46 香川生物 3:46…48(1967) 「黒いへどろ」に及ぼす土壌改良剤の影響の観察 田 中 小 治 郎 第 一 薬 科 大 学 昭和41年10月28日受領 す二)を用いてみた一 さて,この際の実験期間ほ1965 年1月6日より5月2日にかけて116日間である・ このような期間内に海水と泥とを正常な状態にもど すために.,これらに対して以下のような土壌改良剤 を試みに・添加してみた 第1群;海水20mlに対し泥30gを加えて対照群 とす 第2群;海水20mlに対し泥30gとG・AO‖8gを 添加し,pH7..8に上昇せしめる 第3群;海水20mlに対し泥30gとG・AO…8gと 添加し,pH7.9に上昇せしめる 第4群;海水20mlに.対し泥30gとG・AO・・8gと 添加し,pH7..7に上昇せしめる, こうして1実験台上に実験列が置かれたが被検海 水は蒸発するので,時々蒸溜水が添加され塩分届の 変化ほできるだけ調整された かくて,実験終末時に於て検査してみたところお もしろいことには使用した土壌改良剤により植物性 浮薄生物の増殖急に・顕著な差異を認めた よって, その事実を以下に述べよう 第1群では,実験開始後の初期にpIi価ほやや上 昇の傾向を示し,中性を示したが,漸次下降の一途 をたどり,実験瀾始後101日日にほ6‖1を示し,この 傾向は実験終末時に於ても持続し,当初よりも更に・ 酸性度が高くなるような傾向が認められた −一・方, 泥の色調は変わらない実験終末時に.海水を除き千 がた状態に置いて−みたところ悪臭を放った そし て,興味をそそられることは,珪藻煩のNavieula 類は実験水槽壁に見えザ,槽底の泥土の表面に極め て少量の斑点状に認められたが,気泡を発生するに ほ至らなかったなお,単細胞型緑藻腰の繁殖も見 えないさて,浮蘇生物を可能だけ除き,海水を炉 過し,泥を風乾し,その灼熱損失量百分比をみると 12い3%であった 第2群でほ,実験当初に・添加されたG・Aのため 水産養殖生物と底質との関係については,従来, 多くの研究があるが,なかんずく,土壌の器械的分 析法のうち飾別法=丸川式飾別法を用いて研究し論 じられたものがある.特にアサリ,ハマグリ1)等の 棲息場における底質について記述されたものが多い さて,本編で取り扱った標題の研究についてほ, 従来,殆んど試みられたことがないよ、つて,この 実験を試み,二・三の知見を得たので,学術上興味 ある問題はかりでなく,水産薬理学上にも重要であ る問題と考え.られる故にり その成蹟並びに所見を述 べて同学者の参考に資したいと思う. 筆者は前述の実験を行なう目的をもって,まず, 高松市を流れている相引川河口付近でアサクサノリ の養殖が行なわれている河底土と春日川の影響を受 けている西屋島町御殿新開浦の河底土とを検土杖を 用いて採泥し,その土性を印象的に.観察したところ ほぼ同じであることから土壌反応(pH)を検診し てみると何ずれも65∼6‖8であることが判明した それで,後者の土壌を1965年1月5日に採泥と採水 し,これらをポリエチレン瓶に入れ翌日に徳島県三 好郡三野町にある実験室へ運んだ.まず,折紙を用 いてこれらを炉過し,海水と泥とに分離したが,こ の際に得られた海水は120mlで,泥ほ145gである, この土壌の色は膠質性を帯び,漆黒色を望し,乾燥 すると固くなる それで,この土讃を「黒いヘドロ」 と呼ぶことにしたそれはとも角とし,上記の泥の 重量ほ乾燥されていないということについてほ特に 取り立でて説明する必要はないであろうさて−,こ の際の海水ほpH68を示し,土壌反応(pH)もま た同価である 従って−,海水もノリ場の泥としても いずもれ正常でなく,原因ほ今のところでは不明で あるが,徴酸性を示すので明らかに汚れたものとい えるこのような汚泥水を廼生しようとして−土壌改 良剤の一・種であるところの日産丸紅商事が取り扱っ ている商品名ゴ〃・・・・・ルド■アッシュ2)(以下G・Aと略
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
「黒いへどろ」に及ばす土壌改良剤の影響の観察 47 に速やかにpH7い8を示したが,暫くの期間はやや 上昇傾向が認められたしかし,漸次下降の一途を たどり60日間を経過した頃にほpH7い6を示し,更に 進んで100日日頃にほpH6い1を示し,対照群(No.1) とほぼ同価を現わした だが,実験終末時に・はpH ■7..5を示し,やや上月傾向が認められた−・方,泥 の色調に変化を起し,表面の泥は,灰色を呈し,底 居士ほ漆黒色を帯びないで,淡黒色を呈し,対照群 に比して,明らかに異なっているさて,水温ほ低 温を持続しているが30日間経過した頃から泥土上に・