 他の 3 種の学習用被検液(C, H, N)の甘味 の強さと同等な もの を, 甘味尺度用液(Sl---S8)から 選び出してもらった. この結果から, カ フ ェイン, 酒石酸, 塩化ナトリウムをそれぞれ加えたとき の甘味の変化がわかる.

他の3種の基本味に関しても 上記甘味と同様 に官能試験を行った.

参照

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