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複素数全体の集合をC で表す1

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Academic year: 2021

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(1)

Lecture 1

1 複素数

1.1 複素数

2乗して−1になる数をiで表し,この数を虚数単位(imaginary unit)という。iはi2 =−1 をみたす。z =x+iy (x, yは実数)の形で表される数を複素数(complex number)という。

実数xはx+i0という形の複素数と同一視される。複素数z =x+iyに対し, xをzの実 部(real part)といいRezと書く。 yをzの虚部(imaginary part)といいImzと書く。実 部が0の複素数z =iyを純虚数(pure imaginary number)という。複素数全体の集合をC で表す1。

複素数の相等 2つの複素数z1 =x1 +iy1, z2 =x2 +iy2が等しいz1 =z2とは,x1 =x2 およびy1 =y2であることと定義する.z =x+iyと実数の組(x, y)は1対1に対応する.

複素数の和,積 複素数の和と積に対して以下の規則を定める。

複素数z1 =x1 +iy1とz2 =x2 +iy2の和z1+z2と積z1z2を, 実数の和、積と同様に 交 換則、結合則及び分配則を用いて計算する.ただし途中でi2が現れた場合それを−1とお く.例えば複素数z1 =x1+iy1, z2 =x2+iy2の和と積は

z1+z2 = (x1+x2) +i(y1+y2) (1.1) z1z2 = (x1+iy1)(x2+iy2)

= (x1x2−y1y2) +i(x1y2+x2y1) (1.2) と定義される. 複素数の和、積について以下の計算規則が成り立つ.

(a) 加法についての交換則、結合則

z1+z2 = z2+z1, (1.3)

(z1+z2) +z3 = z1+ (z2+z3) (1.4)

1記号: N={1,2,· · · }: 自然数全体の集合, Z={0,±1,±2,· · · }: 整数全体の集合, Q: 有理数全体の集 合, R: 実数全体の集合,C: 複素数全体の集合

(2)

(b) 乗法についての交換則、結合則

z1z2 = z2z1, (1.5)

(z1z2)z3 = z1(z2z3) (1.6) (c) 分配則

z1(z2+z3) =z1z2+z1z3 (1.7) (d) 加法、乗法に関する単位元0,1

z+ 0 = z (1.8)

z1 = z (1.9)

(e) 加法 乗法についての逆元(−z),z−1 = 1zの存在. (z−1についてはz ̸= 0の場合のみ存 在する。)

z+ (−z) = 0, z· 1

z = 1 (z ̸= 0) (1.10)

z =x+iyに対し,z−1 =u+ivとおくと

(x+iy)(u+iv) = xu−yv+i(yu+xv) = 1 (1.11) をみたす。これより

xu−yv = 1

yu+xv = 0 (1.12)

となる。これを解くと

u = x

x2+y2 (1.13)

v = −y

x2+y2 (1.14)

となる。したがって

z−1 = x

x2+y2 +i −y

x2+y2 (1.15)

を得る。

(3)

二つの複素数z1 =x1+iy1,z2 =x2+iy2の差は

z1 −z2 =z1+ (−z2) = (x1−y1) +i(x2 −y2) (1.16) と定義される。さらにz1をz2(̸= 0)で割った商は

z1 z2

= z1z2−1

= x1x2+y1y2

x22+y22 +iy1x2 −x1y2

x22+y22 (1.17)

で定義される。

1.2 複素平面

複素平面 複素数z=x+iyに対して 実数の組(x, y)が定まる。この組をxy 座標平面上 の点に対応させる。複素数を表示する座標平面を複素数平面(複素平面, complex plane) またはGauss平面といい、横、縦の座標軸をそれぞれ実軸(real axis),虚軸(imaginary axis)と呼ぶ。

O

(x,y)

(x,-y) z

z

Figure 1.1: 複素平面

z =x+iyを表す複素平面上の点をP(x, y)とする。点Pの位置ベクトルは−→

OP = ( x

y )

と表される。複素数z1に対応する点をP1,z2に対応する点をP2とする.複素数の和z1+z2 に対してベクトルの和−−→

OP1+−−→

OP2が対応する.

−−→OP1+−−→

OP2 = ( x1

y1 )

+ ( x2

y2 )

=

( x1+x2 y1+y2

)

(1.18)

(4)

z 1 z

2 z + z

1 2

Figure 1.2: 複素数の加法

ベクトル−→

OP の大きさ|−→

OP| = √

x2+y2 をzの絶対値(absolute value)といい|z|で 表す.

|z|=√

x2+y2 (1.19)

二つの複素数z1 =x1+iy1, z2 =x2 +iy2 に対応する位置ベクトルを−−→

OP1, −−→

OP2 とす ると,P1とP2間の距離|−−→

P1P2|は

|z1−z2|=√

(x1−x2)2+ (y1−y2)2 (1.20) で与えられる.

複素数の絶対値に関して以下の式が成り立つ.

1.

|z|2 = (Rez)2+ (Imz)2 (1.21) 2.

|z| ≥ |Rez|, |z| ≥ |Imz| (1.22)

(5)

複素共役: 複素数z = x+iyに対し、z¯ = x−iyをz の複素共役(ふくそきょうやく, complex conjugate)と呼ぶ. 複素共役に関して以下の式

Rez = z+ ¯z

2 , Imz = z−z¯

2i , (1.23)

¯

z = z (1.24)

z1±z2 = z¯1±z¯2, z1z2 = ¯z1z¯2 (1.25)

|z|2 = zz¯ (1.26)

が成り立つ。(1.26)から

|z1z2|2 =z1z2z¯1z¯2 =|z1|2|z2|2 (1.27) となり

|z1z2|=|z1||z2| (1.28) が成り立つ。

三角不等式 複素平面上の3つの点z1,z2,z1+z2を頂点とする三角形を考える。3角形の 辺の長さに対して3角不等式|−→

OP| ≤ |−−→

OP1|+|−−→

P1P| が成り立つ。これを複素数表示で考 えると

|z1+z2| ≤ |z1|+|z2| (1.29) となる。(1.29)式は複素数を用いると

|z1+z2|2 = (z1+z2)(¯z1+ ¯z2)

= z1z¯1+z1z¯2 + ¯z1z2+z2z¯2

= z1z¯1+ 2Re(z1z¯2) +z2z¯2

≤ |z1|2+ 2|z1||z2|+|z2|2 = (|z1|+|z2|)2 (1.30) と証明できる。

一般にn個の複素数z1,· · · , znに対し

|z1+· · ·+zn| ≤ |z1|+· · ·+|zn| (1.31) が成り立つ。

問題 1.1  (1.31)を示せ。

(6)

3角不等式

|z1|=|(z1+z2)−z2| ≤ |z1+z2|+| −z2| (1.32) より

|z1| − |z2| ≤ |z1+z2| (1.33) が成り立つ。ここでz1とz2を交換すると

|z2| − |z1| ≤ |z1+z2| (1.34) を得る。まとめると

||z1| − |z2|| ≤ |z1+z2| ≤ |z1|+|z2| (1.35) が成り立つ.

1.3 極形式

原点Oから点P(̸= O)に向かうベクトル−→

OP の大きさをr, −→

OP がx軸となす角度をθと すると,対応する複素数z =x+iy の実部、虚部はそれぞれ

x=rcosθ, y=rsinθ (1.36)

となる.zは

z =r(cosθ+isinθ) (1.37)

と表される.(1.37)をzの極形式(polar form)という。このときr=|z|となる。角θを zの偏角(argument)といい、argzと書く2。

複素数zに対し, その大きさrは一意的に定まる。cos, sinは周期2πの周期関数であ るので,zの極形式(1.37)に対し

z =r(cos(θ+ 2nπ) +isin(θ+ 2nπ)), n = 0,±1,±2,· · · (1.38) が成り立つ.つまり0でない複素数zに対し, その偏角argzは一つには定まらず, 2πの整 数倍の不定性がある。θ = argzの値を, −π < θ ≤ πに制限したものを偏角argzの主値 (principal value)といい, Argzと書く。z(̸= 0)に対しArgzは一意的に定まる。zの偏 角argzは

argz = Argz+ 2nπ, n= 0,±1,±2,· · · (1.39)

2z= 0に対しては偏角は定義されない。

(7)

r

θ

(x,y)

Figure 1.3: 極形式

と表される。つまりargzは数というよりも, 集合{Argz,Argz±2π,· · · }を表すものと考 えた方がよい。

例 1.1 z=−1に対して

Arg(−1) =π

arg(−1) = (2n+ 1)π, n = 0,±1,±2, . . . となる。

例 1.2 z= 1−iに対して

1−i=√

2(cos(−π

4) +isin(−π 4)) より

arg(1−i) = −π

4 + 2nπ (n = 0,±1,· · ·), Arg(1−i) =−π 4 となる。

複素数z1とz2の極座標表示を

z1 =r1(cosθ1+isinθ1), z2 =r2(cosθ2+isinθ2) (1.40) とすると, その積z1z2の極座標表示は, 3角関数の公式を用いて

z1z2 = r1r2(cosθ1cosθ2−sinθ1sinθ2+i(cosθ1sinθ2+ cosθ2sinθ1))

= r1r2(cos(θ1+θ2) +isin(θ1+θ2)) (1.41)

(8)

となる。複素数z1とz2の積において, 複素数z1にz2を掛ける操作は, z1の偏角をargz2 だけ回転し,さらにその大きさを|z2|倍することを意味する。

例 1.3 i= 1(cosπ2 +isinπ2) より, iをzに掛けた複素数izは, 原点のまわりに点zを反時 計回りに角度π

2 回転する操作により得られる。

位置ベクトル

( 1 0

)

(1.42) を角度θ反時計回りに回転し, その大きさをr倍拡大する変換は行列

M =r

( cosθ −sinθ sinθ cosθ

)

(1.43) で表される:

( 1 0

)

→

( rcosθ rsinθ

)

=M ( 1

0 )

. (1.44)

偏角の性質 (1.41)より, 複素数z1, z2の積z1z2の偏角は arg(z1z2) = θ1+θ2+ 2nπ (n∈Z) である。一方

argz1+ argz2 =θ1+ 2n1π+θ2+ 2n2π (n1, n2 ∈Z)

となる。n1+n2はすべての整数値をとるので,複素数z1,z2とその積z1z2の偏角に対して arg(z1z2) = argz1 + argz2 (1.45) が成り立つ.これは右辺と左辺の表す値全体が集合として等しいことを表している式で ある.

例 1.4 z̸= 0に対して

arg(z2) = argz+ argz (1.46)

であるが

arg(z2) = 2argz (1.47)

(9)

ではない。z =reiθとおくと(1.47)の左辺は

2θ+ 2nπ n ∈Z (1.48)

であり, 一方で右辺は

2(θ+ 2mπ) = 2θ+ 4mπ m∈Z (1.49)

となり, 両辺の表す値が集合として異なっている。

例 1.5 複素数z1, z2に対して(1.45)が成り立つが, それを偏角の主値に変えた式

Arg(z1z2) = Argz1+ Argz2 (1.50) は必ずしも成立しない。例えばz1 =−1, z2 =iのときz1z2 =−iより(1.50)の左辺=−π2 だが, 右辺はπ+ π2 = 3π2 となり, 値が異なる。

z ̸= 0のときz−1が定義される。z−1の極座標表示は, zz−1 = 1より z−1 = 1

r(cos(−θ) +isin(−θ)) (1.51) となる。従って

arg(z−1) = −argz (1.52)

である。z1

z2 =z1·z2−1より

argz1

z2 = argz1−argz2 (1.53)

が成り立つ.

Eulerの公式 偏角θの関数f(θ) = cosθ+isinθは

f(0) = 1 (1.54)

f(θ1+θ2) = f(θ1)f(θ2) (1.55) df(θ)

dθ =if(θ) (1.56)

(10)

を満たす。これは指数関数ekθにおいてk =iとおいたものと同じ関係式

ek0 = 1 (1.57)

ek(θ1+θ2)=ekθ1ekθ2 (1.58) d

dθekθ =kekθ (1.59)

を満たしている。実際

eiθ = cosθ+isinθ (1.60)

が成り立つ. (1.60)はEulerの公式と呼ばれる。(1.60)は指数関数及び3角関数のべき級 数展開

ex =

∑∞ n=0

xn

n! (1.61)

sinx=

∑∞ n=0

(−1)n x2n+1

(2n+ 1)! (1.62)

cosx=

∑∞ n=0

(−1)n x2n

(2n)! (1.63)

を用いて証明できる。

問題 1.2 f(θ) = cosθ+isinθについて 1. (1.54)–(1.56)を確かめよ。

2. (1.60)をべき級数展開(1.61)-(1.63)を用いて確かめよ。

Eulerの公式を用いると複素数の極形式は簡潔に

z =reiθ (1.64)

と書くことができる。

1.4 べき乗とべき根

複素数zの極表示z=reiθに対し, そのn乗は

zn =rneinθ, n= 0,1,· · ·

(11)

となる。また

z−1 =r−1e−iθ より

z−n=r−ne−inθ を得る。これをまとめると, 整数nに対して

zn=rneinθ, n = 0,±1,· · · (1.65) が成り立つ。r= 1のときこれは(eiθ)n =einθとなり,

(cosθ+isinθ)n = cosnθ+isinnθ (1.66) が成り立つ。(1.66)はde Moivre’s (ドモアブル)の公式と呼ばれる。

1のn乗根 自然数n = 1,2,· · · に対して, zの方程式zn = 1の解を1のn乗根(n-th root of unity)という.この解を極表示でz =reiθと表すと

zn =rneinθ = 1 となる。rは上式の絶対値を取ることにより

r= 1 となる。するとeinθ = 1より

nθ= 2kπ, k= 0,±1,· · · となる.従ってzn = 1の解は

z =ei2kπn = exp (

i2kπ n

)

(1.67) となる.この中でk= 0,1,· · · , n−1に対応するものが独立である.

例 1.6 1の2乗根は+1, −1 例 1.7 1の3乗根は

1, e2πi3 =−1 2+

√3i

2 , e−2πi3 =−1 2−

√3i 2

(12)

同様にz0 =r0eiθ0 のn乗根を求めることができる。方程式zn =z0にz =reiθを代入 すると

rn =r0, nθ=θ0+ 2kπ (k ∈Z) を得る。これより

r=n√

r0, θ = θ0+ 2kπ n となり

z =n√ r0exp

(

iθ0+ 2kπ n

)

を得る。

例 1.8 (−8i)13 を求める。| −8i|= 8, arg(−8i) = −π2 + 2kπ (k = 0,±1, . . .)より (−8i)13 = 2 exp

(i 3(−π

2 + 2kπ) )

= 2 exp(−iπ

6 ) exp(2ikπ

3 ), k∈Z となる。exp(−iπ6) = √32−i より

2 exp(−iπ 6 ) =√

3−i, k= 0の場合 2 exp(−iπ

6 ) exp(2i

3) = (√

3−i)−1 +√ 3i

2 = 2i, k = 1の場合 2 exp(−iπ

6 ) exp(4i

3) = (√

3−i)−1−√ 3i

2 =−√

3−i, k = 2の場合 となる。

問題 1.3 (√

3 +i)1/2を求めよ。

1.5 補足: 拡大複素平面

複素数の平面において無限遠点∞を考えるとしばしば便利である。複素平面Cに∞で表 される無限遠点を付け加えた平面C¯ =C∪{∞}を拡大複素平面(extended complex plane) という。

(13)

O N

P

z

Figure 1.4: Riemann球面

Riemann球面 拡大複素平面を幾何学的に具体化するために,原点を中心とする単位球

を考え,球の北極Nと球面上の点Pを通る直線がxy平面と交わる点をzとする。無限遠点 z =∞と対応する点は北極点Nとなる. この対応(立体射影(sterographic projection)) で拡大複素平面と球面は1対1に対応する.この球面をRiemann球面という.

3次元空間(x1, x2, x3)を考える。半径1の原点を中心とする単位球は

x21+x22+x23 = 1 (1.68) で表される。北極N(0,0,1)と球面上の点P(x1, x2, x3)を通る直線は

x′1 =tx1, x′2 =tx2, x′3 = 1 +t(x3−1) (1.69) で表される。x1−x2面との交点はx′3 = 0とおいて,

t = 1 1−x3 となり、対応する複素数は

z =x′1+ix′2 = x1+ix2 1−x3

(1.70) となる。zの絶対値は

|z|2 = x21+x22

(1−x3)2 = 1−x23

(1−x3)2 = 1 +x3 1−x3

(14)

で与えられる。逆に解くと

x3 = |z|2−1

|z|2+ 1 (1.71)

x1 = z+ ¯z

1 +|z|2 (1.72)

x2 = z−z¯

i(1 +|z|2) (1.73)

となる.

図

Figure 1.3: 極形式

参照

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