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カリフォルニアの地震危機管理システム : 現地調 査の概要報告

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(1)

カリフォルニアの地震危機管理システム : 現地調 査の概要報告

その他のタイトル Earthquake Emergency Management Systems in California

著者 山川 雄巳

雑誌名 關西大學法學論集

巻 46

号 4‑6

ページ 1269‑1311

発行年 1997‑02‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00024546

(2)

山 川

カリフォルニアの地震危機管理システム

̲l

現地調査の概要報告ー

│l

(3)

目 次 一 調 査 の 計 画 と 準 備 二 現 地 調 査 の 日 程 三 調 査 を 終 え て

1

予防医学的措置としての建築安全性検査とレトロフィット

危機と危機管理の三段階

危機管理システムをめぐるH米両国の違い3 

(4)

がって︑同行したのは四人である︒ 私は︑関西大学重点領域研究﹁阪神・淡路大震災と危機管理﹂研究班(‑九九五年度︶の諸氏とともに︑ 年の九月一八日から二六日にかけて︑ロサンゼルス︑パサデナ︑ノースリッジ︑サクラメント︑サンフランシスコな どを訪れ︑カリフォルニア州における地震危機管理システムの現状を現地調査した︒

本稿は︑その調査について概要報告しようとするものである︒詳細報告は収集資料等にもとづいて︑班員各自に

研究班代表者 雄巳︵関西大学法学部教授︑政治学︶

敏雄︵関西大学法学部教授︑行政法学︶

稔︵関西大学工学部教授︑建築工学︶

五六九

ただし︑依田博教授は︑他の外国出張用務が生じたため︑研究班のアメリカ出張調査には参加できなかった︒した 調査日程が過密気味であったこともあって︑班員諸氏にはいろいろご苦労をおかけしたが︑予想以上の大きな収穫 があった。これもひとえに、カリフォルニア州知事室緊急事態サービス部をはじめとするアメリカ側の諸機関•関係 者各位の︑私たちの調査に対する御協力によるものと︑深く感謝している︒

本調査研究は︑関西大学の新しい試みである重点領域研究助成制度による財政的支援によって可能となったもので

カ リ

フ ォ

ル ニ

ア の

地 霙

危 機

管 理

シ ス

テ ム

依田博︵神戸大学国際文化学部教授︑政治学・地方自治論︶ 山

田 高木修︵関西大学社会学部教授︑社会心理学︶ 池田 山川 研究班のメンバーは次のとおりである︒ よって逐次発表されることになっている︒

( ︱

二 七

一 ︶

一 九

九 六

(5)

あり︑研究助成課の皆様に事務処理などで種々お世話になった︒厚くお礼申し上げる︒

申請予算が削られたこともあって︑調査日程が圧縮され︑費用を一部自己負担する必要もあったが︑調査の労にた

えて協力していただいた班員諸氏にも︑あらためて感謝の意を表しておきたい︒

調 査 の 計 画 と 準 備

アメリカのシステムを調査したいと考えていたからである︒

式 に

は 九

六 年

九 月

一 ︱

1 0

日をもって研究班としての活動を終了したのであるが︑当初からアメリカでの現地調査を予定

していた︒それは︑阪神・淡路大震災に際して露呈した日本の危機管理システムの欠陥を改善する参考として︑ぜひ

このため︑われわれは︑阪神・淡路大震災についての調査研究を行ないつつ︑平行的にアメリカの地震危機管理シ

ステムについての資料収集と分析を進め︑九六年四月ごろから︑調査先の選定や調査計画の具体化も進めてきた︒

その際︑私たちの調査に先だって行われた現地調査によってもたらされた情報を参考にしたが︑そのなかで大阪府

による現地調査の情報︑および本になったものとしては︑東京都の﹃一九九四年ノースリッジ地震東京都調査団報告

書﹄(‑九九四年︶︑小川和久﹃ロサンゼルス危機管理マニュアル﹄︵集英社︑

調査先の組織構成︑活動状況︑面接対象者の絞り込みなどに関係する一般的なバックグラウンド情報の収集のため

に︑インターネットをも使ったが︑非常に有益であった︒おそらく︑インターネット情報を利用することができなけ

れば︑質問表にしても突っ込みの浅いものものになっていたであろうし︑調査の効率もはるかに低くなっていたであ われわれの研究班は一九九五年一

0

月一日に発足したが︑ 関法第四六巻第四・五・六号

一九九五年︶がよい参考となった︒ 一年間を限度とする研究プロジェクトであったため︑公

五七〇

(6)

カ リ

フ ォ

ル ニ

ア の

地 震

危 機

管 理

シ ス

テ ム

1 ノースリッジ

J

のようにして次のような調査対象を選定した︒

調査先については︑日本ではアメリカの危機管理システムというと︑すぐ連邦レベルの

FEMA

のことが連想され

る傾向があるが︑

FEMA

はどちらかといえば︑災害を受けたあとの復興事業の支援にウエイトを置く機関であり︑

災害に即時対応するための組織としては二次的とみられること︑さらに日本ではすでに

FEMA

に関する紹介がかな

りあることから︑今回のわれわれの出張調査では省略することとし︑州レベルおよび市レベルの危機管理システム︑

および地震研究のセンターとしての大学に焦点を絞って調査を実施することにした︒結果からみて︑これは適切な措

置であったと思われる︒

アメリカの地震危機管理システムはノースリッジ地震から多くの教訓を得ている︒このため︑やはり現地を見なけ

ればならないと考えた︒その際︑地震によって甚大な被害を受けたカリフォルニア州立大学ノースリッジ校を訪れる

ことにした︒同校を視察することは日本の大学の地震危機管理にとっても参考になるだろうと考えたのである︒また︑

ノースリッジに居住する日系人の家庭を訪問して︑震災に関するヒャリングを実施することとした︒

ロサンゼルス市庁とサンフランシスコ市庁

両市の危機管理機構関係者に面接し︑市レベルでの地震への対処の状況や危機管理システムの改善の努力について

話を聞き︑資料を収集する︒また︑阪神・淡路大震災と日本の危機管理システムについての市関係者の認識を確かめ︑ ろ

う ︒

(

(7)

心をそそった︒ スタンフォード大学ブルーム耐震工学研究センター

m

カリフォルニア工科大学 4 大 学

象は︑カリフォルニア州知事室緊急事態サービス部とした︒ 3 カリフォルニア州庁

(

ただし︑私たちの研究班は︑地震災害に対する対応のコンセプトを広くとり︑都市計画︑建築の安全性まで含めて

考える必要性を認めているため︑狭義の危機管理システムだけでなく︑都市計画局︑建築安全局をも調査対象とする

ことにした︒ロサンゼルス市とサンフランシスコ市はそれぞれが危機管理や建築安全規制に関する似たような組織を

持っているが︑時間の制約があるため︑重複的な調査はできるだけ避けることにした︒

カリフォルニア州レベルの危機管理体制︑市および国その他との連携体制などについて調査する︒調査の主たる対

この大学の地震研究所は CUBE システムの本拠である︒同研究所および同大学の土木工学科を訪問して︑

カの地震研究の現状、地震情報の伝達•利用システムについて調査する。

2  地震災害に対する工学的対策研究の現状を視察する︒スタンフォードでは︑阪神・淡路大簾災の社会経済的影響に

ついての研究を含む

CU RE e/ Ka ji ma P r o j e c t   on o   S

ci

o  , E

co no mi c  E f f e c t s   o f   Earthquakes

が推進されていることも関 助言を求めることにした︒

関法第四六巻第四・五・六号

アメリ

(8)

カリフォルニアの地震危機管理システム

以上のように調査対象を設定したうえで︑現地機関等と連絡・交渉を進めたところ︑すべての連絡先から好意的な

返事を得て面接調査が可能となったのは︑嬉しいことであった︒阪神・淡路大震災のあと︑

M

A

を訪れる危機管理関係の日本人が多いので︑ ロサンゼルス市庁や

F E

アメリカ側に嫌がられる傾向が生まれているというようなことを耳

にしていたが︑そのようなことはわれわれに関するかぎり全くなかった︒

なお︑原則として訪問先別にそれぞれ質問表を用意し︑あらかじめファックスで送信しておくことにした︒これは︑

相手側が準備を整えておくうえで︑またその場でのコミュニケーションを的確にし︑さらに時間を節約するうえでも

役立った︒記録のために︑ビデオレコーダー︑

大震災へのアメリカ側の関心は強く︑ テープレコーダーを使用することにした︒

こちらからは︑阪神・淡路大震災関係のビデオテープなどを持参したが︑話題が阪神・淡路大震災に及んでも︑持

参したテープを上映するような時間的余裕はなく︑結局︑進呈するにとどまることが多かった︒ただし︑阪神・淡路

サンフランシスコ市公共事業局のコーンフィールド氏や都市計画局のバウマン

さんのように︑震災当時︑大阪に滞在しており︑震災直後の神戸を訪れたことがある人もいた︒また︑ロサンゼルス

市消防局のアーリックさんのように︑近いうちに兵庫県での研修プログラムに参加することになっていると語った職

員もいて︑地震問題をめぐる日米自治体間の交流が進んでいるという印象をもった︒

調査対象機関には︑当然︑協力を依頼する手紙を︑研究班代表者である私から出し︑あとファックスで連絡・交渉

を進めたが︑以下に掲げるのは︑私が使用した典型的な訪問調査の趣旨説明文である︒参考までに掲げておく︒

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(9)

巨坦嫁回1く瑯撚回・ftj‑j,ajt> ばや国(1 1や~()

gave grave damages to the people, houses. buildings, highways, and so‑called life‑lines of the area. One of 

many regrettful things was the damages caused by fire. In spite of desperate efforts of many firemen, fire storms 

did not cease for days. 

Our Kansai University in Suita City, about 40 miles away from Kobe, also suffered building damage of some 

one million dollars. And some of University people died under their houses in Kobe area. 

Hitherto, Japan is called the most advanced country in seismological research and engineering. And it is said 

in Japan that the system of management for earthquake disaster is relatively well organized legally. 

But, it was just myth. The South Hyogo Earthquake crashed it. And it seems the myth of Japan's con‑

tinuous economic growth was also crashed down. 

After the days of nightmare, one good thing was left. It is the unexpected emergence of numerous volunteer 

groups. In Japan, 1995 is called the original year of volunteer activity. 

In short, the Earthquake taught us that the Japanese system of crisis management is so weak and fragile. So, 

we have to improve it in every field, such as building and safety, urban plannning, firefighting, volunteer organi‑

zaton, earthquake prediction, leadership in crisis, crisis management legislation, etc. 

Thus, our reseach group is in search for better system of earthquakedamage mitigation. If you could teach 

us anything to do for the improvement, we would be surely very much obliged to you. 

溢臣露点如曲ば汗<~tOAJ回掬....)\-''V'~,i-! 縣匡以送tt'~即兵瞑匡砥如痢1‑(a>JAJ....),i‑!茶’終全以~-R終ミ幽似以.,Q,i-!

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(10)

Q 8  

Q 7  

B  Q

6  

Q 5  

Q 4  

Q 3  

Q 2  

Q 1

カリフォルニアの地震危機管理システム は正しいでしょうか?

 

ここにはロサンゼルス市の作戦本部のような場所があるのでしょうか?

OES

の組織や歴史を説明したブロシェーはあるでしょうか?

災害対策基本計画とオペレーション・マニュアルについて

OES

は州の災害対策基本計画の作成においても重要な役割をはたしていると理解していますが︑その理解

私は現在の基本計画を読みましたが︑現在の計画の作成された日付は一九八九年になっています︒

リッジ地震があったのは一九九四年です︒改訂作業が当然進んでいると考えていますが︑これは正しいでしょ 活動するのでしょうか?

知事は緊急事態が発生したとき︑どこで指揮監督するのでしょうか? スタッフ機能をもつにとどまるのでしょうか?

キャピトル・ヒルーからここへ来て かにも︑この問題に関係する組織がありますか?あるとすればそれはどのような組織でしょうか?

A

以下に掲げるのは︑カリフォルニア州知事室緊急事態サービス部

( O E s )

宛の質問表である

はここでは通し番号にした︒また一部配列を変更した︶︒

知事室緊急事態サービス室

( O E s )

は︑州レベルのもっとも重要な緊急事態対応組織だと思いますが︑ほ

州レベルでは︑どれほどの数の人が緊急事態対応活動に従事しているのでしょうか?

OES

は州で発生した緊急事態について直接指揮したり調整したりする権限をもっていますか?

(

ノース

それとも

︵原文は英文︒質問

(11)

Q 1

5  

基本計画ではボランティア活動はどのように位置づけられているのでしょうか? 使っていますか?

Q 1

4  

基本計画の作成︑さらに緊急事態への対応に︑ るという前提に立っていますか?

Q 1

3  

カリフォルニア州は︑基本計画を作成するに際して︑地震研究者ないし研究センターの地震予知が信頼でき

Q 1

2  

Q 1

1  

Q 1

0  

Q 9

9

 

. 

でしょうか?

(

もし︑私の考えが正しいとすれば︑どのような点について改訂されたか︑または改訂されようとしているか︑

その主要な点について説明していただけないでしょうか?

基本計画とともにオペレーション・マニュアルの改訂も考えておられるのではないかと思いますが︑いかが

アメリカでは違うかもしれませんが︑日本では基本計画についての公務員の評価はかならずしも高くありま

せん︒阪神・淡路大震災のあと兵庫県で実施された自治体職員を対象とする調査は︑そのことを実証していま

す︒﹁役に立った﹂としての答えたのは職員全体の三分の一程度にすぎなかったのです︒基本計画に対する公

務員たちの信頼と評価を高めるためにはどうしたらよいのか︑示唆していただけないでしょうか?

日本政府は阪神・淡路大震災のあと︑国の基本計画を改訂しましたが︑改訂された計画においても︑地方公

共団体の基本計画への言及は抽象的であいまいなままです︒アメリカ連邦政府は︑基本計画を作成しています

カリフォルニア州の基本計画は連邦の計画とどのようなつながりをもっていますか? うか? 関法第四六巻第四・五・六号

カリフォルニア州はどのようにコンビュータ・システムを

五 七

(12)

Q 2

6  

Q 2

4  

カリフォルニアの地震危機管理システム

FEMA

から財政支援を受けましたか?州はノースリッジ地震に際して ノースリッジ地震に際して州はどれほどの特別のお金を支出しましたか? カリフォルニア州は︑災害対策のための特別の基金をもっていますか?

州知事は州全体について戒厳の宣言をすることができますか?

Q 2

5  

Q 2

3  

ようなタスクフォースを持っていますか?

Q 2

2  

で︑州の役割がとくに大切だと思われるのはどのような領域でしょうか?

一般職員に対する地震災害に関する特別の訓練ないし研修プログラムを実施していますか?

阪神・淡路大震災で兵庫県や神戸市は災害に対応する初期マンパワーの確保に苦しみました︒サクラメント

日本の自治体は︑災害に対する応急物資の備蓄がほとんどないことを露呈して恥をかきましたが︑州として

は︑たとえば食料・飲料水・毛布といった物資の備蓄をどれほどもっているのが望ましいと考えていますか?

州はアメリカの危機管理システムできわめて重要だと考えますが︑緊急事態での政府間協力のネットワーク

緊急事態において︑州政府の行動を規制している法律としてどのおうなものがありますか?

州は︑緊急事態におちいったカリフォルニア州の市やカウンティ︑それに他の州を助けるための︑常時どの

Q 2

1  

Q 2

0  

D

政府間協力について

Q 1

9  

ではそのような心配はありませんか?

Q 1

8  

Q 1

7

c災害への準備と職員の訓練について

Q 1

6

世論調査は利用なさっていますか?

それを維持するためにどれほどのお金がかかりますか?

(13)

ノースリッジ地震のあと︑グレイター・ロサンゼルスは︑どの程度復旧したと見積もっておられますか?

知事室緊急事態サービス部は︑これらの質問に答えるために︑わざわざスライドまで用意しておいてくれただけで

なく︑その場で派生した質問に対しても︑丁寧な回答を与えてくれたのであった︒

現地調査の日程

私たち一行四人は︑九月一八日︵水曜日︶

ロサンゼルス空港に現地時間で一八日の一

0

時五六分に到着︑入国手続きののち︑

私自身はロサンゼルスには一九七

0

年以来何度か訪れたことがあるが︑

たのが一番最近のことであり︑それからすでに四年経つ︒今回の訪問の第一印象では︑当時と比ぺて︑なんとなく

埃っぽくて︑街にもうひとつ活気がないように感じられた︒

一九日にロサンゼルス市建築安全局でアメリカ側の人々と話したとき︑そのような感想を述べたところ︑九一︑九

二年ごろは景気がよく商業ビルの建築ラッシュもあって︑たしかに活気があったとのことであった︒それに︑やはり

Q 3

0  

Q 2

9  

州としては︑被災者にどのような援助事業をしているのでしょうか?

Q 2

8  

OES

は地震災害からの復興事業となんらかの関係をもっていますか? E 復旧事業について

Q 2

7   関法第四六巻第四・五・六号

一九九二年に国際会議に出席するためにき 緊急事態における州知事のリーダーシップについて︑お話しいただけますか?

0 )

の一七時一五分に︑関西国際空港を発って︑約一

0

時間の飛行ののち︑

レンタカーで宿舎に向かった︒

(14)

カ リ フ ォ ル ニ ア の 地 震 危 機 管 理 シ ス テ ム

調 査 概 要

面接対象者 面

接 場 所

訪 問 時 間 八 時

1 0

分 か

ら 一

0

時三

0

分まで

(1) 

て ︑

ロサンゼルス市庁

どこかにノースリッジ地震の被害の影響も残っているのではないかと私自身は思ったことであった︒

一 種

よく知られているように︑カリフォルニアは気候のよいところである︒私たちの滞在中もずっと晴天に恵まれた︒

しかし︑とくにノースリッジを訪れたあと強く感じるようになったのは︑この明るい美しい土地がサンアンドレアス

大断層によって貫かれ︑その支脈ともいうべき無数の断層が南カリフォルニア全体の地下にひろがっているというこ

とである︒その不安な表層に建物は継え︑人間の生活が営まれている︒今回の訪問の目的からして︑私はカリフォル

ニアの社会を︑そうした地質学的な立体構造において透視せざるをえなかったのであるが︑そのとき同時に︑

常感のようなものも感じたのであった︒

一九日およびそれ以降の調査の日程および調査活動のあらましは次のようであった︒

九月一九日︵木︶

ロサンゼルス市建築安全局

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me rg en cy   Ma na ge me nt   Co o r di n a to r ) . 

第三節で紹介するような質問表をあらかじめ提出しておいた︒日系人であるためか︑ウスイ氏が︑

(

(15)

出 し て い る ︒

調 査 概 要

面接対象者

ノースリッジ地震では消火用水の確保に苦しむこともあったが︑カリフォルニアでは多くの家庭がプールをもって

いるので︑かなり救われたとのことである︒ロサンゼルス市はプールをつくることを奨励しており︑多少の助成金も

消防局は機動的消火のためにヘリコプター七機と飛行艇二機を使用しているが︑飛行艇はカナダの会社からのレン

タルである︵私たちはたまたま一八日にそれが飛んでいるのを目撃した︶︒

いま消防局は災害ボランティアの育成に力を入れ︑訓練プログラムを開発している︒これは市民に好評である︒局

としては︑訓練を受けた人々が直接災害救助に役立ってくれなくても︑災害にどのように対処するかを知っている市

民が増えることが︑人的・物的被害を軽減させる効果があると考えているとのことである︒

面 接 場 所

質問表を提出しておいたが︑

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消防局会議室

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0

号 室

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LA FD ,  D i sa s t er   P

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S e c t i o n ) M,   s.  St

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y 

スライドおよびビデオを準備した上での行届いた説明を受けた︒

訪 問 時 間

10

時四

0

分からご一時四

0

分まで

(2) 

ロサンゼルス市消防局

( F i r De ep ar tm en t)  

概要については第三節を参照されたい︒ とくにゆきとどいた説明をしてくれ︑感謝している︒ただし︑使用言語は英語︒質問への答えの

関法第四六巻第四•五・六号五八〇

( ︱

二 八

二 ︶

(16)

カ リ フ ォ ル ニ ア の 地 震 危 機 管 理 シ ス テ ム でみた第二次大戦中のイギリス首相の地下作戦室を想起した︒ 械で埋めつくされている︒ と︑作戦センターの構成と機能について説明を受けた︒

調 査 概 要

面 接 場 所

訪 問 時 間

二 二

時 三

0

分から一五時一五分まで

(E me rg en cy   Op

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(3) 

ロ サ ン ゼ ル ス 市 緊 急 事 態 対 策 部

(E me rg en cy

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 D i v is i o n)  

面接対象者

な お

市庁地下四階の緊急事態作戦センター

お よ び 緊 急 事 態 作 戦 セ ン タ ー

Mr

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R .   K .  

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Em er ge nc y  P

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s  D i v i s i o n ) .  

あらかじめ質問表を提出しておいた︒その項目内容は前掲の州知事室に提出した質問表に似たも

のであった︒市危機管理機構における管理報告対策部の位置︑役割などについての詳細説明のあ

作戦センターのコンピュータ・ディスプレイには︑カリフォルニアの詳細地図だけでなく︑北米全体︑さらに日本

の地図も出てくるようになっているのが印象的であった︒この部屋はコンピュータと高性能ファックスなどの通信機

緊急事態が発生すれば︑市長はこの部屋で指揮を執ることになる︒その執務コーナーも設けられている︒ロンドン

デイさんの説明のうち︑緊急事態および危機管理関係の術語の統一を進めているという一節があり︑私の注

意をひいた︒危機管理のようなカオス的状況のもとでの活動ではコミュニケーションの確実性が大切である︒確実性

を高めるためには︑関係者によって使用される術語の意味を明確に定義し︑また使用言語を統一することが効果的で

(

(17)

2  調 査 概 要 地 震 災 害 の 軽 減 化 の 方 策 に つ い て の 意 見 交 換 を し た

面接対象者 面

接 場 所

訪 問 時 間

10

時三

0

分から︱二時︑ ︱二時から一三時三

0

分まで

(1) 

ロサンゼルス市庁のすべての訪問先で︑私たちは満足と感謝の念をもって予定の調査を終えることができたが︑そ

れにつけても気がかりだったのは︑カリフォルニア州で最初の高層建築であるロサンゼルス市庁舎が︑

地震の被害で︑

いまだに︑その頂点の塔屋部分に修理工事のための黒い幕を包帯のように巻いたままであることであ

る︒あの包帯がとれなければ︑

九月二

0

ロサンゼルスの傷も癒えたとはいえないのではないか︑と感じた︒

カリフォルニア工科大学土木工学科

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会議室および強震研究室︑ のちファカルティ・クラブ

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最初にイワン教授から日本の危機管理システムの在り方について︑あまりにも中央集権的だという批判があって︑

これについての意見交換のあと︑耐震工学の話となり︑日本の耐震工学の現状について山田教授が説明した︒強震研 究室でビルの地震挙動についてのシミュレーションを見学したのち︑壮麗といってもよいファカルティクラブに案内 され︑昼食をともにしながら歓談した︒このとき︑ホール教授から南カリフォルニアの断層分布とノースリッジ地震

︵ 金 ︶

カリフォルニア工科大学︵パサデナ︶

ある︒ロサンゼルス市などはそれを自覚しているのである︒

関法第四六巻第四・五・六号

(

ノースリッジ

(18)

カリフォルニアの地震危機管理システム

調 査 概 要

Pu bl ic   Sa f e ty ) .  

10

時から︱二時まで

or th ri dg e)  

(1) 

ノースリッジ

調 査 概 要

(2) 

一四時から一五時三0分まで について話を聞いた︒なお︑ハウズナー教授はアメリカにおける耐震工学の最長老ともいうべき方である︒

カリフォルニア工科大学地震研究所

(S ei sm ol og ic al La bo ra to ry

,  CAL 

TE CH )  面接対象者

面接対象者

CUBE 

Sy st em e  C nt er   金森博雄所長

( Di r e ct o r , Jo hn   E.   an d  H az el   S.   Sm it h  P ro fe ss or   of   Geo ph ys ic s) . 

c u B E

システムおよび開発中の新システムについて︑金森所長から詳しい説明を受けた︒地震

研究と地震情報の利用の現状について大いに学ぶところがあった︒

九 月 ニ ︱ 日 ︵ 土 ︶

(D ep t of P   ub li c  S af e t y,   Un iv er si ty o   f  C al i f or n i a,   Mr

.  E dw ar d W .   H ar ri so n  ( Di r e ct o r ,  De pa rt me nt f   o  P ub li c  S af e t y) , M  r.   Hi ne s  (D ep ar tm en t  o f 

ハリソン部長らから地震被害についてのスライドを使用した概況説明を受けたのち︑大学のマイ

クロバスに乗り︑広大なキャンパスの復興状況を視察した︒

五 八︱ ︱

(19)

③オリープ・ビュー医療センター

( Ol i Vv e ie w  M ed ic al   Cente

r)

 

午後私たちは︑高木教授が連絡をとってくれた

Sa nF er na nd o  Val

le

y  B

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dh

is

t  T em pl e 

( 浄

土 真

宗 ︶

の 案

内 で

震災の体験と復興の苦心︑地震保険で助ったことなどについて話を伺った︒両家はいずれもプールのついた立派な邸

多くはカリフォルニア州立大学ノースリッジ校に子弟を学ばせており︑大学の被災に心を痛めたという︒

ノースリッジ地震から二年経っているが︑私たちがノースリッジを視察したところによれば︑

スリッジ地震の被害からかなりよく復興しているとはいえるが︑完全にリカバーしたとは到底いえないと思う︒ 宅であったが

(2) 

カリフォルニア工科大学で会ったホール教授からノースリッジ校の被害がひどかったということは聞いていたが︑

被害は想像を絶するほどであった︒いまは綺麗に整地されて︑廃墟の感じはあまりしないが︑この大学の一

00

以 上

の建築物のうち健全なものとして残ったのはわすかに数棟にすぎなかったという︒化学教室からの出火もあった︒残

された建物のなかにも︑傾き︑亀裂が走っていて︑近く取り壊されるという説明を受けたのが二︑三あった︒

キャンパスの芝生にはリスが走り︑小鳥も鳴いていたが︑大学管理部はいまも仮設建物に入っている︒学生の教室

の再建を優先しているとのことであったが︑その教室もまだ多くの学部が仮設建物のままである︒土曜日のためか学

生の姿は少なかったが︑たまに行き交う学生たちもなんだかうつむき加減で歩いていた︒われわれの大学が直下型の

大型地震に見舞われたらーと思い︑慄然としたことであった︒

日系人家庭訪問

ノースリッジ市街の被災地を訪れ復興状態を見学した︒のち︑さらに︑日系の石川家と小林家を訪問して

︵平屋で敷地面積は三

0

0

坪程度︶︑石川家のほうはまだ修復中であった︒このあたりの日系人家庭の

関法第四六巻第四•五・六号

の多田覚雄師

ロサンゼルスはノー

(20)

5  4 

カ リ フ ォ ル ニ ア の 地 震 危 機 管 理 シ ス テ ム 飛行機でカリフォルニア州都サクラメントヘ移動︒ 石川・小林両家訪問のあと︑私たちはオリープビュー医療センターを訪れた︒この病院は一九七一年のロマプリエ ︿レトロフィット

( re t r of i

t )

﹀という言葉は︑ カリフォルニアではいま非常によく使われている言葉であるが︑

般に建築物の地震に対する耐性ないし強度を強化する措置のことをさしている︒

山田教授によると︑この医療センターのもともとの設計は構造支柱の少ない非常にオープンなものであって︑この

ため地震で大きなダメージを受けた︒このためレトロフィットしたのだが︑いわば反動的に︑空間が狭く仕切られて

圧迫感の強いものになっている︒それだけでなく︑レトロフィットの仕方にいくつか疑問があるとのことであったが︑

詳しくは同教授の報告に譲る︒

なお︑この日︑小林家訪問後︑私たちの車︵レンタカー︶がパンクして修理工場に行かなければならなくなるとい

うハプニングがあった︒土地勘のある多田師がノースリッジを案内してくれていたので︑大いに助かった︒

九月二二日︵日︶

この日が私たちの今回の調査旅行における唯一の休息日であった︒

サクラメントの宿舎に落ち着いたのち︑キャピトル・ヒルを訪れ︑古い知事執務室などを見学した︒あと︑蒸気船︑

蒸気機関車などが保存されているオールド・サクラメントを観光した︒

九月二三日︵月︶ サクラメント タ地震で大被害を受け︑その後レトロフィットされた︒

(21)

訪 問 時 間

10

時三

0

分からニー時

(1) 

6  カリフォルニア州知事室緊急事態サービス部

(G

ov

er

no

r'

O f s f ic e   of   E me rg en cy   Se r v i c e s ) .  

面接対象者

な お

緊急事態サービス部

( O E s )

会議室

Mr .  T ro y  A rm st ro ng   (O ES ), s  M .  J u l i e u  H nt   (O ES ,  P s yc h o lo g i st ) .  

OES

に提出した質問表は︑さきに掲げておいた︒

スライド映写による解説があり︑私たちの質問に対するほとんど完璧な回答がえられた︒

緊急事態対応基本計画の改訂に関する質問は︑重要なものであったが︑今年になって改訂草案が完成し︑

は議会で承認されるはこびになっているとの説明を受けた︒そのドラフトもくれたのであるが︑議会提出前でもあり︑

ロサンゼルス市で話題になった危機管理関係の術語の体系的統一についても︑質問したが︑州の基本計画は︑

そうした観点からも重要な意義をもっていることが確認された︒

説明と質疑のあと︑ここでも︑作戦センターに案内されて︑説明を受けた︒ワシントンの FEMA と直結している

のが印象的であった︒のち︑私たちを部長の車でホテルまで送ってくれた︒

九月二四日︵火︶

日本総領事館︵在サンフランシスコ︶ サンフランシスコおよびパロアルト それを紹介するのはやはり︱二月まで控えるべきであろう︒

調 査 概 要

面 接 場 所

訪 問 時 間

10

時二

0

分からニ一時一

0

分まで

(1) 

関法第四六巻第四・五・六号

マイクロソフト・パワーポイントを使用した

︵ ︱

二 八

八 ︶

︱ 二

月 に

参照

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