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密教文化 Vol. 2003 No. 211 001中谷 征充「空海と馬〓の「離合詩」――空海漢詩文研究序説―― P1-26」

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-空

説-中

I は じ め に (1) 空 海 と 馬 掘 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は、 眞 濟 が ﹃ 性 霊 集 ﹄ の 序 で 空 海 の 入 唐 時 の エ ピ ソ ー ド の 一 つ と し て 記 述 し て い る。 そ れ は 空 海 が 同 門 の 僧 惟 上 に ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 贈 り、 惟 上 が こ れ を 馬 掘 に 見 せ、 馬 掘 が 空 海 に 同 じ ﹁ 離 合 詩 ﹂ で 答 え た 話 で あ る。 以 下、 当 論 文 で は、 空 海 ・ 馬 捻 そ れ ぞ れ の ﹁ 離 合 詩 ﹂ を ﹁ 空 海 詩 ﹂ ﹁ 馬 掘 詩 ﹂ と 略 記 す る。 と こ ろ で ﹃ 性 霊 集 ﹄ 序 で は ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ は 所 載 さ れ て い る が、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ は そ の 存 在 が 述 べ ら れ て い る だ け で、 実 際 (2) の 詩 の 所 載 は な い。 そ の 後 ﹁ 空 海 詩 ﹂ は ﹃ 性 霊 集 ﹂ の 注 釈 書 に 所 載 さ れ て、 今 日 ま で 傳 存 さ れ て い る。 こ の ﹁空 海 詩 ﹂ が 如 何 な る 経 緯 で 所 載 さ れ る よ う に な っ た の か は、 詳 ら か で な い。 両 者 の 詩 は 次 の よ う な も の で あ る。 ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ 何 乃 萬 里 来 可 非 街 其 才 空 海 と 馬 捻 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 増 學 助 玄 機 土 人 如 子 稀 ﹁ 空 海 詩 ﹂ 磯 危 人 難 行 石 瞼 獣 無 昇 (3) 燭 暗 迷 前 後 蜀 人 不 得 過 両 詩 と も 五 言 四 句 の 詩 で あ る。 こ れ ら 両 詩 を 後 述 す る 各 種 テ キ ス ト で 検 討 す る と、 ﹁ 馬 掘 詩 ﹂ は 前 掲 の 字 句 で 統 一 さ れ て い る こ と が 判 っ た。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ は 異 字 が 多 く あ り、 ど れ が 正 し い 字 句 で あ る か に つ い て は、 今 ま で 殆 ど 考 察 さ れ て 来 な か っ た と い っ て よ い。 前 掲 の ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 字 句 は ﹃ 定 本 弘 法 大 師 全 集 ﹄ か ら 所 載 し た も の で あ る が、 明 ら か に 押 韻 が 出 来 て い な い 詩 で あ る。 こ の 押 韻 を 含 む 漢 詩 の 詩 型 及 び ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 作 詩 作 法 に つ い て も、 殆 ど 考 究 さ れ て い な い。 そ こ で、 本 稿 で は、 こ れ ら の 問 題 点 を 検 討 し、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 正 し い 字 句 を 校 訂 し、 併 せ て 三 者 間 で 詩 が 取 り 交 わ さ れ た エ ピ ソ ー ド の 状 況 に つ い て、 光 を 当 て て 見 た い と 考 え る。 最 初 に ﹁ 離 合 詩 ﹂ に つ い て、 簡 略 に 述 べ て お き た い。 ﹁ 離 合 詩 ﹂ は、 漢 詩 の 中 に 含 ま れ る 雑 詩 の 一 種 で あ る。 字 を (4) 分 解 し て 組 み 合 わ せ、 一 部 を 伏 字 に し て、 隠 喩 に す る 一 種 の 言 葉 遊 び で あ り、 廻 文 詩、 字 訓 詩、 加 韻 詩 等 と 同 じ く、 人 々 は、 そ の 技 巧 を 競 っ て 楽 し ん だ。 ﹁ 離 合 詩 ﹂ が 何 時 頃 か ら 作 ら れ る よ う に な っ た の か、 判 然 と し な い が、 後 漢 孔 (5) 融 の ﹁ 郡 姓 名 詩 ﹂ が 嗜 矢 と さ れ、 そ の 後 六 朝 時 代 を ピ ー ク と し て、 唐 代 ま で 作 詩 さ れ、 そ れ 以 後 絶 え て い る。 我 國 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は 空 海 が 入 唐 中 に 作 詩 し た ﹁ 空 海 詩 ﹂ が 最 初 の 作 例 と 思 わ れ る。 ﹃ 文 華 秀 麗 集 ﹄ 所 収 の 小 野 峯 守 (6) ﹁ 在 邊 贈 友 ﹂ が 公 刊 さ れ た 最 初 の 作 例 と な っ た。 次 に 菅 原 道 真 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ が ﹃ 菅 家 文 草 ﹄ に 所 載 さ れ る ま で、 八 十 年 強 経 過 し て い る。 更 に ﹃ 作 文 大 髄 ﹄ ﹃ 本 朝 文 粋 ﹄ に 作 例 が あ り、 ﹃ 本 朝 無 題 詩 ﹄ 藤 原 忠 通 作 ﹁ 春 日 言 蕊 ﹂ を 最 後 に 見

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ら れ な く な っ て い る。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ か ら 藤 原 忠 通 に 至 る 約 三 五 〇 年 間 に 六 首 の 作 例 で あ る。 こ れ ら 中 国 ・ 日 本 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 検 討 の 結 果、 そ の 大 凡 の 作 法 は 次 の よ う な も の で あ っ た。 i ﹁ 離 合 詩 ﹂ は ﹁ 漢 詩 ﹂ の 中 に 含 ま れ る 雑 詩 の 一 種 で あ る。 從 っ て 漢 詩 作 法 が 優 先 さ れ る。 全 て の 作 例 は そ の 詩 型 に 合 致 し た 押 韻 と 平 灰 法 に 從 っ て お り、 特 に 押 韻 の 成 さ れ て い な い も の、 押 韻 の 間 違 っ て い る も の は 一 例 も な か っ た。 ii 離 合 の 意 味 は 字 を 分 解 し て 切 り 離 し、 切 り 離 し た 部 分 を 用 い て、 合 成 し て 別 の 字 に 構 成 す る と い う 意 味 で あ る。 字 の 分 解 の 仕 方 は 原 則 と し て、 偏 ・ 勇 ・ 冠 等 漢 字 の 解 字 に 從 っ て 分 解 し、 合 成 し て い る。 し か し、 中 に は 頓 智 と い う べ き か、 解 字 か ら 云 え ば 考 え ら れ な い よ う な 分 解 を し て、 合 成 し て い る 作 例 も 相 当 数 あ る。 こ の 事 は 離 合 の 仕 方 に 厳 密 な 規 則 が 無 か っ た と 考 え ら れ、 そ れ よ り も 伏 字 を 合 成 す る 事 に 重 点 を 置 い て い た か ら だ と 思 わ れ る。 始 め に 伏 字 ・ 隠 喩 あ り き で、 そ の 伏 字 を 作 る た め に、 少 々 強 引 に 作 詩 を し た の だ ろ う。 iii 本 來 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は 合 成 し た 字 を 伏 字 と し て、 隠 喩 に し て い る。 謎 解 き の 面 白 み を 楽 し む 詩 で あ る。 iv 離 合 さ れ る 字 は、 当 初 句 中 の ど の 字 で も よ か っ た が、 後 に 句 首 及 び 句 尾 の 字 を 用 い る よ う に な り、 こ れ が 慣 習 化 ・ 規 則 化 さ れ る よ う に な っ た。 本 來 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は 奇 数 句 の 句 首 の 字 を 分 解 し、 そ の 一 部 を 偶 数 句 の 句 首 に 用 い て、 残 っ た 部 分 を 伏 字 の 構 成 部 分 と す る。 通 常 は 二 聯 四 句 で 一 字 を 合 成 し て い る。 v 離 合 し た 字 は 詩 の 字 句 中 に 一 度 し か 用 い ず、 伏 字 を 合 成 す る 字 は 詩 の 字 句 に 用 い な い。 即 ち 離 合 さ れ た 字 は そ の 部 分 も 含 め 全 て 一 度 し か 用 い ら れ な い。 本 論 に 関 連 す る 最 近 の 先 行 研 究 は、 三 点 の 論 文 が あ る。 以 下 の 通 り で あ る。 空 海 と 馬 掘 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序

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説-密 教 文 化 A 藥 毅 ﹁ 空 海 在 唐 作 詩 考 ﹂ ﹃ 興 膳 教 授 退 官 記 念 中 國 文 學 論 集 ﹄ 所 収 平 成 十 二 年 三 月 刊 B 王 勇 ﹁ 唐 詩 に 詠 ま れ た 空 海 像 ﹂ ﹃ 國 文 學 解 釈 と 鑑 賞 ﹄ 平 成 十 三 年 五 月 號 所 収 C 後 藤 昭 雄 ﹁ ﹃ 性 霊 集 ﹄ -秀 逸 の 漢 詩 文 集 ﹂ 同 右 雑 誌 所 収 こ れ ら の 先 行 研 究 は、 A は 本 格 的 に ﹁ 空 海 詩 ﹂ に つ い て 論 究 し た も の。 B は 明 確 な 根 拠、 出 典 を 示 さ ず ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 所 載 引 用 し、 解 釈 を 述 べ て い る。 尤 も B 論 文 の 主 題 か ら 言 え ば 空 海 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ そ の も の は 論 究 の 対 象 と し て い る 訳 で は な い。 C は 論 旨 の な か で、 簡 単 に ﹁ 空 海 詩 ﹂ に 触 れ、 脚 注 で A の 論 文 の 紹 介 に と ど め て い る。 ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ に つ い て は、 書 き 下 し 文 で 記 載 引 用 し て い る。 從 っ て、 こ れ か ら 考 察 を 進 め る 中 で、 A 論 文 を 比 較 対 照 し な が ら 取 り 進 め て 行 き た い。 漢 詩 の 平 灰 ・ 押 韻 の 表 記 に つ い て は、 次 の よ う な 記 號 を 用 い た。 平 灰 は ○ が ﹁ 平 ﹂ 字、 ● が ﹁ 灰 ﹂ 字、 な お、 △ が ﹁ 平 ﹂ ﹁ 灰 ﹂ ど ち ら で も よ い 字 を 表 記 す る。 押 韻 は ◎ が ﹁ 平 声 ﹂ 韻、 ◆ が ﹁ 灰 声 ﹂ 韻 で 表 記 す る。 各 々 の 字 の 四 声 と 韻 (8) の 分 類 に つ い て は、 唐 代 に 用 い ら れ て い た ﹁ 廣 韻 ﹂ で 記 載 し て い る。 離 合 す る 字 は ゴ チ ッ ク 体 で 表 し た。 H ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ に つ い て 馬 掘 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は 眞 濟 撰 ﹃ 性 霊 集 ﹄ 序 に 最 初 所 収 さ れ た 文 言 が、 そ の 後、 そ の ま ま 伝 來 さ れ、 各 種 の 写 本、 そ の 後 の ﹃ 性 霊 集 ﹄ 註 釈 書 等 に も 異 同 が 無 く、 一 致 し た 形 で、 今 日、 目 に す る こ と が 出 き る。 は じ め に 馬 捻 の 人 と な り に つ い て 記 し て お こ う。

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(9) 馬 掘 (?-八 二 三) は 扶 風 ( 陳 西 省) の 人。 字 は 會 元。 中 唐 の 政 治 家。 武 官 歴 が 長 い。 若 く し て 両 親 を 亡 く し 貧 窮 の 中 に 育 つ。 學 を 好 み、 妄 り に 交 遊 せ ず。 官 途 に 就 い た 貞 元 中 (七 八 五-八 〇 五) に、 滑 州 ( 河 南 省) 鎮 台 眺 南 仲 が 監 軍 醇 盈 珍 に 謳 告 さ れ、 罷 免 さ れ た 時、 従 事 と し て 仕 え て い た 馬 捻 は 連 座 し て 泉 州 ( 福 建 省) 別 駕 に 左 遷 さ れ た。 そ の と き 上 司 の 福 建 観 察 使 柳 冤 が 彼 を 諌 殺 し よ う と し た が、 訊 問 し た 穆 賛 の 無 罪 主 張 に よ っ て 救 わ れ た 後、 恩 王 ( 李 連 ・ 代 宗 の 六 男 ・ 元 和 十 二 年 ・ 八 一 七 莞) 傅 に 転 じ た。 元 和 初 年 (八 〇 六) に 度 州 ( 江 西 省) 刺 史 と な る。 元 和 四 年 ( 八 〇 九) 安 南 都 護 ・ 経 略 使 長 官。 こ の 地 で、 儒 教 に 基 づ い て、 仁 政 を 行 い、 蛮 夷 (瞭 族) を 教 化 し、 漢 の 故 地 に 唐 の 徳 を 称 え る 銅 柱 二 本 を 建 て る。 こ の 功 に よ り 金 印 紫 綬 を 許 さ れ る。 八 年 (八 一 三) 桂 州 ( 広 西 省) 刺 史 ・ 経 略 観 察 使 に 転 じ、 そ の 後 刑 部 侍 郎。 兼 御 史 大 夫。 十 二 年 ( 八 一 七) ま で に、 潅 西 の 宣 慰 の 為 出 て、 乱 賊 を 捕 え、 票 州 ( 河 南 省) に 留 ま り、 教 令 を 設 け、 賞 罰 を 明 ら か に し、 そ の 悪 習 を 一 攣 さ せ た。 還 り 工 部 尚 書。 出 て 察 州 刺 史。 准 西 節 度 使。 傘 下 の 各 州 が 賊 憲 に 陥 っ た の を 旧 に 復 し、 令 を 布 き、 准 西 一 体 を 宣 撫 し た。 十 三 年 (八 一 八) 許 州 ( 河 南 省) 刺 史、 忠 武 軍 節 度、 陳 ・ 許 ・ 澱 等 州 観 察 処 置 使、 華 州 ( 陳 西 省) 刺 史、 滝 關 防 御。 十 四 年 ( 八 一 九) 刑 部 尚 書 で 還 る。 出 て 郵 州 ( 山 東 省) 刺 史、 叛 乱 軍 李 師 道 が 鎮 圧 さ れ た 後、 天 平 軍 の 號 を 賜 る。 長 慶 初 年 ( 八 一 二)、 穆 宗 は 馬 掬 を 大 い に 起 用 し て、 天 平 軍 と し て、 各 地 の 叛 乱 ・ 賊 憲 鎮 圧 の 為、 各 地 に 出 軍 す る。 二 年 ( 八 二 二) 検 校 尚 書 左 僕 射、 戸 部 尚 書。 三 年 (八 二 三) 卒。 右 僕 射 を 贈 ら れ る。 軍 政 に 東 奔 西 走 し て い た に も 拘 ら ず、 篤 学 で 書 を 手 離 さ ず、 奏 議 集 ・ 年 暦 ・ 通 暦 ・ 子 紗 等 百 余 巻 を 著 す。 ﹃ 新 唐 書 ﹄ は 評 し て 沈 諮 ( 落 ち 着 い て、 麗 し い) と 言 う。 空 海 と 馬 掘 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 II -一 ﹁ 馬 聰 詩 ﹂ の 詩 型 と そ の 作 詩 状 況 こ こ で、 ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ の 検 討 に 移 る。 離 合 は 二 聯 四 句 で 一 字 を 合 成 す る、 典 型 的 な 構 成 で、 ︻ 僧 ︼ が 伏 字 と な っ て い る。 (10) 以 下 に ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ を 掲 載 し、 平 灰 ・ 押 韻 を 記 す。

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押 韻 は 第 一 句 ﹁ 來 ﹂ と 二 句 ﹁ 才 ﹂ が 上 平 声 十 六 番 ﹁ 胎 ﹂ 韻、 第 三 句 ﹁機 ﹂ と 四 句 ﹁ 稀 ﹂ が 上 平 声 八 番 ﹁ 微 ﹂ 韻 で あ (11) る。 ﹁ 胎 ﹂ と ﹁ 微 ﹂ は 通 韻 し な い。 即 ち 一 聯 毎 に 換 韻 し て 毎 句 韻 を 踏 ん で い る。 ど ち ら も 平 声 韻 で あ る。 こ の 押 韻 の 仕 方 は 非 常 に 珍 し い。 も ち ろ ん 今 罷 詩 の 五 言 絶 句 の 韻 法 で な い こ と は 明 ら か な の で、 五 言 古 詩 の 部 類 に 入 る。 こ の 毎 句 韻 を 踏 み、 二 句 で 換 韻 し そ れ が 平 声 韻 で 続 く と い う 詩 型 は、 恐 ら く こ の 詩 の み の 作 例 だ ろ う。 ﹃ 類 聚 ﹄ ﹃ 全 唐 詩 ﹄ 等 で 五 言 四 句 の 詩 の 押 韻 を 調 べ た が、 二 句 で 換 韻 し て い る 作 例 は 無 か っ た。 こ れ は 元 々 五 言 古 詩 が 八 句 以 上 の 中 ・ 長 詩 に そ の 本 領 が あ っ た の で、 四 句 の も の が 無 い わ け で は な い が 非 常 に 作 例 が 少 な い。 ま た そ の 中 で も 毎 句 韻 を 踏 む の は 絶 無 で あ る。 前 川 研 堂 ﹃ 古 髄 詩 作 法 ﹄ ︹漢 詩 作 詩 法 ・ 資 料 集 成 上 巻 ︺ の 韻 法 の 分 類 で ﹁ 換 韻 句 数 不 定 格 ﹂ と ﹁ 起 二 句 換 韻 格 ﹂ と さ れ る 詩 型 で は、 起 四 句 が 一 聯 二 句 で 換 韻 さ れ、 毎 句 韻 を 踏 ん で い る。 こ の 作 例 と し て、 漢 ・ 票 琶、 魏 ・ 劉 槙、 唐 ・ 李 白 ・ 杜 甫 ・ 白 居 易 の 作 品 な ど が 所 載 さ れ て い る。 し か し こ れ ら の 作 品 は 全 て 八 句 以 上 の 中 ・ 長 詩 で あ る。 ま た そ れ

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(12) ら は ﹁ 解 ﹂ ご と に、 次 々 換 韻 さ れ て い る が、 必 ず 平 灰 互 用 に し て い る。 ﹁ 椹 徳 輿 詩 ﹂ は 珍 し い 詩 型 で あ る が こ の 換 韻 の 原 則 か ら 外 れ て い な い。 ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ は 換 韻 し て も、 同 じ 平 声 韻 を 用 い て い る の で こ の 意 味 で も 異 例 で あ る。 (13) (14) こ の ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ の 押 韻 に つ い て 言 及 し た 註 釈 は、 ﹃ 性 霊 集 注 ﹄ ﹃ 性 霊 集 聞 書 ﹄ と ﹃ 性 霊 集 私 記 ﹄ が あ る。 以 下 に 紹 介 す る。 ﹃ 集 注 ﹄ は ﹁ ( 前 二 句 の 後 に 割 注 し て) 此 者 灰 胎 駒 也。 ( 後 二 句 の 後 に) 此 者 微 駒 也。 不 入 詩 境 者 不 知 駒 混。 一 以 両 餉 作 詩 可 知 云 々 ﹂ ( 十 五 オ) と し て こ の 韻 法 に つ い て、 達 人 で な け れ ば 知 ら な い 韻 法 で あ る と し て い る。 ﹃ 聞 書 ﹄ は ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ の 離 合 の 説 明 の 後 に ﹁ ⋮ ⋮ 駒 声 沙 汰 不 見 也。 來 才 灰 胎 訥 也、 稀 微 餉 也。 常 法 渡 替 也。 追 可 尋 也 ﹂ ( 十 五 オ) と し て、 ﹁ 一 句 ・ 二 句 ・ 四 句 が 押 韻 し て い る と 解 し た が、 餉 が 換 わ っ て い る の で、 理 解 で き な い の で、 後 で 検 討 し よ う ﹂ と 記 述 し て い る。 ﹃ 私 記 ﹂ は ﹁ 此 離 合 僧 字 離 合 作 也。 拐 離 合 詩 膿 韻 字 用 二 韻 也。 來 才 灰 龍。 機 稀 微 鈎 也。 又 一 韻 作 也 ﹂ と し て、 韻 法 の 検 討 を 行 っ て い な い。 票 毅 氏 の A 論 は、 ﹁ 馬 掘 詩 ﹂ の 押 韻 に つ い て は、 直 接 の 言 及 は な い が、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 説 明 の 中 で ﹁ 最 初 の 四 句 は、 必 ず 二 句 で 韻 を 換 え る。 ⋮ ⋮ ﹂ と 記 し、 当 時 に 流 行 し た ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 常 則 で あ る と し、 ﹃ 権 載 之 文 集 ﹄ 巻 八 収 録 の 権 徳 (15) 輿 以 下 八 名 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ 十 二 首 を 根 拠 と し て 呈 示 し て い る。 更 に 論 を 進 め、 権 徳 輿 と 空 海 の 交 際 の 可 能 性 と、 先 物 好 き で 好 奇 心 の 強 い 空 海 が 当 時 流 行 し た こ の ﹁ 離 合 詩 ﹂ に 飛 び つ き、 作 っ た と し て い る。 ま た 馬 掘 が 空 海 に 最 新 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 教 え た 可 能 性 も 指 摘 し て い る。 し か し、 権 徳 幽 バグ ル ー プ の ﹁ 離 合 詩 ﹂ 八 首 を 具 に 検 討 す る と、 彼 ら は 仲 間 の う ち で、 ひ っ そ り と 連 歌 形 式 の ﹁ 離 合 空 海 と 馬 掘 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 詩 ﹂ を 楽 し ん だ の で あ っ て、 こ れ を 世 人 に 推 奨 し、 広 め た 形 跡 が 見 当 た ら な い。 階 唐 以 後、 本 來 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は 廃 れ た と 言 っ て 良 く、 徳 輿 グ ル ー プ が 二 百 数 十 年 後 に 忽 然 と ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 作 り、 そ の と き の 二 回 の 分 を 所 載 し て い る。 も し 察 毅 氏 の 主 張 の 通 り で あ る と す れ ば、 な ぜ ﹃ 全 唐 詩 ﹄ に 同 種 の ﹁離 合 詩 ﹂ の 作 例 が 一 例 も な い の か、 ﹃ 灌 載 之 文 集 ﹄ に 一 回 の 作 例 だ け し か 載 せ な か っ た の か。 徳 輿 グ ル ー プ の 七 名 が ﹃ 権 載 之 文 集 ﹄ に 所 載 さ れ て い る 二-三 首 の み で あ り、 他 の 詩 は ﹃ 全 唐 詩 ﹄ を は じ め 残 っ て い な い。 又、 後 世 の ﹃ 明 緋 ﹄ に 陸 轟 蒙 や 皮 日 休 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 所 収 し な が ら、 独 特 の 詩 型 を 持 つ 徳 輿 グ ル ー プ の ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 何 故 作 例 と し て 載 せ な か っ た の か。 つ ま り こ れ ら の 事 実 が 示 す 所 は、 徳 輿 グ ル ー プ の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は 世 人 に 殆 ど 知 ら れ て い な か っ た と 考 え る ほ う が 自 然 で あ る と い う 事 で あ る。 察 毅 氏 は 灌 徳 輿= 馬 捻= 空 海 を 根 拠 付 け る た め に、 韓 愈 や 劉 萬 錫 が 馬 捻 に 贈 っ た 詩 が 数 多 く あ る と し て、 灌 徳 輿= 馬 掘 の 傍 証 と し て い る が、 果 た し て そ う だ ろ う か。 ﹃ 全 唐 詩 ﹄ を 見 れ ば、 確 か に 韓 愈 が 三 首、 劉 禺 錫 が 五 首、 馬 捻 に 贈 詩 を し た り、 第 三 者 を 介 し て 酬 詩 を 行 っ た り し て い る。 し か し、 内 容 を 見 れ ば、 馬 捻 が 安 南 都 護 と し て 出 た 後、 功 を 上 げ、 金 印 紫 綬 を 授 け ら れ た 後 の 詩 で あ っ て、 殆 ど は 彼 の 受 賞 や 著 作 に 対 す る 賞 賛 の 詩 か、 軍 務 に 対 す る 慰 労 の 詩 で あ る。 こ れ は ﹃ 全 唐 詩 ﹄ に 彼 等 の 十 巻 ・ 十 二 巻 の 膨 大 な 詩 が 所 収 さ れ て い る 中 で は 些 少 で、 馬 掘 と 特 別 に 親 し く し て い た と は 言 え ず、 時 を 得 た 人 に 対 す る 儀 礼 的 な 詩 だ と 思 え る。 こ の 種 の 詩 は 馬 捻 に 対 す る 以 外 に も 多 く あ る。 馬 穗 本 人 と の 和 詩 や 応 酬 詩 が 無 い の も こ の 事 を 裏 付 け て い る の で は な い か。 筆 者 は 馬 掘 が 空 海 と 合 い 知 っ た 時 点 で は、 権 徳 輿= 馬 捻 の 関 係 は 無 か っ た と 考 え て い る。 そ の 理 由 は 三 点 あ る。

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i ・ 権 徳 輿 と 馬 捲 の 年 次 の 違 い。 徳 輿 の 方 が 馬 掘 よ り 官 途 に 就 い た の が 十 年 前 後 早 い。 つ ま り 先 輩 で 同 郷 と か、 特 別 の コ ネ が 無 い 限 り 普 通 は 立 場 も 違 い、 私 的 な 関 係 を 作 り が た い。 ま し て 馬 捻 に と っ て、 仇 敵 の 柳 冤 と 徳 輿 は 同 年 次 で、 察 毅 氏 の 指 摘 の 通 り 書 の 交 換 が あ る。 警 戒 こ そ す れ 近 付 く 理 由 が 無 い。 ii ・ ﹃ 奮 唐 書 ﹂ ﹃ 新 唐 書 ﹂ に 記 載 さ れ た 彼 の 性 向 が ﹁ 不 妄 交 遊 ﹂ と あ り、 積 極 的 に 交 際 を し て ゆ く 性 質 で は な い こ と。 iii ・ こ の 時 点 で の 馬 捻 を と り ま く 環 境 で あ る。 彼 は 上 司 に 連 座 し て 左 遷 さ れ、 左 遷 先 で は 上 司 で あ っ た 柳 冤 か ら 謙 殺 さ れ か か っ て、 よ う や く 難 を 逃 れ、 恩 王 傅 と い う 閑 職 に 就 い た ば か り で あ る。 あ ま り 同 僚 そ の 他 は 近 付 か な い だ ろ う。 戸 部 侍 郎 の 椹 徳 輿 と そ の 仲 間 た ち は、 そ れ ぞ れ、 中 央 官 庁 に い て、 職 掌 と し て も 普 段 は 顔 を 合 わ さ な か っ た に 違 い な い。 前 述 し た 通 り ﹁ 馬 捲 詩 ﹂ の 押 韻 法 が 特 異 で あ る こ と を 見 て き た。 灌 徳 輿 グ ル ー プ の 影 響 も 考 え ら れ な い。 詩 型 も 咀 ら か に 異 な る。 そ れ で は 馬 掘 が ど う し て こ の よ う な ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 作 っ た の で あ る か、 そ れ に つ い て は ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 検 討 後、 明 ら か に な る で あ ろ う。 た だ 四 句 の 各 句 が 平 声 韻 な の は、 詩 の リ ズ ム と し て い か に も 据 わ り が 悪 い。 II -二 ﹁ 馬 掘 詩 ﹂ の 解 釈 こ こ で、 後 節 に も 関 係 す る の で、 こ の 詩 の 解 釈 を 行 っ て お き た い。 す な わ て ら あ ら ざ ︽ 書 き 下 し ︾ 何 ぞ 乃 ち 萬 里 よ り 來 れ る、 其 の 才 を 街 う に 非 る べ し。 と じ ん な ん じ 益 々 學 ん で 玄 機 を 助 け よ、 土 人 す ら 子 が 如 き は 稀 な り。 ︽ 解 釈 ︾ ど の よ う な 目 的 で は る ば る 遠 方 か ら こ の 國 へ 來 た の で す か、 ま さ か 自 分 の 才 能 を 売 り 込 む 為 に 來 た の で は な 空 海 と 馬 捻 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 い で し ょ う ね。 も っ と 學 ば れ て 奥 深 い 真 理 を 見 極 め る 為 に 力 を 注 い で 下 さ い。 我 国 で も 貴 方 の よ う な 才 能 を 持 つ 人 は 数 少 な い と 思 い ま す。 こ の 詩 の 伝 統 的 な 解 釈 は 空 海 の 偉 大 さ ・ 唐 人 に 伍 し て も 引 け を 取 ら な い 抜 群 の 才 能 を 証 明 す る エ ピ ソ ー ド と し て 解 釈 さ れ て き た。 伏 字 が ︻ 僧 ︼ と な っ て お り、 こ れ を ど の よ う に 解 釈 す る か で あ る。 僧 と し て 稀 に 見 る 才 能 の 持 ち 主 と し て、 馬 聰 が 賛 嘆 し た の か。 あ る い は 僧 の 本 分 を 尽 く す 事 が 大 切 だ と 云 い た い の か、 こ の 一 字 の み で は 判 断 が 難 し い。 III ﹁ 空 海 詩 ﹂ に つ い て 空 海 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は、 最 初 に 指 摘 し た よ う に、 原 本 が 存 在 し な い。 当 初 か ら 空 海 或 は 眞 濟 の 意 志 で 詩 の 公 表 を し て い な い。 そ れ で は ど う し て 今 日 ﹁ 空 海 詩 ﹂ が 傳 存 さ れ 我 々 の 眼 に 触 れ る こ と が 出 來 る の だ ろ う か、 そ の 由 來 は 今 に な っ て は 全 く 知 る 由 も 無 い。 た だ、 我 々 の 身 に 即 し て 考 え る と、、 ﹃ 性 霊 集 ﹄ を 紐 解 き ﹁ 離 合 詩 ﹂ の エ ピ ソ ー ド を 読 め ば、 誰 で も 空 海 の 詩 は ど の よ う な も の で あ る か を 知 り た い と 思 う に 違 い な い。 今 日 ﹃ 性 霊 集 ﹄ の 成 立 は 空 海 の 晩 年 或 は 入 滅 後 間 も な く の 時 期 に 完 成 し た と さ れ て い る。 仮 に 空 海 の 意 志 で 公 表 し な か っ た と す れ ば、 眞 濟 が 空 海 没 後 か な り の 年 月 を 経 過 し た 時 に 弟 子 た ち の 要 請 に 応 え、 密 か に 洩 ら し、 そ れ が 代 々 ﹃ 性 霊 集 ﹂ を 學 ぶ 弟 子 に 受 け 継 が れ て 來 た と 想 像 し 得 る の で は な い か。 そ の 後 ﹃ 性 霊 集 ﹄ は 我 国 の 漢 詩 文 の 主 流 か ら 外 れ、 筐 底 深 く 蔵 さ れ た ま ま、 僅 少 の 學 侶 達 に 守 ら れ て き た と 思 わ れ

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る が、 そ の 間 に 八 ・ 九 ・ 十 の 三 巻 が 散 逸 し た。 二 百 数 十 年 後 に 済 逞 が 散 逸 を 補 い、 今 日 の ﹃ 性 霊 集 ﹄ 十 巻 が 傳 存 さ れ る こ と に な っ た。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ も こ の 間 ﹃ 性 霊 集 ﹄ 本 文 で は な く、 注 釈 と し て 師 資 相 承 さ れ て き た と 思 わ れ る が、 本 文 所 収 の ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ と 違 い、 異 字 が 多 い。 ま た、 先 の 註 で 触 れ た よ う に、 注 釈 書 で 現 存 し て い る 最 古 の 物 は、 聖 範 口 述 を 真 辮 が 筆 記 し た ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹄ ( 一 二 二 三 年 成 立) の 写 本 で あ る。 済 逞 の ﹃ 性 霊 集 ﹂ 編 纂 か ら 百 数 十 年 経 過 し て い る。 情 報 の 閉 ざ さ れ た 時 代 で、 尚 且 つ、 筆 写 し か 相 承 で き な い 状 況 で は 異 字 が 起 こ る の は 当 然 と 云 え ば 当 然 で あ る。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 異 字 は、 第 二 句 句 尾 と 第 三 句 四 字 目 ・ 第 四 句 句 尾 に 集 中 し て い る。 二 句 ・ 四 句 の 句 尾 は 押 韻 す る 箇 所 で あ る。 詩 の 根 幹 を 成 す 押 韻 す る 字 で 異 字 が 多 い の は、 奇 妙 と 言 え る。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 検 討 す る に 当 た り、 先 ず、 異 字 を 整 理 し、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 所 収 す る、 著 作 集 ・ 注 釈 書 ・ 傳 記 等 が ど の 字, を 採 用 し て い る か、 手 の 届 く 範 囲 で 調 べ た 結 果 を 列 記 し て、 各 書 が ﹁ 離 合 詩 ﹂ に つ い て ど の よ う な 注 釈 を し て い る か を 点 検 す る。 次 に 先 行 研 究 と 比 較 対 論 し て、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 校 訂 を 試 み、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ の 検 討 を 通 じ て、 こ の 二 人 の 詩 の 贈 答 の エ ピ ソ ー ド に 迫 り た い と 考 え る。 ま ず 異 字 の 部 分 を □ 枠 に し て ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 掲 載 し て み よ う。 1 磯 危 人 難 行 2 石 瞼 獣 無 □ 3 燭 暗 迷 □ 後 4 蜀 人 不 得 □ 異 字 を 列 記 す る と 次 の よ う に な る。 第 二 句 句 尾 ⋮ ⋮ ⋮ ﹁ 昇 ﹂ と ﹁ 登 ﹂ の 二 種。 空 海 と 馬 捻 の ﹁ 離 合 詩 ﹂-空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 第 三 句 四 字 目 ⋮ ⋮ ﹁ 先 ﹂ ﹁ 前 ﹂ ﹁ 光 ﹂ の 三 種。 第 四 句 句 尾 ⋮ ⋮ ⋮ ﹁ 過 ﹂ ﹁ 火 ﹂ ﹁ 燈 ﹂ の 三 種。 (16) こ れ ら の 異 字 の 中、 第 三 句 四 字 目 は 詩 の 構 成 上 か ら そ れ ほ ど 重 要 で は な い。 校 訂 に つ い て は ﹁ 光 ﹂ は 明 ら か に ﹁ 先 ﹂ の 誤 写 と お も わ れ る の で、 ﹁ 先 ﹂ と ﹁ 前 ﹂ の 比 較 と な る が、 平 灰 は 両 字 と も 同 じ 下 平 声 一 番 ﹁ 先 ﹂ 韻 で あ り、 語 の 意 味 も ほ ぼ 同 じ な の で、 仮 に ﹁ 前 ﹂ と し て お き た い。 詩 の 構 成 上 重 要 な 第 二 句 と 四 句 の 句 尾 の 異 字 に つ い て 考 え て み よ う。 文 字 の 組 み 合 わ せ は、 全 部 で 六 種 類 ど な る が、 諸 書 に 見 ら れ る 組 み 合 わ せ は 四 種 あ る。 ﹁ 昇 ﹂ と ﹁ 火 ﹂、 ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 過 ﹂ の 組 み 合 わ せ は 知 見 の 範 囲 で 見 当 た ら な い。 以 下 各 々 の 組 み 合 わ せ を 年 代 の 古 い 順 に 見 て 行 く こ と に し た い。 III -一 ﹁ 昇 ﹂ と ﹁ 過 ﹂ の 組 み 合 わ せ こ の 組 み 合 わ せ の 記 述 が 一 番 多 く、 明 治 以 降 の 空 海 全 集 の 殆 ど は こ れ を 採 用 し て い る。 多 数 派 で あ る。 し か し こ の (17) 根 拠 に つ い て は、 聖 範 口 述 真 辮 筆 記 ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹄ に 遡 る こ と に な る が、 そ れ 以 後 こ の 説 を 採 用 し た 先 學 達 は 新 た な 根 拠 を 何 も 呈 示 し て い な い。 次 に こ の 説 を 採 用 し て い る 諸 書 を 挙 げ て お く。 1 ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹂ 聖 範 口 述 真 辮 筆 記 ・ 十 巻 二 帖 貞 応 二 年 ( 一 二 二 三) 撰 述。 他 に 同 系 統 の テ キ ス ト に ﹃性 霊 集 注 ﹄ 七 冊 (十 巻 中 七 巻-九 巻 閾) 東 寺 ・ 観 智 院 本 が あ る。 2 ﹃ 性 霊 集 聞 書 ﹂ 選 者 不 詳 ・ 十 冊 東 寺 ・ 観 智 院 本 實 見 し た が 奥 書 に 筆 写 年 月 の 記 載 無 く、 写 本 は 安 土 ・ 桃

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山 時 代 と し て お く。 同 系 統 と 思 わ れ る テ キ ス ト に 金 剛 三 昧 院 藏 ﹃ 聞 書 ﹄ 十 冊 が あ る。 撰 述 は 正 平 十 六 年 ( 一 三 一 六) 聞 畢 と し て い る。 3 ﹃ 弘 法 大 師 年 譜 ﹄ 得 仁 撰 ・ 巻 四 天 保 四 年 ( 一 八 三 三) 刊。 4 ﹃ 弘 法 大 師 全 集 ﹄ 長 谷 宝 秀 代 表 他 編 纂 ・ 巻 十 ﹁ 拾 遺 雑 集 ﹂ 明 治 四 十 三 年 ( 二 九 一 〇) 十 二 月 初 版。 5 ﹃ 弘 法 大 師 伝 記 集 覧 ﹄ 三 浦 章 夫 編 百 八 十 頁 昭 和 九 年 ( 一 九 三 四) 刊。 (18) 6 ﹃ 性 霊 集 ﹄ 渡 辺 照 宏 ・ 宮 坂 宥 勝 校 注 補 注 二 四 百 九 十 三 頁 ﹃ 日 本 古 典 文 學 大 系 ﹄ 七 十 一 巻 昭 和 四 十 年 刊。 7 ﹃ 弘 法 大 師 著 作 集 ﹂ 勝 又 俊 教 編 修 第 三 巻 ﹁ 拾 遺 雑 集 ﹂ 昭 和 四 十 八 年 三 月 刊。 8 ﹃ 弘 法 大 師 空 海 全 集 ﹄ 編 輯 代 表 宮 坂 宥 勝 ・ 第 六 巻 ﹁ 性 霊 集 ﹂ 序 注 三 十 三、 百 五 十 四 頁 昭 和 五 十 九 年 八 月 刊。 9 ﹃ 定 本 弘 法 大 師 全 集 ﹄ 密 教 研 究 所 編 纂 ・ 第 八 巻 ﹁ 拾 遺 雑 集 ﹂ 平 成 八 年 九 月 刊。 10 ﹁ 空 海 在 唐 作 詩 考 ﹂ 薬 毅 著 前 述 の A 論 文。 以 上 の 十 点 の 記 載 以 外 に、 精 査 す れ ば 多 数 あ る と 思 わ れ る。 た だ 先 に 触 れ た よ う に、 根 拠 は 聖 範 口 伝 に あ る。 従 っ て ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 注 釈 は、 聖 範 の 口 述 を 眞 辮 が 筆 記 し た 注 釈 を、 ほ ぼ 踏 襲 し て い る。 聖 範 ・ 眞 辮 共、 高 野 山 の 學 僧 で あ り、 彼 ら の 學 統 が 後 世 の 主 流 を 占 め た と 思 わ れ る。 以 下 諸 書 の 内 容 を 簡 略 に 紹 介 し て み よ う。 1 ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹄ 聖 範 は 離 合 詩 を 字 の 偏 ・ 労 を 切 り 離 し 詩 句 に 用 い な か っ た 偏 ・ 労 を 組 み 合 わ せ 伏 字 と す る こ と で あ る と 解 し、 後 漢 孔 融 の 詩 を 先 例 と し て い る。 し か し 押 韻 に つ い て は 言 及 が 無 い。 注 釈 を 以 下 に 掲 載 す る。 ﹁ 離 合 詩 事。 磯 危 人 難 行。 石 瞼 獣 無 昇。 燭 暗 迷 光 後。 蜀 人 不 得 過。 云 々。 是、 奪 鮎 作 字 也。 若 欲 作 燈 者、 第 一 句 初 字、 鐙 字。 第 二 句 第 一 字、 取 彼 鐙 字 石 作 之。 第 三 句 第 一 字 有 燭 字。 第 四 句 第 一 字、 取 蜀 字 作 之。 循 火 一 字 空 海 と 馬 掘 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 残。 以 件 火 字、 加 被 取 石 之 登 字、 即 成 燈 字 也。 是 離 合 也。 漢 大 中 大 夫 孔 融 始 作 離 合 四 言 詩 也。 ﹂ 第 一 巻 ( 三 ウ) ﹃ 性 霊 集 注 ﹄ 東 寺 ・ 観 智 院 本 は こ の 注 釈 に 加 え て ﹁ ⋮ ⋮ 句 初 字 為 宗、 次 句 初 字 或 取 篇 或 取 作 也。 ⋮ ⋮ 本 朝 離 合 詩 者 文 粋 第 一 等 在 之、 引 而 見 之。 ﹂ 第 一 冊 ( 十 三 ウ) と し て、 ﹃ 本 朝 文 粋 ﹄ の 橘 在 列 の ﹁離 合 詩 ﹂ を 参 照 せ よ と 言 っ て い る。 2 ﹃ 性 霊 集 聞 書 ﹄ は ﹁ 離 合 詩 者 一 字 離 二 字、 又 合 一 字 句 上 下 置 也。 其 付 各 々 作 様、 常 安 々 作 様、 里 魚 鯉、 江 鳥 鴻 云 等 也。 當 段 詩 一 段 六 ヶ 敷 也。 文 所 経 可 了 簡 也。 大 師 詩 日 本 未 渡。 ﹂ 第 一 巻 (十 四 オ) と し て い る。 こ の 記 述 の あ と 前 節 に 所 載 し た よ う に ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ の 押 韻 に つ い て 記 述 し て い る。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 所 載 し な が ら そ の 押 韻 に つ い て の 記 述 は 無 い。 3 ﹃ 弘 法 大 師 年 譜 ﹄ は 傍 注 に ﹁ 性 霊 集 聖 範 集 註 載 之 ﹂ と し て、 本 文 に ﹁ 鐙 危 人 難 行。 石 瞼 獣 無 昇。 燭 暗 迷 前 後。 蜀 人 不 得 過。 ﹂ の 詩 を 載 せ て、 聖 範 説 を 採 用 し て い る。 異 字 に つ い て は、 引 き 続 き 傍 注 に、 又 有 書 云 と し て ﹁ 登 ﹂ ﹁ 燈 ﹂ の 組 み 合 わ せ の 詩 を 所 載 し て い る が 有 書 は ど の 書 を 指 す の か 判 ち な い。 更 に ﹁ 今 按。 昇 一 作 登。 過 作 火。 於 義 稽 親。 性 修 房 注、 以 此 詩 謂 漢 孔 融、 然 彼 即 四 言 故、 恐 非 也。 ﹂ と し て 異 字 の ﹁ 登 ﹂ ﹁ 火 ﹂ を 斥 け て い る。 ﹁ 孔 融 詩 ﹂ を 例 に し て、 ﹁ 登 ﹂ ﹁ 火 ﹂ を 斥 け た の は、 離 合 し て 伏 字 を 合 成 す る 字 に そ れ ぞ れ の 字 が 含 ま れ て い て、 詩 の 本 文 に 用 い て、 伏 字 に も 用 い る 事 は、 二 度 使 用 に な り、 前 例 か ら 云 え ば 間 違 っ た 用 い 方 で あ る と い う 理 由 で 斥 け た と 思 わ れ る。 押 韻 を 無 視 す れ ば、 こ の 説 も 首 肯 で き る。 最 後 に 呆 宝 撰 ﹃ 織 石 鋤 ﹄ の 諸 離 合 ・ 片 離 合 の 文 を 引 用 し て い る。

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(19) 離 合 の 注 釈 は 前 に 所 載 し た ﹃ 略 注 ﹂ の 注 釈 を 所 載 し て い る。 諸 離 合 ・ 片 離 合 に つ い て は、 次 節 で 記 述 す る。 4 以 下 9 ま で の、 明 治 以 降 の 諸 書 は 3 の 得 仁 ﹃ 年 譜 ﹄ を 援 用 し て い る の み で、 こ こ で 点 検 す る 意 味 が な い の で 省 略 す る。 最 後 の 察 毅 氏 の 論 文 に つ い て は、 後 節 で 詳 し く 検 討 す る の で、 こ こ で は 取 り 上 げ な い。 III -二 ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 火 ﹂ の 組 み 合 わ せ (20) こ の 組 み 合 わ せ は、 果 宝 撰 ﹃ 性 霊 集 絨 石 砂 ﹄ に の み 所 載 さ れ て い る。 ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 解 釈 で 諸 離 合 と 片 離 合 の 区 分 が 出 て く る が、 こ の 書 の み の 定 義 で、 果 宝 の 独 創 か 或 は 何 か 典 拠 が あ っ た の か 判 然 と し な い。 十 巻 本 に 記 載 さ れ た 記 述 を 次 に 載 せ る。 離 合 詩 者、 此 諸 離 合 片 離 合 詩 替 有 之。 大 師 贈 土 僧 惟 上 詩 諸 離 合 也。 鐙 危 人 難 行。 石 瞼 獣 無 登。 燭 暗 迷 前 後。 蜀 人 不 得 火。 馬 聰 詩 片 離 合 也。 何 乃 萬 里 來。 可 非 衝 其 才。 増 學 助 玄 機。 土 人 如 子 稀。 こ こ で 果 宝 が 諸 離 合 ・ 片 離 合 の 別 を 説 い た 意 味 を 推 察 す る と、 離 合 し て 離 し た 字 を 全 て 詩 の 字 句 に 用 い る 事 を 諸 離 合 と 云 い、 片 側 だ け を 詩 の 字 句 に 用 い る 事 を 片 離 合 と 称 し た と 思 わ れ る。 し か し こ れ は、 I ﹁ は じ め ﹂ に 述 べ た 如 く、 ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 作 法 か ら 見 る と、 ま る で 方 向 違 い の 論 で あ っ て、 離 合 し て 残 さ れ て 伏 字 の 合 成 に 用 い ら れ る 字 が、 詩 の 本 文 中 に 用 い ら れ た 例 は 一 例 も な い。 察 毅 氏 は こ の 諸 ・ 片 離 合 に つ い て、 ﹁ 空 海 の 字 句 の 校 訂 を 試 み た い ﹂ ( 同 論 所 収 の 四 百 六 十 八 頁 以 下 よ り 抜 粋) と し て ﹃ 弘 法 大 師 全 集 ﹄ 第 三 輯 ﹃ 拾 遺 雑 集 ﹄ 所 収 の 字 句 は 小 論 と 同 じ だ が と さ れ、 そ の 注 釈 の ﹃ 年 譜 ﹄ の 傍 注 を 取 り 上 げ て、 ﹁ ⋮ こ れ は い わ ゆ る 片 離 合 で あ り、 諸 離 合 よ り は レ ベ ル が 低 い と さ れ る わ け で あ る。 だ が、 こ う い う 言 い 方 は、 空 海 と 馬 掘 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 う わ べ は 理 に か な っ て い る よ う に 見 え る が、 實 は 離 合 詩 の 歴 史 に も、 空 海 の 創 作 の 背 景 に も 合 わ な い も の と な る。 ⋮ 特 に 馬 掘 の 立 場 か ら 言 え ば、 ま さ か 異 邦 人 の 空 海 の 諸 離 合 と い う 新 し い 書 き 方 に か ぶ と を 脱 ぎ、 た だ 古 臭 い 片 離 合 で い い か げ ん に あ し ら う な ど と い う 恥 を か く こ と は、 決 し て あ り え な い で あ ろ う。 ⋮ ﹂ と 相 当 の ス ペ ー ス を 割 き、 馬 捻 が ま る で レ ベ ル が 低 い か の 如 く で あ る と、 随 分 憤 慨 し て い る が、 氏 の 論 も ま た ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 作 法 か ら 見 れ ば、 方 向 違 い の 論 と 言 え る。 III -三 ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 燈 ﹂ の 組 み 合 わ せ こ の 組 み 合 わ せ を 採 用 す る の は、 次 の 書 で あ る。 1 ﹃ 性 霊 集 砂 ﹄ 実 翁 撰 ・ 十 巻 本 元 和 七 年 ( 二 六 一 二) 撰 述 寛 永 八 年 ( 二 六 三 一) 刊 行。 2 ﹃ 弘 法 大 師 空 海 全 集 ﹄ 第 七 巻 ・ 高 木 詳 元 訳 注 ﹁ 拾 遺 雑 集 ﹂ 百 二 十 九 頁。 3 ﹃ 空 海 -生 涯 と そ の 周 辺 ﹄ 高 木 詳 元 著 ・ 八 十 八 頁。 平 成 九 年 四 月 刊。 実 翁 の 註 釈 は 次 の よ う に 問 答 形 式 で 述 べ ら れ て い る。 空 海 ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 例 示 し て 詳 し く 離 合 の 仕 方 を 説 明 し て い る。 押 韻 や 四 声 の 言 及 は 無 い。 從 っ て 二 句 と 四 句 の 句 尾 が ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 燈 ﹂ で あ る 事 の 説 明 は さ れ て い な い。 ﹁ 問 離 合 詩 者 如 何。 答 於 五 言 七 言 詩、 置 初 句 取 字、 篇 作 置 次 句 也。 讐 第 一 句 有 鐙 字、 第 二 句 初 取 石 字 作 之。 ⋮ ⋮ ( 以 下 略) ﹂ ( 十 一 ウ-十 ニ オ) 高 木 氏 の 2 ・ 3 の 活 字 本 に つ い て も、 こ の 組 み 合 わ せ に し た 理 由 の 説 明 が な く、 こ こ で は 省 略 す る。

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III -四 ﹁ 昇 ﹂ と ﹁ 燈 ﹂ の 組 み 合 わ せ こ の 組 み 合 わ せ は、 ど の テ キ ス ト に も 出 て き て い な い。 た だ 一 つ 前 述 の 王 勇 氏 の B 論 文 に 所 載 さ れ て い る の み で あ る ︹﹃ 国 文 学 解 釈 と 鑑 賞 ﹄ 百 八 十 六 頁 ︺。 し か し 王 勇 氏 は こ の 論 文 に 所 載 さ れ た 根 拠 と 典 拠 を 述 べ て い な い の で、 こ の 組 み 合 わ せ を 採 用 し て い る 理 由 が よ く 判 ら な い。 III -五 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 詩 型 に つ い て 以 上、 二 句 ・ 四 句 句 尾 の 異 字 の 組 み 合 わ せ が、 今 ま で ど の よ う に 記 述 さ れ、 注 釈 さ れ て き た か を 見 て き た が、 何 れ も ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 押 韻 ・ 平 灰 に 言 及 す る こ と な く、 詩 型 の 検 討 も 成 さ れ て い な い。 そ こ で 次 に ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 掲 げ、 詳 し く こ の 点 を 検 討 す る こ と に す る。 先 ず 相 異 す る 五 字 の 四 声 と 韻 を 調 べ る と、 次 の よ う に な る。 第 二 句 ﹁ 昇 ﹂ ⋮ 下 平 声 十 六 番 ﹁ 蒸 ﹂ 韻 ﹁ 登 ﹂ ⋮ 下 平 声 十 七 番 ﹁登 ﹂ 韻 第 四 句 ﹁ 燈 ﹂ ⋮ 右 に 同 じ ﹁ 登 ﹂ 韻 ﹁ 過 ﹂ ⋮ 下 平 声 八 番 ﹁ 父 ﹂ 韻 字 義 経 歴 也 ﹁ 火 ﹂ ⋮ 上 声 三 四 番 ﹁ 果 ﹂ 韻 こ れ に よ り、 押 韻 か ら す れ ば、 ﹁ 昇 ﹂ と ﹁ 燈 ﹂ の 組 み 合 わ せ か、 ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 燈 ﹂ の 組 み 合 わ せ が 最 良 と 云 え る。

1

2

﹁庚

也。

3

4

﹁候

也.

空 海 と 馬 掘 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 平 灰 の 構 成 を 見 る と、 今 艘 の 平 灰 法 か ら 外 れ て い る。 つ ま り こ の 詩 の 詩 型 は 第 一 句 ・ 二 句 ・ 四 句 が 押 韻 す る、 五 言 古 詩 と 言 え る。 異 字 の 校 訂 は、 第 二 句 句 尾 は ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 昇 ﹂ の 比 較 と な る。 ﹁ 登 ﹂ と ﹁ 昇 ﹂ は 韻 が 同 用 韻 で あ り、 字 義 も ほ ぼ 同 じ で あ る、 そ の 意 味 で は ど ち ら を と っ て も 詩 型 上 変 わ り が な い。 し か し ﹁ 離 合 詩 ﹂ と し て 見 る と、 離 合 し て 伏 字 を 合 成 す る 部 分 は 詩 の 本 文 に 用 い な い の が 大 凡 の 作 法 で あ る と、 ﹁ 離 合 詩 孜 ﹂ で 検 証 し た。 そ れ 故 ﹁ 昇 ﹂ が 正 し い と 言 え る。 問 題 は 第 四 句 句 尾 の 字 で あ る。 前 掲 し た ﹁ 空 海 詩 ﹂ の そ の 箇 所 は □ で 囲 み 区 分 し た。 こ の 点 に つ い て、 票 毅 氏 は ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ と ﹃ 灌 載 之 文 集 ﹄ を 典 拠 と し て、 空 海 も 当 時 流 行 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ 作 法 を 知 っ て い た 筈 で あ る と し て、 第 一 句 二 句 が 押 韻 し、 三 句 四 句 で 換 韻 す る と し て、 ﹁ 行 ﹂ ﹁ 昇 ﹂ と ﹁ 後 ﹂ ﹁ 過 ﹂ の 組 み 合 わ せ で 押 韻 を 考 察 さ れ て い る。 ﹁ 行 ﹂ ﹁ 昇 ﹂ に つ い て は、 A 論 文 記 述 の 通 り ﹁ 庚 ﹂ 韻 と ﹁ 蒸 ﹂ 韻 は 通 韻 し、 押 韻 し て い る。 ﹁ 後 ﹂ ﹁ 過 ﹂ に つ い て は、 ﹁ 後 ﹂ は 票 毅 氏 の 通 り 去 声 五 十 番 ﹁ 候 ﹂ 韻 で あ る。 し か し ﹁ 過 ﹂ は 字 義 か ら 云 え ば 下 平 声 八 番 ﹁ 父 ﹂ 韻 で あ る。 即 ち 藥 毅 氏 の 言 わ れ る 去 声 三 十 九 番 ﹁ 過 ﹂ 韻 の 字 義 は ﹁ 過 ち ・ ま ち が い ﹂ で あ り、 ﹁ 父 ﹂ 韻 の 字 義 は ﹁ 過 ぎ る ・ 経 略 す る ﹂ で あ っ て、 こ の 詩 の 解 釈 か ら 言 え ば ﹁ 父 ﹂ 韻 と す る 方 が 正 し い と 思 わ れ る。 字 義 を 無 視 し て、 仮 に ﹁ 過 ﹂ が 去 声 三 十 九 番 ﹁ 過 ﹂ 韻 と し て も、 ﹁ 候 ﹂ 韻 と ﹁ 過 ﹂ 韻 は 通 韻 し な い。 通 韻 し な い も の を、 何 を 根 拠 に 通 韻 す る と 言 っ て お ら れ る の か よ く 判 ら な い。 今 一 つ、 票 毅 氏 の 論 文 で 明 ら か な 事 実 誤 認 が あ り、 そ の 誤 認 を 前 提 と し て 論 を 進 め ら れ て い る 事 で あ る。 そ の 箇 所 を 記 載 す る と ﹁ 一 方、 日 本 で は 空 海 以 前 は そ れ に 手 を つ け る 人 が ま っ た く い な か っ た ば か り で な く、 空 海 か ら 二 百 年 も 経 っ て、 ﹃ 本 朝 文 粋 ﹂ に な っ て 初 め て、 橘 在 列 の 離 合 詩 お よ び 字 訓 詩 や 廻 文 詩 な ど の 戯 作 が 現 れ た の で あ る。 ﹂ と 記 述 さ れ て い る。 以 上 の 検 討 で、 藥 毅 氏 の 主 張 は、 や や 牽 強 付 会 の 諺 り は 免 れ な い と 思 わ れ る。

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こ れ ま で に、 平 灰 ・ 押 韻 を 検 討 し て き た 結 果 を 考 え る と、 第 四 句 句 尾 を ﹁ 過 ﹂ と す る の は、 漢 詩 作 法 上 か ら 見 る と 明 ら か に 間 違 っ て い る。 し か し こ の 詩 の 解 釈 か ら 考 え る と ﹁ 過 ﹂ は 最 も 相 応 し い と 思 わ れ る。 ま た、 押 韻 の 間 違 い を そ の ま ま に す れ ば ﹁ 過 ﹂ は ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 作 法 に 合 致 し て い る。 ﹁ 燈 ﹂ は 離 合 詩 作 法 上 か ら 問 題 が あ り、 ﹁ 過 ﹂ は 漢 詩 作 法 上 か ら 問 題 が あ る。 こ の 事 は、 傳 存 さ れ て き た 三 種 の 異 字 の 中 で は 両 方 の 作 法 を 満 足 さ せ る、 相 応 し い 字 は 無 い と 言 え る 。 そ れ で は 正 し い 字 句 が 傳 存 さ れ て こ な か っ た 事 を、 ど の よ う に 考 え る か。 こ の 点 の 検 討 に 移 る 前 に、 こ の 詩 の 解 釈 と 作 詩 の 時 の 状 況 に つ い て、 次 節 で 見 て お き た い。 III -六 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 解 釈 さ て、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 解 釈 に 移 る が、 第 四 句 句 尾 を 一 応 ﹁ 燈 ﹂ と し て 読 ん で 見 て、 ﹁ 過 ﹂ の 意 味 を () に 補 足 す る 事 に す る。 い し ざ か あ や う い わ ︽ 書 き 下 し ︾ 磯 危 く し て 人 行 き 難 し、 石 瞼 に し て 獣 昇 る こ と な し。 と も し ぴ あ か り す 燭 暗 う し て 前 後 す る に 迷 う、 蜀 人 燈 ( 過 ぐ る) を 得 ず。 ︽解 釈 ︾ 剣 南 へ 行 く に は、 人 も 往 來 し 難 い 石 礫 の 山 道 や 獣 も 昇 れ ぬ よ う な 岩 壁 を 行 か な け れ ば な ら な い。 燭 火 も 暗 く て 道 が よ く 見 え ず 前 後 に 迷 っ て し ま う。 地 元 の 蜀 の 人 す ら、 踏 破 す る に 必 要 な 燈 を 持 ち 合 わ せ て い な い よ う だ。 ( 踏 破 出 來 な い よ う だ。) 伏 字 が ﹁ 燈 ﹂ で あ る か ら、 言 外 の 意 味 を 考 え る と、 ﹁ 剣 南 へ の 道 を 仏 法 の 修 行 道 に 喩 え、 先 達 の 貴 方 ( 蜀 人 惟 上) 空 海 と 馬 捻 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 す ら、 苦 労 さ れ る ほ ど 困 難 な 道 だ と 思 い ま す が、 共 に 法 燈 を 掲 げ て 行 き ま し ょ う。 ﹂ と な ろ う。 こ の 詩 を 空 海 が 何 時 制 作 し た か。 こ の 点 に つ い て は 明 治 以 前 の 空 海 傳 ・ 年 譜 等 で は 詳 し い 検 討 が 成 さ れ て い な い よ う だ。 馬 捻 の 経 歴 を 辿 る と、 惟 上= 空 海 と の 接 点 は、 彼 の 長 安 滞 在 中 の 貞 元 二 十 年 ( 八 〇 四) か ら 永 貞 元 年 ( 八 〇 五) の 期 間 し か 考 え ら れ な い。 馬 捻 は 席 の 暖 ま る 間 も な く、 あ ち こ ち の 僻 地 へ 赴 任 し、 軍 務 と 行 政 に 追 わ れ た 一 生 を 過 ご し た 人 で あ る。 事 歴 と 著 作 を 考 え る と 儒 教 へ の 傾 倒 が 強 く、 仏 教 と の 関 わ り は あ ま り 無 い よ う に 思 え る。 恩 王 傅 に な っ た こ の 期 間 が 唯 一 彼 に と っ て の 休 息 期 間 で あ っ た よ う だ。 こ こ で 考 え ら れ る の は、 恩 王 を 通 じ て の 仏 教 と の 関 わ り で あ る。 恩 王 は 当 時 四 十 歳 前 後 と 推 定 さ れ、 無 柳 の 中 で 仏 教 に 帰 依 し て い た か も し れ な い。 残 念 な が ら 恩 王 の 事 歴 は 殆 ど 残 さ れ て い ず、 確 か め る す べ も 無 く、 推 測 に 止 め ざ る を 得 な い。 と も あ れ、 馬 捻 が こ の 期 間 に 惟 上 と 馴 染 に な り、 彼 の 人 柄 に 親 近 感 を 覚 え て い た よ う に 思 わ れ る。 詩 の 贈 答 時 期 に つ い て、 前 述 の 察 毅 氏 は 空 海 の 長 安 滞 在 中 と し て お り、 王 勇 氏 は も う 少 し 具 体 的 に 空 海 が 灌 頂 壇 に 入 っ た 永 貞 元 年 (八 〇 五) 六 月 十 三 日 以 後、 恵 果 が 圓 寂 し た 十 二 月 十 五 日 以 前 と し て い る。 筆 者 も 先 の 理 由 で 察 毅 ・ 王 勇 両 氏 の 説 に 賛 同 す る 者 で あ る。 (21) 更 に 言 え ば、 空 海 が 傳 法 灌 頂 を 済 ま し、 そ の 謝 礼 の 宴 が 終 り、 八 月 の 憲 宗 即 位 に よ り、 馬 偬 の 身 辺 が 急 変 す る 以 前、 即 ち 八 月 下 旬 が 最 も 可 能 性 の 高 い 時 で あ る と 考 え て い る。 空 海 と 惟 上 の 交 流 は こ の 時 点 で よ ほ ど 親 し く な っ て い た に 違 い な い。 ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 読 め ば、 惟 上 に 対 し て、 か な り 不 躾 で、 本 人 の 故 郷 の 様 子 を 持 ち 出 す 事 で、 親 密 さ を 強 調 し て い る。 そ の よ う な 詩 を 贈 り、 す ん な り 受 け 入 れ ら れ る と 空 海 が 思 っ て い る 相 手 で な い と 贈 呈 し な い で あ ろ う。 逆 に 惟 上 の 温 厚 で、 朴 訥 な、 人 柄 の 良 い、 気 さ く な 姿 が 浮 か

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び 上 が っ て く る。 恵 果 和 尚 の 数 多 の 弟 子 は 空 海 の あ ま り に も 早 い 受 法 に 対 し、 不 満 を 持 ち 嫉 視 し た 人 が 大 半 で あ っ た と 思 わ れ る。 そ の 中 で、 惟 上 は 三 ヶ 月 余 り の 間 に、 素 性 の 判 ら な い 外 国 人 の 空 海 の 実 力 を 認 め、 一 目 を 置 い て 親 し く 付 き 合 っ た 人 で あ っ た の だ ろ う。 以 上 で ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 検 討 を 終 え る が、 こ れ ま で の 検 討 で 問 題 と な っ て い る、 ﹁ 馬 聰 詩 ﹂ の 詩 型 と ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 第 四 句 句 尾 の 文 字 に つ い て は、 次 節 の む す び で 検 討 し た い と 考 え る。 IV む す び (22) と こ ろ で、 空 海 が 入 唐 時 に 制 作 し た 漢 詩 が 三 首 ﹃ 経 国 集 ﹄ に 所 載 さ れ て い る。 ﹃ 経 国 集 ﹄ に は 空 海 の 詩 は 合 計 八 首 が 所 載 さ れ て い る が、 そ の 比 率 か ら 云 え ば 入 唐 時 の 作 品 の 比 重 が 高 い と い え る。 し か も、 ﹃ 経 国 集 ﹄ 成 立 の 二 十 年 以 上 前 の 作 品 で あ る。 そ れ だ け に 空 海 の 自 信 作 だ と 考 え ら れ る。 こ の よ う に 自 分 の 作 品 を 大 切 に し た 空 海 が 何 故 ﹁ 空 海 詩 ﹂ に つ い て は 公 開 を し な か っ た の で あ ろ う。 何 し ろ 当 時 で は、 殆 ど 作 ら れ な か っ た 二 百 年 前 の 詩 膿 で あ る。 空 海 も ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 詳 し く 検 討 し て い な か っ た と し て も、 無 理 は な い と 思 わ れ る。 同 じ こ と が 馬 偬 に も 言 え る の で は な い か、 ﹁ 空 海 詩 ﹂ を ﹁ 離 合 詩 ﹂ で あ る と 見 抜 い た の は 流 石 で あ る が、 古 艦 詩 の 押 韻 に つ い て の 知 識 が 不 完 全 で、 即 座 に 作 っ た 為 に、 あ の よ う な 据 わ り の 悪 い 押 韻 と な っ た の で は な い か。 お 互 い に 痛 み 分 け と 云 え る の で は な い か。 馬 掘 も ﹃ 全 唐 詩 ﹂ に こ の 一 首 の み 逸 集 に 収 め ら れ て い る だ け で、 元 々 詩 に つ い て、 あ ま り 得 意 で も な く、 作 詩 の 意 欲 も 少 な か っ た の で は な い か。 偶 々 惟 上 に ﹁ 空 海 詩 ﹂ を 見 せ ら れ、 近 来 空 海 と 馬 捲 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 で は 珍 し い ﹁ 離 合 詩 ﹂ で あ る こ と に 驚 き、 ﹁ 馬 捻 詩 ﹂ を 作 っ た の で は な い か と 思 わ れ る。 さ て ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 第 四 句 句 尾 の 文 字 で あ る が、 ﹁ 過 ﹂ と ﹁ 燈 ﹂ と ど ち ら か を 採 る か と 云 う と、 押 韻 し て い な い ﹁ 過 ﹂ の 方 が 作 詩 作 法 に 合 っ て い な い。 馬 掘 が 驚 い て 返 詩 を 作 っ た と す れ ば、 当 然 押 韻 し て い る ﹁ 燈 ﹂ の 方 で 無 け れ ば な ら な い。 ま た、 こ の 離 合 詩 以 外 の 全 て の 空 海 の 詩 は 正 確 に 押 韻 し て 制 作 さ れ て い る。 以 上 の 論 は 傳 存 し て き た 字 が ﹁ 火 ﹂ ﹁ 過 ﹂ ﹁ 燈 ﹂ の 三 字 の み で あ る と の 前 提 に 立 っ て い る。 し か し、 傳 存 さ れ て き た ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 現 時 点 で 入 手 可 能 な 最 古 の 所 載 本 が 前 述 し た 如 く ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹄ で あ る。 ﹃ 性 霊 集 ﹄ の 成 立 か ら 約 三 百 八 十 年 経 過 し て お り、 そ の 間 三 巻 が 散 逸 し、 ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 制 作 も 百 年 近 く 途 絶 え て い る。 漢 詩 作 法 や ﹁ 離 合 詩 ﹂ 作 法 に つ い て、 殆 ど 無 関 係 ・ 無 関 心 な 學 侶 達 の 手 で 口 伝 さ れ て き た 事 を 考 え れ ば、 こ の 三 字 以 外 の 失 わ れ た 口 伝 ・ 性 霊 集 の 注 釈 書 が あ っ た か も し れ な い。 そ の 意 味 で ﹁ 空 海 詩 ﹂ の よ り 完 全 な 字 句 を 想 定 し て み る の も、 あ な が ち 無 駄 な 事 と 云 え な い と 考 え る。 本 論 で 用 い て い る ﹃ 大 宋 重 修 廣 韻 ﹄ を 頼 り に、 漢 詩 作 法 と ﹁ 離 合 詩 ﹂ 作 法 を 満 足 し 詩 の 意 味 を 損 ね な い と 考 え ら れ る 幾 つ か の 文 字 を 選 び 出 す と、 次 の よ う に な る。 (イ) 庚 ⋮ 字 義 道 ・ ﹁ 庚 ﹂ 韻 (ロ) 経 ⋮ 字 義 経 る ・ ﹁ 青 ﹂ 韻 ( ﹁ 庚 ﹂ 韻 ﹁ 蒸 ﹂ 韻 と 通 用 す る) (ハ) 明 ⋮ 字 義 明 か り ・ ﹁ 庚 ﹂ 韻 (ニ) 乗 ⋮ 字 義 行 く ・ ﹁ 蒸 ﹂ 韻 こ れ 以 外 に も 通 韻 す る ﹁ 庚 ﹂ ﹁ 耕 ﹂ ﹁ 清 ﹂ ﹁ 青 ﹂ ﹁ 蒸 ﹂ ﹁ 登 ﹂ 韻 の 中 に 適 し た 字 が あ る か も し れ な い。 将 來 四 句 句 尾 に

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こ れ ら の 字 を 含 む テ キ ス ト が 発 見 さ れ た な ら、 筆 者 の こ の 論 の 確 か な 論 拠 に な る。 そ の テ キ ス ト が 見 つ か る 事 を 祈 り た い。 そ れ は さ て お き、 空 海 は こ の エ ピ ソ ー ド を 眞 濟 に 語 り 聞 か せ た 時、 ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 巧 拙 よ り、 戯 れ に 作 っ た ﹁ 離 合 詩 ﹂ に 対 し、 忽 ち 馬 捲 と 言 う 面 識 も 無 い 人 物 か ら 返 詩 が あ っ た 時 の 驚 き、 そ の 馬 捻 が 相 当 の 人 物 と 判 っ た 事、 ま た 好 人 物 の 惟 上 沙 門 の 姿 が 鮮 や か に 脳 裏 に 蘇 っ た に 違 い な い と 思 わ れ る。 ︻ 追 記 ︼ こ れ で、 こ の 小 論 を 終 え る が、 ﹁ 性 霊 集 ﹂ 序 の 注 釈 か ら、 端 を 発 し 思 い が け な く、 ﹁ 離 合 詩 ﹂ を 探 求 す る 事 に な っ た。 弘 法 も 筆 の 誤 り で は な い が、 空 海 の 入 唐 時 の い た ず ら 心 に 触 れ る 事 も 出 來 た。 日 頃、 弘 法 大 師 空 海 の 神 に も 等 し い 姿 に 取 巻 か れ て い る 筆 者 に 取 り、 ﹁ 離 合 詩 ﹂ の 遣 り 取 り を 通 じ て の 空 海 の 姿 は 人 間 的 で 何 か し ら ホ ッ と さ せ ら れ る も の が あ る。 今 後 も 空 海 の 漢 詩 文 の 研 究 を 通 じ て、 生 き た 空 海 を 見 出 し た い と 考 え て い る。 ﹁ 離 合 詩 ﹂ そ の も の の 孜 究 に つ い て は、 筆 者 の 修 士 論 文 ・ 第 一 章 ﹁ 離 合 詩 孜 ﹂ で、 現 存 す る 中 国 ・ 日 本 の ﹁離 合 詩 ﹂ 六 十 二 首 を 収 集 し て、 そ の 変 遷 と 作 詩 作 法 等 詳 し く 検 討 し て い る。 い ず れ 発 表 の 機 会 が あ る と 思 わ れ る の で、 詳 し く は そ の 時 に 参 照 さ れ た い。 本 論 は そ の 修 士 論 文 の 第 二 章 を 一 部 修 正 し た も の で あ る。 従 っ て 第 一 章 の 結 論 を 踏 ま え て、 論 じ て い る。 先 行 研 究 の 三 つ の 論 文 に は 多 大 の 示 唆 を 受 け、 教 え ら れ る 事 が 多 か っ た。 こ こ で 察 毅 ・ 王 勇 ・ 後 藤 昭 雄 の 三 先 学 に 対 し 感 謝 の 意 を 表 し た い。 な か ん ず く ﹁ 離 合 詩 ﹂ 探 求 の な か で、 票 毅 氏 に は 反 論 を 試 み た が、 そ の 反 論 の 根 拠 の ﹃ 権 空 海 と 馬 捻 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 載 之 文 集 ﹄ の 所 在 は 氏 の 論 文 に よ っ て 始 め て 教 え ら れ た 事 を こ こ に 申 し 述 べ た い。 ま た、 漢 詩 文 の 初 學 者 の 筆 者 に 対 し、 こ の 小 論 の 制 作 途 上 で、 適 切 な 御 教 示 を 戴 い た 南 昌 宏 助 教 授 に 満 腔 の 謝 意 を 奉 げ た い。 最 後 に な っ た が、 こ の テ ー マ を 論 文 に ま と め る に 際 し て、 指 導 教 授 の 武 内 孝 善 先 生 に は 何 か ら 何 ま で 懇 篤 な 指 導 と ア ド バ イ ス を 受 け た 事 に 対 し、 言 葉 で は 言 い 尽 く せ な い ほ ど、 感 謝 の 気 持 で 一 杯 で あ る。 注 ( 1) ﹃ 性 霊 集 ﹄ 序 の 記 述 は ﹁ 和 尚 昔 在 唐 日 作 離 合 詩 贈 土 僧 惟 上。 前 御 史 大 夫 泉 州 別 駕 馬 掘 一 時 大 才 也。 覧 則 驚 佐 因 送 詩 云。 何 乃 萬 里 來。 可 非 街 其 才。 増 學 助 玄 機。 土 人 如 子 稀。 ﹂ と あ る。 定 本 ﹃ 弘 法 大 師 全 集 ﹄ 八 巻 四 頁。 ( 2) ﹃性 霊 集 ﹄ の 注 釈 書 は 今 日 ま で 傳 存 さ れ て い る 最 古 の も の が、 ﹃和 漢 比 較 文 學 の 周 辺 ﹄ 平 成 六 年 八 月 刊 ・ 汲 古 書 院。 佐 藤 道 生 ﹁慶 磨 義 塾 圖 書 館 藏 ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹂ (翻 印) ﹂ の 解 説 (六 十 六 頁) に よ れ ば、 済 逞 撰 ﹃ 顕 鏡 鋤 ﹄ と さ れ て い る。 こ の 所 在 を 確 認 し よ う と、 東 寺 ・ 観 智 院 聖 教 リ ス ト を 調 べ、 そ の 他 の 東 寺 蔵 書 に つ い て 調 査 し た が、 残 念 な が ら 所 在 不 明 で あ る。 從 っ て、 現 今 見 る こ と の で き る 最 古 の 注 釈 書 は ﹃性 霊 集 略 注 ﹄ ( ﹃性 霊 集 注 ﹄ ま た は ﹃ 私 注 ﹂ と も い う) で あ る。 こ れ は 真 辮 が 貞 応 二 年 ( 二 一二 三) 畳 蓮 坊 聖 範 か ら 口 述 を 受 け て 撰 し た も の で あ る。 明 治 以 後 編 纂 さ れ た 殆 ど の 空 海 著 作 全 集 は、 こ の ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹂ を 典 拠 と し た 得 仁 撰 ﹃ 弘 法 大 師 年 譜 ﹄ 所 載 の ﹁空 海 詩 ﹂ に 依 拠 し て、 拾 遺 雑 集 の 中 に 所 載 さ れ て い る。 そ の 為 こ の 聖 範 口 伝 が ﹁空 海 詩 ﹂ の 定 版 と な っ た。 し か し こ れ 以 外 に も、 呆 宝 撰 ﹃性 霊 集 絨 石 砂 ﹄ 等 の 傳 存 が あ り、 各 々 ﹁ 空 海 詩 ﹂ の 字 句 が 異 な っ て い る も の が あ る。 ( 3) ﹃ 定 本 弘 法 大 師 全 集 ﹂ 第 八 巻 ﹁ 拾 遺 雑 集 ﹂ 二 二 一 頁 よ り 所 収 (4) 廻 文 詩 -上 下 あ る い は 左 右 か ら 読 ん で も 意 味 が 通 じ、 押 韻 し て い る 詩。 字 訓 詩 -各 句 の 第 一 字 と 第 二 字 を 組 み 合 わ せ 最 後 の 字 と し、 こ の よ う な 句 を 重 ね て 一 首 の 詩 と す る。 加 韻 詩 -対 を な す 二 句 ご と に 一 字 ず つ 増 や し て、 一 字 よ り 十 二 字 に 至 る 詩。 参 照 大 曽 根 章 介 ﹃ 王 朝 漢 文 學 論 孜 ﹂

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-﹃ 本 朝 文 粋 ﹄ の 研 究 -付 録 ﹁文 艦 解 説 ﹂ 四 百 十 八 頁。 ( 5) 中 国 の ﹁ 離 合 詩 ﹂ は、 筆 者 が 収 集 し た 限 り で は 後 漢 か ら 唐 ま で、 五 十 六 首 が 伝 存 し て い る。 (6) ﹃ 文 華 秀 麗 集 ﹄ 平 安 時 代 初 期 の 漢 詩 集。 弘 仁 九 年 (八 一 八) 成 立。 勅 撰 三 詩 集 の 一、 三 巻 あ り。 こ の 詩 は 上 巻 三 十 三 番 に 所 載 さ れ て い る。 ( 7) ﹃ 本 朝 無 題 詩 ﹄ 十 巻 平 安 時 代 末 期 の 漢 詩 集。 編 者 未 詳。 ﹃ 群 書 類 從 ﹄ 巻 第 百 二 十 八 所 収。 十 巻。 成 立 は 応 保 二 年 ( 二 六 二)-長 寛 二 年 ( 二 六 四) の 間 と さ れ て い る。 こ の 詩 は 巻 第 四 十 九 番 に 所 載 さ れ て い る。 ( 8) ﹁廣 韻 ﹂ 本 論 文 で は、 平 灰 は 全 て ﹃ 大 宋 重 修 廣 韻 ﹄ 五 巻 ( 四 部 叢 刊 初 編 経 部) を 用 い て い る。 現 行 の 詩 韻 は ﹁ 平 水 韻 ﹂ 一 〇 六 韻 を 用 い て お り、 ﹁廣 韻 ﹂ は 二 〇 六 韻 で ﹁ 唐 韻 ﹂ と も 呼 ば れ て い る。 ( 9) 馬 捻 の 略 歴 は ﹃奮 唐 書 ﹄ (巻 壱 百 五 拾 七 ・ 列 傳 第 壱 百 七 ・ 四 千 百 五 十 一 頁) を 中 心 に ﹃新 唐 書 ﹂ (巻 壱 百 六 拾 参 ・ 列 傳 第 八 十 八 ・ 五 〇 三 三 貢) で 一 部 補 い、 筆 者 が 取 り ま と め た。 ﹃ 新 唐 書 ﹂ で は 馬 偬 と 表 記 し て い る。 他 書 に は、 馬 総 と 記 し て い る の も あ る。 (10) 平 灰 の 決 定 に つ い て ⋮ 字 に よ っ て は 二 種 以 上 の 四 声 が 記 載 さ れ て い る 場 合 が あ る。 字 義 と 発 音 の 違 い で 四 声 も 違 っ て い る 場 合 は、 こ の 詩 に 用 い ら れ た 字 義 を 勘 案 し て 筆 者 が 選 択 し た。 例 え ば ﹁ 何 ﹂ 字 は 下 平 声 七 番 ﹁ 歌 ﹂ 韻 と 上 声 三 十 三 番 ﹁ 寄 ﹂ 韻 と 二 種 記 載 さ れ て い る。 ﹁ 歌 ﹂ の 字 義 は ﹁ な ん ぞ ﹂ 等 疑 問 詞。 ﹁ 寄 ﹂ は 荷 に 同 じ ﹁ に な う ﹂ 字 義 で あ る の で、 ﹁歌 ﹂ 韻 と し た。 同 じ 字 義 で 二 種 以 上 あ る 場 合 は 併 記 し た。 ( 11) 通 韻 は 韻 と 韻 を 混 じ て 用 い る の を 認 め て い る 韻。 こ の 場 合 声 の 類 似 す る 韻 同 士 で 用 い る。 無 原 則 に 用 い る の で な く、 ﹃ 古 艦 詩 作 法 ﹄ に よ る と、 宋 ・ 呉 械 ﹃ 韻 補 ﹄ と 宋 ・ 鄭 痒 の ﹃ 古 韻 本 ﹄ を 根 拠 と し て、 清 ・ 郡 長 蕎 の 改 訂 し た ﹃ 古 今 韻 略 ﹄ の 二 種 の 通 韻 の 分 類 が あ る。 通 韻 を あ ま り 用 い る の は 好 ま し く な い が、 古 髄 詩 の 場 合 は 認 あ ら れ て い る。 今 艦 詩 は 通 韻 を 認 め な い が 同 用 韻 は 認 め て い る。 ( 12) 前 褐 ﹃ 古 艦 詩 作 法 ﹄ に よ れ ば、 ﹁ 解 ﹂ と は 文 意 の 一 塊 を 云 い、 文 章 で は 節 と か 段 落 に 当 た る。 通 常 二 句 を 最 少 単 位 と し て 偶 数 句 で 構 成 さ れ る。 ﹁ 解 ﹂ が 四 句 以 上 の 場 合 は 偶 数 句 の 語 尾 が 押 韻 す る。 又 換 韻 す る 場 合 は 必 ず ﹁ 解 ﹂ 毎 に 行 い、 韻 は 平 灰 互 用 が 原 則 で あ る。 ( 13) ﹃ 集 注 ﹂ 七 冊。 江 戸 時 代 の 写 本。 高 野 眞 辮 注 在 之。 と あ り 聖 範 口 伝 の 系 統 で あ る 事 が 判 る。 ﹃ 聞 書 ﹄ 十 冊。 安 土 ・ 桃 山 時 代 の 写 本。 共 に、 東 寺 ・ 観 智 院 所 藏。 ( 14) ﹃真 言 宗 全 書 ﹂ 第 四 一 巻 所 収。 二 巻 本 で 著 作 年 代 が は っ き り し な い が、 ﹃便 蒙 ﹂ が 引 用 さ れ て お り、 恐 ら く 文 政 頃 ( 一 八 一 八) に 制 作 さ れ た と 解 題 さ れ て い る。 ﹁空 海 詩 ﹂ の 記 載 は 無 く、 続 い て ﹁ 馬 掘 詩 ﹂ の 和 訳 を 記 載 し て い る。 三 百 空 海 と 馬 掘 の ﹁離 合 詩 ﹂ -空 海 漢 詩 文 研 究 序 説

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-密 教 文 化 三 十 四 頁。 ( 15) ﹃ 椹 載 之 文 集 ﹄ に は、 八 首 し か 掲 載 さ れ て お ら ず、 票 毅 氏 の 呈 示 さ れ た 十 二 首 を 見 出 す こ と が 出 来 な か っ た。 こ の 八 首 は 連 歌 形 式 で 同 じ 主 題 で 作 詩 さ れ て お り、 同 じ 時 の 一 連 の も の と し て 掲 載 さ れ て い る。 ( 16) ﹁光 ﹂ は 慶 鷹 義 塾 図 書 館 藏 ﹃ 性 霊 集 略 注 ﹄ に 記 載 さ れ た 二 例 の み で あ る。 同 じ 聖 範 口 述 真 辮 筆 記 ﹃ 性 霊 集 注 ﹂ の 写 本 の ﹁観 智 院 本 ﹂ は ﹁ 先 ﹂ と な っ て い る。 ( 17) ﹃性 霊 集 略 注 ﹂ ま た は ﹃ 性 霊 集 注 ﹂ ﹃ 私 注 ﹄ と も 云 う。 十 巻 二 帖 写 本 慶 応 図 書 館 蔵 貞 応 二 年 ( 一 二 二 三) 撰 述。 ( 18) こ の 補 注 は 種 々 問 題 点 を 内 包 し て い る。 済 逞 と 呆 宝 の 著 作 を 混 同 し て い る こ と を 含 め、 指 摘 を す る と 限 が 無 い の で、 こ の 小 論 で は 言 及 し な い。 ( 19) ﹃年 譜 ﹄ の 傍 注 を 以 下 に 全 文 掲 載 す る。 ﹁ 性 霊 集 聖 範 集 註 載 之。 又 有 書 云。 大 師 在 唐 日。 示 剣 南 惟 上 離 合 詩。 確 危 人 難 行。 石 瞼 獣 無 登。 燭 暗 迷 前 後。 蜀 人 不 得 燈。 惟 上 以 此 詩 示 馬 総。 総 見 是 誓 傳 燈 詩。 乃 作 復 言 云 々。 結 句 燈 字 一 作 火。 聖 範 日。 是 奪 黙 作 字 也。 若 欲 作 燈 者。 第 一 句 初 字 鐙 字。 第 二 句 第 一 字 取 彼 確 字 石 作 之。 第 三 句 第 一 字 有 燭 字。 第 四 句 第 一 字 取 蜀 字 作 之。 価 火 一 字 残。 以 件 火 字 加 被 取 石 之 登 字。 即 成 燈 字 也。 是 離 合 也。 十 輪 院 眞 辮 略 注 同 此。 今 按。 昇 一 作 登。 過 作 火。 於 義 稽 親。 性 修 房 注 以 此 詩 謂 漢 孔 融。 然 彼 即 四 言 故。 恐 非 也。 絨 石 砂 云。 此 有 諸 離 合 片 離 合 替。 大 師 詩 諸 離 合。 馬 掘 詩 片 離 合 也。 ﹂ ( 20) 果 宝 ( 一 三 〇 六-一 三 六 一) 撰 ﹃絨 石 紗 ﹄ に は 六 巻 本 ・ 十 巻 本 の 二 種 が 伝 存 す る。 現 在 ま で 未 刊。 写 本 は 二 書 と も、 種 智 院 大 學 図 書 館 藏。 奥 書 に よ れ ば、 六 巻 本 は 貞 享 三 年 ( 一 六 八 六) 十 月-四 年 ( 一 六 八 七) 四 月 の 間 に、 金 剛 峰 寺 櫻 地 院 春 清 房 雄 任 に よ っ て 写 さ れ る。 十 巻 本 は 慶 安 元 年 ( 一 六 四 八) 十 月、 高 野 二 階 堂 高 祖 院 秀 盛 に よ っ て 写 さ れ る。 ( 21) 馬 捻 は 憲 宗 に 見 出 さ れ 重 用 さ れ 元 和 初 年 (八 〇 六 ・ 正 月 改 元) に 度 州 刺 史 の 辞 令 を 受 け る。 ( 22) ﹃ 経 国 集 ﹂ 所 載 の 三 首 は 次 の 詩 で あ る。(1) ﹁ 過 金 心 寺 ﹂ (2) ﹁ 留 別 青 龍 寺 義 操 阿 閣 梨 ﹂(3) ﹁在 唐 観 艇 法 和 尚 小 山 ﹂ 何 れ も 七 言 絶 句。 与 謝 野 寛 他 編 纂 ﹃ 日 本 古 典 全 集 ﹄ 大 正 十 五 年 四 月 刊 ・ 日 本 古 典 全 集 刊 行 會。 所 収。 ﹃ 経 国 集 ﹂ 巻 第 十 ・ 百 三 十 四-百 三 十 五 頁。 ︿ キ ー ワ ー ド ﹀ ﹃ 性 霊 集 ﹄ 序 文 入 唐 惟 上 漢 詩 作 法 離 合 詩 作 法

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