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第2分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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178 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 貯蓄と投資の具体的事例について学習する計 11 時間 の単元案である。フロアから「事例がむずかしい」 「人間は損失ではなく,儲かるという利殖話に騙され やすいのでは」「11 時間という単元数で,どこまで行 動経済学を取り入れられるのか」といった質問や疑問 が発せられたが,発表者からは「行動経済学の概念の 学習が目標ではないので,中学生対象ならこの単元案 でも可能だと思う」「家庭科教員とのコラボや総合学 習の時間の利用可能性を探りたい」との回答があった。  第 3 発表は,力丸剛会員(横浜市立潮田中学校)の 「自作のデジタル教材を活用した,経済が見える化授 業」で,発表者が授業の中で実際に使用している自作 のデジタル教材を画面に映しながら,教室での授業展 開例を解説した。発表者の問題意識は,経済学習に対 する生徒の関心を高め,その理解を促すことにあるが, それを実現するために採用したのが,基礎的な経済知 識・概念と概念的枠組みとしての経済的な見方・考え 方を教えることであり,写真・イラスト・図表など ICT を用いた授業の視覚化である。一例として円高・ 円安を教える際には,生徒の身近なトレーディング・ カードの交換を引合いに出して理解させるという手法 を紹介した。この後フロアからは「デジタル教材を作 る時間がない」「黒板の使い方は?」等の意見・質問 があり,それに対して発表者から「ファイルや図表の 見せ方について他の教員が助けてくれるようになっ た」「データや図表を示すために黒板をこう使う」と 説明があった。  第 4 発表は,松井克行会員(西九州大学)の「日本 金融システム史に基づく高校『公民科』経済学習の教 育内容開発(3)」で,高校公民科において経済史,な かでも昭和前期の日本金融システム史の変遷に関する 教育内容の開発案を提起するものであった。具体的に は,星岳雄と A. カシャップの理論的枠組にもとづき, 1927 年の金融恐慌と銀行法制定,1930 年の金解禁, 1930 ~ 31 年の昭和恐慌,1931 年の高橋財政,1937 年 の日中戦争勃発,1939 年の第 2 次世界大戦勃発,1945 年の敗戦という一連の出来事と政府の経済・金融行政 の変遷の中で,金融システムが資本市場中心の直接金 融から銀行優位の間接金融へ転換したことを学習する 内容案である。フロアからは,金解禁の際に旧平価に よって金本位制復帰を図った理由の是非,経済的視点 から歴史を理解することの必要性,理解困難な経済概 念よりも日本経済の発展を教えているという商業科の 事情などについて発言があった。  (文責:山根栄次・淺野忠克) 第 2 分科会  3 つの報告が行われる予定が,帰国便の遅延で報告 予定の中里弘穂氏の報告が,2 日目に繰延となり,2 本の報告になった。  第 1 報告は,田中淳会員の新卒採用におけるミス マッチを解消するための就職指導の改善の試みであっ た。  2012 年度から翌年にかけて,荒川キャンパスでの 指導で学生の実力を分析し,面接指導により,ミス マッチの原因を改善し,企業と学生の情報の非対称性 を低減させた。高専は基本的に 1 人 1 社推薦制で,自 由応募はほとんど無い。3 月から始まる校内選考で出 願企業が決定し,4 月から順次受験が始まる。7 月末 には一部の学生を除いて内々定する。2012 年度は SPI 模試が信頼できた。2013 年度は,成績上位の者から, SPI 模試の結果を勘案しながら順次出願し,合格率を 高めた。逆に成績中位・下位の一部分の学生で,高望 みが原因の不合格が出た。マッチングに適した環境が 整っているが,基礎条件を揺るがすような事態や,次 年度以降,8 月からの就職活動に移行することもあり, どのようになるか推移を見守り,インターンシップの 活用も考慮したい。  大学とは異なる就職活動に関心が集まり,SPI の指導 法や,非言語的領域(高専の数学力)が,議論となった。  第 2 報告は藤本晴久会員の地方短大における地域を 題材とした課題解決型学習(PBL)の実践であった。  PBL(ProblemBasedLearning)が多くの大学・短 大で展開されている。自ら課題を発見し解決法を探る ことを目的とする。討議,自己評価,成果報告等を含 む実践形式の学習方法である。社会人基礎力の育成に は,PBLでは企業や組織が行う「Plan-Do-Check-Ac-tion」は,学生自身が学習し,体感しやすい。フィー ルドワークを用いた教育は経済知識や経済理論の理解 を深めさせる効果があり,専門教育(経済教育)から も期待される。汎用的・実践的スキルや経済学的素養 の育成を促すことが可能となる。地域 PBL は「大学」, 「地域」,「キャリア教育」を繋ぐ結節点として可能性 を有して,今後も広がりが見込まれる。生活学科情 報・経営専攻は,平成 25 年度教育課程から,1 年次教 育において PBL 教育を導入した。実践キャリア実務 士資格を教育課程に位置付けた。主にビジネス分野で 目標を具現化する科目としてプロジェクト(演習ビジ ネス)が開講された。社会人基礎力の育成という意味 The Japan Society for Economic Education

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経済教育34号  179 では一定の成果を残しているものの,専門教育(経済 教育)の面からは,成果や意味が不明瞭であるため引 き続き検討したい。  PBL の可能性が議論となった。 (文責:炭谷英一) 第 3 分科会  第 3 分科会「学習者とともに経済教育の改善をめざ す─学会理念の継承と発展」  第 3 分科会は「30 周年記念分科会」と銘打たれてお り,この間の学会の歩みを振り返るとともに,その原 点の一つであった,学習者主体の経済教育の実践例を 検討するものであった。  第 1 報告は古参の中心的会員である,角田収(日本 大学)会員,三宅忠和(同非常勤講師)会員の「30 年の歴史を振り返って,学会の発展方向を考える」で ある。創設期以来の学会の歩みをよく知る二人から, 詳しいデータに基づく変遷と現状の分析が報告された。 本学会 30 年の貴重な総括報告だったと言える。すな わち,会員数は一時の減少が止まったが増加していな い。分科会報告は変動しつつ増えているが,内容は, 批判的な問題提起的論調の報告が減り,事例報告的な 内容のものが増えている。中高の教員の会員や報告の 増加は,当初の目標の一つの達成と言える。分科会が 数合わせ的になっていることと,報告者の固定化の傾 向は懸念される。─等々。フロアでは,「分科会報 告内容の変遷」については,時代に合わせた自然な発 展との受け止めとともに,そこに古参の功労者の感じ る一抹の寂しさのようなものへの共感が見られたよう に思う。  第 2 報告は,立命館大学経済学部学生自治会オリ ター団の赤井幸輝さん,堀川大地さんの「新入生を支 援する 76 名の「オリター(オリエンテイター)団」活 動の魅力と中高大の教員の皆さんへの要望」である。 オリターは,学生自治会の下部組織として「基礎演 習」に入り,新入生を学習面,生活面,交友面から支 援している。基礎演習では正課時間での担当教員のサ ポートに続き,サブゼミで学習の仕方等を教えている。 オリエンテーションのための各種のイベントも行って いる。アンケート結果から 9 割の学生に見られた「と まどい」を分析するに,大学側には大学生活をイメー ジさせる時間の確立を,高校側には何を勉強したいか を考える,大学と連携した教育を望む。質疑応答を通 じて,ピア・サポートは今でこそ各大学が活発化させ ているが,立命は歴史が長くその先見性に拍手を送る と同時に,立命では類似活動の横のつながりが弱く, 活動団体同士のネットワーク化が急務であろうとの感 想が出された。  第 3 報告は,立命館大学経済学会学生委員会委員長 の岩田雄大さんの「240 チーム 700 名が参加する「学 内ゼミナール大会」運動の発展史と課題」である。毎 年末に行われるゼミナール大会は,学生団体である経 済学会学生委員会が企画運営しており,教員は審査で 協力している。目的は賞レースではなく学術振興であ ることを心がけている。チームの大半は基礎演習・ゼ ミの一環としての参加だが,94%から「意識向上につ ながった」との回答が得られている。会場には,大学 間交流の場としてのインターゼミナール大会に学生時 代に参加した経験や,学生の参加の指導経験のある会 員が多く(例えば,北信越地区では小規模ながら数大 学が交流するインターゼミ大会が今でも毎年開催され ており,富山大学内での発表交流はその中間報告的な ものとなっている),立命館のゼミ大はそこにリンク していないことについて,今後発展を期待する声が出 された。  (文責:松尾匡) 第 4 分科会  第 4 分科会「地域の経済教育」は,金井萬造会員 (立命館大学)と佐藤進会員(松本新興塾)の 2 件の 報告となった。観光と農業,外と中,学生と事業者な ど,異なる立場の報告で,興味深い内容であったが, バスの遅延などもあり参加者も多くはなかった。  1 件目は,金井会員の「観光の現地と密着した振り 返りの実践的観光経済論の教育の進め方」をテーマと した報告であった。ご自身が担当される「観光経済論 (主に 3 回生対象の多人数講義)」などにおける授業実 践報告である。当該講義では,毎回「コミュニケー ションペーパー」の提出を学生に義務付け,教員が チェックして次の授業の冒頭でコメントするとい形式 で,学習内容の振り返り対応を行っていた。また,授 業期間内に 3 回の小テストを行うことで,理解度を確 認して進めていた。その他,ゼミなどの少人数授業に おいては,積極的に現地調査を行っており,その参加 者には「豊かな発想」が身についていくことが判明し ている。このような振り返り手法や実地調査と理論学 習を融合させた教育の重要性が報告された。  2 件目は,佐藤進会員の「地域リーダー育成の目的 と方法:中信地域の農業農村振興と営農リーダー育成 の経験から」をテーマとした報告であった。自らが塾 The Japan Society for Economic Education

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