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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名

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Academic year: 2021

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(別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名

阿部 公平

審 査 委 員

主 査 野中 資博 ◯ 副 査 佐藤 利夫 ◯ 副 査 緒方 英彦 ◯ 副 査 服部 九二雄 ◯ 副 査 石井 将幸 ◯

題 目

環境保全・資源循環型システムに適合した コンクリートの開発

審査結果の要旨(2,000字以内)

本論文は、コンクリートの再資源化、停滞・閉鎖性水域の富栄養化にともなう水質汚濁の抑制、な らびに枯渇資源であるリンの循環利用を総合的に解決することを目的に、水環境保全・資源循環型シ ステムに適合したリン吸着コンクリートの開発、およびその循環再利用方法の確立を目指した一連の 研究結果をまとめたものである。

第1章では、コンクリートの再資源化方法の現状とその課題、公共用水域における水環境の悪化、

さらにリン資源の枯渇問題と循環利用の必要性について個々に述べた後、リン吸着コンクリートの開 発目的と閉鎖性水域の水環境修復に適合したリン吸着コンクリートおよびリン吸着コンクリートの再 利用・再資源化の方法などそれらを統合する概念・システムについて提案した。

第2章では、そのプロトタイプとして、停滞・閉鎖性水域内における新たな水環境修復技術を確立 するために、浮島型リン吸着コンクリートを試作して野外実験を行い、リン除去効果と実環境下にお ける利用性に関する知見を次のように得た。

1)浮島型リン吸着コンクリートの 1 日当たりのリン除去速度は 41.3mgP・d-1・base-1であった。また、

浮島型リン吸着コンクリートの植栽箇所に植えたミント 15 本のリン除去速度は、273.8mgP・d-1・base-1 であった。以上のことから、浮島型リン吸着コンクリートは停滞・閉鎖性水域においてもリン除去効 果を発揮することが明らかになり、また、有害物質の溶出はほとんど無く、破損なども特に確認され なかったことから実環境下においても利用できることが実証された。

2)浮島型リン吸着コンクリートのリン吸着部分と浮力体部分をユニット化することにより、リン吸 着コンクリートを容易に緑農資材へ再利用できるように防水効果のある起泡剤を用いて浮力体を作製 する構造的改良を行った。その結果、当該起泡剤の標準的な添加量はセメント重量に対して 0.5~2.0%

(2)

であることが示唆された。

第3章では、水環境中で使用したリン吸着コンクリートの循環再利用技術を確立することを目的に、

実河川中に一定期間浸漬したリン吸着コンクリートを用いた実験的検討によって以下の知見を得た。

3)河川に浸漬した供試体のリン吸着と生物除去との関係について検討した結果、リン含有量につい ては浸漬期間に応じた規則性はなかったが付着生物膜量とは相関関係が見られ、特にリン吸着コンク リートにはコントロールと比較して約 2~3 倍の多くの付着生物膜が確認された。

4)浸漬後のリン吸着コンクリートをそのまま植生基盤材として再利用した際にリン吸着コンクリー トが植物に対して生長促進効果を発揮するか検討した結果、生長過程でリン吸着コンクリートに植栽 した植物の乾燥重量はコントロールよりも大きくなり、この傾向はリン吸着コンクリートにゼオライ トを複合化した配合で強くなった。

5)浸漬後のリン吸着コンクリートを破砕処理して緑農資材として再利用した際に植物に対して生長 促進効果を発揮するか検討した結果、植生基盤材と同様にリン吸着コンクリートにゼオライトを複合 化すると施肥効果が高くなった。

以上の結果より、ハイドロタルサイト化合物等をコンクリートに配合してできるリン吸着コンクリ ートは、コンクリートの再資源化、停滞・閉鎖性水域の富栄養化にともなう水質汚濁の抑制および枯 渇資源であるリンの循環利用に資する環境資材に成りうる可能性が示された。また、ハイドロタルサ イト化合物に加え予めゼオライトを配合したリン吸着コンクリートであれば、再利用時に植物の生長 促進効果や施肥効果が高くなり循環利用の効果を向上させることが示された。

真の資源循環型社会を構築するためには、このように材料の開発段階で循環利用方法を予め考慮す ることによって、多目的な利用方法に応じた循環利用技術を構想し確立する必要がある。今後は、リ ン資源に加えて、セメントや骨材などの材料の特性をより考慮し、「多目的」かつ「カスケード型」の 循環利用方法を検討するとともに、コスト面などその実用性についても具体的に検討する必要がある。

総合的に述べれば、ここで示された知見は新たなコンクリートの利用概念であり、その研究内容は 博士(農学)の学位論文に値すると判定する。

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