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雑誌名 福井大学工学部研究報告

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(1)

抵抗ろう接したチタン合金継手の引張強さに及ぼす 銅基ろう材中ニッケル量の影響

著者 竹下 晋正, 村瀬 晃生

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 49

号 1

ページ 1‑8

発行年 2001‑03

URL http://hdl.handle.net/10098/3259

(2)

Mem. Fac. Eng. Fukui Univ., Vo .l49, No. 1 (March 2001) 

抵抗ろう接したチタン合金継手の引張強さに及ぼす 銅基ろう材中ニッケル量の影響

竹 下 晋 正 * 村 瀬 晃 生 林

E

f T

ect of Ni/Cu Ratio in CopperBasedBrazing Filler Metal  on the Tensile Strength of Resistance‑Brazed Titanium Alloy 

oints 

Kunimasa TAKESHITA and Akio MURASE 

(Received February 28, 2001) 

Ti ‑10masso/oZr alloy was resistance brazed by using 

pper‑based brazing filler metals with  difIerent nickel concentrations, and was instantaneously subjected to rapid c

ling. The tensile  strength of the brazed joints was investigated in connection with Ni/Cu atom ratios of the brazing  filler metals. As for the joints brazed with the brazing filler metal whose Ni/Cu ratio is  zero, the  tensile strength is not less白血1400恥1Pawhen the electric energy of larger than 4kl is input into the  joint during resistance brazing. Increase in the Ni/Cu ratio of the brazing filler metal increases the  number of brazed joints with the tensile strength of less  than 400MPa even when the electric  energy of larger than 4kl is input into the joint during resistance brazing. 

The brazed joints wirelativelyhigh tensile strength are composed of sTiTi2Cu andα‑

Ti,or sTiand Ti2Cu. On the other hand,血ebrazed joints with relatively low tensile strength  contain OTiCuor Ti2Ni adjacent to the base meta. l

Key Words : brazing, resistance brazing, rapid cooling, tensile strength, titanium alloy,  copper‑based brazing filler rnetal 

1. 緒 言

チタンおよびチタン合金のろう接に用いられるチ タンージルコ'ニウム系合金ろう材には融点を下げる 目的で、銅やニッケルが添加されている[11 しかしな がら、これらの元素はろう接時にチタンとの間で 種々の化合物を生成し、これが継手部の比較的狭い 範囲に存在すると継手が非常に脆弱になることが報 告されている[2]。そこで、化合物を継手部の比較的 広い範囲に渉って存在させるために、ろう接時間を 300s程度の長時間とすることで継手の脆弱化を回避 している[1]一方、銅やニッケルを含むろう材を用

*機械工学科

料大学院工学研究科機械工学専攻

Dept.of Mechanical Engineering 

GraduateStudent, Dept. of Mechanical Engineering 

いてTi10masso/oZr合金を抵抗ろう接し、通電終了直 後に急冷操作を施すことで継手の引張強さが飛躍的 に増大することが報告されている[3]。この継手の高 強度化は、ろう接直後の急冷操作によって室温まで 安定化されたろう層部内の0Tiの存在に起因して いる。しかしながら、ろう層部内には0Ti以外に化 合物も存在しており、化合物の種類は継手に影響を 及ぼすことが予想される。

そこで本研究では、含有ニッケル量の異なる銅基 ろう材を用いて Ti10masso/oZr合金を抵抗ろう接し た直後に急速冷却し、ろう材中の銅に対するニッケ ルの原子パーセント比が継手の引張強さに及ぼす影 響について検討する。

2.  実験方法

母材には直径4mm長さ 50nunのTi10rnasso/oZr合

(3)

回│

T Zr

' C u '  

T上 附

(b) 

首 陥

l E 一

Cu I I Til0Zr 

¥  ノ Cu‑Be 

(c) 

金丸棒を、ろう材には厚さ 15μmのCu‑Be箔 (Cu: 98mass%, Be: 2masso/o,密度(293Kで): 8.23 

103kglm3,  液相点:1253K) と厚さ 50μm の銅箔(純度 :99.~も,

密度(293Kで): 8.96 X 103kg加え融点:1356K) , Ni‑Cu  箔(Ni:45mass%, Cu: 54mass, Mn: lmass%,密度(293K で): 8.90X 103kglm3,液相点:1573K)およびニッケ ル箔(純度:99.70/0,密度 (293Kで): 8.90 X 103kglm3,  融点:1726K)を組合わせて使用した。ろう材に用

いた箔の組合わせを Fig.lに示し、以後ろう材を Fl, F2, F3の記号で表す。 Fl,F2, F3の銅に対するニ ッケルの原子パーセント比(以後 Ni/Cu比と記す) は、0,0.45,2.0である。母材は冷間加工(加工率60%)

されたままであり、ヤング率はl00GPa、引張強さは 900恥1Paである。また母材接合面の中心線平均粗さ は0.4μ mである。

Ti‑l0Zr  Ti‑l0Zr 

¥ ノ

Cu‑Be 

変化曲線をろう接時間に渉って積分した値に一定電 圧(2

V)を掛けて、入力電気エネルギを算出した。

ろう接後の継手は、Fig.2(c)に示す形状と寸法に旋盤 加工し、肩部と平行部の表面を#1500までのエメリ ー紙で研磨し、

n s

14号引張試験片とした。引張試 験は室温で行い、試験速度は0.05mm1sとした。

走査型電子顕微鏡による二次電子像と反射電子像 で、継手部破断した継手の破面を観察した。さらに 破面を構成する結晶相の同定は、微小焦点X線回折 (CuKα線、コリメータ径100μm)による回折図を もとに行った。光学顕微鏡で継手破断部を観察した。

観察面の腐食には、フッ硝酸水 (HF:5mL,  HN03: 10  mL,  H20: 200mL)を用いた。

u

a u  

ヨ )

ller̲哩 凶

ο  1 )  

Fig.2  Schematic representation of (a)  and (b) brazing  pr

edure and (c)  tensile specimen 

Fig.l  Combinations of foils  used as  filler  metals 

Fl,F2 and F3  3.  実験結果および考察 Fig.2 (a), (b)にろう接継手の作製手順を示す。母材

の接合面とろう材をアセトン中で超音波洗浄した後、

Fig.2(a)に示すようにろう材を母材の接合面どうし 突き合わせて挟み込み、 0.62MPaの圧力を加えてア ルゴン・ガス雰囲気中で抵抗ろう接し、通電終了直 後に継手部を水冷した。このときの冷却速度は約 400Kls[3Jであった。印加電圧はAC5.7V(60Hz)、通 電時間は 0.7‑1.7sとした。ろう接時に継手に入力さ れた電気エネルギを算出するために、 トランス一次 側に流れた交流電流を直流電圧に変換した後、スト ーレジ・オシロスコープで記録した。得られた電流

3.1継手の引張強さ

Fig.3に継手の引張強さと入力電気エネルギの関 係を示す。ろう材Flの場合、両者の間の相関係数は 0.63である。継手部破断した20本の継手の引張強さ は 172‑594MPaの範囲でばらついているが、母材破 断した 11本の継手の引張強さは588‑689MPaの範囲 であり、そのばらつきは小さい。さらに入力電気エ ネルギが4kJ以上の 12本の継手に限ると、継手部破 断した継手は 5本 で 、 か つ そ れ ら の 引 張 強 さ は 400恥1Paを下回ることはない。

ろう材F2の場合、継手引張強さと入力電気エネル

(4)

ギ聞の相関係数は 0.61である。継手部破断した 26 本の継手の引張強さは 178‑595MPaの範囲でばらつ いている。しかしながら、母材破断した6本の継手 の引張強さは597‑636MPaの範囲であり、そのばら つきはろう材Flの場合と同様に小さい。母材破断し た継手の引張強さの平均値は 614MPaであり、この 値はろう材Flの場合のその平均値637MPaよりも低 下している。さらに入力電気エネルギが 4kJ以上の 10本の継手に限ると、継手部破断した継手は6本で あり、その中に引張強さが 4∞MPaを下回る継手が 1本存在する。

ろう材F3の場合、継手引張強さと入力電気エネル ギ聞の相関係数は0.40であり、ろう材Fl,F2の場合 と比べて小さい。継手部破断した25本の継手の引張 強さは 125‑587MPaの範囲でばらついている。母材 破断した継手は1本のみで、その引張強さは563Mpa である。この値はろう材F2の場合の母材破断した継 手の引張強さの平均値614MPaよりもさらに低い。

さらに入力電気エネルギが4kJ以上の11本の継手に 限ると、継手部破断した継手は10本であり、かっ引 張強さが4∞MPaを下回る継手が8本存在する。

母材破断した継手の引張強さの平均値はろう材F 1, F2, F3の順で低下する。これは、この順でろう材 のNilCu比が増加するためにろう材の液相点が高く なり、その結果母材の加熱、による軟化もこの順で大 きくなるためと考えられる。

3.2  破面と継手破断部の組織 3.2.1  継手FIHlとF3Hl

継手部破断した継手FIHlとF3Hlの破面の反射電 子像写真を Fig.4(a), (b)に、継手破断部の断面写真 をFig.4(c), (d)に、 X線回折図をFig.5に示す。継手 FIHlは、用いたろう材がFl、引張強さが558MPa、

ろう接時の入力電気エネルギが 3.8kJである。継手 F3Hlは、用いたろう材がF3、引張強さが487MPa、 ろう接時の入力電気エネルギが3.4kJである。これ らの継手はFig.3中でいずれもHlの記号で示され、

継手部破断した継手の中で比較的高い引張強さを示 した継手である。 Fig.4(c), (d)は、それぞれ Fig. 4(a),

ω )

中の線X上の点Mで示された箇所での断面 写真である。Fig.4(a)中の点PとFig.4(b)中の点Pl, P2はX線測定箇所を示す。

一般に反射電子像写真では、原子番号の大きい元 素を多く含む領域ほど反射電子強度が高く、より白 く示される[410 したがって、チタンに比べて原子番 号の大きいニッケルや銅を多く含む領域が破面とし て露出すると、その領域は反射電子像写真中でより

白く示される。 Fig.4(a) , (b)に示されるように、これ

E Y

d

ω

‑ m

ω

し 戸

口:Fai1ure in Base Metal 

Failure at Joint 

2.5  3.5  4.5  Electric Energy Input, /kJ 

Fig.3  Influence  of  elωic ener,gy  input  dU[Ing  resistan

brazing on tensile s'engthof jois brazed wi白血llermetals Fl,F2 and F3. 

らの継手では破面のほぼ全域に渉って白黒の色調が 比較的一様である。このことは、破面のほぼ全域で ニッケルや銅が比較的一様に存在していることを示 している。また、いずれの破面にもボイドが存在(

矢印 Vで示す)している。このことは、これらの破 面の二次電子像観察で確認された。

Fig.5に示される継手 F3HlのX線回折図は、

Fig.4(b)の点P2での測定結果である。この回折図か ら同定された結晶相は8TiとTi2Cuである。また点 PlでのX線測定結果から同定された結品相も点 P2

での場合と同一であった。このことから、継手F3Hl の破面は、ほぼ全域に渉って8TiとTi2Cuで構成さ れていることが分かる。 Fig.5に示される継手FIHl のX線回折図からは、この継手の破面はαTi,

‑Ti, Ti2Cuで構成されていることが分かる。

Fig.4 (c), (d)に示されるように、これらの継手の破 断はいずれもろう層部のほぼ中央をジグザグな経路 をとって生じている。継手 FIHlでは、ろう相部内 の黒い領域(矢印Bで示す)は

0

Tiであり、

0

Ti の間の(矢印Cで示す)はα.TiとThCuで構成され ていると考えられる。また母材側に厚さ約5μmの

(5)

(c) 

〆8 ~~~

ー & 〆 ‑ 一 山 一. . .  

50μm 

lmm 

(d) 

ζ

三竺ムよ : ι

]山

.

 

Fig.4  Reflection eleconimage micrographs of fracture  surfa

of joints  (a)  FIHl and  (b)  F3Hl, and  cross‑sectional optical micrographs offracturedjoints (c)  FIHl and (d) F3Hl. 

拡散層(矢印 Dで示す)が認められる。継手F3Hl では、ろう層部の黒い領域(矢印 Bで示す)は

8

Ti、

0Tiの聞の領域(矢印Cで示す)はTi2Cuで構成さ れていると考えられる。また、ろう層部と母材との 界面部に厚さ約 3μmの化合物層(矢印 Iで示す) と、母材側に厚さ約 10μmの拡散層(矢印Dで示す) が認められる。

3.2.2継手FILとF3L

継手剖3破断した継手FILとF3Lの破面の反射電子 像写真をFig.6(a), (b)に、継手破断部の断面写真をF ig.6の入力電気エネルギが 2.4kJである。継手 F3L は、用いたろう材がF3、引張強さが 208MPa、ろう 接時の入力電気エネルギが 2.3kJである。これらの 継手は Fig.3中でいずれも Lの記号で示され、ろう 接時の入力電気エネルギが低く、かつ引張強さも低 い継手である。

Fig.6 (a), (b)に示されるように、これらの継手でも 破面のほぼ全域に渉って白黒の色調が一様であり、

このことは破面にニッケルや銅がほぼ一様に存在し ていることを示している。継手FILでは破面全域に 渉ってボイドの存在(矢印Vで示す)が、継手F3L では破面に差(矢印Sで示す)が認められる。 Fig.5 に示されるように、破面を構成する結晶相はいずれ の継手の場合もαTi,s ‑Ti,ThCuと8TiCuである。

FIH

効」

... 

ω 

.

. .

 ... 

..0  4

‑' +〉、

...3 

Q) 

IFIL 

4

‑ 岬

J

2 3d' 4 50" 6(1'  70"  80 90100" 110120130140 Diflactionangle, 2θ 

Fig.5  Collimated X‑ray diffraction patterns mωsured  on fracture surfaces of joints FIH1, F3Hl, FIL  andF3L. 

(6)

l m m  

(c) 

し一一J

50μm 

(d) 

し一一J

[)()μm 

Fig.6  Ref1ection el民 的nimage sUcrographs of fracture suna

of joints (a)  FIL and (b)  F3L,  and cross‑ctiona1optiω1 micrographs offracturedjoints (c)  FIL and (d) F3L. 

これらの継手では、前述した継手FIHl,F3Hlの破面 を構成する結晶相に加えて、Ti2Cuよりも銅側の化合 物である 6TiCuが破面に存在する。 Fig.6(c) , (d)に 示されるように、これらの継手の破断はいずれもろ

う層部と母材との界面部近傍で生じている。以上の ことから、界面部近傍での6TiCuの存在が、これら の継手の引張強さが低いことの主因と考えられる。

これらの継手は、いずれもろう接時の入力電気エ ネルギが低い。そのため、ろう接時の継手部温度は 比 較 的 低 か っ た と 推 察 さ れ る 。 こ の こ と は 、 Fig.6 (c), (d)で母材側の拡散層(矢印 Dで示す)厚

さが非常に薄いことからうかがえる。ろう接時の継 手部温度が低かったために、母材の主構成元素であ るチタンが溶融ろう材中に充分に溶解流入せず、そ のことがろう層部と母材との界面部近傍で8TiCu の生成をもたらしたと考えられる。

3.2.3  継手FIH2と F3H2

継手部破断した継手FIH2とF3H2の反射電子像写 真をFig.7(a)とFig.8(a)に、継手破断部の断面写真を Fig.7 (b), (c)と Fig.8(b), (c)に、 X線回折図を Fig.9

に示す。継手FIH2は、用いたろう材がFl,引張強さ が172MPa、ろう接時の入力電気エネルギが3.0kJ

であるロ継手F3H2は、用いたろう材がF3、引張強 さが249MPa、ろう接時の入力電気エネルギが4.1kJ である。これらの継手はFig.3中でいずれもH2の記 号で示され、ろう接時の入力電気エネルギが低くな いにもかかわらず、継手部破断した継手の中で比較 的低い引張強さを示した継手である。 Fig.7(b), (c) 

とFig.8(b), (c)は、それぞれFig.7(a)とFig.8(a)中の 線X上の点Ml,M2で示された箇所での写真である。

またFig.7(a)とFig.8(a)中の点Pl,P2はX線測定箇 所を示す。

Fig.7(a)に示されるように、継手FIH2の破面は右 側(領域Aと記す)と左側(領域Bと記す)で、そ の様相が異なる。領域Aでは、破面の凹凸は比較的 少なく、所々にボイド(矢印Vで示す)が認められ る。一方、領域Bでは、破面の凹凸が顕著で、かっ へき開型ぜい性破壊にみられるリバー・パターン[5)

(矢印Rで示す)が認められる。 Fig.7のFIH2(A) に示されるように、領域 Aを構成する結品相はα‑Ti,

0Ti,ThCuであり、これらは前述した継手FIHlの 破面を構成する結晶相と同一である。一方、領域B

を構成する結品相は、Fig.7のFIH2(B)に示されるよ うに8Ti,ThCuと トTiCuであり、これらも前述し

(7)

! ニ │

し一一」50μm  (c) 

し一一」 50μm 

F i g . 7   R e f l e c t i o n  e l e c t r o n  i m a g e  m i c r o g r a p h s  o f  f r a c t u r e   s u r f a ω o f  ( a )  j o i n t  F I

H2, 

a n d  a n d  c r o s s ‑ s e c t i o n a l   o p t i c a l  m i c r o g r a p h s  o f  

(b) 

a n d  ( c )

自前

t u r e dj o i n t   F I

H2. 

た継手

F I L

の破面を構成する結品相とほぼ同じであ る。

F i g . 7  ( b )

に示されるように、領域

A

の点

Ml

での 断面組織は

F i g . 4( c )

に示される継手

F I H l

の点

M

で のそれと閉じである。領域Aのろう層部全体に渉っ て

8

Ti(矢印Bで示す)の存在が認められる。一方

F i g . 7( c )

に示されるように、領域

B

ではろう層部 と母材との界面部近傍にのみ8Ti(矢印 Bで示す) が存在し、かっ破断は界面部近傍で生じている。こ の様相は、

F i g . 6( c )

に示される継手

F I L

のそれと類 似している。

F i g

.

7( b )

, 

( c )

に示されるように、領域

A,Bのろう層部では

3

Tiの存在量に差異があり、こ れは母材チタンの溶融ろう材への溶解流入量の差異 に起因する。領域Aでは、ろう接時に母材とろう材 の電気的接触が良好で充分に電流が流れ、これによ る充分な発熱が溶融ろう材へのチタンの溶解流入を 促進したものと考えられる。一方、領域Bでは、こ の電気的接触が良好で、なかったために充分な電流が 流れず、これによる不充分な発熱のために溶融ろう 材へのチタンの溶解流入量が少なかったと考えられ

る。

F i g

.

8 ( a )

に示されるように、継手

F 3

H2の破面は白 黒の色調が一様ではない。左側(領域Aと記す)は

a

し一一」50μm 

ρ

」 一 ‑ 一 一 一

し‑‑.J

50μm 

F i g . 8   R e f l e c t i o n  e l e c t r o n  i m a g e  m i c r o g r a p h s  o f f r a c

仰 向

s u r

也氏。

f( a )   j o i n t   F 3

H2, 

andαoss

・鉛

c t i o n a l

o p t i c a l   m i c r o g r a p h s   o f   ( b )   a n d   ( c )

a c t u r e d

j o i n t  F 3

H2. 

(8)

川酬川端│

F1H2  (A) 

(

bE

) k g

g

5if  6cf  7rf  80 90100110120130140 Diffraction angle , (J 

灰色で、右側は白い領域(領域 B と記す)と黒い領 域(領域B Mと記す)から成る。 Fig.7のF3H2(A)

に示されるように、領域 A を構成する結晶相は0

Ti,Ti2Cuであり、これは前述した継手F3Hlの破面 を構成する結品相と同一で、ある。領域 Bを構成する 結品相は、 Fig.7のF3H2(B)に示されるようにαTi,

0Ti,ThCuとThNiである。また領域BMを構成す る結晶相はα‑Tiであり、さらにこの領域の二次電子 像観察で延性破壊特有のディンプル[6]が認められ た。このことから、領域B Mでは母材どうしの連結 が生じていたと考えられる。Fig.8(b), (c)に示される ように、継手の破断は領域A,Bともにろう層部と母 材との界面部近傍で生じている。また領域Aでは母 材側に厚さ約 10μmの、領域Bでは厚さ約 20μm の拡散層(矢印 D で示す)が認められる。このこと は、継手F3H2では領域Bの方が領域Aよりも、ろ

う接時にろう材と母材の電気的接触が良好で、温度 も高かったことを示唆する。前述したように、領域 Bの破面にはTi2Niが存在するが、領域Aには存在 しない。ろう接時に、より高温であった領域 Bでは、

ろう材融解前にろう材中のニッケルと母材中のチタ ンとの間での相互拡散が活発であったために、ろう 層部と母材との界面部近傍に TizNiが生成したと考

えられる。

46'  36'  26' 

Collimated X ‑ray  diffraction pattems measured  on regions (A) and (B) of fracture surfaces of  joints FIH2 and F3H2. 

Fig.9 

みは領域Aのそれよりもかなり小さいことを強く示 唆している。すなわち、ろう層部に領域AとBが混 在する継手に引張荷重が作用したとき、破断ひずみ の小さい領域 Bがまず破断することでそのときの引 張荷重がすべて領域Aに作用し、その後領域Aが破 断すると考えられる。

Fig.3に示されるように、ろう接時の入力電気エネ ルギが 4kJ以上の継手では、 Ni/Cu比が 0のろう材 Flの場合は継手の引張強さが400MPaを下回らない。

しかしながら、 Ni/Cu比が 0.45,2.0のろう材 F2,F3 の場合は、引張強さが 400恥iPaを下回る継手が出現 する。これは、ろう材の熱伝導度が密接に関連して いると考えられる。銅を除いて、 Ni‑Cu合金やニッ ケルの液体状態での熱伝導度は不明である。しかし ながら固体状態での熱伝導度から類推すると、液体 状態でもNi‑Cu合金やニッケルの熱伝導度は銅と比 べてかなり小さいと考えられる。したがって、もし ろう接時にろう材と母材との電気的接触状態の差異 に起因した不均一な発熱が生じても、 Ni/Cu比の小 さいろう材では液体状態での熱伝導度が大きく、継 手部の温度は比較的均一になりやすいと推察される。

3.3  ろう材の Ni/Cu比が継手の引張強さに及ぼす 影響

Fig.l0にNi/Cu比の異なるろう材Fl,F2, F3でろう 接 し た 継 手 の 破 面 を 占 め る 領 域 A{(α Ti,s 

Ti,ThCu)または(sTi,Ti2Cu)}、領域 B{(αTi,

‑Ti, ThCu,  dTiCu)または (sTi,ThCu, dTiCu)ま たは(αTi,sTi,ThCu, ThNi) }、ボイド領域および 母材領域(αTi)の割合を示す。

破面のほぼ全域が領域 Aから成る継手FIH1,F2  H lF3Hlの引張強さは487‑558MPaと比較的高い値

を示す。しかしながら、破面に領域Aのみならず6

TiCuや ThNiを 含 む 領 域 Bが現れると、継手 FIH2,F2H2,F3H2のようにいずれのNi/Cu比のろう 材を用いた場合もそれらの引張強さは著しく低下す

る 。 ま た 破 面 の ほ ぼ 全 域 が 領 域 B から成る継手 FIL,F3Lの 引 張 強 さ も 低 い 値 を 示 す 。 継 手 FIH1, F2H lF3Hlの引張強さ 558,537,487MPaに、 継 手 FIH2,F2H2の破面に占める領域 Aの割合 0.35,0.34、もしくは継手 F3H2の破面に占める領域 Aと母材領域の割合を加えた0.55をそれぞれ乗じる と 195,183, 268MPaになる。これらの値は、継手 FIH1, F2H lF3Hlの引張強さ 172,190, 249島1Paに ほぼ近い値である。このことは、領域 Bの破断ひず

(9)

Fl  F2 

噌 ・

‑ ag ‑

‑ zg g

2・ ・

2・ ・ ・ ・ ・

111111

HV

回 ぷ 問 ︑

F3 

│aB=487MPal 

0.5(Void)

99.5

匹目

│σB=172MPa11

aB=l Pa11

│aB=249MPa! 

σ 33Mpal

│σB=208MPal

巨回

A { ニ ニ

α‑Ti+β‑Ti + Ti2Cu  β‑Ti + Ti2Cu 

仁 コ

Void 

‑ αTi (Base MetaO  rWAα‑Ti+sTi+ Ti2Cu + (j TiCu

region Bi ~歪国 βTi+ Ti2Cu +δ Cu le三三ヨ αTi+sTi+ Ti2Cu +Ti2Ni 

Fig.lO  Percent area of regions characterized on fracture surfaces of joints F 1 H 1, F 1 H2,  FIL,F2Hl,F2H2,F3Hl,F3H2 and F3L. 

この継手部温度の均一化は、ろう層部に占める領域 Aの増加をもたらし、ひいては継手の引張強さを増 大させるであろう。

4. 結 論

含 有 ニ ッ ケ ル 量 の 異 な る 銅 基 ろ う 材 を 用 い て Ti10masso/oZr合金を抵抗ろう接直後に急速冷却し、

ろう材中の銅に対するニッケルの原子パーセント比 (NiJCu比)が継手の引張強さlこ及ぼす影響につい て検討した。得られた結果を以下に示す。

NiJCu比が 0のろう材を用いた場合は、ろう接時 の入力電気エネルギが 4kJ以上ならば引張強さが 400MPaを下回る継手は存在しない。しかしながら NiJCu比が 0.45,2.0のろう材を用いた場合は、たと えろう接時の入力電気エネルギが 4kJ以上であって も引張強さが 4

MPaを下回る継手が存在し、その 割合は

N

iJCu比が大きいほど増加する。

引張強さが高い継手のろう層部は(αTi,

s

Ti,Ti  iCu)もしくは(sTi,Ti2Cu)で構成される。一方、引

張強さが低い継手のろう層部には、 6TiCuもしくは ThNiを母材との界面部近傍に含む領域が存在する。

参 考 文 献

[1]  T.

α

lZelwa, A. Suzwnaand M. W.Ko : Welding 

J.,鐙(1990),462s‑467s. 

[2]  川村広人、坂本昭:軽金属溶接、 12(1974) ,  357‑369. 

[3]  竹下晋正、坂本智, 日本金属学会誌、 61 (1997), 12601267.

[4]  河村末久、中村義一:表面測定技術とその応 用、共立出版、(1988),pp.2627.

[5]  J.A.Fellows  Metals Handbook 8th Ed.ぬ1.9 :Fractography and Atlas of Fractographs, ASM,  Metals Park, Ohio, (1974), pp.64‑65. 

[6]  J.A.Fel1ows  Metals Handbook 8th Ed. Vo1.9  :Fractography and Atlas of Fractographs, ASM,  Metals Park, Ohio, (1974), pp.66‑68. 

参照

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