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面接者−被面接者関係とイメージ体験との関連に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)面接者−被面接者関係とイメージ体験との関連に関する研究 キーワード:イメージ面接 イメージ体験 面接者―被面接者関係 人間環境学府人間共生システム専攻 村上 一德 【問題と目的】. メージ体験に影響を及ぼした可能性が示唆された。. イメージ面接においてはイメージを体験すること自体. 田嶌(1987)はイメージ面接が深まるために重要であ. が重要であると言われている。特にイメージ体験におい. ると考えている「内界志向的構え」ないし「自己志向的. て重要だと考えられている視点に、イメージの体験様式. 構え」は安定した治療者 ―患者関係に支えられて形成さ. (田嶌,1987)とイメージの鮮明性(長谷川,1992;田. れるものであると関係性の重要性を述べている。また、. 中,1994)とがある。イメージの体験様式とはイメージ. 松本(1999)の研究では、不安傾向とイメージ体験の関. がどのように体験されているかという側面であり、 「イメ. 連を述べており、高不安群は快イメージを想起すること. ージと自己との間の体験的距離」と「イメージに対する. が少なく、イメージに直面することが困難であることが. 心的構え」からなると田嶌は述べている。そして、この. 認められた。つまり、不安を少しでも低減してくれる存. イメージの体験様式がはじめはイメージ拒否の段階(必. 在である面接者はイメージ体験を深めていくためには重. ずしもこの段階からとは限らないが)から段々とイメー. 要な役割を果たしているといえるのではないだろうか。. ジ受容へと変化していくことが治療的には重要であると. つまり、イメージ面接では患者にとって直面したくな. している。また、イメージの鮮明性はイメージによる情. い、不安をかきたてられるような避けたいイメージが浮. 動喚起(恐怖)の研究においてその重要性が示唆されて. かんできて、 それを乗り越えないといけないことも多く、. いる。. また、そういったイメージ体験は本人にとって適切なペ. イメージ面接は通常、面接者と被面接者の二者間で行. ースをとることが難しいこともある。したがって、面接. われる心理面接である。 イメージ面接において面接者は、. 者との関係性はイメージ面接を行う上で非常に重要な治. 比較的非指示的・共感的に被面接者のイメージ体験を聞. 療要因にもなりえる。. き、イメージ体験が促進する援助をする。イメージ体験. 上述のように、イメージ面接において、面接者 ―被面. は極めて心理的な体験であり、そのイメージを浮かべて. 接者の関係性がイメージ体験の深まりにおいて重要であ. いる本人以外は直接的にみることはできない。したがっ. ると様々な事例研究によって言われている。しかし、面. て、面接者が被面接者のイメージ体験を把握するために. 接者―被面接者の関係性を測定する尺度はない。. は被面接者からの言語報告が必要となる。. したがって、研究1では、イメージ面接における面接. 筆者は卒業論文で、イメージ体験という内的な活動を. 者 ―被面接者関係を面接者と被面接者という二者間にお. 言葉として報告することがイメージ体験自体に影響を与. けるイメージ体験のやりとりにおいて生じる、被面接者. えるのではないかと考え、イメージ面接における言語報. 側が感じている、面接者認知、面接者との関係認知、被. 告がイメージ体験に及ぼす影響について検討した。その. 面接者にとっての面接者の存在から考え、イメージ面接. 結果、イメージ体験を「言語報告する」条件の方が「言. における面接者 ―被面接者関係質問紙を作成し、イメー. 語報告しない」条件よりもイメージを深く体験できる. ジ体験との関連を数量的に検討する。. (p<.05)可能性が示唆された。これは、第一には笠井. その上で、関係質問紙をイメージ体験中とふりかえり. (1989)の言う「イメージ体験を言語化することは、そ. 面接後の両方で測定し、それぞれの特徴及び相補性を検. れを対象化・客観化し、イメージ体験への直面、明確化. 討する。. を促されることになる」という体験者の個人内での要因. また、研究2では研究1で分類した「面接者−被面接. によるものと考えられる。また、第二にはイメージ体験. 者関係質問紙」のカテゴリーをもとに、5 回セッション. を報告するということで、イメージ体験が面接者と共有. を行ったイメージ面接を事例的に検討する。. されている感じが生じ、面接者 ―被面接者の関係性が深 まったことにより、安心してイメージ体験ができたとい うとも考えられる。つまり、面接者−被面接者関係がイ.

(2) 【研究1】. table1. 面接者−被面接者関係質問紙カテゴリー分け. 目的:イメージ面接における面接者−被面接者関係を測 定する質問紙を作成し、イメージ体験との関連を 数量的に検討する。 方法: 被験者:心理学の講義を専攻する、面接者と初対面の学 生 27 名(男性 7 名、女性 20 名) 。平均年齢 21.52 歳。 指定イメージ:壺イメージ法 材料:①イメージ能力(鮮明能力、コントロール能力) 測定のための質問項目(各 1 項目) 。 ②イメージ体験を測定する質問紙として、ⅰ)イメ ージ体験様式測定尺度(松本,1997 未発表:MIES Ⅱ:安定没入、自己理解の2因子からなる) 、ⅱ)イ メージ内容・イメージ体験の快−不快、ⅲ)イメー ジの鮮明性 ③面接者−被面接者関係質問紙(フォーカシングに おけるフォーカサー−リスナー関係質問紙、SFRI 関係認知目録、イメージ面接体験者による感想を参 考として 44 項目からなる質問紙を作成) 手続き:①イメージ練習後、イメージ能力に関する質問 項目に回答②壺イメージ法③イメージ体験に関する 質問紙と「面接者−被面接者関係質問紙」に回答③ ふりかえり面接(感想、イメージ体験の流れを聞く) ④「面接者−被面接者関係質問紙」に回答 結果: 3 名の心理臨床家に筆者を加えた4名で「面接者−被 面接者関係質問紙」のカテゴリー化を試みた。その結果 を table1 に記す。. イメージ体験の把握 33面接者は私の言っていることを表面的ではなく、深いとこ ろでわかっているように感じた。 23 自分が体験したイメージが面接者に理解されていると思っ 1 面接者は私の感じているものを共に感じていたと思う。 12 面接者は自分の流れについてきているように感じた。 17 面接者は私がどう感じているかに集中していたように思 28 面接者は私の感情の微妙な変化にも敏感だった。 配慮・尊重 22 面接者は私と共にいて、私を見守っているように感じた。 15 面接者は私に対して好意的に接してくれていると思う。 19 面接者は私の感じているものを尊重してくれているように 感じた。 40 面接者は私を支えてくれているように感じた。 43面接者は、私が自分にとって嫌なことを感じている時も、 優しい態度で接していた。 自然な声かけ 25 面接者の言葉は自分の一部のように聞こえた。 38 面接者の声が自分の中にすんなり入ってくる感じがした。 32 面接者の発言が自分の体験の流れの邪魔にならなかっ 3 面接者の言葉は私の感じていることとずれていなかった。 安定した面接者 44 面接者はそこにいるという安心感があった。 35 面接者は、私が自分を感じるのをゆったりと待っていた。 7 面接者は焦ったり、不安を持ったりはしていないと感じた。 18 面接者は私との関係の中で落ち着いて安定しているよう 自己への体験への集中 29 面接者の存在が気にならなかった。 37 面接者に話すというよりも、自分に話しかけているという 感覚が強かった。 42 意識して言葉を話そうとしているのではなく、知らず知らず のうちに言葉がでていくような感じだった。 34 自分のイメージが面接者に理解されなくても大丈夫だと 思った。 30 面接者は私のイメージ体験がうまくいくかどうかにはこだ わっていないように感じた。. 面接者−被面接者関係質問紙の各カテゴリーと MIES Ⅱ、イメージの快−不快について Spearman の順位相関 係数を算出し、面接者−被面接者関係質問紙を従属変数 とし、イメージ能力を説明変数とする重回帰分析を実施 した。結果は table2∼3 に示す。 「イメージ体験中」についての関係質問紙と「ふりか えり面接」後の関係質問紙とについて Wilcoxon の順位 検定を行った結果、「イメージ体験の把握」(Z=−2.76、 p<.01) 「積極的働きかけ」 (Z=−2.475,p<.05) において「ふりかえり面接後」>「イメージ体験中」で 有意な差が認められた。「自然な声かけ」(Z=−2.241, p<.05)において「イメージ体験中」<「ふりかえり 面接」で有意な差が認められた。. 受容される感じ 14 面接者に対して遠慮や照れのようなものはなかった。 24 面接者には何を言っても受け入れられるという感じがあっ 2 どんなものが出てきても、面接者が受けとめてくれると感 じていた。 5 面接者が自分のことをどう思っているかが気になってい 39 面接者に対してよい印象を与えようと考えた。* 26 面接者の対応で気になるところがあったが伝えることがで きなかった。* 16 面接者に自分の深いところを知られたくないと思った。* 積極的働きかけ 9 面接者から操作されている感じがなかった。* 31 面接者は私の気持ちが乱れるようなことはいわないで隠 していたように思う。* 21 面接者は私の中の深い部分を見ようとしていた。 10 面接者は私がどう感じているかを明確にしようとしてい 27 面接者が自分の気持ちをひとつひとつ整理してくれたよう な感じだった。 * は逆転項目.

(3) Table2 MIESⅡとイメージ面接における面接者-被面接者関係質問紙の相関行列 ( Speamanの順位相関係数) 合計得点 安定没入 自己理解 イメージ体験の把握 .25n.s .17n.s .18n.s 配慮・ 尊重 .22n.s .10n.s .27n.s 自然な声かけ .33n.s .16n.s .24n.s 安定した面接者 .31n.s .16n.s .22n.s 自己体験への集中 .44** .01n.s .50** 受容される感じ .35n.s .39* −.01n.s 積極的働きかけ .31n.s .32n.s .07n.s 関係性質問紙合計得点 .46** .24n.s .36n.s いずれもN=27 *: p<.05 **: p<.01. Table3 「イメージ内容の快- 不快」と「面接者- 被面接者関係質問紙」の相関行列 (Speamanの順位相関係数) 全体/快- 不快 印象/快- 不快 体験/快- 不快 イメージ体験の把握 .34 n.s .43 * .55 * * 配慮・尊重 .33 n.s .30 n.s .48 * 自然な声かけ .35 n.s .27 n.s .40 * 安定した面接者 .29 n.s .33 n.s .26 n.s 自己体験への集中 .31 n.s .16 n.s .35 n.s 受容される感じ .15 n.s .38 n.s .13 n.s 積極的働きかけ .08 n.s - .06 n.s .01 n.s 関係性質問紙合計得点 .36 n.s .36 n.s .46 * いずれもN=27 * :p<.05 * * :p<.01. 【研究2】 目的:5回セッションにおける面接者−被面接者関係と イメージ体験との関連について事例的に検討する。 方法: 被験者:研究1の中から5回セッションを受けた学生4 名(男性2名、女性2名) 。 材料・手続き:研究1と同じ。 研究2は事例的研究であり、プライバシー保護のため事 例の記述は割愛させていただきます。 結果と考察: 全事例を通して、巻き込まれるイメージ体験をした場 合、自分では取り扱うことができないようなイメージ体 験をした場合、被面接者 ―被面接者関係質問紙における 「受容される感じ」得点が下がる傾向がみられた。これ は、自分自身でも受け入れることができないイメージ体 験は面接者にも受け入れられないと認知する傾向がある といえる。つまり、イメージ体験によって面接者−被面 接者関係が影響を受けたと考えることができる。 また、多少、嫌なイメージや寂しいイメージは浮かぶ. 考察:. ものの、イメージに巻き込まれるということはなく、安. 面接者−被面接者関係質問紙のカテゴリー化におい. 定して体験していた事例においては、面接者との関係得. て、イメージ面接に特有であると考えられる「自己の体. 点は 1 回目はやや低いが他は高得点でおおよそ安定して. 験への集中」が見出された。これは面接者に対してイメ. いる。また MIESⅡにおける安定没入因子は高得点であ. ージを報告しながらも面接者を気にしすぎることなく自. るが、自己理解因子は低い得点であった。. 己のイメージに集中して体験するというカテゴリーであ る。. 面接者の声かけに対して、被面接者からズレを感じた という発言があった事例もあった。そのことについてふ. この「自己の体験への集中」は MIESⅡ合計得点と「自. りかえり面接で話した時、被面接者は最初、面接者が焦. 己理解」因子において関連があることが示唆された。ま. っていたと認知していたものが、話をするうちに自分の. た、 「受容される感じ」と「安定没入」因子に関連がある. 方が焦っていて、先に先に進もうとしていたと認知が変. 傾向が認められた。. 化した。それによって、5 回目においても同様の声かけ. 「最も印象に残った場面の快−不快」と「イメージ体 験の把握」 が関連があり、 「イメージ体験自体の快−不快」 は「イメージ体験の把握」 「配慮・尊重」 「自然な声かけ」 と関連が認められた。. を面接者が行ったが、焦って進もうとする自分の視野を 広げてくれるものと認知した。 「イメージ体験中」より「ふりかえり面接」において 大きく面接者−被面接者関係得点が上がる事例において. ふりかえり面接は、 「イメージ体験の把握」と「積極的. は、MIESⅡにおける自己理解因子の得点が高いことと. 働きかけ」の得点が有意に高かったことから、イメージ. 関係があると言えるかもしれない。つまり、イメージ体. 体験中に充分に伝えられなかったイメージ体験補うこと. 験中において、自己理解が深まる結果、ふりかえり面接. ができると考えられる。また、 「自然な声かけ」はイメー. に対する動機が高まる可能性が考えられる。. ジ体験中の方が有意に得点が高かったことから、イメー ジ体験中はふりかえり面接時よりは面接者の声かけを意 識せずに聞くことができるといえるであろう。. 【本研究のまとめ】 本研究は、面接者−被面接者関係とイメージ体験との 関連を検討しようと試みたものである。数量的検討から.

(4) は「自己の体験へ集中する」ことが、イメージの体験様. また、事例的検討おいて、5 回のセッションでは面接. 式を深め、特にその中でも自己理解を深めることとの関. 者−被面接者関係の変化がイメージ体験の影響を大きく. 連がみられた。また、面接者に「受容される感じ」がイ. 受けた可能性がある。つまり、イメージ体験にあまり影. メージに安定して没入することと関連がある傾向が認め. 響を受けないような面接者−被面接者関係を築くには 5. られた。これは一方向的なものではなく、イメージ体験. 回では短かった可能性がある。今後、回数を重ね、検討. が面接者−被面接者関係に影響を及ぼしている可能性も. していく必要があるであろう。. あり、またその逆の可能性もある。 しかし、本研究における事例的検討からはイメージ体 験が面接者−被面接者関係に影響を及ぼしている可能性 が示唆された。その理由として、被面接者自身が受け入 れることが難しいようなイメージ体験をした場合、面接 者に「受容される感じ」 が下がる傾向があるようである。 これは数量的検討における「安定没入」と「受容される 感じ」の関連とも合致する。 イメージの内容は被面接者から出てくるものであり、 それをどのように体験するかという体験様式によって、 体験は異なってくる。浮かんでくる内容は面接者の影響 を受ける可能性もあるが、被面接者自身からでてくるこ とが多いといえる。しかし、その中でも体験様式は面接 者との関係によって変化していく可能性がある。 そのためには、イメージ体験に左右されないような面 接者−被面接者関係を形成していく必要があるであろう。 そのための一つの方法としてはふりかえり面接が重要で あると考えられる。ふりかえり面接によるイメージ体験 の相補性は研究1でも示唆され、研究2においては面接 者とのズレを話すことによって、次回では同じ面接者か らの声かけをズレとしてではなく、視野を広げてくれる ものとして受け取った。面接者−被面接者の関係を考え る上で次回につながる関係作りのためにもふりかえり面 接は重要であるといえよう。また、実際の心理臨床にお いても被面接者が受け入れ難いイメージ体験をした場合 に面接者に受容される感じが低くなる可能性もある。そ ういった場合、ふりかえり面接においてより丁寧な関わ りが必要であろう。 また、もう一つの方法としては、イメージ体験中の面 接者の介入によって、体験様式も変化するということが 挙げられる。こういった介入によって面接者 ―被面接者 関係も変化する可能性がある。つまり、体験様式と面接 者 ―被面接者関係が相互に影響しあうといえるであろう。 しかし、 本研究では、 被験者は実験として参加しており、 臨床場面と異なるため、面接者の介入も被面接者の体験 様式を変化させるような介入ではなかったといえるであ ろう。 今後の課題としては、被験者数を増やし、因子分析を 行い、より妥当性が高い統計的検定が必要であろう。.

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参照

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