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学校アセスメントにより,学校の実態を把握 し課題を抽出した

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Academic year: 2021

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自分への信頼を高め,自主と思いやりの育成を目指した教育活動の生成と実践

-子どもが抱える教育課題を基軸とした教職員の協働を通して-

高度学校教育実践専攻 実習責任教員 久 我 直 人 教職実践力高度化コース 実習指導教員 大 林 正 史 椎野 真一郎

Ⅰ 課題分析

1.置籍校の実態と課題

置籍校は,児童数 577 名,普通学級 18 学級,

特別支援学級 3 学級,教職員数 44 名(平成 26 年 7 月 7 日現在)の中規模校である。

学校アセスメントにより,学校の実態を把握 し課題を抽出した。

【学校アセスメントの内容】

【抽出された課題】

2.実践研究の目的と課題

置籍校の課題として抽出された①「子どもが 抱える教育課題」,②「個々の教職員の教育活動 に関する課題」,③「教職員の組織上の課題」,

これら3つの課題を1つのこととして捉え,子 どもが抱える教育課題解決に向けた取組を組織

的に展開することを通して,子どもの変容と教 師の指導の質的改善,さらには教職員の組織化 を同時に解決することを実践研究の目的とした。

具体的には,子どもの課題である自分への信頼 の格差を解消し,自主性や他者意識を育むため に,教職員が「子どもの主体性を育て,子ども との関係性を築く寄り添い型の指導」を組織的 に展開することで教育改善を図ることを考えた。

そこで,本研究の目的達成のため,以下の4 点を実践研究の課題とする。

3 実践研究の枠組み

久我(2014)は,子どもの意識と行動の構造 を, 共分散構造分析(Amos Ver.19)を通して解 明し,その構造に適合した効果のある取組を開 発している。この知見に基づき,置籍校におけ る課題解決に向けた具体的な取組として次の4 つを設定した(図1)。

①教育活動関係:学校要覧,学校経営計画

全国学力学習状況調査(H23/24/25)

②学校運営関係:平成24年度学校評価 データー

③生徒指導関係:学校独自運動・生活状況調査(B CT)

④教職員インタビュー

①子どもが抱える教育課題 ○自分への信頼の格差 ○自ら学ぶ主体性の乏しさ ○他者意識の不足

②個々の教職員の教育活動に関する課題 ○考えさせ,自己決定し活動させる場の不足 ○子どものアイデアを生かした場の不足 →他者から認められる場の不足 =子どもの被受容感に格差

③教職員の組織上の課題 ○協働性の低減 個業化傾向

①置籍校の教育課題の可視化

②組織化と教育改善を実現する教育改善プログラ ムの構築

③構築したプログラムの展開による組織化と教育 改善に向けた実践

④プログラムの効果性の検証

図1 課題解決に向けた具体的取組

(2)

- - 130 - - 置籍校の課題改善に向けた取組及びゴールを

可視化するために作成した,置籍校グランドデ ザインを図2に示す。

実践研究の取組を学校全体で組織的に実践し ていくため,久我(2011)「教師の主体的統合モ デル」を援用した展開モデルを図3に示す。

Ⅱ 課題解決 1.実践研究の実施

(1) Research 期

学校アセスメントアンケート結果を全教職員で 共有した後,ワークショップ型の組織的省察を 実施し,子どもが抱える教育課題の焦点化及び 共有を図った。

(2) Plan 期

職員研修会を設け,WS型組織省察の結果の 再確認(図4)をした後,本学久我教授より「潤

いのある学級・学校づくり」というテーマで講 演を頂いた。

その後,2回にわたり具体的取組生成のため の組織的省察(創発型,収斂型)を行った。さら に,新児童会運営の児童による学校づくりWS を行い,子どもと教師の協働による,子どものエ ネルギーを生かした学校づくりの糸口とした。

新年度,各プロジェクト(学び・仲間・生活)

からの具体的取組の提案と共有を行った。

(3) Do 期

1)学びづくりにおける実践

全体研修会で, 具体的な授業実践を通して, 学習の流れを全教職員で共有した。

日々の授業においても,意図的に教え合い・学 び合う場が設定された。例えば,ホワイトボード を活用し,グループ内で考えを広げ,全体で考え を共有する場を設定したり,教え合いの場を意 図的に設定したりした授業が展開された(図5)。

また,総合的な学習の時間や,特別活動における 学級活動などでも,付

箋を用いたワークショ ップ型の学習形態を実 践する学級も見られた。

図5教え合い・学び合う様子 「学習環境の整備」のもと,主体的な学びを生み出す 授業づくりとして,「個人→グループ→全体」の流れの 中で,一人ひとりが考えを持ち,交流活動を通して考え を広げる場(教え合い・学び合い)を意図的に設定し た。また,人のことを大切にして友だちの話を聞く「思 いやり」を育てていく授業づくりを試みた。

図2 置籍校グランドデザイン

図3 実践研究の基本的枠組み

図4 焦点化された置籍校のよさと課題

(3)

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図8 ハイタッチ挨拶の様子

図9 組織化を持続・活性化させる仕組みと支援 図6 竹馬を教え合う様子 図 7 縦割り団体種目の様子

2)仲間づくりにおける実践

ペア学年活動として,各行事・教科で,ペア学 年でのペア・サポートによる学び合いの場を設 定した。また休み時間等の遊びの中での,異学年 間の教え・学び合いの場づくりを進めた(図6)。

縦割り交流活動では,振り返りスキルシート の活用,各週の班長会を設定しPDCAの流れ のある活動とした。また運動会では, 縦割りに よる団体種目を設定した。高学年を中心に企 画・運営を進め,全校で一つの種目を作りあげ,

子どものアイデアを生かした自治的自律的な力 を育む場となった(図7)。高学年がリーダーシ ップを発揮し,下学年がフォロワーとして,自分 たちのアイデアを生かした活動をつくる「自主」

と学年を越えた「思いやり」が育まれた。

3)生活づくりにおける実践

始業式より,教師からの「心をつなぐあいさつ に取り組んだ。子ども一人ひとりに笑顔で名前 をつけた挨拶,声かけやハイタッチを加えたあ いさつが展開された。また5月より, 児童会運 営委員会から「あいさつ日本一の学校にしよう」

の呼びかけとともに,ハイタッチあいさつ運動

が展開された(図8)。また,劇やオリジナルの あいさつの歌の作成と合唱など,子どものアイ デアを生かした自治的な取組により学校全体に 呼びかけた。各委員会においても,あいさつ運動 や,ボランティア清掃,その他の啓発活動など, 子どものエネルギーを活用した取組が数多く展 開された。地域の方から

も「よく挨拶できるよう になった。子どものパワ ーってすごいな。」という 声が聞かれた。

4)勇気づけにおける実践

共通通路壁面を,「子どものやさしさ・がんば りロード」として,各月の重点ステージに合わ せて良情報で飾り,学校全体で認め合える勇気 づけの空間としてデザインした。

日々の声かけに加え,教師相互の良情報の交 流として「誉メモシート」を活用し,学校T Tによる勇気づけを展開した。また,各学年にお いて,「良い所見つけ」「キラキラポケット」な ど,子ども相互の良情報の交流がなされた。こ うした活動を通して,T-C間,C-C間におけ る潤いのある関係づくりが図られた。

5)組織化の持続・活性化を促す仕組みと支援

2.実践研究の総括 取組の中心を「互いに認め合う異学年交流」とし,縦

割り交流活動の更なる充実と,学年を越えた教え合い, 学び合いのあるペア学年活動を教育活動の中に位置づ けた。そして,自分たちの考えやアイデアを生かして活 動を作る「自主」と学年を越えた「思いやり」を育む ことを試みた。

主に,心をつなぐあいさつの取組を行い,教師と子ど も,子どもと子どもの信頼関係づくりを行った。その 際,児童会・委員会を中心に子どものアイデアを生か した自治的取組を通して,子どものエネルギーを活用 した学校づくりを進めていくことを試みた

(4)

- - 132 - - 図 10 レーダーチャートによる子どもアンケート推移

図 11 学習意欲・他者意識の高まり

図 12 教師の指導における質的転換

図 13 協働性の高まり (1)置籍校教育改善プログラムの有効性

1)子ども変容

図 10 に示す通り,全 44 項目中 43 項目で改善 が見られた。特に,被受容感や自己肯定感,教師 信頼,クラス効力感の項目の改善が顕著である。

また,図 11 に示す通り,学習意欲や他者意識の 高まりも確認された。潤いのある関係基盤の中 で,自分への信頼,そして子どもの自主の伸長と 思いやりの拡充が一定程度図られたことが確認 された。

2)教職員の変容

①個々の教員の教育活動における変容

図 12 に示す通り,「子どもの主体性を育む指 導」や「勇気づけに基づく子どもとの潤いのあ る関係構築の指導」に変容が見られた。

②教職員組織における変容

協働性の高まりが捉えられた(図 13)。

以上から,教育改善プログラムの導入が一定程 度有効に機能したことが捉えられた。

3)保護者の変容

保護者アンケートでは,17 項目中 16 項目で昨 年を上回る結果が得られた。特に,「学校認知」

や「基礎学力定着」「いじめのない学校づくり」

の項目に,大きな改善が見られた。保護者への 子どもの良情報を媒介とした教職員の日常的 な働きかけや共有,学校の取組に関する情報 発信が,目の前の子どもの姿を通して保護者 に伝わることにより,学校への信頼を高めら れたと推察される。

(2)実践研究の成果

1)本実践研究の成果として以下が抽出された。

2)課題と今後の実践研究の展開の可能性 本実践研究での取組は実践過程であり,継続 して評価・改善を積み重ねていく必要がある。

また,本研究の成果と課題を整理し,他校への 汎用可能なモデルとして精緻化していくここと が課題であり,今後の展開の可能性と捉える。

① 主体的統合による組織化の促進

② 子どものエネルギーを生かした指導への質的転 換による,子どもの自主,思いやりの高まり

③ 組織的な勇気づけによる,教師と子ども.子ども と子ども間の信頼関係の高まり

④ 組織的実践を通したフォーマル・インフォーマル 研修による指導技術の有機的交流

⑤ 保護者の学校信頼の高まり

参照

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