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関節リウマチをメトトレキサートで治療中のサルコイドーシス合併例 症例報告 関節リウマチをメトトレキサートで治療中に肺サルコイドーシスを合併した1例 和田曉彦 1 玉腰淳子 1 鈴木敏夫 3 宮本 藤田 明 1, 5 高森幹雄 1 牧 5 村田研吾 1 三倉真一郎 1 蛇澤 晶 4 小原徹也 2 要旨

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関節リウマチをメトトレキサートで治療中に肺サルコイドーシスを合併した1例

和田曉彦1),玉腰淳子1),鈴木敏夫3),宮本 牧5),村田研吾1),三倉真一郎1),蛇澤 晶4),小原徹也2) 藤田 明1, 5),高森幹雄1)

Akihiko Wada1), Junko Tamakoshi1), Toshio Suzuki3), Maki Miyamoto5), Kengo Murata1), Shinichiro Mikura1), Akira Hebisawa4), Tetsuya Obara2), Akira Fujita1, 5), Mikio Takamori1)

【要旨】

症例は63歳, 女性.関節リウマチの治療としてサラゾスルファピリジンを1年間投与後,メトトレキサート単剤,さら にメトトレキサートとブシラミンを併用して治療中に,咳,発熱が続くようになり,両側肺に多発結節が出現した.胸腔 鏡下肺生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められ,肉芽腫内部にPropionibacterium acnes抗体染色陽性部位が認められ た.他疾患の除外によりサルコイドーシスと診断した.PET-CTでは肺内,肺門縦隔リンパ節,脾以外に異常集積を認め なかった.経過観察したところ増悪が続いた.副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)治療を開始したところ,咳, 発熱,結節影とも速やかに改善がみられた.メトトレキサートはステロイドとの併用でサルコイドーシスの治療にも用い られ,単剤でも症例によって有効な薬剤だが,本症例はメトトレキサートを投与中にサルコイドーシスを発症したと考え られるため報告する. [日サ会誌 2013; 33: 97-103] キーワード:サルコイドーシス,関節リウマチ,メトトレキサート

A Case of Rheumatoid Arthritis Complicated by Pulmonary Sarcoidosis

dur-ing Treatment with Methotrexate

Keywords: sarcoidosis, rheumatoid arthritis, methotrexate

1)東京都立多摩総合医療センター 呼吸器内科 2)同 呼吸器外科 3)千葉大学大学院 呼吸器内科学 4)国立病院機構東京病院 臨床研究部 5)東京都保健医療公社多摩北部医療センター 呼吸器内科 著者連絡先:和田曉彦(わだ あきひこ) 〒183-8524 東京都府中市武蔵台2-8-29 東京都立多摩総合医療センター 呼吸器内科 E-mail:[email protected]

1) Department of Respiratory Medicine, Tokyo Metropolitan Tama Medical Center

2) Department of Thoracic Surgery, Tokyo Metropolitan Tama Medical Center

3) Department of Respirology, Graduate School of Medicine, Chiba University

4) Department of Pathology, National Hospital Organization Tokyo National Hospital

5) Department of Respiratory Medicine, Tama-hokubu Medical Center

はじめに

サルコイドーシスの治療において,メトトレキサート (MTX)には,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロ イド)と併用することでステロイドを減量する効果があ るとされている6–8).またMTX単独でも,症例によって は効果があるとされている9–11).今回われわれは,関節リ ウマチの治療としてMTXを服用中に,サルコイドーシス を合併したと考えられる症例を経験したので報告する.

症例提示

●症例:63歳,女性 ●主訴:慢性咳嗽 ●既往歴:子宮筋腫(20–30歳頃),高血圧症 ●常用薬:ロキソプロフェンナトリウム錠,塩酸ラニチ ジン錠,カンデサルタンシレキセチル/ヒドロクロロチ アジド配合錠 ●アレルギー:デキストロメトルファン臭化水素酸塩水 和物錠にて口周囲に発疹が出現した. ●家族歴:特記事項なし. ●生活歴:たばこ13本/日,22–63歳.住居は築22年,木 造.羽毛布団使用.室内犬飼育.職業:主婦 ●現病歴(Figure 1):2008年5月に多発関節痛でリウ マチ内科を受診した.両手関節,左中指MCP関節,右示 指MCP関節等に腫脹がみられ, 血清リウマトイド因子 (RF)高値,抗CCP抗体高値から関節リウマチと診断さ れた.サラゾスルファピリジン(SASP)により治療され いったん症状が改善したが,2009年6月に症状が増悪し たため,治療薬がMTXに変更された.変更後症状が改善

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関節リウマチをメトトレキサートで治療中のサルコイドーシス合併例 〔症例報告〕 したが,再び増悪に転じたため,2011年3月からブシラ ミン(BUC)が追加された.BUC追加後は症状が軽快し, 安定していた.2011年12月から咳と37℃台の発熱が続く ようになった.2012年1月胸部X線写真で両側肺に淡い 多発浸潤影がみられ,肺炎と診断された.MTXとBUCは 休薬し,クラリスロマイシン(CAM),ガレノキサシン (GRNX)で治療されたが改善傾向がみられず,呼吸器内 科へ紹介され,2012年2月精査目的で入院した. ●入院時現症:意識清明,身長151.4 cm,体重53.8 kg, 体温37.3℃,血圧115/72 mmHg,脈拍107/分,SpO2 97% (室内気),呼吸音清,心音純・整.ばち指なし.皮膚異 常なし.表在リンパ節を触知せず.神経学的異常を認め ず.関節痛なし. ●検査所見 血液・尿検査(Table 1): WBC 7,500 /µLと基準範囲 内であったが,CRP 4.46 mg/dLと高値であった.RF 710 IU/mL,抗CCP抗体 191 U/mLと高値であり,関節リウ マチの活動性によってCRPが高い可能性も否定できない が,新規に出現した肺内多発陰影の疾患によりCRPが上 昇した可能性が考えられた.ACE 16.3 IU/Lと基準範囲 内であったが,lysozyme 17.0 µg/mLと高値であり,サ ルコイドーシスの可能性が考えられた.QFT-3G 0.0 IU/ mLと陰性であった.MTXに対する薬剤リンパ球刺激試 験(DLST)470(S.I.%)と陽性であった.sIL-2R 819 U/ mLは悪性リンパ腫としては低値であった.MPO-ANCA, PR3-ANCAは低値であった. ツベルクリン反応(Table 1):陰性であった. 呼吸機能検査(Table 1):正常範囲内であった. 心電図:心拍数82 /分,洞調律で,虚血性変化や不整 脈はみられなかった. 胸部X線写真,胸部CT(Figure 2):両側肺に不規則に 分布する類円形の結節影および浸潤影を認めた.両側肺 門,縦隔にリンパ節腫大を認めた. 全身PET-CT(Figure 3): 肺内多発結節影, 浸潤影, 肺門縦隔リンパ節,脾にそれぞれFDG集積亢進を認めた. 気管支鏡検査(BFS):気管,気管支の一部に毛細血管 の網目状拡張を認めた.経気管支肺生検(TBLB)で若干 の類上皮細胞,多核巨細胞の集簇を認めた.肉芽腫性病 変が示唆された. 胸腔鏡下肺生検:右肺中葉にて部分切除を施行した.he-matoxylin and eosin(HE)染色およびElastica van Gieson (EVG)染色(Figure 4)では,結節性病変は肺胞領域に広 く分布し,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫から成っており,多 核巨細胞も少なからず認められた.基本的な肺胞構造は保 たれている状態で,通常サルコイドーシスにみられる広 義間質の肉芽腫は少なく,肺胞腔内を主体に肉芽腫形成 が認められ,結節型サルコイドーシスがもっとも考えら れた.小円形細胞が浸潤していたが,悪性リンパ腫を示 唆する異型性や 単一性増殖像は認められなかった.フィ ブリノイド壊死を伴う肉芽腫は認められなかった.血管 外膜から中膜にかけて肉芽腫がみられたが,弾性線維は 保たれており,壊死性サルコイド肉芽腫症のような壊死 を伴う壁の破壊像はみられなかった.肉芽腫内にPropi-onibacterium acnes抗体(PAB)染色陽性の部位が認めら 34.0 months 42.0 months Figure 1. 紹介受診までの経過

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れた(Figure 5).抗酸菌および真菌染色,培養は陰性で あった.結核菌,Mycobacterium avium,Mycobacterium intracellulareのPCRは陰性であった.Epstein-Barr virus-encoded small RNA(EBER)染色は陰性であった.Pe-riodic acid-Schiff(PAS)染色は陰性であった.CD45RO, CD20染色は反応性パターンであった.リンパ系細胞の 表面マーカー,染色体に異常は認められなかった.これ らの所見は結節型サルコイドーシスに合致するもので, lymphomatoid granulomatosis(LYG), 悪 性 リ ン パ 腫, リウマトイド結節,Wegener肉芽腫症,抗酸菌感染症の 可能性は低いと考えられた. 上部消化管内視鏡: サルコイドーシスの病変検索を 行ったが,肉芽腫性病変はみられなかった. 肝生検:サルコイドーシスの病変検索を行ったが,肉 芽腫性病変はみられなかった. Holter心電図:異常はみられなかった. 心エコー:異常はみられなかった. 心MRI:異常はみられなかった. 眼科的検査:虹彩,毛様体,硝子体,網膜に異常はみ られなかった.白内障が認められた. 皮膚:毎年春から秋にかけて体幹・四肢に粟粒大の紅 斑が出現するため,紅斑出現時に皮膚生検を行ったが, 類上皮細胞肉芽腫はみられなかった. ●臨床経過(Figure 6):MTX服用中に多発肺結節影が 出現したことから,当初は LYGの可能性も考えられた. BFSを施行したところ,TBLBでは肉芽腫性疾患が示唆さ れたが,診断確定に至らなかった.胸腔鏡下肺生検を施 行し,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫など結節型サルコイドー シスに合致する病理所見が得られた.MTXのDLSTが陽 性であったことから,MTXによる薬剤性肺障害の可能性 を検討したが,病理所見が結節型サルコイドーシスに合 致することと,関節リウマチ患者におけるMTXのDLST は偽陽性率が50%以上という報告14)があることも考慮し, MTXによる薬剤性肺障害の可能性は低いと判断した. 肺に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められ,両側肺門 リンパ節腫脹が認められ,ツベルクリン反応陰性であり, lysozymeが高値であり,PET-CTで多臓器に集積が認 められ,サルコイドーシス以外の疾患が否定的であるこ とから,サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き− 2006 1)に準拠し,組織診断群のサルコイドーシスと診断 した.また,病期はⅡ期と診断した. 心,眼病変がみられず,呼吸機能が正常であることか ら,当初はステロイドを投与せず経過観察を行った.数ヵ 月の経過で肺の結節陰影は徐々に増加,増大し,咳,労 作時息切れ,37–38℃台の発熱等の症状が徐々に増強し た.CRP,sIL-2R高値が続いたため,初診から約10 ヵ月 Hematology WBC 7,500 /µL Neu 82 % Ly 12 % Mo 5 % Eo 1 % Ba 1 % RBC 473×104/µL Hb 13.3 g/dL Plt 29.2×104/µL Biochemistry TP 7.6 g/dL Alb 3.6 g/dL AST 29 IU/L ALT 21 IU/L LDH 218 IU/L BUN 11.2 mg/dL Cre 0.84 mg/dL Na 139 mEq/L K 4.0 mEq/L Cl 105 mEq/L Ca 9.1 mg/dL Glu 97 mg/dL ACE 16.3 IU/L lysozyme 17.0 µg/mL Serology / Immunology CRP 4.46 mg/dL PCT 0.06 ng/mL IgG 1,548 mg/dL sIL-2R 819 U/mL RF 710 IU/mL 抗CCP抗体 191 U/mL MMP3 15.1 ng/mL SAA 231 µg/mL MPO-ANCA <10 EU PR3-ANCA <10 EU KL-6 730 U/mL CEA 1.4 ng/mL CYFRA 4.2 ng/mL ProGRP 39.7 pg/mL CA19-9 7.0 U/mL QFT-3G 0.0 IU/mL (6 months later) IL-6 31.9 pg/mL TNF-α 7.2 pg/mL DLST MTX 470 SI(%) Urinalysis Prot (−) Glu (−) Ket (−) OB (−)

Pulmonary Function Test

%VC 111.2 % %FEV1.0 119.4 % FEV1.0/FVC 82.4 % %DLCO/VA 98.3 % PPD Skin Test 0×0/0×0 mm Table 1. 入院時検査所見

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関節リウマチをメトトレキサートで治療中のサルコイドーシス合併例 〔症例報告〕 後にステロイド治療を開始した.プレドニゾロン(PSL) 30 mg/日を内服したところ,数日後から咳,労作時呼吸 困難,発熱の改善がみられた.また肺の結節陰影も次第 に改善し,CRP,sIL-2Rは低下した.PSL開始から1ヵ月 後に25 mg/日へ減量し,以後の経過をみながらさらに漸 減していく方針とした. Figure 2. 入院時胸部X線写真(a),胸部CT(b) 両側肺に不規則に分布する類円形の結節影および浸潤影を認めた.両側肺門,縦隔にリンパ節 腫大を認めた. a) b) Figure 3. 全身PET-CT 肺内多発結節影,浸潤影,肺門縦隔リンパ節,脾にFDG集積亢進を認めた.

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関節リウマチをメトトレキサートで治療中のサルコイドーシス合併例 〔症例報告〕

42.5 months 52.5 months 54.0 months

Figure 6. 臨床経過

考察

本症例はサルコイドーシス発症時に63歳で,関節リウ マチの診断からおよそ3年半が経過していた.岡本らの 検討では,関節リウマチ初発患者におけるサルコイドー シスの発症年齢は41–75歳(平均57.4歳)であり,関節リ ウマチの発症からサルコイドーシス発症までの期間は1 –15年(平均7.5年)であった2).本症例の関節リウマチ発 症からサルコイドーシス発症までの期間は平均よりも短 かった.また,本症例では炎症所見が著明で,発熱もみ られたが,わが国で報告されたサルコイドーシスと関節 リウマチの合併症例の検討では,発熱や著明な炎症所見 を認めないものがほとんどであり,関節リウマチの寛解 期にサルコイドーシスが発症した症例が多いとされてい る2) 本症例では発熱,炎症が強いことがサルコイドーシス として非典型的であり,原因としてMTXによる薬剤性肺 障害,抗酸菌感染症,LYG,悪性リンパ腫等サルコイドー シス以外の疾患の可能性を慎重に検討した.抗酸菌感染 症,LYG,悪性リンパ腫は肺生検の病理所見,培養所見, 血液検査結果によって否定したが,MTXのDLSTが陽性 であったことから,MTXによる薬剤性肺障害の鑑別には さらなる検討を要した. MTXによる薬剤性肺障害でも類上皮細胞肉芽腫が認 められることがあるが,病変の主体は間質への細胞浸潤, 血管周囲の炎症,びまん性肺胞傷害とされており5),本症 例は該当しなかった.MTXのDLSTが陽性であったこと は,MTXによる薬剤性肺障害の可能性を示唆した.しか し,関節リウマチ患者を対象としてMTXに対するDLST の特異度を検討した報告14)によると,関節リウマチの治 療のためMTXを投与されているが有害事象を認めない 患者において,50.0%がDLST陽性であった.同報告は, DLSTの特異度は42.3%に過ぎなかったとしている.本症 例では,病理所見が結節型サルコイドーシスと合致する ことと併せ,MTXによる肺障害の可能性は低いと判断し たが,今後も慎重な検討が必要と考えられた. 本症例では肺以外に胃,肝,皮膚でも生検を行ったが, 類上皮細胞肉芽腫を確認できなかった.また,PET-CTの サルコイドーシス病変検出感度は高いとされているが3, 4) PET-CTでは肺,縦隔肺門リンパ節,脾以外に集積を認め なかった.本症例は発熱,炎症が強く,肺陰影が広範囲 で増悪が速いことから,サルコイドーシスとしての活動 性は高いと考えられたが,肺以外の病変の分布は比較的 限られていた. MTXは関節リウマチの治療薬として用いられる以外 に,サルコイドーシスの治療薬としても用いられる場合 がある.サルコイドーシスの治療では,第1選択薬とし てPSL等のステロイドが用いられることが多いが,ステ ロイドにMTXを併用することでPSLを減量することが できるとされている6–8).また,サルコイドーシスに対す るMTX単独での治療も行われ,有効な症例も報告されて いる9–11).文献9)の報告ではMTX 10–25 mg/週,文献 10)の報告ではMTX 7.5 mg/週が投与されている.サル コイドーシスに対するMTXの効果発現までには3週から 6ヵ月を要するとされている.本症例では,サルコイドー

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シス発症前に関節リウマチの治療としてMTXを4 mg/週 で開始し,漸増して20 ヵ月で10 mg/週に達し,10 mg/ 週で約10 ヵ月経過したところでサルコイドーシスを発症 した.文献10)でサルコイドーシスに対し有効だったと される7.5 mg/週を上回る量が関節リウマチ治療として投 与されている中でサルコイドーシスを発症したことから, MTXの効果が低いサルコイドーシスの症例である可能性 が考えられた. 関節リウマチ症状は比較的軽度であったため,MTXに よる薬剤性肺障害回避も考慮し,サルコイドーシス発症 後はMTXを中止した. サルコイドーシスは無治療でも自然軽快する例がしば しばみられ,文献12)によると,55例の無治療経過観察 で38例(69%)が安定,9例(16%)が改善した.本症 例では肺結節陰影が多発していたが,心,眼の病変がみ られず,呼吸機能が正常であったことから,まず経過観 察を行った.しかし10 ヵ月経過後も肺病変の増悪が続き, 咳が増強し,呼吸機能が低下したため,治療が必要と判 断して,サルコイドーシス治療に関する見解−200313) 準拠してPSL 30 mg/日による治療を開始した.PSL投与 開始後は速やかに症状,炎症,肺陰影とも改善がみられ, 治療反応性は良好であった.本症例は現在PSL単剤にて 改善が明らかであるが,今後なんらかの理由によりPSL を他薬剤に変更したり,PSL以外の薬剤を併用する必要 が生じた場合に,MTXを使用するか否かが問題となるか もしれない.サルコイドーシス治療薬としてのMTX使用 については,さらに多くの症例蓄積が望まれる.

結論

関節リウマチの治療としてMTXを投与中にサルコイ ドーシスを発症したと考えられる1例を経験した.経過 観察のみでは改善せず,PSLによる治療への反応は良好 であった.MTXはサルコイドーシスの治療薬としても用 いられる薬剤であるが,ステロイドとの併用についての 報告が多く,MTX単剤での治療についてはさらなる症例 蓄積が望ましい. 本症例の要旨は第32回日本サルコイドーシス/肉芽腫性 疾患学会総会(2012年10月6日,福岡市)において発表 した. 謝辞:本稿の作成にあたり,病理標本のPAB染色を行っ ていただいた東京医科歯科大学大学院人体病理学分野教 授江石義信先生に深謝いたします.また病理所見に関し ご教示いただいた日本赤十字社医療センター病理部常勤 顧問武村民子先生に深謝いたします.また治療方針につ いて貴重なご意見をいただいた国立病院機構東京病院呼 吸器センター長赤川志のぶ先生に深謝いたします.

引用文献

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Figure 6.   臨床経過 考察 本症例はサルコイドーシス発症時に63歳で,関節リウ マチの診断からおよそ3年半が経過していた.岡本らの 検討では,関節リウマチ初発患者におけるサルコイドー シスの発症年齢は41–75歳(平均57.4歳)であり,関節リ ウマチの発症からサルコイドーシス発症までの期間は1 –15年(平均7.5年)であった 2) .本症例の関節リウマチ発 症からサルコイドーシス発症までの期間は平均よりも短 かった.また,本症例では炎症所見が著明で,発熱もみ られたが,わが国で報告されたサル

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