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マクロ経済学講義ノートpp12 17pdf

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2017 マクロ経済学I

4 政府の役割と経済政策の必要性

政府、内閣、与党

4.1 効率的な資源配分の達成

法と秩序、所有権の維持・安定

パレート効率 資源配分Xでは、資源配分Yにおいてよりも誰も不幸ではなく、かつ少なくと も1人が幸福であるとき、資源配分Xは資源配分Yに対してパレート優位であるという。ある 資源配分をYをよりパレート優位な資源配分Xに変更することをパレート改善という。効率化 とは、だれも不幸にすることなく誰かを幸せにすることである。

例 4.1

パレート優位な資源配分が存在しないような資源配分はパレート効率的であるという。パレー ト効率的な状況で誰かを幸せにしようとすると、必ず別な誰かを不幸にしなければならない。 パレート効率的とは、誰かをより幸せにするためには、別な人を不幸にしなければならない 状況のことである。

パレートの意味での効率性の定義には公平性の概念はまったく含まれていないことに注意。 例 4.2 独裁もパレート効率的

見えざる手 厚生経済学の第一定理:完全競争市場のもとでの 競争均衡における資源配分 はパレート効率的である。

各経済主体がおのおのの目的を達成するように計画を立て、 これらの計画が市場システムを通して調整されるとき、

(誰もその実現を意図していないにもかかわらず)

パレート効率的な(それほど悪くない)資源配分が実現される。

市場の失敗 しかし、この定理は幾つかの前提条件によって支えられており、現実の経済がこ れらの前提を満たしていないときには、市場システムによりパレート効率的な資源配分を実現 することは必ずしも可能ではない。

厚生経済学の 第一定理の前提条件を満たさないために、市場に任せておくとパレート効率 的な資源配分が達成されない状況を市場の失敗という。それには以下のようなケースがある。

1. 完全競争の喪失:独占、寡占 2.

(2)

3. 公共財の供給:ただ乗り問題 4. 情報の非対称性

5. 市場そのものがない(将来市場、危険負担の市場(保険))

このような場合、政府はより効率的な資源配分が達成されるよう何らかの政策を行う必要があ るかもしれない。

4.2 所得再分配

公平とか平等といった概念を誰もが納得するように定義することは非常に難しい。

例 4.3 年収1千万円のAさんと普通の大学生Bさんが1万円を分けようとしています。い くらずつ分けるのが公平だと思いますか。

例 4.4 AさんとBさんが共同の水道からほぼ同じ量の水を使っており、この水道の維持費 が年間14万円かかっている。Aさんの年収は1千万円、Bさんの年収は400万円です。あなた は、AさんとBさんは水道の維持費をいくらずつ払うべきと考えますか。

しかし、市場経済で達成される資源配分は(パレート効率的であったとしても)公平ではな い、と多くの人々が考えているのは事実である。そこで政府は公平性という観点からより望ま しい資源配分が達成されるように所得の再分配を行うことを要請される。

例 4.5 2000年のT国のGDP5億円、人口は100人である。この国における所得配分 のパターンは、Xである。ある再分配政策を行うと、所得配分のパターンは、Yとなることが 分かっている。あなたは、どちらの所得配分の方が社会的に望ましいと考えますか。

X: 所得下位10%の人が全所得の1%を受け取っている。(最貧一人当り50万円) Y: 所得下位10%の人が全所得の3%を受け取っている。(最貧一人当り150万円)

所得再分配と効率性のトレードオフ 高所得者に対する所得税や資産課税と低所得者層に対す る所得移転を考える。高所得者に対する所得税や資産課税は彼らの労働や貯蓄のインセンティ ヴを歪める。また低所得者層への過度な所得移転は、彼らが頑張ろうとする気持ちを損なうこ とになるであろう。

例 4.6 T国における所得配分のパターンが X である場合、経済は実質で年約4%で成長し 続け、2100年のGDP250億円となる。これに対して、再分配配分政策によって所得配分の パターンをY とした場合、経済は実質で年約2%で成長し続け、2100年のGDP36億円とな る。あなたは、どちらの所得配分の方が社会的に望ましいと考えますか。(ただし人口は成長し ないものとする。)(X: 最貧一人当り2500万円、Y:1080万円)

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2017 マクロ経済学I

4.3 マクロ経済の安定化

完全雇用、物価の安定、経済成長

4.4 政府の失敗

民間部門と政府の違い

1. 政府の運営は、選挙で選ばれた者あるいは 選挙で選ばれた者に任命されたものが行う。 2. ある程度の(法律に従わない者を監修したり彼の財産を没収したりできる)強制力を

持つ。

政策目標達成のための手段

1. 政府が直接実行 する。(郵便事業)

2. 民間部門にインセンティヴを与える。(補助金や税制上の優遇措置) 3. 民間部門に実行を命令する。(自動車や食品の安全基準)

ハーヴェイ・ロードの前提  ケインズ経済学において、ケインズ政策を運営するのが賢人で あるという仮説。経済学者ロイ・ハロッドが、『ケインズ伝』で、ジョン・メイナード・ケイン ズが生まれ育ったケンブリッジのハーヴェイ・ロード6番地にちなんで、ケインズの政治思想 につけた言葉である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

賢人・・・賢くてかつ公平な人。

リヴァイアサン仮説 リヴァイアサン:

1.旧約聖書に登場する海の怪物(怪獣)。

2.トマス・ホッブズの著書で1651年発行された。

(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

ジェームズ・M・ブキャナン(公共選択論、1986年ノーベル経済学賞受賞) 税収最大化

プリンシパル=エージェント理論

依頼人(プリンシパル)とその代理人(エージェント)の利益が異なる。 依頼人は代理人の行動を完全に観察できない。

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5.1 合成の誤謬

マクロ経済学とは何か

ミクロ経済学: ミクロ=微視的な。個別の経済主体(家計、企業、政府)の行動や、その行動 の結果、財の価格や取引量がどのように決定されるかを分析。

マクロ経済学: マクロ=巨視的な。経済全体の状態を表す GDPや経済成長率、インフレ 率、利子率、失業率といった経済変数がどのように決まり、互いにどのような関係が あるのかを分析する。

しかし近年、マクロ経済学はその分析過程においてミクロ的な基礎付けを重視する傾向にあり、 分析手法という点からみると両者の違いはあまり明確ではないかもしれない。

合成の誤謬 特定の 一部分に当てはまることが 全体に当てはまる、と間違って仮定すること。 主体間の相互作用を無視すると、合成の誤謬が生じる。

例 5.1 ビル火災での非難時に走ること、映画館で立ち上がって鑑賞すること 経済全体のことを分析する際は合成の誤謬が生じないように注意する必要がある。

例 5.2 雇用救済策

5.2 マクロ経済学の展開

近代経済学(古典派経済学)の誕生 A.スミス『国富論』(1776)、D.リカード

新古典派経済学と限界革命 L.ワルラス(1834-1910)、A.マーシャル(1842-1924

マクロ経済学の誕生 J.M.ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936)← 大恐慌

1929

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2017 マクロ経済学I

時期 経済環境、経済政策 マクロ経済分析のフレーム・ワーク 分析対象 1920 大恐慌(29)

マクロ経済学の誕生 1930 ニューディール政策(33) (ケインズ経済学の誕生)

J.M.ケインズ 1940 第二次世界大戦(39–45)

ブレトンウッズ体制(44–71) ケインズ経済学が中心 (短期の事象) 1950 固定為替相場 IS-LMモデルJ.R.ヒックス)  失業

1960  総需要管理政策 AD-ASモデルP.A.サミュエルソン)  インフレ

 資本市場への制限  (新古典派総合)

1970 インフレの進行 ケインズ経済学からの離脱と模索 ニクソンショック(71)  マネタリストM.フリードマン)

オイルショック(73, 78)  合理的期待R.E.ルーカス)

1980 世界的な資本市場自由化の進行 新しいマクロ経済学 ’80中頃∼ 以降 (金融ビッグバン)  新古典派成長理論 (長期の事象)

英でサッチャー政権(79–90)  均衡マクロ動学、内生的成長理論  経済成長 米でレーガン政権(81–89)  ニューケインジアン  政策の長期

日本で中曽根政権(82–87)  的効果

マクロ経済学における古典派とケインジアン ケインズ経済学と古典派の違いは表5.1のよう にまとめられる。

ケインズ経済学 古典派

経済主体の合 理性

必ずしも 合理的ではない 合理的

市場の有効性 価格は硬直的 価格は迅速に動く 経済政策に対

する態度

積極的に関与すべき 出来るだけ市場に任せるべき 重視する側面 需要(有効需要管理政策) 供給(セイの法則、サプライサ イドエコノミクス、所得政策) マクロ経済の

分析対象

短期(景気循環) 長期(経済成長)

5.1: ケインズ経済学と古典派の比較

(6)

 新古典派: マクロ経済モデルの動学化、ミクロ経済学的基礎づけ(均衡マクロ動学)  ニューケインジアン: ミクロ経済学的基礎に基ずく市場の不完全性の説明

本講義でやること

本講義でできないこと 均衡マクロ動学、内生的成長理論、ニュー・ケインジアン

参照

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