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岩倉 成志 停車遅延

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月). Ⅳ‑177. 高頻度運行される列車の遅延シミュレーションシステムの開発 -東急田園都市線を対象に- 芝浦工業大学大学院 学生会員 ○高橋 郁人. 1.はじめに. 2~3 分とする高頻度運行や乗り換え旅客数を削減する 相互直通運転などである.しかし,副作用としてピーク. 上松. 足 立 区 役. 所 正 会 員. 辻井 隆伸. 芝 浦 工 業 大 学 正 会 員. 岩倉 成志 停車遅延. 1000. 走行遅延. 600 遅 延 400 時 間 200 ( 秒 ) 0 -200. 発生すると運転間隔が開き,到着乗車客が増加すること. -400. で,さらに遅延が大きくなるという負の連鎖が生じてい. -600 7:00. 8:00. 渋谷到着時刻 9:00. 10:00. 11:00. 図 1 長津田~渋谷駅間の実績遅延(2009.1.22) 表 1 各モデルで用いるデータ. る.発生した遅延が他路線にも影響を及ぼすことが多く, 遅延の回復に数時間も要することもある.このような現 車両性能表 駅ホーム図面 応荷重データ. 本研究の目的は,列車遅延問題の対策の第一歩として,. 遅延合計. 800. 時間帯の慢性的な遅延問題を引き起こしている.遅延が. 象は社会的にも対策が求められる重要な問題である.. 苑. 1200. 東京圏の都市鉄道では,列車車内混雑を低減する取り 組みが実施されてきた.具体的には,列車の運行間隔を. 鉄 道 運 輸 機 構 正 会 員. ビデオ映像. 乗降モデル シミュレーションの車内構造の構築 映像解析 シミュレーションの初期値 (乗降客数・車内混雑率) 乗車直前の速度抽出 シミュレーションの再現性の検証. 車両性能表 発着時刻表 信号コード表 運転曲線図 運行実績 データ. 遅延がどのように発生・波及するのかを究明し,対策の. 走行モデル 列車加速度・減速度 列車種別・行先・始発駅発車時刻 信号位置・軌道回路長・ 速度信号現示・勾配座標・勾配値 駅位置・ シミュレーション再現性の検証 駅停車時分・ シミュレーション再現性の検証. 効果を事前に評価できるマルチエージェントシミュレー. 3.開発したエージェントシミュレーションシステム. ションシステムを開発することである.. 3.1.シミュレーションシステム構築のためのデータ整備. 本研究では,ピーク時の平均混雑率が 193%(H20・. 本研究では長津田駅から渋谷駅までの延長 25.6km 区. 渋谷‐池尻大橋間)と高い東急田園都市線対象とする.. 間を対象に,走行時分と乗降時分の推定を行うモデルを. 高頻度運行を行い,3 路線との相互直通運転を実施し,. 用いるが,その際に整備したデータを表 1 に示す.. 遅延の発生や波及を引き起こしやすい路線である.. 3.2.乗降モデルの構築. 2.分析対象路線の遅延実態. 図2に示すように,本モデルは降車・乗車・車内の旅客. 2009 年 1 月 22 日の長津田~渋谷駅間の列車ごとの遅. をエージェントとし,列車の扉が開いてから乗降が終了. 延時間を図1に示す.7 時以前から停車遅延は発生して. するまでの時間を推定する.初期設定は,1 扉 1/4 車両の. いたが,回復運転によって遅延は発生していない.しか. 空間で,旅客 1 名を直径 40cm の円で表現している.全. し,8 時過ぎから停車遅延が増加し,ピークを過ぎて減. 体の流れとして,降車旅客が降車したら乗車旅客が乗車. 少傾向になると走行遅延が増加している.これは,乗降. し,ホームに旅客がいなくなるとシミュレーションを終. 時間増加によって列車間隔が詰まり,走行遅延を引き起. 了する.旅客行動ルールは,前方左右の混雑具合で判断. こしているためである.遅延発生の主な要因として,需. し,最も混雑していない方向に進む.進行速度は,混雑. 要増加に伴う旅客の集中などの旅客行動が関係してい. や押し込み,パーソナルスペース,回避行動で増減する.. ることが現地調査から得られている.また,乗降客の速. 再現性の検証は,最も開閉時間の長い扉を対象に,映. 度分析からも混雑率と乗車時間,乗車人数と乗車時間に. 像データとシミュレーションの乗車直前の速度を比較し. 比例関係があることが確認できた.. て行い,図3に示す.実績平均は混雑率 175%~200%の 3 データの平均であり,シミュレーション平均は混雑率. 【キーワード】 列車遅延,都市鉄道,マルチエージェントシミュレーション 【連絡先】. 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学(TEL)03-5859-8354. ‑353‑.

(2) 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月). Ⅳ‑177. ホーム. 175%で 10 回計算した平均である. 6 人目までは誤差が. 乗車する旅客 降車する旅客. 小さいので再現できたといえるが,7-12 人目の通過速度. 列車に乗り続ける旅客. 列車車内. に大きな差が発生した.これは,旅客の速度決定要素が 考慮しきれていないため,扉付近の旅客滞留が解消した 際の旅客流動の再現ができていないことが影響している. 3.3.走行モデルの構築. 乗 降 モ デ ル. 走行時分とは,列車が駅を発車してから次の停車駅に 停車するまでの時間を指す.図2に示すようにシミュレー. 信号. ション空間の中に駅や列車,ATC 信号情報などのエージ. 駅. 列車 先頭と最後尾. 至 渋谷. 走 行 モ デ ル. 至 中央林間. ェントを発生させ,それぞれにルールを与えて相互作用 しながら運行させる.列車の運転ルールは, ATC 信号. 図 2 マルチエージェントシミュレーションシステム実行画面. の速度情報と前方停車駅までの距離を取得し,減速が必. 80. 実績平均. 要か不要かを判断させる.減速が必要であれば停車駅の. 70. 実績平均±σ. 停止線または制限速度区間に合わせて減速する.減速が. 60. シミュ平均. 績データから実際の停車時分を各駅に与え,停車遅延を. 乗 50 車 直 40 前 の 30 速 度 20 (cm/s) 10. 発生させて走行シミュレーションを行い,相関係数と残. 0. 不要であれば,惰行運転か加速・再加速すべきかを速度 によって判断し,勾配の影響を受けて進行させる. シミュレーションの再現性について検証する.運行実. シミュ平均±σ. 1-2. 差平均を算出し,図4に示す.1 編成あたり最大約 250. 3-4. 5-6. 7-8. 9-10. 11-12. 扉通過人数(人). 秒の残差が発生したが,遅延が拡大するタイミングや回. 図 3 乗車直前の速度の再現性検証. 復運転などの傾向は再現できている.. 1200. 4.乗降モデルと走行モデルの統合. 1000. 走行モデルと乗降モデルを連動させ,マルチエージェン トシミュレーションシステムを構築した.全体の流れと して,走行モデルをベースに,駅停車の際に乗降モデル が稼働し,乗降が終了すると走行モデルが稼働するよう. 残差RMS 重相関R サンプル数. 800. 走行遅延 145.6 秒 0.935 81. 実績走行遅延 シミュ走行遅延 実績総合遅延 シミュ遅延合計. 総遅延 145.6 秒 0.956 81. 600 遅 延 400 時 間 200 ( 秒 0 ) -200. にしている.. -400. 再現性の検証は,所要時間の比較で行い,それを図5. -600. 7:00 7:30. に示す.シミュレーション平均は,H17 大都市交通セン. 8:00. 8:30. 9:00. 10:00. 渋谷到着時刻. サスから算出した30分ピッチ乗降人員と混雑率を入力し. 図4 長津田駅→渋谷駅の走行モデルの再現性(停車時分は実績値). てシミュレーションを10回計算させた平均である.概形. 長津田-渋谷間 普通. 65. は再現できたが,推定値の分散は小さく,実績値の遅延 60. 時分の変動特性まで反映できていない.今後,データ数 を増やし,かつ確率的な変動特性を分析する必要がある.. 5.まとめ 本研究では,乗降遅延の継続が走行遅延を招き,総遅. 所 55 要 時 間 50 ( 分 ) 45. 延が発生するというメカニズムを実績データや現地調査 40. によって究明し,マルチエージェントシミュレーション によって,再現可能性の高さを実証できた.. 35. 【謝辞】データを提供してくださった東京急行電鉄株式会社の方々に 心より感謝申し上げます.. 7:00. 8:00. 1月19日 1月23日. 1月20日 シミュレーション平均. 渋谷到着時刻. 9:00. 1月21日 シミュ平均±σ. 10:00 1月22日. 図 5 マルチエージェントシミュレーションシステムの再現性検証. ‑354‑.

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