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博 士 ( 医 学 ) 長 井

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 長 井    桂

     学 位 論 文 題 名

Long ― term smoking with age builds up excessive   oxidative stresslnbronChoalVeolarlaVagenuid      ( 加 齢 と 長 期 喫 煙 に 伴 う 気 管 支 肺 胞 洗 浄 液 中 の      酸 化 ス ト レ ス マ ー カ ー の 上 昇 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【 背 景 】 肺 は 常 に 外 気 と 接 触 し て お り 、 外 来 物 質 に 対 す る 防 御 機 構 が 発 達 し た 臓 器 で あ る 。 特 に 肺 胞 上 皮 細 胞 を 覆 う 肺 胞 被 覆 液 は 、 喫 煙 を は じ め と す る 有 害 物 質 の 解 毒 や 消 去 を 担 う 最 初 の 場 で あ り 、 多 く の 抗 酸 化 物 質 が 含 ま れ て い る 。 そ れ ゆ え に 肺 胞 被 覆 液 は 上 皮 細 胞 の 機 能 維 持 、 さ ら に は 生 体 防 御 機 構 に お い て 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 。 中 高 年 喫 煙 者 に 多 く み ら れ る 肺 気 腫 は 、 加 齢 あ る い は 慢 性 喫 煙 に よ る 過 剰 な 酸 化 ス ト レ ス と 生 体 の 抗 酸 化 機 構 の 不 均 衡 が 疾 患 の 発 症 に 関 与 す る と い う 仮 説 が あ る 。 蛋 白 の カ ル ボ ニ ル 化 は 、 酸 化 ス ト レ ス の 指 標 と し て 知 ら れ て い る が 、 肺 胞 被 覆 液 中 に お い て カ ル ボ ニ ル 化 修 飾 を 受 け る 蛋 白 の 同 定 や そ の 疾 患 特 異 性 に つ い て は 明 ら か に さ れ て い な い 。 ― 方 、 グ ル タ チ オ ン は 肺 に お け る 主 要 な ア ン チ オ キ シ ダ ン ト の ひ と つ で あ り 、 健 常 喫 煙 者 で は 、 肺 内 の グ ル タ チ オ ン 産 生 が 増 加 す る が 、 そ の95% 以 上 が 抗 酸 化 能 を 有 す る 還 元 型 と し て 存 在 す る と 報 告 さ れ て い る 。 し か し 、 加 齢 と 喫 煙 が 肺 胞 被 覆 液 中 の 酸 化 ・ 還 元 に 関 与 す る 分 子 に 対 し そ れ ぞ れ ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し て い る の か を 厳 密 に 検 討 し た 研 究 は な い 。 気 管 支 肺 胞 洗 浄(Bronchoalveolar lavageBAL) は 、 生 体 の 肺 胞 被 覆 液 を 採 取 す る 唯 ― の 手 段 で あ り 、 そ の 上 清 は 、 肺 胞 被 覆 液 中 に 存 在 す る 蛋 白 を 反 映 す る 。

【 目 的 】BAL液 中 の カ ル ボ ニ ル 蛋 白 、 お よ び グ ル タ チ オ ン 量 と そ の 酸 化 ・ 還 元 様 式 を 、 若 年 ・ 老 年 の 喫 煙 者 ・ 非 喫 煙 者 間 で 比 較 す る こ と に よ っ て 加 齢 と 喫 煙 の 影 響 を 個 別 に 評 価 し 、 両 者 の 相 互 作 用 で あ る 経 年 喫 煙 の 影 響 に つ い て 検 討 す る 。 さ ら に 、 中 高 年 者 の 中 で 、 軽 度 あ る い は 早 期 肺 気 腫 患 者 と 、 健 常 喫 煙 者 間 の 比 較 を 行 う 。

【 方 法 】 健 常 若 年 男 性 ボ ラ ン テ ィ ア39名 ( 平 均 年 齢23歳 : 非 喫 煙 者 群16名 、 喫 煙 者 群23名 ) と 無 症 状 中 高 年 ボ ラ ン テ ィ ア70名 ( 平 均 年 齢58歳 : 非 喫 煙 者 群7名 、 過 去 喫 煙 者17名 、 現 在 喫 煙 者46名 ) の 計109名 を 対 象 にBALを 施 行 し た 。 喫 煙 者 に つ い て は 、 少 な く と も2年 以 上 ― 日20 本 以 上 の 喫 煙 歴 を 持 つ こ と を 条 件 と し た 。 全 員 に 問 診 、 診 察 、 血 液 検 査 、 呼 吸 機 能 検 査 を 施 行 し た 。 中 高 年 喫 煙 者 は 肺 高 分 解 能CTで 気 腫 病 変 の 有 無 を 呼 吸 器 科 内 科 医3名 で 判 定 し た 。 急 性 喫 煙 の 効 果 を 除 く た め 喫 煙 者 はBAL施 行 前12時 間 の 禁 煙 を 行 い 、 全 例 呼 気 一 酸 化 炭 素 濃 度 を 測 定 し た 。BAL50 ccの 生 理 的 食 塩 水 で4回 繰 り 返 し 洗 浄 し 、 初 回 の 回 収 液 を 別 に し て24 回 目 の 回 収 液 の み を 検 体 と し て 用 い る 方 法(sequentialB AL法 ) を 用 い た 。 そ れ ぞ れ の 成 分 か ら 遠 沈 に よ り 細 胞 成 分 を 分 離 し 、 総 細 胞 数 、 分 画 を 算 出 し 、 液 性 成 分 を‑70°Cに て 保 存 し た 。 液 体 成 分 に つ い て は 、OxyBlotP roteinoxidation  Detection  KitChemicon  Internatio nalCAUSA) を 用い 、 dinitrophenylhydrazine (DNP) に よ っ て 処 理 レ た 後 、SDSPAGEを 行 い 抗DNP抗 体 で 免 疫 染 色 し た 。 各 バ ン ド の 強 さ をNIH Image softwareを 用 い て 定 量 化 し た 。BAL液 中 の 総 グ ル タ チ オ ン 量 、 お よ び 酸 化 型 グ ル タ チ オ ン 量(GSSG) はGlutathione assay kit (Cayman Chemicals co.,M| ) を 用 い て 測 定

137

(2)

し た 。 統 計 学 的 処 理 に つ い て は 、 若 年 者2群 間 の 比 較 に は 対 応 の な いStudent st‑testを 、 中 高 年 者3群 間 の 比 較 に は ANOVAを 行 いpost hoc testと し てGames‑Howeli法 を 用 い た 。

【 結 果 】 中 高 年 喫 煙 者 で は 若 年 喫 煙 者 と 比 較 し て 累 積 喫 煙 量 を 示 すPackyearは 当 然 多 い が 、 一 日 平 均 の 吸 入 本 数 に つ い て は 有 意 差 を 認 め な か っ た 。BAL液 中 の 細 胞 分 画 は 若 年 ・ 中 高 年 と も 非 喫 煙 者 に 比 ベ 現 在 喫 煙 者 の 総 細 胞 数 お よ び マ ク ロ フ ァ ― ジ 数 が 増 加 し て い た 。BAL液 中 の 主 要 な カ ル ボ ニ ル 蛋 白 は68kDの 蛋 白 で あ り 、 若 年 者 は 喫 煙 の 有 無 に 関 わ ら ず ほ ぼ 全 員 が68kDの 単 一 バ ン ド で あ っ た が 、 中 高 年 者 で は 複 数 の カ ル ボ ニ ル 蛋 白 の バ ン ド が み ら れ た 。68kDの カ ル ボ ニ ル 化 蛋 白 は ア ル ブ ミ ン と 推 測 さ れ 、 そ の バ ン ド の 強 度 を 個 々 のBAL液 中 の ア ル プ ミ ン 濃 度 で 補 正 し 、 ア ル ブ ミ ン の カ ル ポ ニ ル 化 さ れ て い る 割 合 を 求 め た 。

  若 年 喫 煙 者 で は 非 喫 煙 者 と 比 ベ 、BAL液 中 総 グ ル タ チ オ ン 量 の 有 意 な 増 加 を 認 め た が (3110.4 vs. 1.170.334g/fnL [p .006l)、 総 カ ル ボ ニ ル 蛋 白 量 、 カ ル ボ ニ ル 化 ア ル ブ ミ ンIに は 差 異 を 認 め な か っ た 。 若 年 で は 喫 煙 者 のBAL液 中GSSGは ほ と ん ど 検 出 さ れ ず 、GSSG量 、 総 グ ル タ チ オ ン に 対 す るGSSGの 比 も 喫 煙 の 有 無 で 差 が な か っ た 。 そ れ に 対 し 中 高 年 現 在 喫 煙 者 や 過 去 喫 煙 者 で は 同 年 齢 の 非 喫 煙 者 と 比 ペBAL液 中 総 カ ル ボ ニ ル 蛋 白 量 、 カ ル ボ ニ ル 化 ア ル プ ミ ン 量 の 有 意 な 増 加 を 認 め た 。BAL液 中 の カ ル ボ ニ ル 化 ア ル ブ ミ ン 量 は 同 年 齢 の 非 喫 煙 者 と 比 ペ 中 高 年 現 在 喫 煙 者 で は 約4倍 、 過 去 喫 煙 者 で 約3倍 に 増 加 し て い た 。 若 年 と 同 様 に 、 中 高 年 現 在 喫 煙 者 は 同 年 齢 の 非 喫 煙 者 や 過 去 喫 煙 者 と 比 ベBAL液 中 総 グ ル タ チ オ ン 量 の 有 意 な 増 加 を 認 め た が (2.640.34 vs0.890.19 and 0.880.29UgtfnL [p .0003p .0014respectivelyl)GSSGは 中 高 年 現 在 喫 煙 者 の み で 有 意 に 増 加 し 、 総 グ ル タ チ オ ン に 対 す るGSSG の 比 は0.72で あ っ た 。

  CT上 の 肺 気 腫 病 変 の 有 無 で は 、 総 カ ル ボ ニ ル 蛋 白 量 、 カ ル ボ ニ ル 化 ア ル ブ ミ ン 量 、 総 グ ル タ チ オ ン 量 、GSSG量 お よ び 総 グ ル タ チ オ ン に 対 す る GSSG比 は 有 意 差 を 認 め な か っ た 。

【 考 案 】 肺 胞 被 覆 液 は グ ル タ チ オ ン 等 の 豊 富 な ア ン チ オ キ シ ダ ン ト の 存 在 に よ り還 元 状態 が維 持 さ れ て い る と 考 え ら れ て い る 。 本 研 究 の 結 果 は 、 加 齢 と 長 年 の 喫 煙 刺 激 の 蓄 積 に よ っ て 肺 胞 被 覆 液 中 の オ キ シ ダ ン ト が ア ン チ オ キ シ ダ ン卜 を 凌駕 し酸 化 スト レス が 生じ るこ と を示 唆し て いる 。同 液 中 の 主 要 な カ ル ボ ニ ル 化 蛋 白 は ア ル ブ ミ ン で あ る こ と を 示 し た が 、 ア ル ブ ミ ン の カル ボ ニル 化は 、 ア ン チ オ キ シ ダ ン ト と し て の 機 能 低 下 を 推 測 さ せ る 。 カ ル ボ ニ ル 蛋 白 の 増 加 は ― 年 以 上 禁 煙 し て い る 過 去 喫 煙 者 群 で も 同 様 に み ら れ た こ と は 注 目 す ぺ き で あ る 。 年 齢 に か か わ ら ず 、 喫 煙 者 で は 、 非 喫 煙 者 に 比 ぺ 、 総 グ ル タ チ オ ン 量 は 有 意 に 増 加 し て い た が 、 中 高 年 喫 煙 者 で は グ ル タ チ オ ン の 約7割 が 還 元 能 を 失 っ た 酸 化 型 グ ル タ チ オ ン で あ っ た 。BAL液 中 の 酸 化 型 グ ル タ チ オ ン の 増 加 は 喘 息 、cystic fibrosis、ARDSで増 加す る とい う報 告 があ る。 肺 細胞 内・ 外 にお ける グ ルタ チオ ン の 酸 化 ・ 還 元 の 調 節 機 構 は 不 明 で あ る が 、GSSGが 肺 胞 被 覆 液 に 増 加 す る メ カ ニ ズ ム と し て は 、1extracellularglutathionepeIoxidaseによ る細 胞 外で のグ ル タチ オン 代 謝亢 進、2)細 胞 内酸 化ス ト レ ス 増 加 に 伴 うGSSGの 細 胞 外 へ の 排 出 機 構 の 亢 進 、3) 細 胞 外GSSG分 解 の 一 部 を 担 っ て い る ァ マlutamyltranspeptidase活 性 の 低 下 、4) 肺 胞 被 覆 液 中 の 蛋 白 の チ オ ー ル 基 の 低下 が 挙げ られ る 。 今 回 の 検 討 で は 、 中 高 年 喫 煙 者 の 中 で 、 軽 度 肺 気 腫 病 変 が あ る 群 と な い 群 と の 間 に 、 カ ル ボ ニ ル 蛋 白 、 総 グ ル タ チ オ ン 、GSSG量 に 有 意 差 が 認 め ら れ な か っ た が 、 進 行 し た 肺 気 腫 患 者 に お い て は よ り 強 い 酸 化 ス ト レ ス が 認 め ら れ る 可 能 性 は 否 定 で き な い 。 一 方 若 年 と 中 高 年 で 、 同 じ 程 度 の ― 日 喫 煙 量 で あ り な が ら 後 者 に お い て の み 肺 胞 被 覆 液 中 の 酸 化 ス ト レ ス が 高 い こ と は 、 中 高 年 喫 煙 者 に 高 頻 度 に 発 症 す る 他 の 炎 症 性 、 腫 瘍 性 肺 疾 患 の 発 症 と の 関 係 を も 示 唆 す る 。 し か し 、 肺 胞 被 覆 液 中 の 酸 化 ス ト レ ス の 増 加 が そ の 中 に 浮 遊 す る 細 胞 や 肺 胞 上 皮 の 機 能 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ し て い る か を 明 ら か に す る こ と は 今 後 の 課 題 で あ る 。

【 結 語 】BAL液 中 の 総 グ ル タ チ オ ン は 若 年 で も 中 高 年 で も 喫 煙 者 で 増 加 す る 。 し か し 、 カ ル ボ ニ ル 蛋 白 や 酸 化 型 グ ル タ チ オ ン は 中 高 年 に お い て の み 喫 煙 者 で 増 加 し て お り 、 加 齢 と 長 期 喫 煙 の 両 者 がBAL液 中 の 過 剰 な 酸 化 ス ト レ ス の 蓄 積 に 重 要 で あ る 。 し か し 、 軽 度 肺 気 腫 患 者 で は 健 常 喫 煙 者 と 比 べ 、BAL液 中 の カ ル ボ ニ ル 蛋 白 、 グ ル タ チ オ ン と そ の 酸 化 ‐ 還 元 様 式 に 有 意 な 差 異 を 認

めなかった。 ‑ 138

(3)

学位論 文審査の要旨

     学位論文題名

Long ― term smoking with age builds up excessive   oxidative stress in bronchoalveolar lavage fluid

(加齢と長期喫煙に伴う気管支肺胞洗浄液中の      酸 化 ス ト レ ス マ ー カ ー の 上 昇 )

中高年 喫煙者に 多くみ られる 肺気腫 は、加齢あるいは慢性喫煙による過剰な酸化ストレスと生体 の抗酸 化機構の 不均衡 が関与 すると いう仮 説があ る。本 研究で は有害物 質の解 毒や消去を担う 肺胞被 覆液に注 目し、 気管支 肺胞洗 浄(Bronchoalveolar lavage :BAL) 液を用いて中高年喫煙者 のBAL 液 中 酸 化ス トレ スの増 加の有 無、肺気 腫病変 でのさ らなる 増加の 有無に ついて 検討を 行 った。酸化ストレスの指標としてカルボニル化蛋白と、主要なアンチオキシダントのひとつであるグ ルタチ オンをBAL 液で測定し、若年・中高年の喫煙者・非喫煙者間で比較することによって加齢と 喫煙の 影響を個 別に評 価し、 両者の 相互作用である経年喫煙の影響について検討した。さらに、

中高年 者の中で 、CT 上 軽度ある いは。 早期肺気腫患者と、健常喫煙者問の比較を行った。健常若 年男性 ボランテ ィア39 名(平均 年齢23 歳:非喫 煙者群

16

名、喫 煙者群

23

名)と 無症状 中高年ボ ラン テ ィ ア

70

名 ( 平 均年 齢

58

歳 : 非 喫 煙者 群

7

名 、 過 去 喫煙 者

17

名、現在 喫煙者

46

名)の 計

109

名 を 対 象 にBAL を 施 行 した 。

BAL

50 cc

の 生 理的 食 塩 水 で4 回 繰り返 し洗浄し 、初回 の回 収液を別にして2 ‑‑‑4 回目の回収液のみを検体として用いる方法(sequential BAL 法)を用いた。液 体成分は、SDS 一PAGE を行い抗dinitrophenylhydrazine (DNP )抗体で免疫染色し、各バンドのシグ ナル強 度を定量 化した 。BAL 液 中の総グ ルタチ オン量 、およ び酸化 型グル タチオ ン量(GSSG )は

Glutathione assay kit (Cayman Chemicals co.

,Ml) を用いて測定した。BAL 液中の主要なカルボニ ル蛋白 は68kD の蛋 白であ った。

68kD

のカルボニル化蛋白はアルブミンと推測され、そのバンドの 強度を 個々のBAL 液中の アルブ ミン濃度 で補正 し、ア ルブミ ンのカルボニル化されている割合を 求めた。

  

若 年 喫 煙者 で は 非 喫煙 者 と 比 べ、

BAL

液中 総グル タチオ ン量の有 意な増 加を認 めたが

(3.11

士0.4 vs. 1.17 土

0.33

弘g/fnL  [p .006]) 、総カルボニル蛋白量、カルボニル化アルブミン量に は差 異 を 認 めな か っ た 。若 年 者 で は喫 煙 者 の

BAL

液 中

GSSG

は ほ と んど検出 されず 、GSSG 量 、 総グル タチオン に対す るGSSG の 比も喫 煙の有無 で差が なかっ た。そ れに対 し中高 年現在喫煙者 や過 去 喫 煙 者で は同 年齢の 非喫煙 者と比 べBAL 液中 総カル ボニル 蛋白量 、カル ボニル 化アル ブ ミン量 の有意な 増加を 認めた 。BAL 液中 のカル ボニル 化アル ブミン量は同年齢の非喫煙者と比ベ 中高年 現在喫煙 者では 約4 倍、 過去喫 煙者で 約3 倍に 増加し ていた 。若年 者と同 様に、中高年現 在喫 煙 者 は 同年 齢 の 非 喫煙 者 や 過 去喫 煙 者 と 比べ

BAL

液 中 総グ ル タチ オン量 の有意 な増加 を

‑ 139 ‑

弘 之

充 裕

岡 井

吉 筒

西

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

認めたが

(2.64

0.34 vs 0.89

0.19 and 0.88

土0.29 ル

g/mL

p

司,

0003

,p 司,

0014

respectiveIy

])、GSSG は中高年現在喫煙者のみで有意に増加し、総グルタチオンに対するGSSG の比は

0

.72 であった。

CT

上の肺気腫病変の有無では、総カルボニル蛋白量、カルボニル化アル ブミン量、総グルタチオン

I

、GSSG 量および総グルタチオンに対するGSSG 比は有意差を認めな かった

  

審査にあたり、副査筒井教授から1 )BAL 液中で増加している活性酸素ラジカル(ROS )を産生し ている細胞について、

2

)肺胞マクロファージのROS 産生能について、3 )ROS が肺胞構築を破壊 する機序について質問があった。また主査吉岡教授から、1 )カルボニル蛋白蓄積の機序につい て、2 )喫煙でのBAL 液グルタチオン増加の機序について質問があった。最後に副査西村教授か ら1 )長期喫煙で酸化ストレスが増加する際に主体と考えられる機序について、2 )肺胞被覆液中 酸化ス卜レス増加と肺気腫以外の呼吸器疾患との関連について質問があった。いずれの質問に 対しても、申請者は自験データや過去の論文を弓

I

用し、概ね適切に答えた。質疑応答の時間は 約15 分であった。

  

この論文は若年者と中高年者で、同じ程度の―日喫煙量でありながら後者においてのみBAL 液中の酸化ストレスが高いことを示し、加齢と長期喫煙の両者が肺胞被覆液中の過剰な酸化スト レスの蓄積に重要であることを示唆した。その結果は中高年喫煙者に高頻度に発症する様々な 炎症性、腫瘍性肺疾患の発症と酸化ストレスとの関連を推測させる。今後抗酸化剤の補充療法 への発展も期待される。

  

審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受け取るのに十分 な資格を有するものと判定した。

140 ‑

参照

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