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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

( 園田 裕之 ) 印

(学位論文のタイトル)

The retinol-retinoic acid metabolic pathway is impaired in the lumbar spine of a rat mo del of congenital kyphoscoliosis

(先天性脊柱後側弯症のモデルラットの腰椎におけるレチノール-レチノイン酸代謝経路の障害)

(学位論文の要旨)2,000字程度、A4判

先天性側弯症は先天的な椎体の異常により脊柱の側弯をきたす遺伝子疾患として定義され、奇形椎体の形態や変 形のタイプにより、姿勢異常からのバランス障害、美容的な問題からの心理的ストレス、循環器、呼吸器、消化 器、神経症状などの多彩な症状をきたす。根治的治療は手術のみであるが、麻痺や感染等の合併症はしばしば起 こり、その成否は手術が変形の進行前に行われるかどうかによる。したがって、疾患の早期発見や進行の予防が 大変重要であるが、その疾患関連遺伝子の大部分は未だ不明である。我々は以前に先天性後側弯症のモデルラッ トの胎生期における腰椎の一次骨化中心の癒合や、腰仙椎部におけるHox10, 11の発現の低下を報告した。さ らに最近、そのモデルラットの椎体奇形が頻発する腰椎局所におけるDNAマイクロアレイの結果から、神経成 長因子受容体(TrkA, B, C)の発現が野生型コントロールラットに比べ有意に低下していることを報告し、Hoxと Trk遺伝子群が正常な骨形成の制御に重要な機能を有し、先天性後側弯症の病態における分子的な解釈を付与す ると結論付けた。Ishibashi(IS)ラットは雄の野生型ラットと雌のWistar(WT)ラットの交雑から作られた自然発 生のモデルラットで、先天的な種々の椎体の奇形から脊柱後側弯を生じることが知られており、特に下位腰椎に かけて椎体奇形が頻発する。予備実験により、脊椎から解析に十分な量のRNA/タンパクが容易かつ十分に抽出 可能なタイミングとして、生後4日齢でのサンプル採取とし、椎体奇形の頻度が高い第3-5腰椎を用いた。コン トロールとしては同齢のWTラットの同部位を用いて、リアルタイムPCR, ウェスタンブロット法によるRNA、

タンパクレベルの解析と、免疫染色を行った。また心臓より血液を採取し、血清レチノール(ROL)濃度の測定を 行った。本研究においては、我々が以前に報告したDNAマイクロアレイのデータに基づき、ISラットにおいて 最もダウンレギュレーションされていたROL代謝のパスウェイに着目した。このパスウェイが骨吸収や骨形成 に関連しているということはよく知られており、構成している40遺伝子中、9遺伝子でISラットの腰椎における 発現の低下がみられ、その中からレチノイン酸(RA)の合成を制御している2つの酵素(Adh1とAldh1a2)とRAの 核内受容体(Rarα)に関しての解析を行った。また、骨形成や形態形成に関わり、その発現がRarαを通じRAに 誘導されるBMP-2に関しても解析を行った。リアルタイムPCRにおいて、ISラットの腰椎におけるAdh1, Aldh1a2, RarαのmRNA発現はWTラットに比べ有意に低下しており、ISラットで椎体奇形の頻度が比較的少 ない胸椎部と腰椎部の比較では腰椎部における各遺伝子の発現が低下していた。ウエスタンブロット法において、

ISラットの腰椎における各遺伝子のタンパク発現はWTラットに比べ有意に低下していた。ISラットの血清ROL 濃度はWTラットに比べ有意に高値であった。免疫染色において、WTラットの一次骨化中心で多数みられた Rarα陽性細胞はISラットの一次骨化中心ではほとんどみられず、またISラットの一次骨化中心や椎間板は形態 の不整や分裂がみられた。リアルタイムPCRにおいて、ISラットの腰椎におけるBMP-2のmRNA発現はWTラ ットの腰椎、ISラットの胸椎のそれよりも有意に低下していた。免疫染色においては、Rarαと同様に一次骨化 中心でのBMP-2陽性細胞の数はWTラットと比べISラットで明らかに少なかった。本研究において、ISラット の腰椎におけるROL代謝関連酵素(Adh1, Aldh1a2)とRA核内受容体(Rarα)の発現が有意に低下し、ISラットの 血清ROL濃度がWTラットより高いことを示した。これらの所見はISラットにおけるROL代謝経路のダウンレギ ュレーションを通したROLの利用、代謝障害を反映していると思われた。BMP-2の発現はRarαを通しRAや TrkCにより誘導されることが知られており、先行研究結果と併せ、ISラットの腰椎においてはBMP-2の産生が ROL代謝関連酵素とTrkCの発現の減少によって抑制され、これら2つの要素の発現低下が絡み合い、一次骨化 中心や椎間板の形態不整の原因となっている可能性が示唆された。

参照

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