質量分析イメージング法の食品科学分野への応用
山田周平a)・須見友子a)・財満信宏a,b)・森山達哉a,b)
a) 近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻 b) 近畿大学アグリ技術革新研究所
Principle of mass spectrometry imaging and application to food science
Shuhei Yamadaa), Tomoko Sumia), Nobuhiro Zaimaa,b) and Tatsuya Moriyamaa,b)
a) Department of Applied biological Chemistry, Graduate School of Agriculture, Kindai University, 3327-204 Nakamachi, Nara 631-8505, Japan
b) Agricultural Technology and Innovation Resarch Institute, Kindai University, 3327-204 Nakamachi, Nara 631-8505, Japan
Synopsis
In food science research, it is important to determine the distribution of target molecules in the living body, such as dynamics of functional food ingredients and metabolite dynamics. However, it is difficult to determine the distribution of molecules in samples using conventional mass spectrometry.
Matrix assisted laser desorption/ionization mass spectrometry imaging (MALDI-MSI) is a recently developed imaging technique based on the data obtained from two dimensional MALDI-MS. MALDI- MSI reveals the distribution of molecules that were previously difficult to visualize, such as proteins, lipids, sugar, metabolites, drugs, and pesticides. It has been reported that some of these molecules distribute characteristically in biological tissues. It is important to optimize the methods used to detect molecules of interest in specific tissue sections. In this review, we also summarized the principal and basic protocol of MALDI-MSI and its applications in food science.
Keywords: imaging, MALDI-MSI, phospholipid, anthocyanin, triglyceride, EPA
1. はじめに
質 量 分 析 イ メ ー ジ ン グ 法 (mass spectrometry imaging; MSI)とは、組織を破砕、
抽出せずに、組織切片上で直接に質量分析 を行うことで、興味ある分子の組織切片上 での分布を可視化する方法である。開発当 初はタンパク質の分布の可視化が主な応用 例であったが、技術の進展につれ低分子代 謝物までも可視化することが可能になり、
応用される研究分野が急速に拡大した。近 年では、食品科学分野における研究の報告 例も増加しつつある。本総説では、現在の食 品科学分野で主に用いられているMSIの一 つ で あ る matrix assisted laser desorption/ionization (MALDI)-MSIの応用例 を紹介する。
2. MALDI
MALDIは、タンパク質などの高分子から
低分子代謝物まで幅広い分子領域の質量分 析に適応することができ、現在報告されて いるMSI関連の論文の中では最も一般的に 用いられている。具体的にはマトリックス と呼ばれるイオン化助剤と、解析対象試料 の混合結晶を形成させ、これにパルスレー ザーを照射し、試料中の分子をイオン化す る。イオン化された分子は質量電荷比 (m/z) に応じて分離が行われる。例えば time of flight (TOF)型では、加速電圧によって加速 されたイオンが検出器に到達する時間(飛 行時間)を計測することにより、m/z を測定 する。
3. MALDI-MSIのプロトコール
MALDI-MSIの最初の研究は、Caprioliら によって1997年に報告された1)。この研究 は、ヒト頬粘膜細胞の集合体における IB-1 タンパク質断片及び、ラットすい臓切片に おけるインスリンの分布に関する報告であ った。質量分析技術に基づいたイメージン グができることを示したこの報告を機に、
解析ソフトウェア及び方法論、解析機器な どの技術が急速に発展し、現在も、様々な分 子を可視化するために必要な手法が報告さ れ続けている。
MALDI-MSI における基本的な実験手順
は以下のように分けられる(図1)。具体的に は、試料採取、凍結、切片作成、マトリック ス塗布、レーザーを解析対象領域に照射、得 られたデータに基づいたイメージング、で ある。画像作成はイメージング専用のソフ トウェアを用いる。このソフトウェアは、測 定した場所ごとのマススペクトルを解析で きる機能があり、任意の m/z を指定し、そ れぞれの測定点における検出強度に応じて 色の濃淡をつけることにより、目的分子が 検出される場所と存在量の情報を得ること ができる。MALDI-MSIのそれぞれの実験手 順は測定対象とする試料や分子によって最 適化する必要がある。本章では、MALDI- MSIに用いられる一般的な手法を示す。
3-1 試料調製
試料の品質は解析結果に大きな影響を及 ぼすため、試料採取方法ならびに保存方法 には注意が必要である。試料は採取直後に ドライアイスや液体窒素などを用いて急速 凍結を行い、-80°Cの環境下で保存すること
が望ましい。適切な条件下においては数週 間から数か月程度、試料を保管することが できる。液体窒素を用いる場合は、アルミホ イル製の容器などの上に試料を置き、容器 に乗った状態の試料を凍結する。これは直 接液体窒素に浸漬した場合、発生する気泡 が急速凍結を妨げ、試料中の微細構造を損 傷する可能性が指摘されているためである。
微細構造を正確に保持した組織切片を作成 するために、試料をホルマリンなどで固定 することが一般的であるが、固定剤によっ てイオン化効率が低下することが多いため、
MALDI-MSI(特に低分子代謝物の測定)にお
いては未固定の試料を用いることが望まし い。切片作成が困難な場合などは包埋する 必要があり、試料に応じて、carboxymethyl cellulose (CMC)、Optimal cutting temperature
(OCT)コンパウンド、寒天などが使用される。
しかしながら、包埋剤自体がイオン化を抑 制することがあるため、試料に応じて目的 分子の検出を妨げない素材を選択する必要 がある。
3-2 切片作成
組織切片の厚さがイオン化に影響するこ とが報告されているため 3)、組織切片は、
5~20μmの範囲で作成されることが多い。質
量分析時にサンプルステージに電圧がかけ られる装置を使用する場合、切片を作成す るスライドガラスはindium tin oxide (ITO)コ ートされた導電性のものを用いる必要があ る。現在は、スライドガラスへの組織切片の 接着性を向上させるためにITOコートされ たスライドガラスに剥離防止剤を塗布した 製品も市販されている。骨やコメなど、切片 を作成することが困難な試料には粘着フィ 図1 MALDI-MSIの流れ
① 試料の採取と凍結、②切片作成、③マトリックス塗布、④レーザー照射、⑤マススペ クトルの取得、⑥分布情報の画像化 (文献2より一部修正のうえ引用)
ルムを使用する(川本法)4)。マトリックスを 塗布する際に有機溶媒が使用されることが 多いため、有機溶媒耐性のあるフィルムを 選択する必要がある。
3-3 組織切片の前処理(洗浄)
MSI は様々な分子が存在する組織切片上 で直接に質量分析を行うため、組織切片に 存在する分子が目的分子のイオン化を阻害 する場合がある。目的分子とイオン化阻害 分子の物性が異なっている場合、洗浄とよ ばれる作業で除去できることがある。例と して、クロロホルム、キシレンなどの有機溶 媒に組織切片を一定時間浸漬させることに よって脂質を除去することができる 5)。壊 れやすい組織切片には、繊維を含まない布 に溶媒を湿らせて使用する部分的洗浄法が 報告されている6)。この洗浄方法は、任意の 範囲を洗浄することができるため、洗浄し た領域と洗浄していない領域の同時比較も できる。
洗浄は組織上で不要な分子の除去を可能 にする一方、Enthalerらは、洗浄工程が試料 中に存在する分子の非特異的な減少を引き 起こすことを示した7)。そのため、洗浄後に 目的分子が除去されていないか確認する必 要がある。また、洗浄は MALDI-MSI に用 いた組織切片からマトリックスを除去する ためにも使用される。マトリックスを除去 することで、イメージング解析に用いた組 織切片そのものの組織染色や免疫染色が行 えるようになる。マトリックスは、メタノー ルやエタノールなどの有機溶媒を用いて除 去することができる。
3-4 マトリックス選択
正に帯電したイオンを検出する分析にお いて、代表的なマトリックスである 2,5- dihydroxybenzonic acid (DHB)は、アミノ酸、
糖、脂質、核酸、代謝物などの低分子に使用 さ れ る こ と が 多 く 8) 、 α-cyano-4- hydroxycinnamic acid (CHCA)はタンパク質 及びペプチドなどの高、中分子量分子に使 用される例が多い 9)。負に帯電したイオン を検出する分析においては 9-aminoacridine (9-AA)や 3-hydroxypicolinic acid (HPA)など が用いられる 10,11)。いずれも最初の選択肢 として用いられるマトリックスであり、目 的分子の明瞭なピークが観察されない場合 は適切なマトリックス選択の検討が必要に なる。
3-5 マトリックス塗布
最適なマトリックスを選択、調製した後 に、試料への塗布方法を検討する必要があ る。代表的な方法として、スプレー法が挙げ られる。スプレー法を手動で行う際はエア ブラシが用いられることが多い。エアブラ シは、短時間でマトリックスを塗布するこ とができ、組織の状態に応じた塗布方法の 修正も容易である。その一方で、再現性の良 い結晶の形成は操作する者の技量に依存す る。現在は、マトリックスの塗布を自動で行 うイメージング用スプレイヤーが市販され ている。装置を用いた場合、塗布終了まで時 間を要するが、再現性の高い結果を得るこ とができる。最近では、溶媒を使用せずマト リックスを蒸着させる手法なども考案され ている12)。
4. MALDI-MSIの応用
この章では、主に食品科学分野における 応用例を紹介する。
4-1 コメ胚乳中におけるリン脂質の可視化 リン脂質は生体膜の主要な構成成分のひ とつであり、リン脂質に結合する脂肪酸の 種類によって、多くの分子種が存在する。そ れぞれの分子種が組織のどこに存在してい るかを明確にすることは、それらの生物学 的な役割や食品科学的な意味などを明らか にするための重要な手がかりとなりうる。
我々はこれまでにコメ(コシヒカリ)の胚乳 に お い て 、 リ ゾ ホ ス フ ァ チ ジ ル コ リ ン (Lysophosphatidylcoline; LPC)が特徴的な分 布を示すことを見出した。LPC(16:0)は胚乳 全体、LPC(18:2)は胚乳腹側、LPC(18:1)は胚 乳背側、LPC(18:0)は胚乳中央部に分布し、
LPC に結合する脂肪酸に応じて胚乳内の分 布が異なっていた4) (図2,3)。我々は、日本
酒製造の観点からこの結果に興味を抱いて いる。日本酒はコメを主原料とした日本の 伝統的なアルコール飲料であり、吟醸香は 精米歩合によって大きく変化する。精米歩 合とは玄米に対する白米の重量の割合を指 す(精米歩合が低いほど削られるコメの領 域は増える)。例えば本醸造酒では70%以下、
大吟醸酒では 50%以下の精米歩合で製造さ れる。一般的には、コメの外層を削ること で、最終的に出来た日本酒の吟醸香は豊か になる。日本酒の香りの主要成分の一つで ある酢酸イソアミルは、アルコールアセチ ルトランスフェラーゼ(AATase)によって合 成される13)。不飽和脂肪酸はこのAATaseの 発現を阻害することにより、酢酸イソアミ ルの生成を抑制するため、不飽和脂肪酸の 量と日本酒の香味は関係が深いと考えられ ている。不飽和脂肪酸の多くはリン脂質 (phospholipid; PL) 、 ト リ グ リ セ リ ド (triglyceride; TG)、LPCに含まれるが、PLや
図2 LPC(16:0)の化学構造式とフラグメントデータ
TGはコメの外層(果皮や種皮など)に位置し
14,15)、精米の初期段階で取り除かれる。一方、
LPCは主に胚乳に存在するため14)、不飽和 脂肪酸を含有するLPC(18:2)と LPC(18:1)が 胚乳外側に分布することを示した MALDI- MSIの結果は、精米歩合が50%程度になる まで米を削ることにより日本酒の吟醸香が 増すという現象を説明することができるか もしれない。今後の研究の進展が期待され る。
4-2 マウス眼球内におけるアントシアニン 分子種の分布解析
アントシアニンは水溶性フラボノイド系色
素の 1つであり、ブルーベリーやビルベリ ー、赤シソやナスなどの野菜や果物に含ま れる 16)。高等植物に含まれる一般的なアン トシアニン分子種は、ペラルゴジニン、シア ニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチ ュニジン、マルビジンの 6種類が挙げられ る(図4)。これらの構造は、フラボノイドの B 環のヒドロキシ基やメトキシ基の数によ って変化する17)。
現在までにアントシアニンの機能性に関 する研究は数多く行われており、その特徴 的な機能として、視覚に及ぼす影響が注目 されている。Bastideらは、動物が物を見る ときに分解するロドプシンの再合成をアン 図3 コメ中のLPCのイメージング像
(a-d): m/z 496、m/z 520、m/z 522、m/z 524におけるLPCの分布像。 (e-h): m/z 496 (LPC(16:0))、
m/z 520 (LPC(18:2))、m/z 522(LPC(18:1))、m/z 524(LPC(18:0))に由来するプロダクトイオン であるm/z 184の分布像。 (i): 縦向きのコメ断面の光学像と、m/z 520、m/z 522、m/z 524 の分布を重ね合わせた像。(j): 横向きのコメ断面の光学像と、m/z 520、m/z 522、m/z 524 の分布を重ね合わせた像。(文献4より引用)
トシアニンが促進することを報告した18)。 これまでのアントシアニンの視覚機能に関 する報告は、視覚に関係する組織に対して アントシアニンが保護的な機能を有すると いうものであるが、眼球中及び付随する組 織におけるアントシアニンの分布に関する 報告はない。そこで、ビルベリー由来アント シアニンを投与したマウスの眼球を分析し た結果、アントシアニン分子種が眼球に付 随する筋組織に分布することが示された
19)(図5)。
物を見るという動作は網膜の働きの他に も外眼筋による働きも関係する。外眼筋は 主に眼球を上下左右に動かすために必要な 筋肉である。眼球の酷使が原因である眼精 疲労は1つの物を集中して見続けることで、
外眼筋が緊張し続け引き起こされると考え られている20)。カシス由来のアントシアニ ン分子種であるデルフィニジン-3-ルチノシ ドがウシ眼球中の毛様体筋の弛緩作用を促 すという研究結果が報告されている21)こと から、外眼筋に移行したアントシアニンが 筋肉の緊張時に弛緩効果を発揮し、眼精疲 労改善効果をもたらす可能性が考えられる。
ヒトを対象としたアントシアニンの眼精疲
労に対する評価試験においても、アントシ アニンを摂取した被験者の目の疲労感が軽 減したことが報告されており 22)、アントシ アニンが外眼筋に分布した発見が眼精疲労 改善効果のメカニズム解明の手掛かりにな る可能性がある。
4-3 マウス精巣中のエイコサペンタエン酸 (eicosapentaenoic acid; EPA)分布解析 テストステロンは主に男性の精巣間質にお けるライディッヒ細胞から分泌されるステ ロイドホルモンである。主な働きとして、生 殖組織の維持、精子形成及び筋肉量の増 加などが挙げられ 23)、テストステロンの代 謝異常は糖尿病やアテローム性硬化症、閉 塞型睡眠時無呼吸症候群などの疾患に関連 すると報告されている24-26)。
これまでの報告によりテストステロンレベ ルは食習慣に影響されることが示されてい る 26)。ヒトにおける研究では低脂肪・高繊 維食と比較して高脂肪・低繊維食を摂食し ている被験者の尿中のテストステロン排泄 が13%高いこと27)、またラットにおける研 究では魚油が食餌中のテストステロン合成 に影響を及ぼし、精巣を構成する細胞の細 図4 アントシアニンの化学構造式と対応するアントシアニン分子種の一覧
胞膜における脂肪酸組成を変化させること も報告されている28)。これらの報告は、食 物に含まれる脂質がテストステロン代謝に 影響を与えることを示唆している。しかし ながら、食物に含まれる脂質がテストステ ロン代謝を変動させるメカニズムは完全に は明らかになっていない。テストステロン 分泌の中心的な役割を担う精巣における脂 質の分布を明らかにすることで、代謝変動 メカニズムの一端を明らかにできると期待 される。
親の世代から n-3 系脂肪酸を除去して生育 させた生後二ヶ月のマウスに魚油を投与し た結果、魚油投与群の精巣中のテストステ ロンレベルは、対照群と比較して有意に高 値を示した29)。また、精巣における主要な ホスファチジルコリン(phosphatidylcholine;
PC)の割合の比較では、EPAを含有するPC
が対照群と比較して有意に高値を示し、精 巣間質において特徴的な分布を示した(図
6) 。 魚 油 に は ド コ サ ヘ キ サ エ ン 酸 (docosahexaenoic acid; DHA)も含まれるが、
DHA含有PCは、精巣間質では検出されな かった。これらのデータより、間質に存在す るライディッヒ細胞は優先的にEPAを取り 込む可能性が示唆された。
4-4 冠動脈におけるTG分布解析
心筋梗塞などの原因となるアテローム性動 脈 硬 化 は 、 コ レ ス テ ロ ー ル エ ス テ ル (cholesterol ester; CE)が内膜を中心に蓄積し、
血管内腔の狭窄をきたす30)。そのためコレ ステロール代謝を正常化することは動脈硬 化性疾患の主要な予防・治療標的となって いるが、我々は2008年にCE ではなくTG が異常蓄積する新たな動脈硬化病理像を重 症心不全患者冠動脈から発見した31)。 この患者は心筋にも TG が異常蓄積してい たため、新規疾患単位として、中性脂肪蓄積 心 筋 血 管 症 (Triglyceride deposit 図5 投与したアントシアニン分子種の分布
(A):眼球のHE染色像 (B): m/z 463の分布像。(文献19より一部修正のうえ引用)
cardiomyovasculopathy; TGCV)と名付けられ
た32)。遺伝子解析の結果、TGCVの原因は
油 滴 局 在 タ ン パ ク 質 で あ る adipose triglyceride lipase(ATGL)の先天的な遺伝子 変 異 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 33)。 TGCVの発見は、TGが単独で血管の狭窄に 関係する可能性を示すものであったため、
同様の病態がATGLの先天的な変異のない 症例においても観察されるかを評価するた めに、冠動脈中に存在する TG の分布を
MALDI-MSIで分析した。一般的なアテロー
ム性動脈硬化病巣において、CEはアテロー ム巣に観察された一方で、TGは殆どが血管 平滑筋に観察された34)(図7)。定量的な解析
においては、糖尿病を背景に持つ患者の冠 動脈と心筋において、TGが高値を示すとい う TGCV 様病理が観察された。現在は、
ATGL 遺伝子の変異によるTGCVは原発性
TGCV、ATGL 変異のない TGCV 様病態は
特 発 性 TGCV と よ ば れ て い る 。 特 発 性 TGCV に関しては未だ不明な点が多いが、
潜在的な患者数は 4~5 万人と推定され
34,35)(日本医療研究開発機構研究班調べ)、特
発性TGCV患者を対象とした治療薬の開発 も行われている(第1/2相試験中)。
図6 マウス精巣中のEPA含有PCの分布
(a): 精巣のHE染色像。 (b): PC(36:5)を赤色、PC(36:4)を緑色とした時のイオン分布像。
(c): (a)の指定箇所のHE染色拡大像。矢印は精巣の間質部分を示す。 (d): (b)の指定箇
所のイオン分布拡大像。矢印は(c)に対応する箇所を示す。(文献29より引用)
5. 終わりに
本総説では、MALDI-MSI分析は幅広い分 子の可視化に利用できることを紹介してき た。本総説では紹介は出来なかったが、他の 研究例として、ジャガイモ中のソラニンの 局在解析36)や、亜麻仁油を投与したマウス の小腸におけるαリノレン酸及び代謝物の 分布解析37)等が挙げられる。分析機器やマ トリックスの改良、手順の見直しによって イメージング技術は進歩を続けている。目 的分子の分布を可視化することのできる本 手法によって、食品科学分野に多くの知見 と可能性がもたらされることが期待される。
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