【1 問題解決の能力を育てること】
《問題解決の過程》
【 問題の把握・設定 】
→「~について調べてみよう。」ではなく
「何が、なぜ、どのように、~するのか。」
対象となる自然の事物・現象から問題意識をいだくように、意図的な活動を工
夫する。
【 自然事象への働きかけ 】
→「あれ?どうしてかな?」
「不思議だな?」
興味・関心をもって自然の事物・現象とかかわることにより、問題を見いだし、
それ以降の学習活動へつなげる。
【 予想・仮説の設定 】
→「~ならば、~であろう。
」
問題に対する児童の考えを明らかする。
【 検証計画の立案 】
→「~について、どのように調べるか。」
予想や仮説を自然の事物・現象で検証するための方法・計画をたてる。
【 観察・実験など 】
→「~について、観察、実験などで調べてみる。
」
問題解決の中心となる活動である。課題を解決するための児童による意図的・計
画的な活動となる。
【 結果の整理 】 →「結果は、~である。
」
一定の視点を基にした観察結果を出す。
実験の装置や状況に影響されない客観的な実験結果を出す。
【 考察 】
→「結果から言えることは、~である。」
観察、実験の結果を相互に話し合い検討する。予想や仮説と結果を比較する。
【 結論】
→「~は~である。」
(一般化)
児童による問題解決を通した科学的な見方や考え方を養う。
児童が自然の事物・現象に親しむ中で興味・関心をもち、そこから問題を見いだし、
予想や仮説を基に観察、実験などを行い、結果を整理し、相互に話し合う中から結論
として科学的な見方や考え方をもつようになる過程の中で、問題解決の能力が育成さ
れます。
②
自
然
に
親
し
む
見
通
し
を
も
つ
科
学
的
な
見
方
や
考
え
方
に
か
わ
る
素
朴
な
見
方
や
考
え
方
を
も
つ
【2 科学的な見方や考え方を養うこと】
《 児童の科学的な見方や考え方を育てる観察、実験などの例 》
H24小学校初任者研修資料「理科教育の現状と課題・指導上の工夫について」より
(1)観察の指導のポイント
(行田市立東小学校 原口 昌義 先生 作)
《記録のしかた》
。
理科の学習は、児童の既にもっている自然についての素朴な見方や考え方を、観察、
実験などの問題解決の活動を通して、少しずつ科学的な見方や考え方に変容させていく
営みです。
観察の指導をするときは、観察する部分をで
きるだけポイントをしぼって、具体的に示すこ
とが大切です。ただ漠然とながめさせるのでは
なく、視点をもって観察させることにより、子
どもたちは、観察物の特徴をより具体的にとら
えることができるようになります。また、観察
する部分や時期を見逃さずに観察させること
も大切です。場合によっては、観察したいもの
を飼育や栽培して、全員が観察できるようにし
ましょう。
観察カード(教師の見本)
観察カード(児童)
教師が見本をみせることで、児童の書く技術が向上します。児童に身に付けさせ
たい技能や視点を意識しながら作成します。
(例)視点に基づき気付いたことすべてを書く。大きさ、数、触った感じなど数を
意識して客観的に書く。色を塗る。など
③
(2)実験の指導のポイント
実験の指導をするときは、まず、予想・仮説な
どの見通しや実験結果を考察することが大切で
す。児童の考えを板書に示すことで、考え方の変
容を視覚化することができます。「予想する場
面」、「考察する場面」、「まとめの場面」などにお
ける児童の考えを、自信度によって「ぜったい」
「たぶん」「もしかしたら」の3段階に分けて、
自分のネームプレートなどを貼っていきます。実
験後、考えが変わった児童は、プレートを動かす
ことで変容を確認できます。
実験カード(児童)
実験を行うにあたっては、正確な記録をノートや
ワークシートなどに記入することが大切です。実験
の記録の場合は、「自分たちで計画した実験方法を
記録する」場合と「共通の実験を行い、その結果を
記録するため」のものと大別できます。いずれの場
合も、できる限り子どもの考えを生かすことを主目
的にし、見やすくポイントしぼって記録できるよう
にすることが大切です。また、実験の手順や実験器
具の取り扱いを指導する場合は、器具などのイラス
トとその操作時の注意点などをまじえながら、丁寧
に分かりやすく手順を示すことが必要です。
ICTを活用した説明
④
実験後、結果について考察した自分の考えを
発表し合い、科学的な見方や考え方になること
が必要です。
発表するときには、「聞いているみんなに分かる
ような理由や考え」を説明する言語力が求めら
れています。電子黒板などのICTを活用し、
観察、実験の結果を表やグラフにまとめたり、
根拠となる資料・映像を提示して、情報交換を
図ると分かりやすいです。児童は、理由を付け
ての自分なりの予想や実験結果の考察を発表す
ることで、少しずつ科学的な見方や考え方に基
づいて説明できるようになっていきます。
(3)ものづくりの指導のポイント
(4)ノート作りの指導のポイント
ものづくりは、科学的な原理や法則につ
いて実感を伴った理解を促すものとして
効果的であり、学習内容と日常生活や社会
との関連を図る上でも有効です。また、「も
のをつくる」という活動の特質から、一つ
のものをつくり上げる喜び、興味・関心と
いった意欲や自主的な態度、最後まで物事
をやり遂げる力なども育成することがで
きます。ものづくりは、学習内容と関連付
けた上で指導計画の中に位置付けて行う
ことが大切です。
作成したものでゲームや大会などの活
動をしたあと、勝利者インタビューを行
い、説明する力を育成します。
ここでは,「空気でっぽうでどこまで飛
ばせるか大会」の対戦で勝った児童がイ
ンタビューを受けています。
インタビューを設定することで、あま
り恥ずかしがらずに発表でき、空気の性
質についての科学的な見方や考え方を
育成します。
⑤
理科のノートを書くことを通して、児童の
思考力を高めます。はじめは、ノートに「問
題」「予想」「観察、実験」「結果」「考察」な
ど、項目立てて整理して書くと、問題解決の
過程が見えてきます。 また、単元の最後に、
内容をまとめたノートを作ると、自分の復習
にもなり、学習事項が定着してきます。
【まとめノートのポイント】
① 見開き 2 ページで書く。
② 大切な言葉(キーワードなど)を全て入
れる。
③ 図や表なども入れる。
④ 見やすくていねいに書く。 など
⑤ ポイントを強調して美しいノートを目指
す。 など
【3 観察、実験Q&A】
【参考文献・引用文献】
文部科学省「小学校学習指導要領解説 理科編」(平成20年8月)
文部科学省「小学校理科の観察、実験の手引き」(平成23年3月)
Q&A《どうすればいい?》
Q「科学的な見方や考え方はどうすればつくのですか?」
A 問題解決の能力や自然を愛する心情、自然の事物・現象についての理解を基
にして、科学的な見方や考え方が構築されます。児童の既にもっている自然に
ついての素朴な見方や考え方を、観察、実験などの問題解決の活動を通して、
少しずつ科学的な見方や考え方に変容させていくことが大切です。
Q「見通しをもって観察、実験などを行うとはどういうことですか?」
A「見通しをもつ」とは、児童が自然に親しむことによって見いだした問題に対
して、予想や仮説をもち、それらを基にして観察、実験などの計画や方法を工
夫して考えることです。
「見通し」は、児童自ら発想したものであるため、観
察、実験が意欲的なものになることが考えられます。
Q「観察、実験を準備する時間がないのですが、どうすればいいですか?」
A 同じ学年内で単元を統一すれば、協力して準備や予備実験ができます。一人
で悩まず、教師同士で協力して観察、実験などを行えるような体制をつくるこ
とから始めましょう。
Q「実験器具の扱い方がよくわからないのですが、どうすればいいですか?」
A 一緒に働いているベテランの教師や理科主任などにまずは聞いてみましょ
う。教科書、指導書など様々な資料をもとに自分で調べてみることも大切です。
また、実験をするときに予想される事故や危険性についても必ず把握しておき
ましょう。
Q「後片付けが大変なのですが、どうすればいいですか?」
A 後片付けも含めて授業計画を立ててみてはいかがでしょうか。実験の準備や
後片付けも児童にやらせてみることは必要だと思います。
他にもいろいろな課題がでてくるかもしれませんが、一人で悩まず、みんなで
情報を共有し、協力しあう雰囲気が大切です。
⑥