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夏の夜間畜舎に侵入する蚊類について(四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究 X)-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

夏の夜間畜舎に侵入する蚊類についで

(四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究 Ⅹ)

松 沢

寛 Ⅰ 緒 畜舎に侵入する蚊類匿ついては,すでに本邦でも,若干の調査研究がなされているが,地域により,また,季節に ょって,蚊の種類やそれらの数鼠関係が,かなり変って−くることは云うまでもない”−・方において・,最近のように, 農村における農薬の散布が,きわめて.いちじるしい時代に・なると,農村地帯における蚊類の発生消長は,相当にそれ らの影響をうけることも必然と考えられる. かような見地から,本年(19占5),7月−9月の間,香川県の水田の多い農村地帯における,夜間畜舎に侵入する蚊 類,とくに,その種類,消長等を調べ,水田における農薬の散布その他との関係を考究してみたので,それらの概要 を報告する. 本文に入るに先だって:,本研究に多大の援助をいただいた,本学付属農場井口厚信教官、同畜舎係大松潔,白井博 文両氏ならびに本学応用昆虫学研究室専攻学生笠井靖 之君に対し,厚く感謝の意を表する Ⅱ 調 査 方 法 本調査は,かなり広い水田にとりかこまれた,香川 県木田郡三木町池戸の,本学付属農場畜舎(乳牛舎, 豚舎)において,本年(19占5),7月上旬から9月下 旬に至る正味5箇月の間,連続して行なった.蚊の捕 獲紅ほ,ライト・トラップ(東京,吉沢製作所製,ノ −プル蛍光灯NいE、C.FレるBL取付)を利用し,毎夜 午後5暗から,翌朝午前7時まで点灯したが,灯の位 置は,第1図に示した舎内中央の,天井に近い所であ った..乳牛舎,豚舎に,それぞれ1灯宛設置して二,毎 夜の蚊を捕獲したが,特別に予定した調査日(原則と して半句1回とした)の蚊は,灯毎に,100−200頭宛 の抜取りを数回試みて,種類構成と各種類の頭数の比 率を放し,一・方,種類毎の平均体重と,捕挺した蚊全 体の壷盈を,その都度秤って,総頭数と種類毎頭数を 概測したいただし,9月に入ってからの頭数およぴ7 月上旬に行なった,時間毎(2時間々隔)の調査の頭 数は,実測である Ⅲ 調 査 成 緯 (1)夏季を通じての活動の概況 本年(19る5),夏季(7月−9月)を通じて.の,前記 第1図 香川大学農学部付属農場付近要図(一−・部) ●ライト・トラップ設置場所 12 花 井 温 室 1.5 ブド ウ 温室 14 多肉植物温室 15 花 井 温 室 1る ガラス壷、網室 17 ガラス童、網室 18 水 槽 19 大農具格納庫 20 倉 庫 21実験用家禽舎 22 ビ・ニールハウス 農作乳堆豚鶏虚収倉学疏

12545る789用11

場 本 業 年 肥 舘室舎舎舎舎舎舎庫室茎 習 具納 実 生 *香川大学農学部応用昆虫学研究室業績.偏:78

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香川大学農学部学術報告 のライト・十ラップによる誘殺成績 は,第2図に示した通りであるが,今 回の成績でほ,乳牛舎の場合と,豚舎 の場合とで,かなり著るしいちがいが 接じた..この原因は.,両畜舎が比較的 近い距離にあること,畜舎の構造が非 常に異なること.乳牛舎は直接水田に 面した位置にあるが,豚舎は数個の建 物の間に位置することなどに・よるもの と思われるが,総じて.,7月下旬から 8月中旬の間が,蚊の発生の最盛期に 当っていることは,十分にうなづけ る 今回の調査において.認められた蚊の 種類ほ,アカイ・エカC〟Jβ・ガ ー如■かe〃一ざ ♪αJ/β搾,S CoQUIILETLT,コガタアカイ エセぐJ血.r け血川上oJん川ぐん′′ゞ GI− 1ES,レナハマダラカカ叫物納・Sカ.γ′■− cα〝弘S Sよ紹β乃S≠ぶ WIEDEMANN,オオ クロヤプカA〃扁gβr♂1S・Sぴ∂αJ∂αf〟ぎ CoQUILETTの4種であるが,これら の中で,圧倒的に個体数の多かった種 類は,コガタアカイ1エカであった・し かして,それらほ,明らかに,蚊の総 数の増減に大きく影響をもたらすよう であった.夏季を通じてみた場合の, これら4種の蚊の,個体数の大いさの順位 は,概して,両畜舎とも,コガタアカイエ カ,レナハマタラカ,アカイエカ,カ■オクロ ヤプカの順序であったが,時に,コガタアカ イエカとレナハマタラカの順位が逆転する場 合も見られた..このような,両種の順位の 逆転は,7月においてとくに多かったが,9 月にも(算2区トでは,作図の関係から,明瞭 ではない)わずかにそうした傾向が認められ た. しかしながら,オオクロヤプカのみほ,第 5図のように(第2区トでほ,作図の関係で, よくわからない),両畜舎の場合でそれはど 大きなちがいほなく,いずれの場合とも,8 月中旬頃まではむしろ昂・的に少なく,9月に 入って,次第に数段を増加する傾向が見られ 季 節(月〉 算2図 乳牛舎、豚舎における蚊の誘殺成績 8 季 節 (月) 第5図 乳牛舎、豚舎におけるオオクロヤプカの誘殺成絞 た. これら4種の蚊類の捕獲数を,%におきか.えて作図すると,第4図のごとぐであるが,大まかには,アカイエカの 数景が,非常に減少している時期に,コガタアカイ1エカ,レナノ\マタヲカの割合が多く,また,コガタアカイエカと

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シナハマダラカの間にも,−・方がへれば一方 が増えるといったような関係があるかのごと き成績となったい オオクロヤプカの数量が, かえって,9月に入って−増加する傾向の存す ることほ,すでにふれたが,これら4種の蚊 の割合が,8月下旬頃から9月にかけて,次 第にあるレベルにとどまって,はとんど横道 いの状態になってしまったことは,偶然とほ いいながら興味な・ひく. (2)時刻別の誘級数 前項に示した4種の蚊類の,時刻別の誘殺 数の調査は,実際にほ7月上旬,8月上旬の 2回行なったが,いずれも,大同小男の成椋 であったので,ここにほ.,7月9−10日の成 績のみを第5図として示すことにする 解5図の成結からわかるように,誘殺総数 のもっとも多かったのほ,両畜舎とも,午後 9暗から11時までの2時間で,次いで,その 前後の2時間であった.この場合の調査で も,概して,コガタアカイエカの個体数が圧 倒的に多かったが,後半夜においてほ,個体 40 殺 20 0 数 ト180 60 40 加 8 季 節(、月) 第4図 乳牛舎、豚舎における誘殺蚊の各種毎のパ−セント 数の大いさの順位ほ,両畜舎の場合とも,レナハマダラカとの逆転を見せた アカイエカ,コガタアカイエカ,も/ナハマダラカの5種の最大誘殺数が,午後9−11時の問であったのに対して, オオクロヤプカのそれほ,午後7【9時の間で,豚舎の場合には,また,翌朝午前5−5時の間にも,著るしいピーク を示したい しかし,それ以外の時刻にも,数頭程度ずつでほ あったが,やはり,本種の飛来が認められた小 これらの関 係ほ.,第5図からは明瞭に認めえないので,改めて第る図と して:示しておく.. 4種類の蚊の,時刻別の誘赦数を,%におきかえて示した のが,第7図であるが,ピークを作る時刻が,それぞれの種 .によってことなる事情は,明らかに認められる‖ ことに,コ ガタアカイ.エカとシナハマダラカの関係は,はなはだ興味を 10′000 8000 8000 ん000 溝 0 8000 8000 1000 2000 敦 P・m a・m・ 5−7 7−9 9−1111−11−3 3−5 5−T 時刻 第5区†乳年舎、豚舎における蚊の時刻毎誘 殺成結(7月9−10日)

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香川大学農学部学術報告 ひく点である (3)誘殺蚊の性別と雌蚊の吸血非吸血個体数の割合 畜舎内に.侵入する蚊類が,大多数雌であることは勿論 であるが,オオクロヤプカ以外の5種は,概して,99% まで雌であった..しかしながら,オオクロヤプカのみ ほ,常に雄の混入率がやや高く,雌は40−る0%を占めた しかして−,こうした傾向ほ,全期間を通じて認められ た小 次に,雌叔の吸血,非吸血個体の割合であるが,これ も,オオクロヤプカと他の5種でほ,大きなちがいが見 られた..すなわち,オオクロヤプカでほ,吸血している 個体は,はとんど見られないか,きわめて少数であった のに対して,他の5種ほ,7ロー9ロ%まで,十分に吸血し た個体であった..これらの傾向も,また,全期間を通じ て,はとんど同様であったが,強いていえほ,9月に入 ってからのものほ,多少吸血個体の割合(%)が減少し 占5−80%であった Ⅳ 考 察 香川県の,水田の多い平坦部では,オオクロヤプカ, アカイエ・カ,コガタアカイエカ,シナハマダラカの発生 がとくに多いことは,すでに指摘した通りであるが(5), 88 1(〉0 80 60 袴 40 殺 20 0 散 ㈲ 80 …−・・・・くトコガタアカイエカ 乳 牛 合 ーー◎−−シナハマタラカ ケ…・・‖‖・・川Q .か−−−−◎一一一一◎ / / / \ ′ ○、ヽ ′ ′

0 0 8

/ b_−−・J .■● ̄小一・■●−‖、. 、・○_ 、、・●・・−−○__ 豚 舎 −・・■}一小一・ア カ イ エ カ ・・・・・・・ムーオオタロヤ■7カ

.0 0・○

ター・−一々ヽ 0 、′ ′ ヽ ゝ ′/も ∧、. 〉り○▼、、 ヽ一′ 、し人、 、 一・−小一卜一・・●…−“h・・− −・・◆・−・・−ふ‖フ p● −、7 7−9 9−1111−1 時 刻 一3 3−5 5−7 第7図 乳牛舎、豚舎における時刻毎誘殺蚊の各 種毎のパーセント

ヒースジンマカA飢わ.sα〃ゃかcf〟.S SKUSE,トクゴウヤプカA鋸ね・Sねgo∼ THEOBAIDも場所によってほかなり多 く,時に,少数のキンイロヤプカAβd♂S〝g∬α”ぶ乃よ■動的如TH月OBALDも見受けることがあるル 今回の調査で認めえた蚊の種類は,ほじめにあげた4種のみであったが,加藤等(12)ほ,仙台地方の馬小屋,牛小 屋に,夜間侵入する種類として,それぞれる種および8種を認めており,明らかに,これらには,地方的(地域的) なちがいがあることを知ることができる..しかしながら,一般的にいって,アカイエカ,コカタアカイエカ,レナノ\ マタラカ,それに大抵の場合,オオクロヤプカなどの種類が,畜舎に侵入する主な蚊であることは疑いなく,これら の発生消長〈345678911)や吸血行動(12叱関する研究は,これまで,かなり活瀞に行われた感がある 今回の調査では,7月から9月にわたる5ケ月の問で,もっとも蚊の数愚の多かった時期ほ・,乳牛舎,豚舎の場合と もに,7月下旬から8月中旬の間であったが,ピ′−クの出来かたほ,両畜舎の場合で,かならずしも類似し七ほいな かったり この最盛期に,数鼠的にもっとも多かったのほ,コガタアカイ・エカとレナハマダラカであったが,アカイ・エ カほ,この頃,むしろ減少を見せている時期であった.山口(1りほ,かって,畜舎に・侵入する蚊の割合をしらべ,ア カイエカ,シナハマダラカの減少する時期には,コガタアカイエカが多くなることを指摘しているが,今回の調査成 絞からみると,アカイエカとレナハマダラカを一層にして考えるより,むしろ,アカイエカの数嵐が減少している時 期に,コガタアカイエカやレナノ\マタラカが多く,また,その間において,コガタアカイエカとシナハマダラカも, 鵬・方が増加する時には,他の一・方ほ減少するといった関係があるのでほないかとも思われる. 今回の調査では,8月下旬から9月下旬に至る間にほ,これらの蚊も急激に減少してしまって,再び秋期(9月か ら10月にかけての候)の山を作る傾向は,まったく認められなかった..しかし,かっては,これらの蚊は,シソ■ハマ ダラカにしても,9月頃(その年の2回目)の山が(36789),かなり顕著に見られ,筆者自身も,過去に,このこと を体験Lてきた.もしも,今回の調査結果が,近年の水田地帯における蚊の発生の実情を,かなり正確に示すものと すれば,以上のような事情から,その原因を,近年の水田管理(農薬散布をふくめて)の以前とのちがい(たしか に,近年は,徐々に変ってきた)に帰する考え方も生ずるわけであるが,この説明を十分可能ならしめるデータ− ほ,現在,まだ,出揃ってはいないので,今のところ,今後の調査研究に期待するはかはない小 オオクロヤプカほ,しかしながら,盛夏の候にほむしろ少なく,秋迫る頃から次第に増加して,9月上,中旬頓に

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ピ−クを作ったが,この傾向は,香川県地方でほ,きわめて普通の発生の塑のように思われる(5).しかして,今回の 調査では,カオクロヤプカは,乳牛舎と豚舎の場合で,そ・れはど大差のない誘殺曲線がえられた 7月上旬頃における,これらの蚊の誘殺数と時刻との関係をしらべた結果,午後9時から11暗までの2時間が,両 畜舎の場合とも,最大であった.このピ−クほ,畜舎に.侵入する個体数が,最大に達する時刻とほ,必ずしも一哉し ない筈であるが(成績の項でのべたように,畜舎に侵入する蚊は,そのはとんどが,もらろん雌であるが,ライト・ トラップに誘殺される蚊は,また,大部分が吸血を終っており,侵入した蚊は,まず,畜体に迫って吸血し,しかる 後にトラップに向うものと判断される),だからといって,それはどに大きな時間的遅れを示すとも考えられない. 今回の調査でほ,カ・オクロヤプカ以外の5種は,概して,やはり,午後9暗から11暗までの2時間に,最大の誘殺 数を示したが,コガタアカイエカとシナハマダラカの個体数ないしその比率が,前半夜と後半夜で逆転を見せ,前半 夜に多かったコガタアカイエ・カほ,後半夜には,シサ・ハマダラカよりもむしろ少なくなったい このことを検討する と,コガタアカイ.エカが,後半夜には急激な減少を示すに反してニ,レナハマダラカほ,後半夜常至っても,なお,そ れはど著るしい減少を示さないことにもとづくようである”加藤等(1)の,仙台地方の′馴、屋に侵入する蚊の行動解析 結果でほ.,シナ・ハマダラカも,後単夜には,著るしく活動数を減ずる傾向が見られたが,今回の調査成績との食いち がいほ,やほり,夜間の気温低下が,両地方で相当に著るしい善があることに起因するものと思われる. ところで,コガタアカイニ.カとレナハマダラカの,夏季における莫大な発生鼠には,広大な面積にわたる水田が関 係して.いることは,争えない事実である.香川県地方では,水田に発生する蚊の95%以上が,これらの両種であり, また,それぞれは,季節によって変動ほあるが,大体,相半ばする%を占めることが多い(未発表).緒方(10)は,川 崎市郊外の水田の蚊をしらべ,4属9種にものぼる種類を見出したが,幼虫は,シナハマダラカ49・4%,コガタアカ イエカ41..7%であったというから,関東地方でも,やはり,これらの両種が圧倒的に多く発生するものらしい このように,コガタアカイエカやレナハマダラカの発生源として,水田が大きな役割を果しているとすれは,稲作 のための,諸種の農作業が,それらの発生に,大なり小なりに影響をもたらすことほ論をまたないが,とくに,近年 のような,さかんな農薬の使用はかなり大きな影響を与え.ていることほ疑いないい時期的にみて,占月下旬頃から8 月上旬頃までは,蚊の発育に対する,水田の条件もととのっており,大畠の蚊の発生を許す状態にあることは疑いな く,緒方(10)の調査からもこのようなことが肯定できるが,農薬,ことに,殺虫剤の散布ほ,一喝的とほいえ,彼等 の個体数を相当に減少せしめることになるであろう.水田の中干しあるいは落水などと,これらの蚊の増減との関係に っいても,過去において若干の論議がなされた”山口(11)は,コガタアカイエカの増減に・は,水田の落水は,まった く関係はないと強く主張し,緒方(−0)は,また,8月以後の中干しから,落水の時期に至る間の水田内の幼虫は,羽 化に至らずに終ることを指摘しているル思うに,これらほ,水田管理の実態からしても,蚊発育の実情からしても, 一応,もっともな意見とみるべきであろう. 今回の調査成繚と,本年の水田に 対する農薬散布との関係を吟味する に,本年真の前半は,各種の害虫の 発生も,例年より7−10日ぐらいの 遅れを見せ,後半は,平年とそれは ど大差ない発生を示す,特別な状況 であったわけで,殺虫剤の施用も, 当然,それらの状況に応じて,例年 とは多少の時期的なズレを生じた. 今,改めて,今回の調査地点の周辺 部における,本年夏の殺虫剤施用の 状況,中干し,落水の時期などを, ライ トトラップによる誘殺頭数 (全種総数)と併せて示すと,第8 図のようであるが,周辺部水田の殺 虫剤散布や中干しの影響が,かなり 簡8図 本年(19る5)調査地周辺で行なわれた水田に対する殺虫 剤散布、中干し、落水等と乳牛舎、豚舎のライト、トラ ップによって誘殺した蚊の総数との関係

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90 香川大学農学部学術報曽 に強く,これにあらわれていると解してもさしつかえ.ないよう紅思われる しかしながら,事実が証明するように,水田の蚊の防過を,かかる農作業による間接的な効果のみに期待すること ほ,もちろん,到底望めない.したがって,′ここ紅,水田の蚊の,積極的な防除対策が,大きな問題となってくるけ 水田地帯の人家や畜舎の蚊の問題も,垣按これに.かかわっているからである.今日,この積極策の一つとして,水田 内の蚊の防除を目標とする殺虫剤散布が考えられ また,それをかなり強く主張する傾向も現われようとする情勢に 立.ち至っている.、しかし,この方法は,余程慎重に考慮しないと,魚毒その他をめぐって,大きな社会問題に発展す るおそれなきにしもあらずと考え.ねほなるまい 水田の多い農村地帯でほ,一般に,人家などとほ比較にならない程の,莫大な数の蚊が,畜舎に侵入する.本調査 成観でも,この間の事情は推察できると思うが,かかる実態から,畜舎における連続大愚捕殺もー\策と考えられる. このための−・方法として,ライト・トラップによる誘殺があるが,その効果は,たしかに,相当に期待してもよいよ うに思う.もっとも,現在,かなり広く普及しつつある,今回の調査に.使用したような,ライト・トラップ(本品に は,光源ほブラック・ライトと称してあるが,この点はいささか疑問である)は,蚊の吸血から畜体を守る手段とし て奨用されているものと思われるが,前にものべたように,畜舎に侵入した蚊は,はとんど,まず,畜体に迫って吸 血をなし,ついでトラップの方へ向う傾向があるらしい.したがって,吸血回避という点からすれば,この方法は, それはど大きい期待をかけることほできないように思う..けれども,もう一一γ=大きい見方からすれば,疑いなく水田 地帯の蚊の防過のための,大きな積極策の−“つということができるから,かかる器具の普及は,よろこばしいことと いえよう..ただ,ここで,筆者は,家畜を蚊の吸血から守るための手段としては,今後可能な限り,畜舎の構造を改 変して,夏季にほ網戸を窓紅取りつけることに意を用いる必要があるとかねてより考えているので,項在におけるか かる問題解決の−・助として,あえて,ここに付言しでおきたい Ⅴ 摘 要 香川県の,水田の多い農村地帯において,夏の夜間,畜舎に侵入する蚊の種類とそれらの消長を知るために,本年 (19る5)7月から9月にわたる間,三木呵においてノ本調査を実施し(ライ トトラップ使用),次のような成繚をえ た 1)この調査において認められた蚊の種類ほ,オオクロヤプカ,アカイ.エカ,コガタアカイエ・カ,レナソ\マダラカの 4種であった.もっとも数鼠多く,活動のはげしかった種類は,水田に多発するコガタアカイ・エカとシナノ\マタラ カの2種であった 2)ライ トトラップ紅.よる総誘殺蚊数の,もっとも多かった時期は,7月下旬から8月中旬の問であったが,アカ イ.エカほその頃比較的少なく,コガタアカイ・エカとレナハマダラカが極度に多かった.しかし,コガタアカイエカ のピ−クと,シナ/、マタラカのピ′−クは,かならずしも時期的には一感:せず,むしろ,−・方が増えれほ・−・方ほ減る といった傾向が見られた‖ 全体的に,8月下旬以後は,蚊の数鼠は激減したが,オオクロヤプカのみは,秋になる につれて数鼠を増し,9月上,中旬頃にピ−クを作った. 5)誘殺曲線は,乳牛舎と豚舎の場合で,かなり異なった型を示した 4)7月上旬に.,畜舎に侵入してトラップ紅よって誘殺される蚊を,時刻別に調べたところ,オオクロヤプカ以外の 5種は,午後9時∼11時の2時間に最大に達し,以後は次節紅減少した..コガタアカイエカは,,レナハマダラカ よりも,いっそう減り方が急で,前半夜にはもっとも多かったが,後半夜にはかえってレナハマタラカよりも少な くなる傾向があった.カ■オクロヤプカは,暮れ方と明け方にもっとも多かった 5)トラップに誘殺された蚊は,もちろん,はとんどが雌であったが,その上,また,ほとんどが完全に吸血してい た..けれども,オオクロヤプカのみは,雄が非常に多く,はぼ5D%にも適した..しかして,雌ほ,はとんど吸血し ていなかった 占)畜舎周辺の農家による,水田の殺虫剤施用その他は,蚊の発生紅,かなりつよく,影轡したようであった

(7)

参 考 文 献 259,(19占1). (6)野村健一・:松虫,2(2),55−4D,(1947). (7)−−:松虫,2(5・4),75−82,(1948). (8)岬 :害虫気象通論,100P…(72−7る),東京,北 隆館,(1949) (9)+:衛生動物,1(1),18−19,(195口). (10)緒方】省:衛生動物,1占(2一),171−172,(19る5)ル (川 山口左仲:最近の生物学(駒井息.木原均編),Ⅲ, 554P.(占8−109),東京,培風舘,(1950). (1)加藤陸奥堆,鳥海 衷:生態学研究,‖(1・2), 1ふ21,(1948) (2トー岬−.一山 田島幸次郎:生態学研究,12(1・ 2),52−55,(1949) (3)小泉 丹”土持勝次:動物学雑誌,る7,457−428, (1925)

(4)LA CASSE,W.,J.& YAMAGUTI,S、:Mosq11ito fauna ofJapan and KoIea(US.AFSchoolof Aviation Medicine,Air Univ”),ト215,(1955).

(5)松沢 寛:香川大学農学部学術報億,12(2),255−

On the mosquitoesinvade the stable atmightin summer.

(Ecc>logicalstudies on someimpo工tantinsectsin Shikoku from sanitary point of view・Ⅹ)

HiroshiMATSUZAWA

SummaryIn order toknow the species of mosquitoesinvade the stable at nightin summerin the

agrlCulturaldistrictabundantin paddy fieldsin Kagawa P工efecture and also toknow the prevalence of their appea工anCe,preSent reSearCh was carried out using thelight trap(FL−6BL)at Miki・Cho extending

fromJuly to Septe皿berin19占5and acqui‡ed the followingIeSults:

1)In this reseaICh,the four species of mosquitoes such asArmigeres subalbaius,Culelr Pipiens Pallens,Cule.xiritaeniorhynchuS,AnobhelelS hyrcanus sinenlSis weIe ObseIVed。The number of Culex tritaeniorh.yncus and Anobhele.s h.yrcanulS Si−nensis whichgrow up mainlyin paddy fieIds was especially

large and theiIaCtivities were greatly vlgO工OuS

2)TotalnumberofmosquitoescapturedbythelighttIapWaSVerylarge,eSpeCiallyattheseason from thelatterpaItOfJulytothemiddleof Aug11St..Atthisseason,the nu皿berof CulexiritaenioY’h.ynchus andAnobheles hyrcanus sinensis wasverylaIge althoughthatofCulelXbiPiens ballenSWaS工ather sma11・

ButthepeIiodshowingthepeaksofthe numbet ofthe capturedCulex trtiacniorh.ynchus and Anophelcs

h.yrcanussinensisscarcely coincidedwith eachother,andthestateofincreasinganddecreasingof the number of both speciesseemed to fluctuate asif the number of the former工emarkablyincIeaSed when

the number of thelatter dec工eaSed

On the whole,the totalnumber of the captu工ed mosquitoes remaIkably decreased after thelatter part

ofAugust,butthenumbeIOfArmigeYeSSubalbaiusgraduallylnCreaSedin autumn andthe peakof the

captured number ofthis speciesappearedat the season fromthe biginningtolhemiddleofSeptember。

5)Theshape ofthecurveofthe totalnumber of mosquitoes captured at the stable ofdailycattle

was considerably different fromthat atthe stable of swinein spiteof the same station

4)AccoIdingtotheconsequenceofthep工aCticalobservationof thenumberofmosquitoescapturedin every twohou【Satnight(p.m,5.00−a巾ml・7.00)inthebeginningofJu】y,the nu皿berofthethree species of mosquitoes exceptArmlgerelS SubalbaiuSIeaChed maximun atthe thi工d two ho11rS fromp

m9.DDtop.mnll000/clock,and after that,the gradualdecreasing was observed.In the first half of the night,the number of Culel方 triiaeniorh.ynchus was especiallylarge,but thedecrease after p.m”11000/clock was more rapid than Anopheles h.yY’canuS SinenlSis andin the second half,On the

(8)

香川大学農学部学術報告 92

COZltrary,it became rather small〝 The number of Armigercs subqlbaius was especiallylaIge at duck as wellas at dawn

5)Most of the mosquitoes captured by thelight tr’apizlthe stable werefemaleadults,and besides, most of them had already finished their blood sucking from animal。However,Only among Armlgeres subalbatus captured by the trap many male mosq11itoes were found and they numbered about 5D%of

them.:Most of the fe皿ale mosquitoes of this species had not finished the blood s11Cking

6)The11Se Of seveI■alkinds ofinsecticides by farmers during sutnmer against the pests of the rice plants and also other worksin many paddy fields around the stable scems to havegiven a considerably effect on the appearance of these mosquitoes

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