中華人民共和国養子法の改正
その他のタイトル The Revision of Adoption Law in the People's Republic of China
著者 宇田川 幸則
雑誌名 關西大學法學論集
巻 48
号 5‑6
ページ 1229‑1250
発行年 1999‑03‑10
URL http://hdl.handle.net/10112/00024484
の改正作業が進められていた︒
中華人民共和国養子法の改正
︹研 究ノ ート
︺
去る一九九八年十一月四日に開催された第九期全国人民代表大会常務委員会第五回会議で︑﹁関於修改﹃中華人民
共和国収養法﹄的決定﹂︵以下︑養子法改正に関する決定︶が採択され︑一九九一年に採択された養子法︵以下︑旧
養子法︶に修正をくわえた上で︑改正された養子法︵以下︑新養子法︶が︑一九九九年四月一日より施行されること
が決定された︒施行後六年という︑中国では異例の短期間で法律が大幅に改正されることとなったが︑趣旨説明によ
れぱ︑その背景にはおもに以下に挙げる理由が存在したようである︒①養子縁組に付された要件が厳格にすぎ︑一部
の扶養能力を有し︑かつ児童を養子としようとする者に対して養子縁組を困難にさせるとともに︑そのため多くの社
会福祉施設が孤児・棄てられた嬰児を養護する負担を過度に負うという状況がもたらされた︒②養子縁組の法定手続
が不統一であったこと。③養子となる児童の権利•利益をより厚く保護するため。これらの理由にもとづき、養子法
養子法修正草案は︑当初一九九八年八月二五日に開催された第九期全国人民代表大会常務委員会第四回会議に提出
中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
二五五
︵︱
‑三
九︶
宇
田
川
幸
則
① 親・養子ともにその要件は緩和されたと評価されている︒
(︱
二三
0)
第四八巻第五・六合併号
(2 )
され︑審議に付された︒本来ならば同会議での審議を経て︑修正草案は採択・成立されるところであるが︑審議の結
(3 )
果︑同会議での採択・成立は見送られ︑継続審議に付された︒その後︑﹁各方面の意見を真摯に吸収し︑先の修正草
(4 )
案を改善し︑とりわけ養子縁組の要件を緩和し︑養子縁組の手続をより整え﹂た上で︑同年一0月二八日開催の第九
期全国人民代表大会常務委員会第五回会議で再度審議され︑同年︱一月四日に採択・公布されるにいたったのである︒
以前︑筆者は鈴木賢教授︵北海道大学法学部︶と共訳で︑旧養子法の起草者の一人である河山肖水氏によって著さ
れた﹃中国養子法概説﹄︵敬文堂︑一九九八年︶を翻訳・出版し︑わが国に中国養子法の紹介を行っている︒今回の
改正で︑法律の編成上は六章・三三ヵ条から六章・三四ヵ条へと変わり︑わずか一ヵ条増加したにすぎないが︑内容
面では極めて大きな改正が施されている︒そこで︑以下では︑拙訳書を補充する意味で︑当初の修正草案をめぐる議
(5 )
論を含め︑今回の主要な改正点を整理し︑最後に新養子法の全訳を掲げる︒
( 6)
養子縁組の当事者要件の変更
前述のとおり︑旧養子法において︑養子縁組に付された要件が厳しすぎるとの批判を受け︑今回の改正では︑養
養親の要件
旧養子法においては︑養親の要件としては︑子どもがいないこと︑子どもを扶養・教育する能力があること︑およ
び満三五歳以上であることが規定されていた︵旧六条︶︒今回の改正では︑当初の改正草案では﹁未成年者の健康に 関法二五六
二五七 影響を与えるに足る伝染病に罹患していないこと﹂という要件がくわえられ︵草案四条四号︒以下︑疾病要件︶︑同時に年齢制限が満三五歳以上から満︱︱一十歳以上に引き下げられるとともに︑﹁婚姻後生殖能力がないとはっきりと診
(7 )
断さ
れた
者﹂
につ
いて
は︱
︱
1 0
歳以上という要件さえ付さないこととされていた︵草案四条三号︶︒疾病要件が新たに
くわえられることについて︑これまで学説上は﹁子どもを扶養・教育する能力﹂の有無を判断する際にこの点を考慮
していたといわれており︑今回の改正により要件が厳格になったわけではない︒しかし︑審議過程において︑疾病要
件にいう﹁伝染病﹂の範囲確定がきわめて困難であるとの理由から︑成案では﹁医学上子どもを養子とすべきでない
と認められる疾病に罹患していないこと﹂との表記にあらためられた︵新六条三号︶︒なお︑﹁医学上子どもを養子と
すべきでないと認められる疾病﹂が具体的に何かについては明らかにされていないが︑従来の学説では
HIV
感染な
( 8)
どが想定されていたようである︒また︑年齢制限をめぐっては︑旧養子法制定以前から学説上︑立法論として三0歳
説と三五歳説とが有力に主張され︑かなりの議論の末︑旧養子法では三五歳説が採用された︒今回︑これを三0
歳以
(9 )
上に変更する︵新六条四号︶にあたっては︑とくに反対意見は存在しなかったようである︒ただし︑当初の改正草案
で規定されていた﹁婚姻後生殖能力がないとはっきりと診断された者﹂については︑成案では削除されている︒
養子の要件
中国養子法では︑養子の要件としては︑満一四歳未満の父母を亡くした孤児︑父母を探し当てることができない棄
てられた嬰児および児童︑実父母に特別な困難があり扶養する能力がない子どものいずれかで︵新旧とも四条一ー三
項︶︑しかも養子もまたひとりっ子でなければならないとされている︒すなわち︑養親に子どもがなく︵新旧とも六 ②
中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
(︱
二三
一︶
( ︱ ニ ︱
︱ ︱ ︱ ‑
︶
条一項︶︑かっただ一人の子どもを養子とすることができるだけである︵新旧とも八条一項︒以下︑ひとりっ子要件︶︒
このように︑養子の要件はきわめて厳格であるとともに︑養子縁組制度も計画出産という国策の制約を受け︵新旧と
も一ー一条︒なお︑旧一八条︑新一九条参照︶︑いわゆる﹁ひとりっ子政策﹂の影響を受ける︒これは︑ひとつには計画
出産が中国家族法ひいては中国法そのものを貫く大原則であって︑養子縁組制度もまたその例外ではないことの表れ
( 1 0 )
であり︑また︑養子縁組制度を悪用しての計画出産違反行為の蔓延という︑養子縁組制度の運用面の実態の一断面を
( 11 )
示すものでもあるといえる︒
今回の養子法改正では︑これらの養子の要件については一切緩和措置はとられてはいない︒にもかかわらず︑養子
の要件が緩和されたと評価されるのは︑おもにひとりっ子要件の適用を除外する養子が︑若干ひろく認められるよう
になったためである︒すなわち︑旧養子法においてひとりっ子要件の適用が除外されるのは︑国内養子の場合︑基本
的には孤児あるいは障害児を養子とする場合だけであり︑その際には一人しか養子とできないことおよび養親に子ど
もがいないことのほか︑養親の年齢が満一︳一五歳以上であることという制限を受けずにすんだ︵旧八条二項︶︒新養子
法では孤児および障害児にくわえて社会福祉施設が養護する実父母を探し当てることができない棄てられた孤児およ
び児童を養子とする場合にも︑これらの制限を受けずにすむとされた︵新八条二項︶︒また︑今回の改正で︑継父あ
るいは継母が継子の実父母の同意を経て継子を養子とする場合にも︑﹁一人しか養子とすることはできないという制
限を受けないことができる﹂との一文が新たにくわえられ︑ひとりっ子要件の適用除外とされた︵新一四条︶︒
この他︑例外的な養子縁組としては︑三代以内の輩行を同じくする傍系血距の子どもを養子とする場合が挙げられ
る︵新旧とも七条︶︒当初の改正草案では︑継父あるいは継母が継子の実父母の同意を経て継子を養子とする場合と
関法第四八巻第五・六合併号
二五 八
二五 九
ともに︑三代以内の輩行を同じくする傍系血族の子どもを養子とする場合にも︑養親に子どもがいないことと︑養子
の実父母に特別な困難があり子どもを扶養する力がないことおよび養子が満一四歳未満であることとの制限を受けな
くともよいとされていた︵草案八条一項前段︶︒結果的には︑新養子法は旧養子法と同様に︑三代以内の輩行を同じ
くする傍系血族の子どもを養子とする場合︵新七条︶と︑継父母が継子を養子とする場合︵新一四条︶とを分けて規
定し︑後者については︑前述のとおり︑ひとりっ子要件の適用を除外することとされた︒一方︑三代以内の輩行を同
じくする傍系血族の子どもを養子とする場合には︑旧養子法では冒頭に﹁年齢が満三五歳以上で子どものいない市民
( 13 )
︵1 4
)
が﹂との限定を付していたが︵旧七条一項︶︑今回の改正ではこの部分が削除されたにとどまり︵新七条一項︶︑ひと
ところで、比較法的に見た場合、近代的養子制度の任務は、養子となる子どもの権利•利益の保護にあるとされ、
﹁親のための養子﹂や﹁家のための養子﹂ではない﹁子のための養子﹂制度であることが重要である︒この点につい
て中国の養子法も同様の立場に立つことを明言するが︵新旧とも二条︶︑他方で︑旧養子法はこの例外として︑三代
以内の同輩行にあたる傍系血族の子どもを養子とすることを許していた︵旧七条︒しかもこの場合は︑成年養子を認
める︒新七条も同旨︶︒これは親類の成人した者を養子とすることを認める制度で︑養親の老後の扶養を確保するた
めに利用されることを想定したものである︒しかし︑これは反面で︑中国の伝統的血縁集団である宗族を延続させる
ための養子︵原語では﹁嗣子﹂あるいは﹁過継子﹂という︶︑すなわち﹁親のための養子﹂を容認することともなっ
た︒実は今回の改正では︑最終的には見送られたが︑当初の改正草案ではその要件をいっそう緩和し︑養親のための
養子をより広範に認めようとしていた︒すなわち︑三代以内の輩行を同じくする傍系血族の子どもを養子とする場合
中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
りっ子要件の適用除外とはされなかった︒
(︱
二三
三︶
養子縁組の手続の統一
︵登
記王
義︶
(︱
二三
四︶
にくわえて︑満五五歳以上の配偶者のいない者でかつ子どものいない場合あるいは夫婦の双方が満五五歳以上でかつ
子どもがいない場合には︑養親との年齢差が二五歳以上である満一四歳以上の子どもを一人養子とすることができる
としていた︵草案九条︶︒この背景には︑今後急速に進行する人口高齢化により来るべき超高齢化社会に備えるため
( 1 5 )
に︑社会福祉・社会保障制度の改革・整備とともに︑既存の伝統的家族による私的扶養という含み資産を活用して乗
周知のとおり︑現代中国家族法は一貫して封建的な家族制度の根絶を唱え続けたにもかかわらず︑このように伝統
の延命に荷担してしまうのは︑ひとえに伝統家族が担ってきた構成員の生活を包括的に保障するという経済的機能の
面で︑今日においてもなお根本的な変化がない︑あるいは国家がそれを根本的に転換するだけの意思と能力がないこ
( 16 )
とが原因であるといえよう︒
旧養子法では︑国内養子の手続について︑登記ならびに書面による取決め︵さらに公証を受けてもよい︶の二つの
形式が用意されており︑そのいずれによるかは︑基本的には当事者の意思に任されていた︒旧養子法では︑養子縁組
の手続に関して︑地方人民政府の民政部門における登記が義務付けられていたのは︑実父母を探し当てることができ
ない棄てられた嬰児と児童および社会福祉施設が養護する孤児を養子とする場合に限られていた︵旧一五条一項︶︒
このような二本立ての養子縁組手続には従来から批判も多く︑学説上も民政部門における登記の一本化が主張されて
( 1 8 )
いた︒今回の改正にあたっては︑これらの批判を受け入れる結果となり︑新養子法は登記主義を採用し︑その結果︑ り切ろうとする国家戦略が存在する︒
関法第四八巻第五・六合併号
二六
0
なう必要はない
︵養
子法
改正
に関
する
決定
十一
︶︒
もって養子縁組が成立することで一本化されることとなる︵新一五条一項後段︶︒
二六
( 19 )
すべての国内養子について︑県クラス以上の民政部門における登記を要求することとなった︵新一五条一項前段︒渉
外養子については後述する︶︒これにより︑従来は養子縁組が登記日をもって成立するものと取決め締結日ないしは
公正証書記載日をもって成立するものとのふたつに分かれていたところ︑今後は民政部門において登記された日付を
同時に︑離縁に関しても︑これまでは養子縁組が登記によるものかあるいは書面による取決め・公証によるものか
によって手続が異なっていたが︵旧二七条︶︑新養子法で登記主義が採用された結果︑今後当事者が離縁の取決めに
達した場合はすべて︑人民政府民政部門で離縁の登記を行わなければならないこととなる︵新二八条︶︒
これに関連して︑実父母を探し当てることができない棄てられた嬰児および児童を養子とする場合には︑登記手続
を行う民政部門が登記前に公告をしなければならないこととされた︵新一五条二項︶︒当初の改正草案では︑この公
告はこれらの嬰児ないしは児童を実父母を探し当てることができない児童であると確定することであると明記してい
たが︵草案五条三項︶︑新養子法の公告が如何なる性格のものかについては︑条文を見る限りにおいては定かでない︒
公告に関する具体的な内容・詳細については︑本法では規定されていないが︑国務院ないしは主管部門が今後制定・
( 2 0 )
公布するであろう実施雛法ないしは実施細則で規定されるものと思われる︒
なお︑新養子法施行前に旧養子法にしたがって成立あるいは離縁した養子縁組関係については︑再度登記手続を行
中華人民共和国養子法の改正
(︱
二三
五︶
今回の改正で渉外養子の手続がより厳格かつ詳細に規定されることとなった︒
( 2 1 )
渉外養子については︑旧養子法下においては次のような問題が生じる可能性が指摘されていた︒旧養子法では︑外
国人が中国児童を養子とする場合︑登記および公証手続を経たのちに養子縁組が成立するとされていた︒他方︑
の国︑たとえばシンガポールなどの養子法にしたがえば︑外国で外国人児童を養子とする場合には︑帰国後さらに本
国の養子縁組を管轄する機関の許可を経なければならず︑そうすることではじめて養子縁組が有効になると規定する︒
このことは︑中国においてすでに養子とされた中国人児童が︑仮に養親とともに養親の本国に渡ったとしても︑その
後当該養子縁組が否定され︑中国人児童が中国に送還される可能性があることを示している︒
そこで︑今回の養子法改正では︑このような問題の発生を回避すべく︑以下のような改正を行った︒すなわち︑旧
養子法では必要とされていなかった︑養親となる者の所在国の主管機関における当該国法にしたがった審査・承認を
事前に要求することとした︵新ニ一条二項前段︶︒これにより︑中国においてすでに成立した養子縁組が︑その後外
国で否定され︑養子となる中国人児童の中国への送還という事態が回避されることになる︒くわえて︑養親となる者
の年齢・婚姻等の状況に関する証明について︑きわめて厳格な手続を要求することとなった︒旧養子法では︑当該証
明には養親となる者の所在国の公証機関ないしは公証人による公正証書および当該国の駐在中国公館による当該公正
証書の認証を要求していたが︵旧二0条二項前段︶︑新養子法では︑養親となる者の所在国の権限ある機関が証明書
を発行し︑それを所在国の外交機関あるいは外交機関が授権した機関が認証し︑さらに当該国の駐在中国公館が認証
渉外養子の手続の厳格化 関 法 第 四 八 巻 第 五
・ 六 合 併 号
二六
︵ー
ニ三
六︶
一部
四 法 的 責 任
で養子縁組の公証手続を行わなければならい する︵新ニ︱条二項前段︶という︑いわば三重のチェックを要求することとなった︒
二 六 一
渉外養子については︑旧養子法以来︑人民政府民政部門における登記が要求されていたが︵旧二0
条二
項︶
︑ど
の
クラスの人民政府が所管するかについては明確に規定されていなかった︒今回の改正により︑養親は自ら省クラスの
人民政府民政部門で登記手続を行わなければならないこととなった︵新ニ︱条二項後段︶︒これにともない︑従来要
求されていた中国国内における公証手続は廃止されることとなったが︵新ニ一条二項後段︶︑当事者のすべてあるい
は一方が公証手続を要求した場合には︑国務院司法行政部門が認定した渉外公証手続を行う資格を具備する公証機関
︵新
ニ一
条三
項︶
︒
また渉外養子の成立については︑旧養子法では公証の日をもって渉外養子縁組の成立日としていた︵旧二0条二項
後段︶︒今回の改正ではこの規定は削除され︑しかも渉外養子の成立時については何ら規定されていない︒しかし︑
渉外養子もまた登記主義を採用しており︵新ニ一条二項後段︶︑しかも国内養子については登記日より養子縁組関係
が成立するとされることから︵新一五条一項後段︶︑渉外養子に関してもまた登記日をもって養子縁組が成立すると
解さ
れる
︒
旧養子法では︑養子縁組に名を借りて児童を誘拐・売却した場合︑嬰児を遺棄した場合で情状が悪質な場合︑実子
を売却した場合で情状が悪質な場合には︑それぞれ﹁全国人民代表大会常務委員会の女性・児童を誘拐売却・拉致し
( 23 )
た犯罪者を厳罰に処することに関する決毎﹂および刑法五八条により刑事責任を追及すると規定されていた︵旧三〇
中華人民共和国養子法の改正
(︱
二三
七︶
動向を注視していく必要があるだろう︒
残 さ れ た 問 題 点
(︱
二三
八︶
条一ー三項︶︒今回の改正では︑具体的根拠法を明記することなく︑すべて﹁法により刑事責任を追及する﹂と規定
するにとどまった︵新一=一条一ー︳︱‑項︶︒この理由については定かではないが︑ひとつには︑このような悪質な児童
の権利•利益侵害行為に対しては、あらゆる法的措置をつうじで厳罰で臨むという意思のあらわれであることは確か
である︒また︑激変する中国社会に対応すべく頻繁に特別法が制定され︑あるいは法改正が行われることから︑これ
( 24 )
らに対応すべく具体的根拠法を明示しないという曖昧な方法を採らざるを得なかったという事情も指摘できよう︒
なお︑旧養子法では明記されていた行政処罰の過料の具体的金額が︑新養子法では明記されなくなった点について
( 2 5 )
は︵新三一条︱!一︱‑項︶︑各地の実施雛法において規定することとされている︒
旧養子法施行以来のおもな問題点に関しては︑さしあたっては今回の養子法改正で解決を見たと評価できよう︒こ
れまで問題点として指摘されながらも︑今回の改正で解決されなかったものとしては︑養子の帰属民族の確定に関す
る問題が挙げられる︒これは︑異なった民族の当事者間で養子縁組が成立した場合︑いかにして養子の帰属民族を確
定するか︑という問題であり︑旧養子法に関する地方性法規ないしは民族自治地方の変通規定においても︑これを規
定するものは見あたらないようである︒そもそも︑旧養子法に関する実施辮法は制定されておらず︑また実施細則あ
るいは地方性法規ないしは民族自治地区の変通規定などもごくわずかに制定されているだけであり︑これらの今後の
五
関法第四八巻第五・六合併号
二六 四
第五条
(三) (二) (一)
中華人民共和国養子法
︵一九九一年︱二月二九日第七期全国人民代表大会常務委員会第二十三回会議採択︑一九九八年十一月四日第九期全
( 26 )
国人民代表大会常務委員会第五回会議の﹁中華人民共和国養子法改正に関する決定﹂にもとづき改正︶
利•利益を保障しなければならず、平等・自由意思の原則に従わなければならず、あわせて社会公徳に背いてはな
第三条
合法的な養子縁組を保護し︑養子縁組の当事者の権利を維持・保護するために︑本法を制定する︒
( 27 )
養子縁組は養子となる未成年者の養育・成長にプラスとならなければならず︑養子および養親の合法的な権
養子縁組は計画出産の法律・法規に背いてはならない︒
養子縁組の成立
以下に列記する満一四歳未満の未成年者を養子とすることができる︒
父母を失くした孤児︒
実父母を探し当てることができない棄てられた嬰児および児童︒
実父母に特別な困難があり扶養する能力がない子ども︒ 第四条
らな
い︒
第二条 第一条
以下に列記する自然人・組織は︑養子を送り出すことができる︒
中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
第二章 第
一 章 総 則
二六 五
(︱
二三
九︶
第九条
がで
きる
︒
第八条 制限をも受けないことができる︒ 第七条
満三
0歳以上であること︒
_―-代以内の輩行を同じくする傍系血族の子どもを養子とする場合、本法第四条第三項•第五条第三項•第九
条および養子が満一四歳未満であるという制限を受けないことができる︒
華僑が三代以内の輩行を同じくする傍系血族の子どもを養子とする場合︑くわえて養親に子どもがいないという
養親はただ一人の子どもを養子とすることができるだけである︒
孤児︑障害児あるいは社会福祉施設が養護する実父母を探し当てることができない棄てられた孤児および児童を
養子とする場合︑養親に子どもがいないことおよび一人しか養子とすることができないという制限を受けないこと
( 28 )
配偶者のいない男性が女性を養子とする場合︑養親と養子との年齢は四0歳以上離れていなければならない︒
個) 曰医学上子どもを養子とすべきではないと認められる疾病に罹患していないこと︒ 口養子を扶養・教育する能力があること︒ 日子どもがいないこと︒ 第六条養親は以下に列挙する条件を同時に備えていなければならない︒ 曰特別な困難があり子どもを扶養する能力がない実父母︒
口 (一)
孤児
の後
見人
︒
社会
福祉
施設
︒
関法第四八巻第五・六合併号
二六
六
︵︱
二四
0)
養子縁組は県クラス以上の人民政府民政部門で登記をしなければならない︒養子縁組関係は登記の日より
成立
する
︒
実父母を探し当てることができない棄てられた嬰児および児童を養子とする場合︑登記手続を行う民政部門は登
中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
第一五条 きないという制限を受けないことができる︒ 第一四条 あるいは探し出すことができない場合︑単独で養子に送り出すことができる︒
配偶者のある者が養子をする場合︑必ず夫婦が共同で行わなければならない︒
未成年者を養子とする場合︑養子となる者の同意を得なければならない︒
第︱二条
第一三条 第十一条 第
一
0条
二六 七
実父母が子どもを養子に送り出す場合︑必ず双方が共同して行わなければならない︒実父母の一方が不明
養子をすることと養子を送り出すことは︑必ず双方の自由意思によらなければならない︒満一0歳以上の
未成年者の父母がともに完全な民事行為能力を備えていない場合︑当該未成年者の後見人はその子どもを
養子として送り出すことはできない︒ただし父母が当該未成年者に対して重大な危害を及ぼす可能性が存在する場
合を
除く
後見人が未成年の孤児を養子として送り出す場合︑必ず扶養義務を有する者の同意を得なければならない︒ ︒
扶養義務を有する者が養子として送り出すことに同意せず︑後見人が後見責任を引き続き履行することを望まない
場合には︑中華人民共和国民法通則の規毎にしたがって後見人を変更しなければならない︒
継父あるいは継母は継子の実父母の同意を経て︑継子を養子とすることができ︑あわせて本法第四条第三
項•第五条第三項•第六条および養子が満一四歳未満でなければならないことおよび一人しか養子とすることはで
︵︱
二四
一︶
︵︱
二四
︱︱
)
養子縁組の当事者は養子縁組の取決めの締結を希望する場合︑養子縁組の取決めを締結することができる︒
養子縁組の当事者のすべてあるいは一方が養子縁組の公証手続を要求する場合︑養子縁組の公証手続を行わなけ
第一六条養子縁組関係が成立した後︑公安部門は国の関係する規定にしたがって養子の戸籍登記手続を行わなけれ
( 30 )
ばな
らな
い︒
第二0条
第ニ一条 孤児あるいは実父母に扶養能力のない子どもは︑実父母の親族・友人が扶養することができる︒配偶者の一方が死亡し︑他方が未成年の子どもを養子として送り出す場合︑死亡した一方の父母は優先的実親・後見人は子どもを養子として送り出したことを理由に計画出産の規定に違反して再度子どもを出産児童の売買あるいは養子縁組に名を借りて児童を売買することを厳禁する︒
外国人は本法にしたがって中華人民共和国において子どもを養子とすることができる︒
外国人が中華人民共和国において子どもを養子とする場合︑その所在国の主管機関における当該国法にしたがっ
た審査および承認を経なければならない︒養親となる者はその所在国の権限ある機関が発行した養親となる者に関
する年齢・婚姻・職業・財産・健康・過去に刑事処罰を受けたことがあるか否かなどの状況を証明する資料を提出 することはできない︒ 第一九条 に扶養する権利を有する︒ 第一八条 扶養者と被扶養者の関係には養親子関係を適用しない︒ 第一七条 ればならない︒ 記前にあらかじめ公告しなければならない︒
関法第四八巻第五・六合併号
二六 八
第二五条
養子縁組行為が人民法院に無効であると確認された場合︑行為開始の時より法律上の効力を有しない︒
中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
でき
る︒
しなければならず︑当該証明資料はその所在国の外交機関あるいは外交機関が授権した機関の認証を経ていなけれ
ばならず︑あわせて中華人民共和国の当該国駐在公館の認証を経なければならない︒当該養親となる者は実親・後
見人と書面による取決めを締結しなければならず︑自ら省クラスの人民政府民政部門に赴いて登記をしなければな
養子縁組の当事者のすべてあるいは一方が養子縁組の公証手続を要求する場合︑国務院司法行政部門が認定した
渉外公証手続を行う資格を具備する公証機関で養子縁組の公証手続を行わなければならない︒
第二二条養親︑実親・後見人が養子縁組の秘密を守るよう要求する場合︑その他の者はその意思を尊重しなければ
( 31 )
ならず︑秘密を漏らしてはならない︒
第二三条
第二四条
らな
い︒
第三章養子縁組の効力
二六 九
養子縁組が成立した日より︑養親と養子の間の権利義務関係には︑法律の親子関係に関する規定を適用す
る︒養子と養親の近親者の間の権利義務関係には︑法律の子どもと父母の近親者の関係に関する規定を適用する︒
養子と実親およびその他の近親者の間の権利義務関係は︑養子縁組の成立により消滅する︒
養子は養父あるいは養母の姓にしたがうことができ︑また当事者が合意すれば︑原姓を変更しないことも
( 3 2 )
中華人民共和国民法通則第五五条および本法の規定に違反する養子縁組行為は法的効力を持たない︒
︵︱
二四
三︶
できない場合︑人民法院に訴訟を提起することができる︒
︵ー
ニ四
四︶
養親は養子が成年に達する前には︑離縁することができないが︑ただし養親︑実親・後見人の双方が離縁
の取決めをした場合は除かれ︑養子が満一0歳以上の場合︑本人の同意を得なければならない︒
養親が扶養義務を履行せず、虐待・遺棄など未成年の養子の合法的な権利•利益を侵害する行為を行った場合、
実親・後見人は養親と養子の間の離縁を要求する権利を有する︒実親・後見人︑養親が離縁の取決めに到ることが
第二七条
取決めに到ることができない場合︑人民法院に訴訟を提起することができる︒
第二八条
第二九条
第三0条 養親と成年の養子の関係が悪化し︑共同生活ができなくなった場合︑離縁の取決めをすることができる︒当事者が離縁の取決めを締結した場合︑民政部門で離縁の登記をしなければならない︒離縁の後︑養子と養親およびその他の近親者の間の権利義務関係はただちに消滅し︑実親およびその他の
近親者との間の権利義務関係は当然に回復するが︑ただし成人の養子と実親およびその他の親族との間の権利義務
関係が回復するか否かについては︑協議のうえ確定することができる︒
離縁の後︑養親の扶養により成人した養子は︑労働能力を欠きかつ生活の糧を欠く養親に対して︑生活費
を給付しなければならない︒養子が成人した後に養子が養親を虐待・遺棄したことにより離縁した場合︑養親は養
子に対し養子縁組期間に支出した生活費および教育費の補償を要求することができる︒
実親が離縁を要求した場合︑養親は実親に対し養子縁組期間に支払った生活費および教育費の適当な補償を要求
第二六条
第 四 章 離 縁
関法第四八巻第五・六合併号
二七
0
本法は一九九二年四月一日より施行する︒ せて全国人民代表大会常務委員会に報告して登録する︒ 第三一条
二七
することができるが︑ただし養親が養子を虐待・遺棄したことにより離縁した場合を除く︒
養子縁組に名を借りて児童を誘拐売却した場合︑法により刑事責任を追及する︒
嬰児を遺棄した場合︑公安部門により過料に処する︒犯罪を構成する場合︑法により刑事責任を追及する︒
実子を売却した場合︑公安部門により不法所得を没収し︑あわせて過料に処する︒犯罪を構成する場合︑法によ
( 33 )
り刑事責任を追及する︒
第三三条
第三四条 民族自治地方の人民代表大会およびその常務委員会は本法の原則にもとづき︑現地の事情を加味して︑変第三二条
( 34 )
通ないし補充的規定を制定することができる︒自治区の規定は︑全国人民代表大会常務委員会に報告して登録する︒
自治州・自治県の規定は︑省あるいは自治区人民代表大会常務委員会に報告して批准された後に効力を生じ︑あわ
国務院は本法にもとづいて実施雛法を制定することができる︒
(1
)
第九期全国人民代表大会常務委員会第四回会議における︑多吉才譲・国務院民政部部長の草案説明︒一九九八年八月二五
日付
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日報
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〇
(2)修正草案の概要については、人民日報HP•前掲(1)参照。
(3
)
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理由
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らか
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子法
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中華
人民
共和
国養
子法
の改
正
第 五 章 法 的 責 任
︵︱
二四
五︶
関 法 第 四 八 巻 第 五
・ 六 合 併 号
二七
︱︱
内容上も多くの新しい規定を盛り込んでいたことから︑慎重に審議が進められたためと思われる︒
(4
)
﹁人大常委会分組審議収養法︵在九届全国人大常委会第五次会議上︶﹂一九九八年一0月二九日付人民日報HP^hg
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0
(5
)
本稿作成にあたり︑鈴木賢教授︵北海道大学︶より御教示を得た︒ここに記して謝意を表したい︒
(6
)
養子縁組の当事者要件については︑河山肖水著/鈴木賢・宇田川幸則共訳﹃中国養子法概説﹄︵敬文堂︑一九九八年︶三
五頁以下︵以下﹃概説﹄︶︑木間正道・高見澤磨・鈴木賢﹃現代中国法入門J(有斐閣︑一九九八年︶二四一頁以下︵以下
﹃入
門﹂
︶参
照︒
(7
)
旧法では養親の年齢要件を満三五歳以上ときわめて高く設定したことから︑婚姻適齢︵婚姻法上は男子満二十二歳︑女子
満二十歳︒ただし︑晩婚政策により︑実際上はこれより高い年齢でないと︑婚姻登記が拒まれる場合がある︶とも関連して︑
場合によっては結婚後一0数年もの間︑子どものいない夫婦は養子をとることができず︑その結果︑大量の事実上の養子縁
組が生じた︒たとえば︑北京市の一九九七年の市民の事実上の養子縁組に対する実態調査によれば︑養親の双方もしくは一
方が満三五歳に達していないものが全体の六二%にも達していたという︒このような事実にもとづいて︑修正草案では︑養
親の年齢要件の下限を満三0歳まで引き下げるとともに︑婚姻後生殖能力がないとはっきりと診断された者については︑満
三0歳との制限すら受けないこととされたという︒一九九八年︱一月三日付人民日報︵国内版︶参照︒
(8
)
﹃概説﹄四一ー四二頁︒
(9
)
﹁放寛収養条件完善収養程序﹂一九九八年一
0
月二八日付人民日報
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0
( 1 0 )
今回の養子法改正の審議段階においても常に計画出産との関係が念頭におかれ︑養子縁組の要件緩和と計画出産政策との
間でいかにしてバランスをとるかに苦慮していた様子がうかがえる︒たとえば︑姜春雲・全国人民代表大会常務委員会副委
員長は︑養子法修正草案の養子縁組の要件を適度に緩和する点について非常に必要であるとしながらも︑計画出産に負の側
面をもたらす可能性を防止しなければならないとし︑また章継松・同委員は﹁計画出産政策に違反して超過出産した場合︑養子として送り出すことはできない」との規定を盛り込むべきだと主張した。人民日報HP•前掲註(4)参照。また、棄て
られた嬰児を養子とすることをさらに一歩進んで緩和した場合︑計画出産に負の側面の影響を与える可能性があるとして︑
︵︱
二四
六︶
中華人民共和国養子法の改正 新養子法八条二項から﹁社会福祉施設が養護する﹂との文言を削除すべきだという意見が否決されている︒人民日報
HP.
前掲註
(9
)参
照︒
( 1 1 )
計画出産違反行為の具体例として︑﹃概説﹄六八頁以下参照︒また︑養子縁組と計画出産との関係における具体的な問題
については︑同書九三頁以下参照︒
( 1 2 )
﹁代﹂は親等とは異なり︑本人を起点とした世代︵ジェネレーション︶数をいう︒くわしくは﹃概説﹄四七頁の﹁三代以 内の同輩の傍系血族の表﹂を参照されたい︒また︑﹁輩行﹂とは血族間の世代の位取りを指す︒ここでいう三代以内の輩行
を同じくする傍系血族とは︑兄弟姉妹およびいとこを指す︒
3 ) ( 1
今回の改正で﹁年齢が満三五歳以上で子どものいない市民が﹂との部分が削除された理由およびその効果について︑草案
説明等では明らかにされていない︒
( 1 4 )
なお︑旧養子法以来︑華僑が一二代以内の輩行を同じくする傍系血族の子どもを養子とする場合には︑ひとりっ子要件は適 用されない︒新旧とも七条二項参照︒これは︑華僑の居住国には中国のような計画出産政策が存在しないことをも考慮した 結果であるという︒﹃概説﹄五二頁参照︒ちなみに︑﹁華僑﹂とは︑海外に長期にわたり僑居する中国国籍を有する人を指し︑
すでに中国国籍を喪失し︑現地の国籍を取得した中国系の人︵華人︶とは区別される︒同書︱二七頁参照︒
( 1 5 )
社会保障制度の改革をめぐる動向については︑鈴木賢﹁脱社会主義下の社会保障中国﹂比較法研究五八号(‑九九六
年︶一五0
頁以下︑﹃入門﹄二六一頁以下参照︒
( 1 6 )
﹃概 説﹄ 一四 四ー 一四 五頁
︒
( 1 7 )
養子縁組の手続については︑﹃入門﹄二四二頁参照︒
( 1 8 )
学説の整理として︑﹃概説﹄六一頁以下参照︒
( 1 9 )
旧養子法において︑養子縁組の登記手続をどのレヴェルの地方人民政府で行うかについては︑規定されていなかったが︑
一九九二年四月一日公布・施行の民政部﹁中国公民雛理収養登記的若干問題﹂︵なお︑一九九六年五月二七日付で一部改正︶
三条一項前段では︑県クラス以上の人民政府の民政部門が養子縁組の登記手続を行う機関であると規定されている︒今回の 改正は︑このような実務上の実態をも吸収して︑養子法における手続の統一化をはかっていると評価できよう︒
( 2 0 )
現行養子法に関する実施雛法は︑一九九三年十一月一0日の﹁外国人在中華人民共和国収養子女実施雛法﹂が存在するだ
二七 三
︵︱
二四
七︶
けで︑養子法そのものの実施辮法はいまだ制定されていない︒
( 2 1 )
﹃概 説﹄ 八一 頁以 下参 照︒ ( 2 2 )
なお︑現行刑法二四
O ・
ニ四一条に同旨の規定がある︒
( 2 3 )
遺棄罪に関する︑一九七九年の旧刑法の規定︒一九九七年の現行刑法では二六一条︒
( 2 4 )
刑事責任を追及するにあたり︑具体的根拠法は明示されないまでも︑まがりなりにも﹁法により﹂処罰すると規定されて
いることから︑罪刑法定主義に反することにはならないと考えられる︒しかし︑このような規定は︑いわゆる白地刑法と化
するおそれはたぶんにあると言えようか︒(25)人民日報HP•前掲註(4)。
( 2 6 )
なお︑旧養子法の全文邦訳については︑﹃概説﹄︱二九頁以下参照︒
( 2 7 )
中国における成人年齢は満一八歳である︒民法通則十一条︒
( 2 8 )
配偶者のいない女性が男性を養子とする場合の︑年齢差に関する制限は存在しない︒
( 2 9 )
民法通則一六条
未成年者の父母は未成年者の後見人となる︒
未成年者の父母がすでに死亡しあるいは後見能力のない場合には︑以下に列記する者のなかで後見能力を有する者が後見
人の任にあたる︒
日祖父母︑外祖父母︒
口兄︑姉︒
曰関係が密接なその他の家族・友人で後見責任を引受けることを希望し︑未成年者の父・母の所属する単位あるいは未成年
者の住所地の居民委員会・村民委員会の同意を経た者︒
後見人の担任について争いがある場合には︑未成年者の父・母の所属する単位あるいは未成年者の住所地の居民委員会・
村民委員会が近親者のなかから指定する︒指定に対し不服として訴訟が提起された場合には︑人民法院が裁決する︒第一項•第二項に規定する後見人が存在しない場合には、未成年者の父・母の所属する単位あるいは未成年者の住所地の
居民委員会・村民委員会あるいは民政部門が後見人を担任する︒ 関法第四八巻第五・六合併号
二七 四
︵︳
︱‑
四八
︶
中華人民共和国養子法の改正
二七 五
( 3 0 )
中国においては︑戸籍︹戸口︺は公安部門によって管理される︒戸口登記条例三条︒養子縁組に関する規定としては︑同
法七条二項︑一八条一号・ニ号︑一九条が挙げられる︒
( 3 1 )
養子縁組の秘密を漏らした場合の法的責任については︑本法では規定されていない︒プライヴァシー侵害行為に対しては
民法通則︱二0条が適用され︑被害者は加害者に対して侵害の停止・影響の除去・謝罪および損失︵精神損害︶の賠償を要
求することができる︒拙稿﹁中国における精神損害に対する金銭賠償をめぐる法と実務﹂(︱‑︶北大法学論集四七巻五号一
五八六頁以下参照︒
( 3 2 )
民法通則第五五条
民事法律行為は以下に列挙する条件を具備していなければならない︒H行為者は相応の民事行為能力を備えていること︒
口意思表示が真実のものであること︒
曰法律あるいは社会の公共利益に反していないこと︒
( 3 3 )
児童の誘拐・売却に関する刑罰規定として︑刑法二四0・ニ四一条が︑また遺棄罪に関しては︑刑法二六一条が︑それぞ
れ挙 げら れる
︒
刑法二四0条
女性・児童を誘拐売却した場合︑五年以上一0年以下の有期懲役に処し︑あわせて罰金を科す︒以下に列挙する状況の一
に該当する場合︑一0年以上の有期懲役あるいは無期懲役に処し︑あわせて罰金を科すかあるいは財産没収に処する︒情状
が著しく悪質な場合には死刑に処し︑あわせて財産を没収する︒
日女性・児童を誘拐売却する集団の首魁である場合︒
口女性・児童を三人以上誘拐売却した場合︒
中略
国売却することを目的として︑暴カ・脅迫あるいは麻酔等の方法を使用して女性・児童を拉致した場合︒
因売却することを目的として︑嬰児・幼児を盗んだ場合︒
伯誘拐売買された女性・児童あるいはその親族に重傷を負わせたり︑死亡させたりあるいはその他の重大な結果を惹起した
︵︱
二四
九︶