土地利用が都市の持続可能性に与える影響に関する研究 [ PDF
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(2) から排出されるCO 量 (以下PTCO 2量) を以下のように 2. 増加するものとする。. 計算する。. (3) 都心集中-職住近接モデル n. m. PTCO 2 =∑(∑ (T ij ×S j ×U j )) j=1. 2005年以降の商業、 業務、 住宅、 文教厚生の延床増. i=1. T ij :トリップi手 段 jに お け る 所 要 時 間 [h]. 加分が、 天神と博多駅の中心から半径3kmの円の内部に. S j :手 段 別 平 均 速 度 [km/h] 9)∼ 11). 集中し、 その他の用途は現状トレンドモデルと同様に. U j :手 段 別 CO 2 排 出 原 単 位 [g-C/km] 9)∼ 11). 2-3 緑地により吸収されるCO2量の算出. トレンドによって増加するものとする。 その際、 郊外. 植物にはCO2を吸収する働きがある。 土地利用の違い. 部の戸建住宅の増床分は都心部では集合住宅に変わる. により空地や緑地の面積が変化するため、 前述のLCAの. ものとする。 (4) 副都心形成 モデル. 手法に加え、 既往文献 の原単位を用いて緑地による 12). CO2吸収量を算出する。. 2005年以降の商業、 業務、 住宅、 文教厚生の延床増. 3.福岡市におけるケーススタディ. 加分が、 西新、 香椎、 大橋から半径1kmの円の内部に集. ここでは、 福岡市の2005年から2035年までに排出さ. 中し、 その他の用途は現状トレンドモデルと同様にト. れる CO2 量を土地利用の異なる4つのモデル毎に算出. レンドによって増加するものとする。. し、 土地利用と排出されるCO2量の関係を明らかにす. 3-3 PTCO2 量の予測式の作成. る。 福岡市の人口は2025年まで上昇を続け、 それ以降. 土地利用が変化した場合、 トリップの距離や利用交. は減少に転じると予測されている13)。. 通手段も変化するため、 土地利用とPTCO2量の関係を明. 3-1 使用するデータと将来延床推計のフロー. らかにし、 土地利用が変化した場合のPTCO2量を求める. データ には都市計画基礎調査 データ (H5、 H10) と北. 予測式を作成する。 まず、 H5のPT調査データからH5の. 部九州圏PT調査データ (H5) を用いる。 将来の延べ床. 目的別トリップ当たりPTCO2量を求め、 次に目的別 ト. 面積は人口に比例するものとし 、 図3のフロー にした. リップ当たりPTCO2量と関連する土地利用関係指標 か. がって推計する。 分析はPT調査のCゾーン (以下地区. ら、 PTCO 2 量の予測式 を求める。. 注 1). 3-3-1 土地利用関係指標. であるため、 ①現在決定されている都市計画道路は. トリップ当りPTCO2量は、 トリップの距離、 利用交通. 2035年までに全て整備される、 ②それ以外に新たな道. 手段によって決定されるものである 。 そこで、 トリッ. 路は建設されないとの仮定に基づき計算を行う。 上下. プ距離に影響を及ぼすと考えられる都心からの距離、. 水道については①福岡市では既にほぼ整備済みである、. 従業利便性、 商業利便性、 用途の混合度合い及び住宅. ②現在の使用量等を人口に比例させて人口が最大とな. 集中度合い、 交通手段の選択に影響を及ぼすと考えら. る2025年の使用量等を推計したところ、 処理能力を上. れる公共交通の利便性をトリップ当りPTCO2量に影響を. 回らないことが明らかとなったため、 新たな整備や建. 及ぼす主な要因であると推測し、 それらの土地利用を. 設はないものとする。 この仮定では土地利用の変化に. 示す指標を以下の通り作成する。. ) を単位として 行う。 また、 道路の将来需要は困難. (1)従業利便度、商業利便度、住宅集中度. よるインフラからのCO2排出量の違いを明らかにするこ. n. Ri=∑Aj/Dij. とができないが、 今回はインフラからのCO2排出量が全. j=1. 体のCO2排出量に占める割合を示す意味でCO2 排出量を. 建築物から 排出されるCO2の算出フロー H7 国勢調査 H12 国勢調査. 算出する。 3-2 土地利用モデルの設定. CO2 排出原単位. 土 地 利 用 モ デ ル の 設 定. H10 人口 一人当 用途別延床. (1) 現状トレンドモデル. H10 都市計画 基礎調査. 各地区の用途別、 構造別延床面積は一人当たり延床. 用途別延床 総量. 予測人口. (建 設 ・ 維持・ 改修・ 解体). 地区別 用途別延床. CO2. (エネル ギー 消 費). CO2 排出原単位. 面積と人口から求めた用途別、 構造別延床面積の総量 をコントロール値として 、 H5とH10の都市計画基礎調. CO2. 構造別延床. H5 都市計画 基礎調査. H5 PT調査. 査から求めた各地区の伸び率によって増加するものと する。. 目的別居住地ト リップ当 CO2予測式. インプットデー タ 中間生成物 アウトプットデータ. (2) 都心集中-職住分離モデル PTCO2. 2005年以降の商業、 業務の延床増加分 が、 天神と博. 人の移動から排出されるCO2の算出フロー. 多駅の中心から半径2kmの円の内部に集中し、 その他の. 図3 建築物から排出されるCO2と PTCO2の将来推計フロー. 用途は現状トレンドモデルと同様にトレンドによって. 5-2.
(3) Ri:地区jの利 便 度ま た は 集中度. 業務・通学・私用・社交目的のトリップ当たりPTCO 2. Aj:地 区 jの用 途 別 延 床 (従業利便度に は商 業 、 業務 の延床面積の合 計、 商業利便度に は 商. 量については、 相関の高い説明変数が見つからなかっ. 業の 延床面積、 住宅 の集中度 には 住 宅の の延床面積を使 用). たため、 土地利用の変化による違いはないものとして. Dij:地 区 iか ら jま で の 距 離. 取り扱う。 上記3目的のトリップ数は全トリップ数の約. (2)用途の混合度. 7割を占めるため、 モデル間の比較に問題はないと判. n. 混合度=1-∑ n (n i -1)/100(100-1) i=1 i. 断した(図5)。. ni:地区内の 用途別建物延床面積の 構成比. 4.結果と比較分析. ( 住 宅 、 商業 、 業務 の 面 積 構 成 比を 使 用 ). (3)鉄道、バス利便指標. 4-1 現状トレンドモデルのCO2排出量推計結果. 鉄道駅、 バス停からの一定圏域 (=利便エリア ) が. 福岡市 で2005年から2035年の30年間に排出される. その地区の面積に占める割合で (図4) 鉄道、 バスそれ. CO 2 量の合計は208,529,137tで、 ライフサイクルの段階. ぞれについて 「鉄道利便指標」 「バス利便指標」 として. 別のCO2排出量を見ると供用段階が99%を占める。 これ. 算出したもの。 一定圏域には、 鉄道駅に関しては500m、. は建築物の運用段階での電気、 ガスといったエネル. バス停に関しては300mという値を用いる14)。. ギー消費が占める割合が大きいためである (表2) 。. (4) 都心からの距離. 4-2 モデル間の比較分析. 面積から求めた各地区の重心と、 福岡市の中心であ. 設定した4つのモデルを比較すると、 CO2排出総量では. る天神1丁目を含む地区の重心までの直線距離。. 都心集中−職住分離モデル、 副都心形成モデル、 都心集中. 3-3-2 予測式の作成. −職住近接モデルの順で少なくなることがわかる。 そこ. 目的別トリップ当たりPTCO2量と相関の見られた指標. で、 その要因を考えるために、 建築物から排出されるCO2. を用いてステップワイズ法による重回帰分析を行った。. 量、 PTCO2量、 緑地によるCO2吸収量という3つの分類での. その結果通勤、 買物、 帰宅目的のリップ当たりPTCO 2量. 増減を見てみると、 建築物から排出されるCO2量の違い. について以下の予測式を作成することができた。 有意. は、 建築物の構造に起因するものと戸建と集合という住. 確率は1%で標準化係数 、 共線性の統計量等の値は表1. 宅の形態に起因するものがあるが、 その差はほとんど見. に示す。. られない(図6)。. (1) 通勤目的(R=0.804). それに比べ、 人の動きから排出されるCO2量はモデル間. PTCO2 /Trip=-0.016×W-66.928×R+277.201. での違いが大きい。 まず、 都心集中−職住分離モデルは. (2) 買物目的(R=0.794). CO2排出総量で現状モデルを下回っているにも関わらず、. PTCO2 /Trip=0.004×H-25.5×R+0.008×D-23.974. PTCO2量はわずかに増加しているが、 これは商業、 業務施. (3) 帰宅目的(R=0.674). 設が都心に集中したことで、 都心部以外でのトリップ当. PTCO2 /Trip =-49.507×M-41.416. たりPTCO2量が増加したことと (図7) 、 その都心部以外で. +0.003×D+132.984. 表2 現状トレンドモデルのCO2排出量推計結果. W:従業利便度 R:鉄道利便指標 H:住宅集中度 . インフラ 建築物 人の動き 小計 LC段階別割合(%) 緑地による吸収 合計. D:都心 からの距 離 M:用途の 混合度 8%. 19% 40%. 10% 5% 10%. 図4 交通利便指標の考え方. 帰宅 業務 私用 社交 通学 通勤 買物. 8%. 図5 目的別トリップ数の割合. C O2 排 出 量. 表1 重回帰分析の係数等 従属変数. 説明変数. 非標準化係数 標準化係数. 解体 168 168 0.08 -. 合計 1,439 207,630 3,702 212,771 100 - 4,242 208,529 千t- C. 1.01 1.00 0.99 0.98 0.97 0.96 0.95. - 0.227 0.322 - 0.309. 定数 通勤PTCO2 従業利便度. 277.201 - 0.016 - 66.928 - 23.974 0.008 - 25.500. - 0.608 - 0.291 0.965 - 0.201. 0.195 0.892. 1.409 1.409 5.137 1.12. 0.004. 0.305. 0.205. 4.879. 0.71 0.71. 0.02 0.01 0.00 0.01 0.02. VIF 1.663 1.386 1.306. 132.984 - 49.507 0.003 - 41.416. 都心 までの距離. 供用 1,066 206,135 3,702 210,903 99.12 -. 共線性の統計量 許容度 0.601 0.721 0.762. 定数 用途 の混合度 帰宅PTCO2 鉄道利便指標 都心 までの距離. 鉄道利便指標 定数 住宅利便度 買物PTCO2 鉄道利便度. 建設 373 1,327 1,700 0.80 -. C O2 吸 収 量. 現状モデル. 都心集中- 職住分離 都心集中- 職住近接 モデル モデル. 副都心モデル. 0.95 0.96 0.97 0.98 0.99 1.00 1.01 総量. 建築物. PT. 緑地. 図6 モデル間の排出CO2量比較 (現状モデルを1とした場合). 5-3.
(4) 人口が増加したことが原因と考えられる。 また、 PTCO2量. (1) CO2を指標として都市の環境的側面から見た持続可. が4つのモデル中で最も減少した都心集中−職住近接モデ. 能性を定量化する方法を構築したことで、 土地利用の. ルでは、 トリップ当たりPTCO2量の少ない都心部で人口が. 異なる都市モデルの環境的側面から見た持続可能性を. 増加し、 それ以外での人口増加が抑えられたことがPTCO2. 比較することが可能となった。. 量が減少の原因であると考えられる (図8) 。 副都心形成. (2) その手法を福岡市に適用したところ、 都心への商. モデルのPTCO2量減少原因も同様に考えることができる。. 業、 業務機能の集中より、 都心居住の推進による用途の. 4-3 まとめ. 混合のほうが人の移動から排出されるCO2量の削減効果. 今回比較した4つのモデルの中では都心集中-職住. が高いことが明らかとなった。. 近接モデルのPTCO2量が最も小さく、 福岡市においては. (3) 建築物等の立地場所変更によって高めることので. 人の移動から排出されるCO2量削減のためには都心居住. きる都市の環境的持続可能性はCO2排出総量からすると. の推進と都心部への開発集中が有効であると推測でき. わずかであるが、 社会的、 経済的側面から見た持続可能. る。 また、 推計した2005年の総延床面積5.77%にしか. 性が高まることも考えられるため、 社会的、 経済的側面. 満たない将来の増床面積の立地場所変更により、 3.44. から見た持続可能性の定量化が今後の課題である。. %のPTCO2量削減効果が得られるということは、 土地利 用によって人の動きをコントロールすることの重要性 を示していると考えることができる。 しかし、 CO2排出総量としては、 コンパクト性の異なる 4つの都市モデルを比較してもほとんど変化が見られず、 コンパクトシティによるCO2削減効果はCO2排出総量から するとわずかなものである。 5.おわりに 本研究ではCO2を指標に人の動きを考慮に入れた都市 のLCAの手法を用いて都市の環境的側面から見た持続 可能性を定量化する手法を構築し、 土地利用が都市の 環境的側面から見た持続可能性に与える影響について 解明を試みた。 その結果は以下のようにまとめること ができる。. 図8 都心集中ー職住集中モデルの地区別トリップ当PTCO2量と 現状トレンドモデルとの地区人口の比較. 図7 都心集中ー職住分離モデルと現状モデルのPTCO2量比較 (現状モデルを1とした場合). 5-4.
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