岡 監 第 4 4 0 号 平 成 2 2 年 3 月 2 5 日
特定非営利活動法人
市民オンブズマンおかやま
代表者代表理事 光 成 卓 明 様
岡山市監査委員 藤 本 徹
同 若 井 逹 子
同 田 尻 祐 二
岡山市職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
平成22年1月27日付けで地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」 という。)第242条第1項の規定に基づき提出された岡山市職員措置請求書につい て,監査した結果を同条第4項の規定により下記のとおり通知する。
な お , 会 計 管 理 者 で あ っ た 監 査 委 員 池 上 進 は , 法 第 1 9 9 条 の 2 の 規 定 に よ り 除斥した。
記
第1 請求の受付
1 請求人の住所 名称
岡山市中区乙多見347番地 特定非営利活動法人
市民オンブズマンおかやま
代表者代表理事 重 田 龍 三
(上記,代表者代表理事は,請求後に変更されている。)
2 請求書の提出日
平成22年1月27日
3 請求の要件審査
第2 請求の内容
請求人が提出した「岡山市職員措置請求書」による請求内容は,次のとおり である。
① 岡山市長に対する措置請求の要旨
岡山市が,岡山市議会議員垣下文正,同土肥啓利,同柴田健二,同伏見源十 郎,同和氣健,同藤原頼武,同森田卓司,同吉本賢二,岡山市職員有森一雄に 対 し , 平 成21年 1 月28日 か ら 同 年 2 月 3 日 の 期 間 , 大 韓 民 国 ・ ニ ュ ー ジ ー ラ ンド・オーストラリアを視察先として行った海外視察の旅費(有森一雄につい て は 随 行 旅 費 ) と し て 支 払 っ た 金 員 ( 各498,230円 , 合 計4,484,070円 ) の 支出のうち,689,615円(一人あたり76,623円)の支出は違法なので,
, , , , , , ,
ⅰ 垣下文正 土肥啓利 柴田健二 伏見源十郎 和氣健 藤原頼武 森田卓司 吉 本 賢 二 に 対 し て , そ れ ぞ れ 金76,623円 及 び こ れ に 対 す る 平 成21年 1 月28日 以降支払済みまで年5分の割合の金員を岡山市に返還するよう,
689,615 21 28 ⅱ 髙谷茂男(岡山市長)に対し金 円及びこれに対する平成 年1月
日以降支払済みまで年5分の割合の金員を岡山市に賠償するよう, それぞれ請求することを求める。
② 措置請求の理由
, , , , ,
ⅰ 岡山市議会議員垣下文正 同土肥啓利 同柴田健二 同伏見源十郎 同和氣健 同 藤 原 頼 武 , 同 森 田 卓 司 , 同 吉 本 賢 二 は , 平 成21年 1 月28日 か ら 同 年 2 月 3 日の期間,大韓民国・ニュージーランド・オーストラリアを視察先として海外 視察を行った。
岡山市職員(議会事務局調査課主任)有森一雄は,上記旅行に随行して旅行 した。
ⅱ 岡 山 市 は , 前 記 海 外 視 察 の 旅 費 と し て , 平 成21年 1 月27日 , 前 記 9 名 各 自 に対し ,概算払 いとして各 金498,230円を 支払い, 同年2月5 日その精算(追 加支払い・返還金額なし)をした。
ⅲ 株 式 会 社 リ ョ ー ビ ツ ァ ー ズ は , 平 成20年12月17日 本 件 海外 視 察 に つ い て の 旅程表及び旅費経費明細書を作成して,岡山市に提出した。前項記載の旅費の支 払は,この旅程表及び旅費経費明細書にもとづいてなされている。
28 株 式 会 社 リ ョ ー ビ ツ ァ ー ズ の 旅 程 表 及 び 旅 費 経 費 明 細 書 に よ れ ば , 1 月
, ,
前 記 の 概 算 払 い 及 び 精 算 の 際 に は , 上 記 と 同 額 の 現 地 交 通 費88,000円 が 各 人 に支払われている。
( , ) ,
上記の現地交通費 1人あたり88,000円 総額792,000円 のおそらく全部
, 。
少なくとも大半は 上記専用バスの傭車料として支払われたものと推定される
ⅳア 岡山市議会議員の海外旅行の旅費は,「議会の議員の議員報酬及び費用弁償 等に関する条例」第9条により,「岡山市職員等の旅費に関する条例」の例に よるものとされている。
イ 「岡山市職員等の旅費に関する条例」は,
第6条 に お い て 「 旅 費 は , 最 も 経済 的 な 通 常 の 経 路 及び 方 法 によ り 旅行 し た場合の旅費により計算する。ただし,公務上の必要又は天災その他やむを得 ない事情により最も経済的な通常の経路又は方法によって旅行しがたい場合 には,現によった経路及び方法によって計算する。」と定め,
第29条 に お い て 「 外 国 旅 行 の 旅 費 に つ い て は , 国 家 公 務 員 等 の 旅 費 に 関 する法律第3章の規定に準じてそのつど市長が定める」と定めている。 ウ 本件旅行にかかる市議会議員の旅費については,旅行命令権者である市議
会議 長の 決裁 によ り「『岡山 市職員等の 旅費に関 する条例 』第29条の規定 に より,『国家公務員の指定職にある者』として支給する」ものとされ,かつ「『岡 山市 職員 等の 旅費 に関する条 例施行規 則』第13条第9 号の規定 (「旅行命 令 権者が,旅費の調整を行うことを必要と認めたときは,市長に協議して,旅費 の調整を行うことができる」)により」市長に協議して調整した額を支給する ものとされた。
ⅴア 岡山市職員の公務による海外旅行の旅費は,「岡山市職員等の旅費に関する 条例」に基づき支給される。
イ 「岡山市職員等の旅費に関する条例」は,
第6条 に お い て 「 旅 費 は , 最 も 経済 的 な 通 常 の 経 路 及び 方 法 によ り 旅行 し た場合の旅費により計算する。ただし,公務上の必要又は天災その他やむを得 ない事情により最も経済的な通常の経路又は方法によって旅行しがたい場合 には,現によった経路及び方法によって計算する。」と定め,
第29条 に お い て 「 外 国 旅 行 の 旅 費 に つ い て は , 国 家 公 務 員 等 の 旅 費 に 関 する法律第3章の規定に準じてそのつど市長が定める」と定めている。
, ,
ⅵ 本件海外視察における,「最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場 合」の現地交通費は,以下の通りである。
ア 1月28日
1 月28日 , 視 察 団 は , 仁 川 国 際 空 港 で の 飛 行 機 乗 り 継 ぎ 待 ち 時 間 に , 富 川市役所,遠美区庁を視察した。仁川空港∼富川体育館前間にはリムジンバス が運行しており,運賃は一人片道11,000ウォン(737円)である。
富川市役所は富川体育館停留所の直近にあり,遠美区庁は富川市役所から 約3kmの距離にあるので,9人が仁川国際空港∼富川市役所∼遠美区庁∼ 仁川国際空港間を移動するには,①仁川国際空港∼富川体育館をリムジンバ スで,②富川市役所∼遠美区庁をタクシー3台に分乗して,③遠美区庁∼仁
, ,
川国際空港間を 遠美区庁から富川体育館停留所までタクシー3台に分乗し 富川体育館停留所から仁川国際空港までリムジンバスで移動するのが,最も 経済的な通常の経路・方法である。遠美区庁にタクシーで往復する費用は, 高くとも総額で30,000ウォン(2,010円)を超えない。
従っ て, 上記移動 に要する総 額は228,000ウ ォン(15,276円),1 人あた り25,333ウォン(1,698円)である。
な お 外 貨 と 円 の 換 算 率 は , 平 成21年 1 ∼ 2 月 当 時 の 為 替 相 場 中 の 最 も 円 安のレートにもとづき算定した(以下同じ)。
イ 1月29日
1 月29日 , 視 察 団 は , オ ー ク ラ ン ド 国 際 空 港 に 到 着 後 オ ー ク ラ ン ド 市 内 のランデブーホテル(市内中心部に所在する)に移動して投宿し,その後「エ イジ・コンサーン」オークランド支部,在オークランド日本総領事館を順次視 察した。
オークランド国際空港からランデブーホテルのあるオークランド市中心部 までは直行バスが運行しており,同バスを利用するのが最も経済的な通常の 経路・方法であり,その料金は1人あたり往復23NZドル(1,265円),総額 ド ル ( 円 ) で あ る 。 後 記 の と お り , 視 察 団 の 帰 路 は ホ テ ル 207NZ 11,385
か ら 国 際 空 港 に 直 行 す れ ば 足 り る の で , 往 復 の 料 金 額 は 総 額207NZド ル (11,385円)である。
10 「 エ イ ジ ・ コ ン サ ー ン 」 オ ー ク ラ ン ド 支 部 は ラ ン デ ブ ー ホ テ ル か ら 約
の 距 離 に あ り , タク シ ー 3 台に 分 乗 する の が最 も 経済 的 な 通常 の 経路 ・ km
方法である。ランデブーホテルからのタクシー3台の料金合計額は高くとも ドル( 円)を超えない。
60NZ 3,300
コン サー ン」 オー クラン ド支 部か らの 距離 は約10kmであり, タクシー3 台 に分乗するのが最も経済的な通常の経路・方法である。「エイジ・コンサー ン」 オ ー クラ ン ド支 部 から の タ クシ ー3台 の料 金合 計額 は高 くと も60NZド ル(3,300円)を超えない。
400m 在 オー ク ラン ド 日 本総 領 事館 から ラン デブ ーホ テルま での 距離 は約 であり,徒歩で移動するのが最も経済的な通常の経路・方法である。
ウ 1月30日
, ,「 」,
1月30日 視察団は ゼロ・ウェイスト・ニュージーランドトラスト 「ファミリーセンター」,「IHC」を順次視察した。
「ゼロ・ウェイスト・ニュージーランドトラスト」はオークランド市の北 の郊 外約20kmにあ り, タク シー 3台 に分 乗する のが 最も経済 的な通常の 経 240NZ 13,200 路 ・ 方 法 で あ る 。 そ の 場 合 の 料 金 合 計 額 は , 高 く と も ド ル (
円)を超えない。
40km I 「ファミリーセンター」はオークランド市の南の郊外約 にあり,「
」は オ ー クラ ン ド市 中 心部 と「 ファ ミリ ーセ ンタ ー」の 中間 (オ ーク ラ HC
ンド市中心部から約30km,「ファミリーセンター」から約10km)にある。 市中心部∼「ファミリーセンター」∼「IHC」∼市中心部に順次移動するに は,タクシー3台に分乗するのが最も経済的な通常の経路・方法であり,その 料金合計額は,高くとも480NZドル(26,400円)を超えない。
エ 1月31日
1 月31日 , 視 察 団 は , オ ー ク ラ ン ド 南 郊 外 の ド ゥ ル ー リ ー で 農 園 を 視 察 した後,オークランド国際空港からシドニー国際空港に空路移動し,シドニー 市内のフォーポインツ・バイ・シェラトン・ダーリングハーバー・シドニー ・ホテル(シドニー市中心部「ダーリングハーバー」地区にある。以下「シ ェラトンホテル」と略称する)に投宿した。
ド ゥ ル ー リ ― に お け る 「 視 察 先 」 は , 約10haの 規 模 を も ち 大 規 模 な 輸 出 を行う大規模果樹園であり,その「視察」は実質的には観光なので,同地への 移動に公費を支出するのは違法である。
ランデブーホテル∼国際空港間の復路の直通バス料金は,アにおいてすで に計上した。
ル」を利用し,そこからタクシー3台に分乗するのが,最も経済的な通常の経 路・方法である。本件のシドニー視察の中心は「新交通システム」の視察にあ ったので,その視察目的からも,国際空港∼「セントラル」駅間の移動は「シ
」 。「 」 「 」
ティレール を利用すべきである シドニー国際空港 駅から セントラル 駅までの「シティレール」の片道料金は1人あたり3.40オーストラリアドル (218円),総額30.6オーストラリアドル(1,962円)であり,「セントラル」 駅 か ら シ ェ ラ ト ン ホ テ ル ま で の タ ク シ ー 3 台 の 料 金 合 計 額 は 高 く と も30オ ーストラリアドル(1,920円)を超えない。
オ 2月1日
2月1日,視察団は,①(財)自治体国際化協会シドニー事務所,②「パワ ーハウスミュージアム」を視察し,③「ライトレール」(新型路面電車。「セン
」 「 」 ) , 。
トラル駅 ∼ リリーフィールド 間 に試乗し ④モノレールに試乗した (財)自治体国際化協会シドニー事務所はシドニー市中心部の「サーキュ ラー・キー」地区にあり,シェラトンホテルから約2000mの距離にある。 シェラトンホテルから協会シドニー事務所に行くには,タクシー3台に分乗 するのが最も経済的な通常の経路・方法であり,その料金合計額は高くとも
オーストラリアドル( 円)を超えない。 30 1,920
パワーハウスミュージアム は シドニー市中心部に所在する有名博物館
「 」 ,
であり,その「視察」は実質的には観光なので,同ミュージアムへの往復に公 費を支出するのは違法である。
財 自治体国際化協会シドニー事務所の直近には シティレール の サ
( ) 「 」 「
」 , 「 」 。
ーキュラー・キー 駅があり 同駅から セントラル 駅までは3駅である リリーフィールド方面への ライトレール には セントラル 駅で乗り
( 「 」 ,「 」
換えを要する。)同事務所訪問後「ライトレール」に試乗するには,「サーキュ ラー・キー」駅∼セントラル駅∼リリーフィールド駅の経路で「シティレー
」「 」 , 。
ル ライトレール を利用するのが 最も経済的な通常の経路・方法である モ ノ レ ー ル の 路 線 は 環 状 ( 総 延 長 約 4km) で あ り , リ リ ー フ ィ ー ル ド 方 面の「ライトレール」線は「コンヴェンション」駅でモノレール線に接続して いる。「ライトレール」試乗後モノレールに試乗するには,「ライトレール」で コンヴェンション 駅まで戻り モノレールに乗り換えるのが 最も経済的
「 」 , ,
な通常の経路・方法である。
シェラトンホテルはモノレールの「ダーリングパーク」駅の直近にあるの
, ,「 」
で モノレール試乗後にシェラトンホテルに帰るには ダーリングパーク 駅で下車して徒歩によるのが,最も経済的な通常の経路・方法である。
「 」 ,
新交通システム にあっては 公共交通機関の乗り継ぎで移動し 最寄りの
「 」 「 ,
公共交通機関までは歩く」ことが利用方法の基本である。したがって,視察目 的の上からも,上記の移動・試乗のすべては公共交通手段を利用して行うべ きである。
上記の各移動・試乗に要する公共交通機関の料金は,合計で一人当たり高 く と も20オ ー ス ト ラ リ ア ド ル (1,280円 ) , 総 額180オ ー ス ト ラ リ ア ド ル (11,520円)を超えない。
カ 2月2日
2月2日,視察団は,①ニューサウスウェールズ州議会議事堂,②ウィルビ ー市役所,③在シドニー日本総領事館を順次視察した。
シェラトンホテルからニューサウスウェールズ州議会議事堂までの距離は 約1000m で あ り , タ ク シ ー 3 台 に 分 乗 す る の が 最 も 経 済 的 な 通 常 の 経 路 ・ 方法 である。 その料金合 計額は高 くとも20オース トラリア ドル(1,280円) を超えない。
また,州議会議事堂はシドニー市中心部にあり,「シティレール」の「マー ティン ・プレイス 」駅の直 近(100m未満) にある。シドニー市中心部から ウィルビー市方面には「シティレール」が運行しており,ウィルビー市役所は シティレール 線 チャツウッド 駅の直近にある 州議会議事堂からウィ
「 」 「 」 。
ルビー市役所に行くには,①議事堂から「マーティン・プレイス」駅まで徒歩 で移動して「シティレール」線に乗車し,②「タウンホール」駅で下車してウ
「 」 「 」
ィルビー方面行の電車に乗り換えて チャツウッド 駅まで シティレール 線で移動し,③「チャツウッド」駅からウィルビー市役所までは徒歩で移動す る,のが最も経済的な通常の経路・方法である。
在シドニー日本総領事館は,シドニー市中心部,「シティレール」線の「マ ーティ ン・プレイ ス」駅の 直近(100m未満 )にある。ウィルビー市役所か ら総領事館に行くには,「チャツウッド」駅∼「タウンホール」駅(乗換)∼ マーティン・プレイス 駅の経路で シティレール を利用するのが 最も
「 」 「 」 ,
経済的な通常の経路・方法である。
総 領 事 館 か ら シ ェ ラ ト ン ホ テ ル ま で の 距 離 は 約1000m で あ り , タ ク シ ー 3台に分乗するのが最も経済的な通常の経路・方法である。その料金合計額 は高くとも20オーストラリアドル(1,280円)を超えない。
前に述べたとおり,本件のシドニー市視察の中心は「新交通システム」の視 察にあったところ,「新交通システム」にあっては「公共交通機関の乗り継ぎ
, 」 。
を利用して行うべきである。
上記の各移動に要する公共交通機関の料金は,高くとも一人当たり合計10 オーストラリアドル(640円),総額90オーストラリアドル(5,760円)を超 えない。
キ 2月3日
2月3日,視察団は,シドニー国際空港を経て空路帰国した。シェラトンホ テルからシドニー国際空港まで移動するには,①シェラトンホテルから「セン トラル」駅までタクシー3台に分乗して移動し,②「セントラル」駅からシド ニー国際空港までは「シティレール」を利用するのが,最も経済的な通常の経 路・方法である。
シェラトンホテルから「セントラル」駅までのタクシー3台の料金合計額 は ,高くとも30オ ーストラ リアドル(1,920円) を超えな い。また, 「セン トラル」駅から「シドニー国際空港」駅までの「シティレール」の片道料金は 1 人あ たり3.40オ ース トラリア ドル(218円), 総額30.6オーストラ リアド ル(1,962円)である。
ク 以上,本件旅行の全行程において,前記岡山市の条例及び規則の規定に従 い,「最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合」の現地交通費の 総額は,総額102,385円(一人あたり11,376.1円)を超えない。
ⅶ よっ て,本件視 察につき 支出された 「現地交 通費」合 計792,000円のうち, 円 (1 人あ たり 円) の支出は ,現地にお いてその 必要がな い 689,615 76,623.9
のに専用車を使用したために違法に支出されたものである。
,「 」 「 」
専用車の使用は 法 の定める 最も経済的な通常の経路及び方法による 旅行に該当せず,かつ専用車を使用せざるを得ない「公務上の必要または天災そ
689,615 76, の他やむを得ない事情」はなかったから,上記差額 円(1人あたり
円)の支出 は,「条 例」及び これに準用される「法」の規定に反し違法で 623
ある。
ⅷ 本 件 旅 行 に 先 立 つ 平 成20年 3 月13日 , 岡 山 地 方 裁 判 所 は , 岡 山 県 議 会 議 員 の海外視察旅行の際の専用車代につき, 『「 最も経済的な通常の経路及び方法に よる』旅行に該当せず,かつ専用車を使用せざるを得ない『公務上の必要また
』 」 , ,
は,地方議会議員の海外視察旅行に際して専用車代を支出することは違法とな りうるものであることを熟知していた。なお,同事件についての控訴審である 広 島 高 等 裁 判 所 岡 山 支 部 は , 平 成21年 2 月26日 , 岡 山 県 知 事 の 控 訴 を 棄 却 す る判決を言い渡し,岡山県知事はこれに対して上告しなかったので,前記岡山 地方裁判所判決は確定した。
ⅸ よって,
ア 前記の違法な「差額」の支出を受けた垣下文正,土肥啓利,柴田健二,伏見 源十郎,和氣健,藤原頼武,森田卓司,吉本賢二は,各人76,623円あての違 法支出分につき不当利得をしており,かつそのことについて悪意なので,それ ぞ れ 同 金 額 を , 概 算 払 い の 日 の 翌 日 で あ る 平 成21年 1 月28日 か ら 年 5 分 の 割合による利息を付して,岡山市に返還すべき義務がある。
イ 当該支出(概算払い及び精算)の本来の決裁権者である市長髙谷茂男は,職 員に対する監督義務を怠った結果,前記違法な支出をさせたものなので,不法 行 為により ,9名分の 違法支出 額金689,615円を ,概算払 いの日の 翌日であ る 平 成21年 1 月28日 か ら 年 5 分 の 割 合 に よ る 損 害 金 を 付 し て , 岡 山 市 に 対 して賠償する義務がある。
ⅹ よ って,地 方自治法 第242条 第1項の 規定に基づ き,証拠書類を添付して, 頭書のとおり,厳正な措置を請求する。
第3 監査対象課
議会事務局総務課
第4 請求人への証拠の提出及び陳述の機会の付与
1 法第242条第6項の規定に基づき,平成22年2月9日に請求人に対して 新たな証拠の提出及び陳述の機会を与えたところ,新たな証拠の提出はなく, 岡山市職員措置請求書の要旨及び同請求書を補足する陳述がなされた。
2 陳述の概略は,次のとおりであった。
げして組んでいる感があり,観光目的の視察が含まれている。
(3)政務調査費での海外視察も可能なので,予算があるから実行するような 目的曖昧な視察は今後絶対避けるよう強く要望する。
3 補足の陳述の概略は,次のとおりであった。
請 求 書 の 補 足 の 陳 述 と し て , 特 に , 専 用 車 の 使 用 と い う 同 様 な 事 案 で あ る との考えにより,岡山県議会の海外視察に対する岡山地方裁判所及び広島高等 裁判所岡山支部の判決を例に挙げ,今回の専用バスの使用が,岡山市職員等の 旅費に関する条例第6条における最も経済的な通常の方法に該当せず,かつ, 公 務 上 の 必 要 又 は 天 災 そ の 他 や む を 得 な い 事 情 が あ る 場 合 に は 当 た ら な い と 強く主張した。
4 請求書の内容について,返還対象額は8名分であり,賠償対象額は9名分と なっているが,請求金額としては随行職員を含めた9名分の返還及び賠償とな る 趣 旨 な の か を 請 求 人 に 尋 ね た と こ ろ , 返 還 対 象 額 は 市 議 会 議 員 8 名 分 及 び 賠償対象額は随行職員1名分を含めた9名分を市長に賠償を求めたものである 旨確認した。
5 請求人が陳述を行った際,法第242条第7項の規定に基づき,関係職員を 立ち会わせた。
第5 監査の実施
請求書及び関係書類等を調査し,平成22年2月9日に関係職員の陳述の聴 取を行い,合議により慎重に監査した。
なお,関係職員の陳述の際,法第242条第7項の規定に基づき,請求人を 立ち会わせた。
第6 関係職員(議会事務局)の陳述
陳述の概略は,次のとおりであった。
視察の主な調査内容は,ニュージーランドのオークランドでは,民間が果たし ている高齢者サポートの現状と高齢者問題,ごみをゼロにしようとする資源循 環型社会を目指す活動,乳幼児のいる家庭支援プログラム,知的障害者とその 家族に対しての支援活動,及び農産物の生産・流通問題である。また,オース トラリアのシドニーでは新交通システムの試乗,シドニー近辺で都市再開発が 最も進んでいるウィルビー市訪問,さらに,オークランド及びシドニーの日本 総領事館,財団法人自治体国際化協会シドニー事務所を訪問し,両国の政治, 経済の状況,地方自治制度等について概要説明を受け,意見交換を行った。
特に,最初の大韓民国富川市への訪問は,国際友好交流都市として本市と密に
, , 。
交流を行っており 市長・議長表敬訪問 区庁幹部職員と意見交換等を行った これらの日程調整等については,本市国際課の協力,助言等により行った。
詳細な視察内容については,視察報告書にまとめている。
請 求 人 が , 実 質 的 に 観 光 で あ り , 移 動 に よ る 公 費 の 支 出 は 違 法 と 指 摘 す る 果樹園及びミュージアムの視察について,1月31日オークランド郊外の果樹 園視察は,報告書に詳細を記載している。また,2月1日シドニーのパワーハ ウスミュージアム視察の目的は,本市の岡山市デジタルミュージアムを運営す る上で,今後の参考とするためであり,芸術,歴史,科学技術の現物を展示し
。 , 。
ている当博物館を視察した 当日は日曜日であり 利用者の実態も把握できた 次に,岡山市議会議員の海外行政視察調査旅費については,「議会の議員の議 員報酬及び費用弁償等に関する条例」第9条の規定に基づき,「岡山市職員等の 旅費に関する条例」の例によることとし,同条例第29条の規定により,「国家
」 ,「 」
公務員等の旅費に関する法律 を準用し 国家公務員の指定職の職務にある者 として支給されている。支給にあたっては,「岡山市職員等の旅費に関する条例 施行規則」第13条第9号の規定により調整した額を支給している。当該海外 視察の旅費の計算は,この条例に基づいて算定した。
なお,「岡山市職員等の旅費に関する条例」第6条において,「旅費は,最も 経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する。ただ し,公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により最も経済的な通常の 経路又は方法によって旅行しがたい場合には,現によった経路及び方法によっ て計算する。」と定められている。
請求人は,当該視察の現地交通費について,専用車の使用は,「最も経済的な 通常の経路及び方法による」旅行に該当せず,かつ,専用車を使用せざるを得 ない「公務上の必要または天災その他やむを得ない事情」はなく,タクシーの 分乗,公共交通機関の乗り継ぎ等により目的地まで移動すべきであり,条例の 規定に反し違法であるとしている。
行動をする場合には,専用バスの利用が通常の方法であると考えられる。前述 のような行程で効率的かつ確実に行政視察調査を行うべく団員9人が団体移動 し な く て は な ら な い こ と を 考 え る と , 専 用 車 を 利 用 す る こ と に よ り 先 方 と の 約 束 時 間 の 順 守 , 移 動 時 間 の 節 約 が 見 込 ま れ , か つ , 移 動 中 に 車 中 に て 議 員 同 士 の 打 ち 合 わ せ や 調 査 項 目 に つ い て 理 解 を 深 め る た め の 議 論 を 行 う こ と が できる等の事情も考慮される。よって,専用バスの利用には,特に,公務上の 必 要 が あ っ た と い う こ と が で き , 請 求 人 の 主 張 す る そ の 他 の 交 通 手 段 に よ る 費用に比して高額であったとしても,このことのみで直ちに専用バスの利用が 違法とまでは言えないと考えている。
専用バスについて,業者への見積もり依頼の仕様は,9名に対応できるバス
。 , 。
としているのみである なお 他の公共交通機関についての検討はしていない
, ,
果樹園視察が公務であることの説明の補足について 本市は農業都市であり 農業振興は重要課題のひとつであって,海外の農業の状況を視察研究して本市 の施策に反映していくことは,必要であると考えている。
視察先の決定については,視察団長を中心として,各議員の意見も取りまと めて視察先や調査項目を決定している。視察項目等の具体的な決定過程におい ては,議会事務局職員がインターネット等の利用や旅行業者の意見の聴き取り による情報を議員にも提供している。
岡山県議会の海外視察における専用車使用の岡山地方裁判所の判決要旨につ いては,使用車種及び乗車人数の事情が違うため,特段の考慮はしていない。
第7 監査の対象事項
請求書,事実を証する書面及び請求人の陳述並びに関係職員の陳述及び提出 された関係書類により監査の対象としたものは,平成21年1月28日から平 成21年2月3日までの期間における海外視察での現地専用バス利用に係る交 通費全てである。
第8 監査の結果及び判断
がないものと判断した。
以下,その理由について述べる。
(1)海外視察に係る規定及び旅費金額の決定経過について
請求人から提出された岡山市職員措置請求書,証拠書類及び監査対象課か らの提出書類,同課に対する聴き取り調査等の結果に基づき,以下のとおり 認定した。
本件海外視察の実施における議員及び随行職員の派遣手続については,別
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紙の根拠法令等に基づき 議会閉会中のため議長による決裁がなされている 海外視察をすることの決定は議会が行うが,旅費支給の根拠法令等によれ ば,「議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」第9条の規定に基 づき,「岡山市職員等の旅費に関する条例」の例によるとされており,同条例 第29条の規定により「国家公務員等の旅費に関する法律」を準用し,「国家 公務員の指定職の職務にある者」として支給され,かつ,支給に当たっては 「岡山市職員等の旅費に関する条例施行規則」第13条第9号の規定により 調整した額が支給されることになっている。
旅費額については,岡山市内の旅行会社2社から岡山空港発着の旅程表及 び旅費経費明細書の徴取により渡航費用を算定し,かつ,支度料および国内 旅費を別紙の根拠法令等に基づき算定していることを確認した。
当該旅費経費明細書により,専用バス1人あたりの現地交通費(都市間移 動を含む。)が88, 000円であることは確認できたが,それ以上の資料がなかっ たため,この88, 000円の内訳は明らかにできなかった。
市議会議員8名の現地交通費(1人あたり88, 000円)を含めた旅費支出に ついては,経費支出の伺いが平成21年1月21日に起案され,人事課長, 財政課長,会計管理者の合議がなされ,平成21年1月27日に議長が決裁 している。また,帰国後の平成21年2月5日に精算処理が行われている。 一方,随行職員1名の現地交通費(1人88, 000円)を含めた旅費支出につ い て は , 経 費 支 出 の 伺 い が 平 成 2 1 年 1 月 2 1 日 に 起 案 さ れ , 人 事 課 長 , 財政課長,会計管理者の合議がなされ,平成21年1月27日に議長が決裁 している。また,帰国後の平成21年2月5日に精算処理が行われている。
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(2)専用バス利用の妥当性について
監査対象課の説明によれば,海外においては,同一行程で団体行動をする 場合には専用バスの利用が通常の方法であると考えている。視察を効率的か つ確実に行うには,団員が9人もいる場合は,団体行動をした方が合理的だ と考えられる。専用バスを利用することにより,先方との約束時間の順守, 移動時間の節約が見込まれ,かつ,移動中に車中にて議員同士の打ち合わせ や調査項目についての議論を行うことができる等の便宜がある。
一方,請求人は,現地の公共交通機関を利用すれば視察は可能であると主 張しているが,その前提としての視察先での所要時間や公共交通機関相互の 乗継に要する時間,及びタクシー3台の一斉使用の可能性等,具体的な行動 計画を検討していない主張である。
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専用バスを利用するか 公共交通機関やタクシーを利用するのかの選択は 旅行の行程や日程,旅行者の人数など総合的に判断すべきことであり,本件
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の場合には 専用バスを利用したことが違法又は不当であるとの理由はない
そこで,具体的な旅行の状況を検討する。
ア 1月28日(水)の富川市訪問については,請求人が主張する仁川空港 から富川体育館前までのリムジンバスの運行は確認できなかったが,視察 及びオークランドへの飛行機の乗り継ぎ時間を考慮すると,専用バスの利 用について妥当性がないとは言えない。
イ 1月29日(木)から1月31日(土)のオークランドとその郊外での 視察については,団体行動における行程上の時間順守及び移動距離を考え ると,専用バスの利用が合理的であり不当であるとは言えない。
ウ 1月30日(金)のゼロ・ウェイスト・ニュージーランド・トラストへ の訪問については,現地視察が相手の都合により突然キャンセルされたた
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め 結果的に この部分での専用バスの利用は行っていないこととなるが 宿泊先のホテルでの緊急避難的な対応を行っていること及びその後2ヶ所 の視察は実施していることを考慮すれば,専用バスの利用が不相当である とは言えない。
エ 1月30日(金)及び1月31日(土)のオークランドとその郊外での 視察について,請求人は視察先が同一方向に3ヶ所位置しているのに,2 日間での視察としているのは非常に理解し難いと主張しているが,視察先 の位置関係や視察先での時間配分及び移動時間を計算すると,1日で3ヶ 所の視察をすることは困難であり,請求人の主張は理由がない。この視察 に専用バスを利用しても何ら不相当であるとは言えない。
視察の目的は,本市の岡山市デジタルミュージアムを運営する上で今後の 参考とするためであり,新交通システム試乗については,翌日のニューサ ウスウェールズ州議会議事堂での視察内容の事前視察のためであり,公務 とかけ離れたものとは言えない。
また,新交通システム試乗場所までの専用バスによる移動については, 請求人は公共交通機関の利用と歩行によるべきと主張するが,それまでの 団体行動による行動から考えると,専用バスの利用を不当と言うことはで きない。
カ 2月2日(月)のシドニーでの視察及び郊外北部のウィルビー市の視察 について,請求人の主張する公共交通機関の利用では,移動が四方向に跨 っているため,頻繁な乗り継ぎや時間待ちが行われることになり,専用バ スを利用するのが合理的である。
キ 2月3日(火)については,最終日の帰国日であり,搭乗する航空機の 出発予定時間に遅れないように,視察者全員が滞りなく搭乗手続きを行う 必要があるため,専用バス利用が不当であると言うことはできない。
次に,交通に要する費用については,請求人の主張する現地の公共交通機 関を調査したところ,経路の一部に請求人の主張と異なる部分があるが,費
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用の額については 1人あたりに支給された88, 000円を下回る計算となった しかしながら,視察先との時間の約束や配分及び距離等を考慮すると,視
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察場所によっては 乗り継ぎに時間や労力を要する公共交通機関の利用では 専用バスに比べて時間的な損失の可能性が大きく,円滑に海外視察を行うこ とに支障を来たすおそれがあると言わざるを得ない。
よって,仮に請求人が主張する公共交通機関を利用する場合に比べて多額 であったとしても,そのことのみで専用バスの利用が直ちに違法な支出とは 認められない。
(3)公務外の観光目的の視察であるとの請求人の主張について
請求人が,視察の目的について公務ではなく私的な観光であると主張して いる果樹園及びパワーハウスミュージアムの視察については,オークランド 郊外の果樹園視察は,報告書に詳細が記載されているとおり,海外の農業状 況を視察研究して農業振興の施策に反映することができるので議員の公務に 関係があると言える。また,シドニーのパワーハウスミュージアム視察は, 岡山市デジタルミュージアムの運営に関し,当博物館の展示品を視察するこ とにより参考にすることができる。
(4)議員の海外視察の成果について
請求人は海外視察の目的やその結果がどのように反映されるかということ に疑問を抱いているが,帰国後に岡山市議会議員海外行政視察調査等に関す る取扱要領第7条の規定により,岡山市議会大洋州・アジア諸都市行政視察 報告書としてまとめられており,これが議会図書室に備えられ,常に市民が 閲覧できることとなっているので,成果を挙げていないと断定することはで きない。
(5)請求人が主張する岡山県議会の海外視察に関する判決との関係について 請求人は,岡山県議会の海外視察における専用車使用の岡山地方裁判所及 び広島高等裁判所岡山支部の判決事例を参考にして,本件の専用バス利用は 岡 山 市 職 員 等 の 旅 費 に 関 す る 条 例 第 6 条 に 規 定 す る 最 も 経 済 的 な 通 常 の 方 法,また,特別な事情がある場合に当たらないと主張している。
しかしながら,岡山県議会の事例は視察団の人数が2人であり,本件の場 合は9人の団体行動である。移動手段はその旅行計画の内容によって異なる ものである。また,上記裁判例は1人あたりの専用車代金が本件と比べて高 額でもある。この裁判例は事案が本件とは著しく異なっており,本件視察旅 行の決定に際し,影響を与えないものである。この裁判例の存在は本件の支 出の正当性を否定するものではない。
(6)結 論