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女性アスリートにおける月経観、マインドフルネス、および月経関連症状の関連

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-07 310

-女性アスリートにおける月経観、マインドフルネス、および月経関連症状の関連

○深町 花子1)、石井 香織2)、荒井 弘和3)、岡 浩一朗2) 1 )早稲田大学スポーツ科学研究センター、 2 )早稲田大学スポーツ科学学術院、 3 )法政大学文学部 女性アスリート232人に実施した調査によると、「月 経が試合や練習でのパフォーマンスの障害となる」と 答えた者は44.3%にのぼった (Takeda et al., 2015)。 マインドフルネスに基づいた介入は広範な状態の身体 的および精神的症状を改善することが明らかとなって いるため (Greeson, 2009)、痛み、不安、うつ病、食 べ 物 の 渇 望 と い っ た 症 状 を 有 す る ア ス リ ー ト の Premenstrual Syndrome(以下PMS)症状をはじめとす る月経関連症状へのマインドフルネスの効果が期待さ れる。 国内外の一般女性を対象とした先行研究 (Lustyk et al., 2011; 土井ら, 2015) において、否定的な月 経観はPMS症状を強めるがマインドフルネス傾向がそ の影響を弱めることを示した。しかしながら、女性ア スリートを対象としては調査が行われておらず、上述 のような結果が女性アスリートにおいても得られるか は不明なままである。PMS症状に対するマインドフル ネスに基づいた介入の確立は、月経関連症状がスポー ツパフォーマンスを悪化させることを防ぐことに大き く貢献すると考えられる。したがって、本研究では我 が国の女性アスリートを対象に月経観、マインドフル ネスが月経関連症状に及ぼす影響を明らかにすること を目的とした。 日本国内の 4 年制大学に通い、運動部に在籍する18 歳から22歳の女性アスリート466名に調査を実施し、 213名より質問紙による調査への協力を得た。なお、 本研究の実施にあたっては、強制の無い環境下で、本 学会倫理的項目に配慮した状況で実施した。 年齢、身長、体重等について回答を求めた。また、 月経の周期に関しては、「最近一年間の月経周期につ いて、正常であるか (正常とは月経開始から次の月経 開始までの期間が25-38日以内であることを指す)」と いう項目に対し、「毎月正常である」、「ほぼ正常であ る」、「正常ではない」の 3 件法で回答を求めた。 日本語版PMDD評価尺度 (宮岡ら,2009) は、PMDD (月経前不快気分障害) とPMSをスクリーニングする尺 度であり、本研究では代表的な月経関連症状として回 答を求めた。「疲れ・身体症状」、「抑うつ気分」、「対 人関係・怒り」の 3 因子を含む。マインドフルネス傾 向 を 測 定 す る 日 本 語 版Five Facet Mindfulness Questionnaire (FFMQ;Sugiura et al., 2012) は、 「観察」「反応しない」「判断しない」「描写」「意識的

行動」という、 5 つの下位尺度が含まれている。日本

語版Menstrual Attitude Questionnaire (MAQ; 野 田, 2001) は月経に対してどのように考えているかを 測定する尺度である。「衰弱」「厄介」「予測」「影響の 否定」「自然」という因子を有している。 分析については、PMS症状、月経観、マインドフル ネス特性の相関係数を算出した。次に、月経観とPMS 症状との関連におけるマインドフルネスの緩衝効果を 検討するために、階層的重回帰分析を用いて分析を 行った。なお、調査に協力した213名のうち、欠損値 のあった 7 名を除外した206名を分析対象者とした。 対象者の平均年齢は20.14歳 (±0.09) であり、平 均BMIは21.58 (±2.09) であった。最近 1 年間の月経 周期について、正常であるか尋ねたところ、「毎月正 常である」と答えたのが70名 (32.9%) 、「ほぼ正常で ある」と答えたのが104名 (49.5%) 、「正常ではない」 と答えたのが36名 (16.9%) であった。 PMS症状の合計得点およびPMS症状の下位因子「身 体」との関連を見たところ、「衰弱」「影響の否定」「自 然」という月経観との関連が認められた。また、PMS 症状の下位因子である「抑うつ」「対人関係・怒り」 との関連を検討したところ、月経観の「衰弱」「影響 の否定」と有意な関連が認められた。次に、PMS症状 とマインドフルネス特性との関連については、PMS症 状の合計得点とマインドフルネス特性の「観察」「判 断しない」「意識的行動」との間に有意な関連が認め られた。また、PMS症状の下位因子「疲れ・身体症状」 「抑うつ気分」「対人関係・怒り」いずれにおいても同 様に、マインドフルネス特性の「観察」「判断しない」 「意識的行動」との間に有意な関連が認められた。 相関分析の結果をもとに、関連の見られた変数を用 いて、階層的重回帰分析を実施した。Model1では従属 変数にPMS症状の各下位因子「疲れ・身体症状」「抑う つ気分」「対人関係・怒り」を、独立変数に月経観を 投入した。Model2ではModel1に加えて独立変数にマイ ンドフルネス特性の各下位因子「観察」「判断しない」 「意識的行動」を投入した。その結果、モデル 1 では、 月経観のうち、「月経は衰弱させるものである」とい う態度、「月経は行動に影響を与えない」と捉える傾 向、「月経は自然なものである」と捉える傾向は、PMS 症状全般および「疲れ・身体症状」「抑うつ気分」「対 人関係・怒り」を予測することが明らかとなった。モ デル 2 では、月経観を制御した後、マインドフルネス 傾向の下位尺度を加えると、PMS症状の総合点と「抑

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-07 311 -うつ気分」傾向および「対人関係・怒り」を予測し、 「疲れ・身体症状」へはマインドフルネスの影響が見 られなかった (Table1)。 月経観はPMS症状を予測することが明らかとなっ た。また、マインドフルネスは月経観とPMS症状との 関係を緩和する。以上より、否定的な月経観はPMSを 高めるが、個人のマインドフルネス傾向により影響が 弱まる可能性が示唆された。また、マインドフルネス に基づいた介入は、特にPMS症状を否定的にとらえる 人において、月経を否定的に判断することを減らすこ とで、症状との関係を変化させるかもしれない。 Greeson, J. M. 2009 Mindfulness Research Update: 2008. Complementary Health Practice review 14 ( 1 ), 10-18.Lustyk, M. K. B., Gerrish,W. G., Douglas, H., Bowen, S., & Marlatt, G. A. 2011 R e l a t i o n s h i p s A m o n g P r e m e n s t r u a l S y m p t o m

Reports, Menstrual Attitudes, and Mindfulness. Mindfulness, 2, 37-48宮岡佳子・秋元世志枝・上田 嘉代子・加茂登志子 2009 PMDD評価尺度の開発と妥当 性および信頼性の検討. 女性心身医学, 14 ( 2 ), 194-201.野田洋子 2001 女子学生の月経の経験と楽観 性・悲観性との関連性. 順天堂医療短期大学紀要, 12, 55-65.Sugiura, Y., Sato, A., & Ito, Y. 2011 Development and validation of the Japanese v e r s i o n o f t h e F i v e F a c e t M i n d f u l n e s s Questionnaire. Mindfulness, 3, 85-94.Takeda, T., Imoto, Y., Nagasawa, H., Muroya, M., & Shiina M. Premenstrual 2015 Syndrome and Premenstrual Dysphoric Disorder in Japanese Collegiate Athletes. Journal of Pediatric and Adolescent Gynecology, 28 ( 4 ), 215-218.

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