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シンポジウム2:錯視と発達

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Academic year: 2021

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DOI: http://dx.doi.org/10.14947/psychono.35.9

35 : 大会企画シンポジウム2 錯視と発達

シンポジウム

2

錯視と発達

Optical illusions and development

日   時: 2015年11月29日(日)14 : 00∼16 : 30 場   所: 大阪樟蔭女子大学小阪キャンパス翔空館10階1001教室 講 演 者: 中村哲之(東洋学園大学)・金沢 創(日本女子大学)・山口真美(中央大学) 指定討論者: 北岡明佳(立命館大学),森川和則(大阪大学) 司 会 者:  弘美(大阪樟蔭女子大学) 企画の趣旨 「錯視」は,心理学の研究対象として,また日常生活 の中で容易に生起する現象として古くから馴染みのある テーマである。錯視の特徴について,『錯視の科学ハン ドブック』は,「知覚された外界の対象(形や色など)が, 実際の物理的な構造と異なることを知って驚き,それら に興味を抱く現象である」(後藤・田中,2005, p. i)と しているように,まさに我々の心をつかむ魅力的な現象 であることは言うまでもない。 本シンポジウムでは,この魅力的な現象において,見え 方のずれが種を超えて異なることの意義について,「発達」 の視点から様々な議論を展開することをねらいとした。 まず系統発生から錯視を見てみるとしよう。例えばエ ビングハウス錯視図形において,ヒト(成人)では大き な円に囲まれた円は,小さな円で囲まれた円よりも小さ く見えるとされているが,ハトなどの鳥類では,その反 対方向の錯視が起こるとされている(Nakamura, Wata-nabe, & Fujita, 2008)。また個体発生からみると,ヒトにお いても乳児期からこのような錯視が経験されることが報 告されている一方で(Yamazaki, Otsuka, Kanazawa, & Ya-maguchi, 2010),その錯視の程度は年齢ともに変化し,文 化的環境による差異がみられるという(Imada, Carlson, & Itakura, 2013)。これらは,種が環境に適応する過程で獲 得してきた生きるための戦略であるのか。ここでは,乳 児の知覚研究者,動物の知覚研究者,錯視研究者から話 題提供いただき,このテーマに多角的に迫ろうとした。 山口真美先生には話題提供者として,乳児を対象とし た錯視実験の手法の紹介と,それらを用いた数多くの乳 児の錯視研究について報告いただくなかで,乳児がいつ ごろから大人と同じような世界を楽しむことができるか についてお話をいただいた。 金沢創先生には話題提供者として,生後1年間におけ る乳児の視知覚発達の変化を,運動視,形態視,色知覚 におけるそれぞれの研究を通してお話をいただいた。こ れらの能力の発達の統合過程の結果として,乳児期から 錯視発達がみられることから,錯視は,「世界に関する 恒常性の獲得の後に生じる客観世界と主観世界の局所の せめぎ合いである」との議論を展開していただいた。 中村哲之先生には話題提供者として,ヒト以外の動物 を対象とした錯視研究の紹介を通して,錯視の生じ方は, 必ずしも全動物種間で同じとは限らないことについてお 話をいただいた。また,これらの多様性からみたヒトの 成人の錯視やその視覚的特徴について議論いただいた。 北岡明佳先生には指定等論者として,ご自身の「錯 視」作品の紹介とともに,多くの錯視を発明されている 研究者の視点から,あらためて「錯視」とは何かについ て議論の視点をいただいた。 森川和則先生には指定討論者として,日常生活にみら れる「錯視」の応用研究の紹介とともに,なぜヒトやヒ ト以外の動物がそれぞれの「錯視」現象を生起するよう になったかを説明するための視点を提示していただいた。 引用文献 後藤倬男・田中平八(2005).錯視の科学ハンドブック  東京大学出版会

Imada, T., Carlson, S. M., & Itakura, S. (2013). East–West cultural differences in context-sensitivity are evident in early childhood. Developmental Science, 16, 198–208. doi:10.1111/desc.12016

Nakamura, N., Watanabe, S., & Fujita, K. (2008). Pigeons per-ceive the Ebbinghaus-Titchener circles as an assimilation il-lusion. Journal of Experimental Psychology: Animal Behavior Processes, 34, 375–387. doi:10.1037/0097–7403.34.3.375 Yamazaki, Y., Otsuka, Y., Kanazawa, S. O., & Yamaguchi, M. K.

(2010). Perception of the Ebbinghaus illusion in 5- to 8-month-old infants. Japanese Psychological Research, 52, 33–40. doi:10.1111/j.1468–5884.2009.00420.x

(大阪樟蔭女子大学学芸学部心理学科   弘美)

The Japanese Journal of Psychonomic Science 2016, Vol. 35, No. 1, 35

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