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序 プリンシプル血液疾患の臨床 シリーズの一冊である本書のテーマは 貧血 である. 既刊 のテーマである白血病やリンパ腫 骨髄腫は, それぞれが一つの疾患概念であり広義の診断名である. したがって, 各疾患領域の診断手順は統一されており, 抗がん剤を用いた化学療法を行うという治療方針にも共通性がある

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 〈プリンシプル血液疾患の臨床〉シリーズの一冊である本書のテーマは「貧血」である.既刊 のテーマである白血病やリンパ腫・骨髄腫は,それぞれが一つの疾患概念であり広義の診断 名である.したがって,各疾患領域の診断手順は統一されており,抗がん剤を用いた化学療 法を行うという治療方針にも共通性がある.一方,「貧血」は独立した病名ではなくあくまで も症状の一つに過ぎないため,病態はもちろん診断法や治療法も異なる多種多様な疾患が含 まれている.このことは,白血病やリンパ腫あるいは骨髄腫を専門とする血液内科医は多い ものの,貧血全般を専門に掲げる血液内科医がほとんど見られないことにも表れている.  また,貧血症状を来す疾患は,そのほとんどが良性疾患であるため,患者のみならず医療 者側も重く受け止めていないことがある.更に,たとえ高度な貧血であっても「輸血」を用 いると急場をしのげることも,安易な診療につながる危険性をはらんでいる.  こうした事情を考慮し,本書ではいくつかの工夫を試みた.まず,貧血を発症機序の共通 性に基づいて 4 領域に分類し,各章の構成はあえて統一せず,それぞれの疾患群の特性にあっ た内容とした. ・「造血必須物質の欠乏による貧血」では,日常診療でもっとも遭遇する鉄欠乏性貧血の理解 を深めるために,話題のピロリ菌除菌療法,鉄代謝のバイオマーカーおよび栄養指導につ いてミニレクチャーを設けた. ・「溶血性貧血」の存在診断自体は比較的容易であるものの,その後の病型分類にしばしば難 渋することから,全体の診断手順を俯瞰した後,各病型における診療のコツをそれぞれの 専門家に紹介していただいた. ・「骨髄不全とその周辺疾患」は互いの鑑別診断がしばしば困難なため,まず,検査・診断の ポイントについて集中的な解説を試みた. ・「続発性貧血」では,造血器疾患ではないために見落とされがちな anemiaofchronic disease(ACD)と薬剤性貧血を取り上げた. ・また,序章では初期研修医を対象として,実際の血液検査データを用いた具体的な診断手 順を再現した.  本書は,初めて貧血患者を担当する初期研修医,新米血液内科医,更には他の血液疾患領 域のスペシャリストであるベテラン血液専門医を対象とした,よくばった内容になっている. 本書で紹介された診療のコツと最新の知見が,明日からの日常臨床の一助になれば幸いである.   2014 年 5 月 金沢大学附属病院輸血部

山𥔎宏人

(3)

序章

初診時のアプローチ

……… 山𥔎 宏人

2

造血必須物質の欠乏による貧血

1

鉄欠乏性貧血

……… 山𥔎 宏人

10

  

Advice from Expert 鉄剤処方時のコツ ……… 16

Mini Lecture 鉄剤不応性/再発性鉄欠乏性貧血に対する Helicobacter pylori 除菌療法 ……… 今野 武津子 19 Mini Lecture 鉄代謝のバイオマーカー ……… 生田 克哉,畑山 真弓,伊藤 巧 23

巨赤芽球性貧血

……… 大西 康 29

  

Basic Point 悪性貧血(PA)と VB12発見の歴史 ……… 30

  

Basic Point 検査所見で注意すべき点 ……… 34

  

Advice from Expert VB12値が高いときの注意点 ……… 35

微量元素(亜鉛/銅)欠乏による貧血

……… 宮腰 重三郎 38

  

Advice from Expert 知っておきたい銅欠乏性貧血の診断例 ……… 41

腎性貧血

……… 友杉 直久 42

  

Advice from Expert EPO 産生に影響する因子 ……… 45

Mini Lecture 貧血患者に対する栄養指導 ……… 岩田 加壽子,原 なぎさ 53

溶血性貧血

2

病型診断の進め方

……… 唐澤 正光 60

  

Basic Point 血管外溶血と血管内溶血 ……… 63

自己免疫性溶血性貧血(温式)

……… 亀崎 豊実 66

  

Topics ステロイド短期併用低用量リツキシマブ療法 ……… 74 Pitfall Coombs 陰性自己免疫性溶血性貧血 ……… 亀崎 豊実 76

寒冷凝集素症

……… 石田 陽治,小宅 達郎 79

発作性寒冷ヘモグロビン尿症

……… 石田 陽治,藤島 行輝 84

発作性夜間ヘモグロビン尿症

……… 西村 純一 87

  

Topics OPTIMA 試験 ……… 91

遺伝性球状赤血球症

……… 和田 秀穂 99

赤血球酵素異常症

……… 菅野 仁 106

サラセミア

……… 服部 幸夫,山城 安啓 110

  

Basic Point 胎児細胞あるいは組織のサンプリング ……… 118

  

Basic Point fetal cells in maternal blood ……… 118

不安定ヘモグロビン症

……… 菅野 仁 121

骨髄不全とその周辺疾患

3

検査・診断

 免疫病態の診断 ……… 中尾 眞二 126

  

Basic Point 6pUPD と HLA アレル ……… 130

 異形成所見 ……… 栗山 一孝 134  骨髄病理 ……… 伊藤 雅文 142  染色体分析・遺伝子検査 ……… 南谷 泰仁,黒川 峰夫 150

  

Basic Point 5q-症候群 ……… 151

  

Advice from Expert monosomal karyotype(MK) ……… 154

 フローサイトメトリーを用いた表面形質の解析 ……… 緒方 清行,山元 由美 157

  

Basic Point The MDS foundation(国際 MDS 財団) ……… 160

 画像検査 ……… 小澤 栄人 162  骨髄異形成症候群の病型分類 ……… 松田 晃 166

  

Basic Point 小児不応性血球減少症(RCC)の問題点 ……… 170

  

Basic Point IPSS の問題点 ……… 172

  

Basic Point WPSS と refined WPSS の問題点 ……… 174

  

Topics 遺伝子変異を組み込んだリスク分類の可能性 ……… 175

再生不良性貧血〈成人〉

……… 山𥔎 宏人 177 Mini Lecture ATG 投与後の EBV 再活性化とその対策 ……… 大畑 欣也 193

再生不良性貧血〈小児〉

……… 谷ヶ崎 博 196

  

Topics 完全ドナー型造血不全についての最新知見 ……… 201

  

Topics ATG 製剤の評価について ……… 203

〈プリンシプル血液疾患の臨床〉

(4)

vi vii 序章

初診時のアプローチ

……… 山𥔎 宏人

2

造血必須物質の欠乏による貧血

1

鉄欠乏性貧血

……… 山𥔎 宏人

10

  

Advice from Expert 鉄剤処方時のコツ ……… 16

Mini Lecture 鉄剤不応性/再発性鉄欠乏性貧血に対する Helicobacter pylori 除菌療法 ……… 今野 武津子 19 Mini Lecture 鉄代謝のバイオマーカー ……… 生田 克哉,畑山 真弓,伊藤 巧 23

巨赤芽球性貧血

……… 大西 康 29

  

Basic Point 悪性貧血(PA)と VB12発見の歴史 ……… 30

  

Basic Point 検査所見で注意すべき点 ……… 34

  

Advice from Expert VB12値が高いときの注意点 ……… 35

微量元素(亜鉛/銅)欠乏による貧血

……… 宮腰 重三郎 38

  

Advice from Expert 知っておきたい銅欠乏性貧血の診断例 ……… 41

腎性貧血

……… 友杉 直久 42

  

Advice from Expert EPO 産生に影響する因子 ……… 45

Mini Lecture 貧血患者に対する栄養指導 ……… 岩田 加壽子,原 なぎさ 53

溶血性貧血

2

病型診断の進め方

……… 唐澤 正光 60

  

Basic Point 血管外溶血と血管内溶血 ……… 63

自己免疫性溶血性貧血(温式)

……… 亀崎 豊実 66

  

Topics ステロイド短期併用低用量リツキシマブ療法 ……… 74 Pitfall Coombs 陰性自己免疫性溶血性貧血 ……… 亀崎 豊実 76

寒冷凝集素症

……… 石田 陽治,小宅 達郎 79

発作性寒冷ヘモグロビン尿症

……… 石田 陽治,藤島 行輝 84

発作性夜間ヘモグロビン尿症

……… 西村 純一 87

  

Topics OPTIMA 試験 ……… 91

遺伝性球状赤血球症

……… 和田 秀穂 99

赤血球酵素異常症

……… 菅野 仁 106

サラセミア

……… 服部 幸夫,山城 安啓 110

  

Basic Point 胎児細胞あるいは組織のサンプリング ……… 118

  

Basic Point fetal cells in maternal blood ……… 118

不安定ヘモグロビン症

……… 菅野 仁 121

骨髄不全とその周辺疾患

3

検査・診断

 免疫病態の診断 ……… 中尾 眞二 126

  

Basic Point 6pUPD と HLA アレル ……… 130

 異形成所見 ……… 栗山 一孝 134  骨髄病理 ……… 伊藤 雅文 142  染色体分析・遺伝子検査 ……… 南谷 泰仁,黒川 峰夫 150

  

Basic Point 5q-症候群 ……… 151

  

Advice from Expert monosomal karyotype(MK) ……… 154

 フローサイトメトリーを用いた表面形質の解析 ……… 緒方 清行,山元 由美 157

  

Basic Point The MDS foundation(国際 MDS 財団) ……… 160

 画像検査 ……… 小澤 栄人 162  骨髄異形成症候群の病型分類 ……… 松田 晃 166

  

Basic Point 小児不応性血球減少症(RCC)の問題点 ……… 170

  

Basic Point IPSS の問題点 ……… 172

  

Basic Point WPSS と refined WPSS の問題点 ……… 174

  

Topics 遺伝子変異を組み込んだリスク分類の可能性 ……… 175

再生不良性貧血〈成人〉

……… 山𥔎 宏人 177 Mini Lecture ATG 投与後の EBV 再活性化とその対策 ……… 大畑 欣也 193

再生不良性貧血〈小児〉

……… 谷ヶ崎 博 196

  

Topics 完全ドナー型造血不全についての最新知見 ……… 201

  

Topics ATG 製剤の評価について ……… 203

〈プリンシプル血液疾患の臨床〉

(5)

  

Topics 造血不全の遺伝的背景の究明 ……… 206

Fanconi 貧血

……… 矢部 みはる 208

  

Basic Point Fanconi 貧血(FA)患者の造血幹細胞移植の適応 ……… 210 Pitfall 成人 Fanconi 貧血 小児科医からのアドバイス ……… 矢部 みはる 213

先天性角化不全症

……… 坂口 大俊,高橋 義行,小島 勢二 214

骨髄異形成症候群〈成人〉

……… 石川 隆之 220

  

Topics アザシチジン治療と従来の治療の比較試験の詳細 ……… 227 Mini Lecture 5q-症候群 ……… 通山 薫,岡本 秀一郎 230 Pitfall ICUS(idiopathic cytopenia of undetermined significance) ……… 安藤 恵子,大屋敷 一馬 234 Pitfall 鉄芽球性貧血 ……… 藤原 亨,張替 秀郎 237

骨髄異形成症候群〈小児〉

……… 上野 浩生,真部 淳 240

赤芽球癆

……… 廣川 誠,澤田 賢一 249 Mini Lecture 輸血後鉄過剰症 ……… 鈴木 隆浩 257

続発性貧血

4

anemia of chronic disease(ACD)

……… 臼杵 憲祐 264

  

Basic Point フェリチン ……… 268

  

Topics 鉄代謝の自然免疫における役割 ……… 270

  

Advice from Expert エリスロポエチン(EPO)の使用とがん ……… 271

薬剤性貧血

……… 半下石 明 273

索引

……… 281

執筆者一覧

(執筆順) 山𥔎 宏人 金沢大学附属病院輸血部 今野武津子 札幌厚生病院小児科 生田 克哉 旭川医科大学内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野 畑山 真弓 旭川医科大学内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野 伊藤  巧 旭川医科大学内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野 大西  康 東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野 宮腰重三郎 東京都健康長寿医療センター血液内科 友杉 直久 金沢医科大学総合医学研究所 先端医療研究領域加齢制御研究分野 岩田加壽子 三重大学医学部附属病院 栄養管理部栄養指導管理室 原 なぎさ 三重大学医学部附属病院 栄養管理部栄養指導管理室 唐澤 正光 公立碓氷病院内科 亀崎 豊実 自治医科大学地域医療学センター 石田 陽治 岩手医科大学内科学講座血液・腫瘍内科分野 小宅 達郎 岩手医科大学内科学講座血液・腫瘍内科分野 藤島 行輝 岩手医科大学内科学講座血液・腫瘍内科分野 西村 純一 大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学 和田 秀穂 川崎医科大学血液内科学 菅野  仁 東京女子医科大学病院 輸血・細胞プロセシング部 服部 幸夫 済生会山口総合病院検査部/山口大学名誉教授 山城 安啓 山口大学医学部保健学科病態検査学 中尾 眞二 (血液・呼吸器内科)金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学 栗山 一孝 長崎原子爆弾被爆者対策協議会中央検診所 伊藤 雅文 名古屋第一赤十字病院病理部 南谷 泰仁 東京大学大学院医学系研究科 生体防御腫瘍内科学講座血液・腫瘍内科学 黒川 峰夫 東京大学大学院医学系研究科 生体防御腫瘍内科学講座血液・腫瘍内科学 緒方 清行 東京血液疾患研究所/ 新百合ヶ丘総合病院血液内科 山元 由美 東京血液疾患研究所 小澤 栄人 埼玉医科大学国際医療センター画像診断科 松田  晃 埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科 大畑 欣也 金沢大学附属病院血液内科 谷ヶ崎 博 日本大学医学部小児科学系小児科学分野 矢部みはる 東海大学医学部附属病院細胞移植再生医療科 坂口 大俊 名古屋第一赤十字病院 小児医療センター小児血液腫瘍科 高橋 義行 名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学/成長発達医学 小島 勢二 名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学/成長発達医学 石川 隆之 神戸市立医療センター中央市民病院血液内科 通山  薫 川崎医科大学検査診断学 岡本秀一郎 川崎医科大学検査診断学 安藤 恵子 東京医科大学血液内科学分野 大屋敷一馬 東京医科大学血液内科学分野 藤原  亨 東北大学大学院医学系研究科 血液分子治療学寄附講座 張替 秀郎 東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野 上野 浩生 京都大学大学院医学研究科発達小児科学講座 真部  淳 聖路加国際病院小児科 廣川  誠 秋田大学医学部総合診療・検査診断学講座 澤田 賢一 秋田大学医学部内科学講座血液内科学分野・ 腎臓膠原病内科学分野 鈴木 隆浩 自治医科大学医学部内科学講座血液学部門 臼杵 憲祐 NTT 東日本関東病院血液内科 半下石 明 NTT 東日本関東病院血液内科

(6)

10 第 1 章 造血必須物質の欠乏による貧血 鉄欠乏性貧血 11

1

造血必須物質の欠乏による貧血

 赤血球に含まれるヘモグロビン(hemoglobin;Hb)は,体内の各組織に酸 素を運搬する働きを担う.Hb はヘムとグロビンから構成され,酸素と結合す る鉄はヘムの合成に必要不可欠である.鉄は錆びる(すなわち酸化する)と赤 くなる.同様に,Hb の鉄も酸素と結合すると赤くなる.これが,血液が「赤色」 を呈している理由である.

 鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia)は,Hb 合成に必須の鉄が不足する ことに起因する「赤血球系造血障害」の一つであるものの,簡便な診断方法と 治療法がすでに確立されていることから,必ずしも血液専門医の診療を必要と はしない.実際,多くの一般内科医がその診療にあたっており,日常診療で苦 慮することもほとんどない.しかし,その手軽さから,診断や治療が必ずしも 適切ではない事例も散見される.

疫学

 鉄欠乏性貧血の正確な頻度は明らかではないが,わが国における女性の罹患 率は 10 % 程度,20〜50 歳未満の女性に限れば 20 % 程度と推測されている. また,貧血の診断基準は満たさないものの,潜在的な鉄欠乏状態は女性の約半 数に上るとされる.一方,成人男性の鉄欠乏性貧血は 2 % 以下と少ない.  先進国のなかでも,日本の鉄欠乏性貧血罹患率は高いとされる.飽食の時代 といわれながら,鉄欠乏性貧血の頻度が増加傾向にあるのは,食生活の変化や 過度のダイエットなどによる摂取不足が原因と推測される.海外では鉄の摂取 不足を補うための施策を積極的に展開している国もある.わが国においても, 個々人の努力に任せるのみならず,国全体としての予防対策が必要かもしれな い.

鉄欠乏性貧血

生体内の鉄代謝

 鉄代謝に関する知識は,鉄欠乏性貧血の病態生理を理解するうえで有益である. 鉄の体内分布  成人の体内には 3〜4 g(男性 50 mg/kg,女性 30 mg/kg)の鉄が存在し, その 2/3 は赤血球中の Hb に結合している.残りの大部分はフェリチンやヘモ ジデリンに結合した「貯蔵鉄」であり,その他,1)に示すように少量ずつさ まざまな様式で存在している. 体内での鉄動態)  ヒトは食物から鉄を取り込んでいる.1 日の食事中に含まれる鉄量は約 10〜 15 mg で,そのうちわずか 10〜15 % 程度が吸収される.鉄の吸収は十二指腸 〜上部空腸の管腔側上皮細胞に発現する二価金属輸送体(divalent metal transporter 1;DMT1)を介して行われる.DMT1 は二価の金属イオンのみ が通過できる.食物に含まれる鉄は,ヘム鉄と非ヘム鉄に分けられる.肉や魚 などの動物性食品に多く含まれるヘム鉄は二価鉄(Fe2+,第一鉄)のため,十 二指腸粘膜からそのまま吸収され,その吸収率は 20〜30 % 程度である.一方, 非ヘム鉄は野菜や海藻などの植物性食品に多く含まれる鉄で,その吸収率は 5 % 程度にすぎない.これは,非ヘム鉄の多くが三価鉄(Fe3+,第二鉄)とし て食物中に存在するため,そのままでは DMT1 を通過することができず,チ トクローム b によっていったん二価鉄に還元される必要があるからである.腸 上皮細胞に吸収された二価鉄は,基底膜側の鉄トランスポーターであるフェロ ポーチン-1(ferroportin-1)*1を介して腸上皮細胞から循環血漿中に入る.こ の際,二価鉄は三価鉄へと酸化されトランスフェリンと速やかに結合する.こ のようにして食物を通じて吸収される鉄は,1 日にわずか 1 mg 程度である. この鉄吸収の繊細な調節には,肝臓で合成されるヘプシジンが関与している. ヘプシジンはフェロポーチン-1 を分解することよって細胞内から血漿中への *1 フェロポルチン -1 とも表記される.

MEMO

フェリチン 分子量が約 450,000 の 蛋白質.H 鎖と L 鎖の 2 種類のサブユニットが 24 個集合したヘテロポ リマー構造で,その内部 に 三 価 鉄 原 子 を 最 大 4,500 個収容可能. トランスフェリン 分子量が約 80,000 の糖 蛋白質.1 分子あたり 2 原子の三価鉄と非常に高 い親和性で結合する. ヘプシジン 主に肝臓で産生されるペ プチドホルモンで,消化 管での鉄の吸収やマクロ ファージからの鉄の放出 を抑制することによっ て,鉄の細胞内から細胞 外への排出を阻害する機 能を有する.貧血に伴っ たエリスロポエチンの産 生亢進時や低酸素状態で はヘプシジンの発現が抑 制されるため,鉄吸収が 亢進する.逆に血漿中の 鉄量増加時はヘプシジン 発現を増加させることで 鉄吸収を抑制している. なお,インターロイキン -6 などの炎症性サイトカ インは,体内鉄量と無関 係にヘプシジンを増加さ せる.慢性炎症による貧 血の進行にはこの機序が 関与している. ❶鉄の体内分布 所在部位 鉄結合物 機能 鉄量(mg) 総鉄量に対する割合(%) 血液中 赤血球 ヘモグロビン 酸素の運搬 2,600 65 血漿 トランスフェリン 鉄の運搬 0.003 0.1 組織内(細胞質内, ミトコンドリア内) フェリチン ヘモジデリン 鉄の貯蔵 520 480 13 12 ミオグロビン 酸素の貯蔵 0.13 6 その他(酵素など) 微量 3.9 成人全鉄量 3~4 g(男性 50 mg/kg,女性 30 mg/kg) Hb 1g=鉄 3.4 mg

(Andrews NC. Wintrobe’s Clinical Hematology. 12th ed. 20081)をもとに作成)

▶ ▶血清鉄低下のみでは診断せず,必ずフェリチンの低下を確認する. ▶ ▶貧血の原因となる消化管疾患や婦人科疾患などの検索を必ず行う. ▶ ▶治療の第一選択は経口鉄剤である. ▶ ▶高度の貧血であっても症状が乏しい場合は安易な輸血は避ける. ▶ ▶フェリチン値が正常化するまで経口鉄剤は中止しない.

Point

(7)

1

造血必須物質の欠乏による貧血

 赤血球に含まれるヘモグロビン(hemoglobin;Hb)は,体内の各組織に酸 素を運搬する働きを担う.Hb はヘムとグロビンから構成され,酸素と結合す る鉄はヘムの合成に必要不可欠である.鉄は錆びる(すなわち酸化する)と赤 くなる.同様に,Hb の鉄も酸素と結合すると赤くなる.これが,血液が「赤色」 を呈している理由である.

 鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia)は,Hb 合成に必須の鉄が不足する ことに起因する「赤血球系造血障害」の一つであるものの,簡便な診断方法と 治療法がすでに確立されていることから,必ずしも血液専門医の診療を必要と はしない.実際,多くの一般内科医がその診療にあたっており,日常診療で苦 慮することもほとんどない.しかし,その手軽さから,診断や治療が必ずしも 適切ではない事例も散見される.

疫学

 鉄欠乏性貧血の正確な頻度は明らかではないが,わが国における女性の罹患 率は 10 % 程度,20〜50 歳未満の女性に限れば 20 % 程度と推測されている. また,貧血の診断基準は満たさないものの,潜在的な鉄欠乏状態は女性の約半 数に上るとされる.一方,成人男性の鉄欠乏性貧血は 2 % 以下と少ない.  先進国のなかでも,日本の鉄欠乏性貧血罹患率は高いとされる.飽食の時代 といわれながら,鉄欠乏性貧血の頻度が増加傾向にあるのは,食生活の変化や 過度のダイエットなどによる摂取不足が原因と推測される.海外では鉄の摂取 不足を補うための施策を積極的に展開している国もある.わが国においても, 個々人の努力に任せるのみならず,国全体としての予防対策が必要かもしれな い.

鉄欠乏性貧血

生体内の鉄代謝

 鉄代謝に関する知識は,鉄欠乏性貧血の病態生理を理解するうえで有益である. 鉄の体内分布  成人の体内には 3〜4 g(男性 50 mg/kg,女性 30 mg/kg)の鉄が存在し, その 2/3 は赤血球中の Hb に結合している.残りの大部分はフェリチンやヘモ ジデリンに結合した「貯蔵鉄」であり,その他,1)に示すように少量ずつさ まざまな様式で存在している. 体内での鉄動態)  ヒトは食物から鉄を取り込んでいる.1 日の食事中に含まれる鉄量は約 10〜 15 mg で,そのうちわずか 10〜15 % 程度が吸収される.鉄の吸収は十二指腸 〜上部空腸の管腔側上皮細胞に発現する二価金属輸送体(divalent metal transporter 1;DMT1)を介して行われる.DMT1 は二価の金属イオンのみ が通過できる.食物に含まれる鉄は,ヘム鉄と非ヘム鉄に分けられる.肉や魚 などの動物性食品に多く含まれるヘム鉄は二価鉄(Fe2+,第一鉄)のため,十 二指腸粘膜からそのまま吸収され,その吸収率は 20〜30 % 程度である.一方, 非ヘム鉄は野菜や海藻などの植物性食品に多く含まれる鉄で,その吸収率は 5 % 程度にすぎない.これは,非ヘム鉄の多くが三価鉄(Fe3+,第二鉄)とし て食物中に存在するため,そのままでは DMT1 を通過することができず,チ トクローム b によっていったん二価鉄に還元される必要があるからである.腸 上皮細胞に吸収された二価鉄は,基底膜側の鉄トランスポーターであるフェロ ポーチン-1(ferroportin-1)*1を介して腸上皮細胞から循環血漿中に入る.こ の際,二価鉄は三価鉄へと酸化されトランスフェリンと速やかに結合する.こ のようにして食物を通じて吸収される鉄は,1 日にわずか 1 mg 程度である. この鉄吸収の繊細な調節には,肝臓で合成されるヘプシジンが関与している. ヘプシジンはフェロポーチン-1 を分解することよって細胞内から血漿中への *1 フェロポルチン -1 とも表記される.

MEMO

フェリチン 分子量が約 450,000 の 蛋白質.H 鎖と L 鎖の 2 種類のサブユニットが 24 個集合したヘテロポ リマー構造で,その内部 に 三 価 鉄 原 子 を 最 大 4,500 個収容可能. トランスフェリン 分子量が約 80,000 の糖 蛋白質.1 分子あたり 2 原子の三価鉄と非常に高 い親和性で結合する. ヘプシジン 主に肝臓で産生されるペ プチドホルモンで,消化 管での鉄の吸収やマクロ ファージからの鉄の放出 を抑制することによっ て,鉄の細胞内から細胞 外への排出を阻害する機 能を有する.貧血に伴っ たエリスロポエチンの産 生亢進時や低酸素状態で はヘプシジンの発現が抑 制されるため,鉄吸収が 亢進する.逆に血漿中の 鉄量増加時はヘプシジン 発現を増加させることで 鉄吸収を抑制している. なお,インターロイキン -6 などの炎症性サイトカ インは,体内鉄量と無関 係にヘプシジンを増加さ せる.慢性炎症による貧 血の進行にはこの機序が 関与している. ❶鉄の体内分布 所在部位 鉄結合物 機能 鉄量(mg) 総鉄量に対する割合(%) 血液中 赤血球 ヘモグロビン 酸素の運搬 2,600 65 血漿 トランスフェリン 鉄の運搬 0.003 0.1 組織内(細胞質内, ミトコンドリア内) フェリチン ヘモジデリン 鉄の貯蔵 520 480 13 12 ミオグロビン 酸素の貯蔵 0.13 6 その他(酵素など) 微量 3.9 成人全鉄量 3~4 g(男性 50 mg/kg,女性 30 mg/kg) Hb 1g=鉄 3.4 mg

(Andrews NC. Wintrobe’s Clinical Hematology. 12th ed. 20081)をもとに作成)

▶ ▶血清鉄低下のみでは診断せず,必ずフェリチンの低下を確認する. ▶ ▶貧血の原因となる消化管疾患や婦人科疾患などの検索を必ず行う. ▶ ▶治療の第一選択は経口鉄剤である. ▶ ▶高度の貧血であっても症状が乏しい場合は安易な輸血は避ける. ▶ ▶フェリチン値が正常化するまで経口鉄剤は中止しない.

Point

(8)

12 第 1 章 造血必須物質の欠乏による貧血 鉄欠乏性貧血 13 鉄排出を低下させ,細胞内に鉄を蓄えることによって鉄吸収を抑制している.  一方,生体内には鉄の能動的な排出機構は備えられていないものの,腸粘膜 や皮膚の脱落,あるいは便・尿・汗などとともに 1 mg 程度が排泄されるため, 出納のバランスがとれている.  このように,体内の鉄はわずかな出入りがあるものの,生理的な状態ではほ ぼ同量を維持している.そのため,出血などによる鉄の喪失,摂取量の低下, あるいは需要の増大などが加わると,容易に鉄欠乏状態に至ってしまう.実際, 成人女性の場合は月経による出血で 1 日平均 2 mg,妊娠した場合は胎児への 鉄補給も加わり 1 日平均 3 mg の鉄が必要となるため,特別に意識して鉄分を 摂取しない限り常に鉄不足の状態にある().  なお,赤血球産生に必要な Hb 合成には 1 日あたり 20 mg の鉄を必要とす るが,その大部分は古くなった赤血球を脾臓(網内系)のマクロファージが破 壊することによって得られる鉄を再利用している.

原因

 鉄欠乏性貧血は,ヘムの構成成分の一つである鉄イオンが不足し,ヘム合成 が障害された結果,Hb が合成されなくなるために生じる貧血である.鉄欠乏 をきたす原因としては,①出血による鉄の喪失(月経,消化管疾患,婦人科疾 患など),②鉄供給の減少(偏食や胃切除後あるいは Helicobacter pylori〈H. pylori〉感染などによる鉄吸収不足など),③鉄需要の増大(妊娠や成長期など) がある.なお,マラソンやテニスなどのスポーツ選手では,物理的破壊によっ て少量の血管内溶血が起こり,その結果,ヘモグロビン尿が産生され鉄喪失を 引き起こすことがある.  ヒトの消化管内に寄生して消化管壁から血を吸う「鉤虫」が鉄欠乏性貧血の 原因となる場合がある.通常は栄養状態の悪い発展途上国でよくみられるが, 海外渡航歴がある場合には注意深い問診が必要である.

鉄欠乏の病期

 前述したように,通常,体内の鉄量は一定に保たれている.しかし,何らかの 原因で鉄が不足すると,まず貯蔵鉄の減少が始まる.これはフェリチン値の低 下に反映される.鉄不足が持続すると,貯蔵鉄は枯渇しているが貧血には至っ ていない「潜在性鉄欠乏」状態を経て,最終的に鉄欠乏性貧血を発症する().

症状

 鉄欠乏性貧血では,貧血の一般的な症状のほか,鉄欠乏自体による特有の症 状がみられる.  貧血を呈する疾患に共通の症状として,易疲労感,全身倦怠感,頭痛,めま いなど組織の酸素不足による症状のほか,それを代償しようとして生体が反応 する脈拍・心拍出量・呼吸数の増加に伴う動悸・息切れがある.しかし,貧血 がゆっくりと進行した場合,これらの症状は自覚されにくい.すなわち,症状 の程度と Hb 値のレベルとは必ずしも相関せず,貧血の進行速度が大きく影響 する.  診察上は,皮膚・粘膜・眼瞼結膜の蒼白,浮腫のほか,頻脈,頻呼吸,機能 性収縮期雑音,頸静脈雑音などを認めることがある.  鉄欠乏性貧血に特有の症状として,匙状爪(spoon nail)が有名であるものの, 健康診断のシステムが発達した現在では実際の臨床現場で認めることはめった 血漿:Fe +トランスフェリン 食物中の鉄 10 mg 十二指腸:上皮細胞 腸粘膜・皮膚・便・尿・汗からの排泄 1 mg 吸収 1 mg 筋肉など 末梢血:赤血球 肝臓 骨髄:赤芽球前駆細胞 Hb の合成 鉄吸収を抑制 ヘプシジン 鉄放出を抑制 基底膜側: フェロポーチン-1 管腔側: DMT1 利用 利用 貯蔵 再利用 一部貯蔵 網内系マクロファージ ①老廃赤血球の破壊 ②Hb からの鉄の取り込み ❷体内における鉄動態

DMT1: divalent metal transporter 1

(Andrews NC. Wintrobe’s Clinical Hematology. 12th ed. 20081)をもとに作成)

❸鉄の 1 日必要量 成人女性  妊婦  非妊婦  閉経後 3 mg 2 mg 1 mg 成人男性 1 mg 小児 0.5 mg 乳児 1 mg 貯蔵鉄 血清鉄 Hbの鉄 鉄欠乏性貧血 フェリチン低下 血清鉄低下 Hb 低下(貧血) 潜在性鉄欠乏 フェリチン低下 血清鉄低下 潜在性鉄欠乏 フェリチン低下 正常 ❹鉄欠乏の病期

MEMO

女性の鉄喪失 ① 1 回の月経量は 40〜 80 mL な の で,1 回 の 月経による鉄喪失は 20 〜40 mg(Hb 1 g は 鉄 3.4 mg を含有する),② 妊娠中の胎児への鉄補給 は 300 mg,③授乳によ る鉄喪失は 30 mg/mL.

(9)

鉄排出を低下させ,細胞内に鉄を蓄えることによって鉄吸収を抑制している.  一方,生体内には鉄の能動的な排出機構は備えられていないものの,腸粘膜 や皮膚の脱落,あるいは便・尿・汗などとともに 1 mg 程度が排泄されるため, 出納のバランスがとれている.  このように,体内の鉄はわずかな出入りがあるものの,生理的な状態ではほ ぼ同量を維持している.そのため,出血などによる鉄の喪失,摂取量の低下, あるいは需要の増大などが加わると,容易に鉄欠乏状態に至ってしまう.実際, 成人女性の場合は月経による出血で 1 日平均 2 mg,妊娠した場合は胎児への 鉄補給も加わり 1 日平均 3 mg の鉄が必要となるため,特別に意識して鉄分を 摂取しない限り常に鉄不足の状態にある().  なお,赤血球産生に必要な Hb 合成には 1 日あたり 20 mg の鉄を必要とす るが,その大部分は古くなった赤血球を脾臓(網内系)のマクロファージが破 壊することによって得られる鉄を再利用している.

原因

 鉄欠乏性貧血は,ヘムの構成成分の一つである鉄イオンが不足し,ヘム合成 が障害された結果,Hb が合成されなくなるために生じる貧血である.鉄欠乏 をきたす原因としては,①出血による鉄の喪失(月経,消化管疾患,婦人科疾 患など),②鉄供給の減少(偏食や胃切除後あるいは Helicobacter pylori〈H. pylori〉感染などによる鉄吸収不足など),③鉄需要の増大(妊娠や成長期など) がある.なお,マラソンやテニスなどのスポーツ選手では,物理的破壊によっ て少量の血管内溶血が起こり,その結果,ヘモグロビン尿が産生され鉄喪失を 引き起こすことがある.  ヒトの消化管内に寄生して消化管壁から血を吸う「鉤虫」が鉄欠乏性貧血の 原因となる場合がある.通常は栄養状態の悪い発展途上国でよくみられるが, 海外渡航歴がある場合には注意深い問診が必要である.

鉄欠乏の病期

 前述したように,通常,体内の鉄量は一定に保たれている.しかし,何らかの 原因で鉄が不足すると,まず貯蔵鉄の減少が始まる.これはフェリチン値の低 下に反映される.鉄不足が持続すると,貯蔵鉄は枯渇しているが貧血には至っ ていない「潜在性鉄欠乏」状態を経て,最終的に鉄欠乏性貧血を発症する().

症状

 鉄欠乏性貧血では,貧血の一般的な症状のほか,鉄欠乏自体による特有の症 状がみられる.  貧血を呈する疾患に共通の症状として,易疲労感,全身倦怠感,頭痛,めま いなど組織の酸素不足による症状のほか,それを代償しようとして生体が反応 する脈拍・心拍出量・呼吸数の増加に伴う動悸・息切れがある.しかし,貧血 がゆっくりと進行した場合,これらの症状は自覚されにくい.すなわち,症状 の程度と Hb 値のレベルとは必ずしも相関せず,貧血の進行速度が大きく影響 する.  診察上は,皮膚・粘膜・眼瞼結膜の蒼白,浮腫のほか,頻脈,頻呼吸,機能 性収縮期雑音,頸静脈雑音などを認めることがある.  鉄欠乏性貧血に特有の症状として,匙状爪(spoon nail)が有名であるものの, 健康診断のシステムが発達した現在では実際の臨床現場で認めることはめった 血漿:Fe +トランスフェリン 食物中の鉄 10 mg 十二指腸:上皮細胞 腸粘膜・皮膚・便・尿・汗からの排泄 1 mg 吸収 1 mg 筋肉など 末梢血:赤血球 肝臓 骨髄:赤芽球前駆細胞 Hb の合成 鉄吸収を抑制 ヘプシジン 鉄放出を抑制 基底膜側: フェロポーチン-1 管腔側: DMT1 利用 利用 貯蔵 再利用 一部貯蔵 網内系マクロファージ ①老廃赤血球の破壊 ②Hb からの鉄の取り込み ❷体内における鉄動態

DMT1: divalent metal transporter 1

(Andrews NC. Wintrobe’s Clinical Hematology. 12th ed. 20081)をもとに作成)

❸鉄の 1 日必要量 成人女性  妊婦  非妊婦  閉経後 3 mg 2 mg 1 mg 成人男性 1 mg 小児 0.5 mg 乳児 1 mg 貯蔵鉄 血清鉄 Hbの鉄 鉄欠乏性貧血 フェリチン低下 血清鉄低下 Hb 低下(貧血) 潜在性鉄欠乏 フェリチン低下 血清鉄低下 潜在性鉄欠乏 フェリチン低下 正常 ❹鉄欠乏の病期

MEMO

女性の鉄喪失 ① 1 回の月経量は 40〜 80 mL な の で,1 回 の 月経による鉄喪失は 20 〜40 mg(Hb 1 g は 鉄 3.4 mg を含有する),② 妊娠中の胎児への鉄補給 は 300 mg,③授乳によ る鉄喪失は 30 mg/mL.

参照

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