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著者 木下 聖也

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ミスト化学気相堆積法を用いた新規カーボンナノチ ューブ合成技術の開発

著者 木下 聖也

発行年 2018‑12

出版者 静岡大学

URL http://hdl.handle.net/10297/00026672

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学 位 論 文 要 約

Summary of Doctoral Thesis

専 攻:ナノビジョン工学 氏 名:木下聖也 Course:Nanovision Technology Name:Toshiya Kinoshita

論文題目:ミスト化学気相堆積法を用いた新規カーボンナノチューブ合成技術の開発 Title of Thesis:Development of novel synthesis technique of carbon nanotube by mist chemical vapor deposition method

論文要約:

特異的な性質と構造を有するナノカーボン材料は、既存技術のハイテク化、ダウンサイジ ング化、省エネルギー化等への可能性を秘めた材料として注目を集め、多くの研究者によっ て基礎、応用研究が進められてきた。その中でも、カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube:

CNT)は、既存材料を凌駕する様々な諸特性を持つこと、軽量かつ柔軟であること、他炭素 材料に比べて簡易的に大型化が可能であることから、電子デバイス材料、エネルギー材料、

構造材料、医療材料、航空宇宙材料といった多岐にわたる分野における実用化研究が行われ ている。

CNTというと粉末状のものが一般的であるが、市販されているものは非常に短尺であり、

ハンドリング性が低い。一つ一つがランダムな方向に配列しているため、高い異方性を有す るCNTの特性をマクロな構造へ反映させることが大変難しい。よって、応用分野が限られ ることが粉末CNT利用のデメリットとして挙げられる。一方で、CNTフォレストと呼ばれ る基板上に高密、垂直配向したCNTの合成技術が開発され、CNTの高い異方特性を顕著に 発現させる構造を作り出すことが容易となった。また、そのフォレスト長(CNT 長)、CNT 直 径、密度、配向性、表面平滑性等がある一定の条件を満たすと、乾式紡績現象を発現することが 知られている(図 1)。これは、CNT フォレストの側面を適当なツールでつまみ出すと、隣接する CNT同士が自発的に結合され、ウェブとよばれる長繊維体に変換される現象である(図1)。このウ

図1. 高密なCNTフォレストからウェブが引き出されいている様子.

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ェブ中のCNTは、引き出し方向に配向しており、個々のCNTの異方性を強く反映する構造となっ ている。この現象の発見により、CNTの大型化と配向化が容易となり、CNTの応用性を大きく向上 させるきっかけとなった。

一般的に、基板上へのCNTフォレスト成長は、CNTの成長核となる金属触媒ナノ粒子形成を経 て、化学気相堆積法(CVD)によって合成される。前者の触媒形成は、一般的に蒸着法やスパッタ リング法などによって行われるため、高真空環境が必要とされる。また、触媒形成後、CVD 装置へ 基板を移送する際に、大気暴露によって金属触媒が酸化される。そのため、CNT 成長に対して触 媒を十分な活性状態にするために、CVD時のCNT成長工程の前に還元プロセスを行う必要があ る。このように、多段階のプロセスを経て合成されることから、生産性が低く、応用展開への大きな 弊害となっている。

本研究では、従来法のプロセス簡略化に向けて、触媒粒子形成とCNT成長を同一のCVD装置 にて完結する新たな合成法の開発を行った(図 2)。金属触媒の前駆体を含有した溶液を超音波 発生装置にて霧化し、キャリアガスによって高温となった CVD 装置内に供給することで基板上に 触媒粒子を形成する。その後、熱CVDによるCNT成長へ連続的に移行する。霧化した前駆体溶 液の供給による触媒粒子形成プロセスはミストCVDと呼ばれ、従来の触媒形成プロセスのような高 真空環境を必要としないこちが特長である。また、CVD チャンバーの大気解放なしに全工程を完 結するため、形成された触媒金属の還元プロセスも必要としないことから、従来法よりもより簡易的 にCNTフォレストを得ることができる。本論文では、上記プロセスによるCNTフォレスト合成技術の 開発をベースに、乾式紡績現象を発現させるための構造制御法やその紡績CNTを用いた構造材 の作製と評価、紡績CNT構造体の特性向上に向けたさらなるCNT構造制御法、CNT応用性拡 大を狙った金属基板上へのCNT成長法について記述する。

触媒前駆体溶液の霧化供給ユニットを備えたCVD 装置を構築した。この装置を用いてCNT合 成のテストを行った。成長用の基板として、表面に酸化膜が形成された Si 基板を使用した。CNT

図2. ミストCVDによる触媒ナノ粒子形成と熱CVDによるCNT成長の連続プロセス.

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の成長核として最も一般的な鉄ナノ粒子を形成するため、前駆体としてフェロセンを用い、エタノー ルに溶解させたものを前駆体溶液として使用した。霧化した前駆体溶液は、アルゴンガスによって 装置内へ供給した。CNT の原料ガスとしてアセチレンを用いた。触媒形成及び CNT 成長温度を 820℃、触媒形成圧力を300 Torr、CNT成長圧力を3 Torrとして、それぞれステップの装置内位置 依存性について調査した。全長300 mmの電気炉内において、基板をガス流入方向の上流側、装 置中央、下流側の3 か所に配置し、触媒形成ステップ後の基板表面を原子間力顕微鏡(AFM)に よって観察したところ、どの位置においても鉄ナノ粒子が形成されていたが、温度の高い装置中央 では粒径が大きく、温度の低い上流及び下流側では粒径が小さくなる傾向が得られた。CNT 成長 ステップ後の基板表面には、走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果より、すべての位置において CNT成長が確認されたが、上流側及び装置中央ではスパゲッティ状のCNT が成長し、下流側で は、低密で短尺であるが、CNT フォレストが成長していることが分かった(図 3)。触媒粒子及び CNT 成長共に位置依存性があることが分かり、現条件では下流側が最も適した成長位置であるこ とが分かった。

より高密で長尺なCNTフォレストを得るために、CNT成長において、成長促進剤となる塩素ガス アシストプロセスを導入した合成を行った。供給されるガスの総流量に対して300 ppmの濃度で塩 素を添加しCNT成長を行ったところ、上流側、装置中央、下流側に配置した基板上全てにおいて CNT フォレストを得ることができた(図 4(a)-(c))。特に成長性の高かった下流側では、連続紡績可 能なCNTフォレストを得ることができた(図4(d))。紡績性を10段階に分類した評価を用いたとこ ろ、Rating: 3 となった。新たに開発した CVD装置において、紡績性を発現する高密で長尺な

図3. (a)-(c)基板上のSEM観察像と(d)-(f)それらの高倍像、(g)下流側配置基板上に成長し たCNTフォレスト.

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4 CNTフォレストを得ることができることを示した。

下流側にかけて成長性が高くなることが示唆されたため、下流側のCNT成長位置依存性 をより詳細に調査した。長さ100 mm の基板を装置の中央から下流側(電気炉内の上流側左

端より170-270 mm)に位置するように配置し、触媒形成後及びCNT成長後の基板表面の観

察を行った。触媒粒子は下流側にかけて高密になっていくことが分かり、CNT フォレスト の成長性は基板左端より75 mmの位置で最も高くなることが分かった。また、成長性に伴 って紡績性も高くなることが分かった。この結果より、チャンバー左端より245 mmの位置 が最適な成長位置であることが分かった。

より高密で長尺なCNTフォレストのための構造制御性を実現するため、塩素ガス濃度と 図4. 塩素添加プロセスによって合成を行った後の(a)上流側、(b)中央、(c)下流側に配置 した基板上の SEM 像と(d)下流側配置基板上に成長した CNTフォレストからウェブが引き 出されている様子.

図5. (a)合成後の基板の写真と紡績可能位置、(b)赤矢印の各位置の基板上に成長したCNT フォレストのSEM像、(c)青矢印の各位置におけるCNT成長前の基板表面のAFM像.

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成長圧力の影響について調査した。塩素濃度を0, 150, 300, 450 ppmと変化させた。また、各 塩素濃度条件下において、成長圧力を3, 6, 9 Torrと変化させて成長を行った。CNTの成長

時間は20 minとした。塩素濃度を増加するにつれてフォレスト長及び成長速度が向上し、

150及び300 ppmの濃度において成長性が高くなることが分かった(図6)。また、圧力を上

昇させることによってもフォレスト長及び成長速度が向上することが分かり、塩素濃度150 ppm、成長圧力9 Torrにおいて、フォレスト長が1.56 mm、成長速度が117.8 μm/minとなり、

図6. 塩素添加なし及び塩素濃度150, 300, 450 ppmにおいて成長圧力(a)3Torr及び(b)9 Torrで成長したCNTのSEM像

0 150 300 450

0 2 4 6 8 10

Spin−capability rating

Cl2 concentration (ppm)

図7. 各塩素濃度及び圧力条件における紡績性比較.

・3 Torr

・6 Torr

・9 Torr

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塩素無添加と比較してそれぞれ8倍、3倍となった。また、各条件下で得られたCNTフォ レストの紡績性について10段階の評価を行ったところ、塩素濃度300 ppmにおける成長圧 力3及び6 Torrの際に、最も高いRating: 9が得られた。これは、構造体を作製するために 十分な紡績性を有していることを示している。高密、長尺で高い紡績性を有するCNTフォ レストを得ることができる条件を見出すことができた。

本方法で得られた紡績CNTの応用材料へのポテンシャルを示すため、上記の紡績CNTを 用いて撚糸を作製し、機械特性の評価を行った。図 8 は本方法(ミスト CVD)で合成された 紡績CNTによる撚糸、及び本研究室で開発した塩化物介在CVD(CM-CVD)法の紡績CNTに よる撚糸の引張強度及びヤング率の CNT 直径依存性を示している。直径 11.4 nm の紡績 CNTを用いた際の撚糸において、引張強度1.37 GPa、ヤング率131.0 GPaの高い機械特性が 得られた。これはステンレスやチタンなどの汎用金属材料に匹敵する値を示している。また、

この撚糸の比強度、比ヤング率はそれぞれ1.13 N/Tex、107.8 N/Texとなり、上記金属材料よ りも高い値を示したことから、軽量高強度材料としての高いポテンシャルを有することを 示すことができた。

上述した直径依存性の結果より、紡績 CNT 構造体中の個々の CNT直径を減少させるこ とで、構造体の特性を向上させることが可能であることが示唆された。つまり、紡績 CNT 構造体の特性向上にCNTの細径化は有効な手段の一つであると言える。これに向けたさら なるCNT の構造制御法を見出すために、本方法における触媒形成とCNT 成長機構につい て調査した。

成長の最適位置を電気炉内の下流側としてきたが、より詳細な調査を行うため、成長最適 位置が中央に位置するように条件を再検討した。CNT の成長位置依存性と電気炉の温度分 布の関係に着目したところ、電気炉内の温度が700-750°Cになっている領域にてCNTが長 尺化していることが分かった。そこで、基板を上流側、中央、下流側に配置し、電気炉温度 を780から700°Cまで変化させてCNT合成を行ったところ、700°Cの条件の時、電気炉中

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 0.5 1 1.5

0 50 100 150 200

CNT diameter (nm)

Tensile strength (GPa) Young's modulus (GPa): Mist CVD : CM−CVD

図8. ミスト CVD及び塩化物介在CVDの紡績CNTによって作製した撚糸の引張強度及び ヤング率.

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央でCNTが最長になることが分かった。以上の結果より合成温度を700°Cとした。

CNT の直径は触媒ナノ粒子径に大きく依存する。そこで、触媒粒子径を変化させるために触媒 前駆体供給時間を変化させた際の CNT の構造変化について調査した。CNT 成長に使用してい た塩素ガスは、触媒粒子及びCNT構造に大きな影響を与えるため、本章より使用しない条件を採 用している。

触媒前駆体供給時間を2.0-4.5 minの間で変化させた際の基板表面のAFM像を図9(a)-(f)に、

薄膜化した基板の走査型透過電子顕微鏡(STEM)像を図 9(g)-(l)に、それぞれの観察像を用いて 計測した触媒粒子径及び触媒粒子高さを図 9(m)に示す。触媒供給時間を増加するにつれて、触 媒粒子サイズが増加していることが分かる。よって、触媒前駆体供給時間を変化させることで容易 に触媒サイズを変化させることができることが分かった。

上記の各触媒前駆体供給時間においてCNT成長行った。図10は各供給時間におけるCNT 図 9. 触媒前駆体を(a)2.0, (b)2.5, (c)3.0, (d)3.5, (e)4.0, (f)4.5 min 供給した後の基板表面 AFM像と(g)-(l)それらの平面STEM像(スケールバーはすべて50 nm), 及び各観察像より 計測した触媒粒子径と高さ.

0 1 2 3 4 5

0 5 10 15 20 25 30 35

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Catalyst particle diameter (nm)

AFM

STEM

Catalyst mist deposition time (min)

Catalyat particle height (nm)

(m)

図10. CNT内外径の触媒前駆体供給時間依存性.

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の直径を示している。触媒粒子サイズの変化と対応してCNT径が変化していることが分か り、触媒供給時間を減少させることで、CNT の直径を容易に変化させることができること が分かった。また、本研究では最小径となる7.4 nmのCNTを合成することができた。

CNT成長後の基板表面上のSEM観察像とCNTフォレスト長の変化を図11に示す。前駆 体供給時間の変化に対してCNTフォレスト長が変化しており、3.5 minにかけて増加して、

それ以降の時間で減少する傾向が得られた。触媒粒子サイズを減少させることで細径な CNTを得ることができるが、一方でCNTの成長性が低下することが分かった。

細径なCNTを有する長尺なフォレストを得るために、一般的に触媒ナノ粒子と基板間に Al2O3担持層を形成させる手法が広く用いられている。その担持層も触媒層の形成と同様に 蒸着法やスパッタリング法が用いられる。本研究では、CNT 構造制御制御性のさらなる向 上と担持層形成プロセスの簡略化に向けて、ミストCVDによる担持層形成プロセスを新た に加えた同一チャンバー内連続CVDプロセスの構築を行った(図12)。

Al2O3の前駆体を含んだ溶液の霧化供給ラインを新たに構築した。Al2O3の前駆体として アルミニウム(III)アセチルアセトナートの使用した。触媒形成及びCNT成長の温度を700°C とし、担持層形成温度を500°Cとした。担持層形成後の基板表面のX線光電子分光法(XPS)によ って測定を行ったところ、Al2O3層が形成されていることが分かった。

従来の SiO2層上とミスト CVD による Al2O3層上への CNT 成長を行った後の基板表面の (g)

Catalyst mist deposition time (min) 図11. 触媒前駆体供給時間(a)2.0, (b)2.5, (c)3.0, (d)3.5, (e)4.0, (f)4.5 minで合成したCNTフォ レストのSEM像と(g)フォレスト長の傾向.

図12. ミストCVDによるAl2O3担持層形成を加えた同一チャンバー内連続CVDプロセス.

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SEM観察結果を図13に示す。触媒前駆体の供給時間を変化させて成長を行った結果、すべ ての供給時間においてAl2O3層上の方が長尺なフォレストが成長していることが分かった。

従来のスパッタリング等で形成した Al2O3担持層と同様に、触媒活性を向上させる効果を持つこと が示唆された

一方で、CNTの直径を比較したところ、SiO2層上よりもAl2O3層上の方が太径のCNTが 成長していることが分かった。触媒形成後の基板表面を AFM によって観察したところ、

Al2O3層上の方が粒径の大きな粒子が形成されていることが分かり、触媒粒子の熱拡散凝集 が促進されていることが示唆された。それを防ぐため、触媒形成及びCNT成長温度を700 から650°C に下げて合成を行ったところ、SiO2層上ではフォレストの状態のCNTを得ること ができなかったが、一方でAl2O3層上ではCNTフォレストを得ることができた。この結果 より、Al2O3層上では、より低温下でも CNT 成長を行うことができることが分かった。ま た、Al2O3層上のCNTはSiO2層上よりも直径が小さくなっており、細径で長尺なCNTフォ レストを得る手段として、Al2O3層上での低温合成が有効であることが分かった。本プロセ スを導入することによって、本研究において最小径となる6.4 nmのCNTフォレストを得る ことができた(図14)。紡績性発現しなかったが、今後の紡績性CNTの細径化に向けた知見 図13. 各フェロセン/エタノールミスト供給時間におけるSiO2及びミストCVD-Al2O3層上に成長し たCNTのSEM像.

図14. 触媒形成及びCNT成長を650°CとしてミストCVD-Al2O3層上に成長したCNTのSEM 像と透過型電子顕微鏡像.

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10 を得ることができたと言える。

これまでCNT合成ステップの簡略化に着目してきたが、基板の低コスト化に向けた取り 組みも行った。基板としては日常生活でも使用されるキッチン用アルミホイルを選定した。

選定理由として、安価なだけでなくフレキシブルであるため、roll-to-rollプロセスなどの連続 大量合成技術へ展開可能であることや、導電性を有するため、電子デバイス材料への直接応用も 可能となることなど、CNTの応用性を大幅に高めることができることが挙げられる。

しかし、Alの融点はSiよりも低いため、原料ガスを分解させるために必要な合成温度を 適用することができない。そこで、ガス基板配置部分をAlの融点以下とし、ガスの予備分 解のための上流側を通常のCVDプロセス温度に設定可能な新たなCVD装置を構築した(図 15)。アルミホイルの表面は薄いAl2O3層が形成されているため、前章のAl2O3層形成は行っ ていない。電気炉上流側の温度を720°C、アルミホイル配置領域の温度を620°Cとして合成を行 った。図16に合成前と合成後のアルミホイルと合成後の基板上SEM観察像を示す。基板一面に 300 μmを超えるCNT が成長していることが分かった。これは報告されているAl基板上の合成の 中でも、最長尺なフォレストとなっている。紡績性は発現しなかったが、Si 基板上と同程度の CNT フォレストを合成することができ、本プロセスのCNT成長に対する高い汎用性を示すことができた。

図15. 領域温度制御電気炉を用いたアルミ基板上へのCNT合成モデル.

図16. 領域温度制御電気炉を用いたアルミ基板上へのCNT合成モデル.

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本研究によって、触媒担持層形成、金属触媒形成、CNT 成長を同一 CVD 装置内で完結する 新たなCNT合成法を確立することができた。このプロセスによって、ミリメートル級CNTフォレスト、

紡績性CNT フォレスト、低温下合成CNTフォレスト、アルミホイル上成長CNTフォレストといった 様々な構造のCNT合成が達成され、高い触媒構造制御性及びCNT構造制御性を示すことがで きた。本研究結果は、細径紡績CNTの合成やroll-to-rollプロセスといった連続CNT合成技術な ど、今後のCNT用途拡大やCNT材料の低コスト化に大きく貢献する成果になると言える。

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