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六甲アイランドにおける液状化および側方流動に関する研究

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Academic year: 2022

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六甲アイランドにおける液状化および側方流動に関する研究

早稲田大学    学生会員    ○廣江  亜紀子 早稲田大学      柿崎  実沙子 早稲田大学      古屋  秀基 早稲田大学    フェロー会員 濱田  政則 1.研究の背景と目的

地震時の護岸の大変位に起因した液状化地盤の側方 流動は,産業施設やパイプライン施設に甚大な被害を 発生させてきている。東京湾など,臨海部の埋立地盤 と護岸は建設年代が古く,液状化対策や流動化対策が 施工されていない場合が多い。しかもそれらの埋立地 盤上には多数の石油製品や高圧ガスの貯槽が建設され ている。これらの施設が側方流動によって被害を受け た場合,臨海部や海域のみならず大都市圏市街地の安 全性が脅かされることになる。東京湾北部の地震や南 海トラフ沿いの海溝型地震の発生が逼迫しているとさ れる現在,これらの埋立地の側方流動による危険性を 把握し,必要な対策を講じることが急務である。

護岸の移動に関しては井合らの方法[1]が提案されて おり,背後地盤の側方流動量の推定に関してもすでに 耐震基準等に採用されている方法がある[2]。しかし,そ れらの方法の予測精度については十分な検討がされて いない。本文では,護岸と埋立地盤地表面の水平変位 が航空写真によって詳細に測定されたデータ[3]を用い て予測精度の検証を行い,精度向上の方法を検討した。

2.既存の護岸移動量と地盤水平移動量の推定方法   井合らによって提案された護岸の水平移動量の推定 方法とその背後地盤の地表面水平変位の推定方法は,

まず護岸の高さに護岸の変形率を乗じて,護岸の水平 変位を算定するものである。これに護岸からの離間距 離による変位の減衰率を乗じて地表面変位を算定する。

護岸の変形率は兵庫県南部地震を含む既往地震におけ る事例調査により液状化の範囲に応じて表 1 に示す値 が用いられる。

また,地表面変位の減衰曲線として,

L

e

3.35x

=

δ ∆

    (1)

が与えられている。ここで,δは地表面変位,Δは護 岸の水平変位,xは護岸からの距離である。また,Lは 流動範囲を示し,これも事例分析をもとに100mとして いる。この減衰曲線は,主として兵庫県南部地震にお ける護岸付近の地表面に発生した地割れ幅をもとにし ているとされている。

3.既存予測手法の精度の検証方法

  濱田らの研究グループは兵庫県南部地震の直後に,

地震前後の航空写真を用いて,阪神地区の埋立地にお ける護岸の移動量と背後地盤の側方流動量を詳細に測 量した[3]。本研究ではこのうち六甲アイランドでの測定 結果を用いて,既存予測手法の精度を検証するととも に,ばらつきを考慮した予測手法も検討する。

  検証のフローを図1に示す。

六甲アイランドを50m四方のメッシュで切り,メッ シュごとにボーリングデータ[4]から液状化判定を行う。

また,護岸形式や高さなどの護岸データから護岸の移 動量を求める。さらに式(1)の減衰式を用いて地盤の水 平移動量を予測する。これらの予測結果を航空写真測 量による実測値と比較することによって,予測手法の 精度を検討する。

5.護岸移動量の検証

  兵庫県南部地震における護岸移動量の実測値と表 1 により求めた予測結果を図 2 に示す。赤矢印は予測値 を,青線は実測値を表す。ただし,予測値は護岸形式 が同じ区間を一つの護岸としている。六甲アイランド は全て重力式護岸であり,兵庫県南部地震ではケーソ ンの基礎地盤まで液状化したことから,表 1 によれば 変形率は30%となる。

図2から,護岸変形率30%では予測値が実測値より も大きい護岸が多いことがわかる。実測値による護岸 移動量と護岸高さの関係を示したものが図 3 である。

ただし実測値は護岸ごとに平均した値を用いている。

図示した結果によれば,護岸の変位は護岸高さの 15%

から 30%となっているが,実測値は大きくばらついて

おり,確定論的に護岸移動量を推定することが本来的 に難しいことを示している。そこで,護岸変形率を変 化させ実測値と予測値を比較し,予測値が実測値を超

キーワード  液状化,側方流動

連絡先  〒169-8555  東京都新宿区新大久保3-4-1  濱田研究室

表1  護岸・岸壁の変形率

液状化の範囲 変形率(%)

重力式

護岸背後のみ 15

護岸背後および基礎地盤 30

矢板式

護岸背後のみ 20

護岸背後と控工周辺 40

護岸背後および基礎地盤、控工周辺 75

図1  護岸と地表面の水平変位の予測と精度の検証

ボーリング資料(40本)の収集 護岸構造データの収集

液状化判定

護岸変位と地表面変位の推定

航空写真測量による実測値との対比から 予測精度を検討

ボーリング資料(40本)の収集 護岸構造データの収集

液状化判定

護岸変位と地表面変位の推定

航空写真測量による実測値との対比から 予測精度を検討

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑1167‑

Ⅰ‑584

(2)

える確率(超過確率)を求めた。変形率と超過確率の関係 を図 4 に示す。護岸の水平移動量にあたっては,この ようなばらつきを考慮する必要があると考えられる。

6.地盤水平移動量の検証

図 5 は六甲アイランド北西部での地盤移動の実測値 と予測値を示しており,図中の赤矢印が予測値を,青 矢印が実測値を表している。既往の予測法では前述し たように流動範囲を護岸より 100m としているが,内 陸部の奥でも地盤が流動していることが分かる。この ことは液状化地盤の流動による変位を正しく推定する 上で,今後の重要な課題である。図 6 は航空写真測量 によって測定された地表面変位と護岸移動量の比を護 岸からの距離に対してプロットしたものである。既往 の方法では図6に示す実線の減衰曲線を提案している。

実測による地表面変位の大半はこの減衰曲線を大きく 上回っており,提案された方法が実測値を必ずしも十 分に説明していないことが分かる。図 6 の結果によれ ば,護岸からの離間距離が 200m 程度でも大きな流動 変位が生じている。また,実測による地盤移動量と護 岸移動量の比は大きくばらついているため,この場合 も確定論的に地盤移動量を推定することが困難で,ば らつきを考慮した推定が必要なことを示している。

7.まとめと課題

  検証の結果,現在の予測方法は護岸移動量を実測値 より大きく予測していることが分かった。また,地盤 移動量は実測値より小さく予測しており,流動範囲の 設定は 100m では不十分であることが分かった。しか し,護岸移動量と地盤移動量の実測値には大きなばら つきがあり,確定論的に決定することは難しい。

本研究は六甲アイランド一地域のみを対象としてお り,他の地域とどれほど相関性があるか,今回の結果 を適用できるかも合わせて検討することが必要である。

今後は,ポートアイランドのような重力式護岸の人工 島や,矢板式護岸が存在する摩耶埠頭などの地域でも 予測値と実測値の比較を行うことによって,より精度 の高い予測手法の提案と実用化を目指したい。

8.参考文献

[1] 井合進,一井康二,森田年一,佐藤幸博:既往の地 震事例に見られる液状化時の護岸変形量について,第2 回阪神・淡路大震災に関する学術講演会論文集,Vol.2,

pp.259〜264,1997.1

[2]神奈川県防災局工業保安課,高圧ガス施設等耐震設

計基準2002

[3] 濱田政則,磯山龍二,若松加寿江:1995 年兵庫県 南部地震  液状化・地盤変位及び地盤条件,財団法人 地震予知総合研究振興会,1995.9

[4]KG-NET・関西圏地盤情報協議会,関西圏地盤 DB

運営機構:2009年度版関西圏地盤情報データベース

5.40 5.40 5.40

3.00 3.60 3.54 5.40 5.40 5.51 3.45 3.90 3.75

3.69 4.50

5.01 5.36

5.36 4.05

2.73 2.73

2.67 4.26

4.26 3.60 5.10 5.10

5.10

4.20

5.01 2.73

※線の長さは5m 予測値

実測値

図2  護岸移動量の実測値と予測値の比較

20  40  60  80  100 

10 15 20 25 30 35 40

超過確率(%

変形率(%

22%

47%

78%

94%

図4  護岸変形率と超過確率との関係

図6  地盤と護岸の実測値比と護岸からの距離

0 1 2 3 4 5 6 7 8

0 5 10 15 20 25

護岸高さ Hw (m)

よる護岸移動量 (m)

0.15Hw 0.30Hw

図3  実測による護岸移動量と護岸高さの関係

図5  六甲アイランド北西部の

地盤移動量の実測値と予測値の比較

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 地盤/護岸(実測値)

予測に用いる減衰式

y = e-0.0335x

地盤移動量/護岸移動量

護岸からの距離 x(m)

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 地盤/護岸(実測値)

予測に用いる減衰式

y = e-0.0335x

地盤移動量/護岸移動量

護岸からの距離 x(m)

3m

地盤移動量のベクトル

予測値 実測値 3m

地盤移動量のベクトル

予測値 実測値

500m

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑1168‑

Ⅰ‑584

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