• 検索結果がありません。

熟練した幼児教育・保育の実践者は 小学1年の国語を見据えた

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "熟練した幼児教育・保育の実践者は 小学1年の国語を見据えた"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

『就実大学大学院教育学研究科紀要 2017(第2号)』 抜刷 就実大学大学院教育学研究科 2017年3月10日 発行

熟練した幼児教育・保育の実践者は 小学1年の国語を見据えた

アプローチカリキュラムを作成する際に どのように思考するか?

How experianced nursery teachers think when they plan a curriculum aproaching towards literacy lessons at Year 1

丹 生 裕 一

(2)

就実大学大学院教育学研究科紀要 2017(第2号)

熟練した幼児教育・保育の実践者は 小学1年の国語を見据えた

アプローチカリキュラムを作成する際に どのように思考するか?

丹生裕一

How experianced nursery teachers think when they plan a curriculum aproaching towards literacy lessons at Year 1

Yuichi TANSEI

抄録

熟練した幼児教育の実践者は、アプローチカリキュラムを作成する際、どのような実践 的思考様式を機能させているのだろうか。これを探るために、様々な経験年数の実践者70 名に、小学校第1学年の授業を児童役になって体験し、それをふまえて、「年長クラスの アプローチカリキュラムを作成する際に、ぜひ体験させておきたいことは何か」というテー マで自分の考えを箇条書きにしてもらった。その内容を分析した結果、年長クラスの経験 年数が長いほど、小学校1年生の授業に十分に参加できるような知識、理解、スキルの獲 得を促すことをめざしながらも、子ども一人ひとりの内面にある、物事に対する関心や意 欲、さらに、まわりの人の存在を尊重する態度も育てていこうとする信念を有する者の割 合が増えていくことが分かった。

キーワード:幼児教育・保育の熟練実践者 実践的思考様式 アプローチカリキュラム

Ⅰ 本研究の課題

佐藤・秋田・岩川・吉村(1990・1991)は、授業場面で生起する実践的な問題の解決過 程において、創造的な熟練教師たちが形成し機能させている実践的思考の存在を実証し、

その思考様式の特徴を解明しようとした。そのために、小学校の教師らに、ある授業のビ デオ記録を観察しながら思考内容を語らせる「オン・ライン・モニタリング」(think aloud法)と観察後にレポートとして診断と評価を記述させる「オフ・ライン・モニタリ ング」による調査を2年続けて2度実施し、得られたデータを分析した。その結果、創造 的な熟練教師の思考様式には、「即興的思考」「状況的思考」「多元的思考」「文脈化された 思考」「思考の再構成」という五つの特徴があることを確認した。さらに、個別の教師の 思考の展開が、具体的な発話内容を異にしながらも各教師の個性に応じて、それぞれに2

(3)

回とも同型のレトリックの構造で展開されていたことから、個々の教師の実践的思考を主 導し促進している「信念」(belief)の存在を予見している。

それでは、幼稚園や認定こども園の教諭、あるいは保育士の熟練者も、同様に特殊な思 考様式を機能させているのだろうか。

これを探るために、幼稚園教諭、認定こども園保育教諭、保育士およそ70名が参加した 研修会において、小学校第1学年の国語科単元「これは なんでしょう」の1単位時間を、

児童役になって体験し、それをふまえて、「年長クラスのアプローチカリキュラムを作成 する際に、ぜひ体験させておきたいことは何か」というテーマで自分の考えを箇条書きに してもらった。なお、授業者は公立小学校の教諭歴28年である筆者がつとめた。

その内容を、調査対象者(研修会参加者)の書いた内容を、それぞれの経験年数によっ てグループ分けして、グループ毎の傾向を明らかにして比較、分析を行った。こうして、

熟練者がこの調査において機能させた思考様式を明らかにしようと試みた。

Ⅱ 調査の実際

1 調査期間と調査対象

【調査期間】2016年12月19日

【被験者】岡山県総社市の教育研修幼児教育班研修会に参加した、幼稚園教諭、保育士、

認定こども園保育教諭の72名 2 調査・分析の方法

2-1 調査の第1段階

筆者による小学校第1学年の国語科教科書(下)単元「これは なんでしょう」の模擬 授業を被験者に受けてもらった。資料1は、筆者が作成した、この単元を小学校で実施す る際の単元指導計画案である。調査当日には、第1時から第3時までをおよそ20分間で実 施した。その後に、単元の指導計画の第5時を、資料2に掲げた単位時間の指導展開案の

「活動3」までを、ほぼその通りに実施した。

資料1 単元指導計画案

1 ねらい

●なぞなぞの問題を作るために必要な事柄を集める力を身に付ける。

●分からないことや詳しく聞きたいことを尋ねたり、それに答えたりする力を身 に付ける。

(4)

2 単元の展開

ねらい(つかませたいコツ) 言語活動 1導入 ○出題・質問・応答のやりとりのイ

メージをつかむ。[画用紙の絵を 見せずに問題を読む・回答者が1 回づつ質問をした後回答を言う・

絵を見せながら正解を言う。]

○教師が出題するなぞなぞゲーム  に参加する。

○CDを聞いて大まかな手順を確  認する。

話題設定と取材 ○問題にするものは身近にあるもの から考える。

○形・大きさ・色・使い方・数・長 さ・重さ・場所等の特徴を多く書 き出す。

○マインドマップをつくり、取材  と選材をする。

話題設定と取材 ○楽しいゲームにするために問題を 聞いただけでは答えが分からない 程度の内容を選ぶとよい。

○画用紙に絵と答えをかく。

4話す ○聞き手を見て話すとよい。

○普段より少し大きめの声でゆっく りと話すとよい。

○ペアでなぞなぞを出す練習をす  る。

5話し合う ○形・大きさ・色・使い方・数・長 さ・重さ・場所等の中から分から ないことを質問するとよい。

○答えにくいときは何かと比べて説 明するとよい。

○グループ内で順番に出題してゲー ムを行う。

6話し合う

同上

○新しいメンバーのグループでゲー ムを行う。

資料2 単位時間(第5時)の指導計画案

主な授業の流れ 教師による仕掛けや支援

今日はいよいよなぞなぞゲーム をします。まず、6年生がしている ビデオを見ましょう。

○「あれを自分もやるんだな。」「早くや りたい。」「できるかな。」等の意識を 持つ。

○前日までに6年生数人に、教科書と 同じ手順でなぞなぞゲームをするよ うに頼んで、その様子をビデオで撮 影しておく。

○質問の仕方や質問への答え方のお手 本であることを伝える。

質問をする人はどんなことを聞 いていましたか?また、問題を出す 人はどんな答え方をしていました か?

○児童の発言を受けて「形・大きさ・

色・つかいかた・かず・長さ・おも さ・ばしょ」等の視点を掲示する。

○答え方のコツについては、「~と同

(5)

○デモビデオでは6年生がどんな質問を していたか思い出して発表する。

○答え方のコツを見抜くのは難しいが数 が気がつくだろう。

3人グループでなぞなぞゲーム をしよう。1番の人から順番に問題 を出しなさい。終わった班は静かに 黒板の前に集まりなさい。

○ほとんどのグループでなぞなぞゲーム が成立するが質問の仕方や答え方のコ ツの習熟には個人差がある。

○早く終わったグループから黒板前に集 まって再グルーピングされる。

○第2ラウンドは前回の経験を活かして 質問や答え方の向上が見られる。

みんなの前で問題を出したい人 はいますか?

○たくさんの児童が手をあげる。

○一つの問題につき、3名ほどが指名さ れて質問をする。

○答えが分かったたくさんの児童が手を 上げる。

じくらい」「~より大きい」のよう に何かと比べて説明していることを 確認して板書する。

○教師がいくつかの事例を揚げて、質 問の仕方と答え方の練習をする。

○支援が必要と思われる児童を予め特 定のグループに集めておき、教師が 付き添って直接に指導する。

○黒板の前に集まった児童を新たにグ ループ分けして席に戻す。第2ラウ ンドをするように指示をする。

○支援を受けたグループの子どもたち も第2ラウンドでは他のグループに 混じるようにする。

○各グループをまわりながら、質問の コツや答え方のコツをうまくつかん だ児童を見つけておく。

○質問に対する答え方のコツをつかん だ児童の中から問題を出す人を指名

○問題が出されたら、予め見つけておする。

いた質問のコツをつかんだ児童の中 から質問する人を指名する。

○答えを発表する人は、これまでにあ まり活躍できなかった児童の中から 指名する。

なお、授業体験終了後、この二つの計画案は調査の第2段階に入る直前に調査対象者全 員に配布し、本単元のねらいと指導展開の趣旨について伝えた。

2-2 調査の第2段階

アプローチカリキュラムの観点から、「この授業を成立させるために、年長クラスでど のような経験をさせておく必要があるか。」という問いに箇条書きでいくつも答えを書き、

その中から特に重要と思うものを三つ以内で選んで1枚の付箋紙に一つずつ書いてもらっ た。その際、次のような統制群の条件を付けた。

〇年長クラスの担任経験が無い人―青い付箋紙(被験者 全体のおよそ5分の1)

〇年長クラスの担任経験が3年以下の人―黄色の付箋紙(被験者全体のおよそ5分の2)

〇年長クラスの担任経験が4年以下の人―赤い付箋紙(被験者全体のおよそ5分の2)

2-3 調査の第3段階

三人グループを作り、それぞれが書いた付箋紙を次の五つのカテゴリーに分類しても らった。このカテゴリーについては、2015年11月6日に岡山県笠岡市において岡山県国公 立幼稚園教育研究会笠岡支部研修会に集まった26名の幼稚園教諭と認定こども園保育教諭 に対して行った同様の調査実験の結果をもとに筆者か作成した。

(6)

①物・物の性質の認識

②コミュニケーション

③自己決定

④ルール遵守

⑤その他

分析の方法は、まず、集めた付箋紙の数を統制群とカテゴリー別に調べた。次に、特に 数が多かったカテゴリーについて、青い付箋紙に書かれた内容の傾向と赤い付箋紙のそれ とを比較して熟練者の思考様式の特徴を探ることを試みた。

Ⅲ 結果と分析 1 全体的な傾向

表1は付箋紙に書かれた内容を集計したものである。

表1 グループおよびカテゴリー毎の数 もの・性質

の認識 コミュニ

ケーション 自己決定 ルール遵守 その他

19 23

28 36

36 44

すべての統制群において「もの・ものの性質の認識」と「コミュニケーション」のカテ ゴリーの数値が、傑出して高い。経験年数にかかわらず、上記のようなねらいと展開のあ る小学校の授業に対して、十分に参加できる子どもを育てるためにはこの二種類の経験が 不可欠であるとの見解が多数を占めていることが分かる。

この二つのカテゴリーの数値の割合を統制群毎に比較してみると、青は19:23(比の値 は0,826……)、黄が28:36(比の値は0.777……)、赤が36:44(0.818……)である。こ の結果からだけ見ると、青、黄、赤の各群の調査対象者が書いた内容に大きな差はないよ うに見える。では、「もの・性質の認識」と「コミュニケーション」のカテゴリー毎に、

各群の調査対象者が付箋に書いた内容を詳細に分析することにする。

2 「もの・ものの性質の認識」に関する記述内容

表2は、「もの・ものの性質の認識」に、被験者自身によってカテゴリー分けされた付 箋紙の内容を掲げたものである。

(7)

表2 「もの・ものの性質の認識」にカテゴリー分けされた付箋紙に書かれた内容

  0年

1.あるもの(実物)を見ながら絵をかく 2.物の名前、使い方を教え、実際に使う 3.物事に興味をもてるような声掛け

4.「ままごと」などの遊びを通して物の使い方を知る

5.水や物の量、大きさの違いに気付く(ままごとや砂遊びなど)

6.変化に気付く(例:水が氷になる)

7.色、形、大きさなど、分類の仕方を知る

8.物の形や色、大きさを正確に捉えることができるようになる体験 9.身近な物を使ったり、特徴を知ったりできるような体験

10.どんな物があるか知る

11.色の名前や大小、形について知る。気付く 12.たくさんの言葉を知る(単語も)

13.いろいろな物に触れたり経験したりする 14.色々な大きさ、重さに触れ、“比べる”経験 15.いろいろな物を見たりふれたりする

16.物の名前や性質を知る体験(使ってみる。触れてみる)

17.様々な色や形に触れる体験

18.様々な物について知る(知識を増やす)

19.物に対してどういう時に使ったり、それはどのような物かを考えたり言った りする体験

  3年まで

1.身近にあるものの名前や役割を知る 2.イメージするものを絵で描く体験

3.遊びの中で形、大きさ、色、数、長さ、重さなどに興味をもたせる 4.いろいろなものに触れたり見たり使ったりする経験

5.物の使い方や色、形、名前を知る 6.様々なものに触れる(名前も知る)

7.物の特徴(色、形、大きさなど)を知る

8.いろんな物や素材を知ったり、触れたりする体験 9.いろいろな物事について疑問をもつこと

10.どんな所にどんな物があるかよく見るようにする 11.イメージした物を絵に書く

12.はかりを使って大きさ比べをする

13.いろいろな素材を使って、硬い、柔らかいなどを感じさせる 14.物や人などに興味関心をもつことができる体験

15.日常の中で、色、形、大きさ、数、長さなどと言葉や体験を通して触れる機 会を大切にする

16.いろいろなものに触れる、見る、興味をもつこと 17.身近な色々なものの特徴を知る、触れる

18.ものの名前が分かる

19.身近な物に触れ、イメージを豊かにする 20.身近なものに興味をもったり使ったりする経験

21.大きい、小さい、軽い、重い、固い、柔らかいなどの概念が分かる 22.自分で想像し、絵や文字で表す

(8)

23.どのようなときにどうやって使うか、正しい使い方を知る 24.遊びや活動の中でいろいろなものの使い方や使う場面を知る経験

25.身近な物に興味をもち、見たり使ったりする中で、物の使い方や性質に気付

26.物の使い方や特徴を知っておく。興味をもつ

27.いろいろな物に触れ、使い、知り(言葉として、性質、特性)、考え、大切 にするなどの実体験(認識)

28.いろいろな物にかかわる経験

  4年以上

1.五感を使う体験

2.いろいろなものや用具を実際に使う体験

3.物の性質に触れる体験(大きさ・手ざわり・重さ etc)

4.様々な色や形、大きさ、数などに触れる体験

5.様々なものに触れ、何でかな?知りたいな、不思議だなという気持ちを持つ 体験

6.ものやことがらに対する関心を持つ体験(直接体験)

7.いろいろな物、素材などにたくさん触れたり使ったりする体験 8.ものの特色を知り形や大きさ、色などが分かる

9.身近な道具の使い方を知り、使って遊ぶ 10.様々な物や事象に触れる経験(直接体験)

11.形や大きさ、色への興味がもてる体験 12.いろいろな物や物の名前を覚える 13.イメージを広げる

14.物の名前を知る

15.色や形、大きさ、重さなどの概念が分かるような経験(重さ、大きさ比べな ど)

16.不思議、疑問に思う力を養う

17.身近な用具や道具の名前を知り、体験することにより用途を知る 18.新しいことに興味を持ちやってみようとする

19.感じたことを言葉や絵で表現する経験

20.いろいろな形に切ったりかいたりして遊ぶ(製作など)

21.直接(物・人・事象など)に触れる体験 22.実際に見たり、触れたり、表現したりする体験

23.いろいろなものに触れて数量や図形、大きさ、色などに関心をもつ 24.実際に体験する

25.様々な物、道具、素材に触れる体験

26.物の名前や性質が分かるように遊びの中で試したり工夫したりする

27.たくさんの遊びを経験し、遊びの中での物の名前やその物の形や色、大きさ などを知り、使い方、どのようなときに使うか、どのような場所にあるかなど、

遊びを通して経験させるようにする

28.身の回りの物や人に興味をもち、仕組みや役割、仕事などを知る 29.様々な物(本物・実物)を見せる

30.さまざまな物、環境を準備し、その中でかたさ、大きさ、色、形などに触れ ながら遊び込む体験

31.色んな物を実際に使ってみる体験

(9)

32.いろいろな物に触れたり使ったりして、その名前と仕組みや様子を知る体験 33.様々なことに取り組み試してみる力

34.性質(特ちょう)を伝える。気づかせる

35.様々なものに興味関心を持ち自分なりにじっくりと考える 36.物の特徴や性質に触れる

付箋紙に記述された内容を三つの統制群で比較してみた。すると、最も顕著な違いは、

ものやものの性質を認識する際の、対象に対する子どもの興味、関心、意欲に関する言及 した「興味」「関心」「不思議」「疑問」の文言(太線部)の頻度であった。

青群:全19事項のうち1事項(3)およそ、5.3%

黄群:全28事項のうち7事項(3,9,14,16,20,25,26)0.25%

赤群:全36事項のうち8事項(5,6,11,16,18,23,28,35)およそ22.2%

このことは、熟練者たちの中には、ものやものの性質を認識することを促す体験には、

それぞれの対象に対する興味や関心がカギとなると考えるものが多い傾向があることを示 している。しかし、黄群と赤群の間に子どもの興味や関心に関する言及の頻度の差は見ら れなかった。

3 「コミュニケーション」に関する記述内容

表3は、「コミュニケーション」に、被験者自身によってカテゴリー分けされた付箋紙 の内容を掲げたものである。

表3  「コミュニケーション」にカテゴリー分けされた付箋紙に書かれた内容

1.友達としっかりかかわるコミュニケーション能力を育む 2.質問をしたり問題を出したりする

3.伝え方を知る(ex. ティッシュの箱より大きい)

4.人の話を聞いてイメージを持つ体験 5.相手に届く声量で明瞭に話す体験

6.自分の考えを他人に言葉で話して伝える体験 7.自分の考えを言葉で伝える体験

8.友達とペアになる体験

9.自分の聞きたいことをたずねる経験

10.相手に聞かれたことに対して答えることができるようになる体験 11.尋ねたり、答えたりする体験。→人前で話をする

12.自分の知りたいことを相手に自分で聞く体験 13.相手の顔を見て話す

14.人の話を聞いて考えようとする体験

15.質問タイムの時間をつくる。お互いに質問したり答えたりする

(10)

16.人前で話をする

17.質問に答えたり、質問をしたりする体験 18.「これは~です。」と文章で話す体験 19.教師、子ども同士の話し合い。

20.自分の考えたことを言ったり、友達の言ったことを聞いたりする

21.子どもなりの表現(言動)で伝えてきた時、又、その物の名前を子どもが知 らない時、子どもが正しい名前や知識を身に付けることができるように、教師 は子どもの目線に合わせ、具体的に短い言葉で子どもが想像できるように聞く 22.分からないことを聞く体験(物)

23.人前で話をする体験(物)

1.人の話を関心を思って聴く 2.いろいろなグループ人数で遊ぶ

3.指示を静かに聞き取り、守り、決まりを守り、人の話を聞き、順番を守り、

友達の困る行動はしない(質問したい時は手をあげる)

4.思ったことを自分の言葉で伝えられるようにする 5.自分の思いを言葉にして伝える

6.形や大きさの表現の仕方を知る経験 7.相手にわかるように話す

8.自分の思ったことや考えたことを人に伝える

9.失敗した周りの友達をフォローする言葉掛けを知る(ふわふわ言葉)

10.みんなの前で自信をもって話す経験 11.人の話を最後まで聞く

12.色々な友達と話をする

13.分からないことを自分から尋ねる 14.友達の話を聞いて理解しよとする体験

15.人とかかわる楽しさを感じながら、話す、聞くなどのコミュニケーション能 力を身に付ける

16.友達に分かるように話す体験

17.相手に分かるように話したり、聞いたりする 18.相手の話を最後まで聞く体験

19.思ったことを言葉で説明する経験

20.分からないことを尋ねたり、聞いたりする経験

21.分からないことを自分から尋ねる。聞かれたことに答える力 22.友達の考えやアイディアに触れるおもしろさや楽しさを味わう 23.友達とのコミュニケーションをとる

24.自分から相手に思いを言葉で伝える

25.言葉で表そうとする機会、表わしてみたいと思える機会を大切にする 26.友達に遊びの中で自分の思いを伝える、一緒に考える体験

27.友達の話を聞いたり応答したりして、やりとりを楽しむ 28.分からないことを自分で尋ねる力

29.相手に対しての話し方、言葉の使い方

30.人前で話したり、相手の顔を見て話を聞く経験

31.友達に思いや考えをことばで伝える楽しさ、聞いてもらう、伝わるうれしさ 32.想像することを楽しむ経験

(11)

33.人とやりとりをする(きく、こたえる)経験(物)

34.困ったことは尋ねる(物)

35.自分の思いを伝えたり相手の思いを聞いたりする体験(物)

36.人に伝えたいことを話したり、相手の話していることを聞いたり(理解)す る体験(自)

1.相手の気持ちを理解しようとする 2.自分の考えを伝える

3.相手の顔を見て話す

4.相手の話を最後まできいたり、互いにやりとりをしたりする体験 5.自分の思いを伝え、表現する経験

6.相手に聞かれたことに対して分かるように話そうとする体験

7.相手の話を最後まで聞こうとすることができるような体験(やりとりを楽し みながら)

8.相手の話を聞き、分からないことを聞く体験 9.自分が考えたことを言葉で伝える

10.言葉で伝える

11.自分の思っていることを話す

12.いろいろな言葉を知る体験(カードを見たりしりとりをすること等)

13.人の話を聞く体験

14.自分の話を聞いてもらう体験

15.自分の思ったことを言葉で表現する力

16.思っていることを相手にわかる言葉で伝える。

17.友達との話し合いの体験。聞く力、質問する力、答える力 18.友達とのやりとりを楽しむ。

19.思ったこと、感じたこと(特徴など)を素直に何でも言葉にする体験 20.分からないことをどう聞けばよいか知っていて解決している体験 21.友達の話を聞く体験をして相手が楽しむことや感じ方を知っている 22.人とのやりとり、思考や思いをめぐらすことが楽しいと感じられる体験 23.相手の顔を見て話す

24.相手の話を最後まで聞く体験

25.自分の考えていることを言葉にして伝える体験

26.言葉の使い方、連想する力を養うために、しっかりと人と会話をし、人に自 分の思いを伝えたり、相手の思いを気付いたりしていくようにする

27.人とかかわる中で相手の話を最後まで聞く体験(お話しタイムなど)

28.友達の話に興味をもって聞いたり、友達に話を聞いてもらってうれしい体験 29.自分の思いや考えを言葉で分かりやすく伝えようとする

30.友達の思ったことや考えたことを聞く体験 31.友達に思ったことや考えたことを伝える体験

32.思ったことや考えたことが相手に伝わるうれしさを体験する 33.相手に、分からないことを尋ねたり、話を聞いたりする 34.相手の話を最後まで聞く経験

35.いろいろな場で、自分の思いや考えが、のびのびと言える体験 36.自分の考えを言葉で伝える経験

37.相手の話(考え、気持ち)を聞くことが楽しいという経験

(12)

38.ままごとなど、教師や友達と会話のやりとりを楽しむ 39.人の話を聴く

40.順番を守って、相手の返事を聞いてから伝える体験 41.友達の言うことを聞いて考える

42.友達の顔を見て話す 43.分からなかったら質問する

44.自分の思いや考えを言葉で伝える体験(話し合い活動)

コミュニケーションに関する体験のカテゴリーの付箋紙に記述された内容の傾向を群と で比較してみた。すると、ここでも、ある違いが認められた。それは、コミュニケーショ ンをとろうとする相手に対する意識である。

「相手」もしくは「友達」という文言(  線部)が含まれている事項の数を比較する と次のようになる。

青群:全23事項のうち7事項(1,5,8,10,12,13,20)およそ、21.7%

黄群:全36事項のうち18事項(3,7,9,12,14,16,17,18,22,23,24,26,27,

29,30,31,35, 36)50.0%

赤群:全44事項のうち25事項(1,3,4,6,7,8,16,17,18,21,23,24,26,27,

2830313233343738404142)およそ、56.8

一方で「自分」という文言(  線部)が含まれている事項の数を比較すると次のよう になる。

青群:全23事項のうち5事項(6791220)およそ、30.4%

黄群:全36事項のうち9事項(4,5,8,13,21,24,26,28,35)25.0%

赤群:全44事項のうち11事項(2,5,9,11,14,15,25,29,35,36,44)25.0%

「自分」という文言の頻出度の各群における差が小さいことに比べ、「相手」「友達」と いう文言の頻出度が黄、赤の方が高くなっている。このことは、熟練者であるほど、だれ かとコミュニケーションをとる体験には、相手や友達の存在、あるいはその考えや気持ち を尊重する意識づけが重要であると考える傾向にあることが推察できる。

さらに、特筆すべきは、このカテゴリーにおいても、先述の「もの・ものの性質の認識」

と同様に、熟練者であるほど、興味、関心、意欲に関する言及が増える傾向が確認できる ことである。「うれしさ」「うれしい」「楽しさ」「楽しい」「楽しむ」「おもしろさ」という 文言(太線部)の言及の頻出は次の通りであった。

青群:全23事項のうち0事項0%

(13)

黄群:全36事項のうち5事項(15,22,27,31,32)およそ13.9%

赤群:全44事項のうち8事項(7,18,21,22,28,32,37,38,)およそ18.2%

このことは、熟練者たちの中には、よりよいコミュニケーションの体験を重ねていくよ うにする際にも、誰かとコミュニケーションをとることに対して興味、関心、意欲が増し ていくようにするべきとと考える者が存在していることを示している。

Ⅳ 考察

これまで「もの・ものの性質の認識」と「コミュニケーション」のカテゴリーに分類さ れた各実践者の考えを、その経験年数ごとの傾向を詳細に分析してきた。そして、次のよ うな熟練した実践者の実践的思考様式の存在が確かめられた。

まず、「コミュニケーション」のカテゴリーにおいては、相手や友達の存在、あるいは その考えや気持ちを尊重する意識づけが重要であると考える傾向にあることである。

そして、「もの・ものの性質の認識」と「コミュニケーション」のカテゴリーに共通し て見られた傾向は、その体験をさせるときに、子どもたちのその体験に対する興味や関心 を喚起し、それが積み重なっていくようにすることが重要であると考える傾向があること である。

これらのことから、熟練した幼児教育・保育の実践者であるほど、アプローチカリキュ ラムの作成において、子どもたちに、小学校1年生の授業に十分に参加できるような知識、

理解、スキルの獲得を促すことをめざしながらも、子ども一人ひとりの内面にある、物事 に対する関心や意欲、さらに、まわりの人の存在を尊重する態度も育てていこうとする信 念を有する傾向があることが分かった。この信念に裏付けられた実践的思考は大変重要な ものであることは異論のない所であろう。

今後、日本全国の小学校区ごとに、学区内の幼稚園、保育園、認定こども園の実践者た ちと小学校の実践者たちが協働でアプローチ・スタートカリキュラムの作成や見直しをす すめていくことになる。その際に、この研究で明らかにしたような熟練者たちの実践的思 考が反映されるような取り組みを期待したい。

文献

佐藤学・岩川直樹・秋田喜代美(1990)「教師の実践的思考様式に関する研究(1)」『東 京大学教育学部紀要』第30巻pp.177-198

佐藤学・岩川直樹・秋田喜代美・吉村敏之(1991)「教師の実践的思考様式に関する研究(2)」

『東京大学教育学部紀要』第31巻pp.183-200

参照

関連したドキュメント

1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における

確かな学力と自立を育む教育の充実 豊かな心と健やかな体を育む教育の充実 学びのセーフティーネットの構築 学校のガバナンスと

保護者 乳幼児 小学生 中学生

かであろう。まさに UMIZ の活動がそれを担ってい るのである(幼児保育教育の “UMIZ for KIDS” による 3

金沢大学における共通中国語 A(1 年次学生を主な対象とする)の授業は 2022 年現在、凡 そ

土砂 多い 安全 自分 災害 知る 避難 確認 考える 地図 分かる 場所 危険 地域 出来る 良い 作業 楽しい マップ 住む 土砂 多い 安全 自分 災害 知る 避難 確認 考える 地図

取組の方向 0歳からの育ち・学びを支える 重点施策 将来を見据えた小中一貫教育の推進 推進計画

 学部生の頃、教育実習で当時東京で唯一手話を幼児期から用いていたろう学校に配