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[環境調和型触媒技術研究開発]

事業原簿

作成者 新エネルギー・産業技術総合開発機構

環境調和型技術開発室

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制度名 二酸化炭素固定化・有効 利用技術等対策事業 事業名 環境調和型触媒技術研究開発 事業の概要 クリーンエネルギーの獲得・利用、環境保全のための新しいプロセスの 創出、地球環境への物質負荷の低減を可能とする新規の触媒を開発する。 触媒の分子設計を目指した基盤的手法を開発するとともに、水分解光触 媒及びメタンの選択酸化触媒の開発を行う。 1.国の関与の必要性・制 度への適合性 本研究開発は、難度の高い研究開発であるため開発リスクが大きく、ま た開発には新規なアプローチが必要であり産官学の連携の下に行う必要 がある。 2.事業の背景・目的・位 置付け 地球温暖化対策として、省エネルギーの推進、新エネルギーの獲得が進 められている。そのための革新的プロセスに必要な触媒技術の開発を行 う。 3.事業の目標 (全体目標) 1)新規触媒の設計技術 2)水分解光触媒の開発(CO2 を伴わない水 素の獲得) 3)メタン選択酸化触媒の開発(メタノールの省エネ合成) 中間評価後、具体的な目標値をおいて実用化の可能性を探ることに重点 を移した。 4.事業の計画内容 (単位:百万円) H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 総 額 (10 年) 特別会計(エネ高) 39 290 350 420 420 452 443 525 456 405 3357 総予算額(計) 39 290 350 420 420 452 443 525 456 405 3357 省内担当原課 産業技術環境局 産業技術ユニット 研究開発課 運営機関 財団法人地球環境産業技術研究機構 再委託先 東京工業大学、大阪府立大学、横浜国立大学、豊橋技術 科学大学、フロリダ中央大学、ウエールズ大学、スペイン触 媒石油化学研究所 研究開発体制 (実態に併せて記載) 共同研究先 独立行政法人産業技術総合研究所(関西センター、薄膜 シリコン太陽電池研究開発ラボ) 5.実用化、事業化の見通 し メタン選択酸化触媒についてはFSを実施し、立地条件によっては実用 化の可能性が見出された。水分解光触媒については、コストを含めた実 用化のための条件を明らかにした。 6.今後の展開 光触媒については、技術開発についての新たなシナリオが、また選択酸化触 媒については、市場を明確にした実用化へのシナリオが必要である。また、 触媒設計技術については、活用方法を検討する。 7.中間・事後評価 中間評価平成10 年 7 月 8.研究開発成果 学会発表件数:183、査読論文数:105、テレビ、新聞発表数:10 特許(出願)数:5(5)、 基本計画の変更 なし 変更内容 中間評価以降、実用化への戦略を明確にした目標を設 定。 9.情勢変化への対応 評価履歴 中間評価(産業技術審議会、評価部会、環境調和型触 媒技術研究開発評価委員会) 10.今後の事業の方向性 作成日 平成14 年 9 月 20 日

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−目次− 1. NEDO の関与の必要性・制度への適合性 1 1.1 NEDO が関与することの意義 1 1.2 費用対効果 1 2. 事業の背景・目的・位置付け 2 2.1 事業の背景・目的・意義 2 2.2 事業の位置付け 4 2.2.1 地球環境保全のための技術開発の必要性 4 2.2.2 環境調和型触媒技術 5 2.3 具体的課題の設定 6 2.3.1 背景 6 2.3.2 課題の設定 7 2.3.3 光触媒開発の必要性 8 2.3.4 選択酸化触媒開発の必要性 8 2.3.5 触媒の基礎研究の必要性 9 2.4 関連技術動向 10 2.4.1 環境調和型触媒技術研究開発の流れ 10 2.4.2 新規触媒の基礎研究の動向 11 2.4.3 光触媒の研究開発動向 13 2.4.4 選択酸化触媒の研究開発動向 15 3. 事業の目標 19 3.1 事業全体の目標 19 3.2 研究開発項目毎の目標 19 3.2.1 新規触媒の基礎研究 19 3.2.2 新規触媒の研究開発 19 4. 事業の計画内容 20 4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容 20 4.1.1 新規触媒の基礎研究 20 4.1.2 新規触媒の研究開発 20 4.1.3 中間評価提言及び前半の研究で得られた情報に基づき下記内容を追加 21 4.2 研究開発項目毎の内容の詳細 21 4.2.1 新規触媒の基礎研究 21 4.2.2 新規触媒の研究開発 22 4.3 研究開発実施主体の体制 23 5. 実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ) 26 5.1 成果の実用化可能性 26 5.1.1 光触媒 26

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5.1.2 選択酸化触媒 27 5.2 波及効果 29 5.2.1 新規触媒の設計技術 29 6. 今後の展開(政策目的達成までのシナリオ) 29 6.1 光触媒実用化のシナリオ 29 6.2 選択酸化触媒実用化のシナリオ 29 7. 中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期 30 7.1 プロジェクトの意義に関する評価 30 7.2 研究目標に関する評価 31 7.3 研究開発体制 31 7.4 プロジェクトの成果に関する評価 32 7.5 今後への提言 33 8. 研究開発成果 34 8.1 事業全体の成果のまとめ 34 8.1.1 新規触媒の基礎研究 34 8.1.2 新規触媒の研究開発 34 8.1.3 派生的成果 36 8.1.4 成果発表 37 8.2 研究開発項目毎の成果 37 8.2.1 新規触媒の基礎研究 37 8.2.2 新規触媒の研究開発 37 9. 情勢変化への対応 41 9.1 中間評価への対応 41

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1. NEDO

の関与の必要性・制度への適合性

の関与の必要性・制度への適合性

の関与の必要性・制度への適合性

の関与の必要性・制度への適合性

1.1 NEDOが関与することの意義が関与することの意義が関与することの意義が関与することの意義 1 地球温暖化問題の技術によるブレークスルーを実現するために、クリーンエ ネルギーの獲得と化学工業等産業技術における省エネルギー化は重要かつ緊 急な課題であるが、個々の企業にもたらす経済的利益は少なく、企業がこの研 究を行うインセンティブにはならない。 2 環境調和型触媒技術は難易度の高い研究であるためにほとんど手がつけら れていないリスクの高い研究開発である。そのため、基礎的部分から長期的視 点に立った研究が不可欠であり、またこのような基礎研究における国際貢献が 求められていることから、国家プロジェクトとして行うべき研究開発課題であ る。 3 本課題の早期実現のためには、従来型の触媒研究手法とは異なったアプロー チが必要である。そのため、触媒化学分野の研究者のみならず、表面科学、エ レクトロニクス、計算化学、物理学等 幅広い専門分野の研究者を結集して、 産官学の連携の下に研究開発する必要がある。 上記理由により、NEDOが公共財として位置付けられる当該技術開発を積極 的に支援し、産官学が協力して取り組んでいくことが必要であり、緊急的かつ効 率的に地球環境対策を推進することが必要である。 1.2 費用対効果費用対効果費用対効果費用対効果 本事業ではクリーン太陽エネルギーの有効利用を目指して、光エネルギーを 化学エネルギー(水素エネルギー等)に変換する光触媒及びメタン等炭化水 素からメタノール、ホルムアルデヒド等含酸素化合物に変換する省エネルギ ープロセスの構築に必要な選択酸化触媒を研究開発することを目的に (1)新規触媒の基礎研究、(2)新規触媒の研究開発を実施する。 地球温暖化の対策として、クリーンエネルギーの獲得、二酸化炭素の排出量 の削減を目的とした研究開発であり、本研究開発により実用化へのプロセス が明確にされれば、我が国として温暖化ガスの削減に関して確実な削減技術 を保持することができるため、費用対効果が高いと期待できる。

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2.

事業の背景・目的・位置付け

事業の背景・目的・位置付け

事業の背景・目的・位置付け

事業の背景・目的・位置付け

2.1 事業の背景・目的・意義事業の背景・目的・意義事業の背景・目的・意義事業の背景・目的・意義 (図 2.1.1 参照) 地球温暖化の原因として、二酸化炭素をはじめとする環境負荷物質等の自然界へ の排出量の増加が問題となっている。この問題を解決するために、クリーンエネル ギーの獲得、二酸化炭素の固定化・有効利用、省エネルギー・省資源化等が求めら れており、その解決のために環境との調和を図った革新的なプロセスによる新しい 物質変換を伴う技術開発が求められている。 基本概念:触媒は 基本概念:触媒は基本概念:触媒は 基本概念:触媒は 物質・エネルギー変換の高効率化 物質・エネルギー変換の高効率化物質・エネルギー変換の高効率化 物質・エネルギー変換の高効率化 即ち環境負荷低減の主役 即ち環境負荷低減の主役即ち環境負荷低減の主役 即ち環境負荷低減の主役 経験的方法による 触媒開発 半導体分野における 表面分析・固体設計 技術の成果 計算機の高速化 計算化学の進歩 設計的触媒開発技術の 構築 太陽光利用水素生産 光触媒開発 メ タ ン 等 選 択 酸 化 メ タ ン 等 選 択 酸 化メ タ ン 等 選 択 酸 化 メ タ ン 等 選 択 酸 化 触媒の開発 触媒の開発触媒の開発 触媒の開発 その他の環境調和型 その他の環境調和型その他の環境調和型 その他の環境調和型 触媒の開発 触媒の開発触媒の開発 触媒の開発 技術的背景 技術的背景技術的背景 技術的背景 社会的要請 社会的要請社会的要請 社会的要請 地球温暖化対策 地球温暖化対策地球温暖化対策 地球温暖化対策 環境調和型生産技術 環境調和型生産技術環境調和型生産技術 環境調和型生産技術 ・ クリーンエネルギー生産 クリーンエネルギー生産 クリーンエネルギー生産 クリーンエネルギー生産 生産工程の環境負荷低減 生産工程の環境負荷低減 生産工程の環境負荷低減 生産工程の環境負荷低減 図2.1.1

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これまでは触媒は試行錯誤的方法で開発されてきた。設計的な触媒開発技術の必 要性は認識されているが、実情は現象の説明を得る目的で触媒表面·構造分析と計 算化学が孤立して行われている程度である。本プロジェクトでは、両者を設計的思 想で統合し、触媒機能設計の指針を得る。 半導体産業の発展による表面分析技術の進歩とコンピューターの発達による計 算化学の進歩により、触媒設計の成功の可能性が高まってきた。 粉体型光触媒による水分解水素生産技術の研究はわが国が世界の先駆的役割を 果たしている。しかし、太陽光エネルギー利用効率はプロジェクト開始時点での報 告例では0.01%以下である。酸化チタン薄膜光触媒による水分解水素生産は世 界に先駆けて本多·藤嶋により報告された。しかし、酸化チタンは紫外線しか利用 できないため、可視光利用触媒の開発が必要である。 メタノールはメタン改質反応(約850℃)、改質ガスを原料とするメタノール 合成(50∼200気圧)の2段階、ホルムアルデヒドはさらにメタノールの酸化 を含めた3段階で合成されている。当プロジェクトでは1段階でメタノール·ホル ムアルデヒドを合成する技術を開発する。 地球環境を再生するために、クリーンエネルギーの獲得・利用及び地球環境への 物質負荷の低減を可能にする新規触媒を研究開発する。この目的を達成するために 次の研究を行う。 (1)新規触媒の基礎研究 温室効果ガスの発生抑制、固定化技術等の各分野を通じて共通基盤技術とな る新たな機能を持った触媒の探索·特性評価に関する基礎研究を行う。 (2)新規触媒の研究開発 エネルギーや物資の環境への負荷低減(太陽光などの自然エネルギーを活用 するもの、物質変換で二酸化炭素等の地球温暖化物質の排出を抑制できるも の等)を行っていくために必要となる高選択性、高耐久性、常温・常圧下で の活性などの特性を有する革新的な触媒を開発する。 具体的には、 ①太陽エネルギーの有効利用を目指して、太陽光(光エネルギー)を化学エ ネルギー(水素エネルギー等)に変換するための光触媒 ②天然ガス成分であるメタン等炭化水素からメタノール、ホルムアルデヒド 等含酸素化合物を合成する反応プロセスを省エネルギープロセスへ転換す るために必要な選択酸化触媒を開発する。 太陽光を利用して光触媒により水素を合成することはクリーンエネルギ ーの獲得のために不可欠である。また、環境負荷物質の低減のためには未利 用エネルギー資源を比較的低い温度でしかも簡単なプロセスで効率よく有 用物質へ転換したり、あるいは現状の化学物質製造プロセスにおいても反応 温度・圧力を下げたり、多段プロセスを1段プロセスに転換することを可能

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とする触媒及び関連触媒技術研究開発が必要である。しかしながら、上記の 触媒技術研究開発はこれまでにも産業界・学界において多くの研究者・技術 者によって手掛けられてきたにもかかわらず、未だに実用化に至った成果は ないという未踏技術分野である。そのため、この技術開発を広範な分野の技 術を結集して、しかも環境調和の観点に立って行う必要がある。 2.2 事業の位置付け事業の位置付け事業の位置付け事業の位置付け 2.2.1 地球環境保全のための技術開発の必要性地球環境保全のための技術開発の必要性 地球環境保全のための技術開発の必要性地球環境保全のための技術開発の必要性 地球温暖化の原因として、二酸化炭素をはじめとする環境負荷物質等の自然界へ の排出量の増加が問題となっている。化石燃料の燃焼によって生ずる世界の炭素排 出量は昭和25年には 1,620 百万トンであったが、単調に増加しつづけて、本プロ ジェクトの前半の平成3年には 6,010 百トンに達した。大気中の二酸化炭素濃度は 280ppm から 362ppm へと増加した。これは過去15年の間で最も高い濃度であ る。IPPC は 1995 年「地球の気候に人間の活動が影響していることが認められる。」 との結論を出している。この世界的な危機感を背景にして、平成9年12月に京都 で開催された気候変動枠組み条約会議において、二酸化炭素の排出低減条約が締結 されたことは記憶に新しいところである。 このように二酸化炭素の排出量の低減化技術についての社会的な要請と政策的 必要性は近年きわめて高まってきている。この技術には多くの方向があるが、わけ ても(1)化石燃料の使用を前提としつつ、省エネルギーや二酸化炭素固定化技術 により排出量の低減を図る技術開発と(2)化石燃料から脱却したクリーンエネル ギーの獲得を目指す技術開発を同時平行的に進めていくことが問題の現実的な解 決に当たって重要であろう。 これらの技術的課題を個別に考えていくと、結局のところ、環境との調和を図っ た革新的なプロセスによる新しい物質変換を伴う技術開発を行うことの重要性が 現れてくる。具体的な例を挙げれば、 ①代替エネルギーの確保及び地球環境の再生・保全のためのエネルギー・物質変 換の新しいプロセスの構築 ②化学産業における物質製造プロセスの環境調和型への転換(原料・副生物の環 境適合性) ③公害防止のための排気ガスや有害物質の排出抑制、処理 等はいずれも物質変換を伴う技術である。 本研究開発では、この環境との調和を保ちつつ革新的なプロセスによる新しい物 質変換を可能とする唯一の技術である触媒技術に着目し、この技術開発によりクリ ーンなエネルギー(水素エネルギー)の獲得と省エネルギー化を可能とする触媒を 開発する。同時により早期の開発が、地球環境技術により大規模に貢献する、触媒 技術の基礎技術研究も実行することによって、石油消費量の削減、エネルギー利用

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効率の向上、二酸化炭素排出抑制を達成し、地球環境問題の解決に寄与しようとす るものである。 2.2.2 環境調和型触媒技術環境調和型触媒技術 環境調和型触媒技術環境調和型触媒技術 地球上に豊富にある太陽エネルギーや未利用天然ガス資源を効率よく利用する ために、これまでも多くの技術開発がなされてきた。中でも触媒技術は上記の課題 を解決するための Key-Technology の一つとして重要な役割を果たしてきたと言っ ても過言ではない。すなわち、触媒はエネルギー・物質の化学的変換及びその変換 過程の進行を加速・調整することのできる機能を持ち、多くの産業分野で必須の存 在となっている。近年、地球環境を再生するために、特に人類の活動と地球環境と が調和した新しい産業・エネルギー体系の構築の必要性が高まりを見せている。こ うした背景の下で人類と地球環境との相互の橋渡しを行う役割を担うことができ る触媒技術への期待は大きくなってきている。これらのニーズに応えるために必要 な触媒技術が「環境調和型触媒技術」である。(図 2.2.1,2.2.2) メタノール等 メタノール等 メタノール等 メタノール等 天然ガス 反応器 選択酸化触媒 太陽光 水 水素 酸素 光触媒 光の水分解 H 2O→H 2+1/2O 2 光触媒 (H2) (O 2) 基礎研究 コンピュータグラフィックス等を 利用した新規触媒の設計法を研究 図 2−1 環境調和型触媒技術 図 2.2.1

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2.3 具体的課題の設定具体的課題の設定具体的課題の設定具体的課題の設定 2.3.1 背景背景 背景背景 (1)太陽エネルギー有効利用としての水素の獲得の妥当性 ・太陽エネルギーはクリーンで無尽蔵な再生可能エネルギーである。 また、地域偏在が少なく、国内自給が可能、エネルギー消費地で得ることが可 能である。 ・水素は地球上に豊富に存在する水の分解などによって得られる。 ・水素は燃焼しても二酸化炭素等環境負荷物質を生じないクリーンエネルギー である。 ・水素は用途が広く需要は大幅に伸長するものと見込まれている。 (WE−NETによる世界の水素需要量予測: 原油換算 3.6億kl(2050年) 15.8億kl(2100年) 用途:水素添加プロセス等の化学合成原料、水素燃焼タービン、水素自動 車、燃料電池など) (2)石油代替資源としての天然ガス有効利用の妥当性 ・天然ガスの資源量は豊富である。 (天然ガスのR/P(埋蔵量/生産量)は63年(石油は45年)*)

(*:出典 Oil & Gas Journal (1996))

年 間 出 荷 額   億 円 ・ 米 国 ・ 西 欧 ・ 日 本 の 合 計 ・ 1,900 1,950 2,000 年 排 排 排 排 ガ ガ ガ ガ ス ス ス ス 処 処 処 処 理 理 理 理 触 触 触 触 媒 媒 媒 媒 合成化学 合成化学合成化学 合成化学 石油精製 石油精製石油精製 石油精製 環 境 調 和 型 触 媒 油 脂 の 水 添 ア ン モ ニ ア 合 成 ・ 石 炭 液 化 メ タ ノ ・ ル ・ 炭 化 水 素 合 ク ラ ッ キ ン グ ・ エ チ レ ン オ キ サ イ ド 改 質 ・ 合 成 ゴ ム 水 素 化 脱 硫 ・ プ ロ ピ レ ン 無 水 マ イ レ ン 酸 ・ ア ク リ ロ ニ ト リ ル 酢 酸 ・ ポ リ エ チ レ ン 自 動 車 排 ガ ス 浄 化 ・ 排 煙 脱 硝 メ タ ノ ・ ル か ら ガ ソ リ ン ・ 石 炭 液 化 ・ ガ ス 化 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 図 2−2 触媒技術の発展図 2.2.2

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・天然ガス資源は炭酸ガス排出量の少ないクリーンエネルギーである。 ・天然ガスの液体化(メタノールへの変換)はエネルギー輸送の面から重要で ある。 (メタノールへ変換することによって単位体積当たりのエネルギー量が増加) (LNG化ほどの大型設備が不要) ・メタノールは化学品合成原料としての用途が広い。(表 2.1) ・ メタノールの需要及び用途は拡大しつつある。

(*:出典 Oil & Gas Journal (1996)) 世界のメタノール需要 1996 年: 2430 万トン 2001 年: 2780 万トン(見込み) (2001年以降は特に燃料用としての需要増大による全体需要の大きな伸びを予想) 表 2.1 1996 年現在の世界の用途別メタノール需要(総量 2430 万トン) 用途 需要率 備考 ホルムアルデヒド製造

35 % 合成樹脂原料 MTBE 製造 26 % ガソリンオクタン価向上剤 予想伸び率 3.1%/年 酢酸製造 8 % 溶剤 3 % 燃料 2 % *1 その他 26 % *1日本での需要予測 205 万トン/年 (2000 年)、4800 万トン/年(2030 年) (出典:Chem.Week, Aug.31(1994)他) 2.3.2 課題の設定課題の設定 課題の設定課題の設定 本研究開発においては上記のニーズを踏まえて、特に地球環境保全にインパクト の高い環境調和型触媒技術の中でその研究の困難性、高い開発リスクのために従来 から研究開発がほとんどなされていない下記の課題を選択した。 ①太陽エネルギーの有効利用を目指して、太陽光(光エネルギー)を化学エネルギ ー(水素エネルギー)に変換するための光触媒 ②天然ガス成分であるメタン等炭化水素からメタノール、ホルムアルデヒド等含酸 素化合物を合成する反応プロセスを省エネルギープロセスへ転換するために必 要な選択酸化触媒 ③新規触媒の原子・分子レベル設計の基盤となる計算化学・表面科学・薄膜技術等

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を利用した触媒反応素過程の解明、表面状態の解析等の基礎研究 2.3.3 光触媒開発の必要性光触媒開発の必要性 光触媒開発の必要性光触媒開発の必要性 光触媒による水素製造技術は石油に依存せず、エネルギーや化学工業の原料であ る水素を製造することができるため、二酸化炭素の削減に寄与することができる。 (表 2.2 参照) 光触媒水素製造の主な特徴を下記に列記する。 ①再生可能エネルギーシステム、 ②未利用資源活用システム(無尽蔵の太陽光や水を利用できる)、 ③電気分解が純水を必要とするのに対して、光触媒方式は酸化チタンに抗菌作 用や有機物分解作用があり汚れた水でも利用可能 ④地球温暖化物質を排出しない。 表 2.2 水素製造に伴うCO2排出量比較 (KgCO2/m3・H2) 光触媒a) 水蒸気改質方式 太陽電池+電気分解b) 生物的水素製造 装置 0.21 0.07 0.35 0.10 運転 − 0.99 − 0.17 計 0.21 1.06 0.35 0.27 a)光触媒の変換効率 1% b)エネルギー変換効率 8.5%で計算 また、下記算出例に示されるように、触媒材料そのものは高価なものではない。 (算出例) 反応器面積(受光面積):1m2 触媒量: 10g 触媒寿命:1年 触媒のエネルギー変換効率:1%の場合 発生水素量:4.34m3/年 m2 である。 市場触媒(二酸化チタン)価格:2円/g したがって 1m3の水素製造に要する触媒価格= 2×10/4.34=4.6円/m3 (水素の現在市場価格:80−100円/m3 2.3.4 選択酸化触媒開発の必要性選択酸化触媒開発の必要性 選択酸化触媒開発の必要性選択酸化触媒開発の必要性 メタノールは現在、天然ガスを原料とし、CO と水素の混合ガスに改質してから 水素化反応によりメタノールとする二段法で合成されている。またホルムアルデヒ ドはメタノールから選択酸化して製造されている(三段法)。これらをメタンから 一段法で選択酸化により直接合成できればプロセスがエネルギー的に有利となる

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ばかりでなく、天然ガスの改質工程に必要な大型設備が不要となる。これにより未 利用天然ガス資源の利用率の向上が期待できる。 ①メタンの選択酸化反応は技術的にも困難であるために、直接メタノール、ホル ムアルデヒド等を得るための選択酸化触媒は研究対象にはなっているが実用 化されたものはない。 ②現在の多段プロセス(天然ガス→改質ガス→メタノール→ホルムアルデヒド) に比べメタン直接酸化による一段プロセス(天然ガス→メタノール,天然ガス →ホルムアルデヒド)では、プロセス全体のエネルギー消費が少なくなり、 CO2削減効果が期待できる。(表 2.3 参照) ③メタンからメタノール、ホルムアルデヒド等への選択酸化触媒の開発により他 のアルカンを原料として有用化学物質を製造するプロセスの簡略化をも可能 とする。すべての反応が C-H の活性化(脱水素)と酸素付加という反応素過程を 経るため) (現状ではブタンから無水マレイン酸合成が行われているのみ) 表 2.3 メタンからメタノール、ホルムアルデヒド製造に伴うCO2排出量比較 CO2排出量 CO2削減効果 現行法 1段法 メタノール 0.64 0.61*1) 0.03 CO 2-ton/メタノール-ton CO2-ton/メタノール-ton 総削減量 70 万 ton/年(世界)*3) ホルムアルデヒド 0.89*2) 0.82*1) 0.07CO 2-ton/ホルムアルデヒド-ton CO2-ton/ホルムアルデヒド-ton 総削減量 32 万 ton/年(世界)*3) *1)反応条件: 転化率 10%,選択率 80%,反応温度400℃、圧力 10 気圧 *2)銀触媒を使用する Degussa 法 *3)1995年の年間生産量から計算(メタノール 2340 万 ton、ホルムアル デヒド 451 万 ton 2.3.5 触媒の基礎研究の必要性触媒の基礎研究の必要性 触媒の基礎研究の必要性触媒の基礎研究の必要性 上記の光触媒及び選択酸化触媒は地球環境問題の解決のためにも、また工業触媒 としてもその開発が期待されている。これらは国際的にも工業触媒の 10 の未踏技 術の中に位置づけられている(Chem.& Eng. News, May 31(1993))ほど必要性が 高く、多くの研究者・技術者によって手がけられてきたにもかかわらず未だに開発 されていない触媒である。一般に環境調和型触媒の開発が遅れている原因は、合成 用触媒以上に下記に示すような厳しい触媒性能が必要とされているためである。 ①低温での触媒活性(環境条件への適合)

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②ppb から ppm レベルの低濃度への対応(空気中に微量に含まれている低濃度 ガスの処理) ③希薄成分処理のために大量の媒体に対する耐久性 ④反応条件(温度、濃度など)の大幅な変動に対応 こうしたニーズを充たした触媒を開発するためには、従来型の Try& Error 型手法、 すなわち ①触媒構成元素を選択する、(文献、物性データー等による) ②選択した元素(金属、非金属)を担体に担持して触媒特性を調べる、 ③助触媒の選択と効果を調べる、 ④基本的な方法によって触媒物性(転化率、選択率など)を調べる、 ⑤反応条件を変えて触媒特性を評価する、 ⑥被毒物質に対する耐久性確認(長寿命化のため)、 ⑦選択された元素からなる触媒を各種調製法によって作る、 ⑧担体の種類、担持方法による触媒特性を調べより有効な担持法を選択する、 ⑨ミニプラント、ベンチプラントにより実用化に向けた性能評価を行う、 という研究開発過程・手法に加えた革新的開発手法が必要となる。また、触媒反応 は複雑であり、触媒の構造、活性点や各反応の素過程が明確でなく、触媒設計の指 針が確立されていないことにも起因している。したがって、触媒技術分野において 環境調和型触媒等の革新的触媒開発のためには、従来の触媒開発手法に加えて「原 子レベルの活性点制御とその反応化学」の研究、具体的には触媒反応は原子レベル で想定した固体表面サイト(金属、酸化物)における共存ガス(メタンや水など) 系での吸着・反応の素過程等の解明が必要となるために、表面科学、量子化学、計 算化学、無機合成、薄膜技術等の活用が不可欠となる* )。 (*: 御園生,触媒 35 35 35 35,268(1993)) こうした背景を踏まえて本プロジェクトでは難易度の高い光触媒、選択酸化触媒 の開発の早期実現を目指して ①コンピュータ技術による触媒反応モデルの構築 ②原子オーダーでの表面・薄膜作製技術を用いたモデル触媒の設計・合成 ③In-situ(その場反応)での吸着・反応評価(反応素過程の解析) 等の新規触媒技術の基礎研究も研究開発対象として選定した。 2.4 関連技術動向関連技術動向関連技術動向関連技術動向 2.4.1 環境調和型触媒技術研究開発の流れ環境調和型触媒技術研究開発の流れ 環境調和型触媒技術研究開発の流れ環境調和型触媒技術研究開発の流れ

触媒の研究開発は20世紀初頭の Harber, Bosch, Mittasch によるアンモニア合 成触媒の開発に端を発し、化学工業、石油精製、エネルギーをはじめとするあらゆ る産業の発展と生活水準の向上に寄与してきた。1970年代に入ってからは、さ らに公害防止用触媒として新たな役割を担ってきている。

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触媒技術研究開発を特に環境調和型触媒に焦点を当てて概観すると、日本の産業 界においては1975年以降の公害防止用触媒の開発を契機として、従来の産業用 のみならず発電用ボイラー排ガスの脱硝触媒、重油の脱硫触媒から調理器や電気冷 蔵庫脱臭に用いる触媒などの新しい実用触媒の開発が盛んに行われ、触媒の環境調 和型としての役割が大きくなってきている。 (図 2.2.2 参照) 学界においても1990年代に入ってから、国内外の触媒関連学会で地球環境保 全と触媒に関するシンポジウムや討論会が計画・開催されるなど、環境調和型触媒 に対する関心が急速に高まっている。例えば、第67回触媒討論会(1991年3 月)においては「地球環境と触媒」が主題とされ、また、「環境触媒フォーラム」 が1990年に発足したり、日本ーECジョイントワークショップの開催(199 1年12月)、アメリカ化学会における特別セッション“Environment Application of Catalysis”の開催(1991年8月)など、枚挙に暇がない。 一方、研究開発の状況を観た場合、環境調和型触媒に関連する研究については触 媒の研究開発担当者が各々の研究領域において触媒と地球環境との接点を模索し ている状況であり、環境調和型触媒として体系化して研究開発に取り組んでいると ころは見当たらない。以下において更に分野ごとにその研究開発動向について述べ る。 2.4.2 新規触媒の基礎研究の動向新規触媒の基礎研究の動向 新規触媒の基礎研究の動向新規触媒の基礎研究の動向 本研究開発において必要とされている ①コンピュータ技術による触媒反応モデルの構築 ②触媒物質による原子オーダーの表面・薄膜作製 ③In-situ での反応素過程解析 ④触媒表面特性の解析評価 に関連する技術は、計算化学、表面科学、半導体・超伝導体開発分野で発達した技 術である。ところが、触媒反応は表面が関与し、しかもその原子レベルの研究の分 野であることから、上記技術の触媒研究への適用が注目され、近年大学を中心に研 究が開始されつつある。 (1)コンピュータ技術による触媒反応モデルの構築 計算化学による固体表面での触媒反応の研究では、計算手法として非経験的分 子軌道法 (abinitio 法)、分子動力学(MD)法やモンテカルロ(MC)法、密度汎関 数法を用いて、金属、金属酸化物、ゼオライト固体表面上の電子状態の数原子か ら数十原子からなるクラスタ−モデル計算が行われている。しかしメタン等の選 択酸化反応や光触媒についてのデータはほとんどない。 (2)触媒物質による原子オーダーの表面・薄膜作製 計算機を利用したシミュレーションに基づいて設計されたモデル触媒を作製

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するために薄膜技術を利用しようという新しい研究の流れがある。薄膜の作製技 術は、有機金属化合物を利用した固定化法やアルコキシド法などの化学的方法 (CVD)と、半導体デバイス等のエレクトロニクスの分野で急速に進歩した熱 蒸着、スパッタ、イオンブレーティングなどの物理的方法(PVD)がある。こ れらの技術によって調製した薄膜の構造や電子状態の研究などは主として酸化 物高温超伝導体の薄膜化や化合物半導体などの分野の基礎研究として行われて きた。近年、Mo 単結晶表面上での MgO 薄膜、Ni,NiO 単結晶上の Cr2O3等の

薄膜が作製されるようになったが、触媒のように多種類の金属元素を含んだ多元 系の薄膜が調製できたとの報告は見当たらない。 (3)In-situ での反応素過程解析 メタン選択酸化反応系においてメタンの吸着、酸化および分解の理論的研究につ いては、単純 金属(Pt,Ni,Au,Fe,Ti,Cr,Co など)あるいは金属酸化物(MoO 3)について行った研究例はあるが、メタンの吸着と分解のみにとどまり、メタノ −ルやホルムアルデヒドの生成までを扱った量子化学計算例はない。それは、多く の反応生成物に対応して、触媒上で多くの反応中間体、反応経路が存在するために モデル化が困難であることに基因している。 (4)触媒表面特性の総合的解析評価の研究 well-defined な表面として,単結晶のような構造的な周期秩序をもつ表面を用 いての研究がこ こ 20 年位の間に行われ始めている。しかしその研究対象となるモ デル表面としては金属が圧倒的 に多く固体触媒の研究に必要な酸化物を対象とし たものはほとんどない。金属であっても元素が 1種類の 1 元系触媒での研究報告 が多く、多種類の金属原子を含む多元系については,ほとんど 報告されていない。 また、構造評価については,XAFS,STM,AFM,や CAISISS 等高性能表面解 析装置や、分光装置 (EELS, IRAS, SFG, XPS 等)の開発に伴い、原子レベル での表面構造解析が可能になったが、これらの分析は高真空下で行う必要があるた めに、その手法をそのまま触媒系に適用することはで きない。そのために、上記 機器を用いて触媒表面特性を評価するためには対象とする触媒反応の 測定条件に 適した装置設計、改造、及び測定手法等の検討が必要となる。 以下に表面反応解析研究の現状をモデル触媒別に列記するが、複合酸化物表面な どの複雑な表面を用いた研究報告は見当たらない。 ①クラスターを前駆体として用いたモデル触媒 単結晶粉末触媒系 日本 :(VO)2(P2O7)上での n-ブタンの選択酸化反応の反応機構,) 欧米諸国:BiMoOx 上でのプロペンの部分酸化反応, USb3O や FeSbO上でのアンモニア酸化反応機構 担持触媒系は対象物質は金属がほとんど 日本 : 酸化物モデル触媒上での表面反応のダイナミクスに関する研究

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欧米諸国:Mo 酸化物系触媒,Nb 系酸化物触媒 ②単結晶触媒 欧米諸国:ZnO,NiO,CuO など,高反応活性表面でのガス吸着特性,反応 特性, MgO,TiO2表面を用いた酸塩基反応の解析 日本:MgO, TiO2を用いた研究 ③薄膜触媒 欧米諸国:金属表面上の酸化物薄膜の構造評価や電子状態変化の検討 酸化物高温超伝導体の薄膜化や化合物半導体などの分野の基礎研 究 米国:薄膜モデル触媒の調製 10∼20 原子層の酸化物薄膜の IRAS や HREELS による表面吸着種の 状態の測定 日本:報告は見当たらない。 2.4.3 光触媒の研究開発動向光触媒の研究開発動向 光触媒の研究開発動向光触媒の研究開発動向 (1)水分解水素製造用光触媒の研究 光触媒による水分解の現象は、1972年、本多・藤嶋により酸化チタン(TiO 2)極から酸素が、白金(Pt)対極から水素が発生する水の光分解現象が発見され たのに端を発し、その後、貴金属を担持した金属酸化物、無機層状化合物、重金属 塩等半導体光触媒が見いだされ広く研究されている。 一方、水分解光触媒研究開発を行っている機関及び研究報告は海外、国内共に非 常に少ないが、主として金属酸化物半導体(層状化合物を含む)を対象として研究 されている。研究開発の遅れている原因としては、光触媒の研究の歴史が浅いこと、 及び半導体光触媒によって水の完全分解が起こるため必要な条件(下記)を備えて いる半導体が少ないこと等を挙げることができる。(図 2.4.1,図 2.4.2 参照) ①バンドギャップが水の電解電圧(理論値 1.23eV)より大きいこと、 ②伝導帯の下端が水からの水素発生電位よりマイナス側に、価電子帯の上端が酸 素発生電位よりプラス側にあること、 ③水中で光溶解しないこと、 ④水素と酸素が 2:1 のモル比で生成(水の完全分解)すること。 さらに太陽エネルギーの効率的利用のためには可視光応答性光触媒が必要で あるが、これまでに研究された光触媒のほとんどが紫外線領域波長応答性半導体 であり、可視光応答性半導体は未開発である。

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光エネルギ- 光エネルギ- 光エネルギ- 光エネルギ-(hν) + 水 水水 水 半導体光触媒 光触媒

e

-h+ 価電子帯 価電子帯 価電子帯 価電子帯 伝導帯 伝導帯伝導帯 伝導帯

e

-

e-e

-H+/H2

e

-

O2 / 水素発生水素発生水素発生水素発生 化学エネルギ- 化学エネルギ- 化学エネルギ- 化学エネルギ- エネルギ-変換システム エネルギ-変換システム エネルギ-変換システム エネルギ-変換システム 光励起 2 1 11 1 H2O H2 O2 H20 図 2.4.1 半導体光触媒上での水分解反応モデル 図 図 図 図2222 ーーーー4444    半 半半半 導導体導導体 の体体のののバババ ンバンンンドドドド 構構造構構造造造 ととと水と水水水 ののの光の光 分光光分分解分解解解 のの関のの関関 係関係係係 O2/H2O 価電子帯の上端 伝導帯の下端 電位(対標準 水 素電極電位) -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 V G aP 2. 2e V ZrO2 5. 0e V Si 1. 1e V K TaO3 3. 4eV C dSe 1. 7e V H2/H2O TiO2 3. 0 eV N b2O5 3. 4eV ZnO 3. 2e V Fe2O3 2. 2e V W O3 2. 5eV SnO2 3. 5e V SrT iO3 3. 2e V C dO 2. 1 e V SiC 3. 0eV M oS2 1 .2eV G aA s 1. 4e V C dS 2. 5e V 図 2.4.2

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(2)紫外線領域(波長 400nm 以下)の光による水分解反応 いくつかの半導体触媒について、金属を担持し、懸濁状態において水の分解 反応が進行することが報告されているが、成功例として認められるものは数少 ない。水の光分解反応の研究においてはわが国の研究が世界の先導的役割を果 たしていることが伺える。 1980 年 佐藤ら Pt/TiO2触媒表面をアルカリで被覆 水素:酸素が 2:1 のモル 比で生成 1980 年 堂免ら SrTiO3に代表される層状ぺロブスカイト型複合酸化物、 1990 年 井上ら BaTi4O9、M2TinO2n+1タイプのトンネル構造を持つ酸化物 触媒 この中で水素生成量の高い触媒系は、佐藤らの特殊な反応条件を用いた酸化チタン 系及び堂免らのニオブ酸カリウムに代表される層状化合物である。これらの触媒は、 逆反応(生成した水素及び酸素が水に戻る反応)の防止という観点から設計された 系である。例えば、ニオブ酸カリウムの構造には二種類の層間(層間Ⅰ、層間Ⅱ) が存在し、水分解反応に際し発生サイトがニオブ酸の層により分離され、生成サイ トのコントロールと逆反応の防止がなされて高い触媒活性を発現するものと考え られている. (3)可視光応答性触媒 可視光応答性触媒の研究例としてはポルフィリンや金属錯体があり、特に金属錯 体については CO2の還元反応についての研究、 Gratzel らによる Ru 錯体と TiO2 の組み合わせによる可視光領域の光エネルギーの電気エネルギーへの変換の研究 がある。しかしながら、プロジェクト発足時までには水の完全分解可能な可視光に 応答する触媒は開発されていない。光触媒の研究の多くは海外、国内共に、大気の 浄化、上水・下水浄化などの環境浄化に関するものであるが、多数の企業がこの分 野に参入しており、光触媒への関心は年々高まりを見せている。 2.4.4 選択酸化触媒の研究開発動向選択酸化触媒の研究開発動向 選択酸化触媒の研究開発動向選択酸化触媒の研究開発動向 選択酸化触媒はブタン(C4)からマレイン酸のプロセスが工業化されてお り、C2,C3についても多くの研究が企業、大学等で実行されている。メタン (C1)は米国では大学を中心に、欧州ではジュールプロジェクトとして研究さ れている。これまで多くの研究開発が試みられたが、メタンの活性の低さから有 効な結果は得られていない。 (1)天然ガスからの合成ガス製造技術 合成ガス(CO+H2)からは非常に多くの化成品が合成可能であり(C1 化学体

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系)、合成ガス製造は天然ガス利用の重要な技術となっている。現状技術を列 挙する。 a)スチームリフォーミング反応 CH4 + H2O → CO + 3H2 ΔH=206kJ/mol(吸熱反応) CH4 + 2H2O → CO2 + 4H2 ΔH=165kJ/mol(吸熱反応) 触媒:Ni /Al2O3触媒、 既に工業的に実用化されている(20∼40 気圧、730∼860℃)。 通常の改質プロセスでは炭素析出を避ける目的でメタンに対して過剰の 水蒸気を用いるため、CO、H2以外に CO2も生成する。 b)CO2リフォーミング反応 CH4 + CO2 → 2CO + 2H2 ΔH=247kJ/mol(吸熱反応) 研究開発中である。Rh 系触媒等が検討されている。 c)部分酸化反応(研究開発段階) CH4 + 1/2O2 → CO + 2H2 ΔH=-35.5kJ/mol(発熱反応) (2)メタンの酸化カップリング反応による C2 炭化水素合成 2CH4 + 1/2O2 → C2H6 + H2O ΔH=-177 kJ/mol(発熱反応) 2CH4 + O2 → C2H4 + 2H2O ΔH=-282 kJ/mol(発熱反応) 代表的触媒: Li/MgO 収率 20%程度で実用化レベルの 30%に達していない。 (3)メタノール合成 a)現状プロセス(天然ガスから合成ガスを経てメタノールを合成する2段法) 一段目:メタンスチームリフォーミング反応 CH4 + H2O → CO + 3H2 ΔH=206kJ/mol(吸熱反応) CH4 + 2H2O → CO2 + 4H2 ΔH=165kJ/mol(吸熱反応) 触媒:Ni/Al2O3触媒 反応条件:20∼40 気圧,730∼860℃ 二段目:CO + 2H2 → CH3OH ΔH=-90.7kJ/mol(発熱反応) 触媒:Cu/ZnO/Al2O3 反応条件:50∼100 気圧、250℃ b)メタンの選択酸化によるメタノール合成(研究開発段階,本プロジェクト の対象) 一段反応:CH4 + 1/2O2 → CH3OH ΔH=-128kJ/mol(発熱反応) (4)炭化水素の選択酸化触媒 既に実用化されている選択酸化プロセスと触媒の例を表 2.4 に示す。実用

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化されているのは n-ブタンからの無水マレイン酸合成のみであり、C3 以下の アルカンを原料とする合成は実用化に至っていない。なお、液層均一触媒を用 いる場合は、触媒に酢酸コバルトを用い、n−ブタンまたはナフサからの酢酸 等を合成するプロセスが知られている。 (5)メタンからのメタノール等合成の現状 (研究報告例を表 2.5 に示す。) ・酸化剤として N2O を用いた方法が報告されている。メタノールプラント の他にアンモニア硝酸、硝酸塩製造の 3 種類の設備が必要になるため実用化 は困難。 ・Fe-sodalite 触媒で酸素を酸化剤として用いる方法(1991 年) メタノールが 4%の収率で合成できると報告されたが、反応条件が高圧(54 気圧)であることが難点(1994 年にこのデータに対し否定的な報告がなされ た) (技術的問題点) ・酸素を酸化剤として常圧で触媒酸化を行う場合、主生成物はホルムアル デヒドであり、メタノールは極微量しか得られない。 ・再現性が得られていない。 ・メタン転化率を上げると選択率が急激に低下する。 ・収率が同じでも原料ガスの供給速度が異なれば生成物の単位時間当たり の収量(空時収率;STY)は異なる。 ・液相酸化はメタンよりも安定でメタンを溶解する溶媒が無いため現状で は不可能。 ・C2,C3 アルカンの選択酸化についても一段化による省エネ効果が得られ るため研究開発が進められているが、実用化レベルには達していない。 表 2.4 工業プロセスにおいて使われている選択酸化触媒 原料 原料名 炭素数 種類 生成物 触媒 エチレン プロピレン イソブテン n-ブタン ベンゼン o-キシレン ナフタレン メタノール アクロレイン メタクロレイン C2 C3 C4 C4 C6 C8 C10 C1 C3 C4 オレフィン オレフィン オレフィン アルカン 芳香族 芳香族 芳香族 含酸素 含酸素 含酸素 エチレンオキシド アクロレイン メタクロレイン 無水マレイン酸 無水マレイン酸 無水フタル酸 無水フタル酸 ホルムアルデヒド アクリル酸 メタクリル酸 Ag-添加物/担体 多元系 Mo-Bi-O 多元系 Mo-Bi-O V-P-O-添加物 V-Mo-O-添加物 V2O5-添加物 V2O5-添加物 Mo-Fe-O 多元系 Mo-V-O 多元系 Mo-V-P-O

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表 2.5 メタンからのメタノール合成例 グループ 代表者 国 年 触媒 酸化剤 圧力 (気圧) 温度 (℃) CH4 転化率 (%) MeOH 選択率 (%) MeOH 収率 (%) Tsai Tsai Lunsford Somorjai Somorjai Sun Company オーストラリア オーストラリア USA USA USA USA 1985 1987 1982 1985 1985 1991 H-ZSM5 Cu- FeZSM5 MoO3/SiO2 V2O5/SiO2 MoO/SiO Fe-sodalite N2O N2O N2O N2O N2O O2 1 1 1 1 1 54 360 342 600 500 590 442 0.2 1.5 16 0.8 2.6 6.1 3.6 38 47 29 16 64 0.006 0.6 7.7 0.2 0.4 3.9

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3.

事業の目標

事業の目標

事業の目標

事業の目標

3.1 事業全体の目標事業全体の目標事業全体の目標事業全体の目標 地球温暖化の対策としてクリーンエネルギーの獲得、二酸化炭素排出量の削減を 可能にする触媒の確立をめざし、その実用化への道筋を明確にする。具体的に次の ような目標を設定している。 3.2 研究開発項目毎の目標研究開発項目毎の目標研究開発項目毎の目標研究開発項目毎の目標 3.2.1 新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究 新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究 環境調和型触媒の探索・設計に資する共通基盤的な基礎技術を確立する。具体的 には計算化学・表面科学・薄膜技術等を利用した触媒反応素過程の解明、表面状態 の解析等の基礎研究を行い、新規触媒の原子・分子レベル設計の指針を与え得る技 術体系を選択酸化触媒、光触媒を対象として構築する。 3.2.2 新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発 新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発 1.光触媒 太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する光触媒を用いて、太陽光で水を 効率よく分解し、定常的に水素を生成する技術を確立する。太陽光エネルギー変 換効率として1%程度を目指す。 2.選択酸化触媒 高温(850℃)、高圧(数10気圧以上)工程を含む2段または3段の反応 を必要とする。メタノール、ホルムアルデヒドの製造プロセスを、外部加熱を必 要とせず10気圧以下の1段プロセスへと転換するための基礎技術体系の確立 を目指す。

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4.

事業の計画内容

事業の計画内容

事業の計画内容

事業の計画内容

4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容事業全体、個別研究開発項目の計画内容事業全体、個別研究開発項目の計画内容事業全体、個別研究開発項目の計画内容 事業の目標を達成するために、以下の研究開発を行う。(図 4.1.1 参照) 4.1.1 新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究 触媒開発の共通基盤技術となる触媒の設計・特性評価に関する下記の基礎研究 を行う。 ①グラフィックスモデルの作成 ②反応素過程解析用触媒サンプルの作製及び特性評価 ③固体表面特性の総合的解析評価 ④モデル触媒の設計・作製 (図 4.1.2 参照) 4.1.2 新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発 ①光触媒の研究開発 太陽光を有効に利用するため紫外線のみならず可視光線によっても水を高 効率で分解し、水素を製造する光触媒の開発に向けて下記を実行する。 (a)光応答性物質の開発 (b)新規光触媒の開発 (図 4.1.3、図 4.1.4 参照) 図 4.1.3 光触媒開発研究 RITE ・既製の光応答 半導体膜 ・水素/酸素発生触 媒膜 ・酸化保護膜 RITE RITE ・触媒 調製 堂免研究室 ミクロ構造 粒子型 RITE ・水素 合成法 安保研究室 酸化チタン ドーピング ・イオン注入法 RITE ・評価 FSEC ・光応答半導体膜 ・評価 RITE ・水素/酸素 発生触媒 非公式研究 協力先

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②選択酸化触媒の研究開発 メタン等の炭化水素をマイルドな条件でメタノール、ホルムアルデヒド等 の含酸素化合物に高選択的に変換する新規高性能触媒の開発に向けて下記 を実行する。 (a)高性能触媒の開発 (b)選択酸化反応機構の研究 (c)触媒反応システム技術の設計 (図 4.1.5、図 4.1.6 参照) 4.1.3 中間評価提言及び前半の研究で得られた情報に基づき下記内容を追加中間評価提言及び前半の研究で得られた情報に基づき下記内容を追加中間評価提言及び前半の研究で得られた情報に基づき下記内容を追加中間評価提言及び前半の研究で得られた情報に基づき下記内容を追加 ①光触媒の研究開発 可視光利用をめざし下記を実行する。 (a)2槽式水分解システムの開発 (b)薄膜光触媒の開発 ②再委託研究の活用 中間評価提言「大学等への再委託等を積極的に検討することが必要」に基づ き、研究速度向上のため研究再委託を実施する。 4.2 研究開発項目毎の内容の詳細研究開発項目毎の内容の詳細研究開発項目毎の内容の詳細研究開発項目毎の内容の詳細 4.2.1 新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究新規触媒の基礎研究 温室効果ガスの発生抑制、固定化技術等の各分野において必要な新たな触媒 の探索・開発・特性評価のための共通基盤技術となる基礎研究を行う。 (a)グラフィックスモデルの作成 RITE ・連鎖反応促進 ・反応器最適化 辰巳研究室  ・反応条件 ・触媒調製 RITE ・触媒構造  解析等 Hutchings研究室 ・両タイプ触媒の  組合わせ方法 ・反応器構造最適化 ・計算化学 RITE ・選択的連鎖 反応促進 ・紫外線に よるinitation ・水蒸気添加効果 RITE ・選択的連鎖 反応促進 ・紫外線に よるinitation ・水蒸気添加効果 RITE ・計算化学 ・表面解析 ・不活性ガス   添加効果  水野研究室 ・酸素濃度   の影響 Fierro研究室 ・固体触 媒作用 RITE 図 4.1.5 選択酸化触媒開発研究

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太陽光の利用、炭素資源の有効利用等の新規触媒開発のベースとなる複合 酸化物触媒について、構造と活性、選択性、劣化及び寿命等との関係をコン ピュータシミュレーション・グラフィックスを用いてモデル化するための研 究を行う。 さらに各種計算手法の利用によりモデルの妥当性確認及び設計指針の効 率化を図る。 (b)反応素過程解析用触媒サンプルの作製及び特性評価 高活性、高選択性の基本となる因子解明のためにスパッタ装置等による薄 膜サンプルを作製し、吸着、反応、拡散、脱離の各素過程における触媒特性 の解析を行う。 (c)固体表面特性の総合的解析評価 実際の反応に近い条件下で反応素過程の解析を行うことによって、複合酸 化物表面の微細構造、原子配置、電子状態を明らかにし、触媒設計を行うた めの基盤を作る。 (d)モデル触媒の設計・作製 触媒反応素過程のコンピュータ・グラフィックスモデルに基づいて高活性、 高選択性触媒のモデル触媒を設計・作製する。 4.2.2 新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発新規触媒の研究開発 1.光触媒の研究開発 太陽光を有効に利用するため紫外線のみならず可視光線によっても水を高 効率で分解し、水素を製造する光触媒の開発を行う。下記を総合して太陽光エ ネルギー利用効率1%以上での水分解水素生産を実現させる。太陽光エネルギ ー利用効率1%は植物とほぼ同じレベルである。 (a)光応答性物質の開発 半導体を中心に物質探索と触媒調製を行い、調製法・構造・物性と反応 性との関係を明らかにして、高感度光応答性物質を開発する。 (b)新規光触媒の開発 光応答性物質に各種金属元素、あるいは可視光増感剤による修飾を施し、 太陽光に応答し、高効率で水を分解し、水素を発生する最適触媒を開発す る。 (c)2槽式水分解システムの開発 紫外線よりエネルギーの小さい可視光を利用できる2種類の光触媒を 組み合わせて、水分解に要する高エネルギーを発生させる方式を開発す る。 (d)薄膜光触媒の開発 粉体触媒と比べて製造コストは格段に高いが、逆反応防止、電荷分離

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等の点で原理的に光エネルギー利用効率を高くしやすい薄膜型光触媒 を開発する。 2.選択酸化触媒の研究開発 下記を総合して外部加熱を必要とせず10気圧以下の1段プロセスでメタ ン等の炭化水素をマイルドな条件でメタノール、ホルムアルデヒド等の含酸 素化合物に転換するための触媒基礎技術体系の確立を目指す。 中間評価以後は、実現時の波及効果の大きいメタンのメタノールへの選択 酸化に重点を置き、下記の数値目標を設定した。 メタノール·ホルムアルデヒド選択率:80%、空時収率:360g-生成物 /kg-触媒 (a)高性能触媒の開発 触媒物質を探索・試作し、その組成・微細構造・表面科学的特性と触媒 特性との関係を解明し、高性能選択酸化触媒を開発する。 (b)選択酸化反応機構の研究 炭化水素の選択酸化反応のメカニズムを研究することによって、触媒活 性サイト、反応分子の状態等を解明し、触媒設計指針に必要な要素を抽出 する。 (c)触媒反応システム技術の設計 開発した触媒による選択酸化反応システムの設計・評価を行う。 4.3 研究開発実施主体の体制(図研究開発実施主体の体制(図研究開発実施主体の体制(図研究開発実施主体の体制(図 4.3.14.3.14.3.1 参照)4.3.1 参照)参照)参照) 本プロジェクトは、通商産業省から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(N EDO)に補助金を交付し、新エネルギー・産業技術総合開発機構より、(財) 地球環境産業技術研究機構(RITE)に委託研究を行った。 また、産業技術総合研究所関西センターとの共同研究を実施するとともに、同 所からの研究員派遣が行われた。さらに研究開発協力企業から研究員派遣がなさ れた。中間評価提言に基づき内外の研究機関へRITEの研究を補完する内容の 研究再委託を実施した。 プロジェクトの効率的運営、研究成果に対する評価を外部専門家から構成されてい る評価委員会組織によって行った。

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評価委員会構成メンバー 委員長 乾 智行 (京都大学 名誉教授) 委員 御園生 誠 (東京大学 名誉教授) 竹平 勝臣 (広島大学 教授) 指宿 堯嗣 (資源環境技術総合研究所 部長) 水上 冨士夫 (物質工学工業技術研究所 部長) 岩本 正和 (北海道大学 教授、触媒化学研究センター長) オブザーバ 春田 正毅 大阪工業技術研究所 エネルギー環境材料部 部長) 評価委員会の役割 プロジェクトの年次計画、進捗状況等について討議し、研究開発遂行に関す る指導を行う。年間2∼3回開催

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2.管理体制 研 究 所 研 究 企 画 部 環境触媒研究室 理 事 会 事 務 局 総 務 部 総務課 経 理 課 管 理 課 研究業務課 研究調査課 研究支援課 先導研究調査室 地球環境産業技術研究所 所 長 副 所 長 主席研究員 光触媒研究G 選択酸化触媒研究G 評価委員会 共同研究 再委託 産業技術総合研究所 関 西 セ ン タ ー 東京工業大学 大阪府立大学 横浜国立大学 フロリダ中央大学 カーディフ大学 触媒石油化学研究所 豊橋技術科学大学 産業技術総合研究所 薄膜シリコン系太陽 電池研究開発ラボ 環境触媒研究室 共同研究 通商産業省 新エネルギー・産業技術総合開発機構 図 4.3.1 研究開発実施主体の体制

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5.

実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ)

実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ)

実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ)

実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ)

5.1 成果の実用化可能性成果の実用化可能性成果の実用化可能性成果の実用化可能性 5.1.1 光触媒光触媒 光触媒光触媒 薄膜光触媒により約3%の変換効率で水素は発生したが、実用化の可能性を明確 にするために、変換効率 10%として RITE 型薄膜光触媒による水分解水素生産のフ ィージビリティスタディを行った結果を、下記の表 5.1.1 にまとめた。 水素生産に伴う CO2エミッションを現行法との比較で 90%削減できる。よって、 地球温暖化抑制の効果は大きい。しかし、大規模生産では現行の化石燃料改質法の 水素生産コストがスケールメリットにより安くなり、薄膜型光触媒水素生産はコス ト競争力がない。インフラストラクチャーが貧弱なために化石燃料改質プラントの 設置と操業が困難な立地、例えば山上、孤島、船舶上、僻地等、での小規模分散型 水素生産では薄膜光触媒が実用化される可能性がある。表 5.1.1 では大規模生産で コスト比較しているが、小規模自立分散型にスケールダウンする場合、改質反応設 備のような化学プラントの設備投資額はスケールの 0.6 乗でしか減少しないこと、 一方光触媒水素生産では設備投資額がほぼスケールに比例して減少することから、 50Nm3/day 以下の小規模自立分散型ではコストでも光触媒水素生産が化石燃料の改 質より有利になる可能性がある。 表 5.1.1 フィージビリティスタディ結果の一例、 天然ガス改質 (現行技術) 太陽光発電+ 水電気分解*3 薄膜光触媒 (太陽光エネル ギ ー 変 換 効 率 10%) 備 考 CO2エミッション (kg-CO2/Nm3水素) 1.6 0.27 0.14 現行技術比で 91% 削減 水素製造コスト (円/Nm3水素) 生 産 量 25000Nm3/day 17.6 94 115 水素製造コスト (円/Nm3水素) 生産量 50Nm3/day 103*1+α 115*2 *1 設備建設費ス ケールダウンに 0.6 乗則を適用。αはボ イラー設備の償却費 *2 設備建設費は 生産量に比例と想定 *3 太陽光発電+水電気分解と薄膜型光触媒の優劣は用途と使い勝手のバランスによりケースバ イケースとなると推定する。 また変換効率が 15%のケースでは76円/Nm3 となり、この価格は、NEDO において

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実施されている水素ステーションモデルの目標水素価格、70 円/Nm3(水電解タイ プ)、40 円/Nm3(天然ガス改質タイプ)と比較してもかけ離れた数字ではない。 さらに、小規模な分散型として一般家庭の使用エネルギーの消費量の一部を燃料電 池でまかなうと考えて試算を行った。一般家庭の屋根に設置した光触媒水素製造設 備で水素を製造する。 通常一般家庭用程度で考えられている 3kW 程度の架台設置型太陽電池システムの 目標製造原価 210 円/W を参考にすれば、3kW の設備で 630,000 円程度となる。光触 媒水素製造の設備価格をこの太陽電池システムと同程度と仮定する。この設備にお ける受光面積を 20m2とすれば、1 日当たり製造できる水素は、それぞれ太陽エネル ギー変換効率で 5%:1.12Nm3、 10%:2.24Nm3、 20%:4.48Nm3 となる。 設備稼働日数を 330 日/年、償却 20 年で計算すると水素価格は 10%の太陽エネルギー変換効率の場合、 660,000/(2.24 × 330 × 20) = 44.6 円/Nm3・H 2 逆に、このシステムが成立するための目標とすべき設備価格はどの程度と予測され るかを求めれば、表 5.1.2 のようになる。 表 5.1.2 目標水素コストに対する設備コスト試算(単位 円) エネルギー 変換効率 目標水素価格(円/Nm3 5% 10% 20% 40 円 280,000 590,000 1,180,000 70 円 515,000 1,030,000 2,060,000 受光面積:20m2 このように,20%の変換効率を達成すれば、水素価格 70 円に対しては、200 万円程 度の設備コストを懸けても良いことになる。 5.1.2 5.1.2 5.1.2 5.1.2 選択酸化触媒選択酸化触媒選択酸化触媒 選択酸化触媒 微量NOXを触媒あるいは活性化剤とするメタン気相選択酸化技術のフィージビ リティスタディを行い、現行のプロセスに比較し建設費、年間収益共にメリットが あり、CO2の量もわずかだが削減できることが判った。結果を下記に示す。 前提条件 1.海外立地 2.反応収率:最高収率の確保(CH4/O2=10 でのスケールアップ時)

表  2.5    メタンからのメタノール合成例    グループ    代表者      国    年        触媒  酸化剤    圧力  (気圧)  温度(℃)   CH4  転化率    (%)  MeOH 選択率   (%)  MeOH  収率   (%)      Tsai      Tsai  Lunsford  Somorjai  Somorjai    Sun  Company  オーストラリア オーストラリア USA USA USA USA  1985 1987 1982 198
表 8.1.1  作製した多層薄膜光触媒モジュールによる水分解時の諸特性  モジュール面積  0.25 cm 2 太陽電池部変換効率 4.0 %  H 2 生成効率  2.8 %  生成水素量  10.8 µmol/h  生成酸素量  3.7 µmol/h  電解電圧  1.76 V  電解電流  2.26 mA/cm 2       2  選択酸化触媒の研究開発          メタン等低級アルカンを外部加熱を必要としない 1 段プロセスでメタノ ール・ホルムアルデヒド等有用含酸素化合物へ転換するための
図 5.2.2.4 Selectivity variation at the level of 10% CH 4  conversion as a function of space velocity (SV)  with CH 4  (55.6%) + O 2 (27.7%) +NO 2 (0.5%) in He (balance)
図 5.2.2.2 Selectivity variation as a function of NO
+2

参照

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