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台湾の貿易構造と対日貿易について-香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第66巻 第3号 1993年 12月 159-201

台湾の貿易構造と対日貿易について*

1 . は じ め に

治 中

井 上 貴 照

アジアの四匹の龍の一つである台湾は,近年,その経済発展が世界的に注目 されている。 1990年には国民 1人あたり GNPが約 8千ドル,外貨準備高が 731 億ドルであり,このことが台湾の成功を物語っている。台湾の経済が発展を遂 げてきた原因を考えると,国際貿易が台湾の経済を牽引してきたではないかと 思われる。台湾の面積は狭く自然資源に恵まれないため,国際貿易の依存度が 高い。台湾の貿易構造をみると,輸入は日本に大きく依存し,輸出は米国に大 きく依存する。つまり,台湾の貿易は,日本に対しては貿易収支の赤字を,米 国に対しては貿易収支の黒字を示している。 小論の目的は, 1960年代後半より 1980年代までの期聞における台湾の貿易 構造を概観し,台湾の対日輸出入関数を推定し,台湾の対日貿易収支の赤字基 調の原因, 1980年代における日台貿易の構造変化および日台米貿易の三環構造 について実証分析を行うことである。 とくに台湾の貿易に関する実証分析については,すでにいくつかの研究があ る。例えば, H wang (1991)は,台湾の貿易の発展についての歴史と貿易政策 を論じている。徐(1992) は,台湾の輸出入について分析した。これらの研究 *小論は,陳(1993)を基礎としている。小論の作成にあたり,香川大学経済学部大薮和雄教 授,阿部文雄教授,藤井宏史助教授から多くの御教示を賜ったことに,心から御礼を申しょ げます。また,陳の親友である侶同俊さんと王永期さんが小論を作成するために欠かせない 寅重な資料を台湾から送っていただき,この機会を借りて厚く謝意を表したいと思います。 小論におけるすべての誤謬は,われわれの資・任であることは言うまでもありません。

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-160ー 香川大学経済論叢 652 は,さまざまなデータを駆使して実証分析を行っているが,台湾の輸出入関数 の推定は行われていないので,台湾の貿易が,価格と所得にどのように依存し ているのかが,明らかにされていない。 Riedel(1992)と陳(1979)は,台湾の 貿易について,輸出入関数の推定を行っている。しかし, Riedel (1992)は,人 口と国民l人あたりの地積 (landarea)を説明変数として台湾の輸出の対 GDP 比を推定したが,輸出入の所得弾力性と価格弾力性についての推定は行ってい ない。陳(1979)は,台湾の対日輸出入の所得弾力性と価格弾力性を推定した が,推定期間が 1961-1977年までであり, 1980年代の推定を行っていない。ま た日本,台湾および米国との聞の貿易関係を示す日台米貿易の三環構造につい て, l余(1992)がデータよりその存在を示している。われわれは,この日台米 貿易の三環構造について計量経済学的な実証分析を行う。 第II節においては,台湾の貿易構造を明らかにし,第III節では,台湾の対日 輸出入関数を推定し,その構造変化について検証する。第

I

V

節は,日台米貿易 の三環構造について検討し,そして第V節のむすびにおいて小論における残さ れた課題が与えられている。 II.台湾の貿易構造 II-L 経済成長を牽引してきた「エンジン」 とくに第2次世界大戦後における台湾の経済発展は,輸入代替工業化から輸 出指向工業化という「輸出主導型」のパターンで成長してきた。したがって, 輸出は台湾経済の発展にとって欠かせないものである。台湾の面積は狭い,加 えて自然資源に恵まれないため,国際貿易から得られる所得は台湾経済にとっ て非常に重要である。 まず,台湾経済における輸出の有効需要効果をみてみよう。輸出の国民経済 への貢・献としては,有効需要創出効果と,国際収支の天井を引き上げて輸入の (1) 第2次大戦後における台湾の経済発展と国際貿易については,陳(1993)第1章,隅谷・ 劉 (1992),劉 (1992),徐 (1992)等参照。また台湾の経済成長については,たとえば, 西村 (1990),台湾の経済発展と労働問題については,たとえば,小林 (1990)そして東 南アジアの経済発展と貿易については,村上 (1990)等参照。

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653 台湾の貿易構造と対日貿易について -161-増加を可能にする効果とがある。ここでは前者の効果を取り上げよう。この効 果は輸出が有効需要すなわち GNPのー構成要素であることを意味している。 輸出の有効需要創出効果を測定する最良の尺度は,実質GNPの増分に対す る実質輸出額の増分の割合であろう。表II-1が示すように,この割合は, 1971-1980年では51,0%,1981-1990年においては60,,8%である。すなわち, 1970年代の有効需要の5割程度,1980年代の有効需要の6割程度が輸出によっ て創出されたのである。この割合は民間消費支出 (PC)や固定資本形成 (CF)か ら 創 出 さ れ た 有 効 需 要 を 上 回 っ て い る 。 民 間 消 費 支 出 (PC)の割合は, 1971-1980年においては45,,0%,1981-1990年では57,,0%であり,固定資本 形成 (CF)の割合は, 1971-1980年では16,,5%,1981-1990年には5,,5%であ る。次に台湾の実質GDP成長率についての輸出,民間消費および固定資本など の需要項目別寄与度が,図IIー1において示されている。輸出寄与度は1970年 代後半から最も大きくなり, 1980年代に入るとさらに大きくなっている。すな わち,有効需要の源泉から実質GDP成長率に対する寄与度を見ると,台湾経済 にとって圏内市場よりも海外市場の方が重要だということが明確である。 では,台湾の貿易は,国民経済のなかでどの程度の比重を占めるであろうか。 GNPに対する貿易額(輸出額と輸入額の合計)の割合,すなわち貿易依存度は, 表II-2に示されるように,商品のみの貿易額では1971-1980年においては 81,,0%, 1981-1990年には85,3%である。商品にサービスを含めた貿易額では 表IIー 1 実質 G~叩の増加に対する相対的貢献度 輸 出 1971-1980年平均 51.0 1981-1990年平均 608 (%) 民 間 消 費 │ 固 定 資 本 支出(PC)

I

形成(CF) 45,0 16,5 57,,0 5,,5 注:石油危機の1974年の数字は計算していない 資料:CEPD (1991) P 26, 44。 (2 ) 南 (1992)p, 158参照。 (3 ) 南 (1992)p"159参照。

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-162ー 0..16 0..14 0..12 0..1 0..08 0..06 0..04 0.02 O -0.02 -0れ04 香川大学経済論叢 図II-l 台湾実質GDP成長率及び寄与度 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 一 実 質GDP成 長 率 … ー 輸 出 一 一 民 間 消 費 一 一 一 資 本 形 成 注・寄与度の計算方法は,安井(1992)p 18, 19参照。 資料:CEPD (1991)p.44より算出。 表IIー2 台湾の貿易依存度と他の国の比較 L仁ヨA 湾 G 7 韓 商 品 の み 商品サービス 1971-1980年平均 81 0 89 7 32 0 1981-1990年平均 85 3 96 5 35..0 注 :(1) G 7の貿易依存度はG 7のメンバー国の総合を平均したものである。 (%) 国 53 0 64 0 (2) G 7と韓国の貿易依存度は商品のみであり, G 7と韓国のデータは1989年までである。 資料:CEPD (1991)p 26, 44, 208。 IFS YEARBOOK (1990)。 654 1971-1980年においては印刷7 %,1981-1990年には96..5%である。さて,台 湾の貿易依存度を他の国と比較してみよう。表II-2の示すように,台湾の貿 易依存度は,世界の主要な工業国およびアジア

NIEs

である韓国のそれより,

(5)

655 台湾の貿易構造と対日貿易について -163-1970年代および1980年代を通して,高い貿易依存度を示している。すなわち, 今日の台湾経済は,海外市場への依存度が非常に高い国であるといえる。 つぎに,台湾の輸出と工業生産の関係をみてみよう。図II-2に示されてい るように,台湾の輸出額と工業生産額はともに同様な推移を示している。台湾 の実質輸出額の成長率の推移と実質工業生産量の成長率は,図II-3が示すよ うに,ほとんど同様に推移している。安定成長期の 1964-1973年に輸出の成長 率は29..7%,実質工業生産量の成長率は19..3%に達した。1970年代後半の不安 定成長期には実質輸出額の成長率は, 29ゅ9%,さらに 1980年代の転換期にはそ れが平均12%に落ち込み,実質工業生産量の成長率も同じように,それぞれ11 75%と6.93%に減少し足。輸出商品の構成は,表II-3および図II-4が示す ように,輸出指向工業化の安定成長期より工業製品の輸出額の比率は一段と大 きくなって, 1971年からは80%台になった。 1980年代に入るとさらに90%を 図Il-2 輸出額と工業生産額の推移 単位:兆台湾元 2..2 2 L8 1 6 L4 1 2 0..8 0..6 04 0..2 0 1964 , , , , , , , , , , , /

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ノ , , / ,

, , , , , ' , , , , , , , , , F , ' , , , 〆 a , , F , , 1969 1974 1979 1984 1989 一 輸 出 額 一 工 業 生 産 額 資料:CEPD (1991)p.40, 208。 ( 4) CEPD (1991)p.2より算出。

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-164- 香川大学経済論叢 図II-3 実質輸出成長率と実質工業生産成長率の推移 656 % 60

回 一

141lι

ー10 1964 寸 1969 寸 1974 寸 1979 寸 1984 寸 1989 一 一 実 質 工 業 生 産 成 長 率 一 一 実 質 輸 出 成 長 率 資料:CEPD (1991)p 2。 % 100 図II-4 台湾の輸出額の製品別構成 90 _ / -~ーー

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Vノ' / ¥/ ¥ / ¥ / ¥ 、 、 O 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 80 50 40 30 20 一ー農業製品一一ー農業加工製品一ーー工業製品 資料:CEPD (1991)p 213。

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657 台湾の貿易構造と対日貿易について -165-表II-3 台湾輸出入額の製品別構成 (%) 輸 出 輸 入 計 農 業 製 品 農業製口口 工 業 製 品 計 資 本 財 原材料 消 費 財 1955 100 28.1 61.5 10.4 100 16.5 74.7 8.8 1956 100 18.5 64.5 17.0 100 18.7 73.9 7.4 1957 100 15.9 71.5 12.6 100 20.6 72.5 6.9 1958 100 23.7 62.3 14.0 100 21.8 71.8 6.4 1959 100 23.6 52.8 23.6 100 25.1 67.5 7.4 1960 100 12.0 55.7 32.3 100 27.9 64.0 8.1 1961 100 18.4 44.3 40.9 100 26.4 63.5 10.1 1962 100 11.9 37.6 50.5 100 23.4 68.3 8.3 1963 100 13.5 45.4 41.1 100 21.4 72.1 6.5 1964 100 15.0 42.5 42.5 100 22.1 71.8 6.1 1965 100 23.6 30.4 46.0 100 29.3 65.6 5.1 1966 100 19.8 25.1 55.1 100 29.4 65.5 5.1 1967 100 15.2 23.2 61.6 100 32.1 63.2 4.7 1968 100 11.1 20.5 68.4 100 32.5 62.9 4.6 1969 100 9.3 16.7 74.0 100 34.7 60.8 4.5 1970 100 8.6 12.8 78.6 100 32.3 62.8 4.9 1971 100 7.9 11.2 80.9 100 32.0 62.9 5.1 1972 100 6.8 9.9 83.3 100 31.1 63.2 5.7 1973 100 7.5 7.9 84.6 100 28.6 65.8 5.6 1974 100 4.8 10.7 84.5 100 30.7 62.4 6.9 1975 100 5.6 10.8 83.6 100 30.6 62.6 6.8 1976 100 5.0 7.4 87.6 100 29.1 64.7 6.2 1977 100 5.4 7.1 87.5 100 25.8 66.4 7.8 1978 100 5.0 5.8 89.2 100 24.7 68.5 6.8 1979 100 4.4 5.1 90.5 100 24.6 69.0 6.4 1980 100 3.6 5.6 90.8 100 23.4 70.8 5.8 1981 100 2.6 4.6 92.8 100 16.2 76.9 6.9 1982 100 2.0 5.1 92.9 100 16.3 75.5 8.2 1983 100 1.9 4.8 93.3 100 13.9 78.3 7.8 1984 100 1.7 4.3 94.0 100 13.6 78.6 7.8 1985 100 1.6 4.5 93.9 100 14.1 76.9 9.0 1986 100 1.6 4.9 93.5 100 15.0 75.6 9.4 1987 100 1.3 4.8 93.9 100 16.0 74.1 9.9 1988 100 1.4 4.1 94.5 100 14.9 73.7 11.4 1989 100 0.7 3.9 95.4 100 16.4 72.1 11.5 1990 100 0.7 3.8 95.5 100 17.5 70.5 12.0 資料:CEPD (1991)pp 213-214。

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-166- 香川大学経済論叢 658 上回り, 1990年には 95..5%に達した。以上より,台湾の輸出と工業生産の関係 はきわめて密接であると言えよう。 これらの事実により,台湾経済は,工業製品を中心とした輸出主導型成長に より発展してきたといえよう。 II-2 輸出の主役 中小企業 輸出は台湾経済を牽引してきた「エンジン」である。しかし台湾の経済構造 をみると,台湾の輸出を支えているのは大企業ではなく,中小企業であるとい える。表II-4は,台湾の中小企業の輸出に占める割合を示したものである。 輸出統計ではメーカーと商社に分けられ,中小メーカーと中小商社の輸出合計 が中小企業の輸出になる。それによると, 1981年から 1985年までの期間をとっ てみると,中小企業の輸出は少ないときでも全体の 59..2%,多いときには 69.

7%

であり,平均して輸出の約

3

分の

2

を占めている。この割合はきわめて大き 表II-4 中 小 企 業 の 輸 出 に 関 す る 統 計 (1981-85年) (100万ドlレ,%) 中 イ 、 メ ー カ ー 中 小 商 社 JにLコ 計 1981 10,559 (7L8) 4,832 (611) 15,391 (681) 1982 10,613 (73 5) 4,858 (62 5) 15,471 (697) 1983 10,926 (66 9) 5,001 (56 9) 15,927 (634) 1984 12,379 (62 5) 5,666 (53 2) 18,045 (592) 1985 12,897 (64 6) 5,903 (54 9) 18,800 (61 2) 注:(1)輸出額は行政院主計処『中華民国台湾区経済動向統計季報z台北,各年 版による。 (2)中小企業の輸出額は輸出総額から大企業の輸出額を除く部分であるが, 大企業の輸出額は悶際貿易局『外鈴続優工場名録J(輸出優良会社名簿)台 北,各年版に依拠して,資本額が4.000万元以上のメーカー,営業額が4,000 万元以上の商社の輸出額を集計したものである。 (3) 中小企業におけるメーカーと商社の輸出額は, 65: 35の比率で推計して いる。 (4) 中小商社の輸出額については,さらに 15%を差し引いている。 (5) カyコ内は全体に占める割合を示している。 資料・中華経済研究院(1988)r台湾中小企業行業別発展方向』台北, p.15表 2ー し 出所.劉q(1992) p 146表 2-23。 (5 ) 本 節 は , 基 本 的 に , 劉 (1989)(1992)に 多 く を 負 っ て い る 。 ま た 徐 (1992)参照。

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659 台湾の貿易構造と対日貿易について 167-く,中小企業が台湾の輸出において大きな比重を占めていることがわかる。 中小企業の輸出指向的性格については,企業の売り上げに占める輸出の割合 からみる統計資料がある。台湾銀行のサンプリング調査から得られた資料によ ると,経済部「中華民国台湾地区各行業(業種)工廠名録 1985年度」に基づ いて,民営製造業1,928企業から集計した結果,そのうち中小企業1,316社の 売り上げに占める輸出の割合は,71.1%である。これに対して非中小企業612社 の輸出は,売り上げの35..5%で,中小企業のそれの2分のl程度である。また 官営製造業11社の輸出は,売り上げのわずか10..8%にすぎない。これを同じ資 料から 1972-1985年における中小企業の売り上げに占める輸出比率の推移に ついてみると, 1972年が55..7%,1976年が57..2%,1980年が667%, 1983年 が73..3%そして 1985年が71叶1%となっている。輸出比率が1970年代後半から 増加傾向を示し, 1980年代にはいると大幅に増加している。ちなみに輸出比率 は,1972-1979年の平均は53“9%であったのに対し,1980-1985年では72..3% となっている。 以上の統計からわかるように,中小企業は,売り上げに占める輸出比率が増 加する過程で発展してきた。売り上げの

7

割を輸出に依存ずる状況のもとでは, 輸出が台湾中小企業の死活を左右する重要性をもっていることを示す。 それでは中小企業がなぜ輸出指向的発展をとげ得たのか。中小企業はどのよ うにして輸出競争力を勝ち得ているのか。その理由はまず第

1

に,低賃金労働 に基づく労働集約的製品の比較優位をあげることができる。表II-5の示すよ うに,中小企業の賃金率は大企業のそれより低い。したがって,中小企業の労 働コストの低さが中小企業の生産する製品の比較生産費を低め,その製品の比 較優位を保持し,国際競争力を支えている。 第

2

に,概して,規模の経済性は中小企業に不利に働く。しかし,多品種少 量生産や製品差別化により,規模の経済性における中小企業の比較劣位を克服 し,市場競争力を獲得している。事実,一部の業種,例えば電子部品,縫製, 履物,スポーツ用品,プラスチック製品,金属製品,民芸雑貨などは,企業規 (6 ) 劉 (1989)p.50参照。

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-168- 香川大学経済論叢 660 表II-5 製造業従業員一人当たり主要経済指標の大企業,中小企業別格差の比較 (1976年と 1986年 (1,000元,%) 従1企業業員数当た(人り) 従業員一人当たりの金額と割合 資 産 額 生 産 額 付加価値額 賃金支払額 1976 1986 1976 1986 1976 1986 1976 1986 1976 1986 総 平 均 27 24(53552 1, 6) (490) (087 714.2.96) 1, (642 719) (591 801) (503 316) (797) (51 691 658) 零-細企29人業 7 71 (2ri) (238 254 645) (466) (279 3794.31) (34.5.83) (339) (213 62 540) (571.3.03) 小 企 業人 53 52 318 630 332 997 62 234 45 150 30-99 (30..8) (284) (55.4) (52 9) (367) (373) (703) (66 1) l 中00-企499業人 202 192(4413 0 1) (438) (693) (667) (973 415 1,257 49 183) (487) (306 78 150) (784) 178 大500企人一業 1,339 1,3481,010290) 2,210109) (519009) 1,810805) (110609) (612008) (10604) (1227 00) 注:ヵyコ内は大企業を100とした場合の中・小・零細企業のそれぞれの割合である。 資料:(1)行政院台関地区工商業普査委員会『中華民国65年(1976年)台関地区工商業普査報告』第3巻第l冊, 台湾地域製造業, pp. 426-427。 (2)行政院主計処『中華民国75年(1986年)台関地区工商業普査報告』第3巻台湾地区製造業, 1988年, pp.22-23。 出所:劉(1992)p. 145表2-22, 模が適正であり,中小企業はここで存立する市場条件を得ている。 第3に,外国企業との提携,系列化あるいは国際的な下請による輸出市場へ の進出である。台湾の中小企業にはほとんど独自の技術開発能力がなしもっ ぱら標準化された成熟技術に依拠している。中小企業としては外国企業との系 列化や国際的な下請関係を結ぶことにより,技術とマーケティングの弱点をカ ノ寸ーし,労働集約的な多品種少量生産や製品差別化生産で競争力をもち,輸出 市場に進出している。 以上の分析より明らかなように,台湾の中小企業は,労働集約的な輸出指向 型であり,台湾における輸出の担い手である。台湾の高度経済成長における中 小企業の重要性は,きわめて高い。 (7)

I

1

-

3

.

.

台湾の貿易収支と為替レート (7) 本節における台湾の為替レート政策及びIMFの通貨政策については,臼弁 (1990),台 湾総覧 (1988)pp.226-231,藤川 (1990) 第 9章p.190,に多くを負っている。

(11)

661 台湾の貿易構造と対日貿易について -169ー 1963年に単一為替レートになって以来,台湾では米ドルに釘付けされた固定 相場制度が採られていた。表II-6と図 II-5の示すように, 1972年まで 1ド ル=40台湾元の相場を固定されていた。 1971年 12月のスミソニアン合意によ り,金1オンス =35米ドルから 38米ドルへ,米ドルは 7..8%を切り下げられた。 台湾元は1ドル =40台湾元の相場を維持したので,米ドlレの切り下げに伴って 台湾元は各国主要通貨に対して切り下げられることになった。このことが,台 湾の輸出に有利に作用した。 表II-6 ドル対台湾元の為替レート 年 ドJレ/台湾元 年 ドル/台湾元 年 ドル/台湾元 1961 40..00 1971 40..00 1981 37.79 1962 40..00 1972 40.00 1982 39..86 1963 40..00 1973 37..90 1983 40..22 1964 40..00 1974 37..95 1984 39..42 1965 40..00 1975 37..95 1985 39..80 1966 40.00 1976 37心95 1986 35 45 1967 40..0

1977 37..95 1987 28..50 1968 40..00 1978 35..95 1988 28.12 1969 40..00 1979 35 98 1989 26 12 1970 40.00 1980 35..96 1990 27..13 注:各年の12月のレートである。 資料:CEPD (1991) p 199。 台湾の輸出入額は,表II-7の示すように 1969年に,ともに 10億米ドル台 に乗った。また台湾元の対ドルレートが長期にわたって過小評価された傾向に あったので,輸出額は増加していた。貿易収支は1971年から黒字に転じた。 1973年 3月米ドルは 1オンス =38米ドルから 42..22米ドJレに再び切り下げ られた。台湾元は対米ドlレレートをこれまでのl米ドル=40台湾元の水準に維 持するとマネーサプライの増大が助長されると懸念し,今度は台湾元を切り上 げざるを得なかった。但}し,輸出に過大に影響するのを避けるため, 1米ドノレ=

(12)

一170- 香川大学経済論叢 662 図II-5 台湾元の対ドル為替レートの変動 -AnUQUOO ゥ , F O R d 4 企 n J ワ μ 1 4 n u Q V O O ウ'ハ 0 4 & A せ っ J V 令 J V 令 d Q J U つ J v q J v n J q O つ j u つ d ワ臼ワゐワ ω ワ u 1961 1963 1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1962 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 資料:CEPD (1991)p 199。

4

0

台湾元から

3

7

.

.

9

元と小幅な切り上げにとどめられた。

1

9

7

4

1

9

7

5

年の貿易 収支は,石油危機の影響を受け,赤字に転落した以外には,各年とも輸出超過 が生じた。

1

9

7

8

4

IMF

の新協定の改正が発効し,為替相場制度については,回定相 場制,共同フロート制,単独の変動相場制,その他いずれの為替相場制度も合 法的なものと認められた。当時,台湾の経済は,貿易収支の黒字の増加から外 貨準備が累増していた。これが通貨供給を増加させてインフレ圧力となってい た。台湾はこうした内外経済情勢を考慮して,対米ドルレートを

1

ドル

=38

台 湾元から

3

6

台湾元に切り上げた。同時にこれまでの固定相場制度から変動相場 制に移行した。 台湾元の切り上げ,さらに第

2

次石油危機のために,貿易収支は

1

9

7

9

年の

1

3

億米ドルの黒字から

1

9

8

0

年には

7

7

0

0

万米ドルの黒字に減少した。しかし,ア (8 ) 臼井(1990) 参照。

(13)

663 台湾の貿易構造と対日貿易についご -171 表II-7 台湾の輸出入額と対日米の輸出入額 (1952,1955-1990年) (US $1,000) 年代 総 額 日 本 ア メ リ カ その他の地域 輸 入 額 輪 出 額 輸出入差額 輸 入 輪 出 輸出入差額 輪 入 輪 出 輸出入差額 輸 入 輪 出 輸出入差額 l目2 187,215 116,414 ー叩,141 日,4肝 61,230 2,823 出,566 4,師5 81,日l 43,242 51,1叩 1,931 1955 叩1,凹1 123,215 17,141 61,2日 73,322 12,081 目,543 5,4同 ,同143 44,244 44,553 加9 1956 1目,的E 118,2同 -75,4叫 刊,却l 44,001 -26,214 81,却9 6,688 -14,711 42,016 61,日l 自l日5 l目7 212,2日 148,2溺 一日,958 70,410 52,256 一18,154 制!日。 5,222 ー円,4目 51,183 同,801 目,位4 1958 226,188 155,814 ー叩1訂4 的!日1 65,310 -24,142 84,日9 9,116 47,6日 弘却7 田,188 28,421 1目9 231,441 156,906 一14,535 自,365 65,122 一回,2日 礼団6 31,524 曲,982 54,570 市,2印 23,690 1 9印 目印刷 163,田2 -132,7田 l,叫855 61,166 -43,089 113,108 18,853 守旧,255 叩,811 83,363 4,546 1961 担2,116 195,1日 -126,9日 99,754 日,508 -43,246 l却,844 42,7帥 朗,064 91,518 ,目870 4,352 l田1 304,110 218,206 一師,904 103,846 臼,048 -51,798 115,404 日,1日 日,236 84,860 112,990 目,1叩 1963 出1,6甜 331,665 一団l肝l 101,2日 105,104 -2,162 i団,517 ,日897 間,620 103,853 172,664 曲,811 1964 4,訂968 432,956 4,988 l札目9 1お,608 一15担,l 138,9叩 開,“4 一時,346 140,049 218,104 日,日5 1 9日 日6,011 449,682 ーl師,329 221,319 137,5凹 -83,720 116,372 田,6帥 帥,692 158,320 216,403 日,083 1 9師 日2,361 536,2叩 ー師,091 251,443 128,839 一l,目604 !日,335 115,885 ,日4叩 1似,583 291,5拍 師,叩3 l同7 805,832 640,1却 一l,日102 四6,050 114臼,8 -211,4田 247,302 167,815 月,4町 1目,480 358,267 i目,181 1968 903,2削 789,1田 一114,ωl 361,612 127,朗9 -233,723 239,494 278,194 持,100 四2,174 383,1同 ,帥932 1969 1,212,6弼 1,049,365 ー!日,333 535,8日 157,518 -378,285 291,7日 3凹,似I l肝,295 話5,083 492,740 l肝!日7 1970 1日,3:,9目! 1,拍1,4甜 -42,515 652,783 215,625 -437,1目 363,ω 564,174 200,3日 501,329 叩1,631 194,剖8 1971 1,843,938 2,目。,393 216,4日 821,023 245,029 一四1,994 4冊,159 859,200 451,041 608,7日 日65,164 担7,4開 l町1 2,513,502 2,988,123 474,621 1,似6,的1 376,1目 時価9,264 543,424 1目,1,311 107,89日 目4,016 1,360,068 4,出992 19刀 3,7位,4田 4,48幻3,366 6叩,810 1,4田,697 823,184 一似,913 952,5日 1,6,円106 担4,513 l,m,266 1,982,4叩 日1,210 1914 6,965,751 5,638,叩3一1,32弘164 2,214,948 844,005一1,370,943 1,679,905 2,036,6四 団6,733 3,0叩,叩i 2,7札3日 -312,554 1975 5町,1,650 5,308廿,l -6弘879 1,812,220 694,234一1,117田,6 1,6日,129 1,822,737 170,側 2,4肝,却l 2,791,8同 304,4凹 1 9日 7,5弼,幻l 8,166,340 日7,4凹 2,451,499 1,094,754一1担,6,745 1,7肝,540 3閃,8,699 1,241,1日 3,349,892 4,032,邸7 682 191 8,510,887 9,360,710 出9,823 2,642,9制 1,120,070ー1,522,914 1,963,852 3日,6,250 1,672,目唱 3,904出,l 4,604,390 7,帥3四 1978 11,0却,幻l 12,687,140 1,660,209 3,678,田l 1,570,253 -2,1肝,7鳴 2,376,063 5,010,378 2,634,315 4,972,817 6,1侃,回目 1,133,6自由 1979 14,773,700 16,103,426 1,329,726 4,描1,431 2,2岨,576 -2,312,855 3,3叩,7肝 5,652,243 2,211,4岨 6,831,4担 8,202,607 1,371,1目 !日開 19,733,135 19,810,618 廿,483 5,353,2叩 2,173,440 -3,17,唱7。唱 4,673,486 6,ω7,300 2,086,814 9,7同,419 10,876,878 1,1叩,459 l弼l 21,1凹,551,担611,197 1,411似,6 5,928,525 2,4叩,7担 -3,449,787 4,765,7日 正163,ω1 3,397,3却 10,505,263 11,969,360 1,464,097 l弼1 18,888,375 22,204,270 3,315,!8目 4,7朋,222 2,382,却7-2,泊町,915 4,563,2日 8,7,日918 ι195,6目品 ,日544,881 11,063似,5 1,518,158 1983加,287,078 25,122,747 4,835,ω 5日,6,683 2,η4,0回 -3,1凹,615 4,646,4日 11,333,113 6,687,280 10,053,962 11,311,966 1,2日l帥4 1 9出4 21,959,0田 加,4日,390 8,4肝1却4 6,441,田l 3,186,岨1 -3,2日,泊。 5似,1,650 14,867,117 9,826,0肝 10,475,5百 12,402,211 1,926,636 l防 20,1世,049,却725,662 10,623,613 5,548,847 3,4肌945 -2,087,叩2 4,746,273 14,773,373 10,027,ω1 9,806,929 12,491,344 2,684,415 l制 24,181,460却,師1,504 15,6唱0似,4 8,254,741 4,559,809 -3,694,932 5,4担,5倒 19,013,878 13,日1,284 10,494,1目 16,287,817 5,7田,692 l弼7 34,983,380 53,678,7岨 18,的51,3日 11剖,0,566 6,986,014“4,制,552 7,647,962お,684,790 16,036,82畑 15,494部,1 23,ω7,944 7,513,092 1 9唱3 49,672,800 60師,7,362 10,凹4,5日 14,825,440 8,17l,的7-6目,3,743 13,006,725 23,467,169 10,460,444 21,840,635話,4担,4田 6,587,出l 1 9削 日,265,3出 “l却3目,2 14,038,626 16,031,015 9,064,師2 -6田,6,1日 12,002,7甜 24,0甜,214 12,033,4部 24,目1,523出,却2,876 8,肝1,353 i目的 臼,716,004 67,214,446 12,4曲,442 15,998,4路 8,3訂,715 -7,師0,113 12,611,田7 21,745,853 9,1剖,0出 出,1田,749計,1却,878 11,025,1目 資料:CEPD (1991)p 215。

(14)

-172ー 香川大学経済論叢 664 メリカの国内金利の上昇につれて海外の資金はアメリカに大量流入を招いた。 そしてアメリカへの資金流入は外国為替市場で, ドlレ高を引き起こしたのであ る。このような状況のもとで,台湾元は1982年には1ドルニ39,86台湾元,1983 年には

1

ドルニ

4

0

,22台湾元に減価した。台湾の輸出額は再び大幅に増加した。 貿易収支は1980年の7,700万米ドルから一気に1985年に 100億米ドノレを突破 し, 1985年の外貨準備高は1980年の 10倍近くに増加した。 図II-6に示されているように, 1985年9月のプラザ、合意直前の8月に,台 湾元の対米ドノレ為替レートは

4

0

,,22元であった。その後,台湾の対米ドル為替 レートは台湾元高の基調で推移した。 1986年に台湾の対米ドル為替レートの年 平均は1米ドノレニ37,,83台湾元, 1987年に台湾の対米ドル為替レートの年平均 は

1

ドJレニ

3L84

台湾元に増価した。しかし,台湾元の増価基調にもかかわら 42 図II-6 台湾元の対ドル為替レートの変動 (1985 1 -1987..12, 1988..12, 1989 12, 1990 12)

叶~\

36 34 32 30 28 26 85,.1 4 7 10 86,.1 4 7 10 87ゎ 4 7 10 888990 121212 注 :1985 1ー1987.12までの資料は台湾総覧,1988 12, 1989. 12および199012の資料はCEPD。 資料:1. 台湾総覧(1991)p.355。 2. CEPD (1991)p.199。 (9 ) 矢野(1992-1993)p..403参照。

(15)

665 台湾の貿易構造と対日貿易について -173ー ず,貿易収支の黒字は

1

9

8

7

年には

1

8

0

億米ドノレと過去最高を記録した。外貨準 備高も

1

9

8

8

年に

7

4

5

億米ドルに達した。

1

9

8

7

2

月のルーブノレ合意以降,台湾 元の対米ドノレ為替レートは,次第に増価していた。

1

9

8

7

1

0

月に台湾元の対米 ドル為替レートは

l

米ドルニ

2

9

9

8

台湾元,

1

9

8

7

1

2

月には

1

米ドノレニ

2

8

.

5

0

台湾元,

1

9

8

8

1

2

月に

1

米ドル

=

2

8

.

.

1

2

台湾元,

1

9

8

9

1

2

月には

1

米ド ノ レ=

2

6

.

.

1

2

台湾元そして

1

9

9

0

1

2

月には

1

米ドル

=

2

7

.

.

1

2

9

台湾元になった。 台湾元の増価およびアメリカとの通商交渉のために,台湾の輸出額の対前年増 加率は

1

9

8

7

年の

35%

から

1

9

8

8

年の

13%

,1

9

8

9

年の

9%

,さらに

1

9

9

0

年に

1%

に減少し,輸入額の対前年増加率は,

1

9

8

7

年には

44%

1

9

8

8

年には

41%

1

9

8

9

年には

5

%,

1

9

9

0

年には

4%

となり,

1

9

8

9

年を除いて輸出額の増加率より 高い。貿易収支の黒字も,表

II-7

が示すように,

1

9

8

7

年の

1

8

0

億台米ドルか ら1

9

8

8

年の

1

0

9

億台米ドルに減少し,

1

9

8

9

年に

1

4

0

億台米ドルに増加したが,

1

9

9

0

年には再び

1

2

0

億台米ド

1

レに減少した。 以上より台湾の貿易収支は,台湾元の対米ドル為替レートの変動とは密接な 関係があるといえよう。

II-4

日台米貿易の三環構造一一日台米のトライアングル網一一 台湾の貿易構造のもう一つの特徴は,輸出はアメリカに大きく依存している が,輸入は日本に大きく依存しているということである。すなわち,対日貿易 収支の赤字と対米貿易収支の黒字というかたちでの日台米聞のトライアングル 網という貿易関係が見られる。 図II-7と表

II-8

の示すように,台湾の輸出,輸入が日米両国に大きく依 存していることがわかる。日本が

1

9

6

0

年代半ばまで台湾の最大の輸出相手国で あり輸出額の

30%

を占めていたが,

1

9

7

0

年代にはいると急激にその比重は減少 した。輸入についてみると輸出とは反対に

1

9

6

0

年代半ばまでアメリカが第

1

位 を占めていたが,

1

9

6

4

年には日米の順位が逆転して日本が輸入相手国の首位を 占めるに至った。一方,貿易収支については,表1I

-7

および図

II-8

(図

I

I

(

1

0

)

矢野

(

1

9

9

2

-

1

9

9

3

)

p..

4

0

3

参照。 (ll) 輸出額および輸入額の増加率はともに,

CEPD (

1

9

9

1

)

p.

2

1

5

より算出。

(16)

174 % 50 40 30 20 10 香川大学経済論議ー 666 図II-7 台湾の対日米輸出入額比重の推移 O 19切1962白1964'1966 '19681970 1972 1974 197619781980 19821984 1986 19881990 1961 1963 1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 一 対 日 輸 入 … 一 対 米 輸 入 一 一 対 日 輸 出 一 一 対 米 輸 出 資料:CEPD (1991) p 220, 2220 図II-8 台湾の対世界,日本および米国の貿易収支 単{立:10億 ド ル 20 5 、、 、、 、、、 ‘ 15 10 O 民 υ ー10 1~1~1~lm1m1m1m1m1~1~1~1~1~lm 1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 一対世界貿易収支ーー対日本貿易収支ー一対米国貿易収支

(17)

667 台湾の貿易構造と対日貿易について -175-表II-8 台湾対日米の輸入依存度と輸出依存度 (%) 輸 入 依 存 度 輸 出 依 存 度 日 本 アメリカ そ の 他 日 本 アメリカ そ の f也 1952 100 31.2 45.7 23.1 100 52.6 3.5 43.9 1955 100 30.5 47.5 22.0 100 59.5 4.4 36.1 1956 100 36.3 42.0 21. 7 100 37.2 5.6 57.2 1957 100 33.2 39.9 26.9 100 35.2 3.5 61.3 1958 100 39.6 37.3 23.1 100 41.9 6.2 51.9 1959 100 40.3 36.1 23.6 100 41.5 8.6 49.9 1960 100 35.3 38.1 26.6 100 37.7 11.5 50.8 1961 100 31.0 40.6 28.4 100 29.0 21. 9 49.1 1962 100 34.1 38.0 27.9 100 23.9 24.4 51. 7 1963 100 29.7 41.6 28.7 100 31. 7 16.3 52.0 1964 100 34.8 32.5 32.7 100 30.9 18.6 50.5 1965 100 39.8 31. 7 28.5 100 30.6 21.3 48.1 1966 100 40.4 26.7 32.9 100 24.0 21.6 54.4 1967 100 40.5 30.7 28.8 100 17.9 26.2 55.9 1968 100 40.0 26.5 33.5 100 16.2 35.3 48.5 1969 100 44.2 24.1 31. 7 100 15.0 38.0 47.0 1970 100 42.8 23.9 33.3 100 14.6 38.1 47.3 1971 100 44.9 22.1 33.0 100 11.9 41. 7 46.4 1972 100 41.6 21.6 36.8 100 12.6 41. 9 45.5 1973 100 37.7 25.1 37.2 100 18.4 37.4 44.2 1974 100 31.8 24.1 44.1 100 15.0 36.1 48.9 1975 100 30.6 27.8 41.6 100 13.1 34.3 52.6 1976 100 32.3 23.7 44.0 100 13.4 37.2 49.4 1977 100 31.1 23.1 45.8 100 12.0 38.8 49.2 1978 100 33.4 21.5 45.1 100 12.4 39.5 48.1 1979 100 30.9 22.9 46.2 100 14.0 35.1 50.9 1980 100 27.1 23.7 49.2 100 11.0 34.1 54.9 1981 100 28.0 22.5 49.5 100 11.0 36.1 52.9 1982 100 25.3 24.1 50.6 100 10.7 39.4 49.9 1983 100 27.5 22.9 49.6 100 9.9 45.1 45.0 1984 100 29.3 23.0 47.7 100 10.5 48.8 40.7 1985 100 27.6 23.6 48.8 100 11.3 48.1 40.6 1986 100 34.1 22.5 43.4 100 11.4 47.7 40.9 1987 100 33.8 21.9 44.3 100 13.0 44.1 42.9 1988 100 29.8 26.2 44.0 100 14.5 38.7 46.8 1989 100 30.7 23.0 46.3 100 13.7 36.3 50.0 1990 100 29.2 23.0 47.8 100 12.4 32.4 55.2 資料:CEPD (1991) p 220, 222。

(18)

-176 香川大学経済論叢 668 - 8について付図II-8-1がある)に示されているように対日貿易収支は早 くも 1956年以来赤字を呈し,その対日貿易収支の赤字が拡大傾向を明白に示し たのは, 1964年以降のことである。他方,対米貿易収支は, 1968年から黒字基 調が定着化した。したがって,台湾の対米貿易収支の黒字および対日貿易収支 の赤字によるトライアングノレ網は1968年をもって成立したとみてよいであろ

台 湾 の 対 米 輸 出 依 存 度 ( 輸 出 額 全 体 に 占 め る 対 米 輸 出 額 の 比 率 ) は 1968-1979までの37..78%より, 1980年代には, 40ゎ98%に達した。対米貿易収 支黒字は,黒字に転じた1968年の3,870万米ドノレから, 1985年には100億米ド ル, 1986年には136億米ドル,さらに 1987年には160億の過去最高額になっ た。しかし,対米貿易収支の黒字が問題になり,アメリカとの通商交渉および 台湾元の対米ドルの増価のため, 1988年に台湾の対米貿易収支の黒字は104億 図II, -8ー1 台湾の対世界,日本および米国の貿易収支 (1955-1973) 単位:百万ドル 800 ..一一ーーー 700 600 500 400 300 200 100 0.. -100 -200 -300 -400 -500 -600 伊700 1955 1957 1959 1961 1963 1965 1967 1969 1971 1973 1956 1958 1960 1962 1964 1966 1968 1970 1972 f r

r

, ,

f

r J J / / / 一 対 世 界 貿 易 収 支 一 一 対 日 本 貿 易 収 支 一 一 一 対 米 国 貿 易 収 支 資料:CEPD (1991)p.215。 (12) 徐 (1992)p.269参照。

(19)

669 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 台湾の貿易構造と対日貿易について -177-表II-9 輸 出 , 輸 入 別 上 位 (1990年を基準)7品 目 の 比 重 の 推 移 (1982-90)(%) 輸 出 電 機 電 気 機績械機別(紡) プラスチック 紡 績 製品と 化 繊 製 品 はき物類 輸 送 設 備 器 具 とその製品 そ の 品 14 7 5..2 3 4 9 1 4..6 6 9 4.8 15..6 6..1 3..6 8..0 4.3 7.5 4..

16..3 7..5 3..9 8..2 4.3 7.5 3..9 14 9 8..7 4 3 8..2 5..2 7..7 4..0 14..7 10..1 4 5 7..5 4..0 7..8 4..3 15..7 12.2 4..8 6.8 4..1 6..9 4 3 16.7 14..4 5..5 6..1 4..4 6..3 4..1 18..2 14..2 5..8 5..8 5..1 5..6 4..6 17.5 16..2 5..8 5..7 5 4 5..3 5..1 輸 入 電 機 電 気 機 械 化学学製品と化 輸 送 設 備 鉄鋼製 とそ 原 油 ゴムとプラス 器 具 の 品 チック製品 10..8 9..2 8.7 8..0 5 0 20..5 2..4 11.5 8..2 10..3 7..2 4 2 20..2 2..8 13 3 10 1 10..2 5..1 4..6 17..2 2..8 12..1 10 1 10..6 5..7 4..5 16..6 2..7 15..

12..0 12..6 5..4 5..9 8.5 3ι 15..7 13..1 1L3 6..0 6 0 7 2 3..4 14..5 12..4 10..8 6..2 6..5 4..4 3..4 15..3 11 1 11 1 7..6 7..3 5..0 3 1 16..5 10 7 10..7 7.1 6 2 5..8 3..3 注:中華民国商品標準分類(CC C Code)による。1981年以前とは速続しないため,1982年以降に限ることと した。

資料 CEPD(1991), Industry of Free China (August1991, Taipei)pp.160ー164,166-169;do., May 1991, pp

64-67, 70-73

(20)

-178- 香川大学経済論叢 670 米ドルに減少した。図II-8の示すように,台湾の対米貿易収支の黒字と対全 世界貿易収支の黒字は,ほとんど同じように推移する関係がみられる。これは 台湾の貿易収支の黒字が,対米貿易の黒字に大きく依存していることを示して いる。これに対して,対日貿易収支は赤字基調で,その額は1985年に21億米 ドル, 1986年に35億米ドル, 1987年に49億米ドルへと増加し, 1988年には61 億米ドルに達した。図II-8に示されているように,台湾の対米貿易収支の黒 字の増加にほぼ連動するように対日貿易収支の赤字も増加するという構造が見 られる。 1980年代の台湾の貿易構造を商品別についてみてみよう。表II-9に示され ているように,台湾の輸出入商品の構成比は「電機,電気器具」と「機械」が, それぞれ,財の輸出および輸入の双方において,第1位と第2位を占めている。 このことは,台湾の輸出が,輸出品の生産に必要な中間財や部品の輸入によっ て支えられていることを示唆している。この点をとくに対米輸出額と対日輸入 表IIー10 台湾の対米輸出上位5品目の規模と比重の推移 (100ドノレ,%) 機械L電器設備 紡 績 品 プラスチy?,ゴム製品 基 礎 金 属 運 輸 設 備 対米輸出全体 比品口計位目%5 金 額 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 1981 2,204,546 27 0 1,524,828 18 7 926,721 114 636,453 7 8 301,7幻 3.7 8,163,099 100 68 6 1982 2,幻3,036 26 0 1,661,050 19 0 883,032 10 1 641,684 7 3 339,451 3.9 8,758,918 100 66 3 1983 3,142,824 277 1,909,500 16 8 1,139,878 10 1 944,345 8 3 475,875 4 2 11,333,713 100 67.1 1984 4,343,208 29 2 2,520,626 17 0 1,580,481 10.6 1,260,199 8.5 689,021 4 6 14,867,717 100 69.9 1985 4,ω5,040 28 5 2,344,850 15 9 1,767,533 12 0 1,313,611 8 9 759,537 5 1 14,773,373 100 70.4 1986 5,411,007 30.9 2 696.869 14 2 2,310,213 12.2 1,743,893 9.2 1,042,887 5.5 19,013,878 100 720 1987 7,317,815 3 7 33. ,066,040 12 9 2,763,461 11,7 2,176,834 9.2 1,252,018 5.3 23,684,7卯 100 728 1988 7,902,010 33 7 2,828,η8 12 1 2,657,170 11.3 2,160,151 9 2 1,159,625 4.9 23,467,169 100 712 1989 8.004.226 33 3 2,970,309 12.4 1,458,419 6 1 2,004,073 8 3 1,248,57 5 2 24,036,214 1ω 65..3 1990 7,556,446 34 7 2,670,210 12.3 1,311,198 6 1 1,925,291 8 9 1,261,4卯 5 8 21.745.853 1ω 67.8 注:1989, 1990年に限ってはきもの類を除く。 資料:CEPD (1991)p 234。

(21)

671 台湾の貿易構造と対日貿易について -179-表II-ll 台湾の対日輸入上位5品目の規模と比重の推移 (100ドル,%) 機械,電器設備 本金属と製品 化学,薬品 運 輸 設 備 紡 綴 口口口 対日輸入全体 よ品白位計目5 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 金 額 % 1981 2,620,066 44 1 ,1208,256 20 3 682,/93 11 5 448.438 7 5 214,991 3.6 5,928,525 100幻O 1982 1,986,334 41 5 946,129 19i 605,071 12 6 354,037 7 4 199,624 4 1 4,78,日222 100 85 3 1983 2,342,891 41 9 993,230 17 7 /20,735 12 9 580.721 10 3 201,898 3 6 5,586,683 100 86 4 1984 3,056,470 47 4 1,072,655 16.6 800,698 12 4 441.336 6.8 220,654 3 4 6,441,861 100 86 6 1985 2,433,186 43 8 943,331 17 0 773,043 13 9 433,577 78 205,573 3 7 5,548,847 100 86 2 1986 3,883,714 47 0 1,404,054 17.0 1,143,998 13 8 543,067 6 5 288,862 3 4 8,254'/41 ωl 87 7 198/ 5,157,095 48 6 1,949,133 16 4 ,1516,822 12 8 945,611 i 9 316,203 2 6 11,840,566 100 88 3 1988 7,363,013 49 6 2,187,286 14 7 ,1874,517 12.6 1,202,/53 8 1 356,622 2.4 14,825,440 100 87 4 1989 7,570,∞2 47 2 2,344,047 14.6,1546,412 9 6 1,396,737 8 7 464.795 2 8 16,031,015 100 82 9 1990 ,/654,353 47 8 1,907,059 11.9 lω1.003 100,1413,960 9 2 472,526 2 9 15,998,428 100 81 8 資料:CEPD (1991)p 2440 額の商品別構成についてみると,表II-10と表II-llが示すように r電機, 電気器具」が対米輸出と対日輸入に占める構成比が第

1

位であることから,台 湾が中間財,部品を日本から輸入し,それらを組み立てて完成品としてアメリ カへ輸出する中継基地であるとみなすことができる。 このような日台米貿易の三環構造についての実証分析は,第

I

V

節において行 われる。 III.台湾の対日貿易とその構造変化 第II-4節で述べたように,台湾の貿易の特徴の

1

つは対米貿易収支の黒字, 対日貿易収支の赤字ということである。台湾の対日貿易収支は表II一7と図III

l(図III-1について付園田- 1ー し 付 図III-1-2および付図III-1-3

(22)

-180-単 位 :10{)意ドル 20.一一一一一一 香川大学経済論叢 図III-l 台湾の対日輸出入額 (1955-1990) 15 ""1---一一一一一一一一一一---一一ー 10 -+---,--'--,-.,----ー一一一一一一一一一一一---",.一一ー一ー一一一一一一一一一一ー+一一一一 5 -1一一---一一一一一一一一一一一ー一一一一一一一一---/-てコ》ぜこーさー,~----­

、、.-ー『 、、・ー¥_/'、、_/'¥ 国5斗"一一ーー町一一一一一一---一一一一一一一一一一一一一一一---.---一一一、-¥ -10 1955 1960 1965 1970 1975 1980 単位:百万ドル 700 一輸入額一一輸出額一一一貿易収支 図III-l-l 台湾の対日輸出入額 (1955-1970) 600-1一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 500 400 300 200 100 O -100 -200 -300 -400 -500 ¥ 1985 1990 1955 1957 1959 1961 1963 1965 1967 1969 1956 1958 1960 1962 1964 1966 1968 1970 口輸入額 +輸出額 <>貿易収支 672

(23)

673 台湾の貿易構造と対日貿易につHて 図III-1-2 台湾の対日輸出入額 (1964-1979) 単位:億ドル 5 4 -1ーー一回---一一---~.-一一一一一一一一ー一一一一一-一一一一一ー一一一一 ,オー 'ーー"一山 白,,:;;ド

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一ー--1叶一一一-ー晴 、ラーかか司令‘ -2寸一一一" -3 マ』吻 -181-1964 1969 1974 1979 口輸入額 +輸出額 ()貿昇収支 図III-1-3 台湾の対日輸出入額 (1980-1990) 単 位 :10億ドル 20 10斗一一一一一一一-_._--.-一一一一一一一一-.----一一一-7ι一一一一一一一---一一

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-10 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 口輸入額 +輸出額 ()貿易収支 資料:CEPD (1991)p 215。

(24)

-182- 香川大学経済論叢 674 がある)が示すように, 1956年に赤字に転じ 1963年に少し縮小してきたが, 1964年からまた拡大した。近年になっても対日貿易収支の減少傾向は示され ず, 1985年 9月のプラザ合意以降,円の大幅増価にもかかわらず,台湾の対日 貿易収支の赤字はさらに拡大し, 1990年には 76億米ドノレ台になった。 本節では台湾の対日貿易における輸出入関数の推定を行い,なぜ台湾の対日 本貿易収支が赤字になったかの原因を究明するほかに,台湾の対日輸出入構造 がとくに 1980年代において変化したかどうか検証する。第皿- 1節では,台湾 の対日輸出入関数のモデルについてを説明する。第III-2節では,台湾の対日 輸出入関数を推定する。推定する期間は,台湾が輸入代替工業化から輸出指向 工業化に転換し,対日貿易収支の赤字が拡大した1964年から 1990年までであ る。ただし, 1976年以前における台湾の実質 GNPの四半期データが利用可能 でないため,ここでは1964年から 1979年までと 1980年代(1990年含む)の 2 段階に分けて推定するc したがって 1964年から 1979年までの聞の推定は年次 データを用いて行う。1980年から 1990年までは,四半期データを用いて推定す る。第III-3節では,第2節の推定結果にしたがって,台湾の対日貿易収支の 赤字基調について検討する。第III-4節においては,台湾の対日輸出入構造が 1980年代において変化したかどうかについて検証する。 III-1 台湾の対日輸出入関数 一般に輸出入の変化は二つの要因に依存する。すなわち,-所得効果」と「価 格効果」である。台湾の対日輸出数量の年々の動きを決定する第l要因は日本 における台湾の輸出品を使用する産業の生産量,消費する家計の所得である。 輸出量を国民経済全体の集計数量でとらえるときは,国民経済全体の活動水準 をあらわす指標である日本の実質所得がその重要な決定要因といえる。日本の 実質所得が増加すると台湾の対日輸出量が増加する。第

2

に台湾の対日輸出量 は,台湾の輸出品価格(円建て)の日本製品の価格に対する比,すなわち台湾 の対日輸出相対価格によって左右される。台湾の対日輸出相対価格が高くなれ ば,対日輸出量が減少する。また,台湾の対日輸入量も,同じように台湾の実 質所得と台湾元建ての日本の輸入品価格の台湾の製品価格に対する比,すなわ

(25)

675 台湾の貿易構造と対日貿易について 183 ち台湾の対日輸入相対価格に依存する。 本節では,台湾の対日輸出入関数の推定を試みど。輸出関数は,日本の実質 所得と台湾の対日輸出相対価格を説明変数とし,対日輸出量を被説明変数とす る。輸入関数は,台湾の実質所得と台湾の対日輸入相対価格を説明変数とし, 対日輸入量を被説明変数とする。輸出入関数ともに対数関数として推計し,台 湾の対日輸出の所得弾力性と価格弾力性および台湾の対日輸入の所得弾力性と 価格弾力性などを求める。 本節では,台湾の対日輸出入関数を推定するためのモデルを説明する。まず, 台湾の対日輸出額および対日輸入額は,それぞれ,次の(1)式と

(

2

)

式において与 えられる。 台湾の対日輸出額

(1) EXJ = (PXI/eI

F(yJ,PX1/eIJP MJ)

台湾の対日輸入額 (2) 1MJ = PXJ・G(YI,eIJ. PXJ, P M1) ただし, EXJ……台湾の対日輸出額(円建て) PX1川…台湾の対日輸出価格(台湾元建て)

e

IJ".. 台湾元の対円為替レート yJ…"。 日本の名目所得 PMJ……内日本の国内卸売物価 1M!……台湾の対日輸入額(円建て) PXJ……日本の対台湾輸出価格(円建て) yI…川 台湾の名目所得 P M1…パ台湾の国内卸売物価

(14) 輸出入関数の定式化については,たとえば, Houthakker and Magee (1969),天野 (1982)第2章第2節,陳(1979)第2章第l節,第3章第l節 経 済 白 書J(昭和62年

(26)

-184ー 香川大学経済論叢 676 (1)式は,日本の台湾製品に対する需要額を示し,関数

F

はその需要関数であ る。

(

2

)

式は,台湾の日本製品に対する需要額を示し,関数Gはその需要関数を 表している。(1)式および(

2

)

式は,需要関数のゼロ同次性によって,それぞれ, (3)式と(4)式になる。

(3) EXl/PX1/eIJ

=

f(Yl/PMJ

PX1/eIJ/PMl)

(4) IMl/PXJ

=

g(yI/PM1

eIl. PXl/PM1) ここで, yl/PMlをyl,Y1/PM1をyIとおくと, (3)式と (4)式は,それぞれ(5) 式と (6)式になる。 (5) EXJ/PX1/eIl

=

g(yl

PX1/eIJ/PMl) (6) IMl/PXl

=

f(yI

eIJ. PXJ /PM1) ただし, EXl /PX1 /en ...…"台湾の対日輸出量 yl... ………"日本の実質所得 PX1/eIJ/PMl …1守・台湾の対日輸出相対価格 IMl/PXl...o・0 0ー……・台湾の対日輸入量 yI.. いわい"刷~ ~ . .……一……台湾の実質所得 eIJ. PXJ /PM1 。……"台湾の対日輸入相対価格 (5)式と (6)式を,それぞれ,次の(7)式と (8)式のような線型回帰方程式に書き換 える。 (7) ln(EXJ /PX1 / eIl) = a* + b*lnylーc*(PX1/eII/PMJ)十u*

(

8

)

ln(I

Ml

/PXJ)= a+blnyI-cln(eIJ.PXJ/PMI)+u (7)式と

(

8

)

式は,それぞれ,台湾の対日輸出関数および輸入関数である。

f

とaは切片であり,u*とUは誤差項である。各変数のパラメーターの符号 条件は次のようになる。 b

>

0

, c

>

0

, b*

>

0

, c*

>

0

である。 b(b*)および c(c*)の経済的意味は次のとおりである。 b(b*)

>

0

は,台湾の対日輸入(輸出) の所得弾力性,すなわちyI(yl)の

1%

の増加が輸入(輸出)量をb(b*)%増加さ せることを示す。 c(c*)

>

0

は,台湾の対日輸入(輸出)相対価格弾力性であり, eTJ • PXJ /PM1(PX1/eIl/PMJ)の

1%

の低下が輸入(輸出)量をc(c*)%増加させ

(27)

677 台湾の貿易構造と対日貿易について -185-ることを示す。 III-2.. 台湾の対日輸出入関数の推定 本節では前節で決定した輸出入関数が,単純最小

2

乗法を用いて推定され, 輸出入関数の所得弾力性や相対価格弾力性などを明らかにされる。また,長期 の弾力性と短期の弾力性を区別するため,コイック・ラグを導入する。ただし, それぞれの変数リストとデータの出所は,第III節の付録に与えられる。 まず

1

9

6

4

年から

1

9

7

9

年iまで日本に対する台湾の輸出関数の推定結果は,次 の(9)式のように与えられる。

(

9

)

1n(EX

J

/PX

I /

eI

J

)

= -1.

0

6

9

3

8

4

+

0

4

5

9

3

1

1

0l

ny

J

(1.

8

2

)

-o

5

3

7

8

1

5

1

n

(

P

X

1 /

eI

J

/PMJ)

(

-071)

+OA7493341n(EXJ

/PX

1

/

e

I

J

)

_

l

(1.

9

4

)

R

2

=

0

.

9

0

SE

=

OJ8

D W

=

1.

6

6

ただし,頁Eは自由度修正済みの決定係数,

SE

は推定値の標準誤差,

D W

は ダービン・ワトソン比, ( )内の数値は t値である。 次に

1

9

8

0

年代(1

9

9

0

年を含む)の日本に対する台湾の輸出関数の推定式は,

(

1

0

)

1

n

(

E

X

J

/PX

1 /

eI

J

)

=

-

3

.

.

3

6

6

6

9

8

+

0

β

0

2

3

6

9

0l

ny

(

2

4

8

)

-0

.

6

8

8

8

1

6

1

n

(

P

X

1 /

eI

J

/PMJ)

(

-337)

(

1

5

)

いま,

(

8

)

式を偏微分する。ただし,

I

Ml

/

P

X

J

M

とおき,

e

I

J

.

P

X

J

/

P

M

1

P

とおく。

InM 否砿γ = 0 より

b =

8v

44

T M 8lnM 8lnPー し 8M P より, c ーー一一一-8P M 0 ゆえに ,bは台湾の対日輸入の所得弾力性 cは台湾の対日輸入の価格弾力性を表す。 同様に ,b*は台湾の対日輸出の所得弾力性,♂は台湾の対日輸出の価格弾力性を示して いる。

(28)

-186-R2 = 0..86 である。 香川大学経済論叢 十

o

62301331n(EXJ /PX

1

/

elJ

)

_

l

(634) SE = 0..12 D W = 2..67 678 (9)および(10)式 よ れ 1964-1979年および 1980年代における台湾の対日輸出 における短期と長期の所得弾力性と相対価格弾力性が,表III-1に与えられて いる。

2

つの式のすべての説明変数は符号条件が満たされるが,

(

9

)

式の台湾の 対日輸出相対価格の係数の有意性はあまり高くない。(9)式によれば,1964-1979 年まで,日本の実質GNPが 1 %増加すると,台湾の対日輸出量は,短期的に 0.. 459%,長期的に 0..875%だけ上昇する。台湾の対日輸出相対価格の 1%の上昇 は,台湾の対日輸出量を,短期では

o

538%,長期では 1..024%だけ減少させる。 (10)式は, 1980年代において,日本の実質 GNPの 1 %の増加は,台湾の対日輸 出量を,短期的にO引602%,長期的に 1..598%増加させ,台湾の対日輸出相対価 格が1 %上昇すると,台湾の対日輸出量は,短期には 0..689%,長期には 1..827% 減少することを示している。 表III-l 台湾の対日輸出の短期と長期の弾力性 所 得 弾 力 性 価 格 弾 力 性 短 期 長 期 短 期 長 期 1964-1979年

o

459311

o

874767

o

537815 1 024271 1980-1990年 0.602369 1 597852

o

688816 1 827163 次に日本からの台湾の輸入関数について推定してみよう。まず, 1964-1979 年の期間における台湾の対日輸入関数の推定結果は, (11) 1n(IMJ /PXJ) = -L949085+034561841nyI

(

1

5

6

)

+ 006655251n(eTJ. PXJ /PM1 )

(

0

.1

9

)

+0れ69706381n(IMJ/PXJ)ー1 (532)

(29)

679 台湾の貿易構造と対日貿易について -187-R2 = 0“95 SE = 0,,11 D W = 2,,59 となる。 そして1980年代における台湾の対日輸入関数の推定式は,次の但)に与えられ ている。 ωln(IMJ jPXJ)

=

-3709626+0 53696531nyT (323) +OJ0691521n(eTJ. PXJ jPMT) (040) + 060076581n(IMJ jpXJ)_l (539) R 2 = 0,,86 SE = 0,.10 D W = 2,22 (ll)式および(12)式に与えられた推定結果より, 1964-1979年および1980年代 の台湾の対日輸出における短期と長期の所得弾力性および相対価格弾力性はそ れぞれ,表凹

-2

にまとめられている。ただし,台湾の対日輸入相対価格弾力 性については, 2つの期間においてその符号条件を満たされず正となっており, 日本から台湾への輸入量において,価格効果の有効性がそれほど高くないこと を示している。 (ll)式によれば, 1964-1979年まで,台湾の実質GNPが1%上 昇すると,台湾の対日輸入量が,短期的に0,,346%,長期的に L141%増加し, 台湾の対日輸入相対価格の 1%の上昇は,台湾の対日輸入量を,短期的には0, 067%,長期的には0,220%増加させるといえる。 (12)式は, 1980年代において, 台湾の実質GNPが1%上昇すると,台湾の対日輸入量が,短期的にOド537%, 長期的に 1345%増加し,台湾の対日輸入相対価格の 1%の上昇は,台湾の対日 輸入量を,短期的には0,,107%,長期的にはO“268%増加させることを示してい 表III-2 台湾の対日輸入の短期と長期の弾力性 所 得 弾 力 性 価 格 弾 力 性 短 期 長 期 短 期 長 期 1964-1979年 o 3456184 1.140895 -0,0665525 -0,,2196914 1980-1990年 0,5369653 1 344988 -0,,1069152 -0 " 2678007

(30)

-188- 香川大学経済論叢

6

8

0

る。

I

I

I

-

3

.

.

台湾の対日貿易収支の赤字基調 第凹-2節の推定結果を本節では所得効果と価格効果について検討してみよ う。まず台湾の対日輸出入の所得効果については,表

I

I

I

-

3

に示されている。 台湾の対日輸出の所得弾力性は,

1

9

6

4

-

1

9

7

9

年までの長期のそれを除いて, 台湾の対日輸入の所得弾力性より高い。しかし,

1

9

6

4

-

1

9

7

9

年までの日本の実 質

GNP

成長率は

7.2%

であり,台湾の実質

GNP

成長率は

1

0

.

.

2

%

である。同じ 期間において,台湾の対日輸出の所得弾力性は短期では

0

.

.

4

5

9

であり,長期で は

O

8

7

5

である。台湾の対日輸入の所得弾力性は短期では

O

3

4

6

であり,長期 では

1

1

4

1

である。したがって,台湾の対日輸出の所得効果は短期では

3

.

.

3

0

で あり,長期ではふ

3

0

となる。台湾の対日輸入の所得効果は短期では

3

.

.

5

3

であ り,長期では

1

1..

6

4

である。つまり,

1

9

6

4

1

9

7

9

年の聞に台湾の対日輸入の所 得効果は,短期と長期とともに台湾の対日輸出の所得効果を上回っている。

1

9

8

0

年代における日本の実質

GNP

成長率は

4

.

.

2

%

であり,台湾の

GNP

成長率は

8%

である。同じ期間において,台湾の対日輸出の所得弾力性は短期では

0

.

.

6

0

2

であり,長期では

1

.

.

5

9

8

である。台湾の対日輸入の所得弾力性は短期では

0

.

.

5

3

7

であり,長期では

1

.

.

3

4

5

である。したがって台湾の対日輸出の所得効果は短期 では

2

.

.

5

3

であり,長期では

6

.

.

7

1

である。また,台湾の対日輸入の所得効果は 表III-3 台湾の対日輸出入の所得効果 輪出の所得効果 輸入の所得効果 短 期 長 期 短 期 長 期

1

9

6

4

-

1

9

7

9

3

.

.

3

0

6

.

.

3

0

3

.

5

3

1

1

6

4

1

9

8

0

-

1

9

9

0

2

.

.

5

3

6

.

.

7

1

4

.

3

0

1

0

.

.

7

6

(1

6

)

台湾の実質GNP成長率はCEPD

(

1

9

9

1

)

p.

2

より算出。日本の実質GNP成長率は日本 経済新筒社データパンクのデータより算出。なお,算出方法はCEPD

(

1

9

9

1

)

にしたがっ て,各年の成長率の平均値を求めた。

(31)

681 台湾の貿易構造と対日貿易について -189-表I1I-4 台湾の対日輸出入の価格効果 輸出の価格効果 輸入の価格効果 短 期 長 期 短 期 長 期 1964-1979年 -L82 -3.46 -,--0 22 -0.73 1980-1990年 -1 62 -4 30

17 -0.43 短期では4..30であり,長期では10..76である。以上より, 1980年代の台湾の対 日輸入の所得効果も短期と長期ともに台湾の対日輸出の所得効果を上回ってい る。 つぎに,価格効果についてみてみよう。台湾の対日輸出入の価格効果につい ては,表III-4にまとめられる。 1964-1979年の台湾の対日輸出相対価格弾力 性は,短期では0..538であり,長期では 1..024である。同じ期間において,台 湾の対日輸入相対価格弾力性は,短期では-0..067であり,長期ではー0..220で ある。 1964-1979年の台湾の対日輸出相対価格の上昇率は3..38%であり,台湾 の対日輸入相対価格の上昇率は-3..33%である。したがって,台湾の対日輸出 の価格効果は,短期では-L82であり長期では-3ι6である。台湾の対日輸入 の 価 格 効 果 は , 短 期 で は-0ド22で あ り 長 期 で は-0..73である。これより 1964-1979年まで台湾の対日輸出入の価格効果は,短期のみでなく長期におい ても,台湾の対日輸出入量を減少させるが,台湾の対日輸出の価格効果による 台湾の対日輸出量の減少は,短期および長期ともに,台湾の対日輸入の価格効 果による台湾の対日輸入量の減少より大きい。 1980年代における台湾の対日輸 出相対価格弾力性は,短期では0..689であり,長期では 1..827である。同じ期 間において,台湾の対日輸入相対価格弾力性は,短期ではー0..107であり,長期 では-0..268である。 1980年代の台湾の対日輸出相対価格の上昇率は2..35%で あり,台湾の対日輸入相対価格の上昇率はーL61%である。したがって,台湾 の対日輸出の価格効果は,短期では一1..62であり,長期では-4..30である。台 (17) 台湾の対日輸出入の相対価格の上昇率は,本節で用いられた台湾の対日輸出入の相対 価格のデータより算出。算出方法は脚注(16)と同じである。

参照

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 次に成長率をみると、中国、ベトナムは 1995 〜 2001 年と 2001 〜 2007 年の両期とも高 成長が注目された。2001 年の